Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
答えなど、どこにもないと泣くがいい!!
ゆえに闇があり影がある! 私は、お前たち人間そのものだ!!
ペルソナ2 罰より抜粋。
「罪と罰」
「っっここは一体」
ロマニが後頭部を抑えながら立ち上がる。
そして周囲を見渡すと達哉、マシュ、オルガマリーも同じように頭でも打ったのか後頭部を摩りながら立ち上がるところだった。
「先輩!! 所長!!無事だったんですね!!」
「まぁ何とか・・・な・・・」
「ひっどいめにあったけどね」
マシュは二人との再会が出来たことに喜んでいた。
「それにしてもここは・・・」
「ようこそ。カルデア一行の皆様方。ここが終着だ。」
ようやくたどり着いた。
監獄、煉獄、塔を突破した先は奴の領域。
普遍的無意識下の悪性情報渦巻く漆黒の果ての最奥である。
そこに奴は居た。
褐色の肌、足元まで延ばされた絹糸のように美しい白髪、そして中性的美貌に尼僧服。
まるで魔術王の姿をそのまんまコピーしたかのようだった
壇上から見下ろす形で達哉たちを迎え入れつつ褒めたたえる。
「実にすばらしい意志だ。」
最もその美貌が悍ましく感じるほどにその表情は嘲笑に歪んでいる。
褒めたたえこそしているが。
実際には滑稽だぞと嘲笑っているのが見え透いていた。
「久々に絆という物を実感したよ。」
「ッ・・・」
大きすぎるというのがオルガマリーの第一印象であった。
大きく悪意に満ち溢れた獣性の塊。
今や半覚醒状態のオルガマリーですら及ばない、それどころか。
あの魔術王どころか。旅路の中で出会った神格が砂粒如何に見えるほど強大な何かに見えた。
厳密にいえば夜空、輝く星々を囲む暗黒そのもの。
エネルギー量で語るなら惑星級とかで比べるものではない。星を輝かせる暗黒そのものなのだから。
もしカルデアの計器で図ろうものなら計器が派手に壊れるであろう巨大さ。
宇宙そのものの暗黒がそこにいる。
こんなものと、これほどまでに巨大で勝ち目のないものと真っ向勝負したのか達哉たちはと達哉以外の全員が戦慄した
「さすがだね。私の玩具。ジャンヌ・オルタの力を借りたとはいえあそこは私の作り上げた異界を依り代に君の世界の可能性が至る最悪が吹き溜まった場所だ。良く突破したね」
ニュクス、あるいはグロース。死の極致の神と対峙し、よく生き残ったと手をたたいてほめたたえるが。
これは挑発だ。ニュクスを叩いたのはジャンヌ・オルタの文字通りの決死の献身であったがゆえにだ。
だが故に分かっているからこそ達哉は挑発に乗らず。
刀の鯉口を切る。既に覚悟は決まっているがゆえにだ。
一度なしたことを二度なすことができなければニャルラトホテプには勝てないがゆえにだ。
「オルガマリーの成長も予定通りではあるけれど、予測値を超える速さだ。実に良いとも。褒美をくれてあげてもいいのだが」
「要らないわよ。そんなことをするために今回の事件を引き起こしたわけ?」
オルガマリーの棘のある言葉にニャルラトホテプはケラケラ微笑んで答える。
「人間というものは実に滑稽でね。痛めつけて肉体と精神に経験を刻み込まねば成長しない。所謂自覚という奴だ。知るが良いこの男がどんな存在なのか、カルデアよ」
『やっと通信繋がったって!? そこは何処だい!?』
「ついでだ。紡いだ物が本物と言うのなら後方の連中にも見て貰いたいな」
通信が繋がり、ニャルラトテップはカルデアの管制室のモニター全てにハッキングし、状況を投影する。
「それとだ。報酬が無いというのも実に寂しい話だ。故に此処についた褒美だ。ロマニ・アーキマン。君が最も再会したいモノを用意したんだ。」
そう言いつつニャルラトホテプは自身の背後の幕に手をかけて。
幕を引っ張り落す。
