私の名前は毒島慧(ぶすじまけい)
バリバリ(死語)の女子中学生、ちなみに受験生。好きなモノはお金、嫌いなモノは面倒ごと
の、筈なのだが
「その辺にしよう少女、それ以上はダメだ彼らのメンタルがヤバい」
「こんな小娘の罵倒でへこたれるメンタルでヒーロー名乗るとか、審査甘すぎませんか」
私は今自分から面倒ごとに首を突っ込んでいる
事の始まりは暮らしている孤児院のシスター(職員)に夕飯にする食材の買い足しを頼まれたところからだ。地元のスーパーは頼まれた食材が売り切れていて仕方なく隣町まで足を伸ばしてさあ買い物をしようというときにこの事件に遭遇した。
金髪の爆発頭の少年がドロのようなものに締め上げられ捕まっている。周囲には小規模の爆発が起き火災が発生していた。最初は野次馬に紛れて様子を見ていた。だって目当てのスーパーあるの現場のすぐ先なんだもん。そして私は良い人間ではない。性格が悪い上に口汚い。最近敬語を使っているがそれでも棘のあるひねくれ発言は変わらない
だから「あー、はよ解決しないかな」さっさと買って帰って寝たい。
と、超人でなしなことしか頭になかった。ないはずだった
「俺の個性じゃ無理だ!」
は?
「今回は譲ってやる」
は?
「誰かいないのか!」
は?
「私この広さじゃ無理ィ」
何を言っている?
『ヒーローはね、どんな時でも!どんな状況でも!例え無理だと言われても!誰かを助ける、守るために全力を尽くすのよ』
「すごいまだ耐えている!なんてタフネスだ」
ブチンと、頭の中で何かが切れる音がした
野次馬を掻き分けようと手を伸ばす、スマホを構えてるのは強く押して退かす
何してんの私何してんの、ほっとけよさっきまで自分の事しか考えてなかったくせに
私も「こいつら」と一緒のくせに!
考えていることとは逆に体が動き野次馬を抜けてヘドロに向かって駆け出す
ふと視界の端に緑のモサモサ頭が写った。それを止めようとヒーローが怒声を上げている私の後ろでも誰かの声が聞こえる、聞こえないフリをして進む、とにかく進む。
辿り着いた先で緑がリュックを投げつけていた、その間ほんの一瞬爆発頭が解放され息を吸い込んで咳き込む。
私は爆発頭を片手で鷲掴み自分の肩に押しつけ片手に持った物をヘドロへ振りかけた
「なにしやがるクソが、が?」
ドロが吠え、私ごと爆発頭を取り込もうとドロを伸ばそうとするが
「か、固まってく」
緑頭が呟くように言う、私が投げつけたのは土固め材だ。ドロの勢いが少しだけ収まり少しずつ固まっていく。食材と一緒にシスターに頼まれ偶然持っていた物だ、買い直し面倒だな
固まるのを阻止しようと暴れ意識が逸れたうちに爆発頭の首根っこを掴んで強く引っ張る
ついでに固まっているところを蹴りつけて崩す、爆発頭の顔が凶悪になった気がした
うん、気がした。
「このガキィィ!!」
「かっちゃん!きみ!」
ドロが切れて完全に見境がなくなった。さっきとは段違いの勢いでドロを伸ばしてくる
その光景が私にはスローモーションに見えた
勢いで動くと碌な事無いなほんと、最初からもっと早く、いや諦めるな考えろ考えろ
何事も諦めたらそこで終わりだ!
「情けない、全く情けない!君に諭しておいて、己が実践しないなんて!
プロはいつだって命懸け!DETROITSMASH(デトロイトスマッシュ!!!」
悔しい、悔しい。
ヒーローが嫌いな私がヒーローをかっこいいと思う瞬間がくるなんて
厄日だ、今日は