神様「可哀想なのは抜けない」   作:明田川

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ネタを思いついたので
それと初投稿です(大嘘


時間停止

コンビニにお茶を買いに行って自動ドアが開くのを待っているのだが、いつまで経っても開かない。店員さんを呼ぼうと視線を向けると瞬きすらせずに停止している。おかしいなと空を見上げると鳥が翼を広げて宙に静止していた。

 

「神様、なんか時止まったんですけど」

 

「それはマズイ!早く犯人を取り押さえるんじゃ!」

 

「いや、さっきから身体動かないです」

 

「…口が動くなら気合で身体もなんとかなるぞい、きっと」

 

「マジですか…ああ動いた動いた」

 

〈時間停止〉

 

彼はとある高校の体育教師モブ太郎、学校の倉庫に落ちていたストップウォッチを弄ると時が止まったことで調子に乗っているぞ!

時間停止を利用した盗撮や覗きに盗みはなんのその、セクハラだって星の数ほどやってやがる!そして今日はついに教え子をぐちゃぐちゃにするためストップウォッチを握りしめて目的の教室に向かっていた!

 

「クソ、アイツが悪いんだ…エロい身体しやがって!」

 

教室で他の生徒と楽しそうに談笑する今回の被害者、野沢桂子を睨んだ。彼女は茶色がかった短髪と運動部の練習によって引き締まったボディと控えめな胸を持つ健康的な少女だ!

 

「ふ、ふふ、コイツがあればなんだって出来るんだ…」

 

カチリとストップウォッチのスイッチを押して針を止めると風で動いていたカーテン、髪の毛、服が一斉に停止する。今回も時間停止に最高したモブ太郎は睨むのはやめて欲望が透けて見えるほどの歪んだ笑みを浮かべたぁ!これは不味い、どんどん野沢さんとモブ太郎の距離が縮まって行くぞ!

 

そして野沢の服に手をかけ…る前に邪魔が入ったッ!

 

「えっと、3階だったよな」

 

外壁をよじ登り、目標の3階の教室にたどり着いたのでガラリとガラス窓を開けて教室に入り込んだ。それに驚いたモブ太郎は尻餅をついてストップウォッチを確認するが針は止まっているし周りの生徒も動いていない!

 

「なんで動けるんだ!?時間は止まってるはずだ!」

 

「自分が動けるなら他にも動ける奴が居るかもしれないとは考えなかったのかね?」

 

よっこらせと窓のサッシを跨いで教室に入り、おもむろにポケットから野球ボールを取り出した。なぜ野球ボールを出したのか分からず目を白黒させるモブ太郎に向かってボールを向けた!

 

「なあ、野球しようぜお前ミットな」

 

「そ、それはどちらかと言うとキャッチボールじゃ」

 

「うるせぇ投げるぞー」

 

モブ太郎は3階の窓から入ってきて野球ボールの投球フォームをとる謎の男を止めようとストップウォッチを再度動かして止める!しかし残念、彼は止まらないッ!

 

「うわあぁーーー!」

 

「逃がすかッ!」

 

綺麗な投球フォームから放たれたボールは逃げるモブ太郎の尻に叩き込まれた、これは痛い!そしてバランスを崩して前に倒れ込んだモブ太郎はストップウォッチを地面に落としてしまうッ!

それを拾おうと手を伸ばすが、残念!腕が届かないッ!

 

「これが神様の言ってた時を止められるストップウォッチか…」

 

「返せっ!」

 

「大人しくしてろ、勧善懲悪キック!」

 

ただの蹴りがまだ倒れ込んだままのモブ太郎の右足に叩き込まれる(骨の折れる音)っ!これは痛い、泣くレベルだ!

 

「…やっべ、折ったかな。いやきっと折れてない、ちょっとぶつけた程度のダメージだよな。うん大丈夫、たぶん、きっと、メイビー」

 

「っぐああぁぁあっ!?」

 

「うん、今までの悪事の分苦しめ!(ヤケクソ」

 

適当に蹴ったら思いのほか強く蹴ったらしく、モブ太郎の骨を駄目にしてしまったようだ!先程泣くレベルと言ったが訂正しよう、大号泣するねこれ!

 

「が、返゛え゛せ」

 

「なにその執念、悪霊かなにか?」

 

ここまでの怪我を負ってもストップウォッチの奪還を諦めないモブ太郎に恐怖を感じるっ!この執念の根源は時間停止がもたらす万能感、それに浸った彼は麻薬中毒者のようにその力に酔いしれてしまっていたのだ!

彼を変えてしまったのは間違いなく、このストップウォッチなのだろう。彼のためにもストップウォッチを返すわけにはいかないな!

 

「返せと言われて返す馬鹿がいるか、それじゃあさよなら」

 

「なっ!?」

 

痛む尻も御構い無しにストップウォッチを取り返そうとするモブ太郎をひらりと避けると入ってきたときの窓から外に飛び出すッ!!驚愕したモブ太郎は窓から下を見ると何事もなく学校の敷地外へ走る男性の姿がッ!

 

「嘘だろ…これは夢?」

 

そしてどこからか取り出したメガホンをモブ男に向けて、用意していたとある話をした。

 

「えー、あなたの盗品や盗撮した映像と画像などは然るべき組織に告発したのですぐに刑務所か何かにぶち込まれるでしょう。覚悟の準備をしておいて下さいッ!!」

 

「…はは、これは夢だ、これは夢だァ!!アハハハハハ!」

 

その後時間が動き出してから警察により連行されるモブ太郎の姿があったという…

 

ーーー

 

帰り道、脳内に直接語りかけてくる神様と今回の事件について話し合っていた。

 

「ちょっと蹴ったのはいかなかったなぁ…」

 

「そのくらいコラテラルダメージじゃわい、それよりストップウォッチはどうした?」

 

「ここにありますけど」

 

「それはワシが回収しよう、そして和姦の世界で役立てるから安心せい」

 

「安心…なのか?」

 

 

 




モブ男君は根が真面目なので前回で懲りて頑張ってますが、モブ太郎はストップウォッチに人生を狂わされた悲しい人で取り返しがつかないところまで行ってしまった…という設定です
悲しいなぁ…

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