お師匠さんが女体化してから誘惑してくる件について 作:キサラギ職員
「優しくね、優しく愛撫してね?」
「愛撫じゃねーし! ハァ~……塗りますよ」
愛撫じゃねーし。するっと下ネタが出てくるので本当に困る。
日焼け止め用のオイルを手で温めてっと。どのぐらい温めるのかは知らんが、もう大丈夫だろう。
俺はお師匠さんの横に屈み込むと、まずどこから塗ろうかと目線を巡らせた。
白いうなじ。ポニーテールに結わいている黒髪がぱらりとかかっている。いきなり首から行くのはまずそうな気がする。背中。妥当な線だ。まずは肩甲骨の上辺りから……。
ぺとっ。
「んっ………ッ……いいよぉ、続けて続けて」
艶かしい声が上がる。野郎………口元が笑ってるのが見え見えだぞ。
肩甲骨から背筋。
「はぁっ、んっ、ふぁぁ………」
お師匠さんが太腿を内側に向けてもじもじと擦り付けている。
消えろ煩悩消えろ煩悩消えろ煩悩……。
次は腰。しかし、なんて滑らかな肌なんだろう。張りがよくて、滑りがいい。触ってるだけでも気持ちがいい。
「上もぬってえ……」
「う、上ェ?」
いかん声が裏返った。上ってどこだよ。上って、上っていうと首とかか?
俺が首にぴとりと触れると、お師匠さんの腰がせり上がった。
「ん! んっ………」
「………あのー、俺オイル塗ってるだけっすよねこれ」
「ん? うん」
「………続けますね」
妙に冷静に言葉を返してくるお師匠さん。なんと言っていいのか、その、わかりません。
上と言われたので、首を撫でるように塗りこむ。それから、腕……の付け根には絶対に触れないぜ。
「そこも塗ってよぉ」
「自分でやんなさい」
「ちぇ」
前は自分で塗れ。俺は手を出さんぞ。
次。腰の下~~~~どうする。お尻だ、お尻がある。大胆なビキニタイプなので、ぷりんとしたお肉が丸見えになっている。塗るべきか、塗らないべきか、ええい、塗ってやるよじゃあ!
「んふぅ~~………おく、塗ってね」
「やるか!!」
「えぇ~弟子君のけちんぼ」
「いいから黙っておいてください」
奥って……お尻を塗ってる最中に奥って言われたら、もう股以外に考えられない。だめだ、触ってはいけないんだ。
いや触るよりすごいことはしたよ。したけど、やっぱり、ナカミがオトコの呪文を唱えないと俺のアイデンティティが消し飛びそうなので、だめだ!
次、足。
……びっくりするぐらいいい足だ。無駄肉がなく、うっすら筋肉が透けている。整えられた爪から始まるつま先からふくらはぎまでの線は美しく、腿はむっちりとしていて、横にせり出した腰周りの美しさを装飾しているよう。
これにオイルを塗ると。足フェチじゃないが、足フェチに目覚めてしまいそうだ。
ぺとり。
「ふぅぅ……」
甘ったるい声が漏れ聞こえてくる。ああ、もう! 一々喘ぎやがって。許さないぞ。
俺はテキパキと脚にオイルを塗ると、これでとどめと言わんばかりに尻をぺちりと叩いた。
「うひぁあっ!?」
「終わり! 前は自分でやってくださいよ!!」
「ねー」
ん? なにやらお師匠さんが上半身を起こして俺のことを見つめてくる。
婀娜っぽく唇に指を当てて、脚線美を強調するように足をくねる。
「お尻、もっと叩かないのかな?」
「次は頭を叩きますよ」
「おおおお嗜虐が好きなのだね? かく言う私は被虐の方が性に合ってるんだけどね!」
「嘘付け一晩中俺のこと攻めてた癖によお!」
「ひひひ! じゅるる。いかん、思い出すと涎が」
やってられん。俺はオイルをポイと放ると、テントの中にある木箱を開けようとした。
「んー? 元気だねえ。結構結構♪」
「ば! どこ触ってんだ!」
ふわりと甘い香りが鼻腔を擽った。
この匂いだ。お師匠さんの匂いを嗅ぐと、理性がゴリゴリと削り取られる。すぐにでも木陰にでも引き込んで裸体をむさぼりたい衝動に駆られる。たぶん喜んでくれそうな気がするけど、それはだめだ。だってお師匠さんなんだぜ?
