このまま細々と書きたいと思います。
二人してだらけている時、不意に時雨が声をあげた。
「ねぇ、僕が来てからどのくらい経った?」
「サア…ミッカグライジャナイカシラ……
ソレガドウカシタノ?」
自分が存在を教えたとはいえ、人をダメにするクッション(ネ級が作った)に埋もれているのはどうなのかな…と思いつつも時雨は質問を重ねた。
優しい時雨は「部下になにやらせてるの」なんて思っても言わないのだ。
「いや……君深海棲艦だよね?それも姫級だよね?何でずっとこの部屋にいるの?ニートなの?」
もっともツッコミを控えることは出来なかった。
「ユウキュウ…トッタノヨ……」
ニートチャウワ、と口調が崩れるのも気にせず気だるげに海峡夜棲姫は妙な答えをした。
「いや有給って、嘘でしょ…嘘だよね?」
(僕の鎮守府には無かったのに…)と先ほどの落ち着きはどこへやら、かなり慌てた様子で時雨が問いただす。
「ジョウダンヨ……
……ナンデソンナニホットシテルノヨ」
「さ、さあね。で、出撃しなくていいの?まあでない方が被害が少なくなるから嬉しいけど。」
「ダイジョウブヨ……ブカニオシツケタカラ……」
(駄目だこの姫、早くなんとかしないと。てか部下が可哀想だね。)
そして時雨は考えるのを止めた。
この山城に似た
それよりこの降ってわいた休暇()をゆったり過ごそうと決意した。
本人は特に自覚はないが、完全に海峡夜棲姫に引っ張られている。
「ところで…他の深海棲艦にはこんなに非好戦的なのは居るの?」
「ソンナワケナイワヨ…アタリマエジャナイ………ッテイイタイケレド」
「居るんだ?」
「マァ…ソウ……
カノジョニキイテハナイケド……タブンネ……」
時雨は先程止めた脳を再び動かし始めた。当然、目の前の海峡夜棲姫は放置である。
反応もしてくれずに没頭する時雨を見て、不満に思ったか自然と海峡夜棲姫は時雨に顔を寄せていった。
50cm。
既に初めて踏み込む距離。
30cm。
もう時雨の顔は目と鼻の先にある。
10cm。
目を閉じていた時雨も漸く違和感を覚え始めた。
落ちた影を感じて、時雨が目を開ける。
5cm。
ほとんど唇が触れあうような距離にある顔を見て時雨はひゃあ
、と気の抜けた声を上げて固まった。
「な…何してるのさ!」
悪戯に成功した海峡夜棲姫は薄く微笑む(つもりであるが当然表情は変わらない)と、何事もなかったようにもとの位置に戻っていった。
もっとも時雨の方は何事もなかったように、とはいかない。
赤面したまま固まっているが、無理もない。
(海峡夜棲姫、山城に似てるんだよ…それがあんな距離で…山城でもそんな近くには…ひえー…)
キャラを失うほどに動揺しているが、当然海峡夜棲姫は気づかず、不思議な顔をして時雨を見つめている。
その顔からは先程までの悪戯な様子は見受けられない。
時雨が現実にログインするまで二時間ほどは彼女らはそのまま過ごすのであった。
時雨がようやく戻ってくるともうすっかり暗くなっていた。
鎮守府とは違ってこんなところには電気なんてなく、夜になると待機勢は早々と床につく。
深海棲艦なのに寝るのか……と時雨も最初は思ったがまあ艦娘も寝るので、と納得しておいた。
考えるのがめんどくさくなったわけでは決してない。
それは兎も角としてこの部屋には布団が一組しかないのだ。最初こそ時雨は恥ずかしがっていたが三日も経てば慣れたのか大人しく布団に入り込んだ。
「ンッ……ン……オチツクワ………」
(慣れるわけないよ!!!)
海峡夜棲姫は布団に入るやいなや前日と同じく時雨に抱きつくと、そのまますやすやと眠ってしまった。
なにやら波長でも合うのか、海峡夜棲姫は時雨に随分と懐いていて、時折時雨に甘えてくるのだ。
が、この海峡夜棲姫。深海棲艦といえども見た目はほぼ山城なのである。それが山城とは違って非常に素直なのである。
つまり時雨は死ぬ(迫真)
(はあ……死にそう…
でも……どうして彼女は山城に似ているんだろうね
………役得だからいいか)
時雨の長い夜はまだまだ続く―――
――――――――――――――
「鬱だ。死のう。」
「早まらないで、山城!?」
「鬱です。姉様。死にます。探さないでください。」
「探すわ!?……いえ…取り敢えず落ち着きましょう?」
「時雨が……時雨が……」
「時雨は……いえ…まだ決まったわけじゃないわよ、山城。信じましょう。」
「いえ、それは信じています。」
「じゃあ…どうしたの…?」
「泥棒猫にとられた気がして…」
「山城、あなた疲れてるのよ。
……今日は一緒に寝ましょうか…?」
「はい……時雨……」
「(重症ね……)」
鎮守府の様子ももう少し書きたいですね
そろそろ登場人物を増やしたいですが、書けるかな……
嫉妬する山城も可愛いのです