お師匠さんが背後から抱きついてきていた。おまけに、俺の下腹部を探ってやがる。急に振り払うのも危ないので、震える手で引き剥がす。
「興奮してたっしょ?」
「してないです」
「ほんとにぃ?」
「ねーよ!」
ねちねちと聞いてくるので首を振ると、お師匠さんはくっくっくと喉を鳴らして笑った。
「じゃ、次はキミの番ね。そこ寝なさい」
俺が荷物をゴソゴソしていると、いつの間にやらオイルを手に塗りこんだお師匠さんが隣に座っていた。
「は、はー? やるわけないでしょ」
「まあまあ」
「いや、やんないですよ」
「まーまー、ちょっち期待してるんでしょ」
「してねーし! 触ンな!」
「ホラホラホラ! 寝て寝て! 暴れんなよ暴れんなよ!」
で。
「ふっふっふっ………じゅるる、っと涎が」
俺はなぜかお師匠さんに日焼け止めオイルを塗られることになっていた。
「仰向けになって♡」
「お断りします!」
仰向けになったら色々とヤバイ。ナニがやばいって? そりゃナニがヤバイんだよ。
俺はうつ伏せになってお師匠さんに背中を晒した。
「いいお尻してるよねぇ。運動とかしてたっけ?」
「ないですね」
「あっ、してないのにこんなにガタイいいんだ」
「親が体格よかったんで遺伝とかじゃないですかね」
「そうなんだ。最近はいつ抜いた?」
「答えませんよ」
なんだこのインタビュー。さりげなく下ネタを振るのをやめろ。危うく言いかけたわ。
「あ~~~いいねぇ、いいお尻してるねぇ」
お師匠さんがいきなりお尻を揉み始めた。オトコのケツを揉んで何が楽しいのか理解に苦しむねって思ったけど中身が男(男も女もいける派)だとするとおかしくはなかった。
オイルを塗るはずなのに、熱心にお尻を撫で回してきやがる。このままじゃお尻が柔らかくなってしまうなんて思っていると、お師匠さんが俺を跨ぐように膝立ちし始めた。
「は?」
ぱさっと何かが落ちてきた。頭をひねって見てみると、水着の上だった。
ふにゅん。
柔らかい何かが背中に触れた。
「おっぱいで塗り塗りしてあげますからねぇ~♡♡」
「ば、止めろ!」
い、いかん。俺の俺が限界寸前だ。オイルを塗りたくったおっぱいで背中を擦ってくるとかなんなの、天才なの?
俺が銅像と化していると、お師匠さんが動き始めた。柔らかいお肉が背中の上をぬりゅんぬりゅんと滑っていく。なんだか、一部分だけ硬い感触を感じる。
「うつ伏せで我慢できるかなぁ~♡」
「わ、わかったから……」
もう、日焼け止めを塗るのが目的じゃなくなってる。お師匠さんが俺の耳元に唇を寄せてくると、ちゅっとリップノイズを立ててキスしてきた。
俺はお師匠さんを引き剥がすと、仰向けになった。両手で顔を隠しながらな。恥ずかしすぎて頭がどうかしてしまいそうだ。
「わ♡ 自分では動いてくれない感じ?」
「………もう、好きにしてくれよ……」
「そっかぁ、じゃ失礼してっと」
ずるりと水着の下を脱がされる。この歳になって脱衣を手伝って貰うなんて、考えもしなかった。
「わっ……♡ おっぱいがいい? おくち?」
「………あぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!! この! アンタが悪いんだぞ! アンタが!」
キレた。もう我慢できるはずがない。俺はおもむろに姿勢を起こすと、お師匠さんをシートの上に組み敷いた。
オイル塗れの上半身。顔を真っ赤にした乙女が、髪の毛乱してうっとりと頬を緩ませている。どこを見ても、美しくて、愛おしくて、だからこそ苛立つ。もう、どうにでもなれ。
「あっ、いきなり……♡」
「このっ! この口か!」
「もっとぶっていいのだよ? ぶたれるほうがいーい?」
「ぶつわ! この! こういうのが好きなんだろ!?」
「なんだよー最初の威勢はどこいったんだよー? うふふ。かわいいなぁ弟子くんは」
「くそ、サキュバスめ……っうあ」
「ひあっ、んっ……んぅぅっ♡ んっ♡ おっきぃ♡♡ ごりゅごりゅって♡」
「はぁっ、ふぅぅっ……!」
「のましてー、ねぇお酒ー」
「蜂蜜酒ばっかじゃねーか! ったく。ほら口開けてくださいよ……」
「ありがとね。ご褒美に、おっぱいで……」
で。
あんだけ“した”癖に元気なお師匠さんをよそに、俺は蜂蜜酒を飲みすぎてダウンする羽目になったとかなんとか。
※蜂蜜酒ばっか→蜂蜜酒は子作りの時に飲まれるうんぬん