「驚くとは思うが、気に入ると思うよ」
そこには・・・・
「――――――――」
ロマニは絶句した。
達哉もオルガマリーもマシュも呆然とした。
そこに居たのは十字架に縛り付けられた三人の少女。
一人は近未来的装備に身を固めた。もう一人のマシュ・キリエライト。
一人は少なくとも三人には見覚えのない少女。
一人はダヴィンチをそのまま幼くしたかのような少女。
「ハハハハハハハハハッ!!」
それを見たロマニの表情にニャルラトホテプは大声を上げて嘲笑う。
「ロマニ・アーキマン。こいつらが誰かわかるだろう? 全て思い出させてやったはずなんだから?」
ニャルラトホテプは腹を抱えるように体を丸めて、
貌をロマニに向けて嗤っている。
分かっているはずだ。
思い出しているはずだ。
彼が建前は人間になりたいと願った。
だが建前は建前である。
彼がこの世に再び生れ落ちる前の英霊状態からフィレモンによる試練、ニャルラトホテプによる罠は張り巡らされていた。
彼等の記憶妨害は切っ掛けに目を背けなければ、思い出せるものとしか処置していない。
つまり幾らでも機会はこんな状態になるまでにいくらでもあったはずなのに、
思い出そうとせず言い訳を添えて目を反らし続けた。
故にロマニの精神に事実として振り下ろされる断頭刃。
驚愕と震えにロマニは他の面々に聞こえないようにか細い声で磔にされた三人の名を呼び崩れ落ちる。
ここにきて自分が何をしてしまったのか理解してしまった。
しまったのだ。
「何でもかんでも。アナタの思い通りになると思ってるんじゃないですよぉ!!」
「駄目だ!! マシュ!!」
「ですが!!」
「これじゃ奴には勝てない・・・」
「ッ・・・クッ」
左手でマシュの右肩を掴み達哉が制止する。
ただ怒るだけではニャルラトホテプに勝てぬゆえだ。
「ククク、ようやく学習した様だな、嬉しいよ。私としても手に塩をかけた甲斐があるという物だよ。さて、ロマニ・アーキマン。咽び泣かないのか? 男であっても此処は泣くべき場面だろうに? まぁ哭いたところで感動の再会の涙も悲しみに変わるがな」
「どういうことだ? ニャルラトホテプ・・・」
「そこにいるロマニ・アーキマンも嘗てのお前のように特異点という事だよ周防達哉。ネタ晴らしは奥でしようではないか。最もたどり着けたらの話だがなぁ」
特異点、まさかロマニが嘗ての自分と同じとは思っていなかった為、目を見開いて驚愕する。
無論、カルデアの人々や此処にいるマシュとオルガマリーも唖然とした様子だった。
「貴様。まさか・・・あの時みたいに!!」
「ああそうともゲームの一つ催さなければ詰まらん。貴様らが失敗すれば、一人につき一人、ロマニ・アーキマンに関するすべての記憶を消去する」
「「「「!?」」」」
「今まさに彼らも基準点を作る為の作業中だ。その苦行の心の支えの大きな柱としてロマニ・アーキマンと過ごした記憶が拠り所となっている。それが消えればどうなるか、分かるだろう?」
そう、彼女らもまた人理漂白という大災害に挑んでいる最中だ。
そんな中、心の拠り所となっているのはロマニと過ごした記憶である。
無論他にも柱は在るが、大黒柱と化した思い出や記憶がなくなれば一気に崩れる。
そうなれば向こうのカルデアは崩壊し、人理は崩壊する。
そしてニャルラトホテプが嗤いながら言うゲームとは此処にいる一人一人が自らのシャドウと対峙し正しい答えを出さなければ一人ずつ記憶を消していくという物。
今回の向こう側の人数は三人、故にこのゲームの対象は達哉、マシュ、オルガマリーとなる。
無論、磔にされている人物たち三人とも基準世界の重要人物だ。
一人の記憶が消えたところでという訳にもいかない。
それこそガタつくだろう。無論三人の記憶が消えれば向こうの人理が吹き飛ぶ。
そう言うゲームなのだ。
嘗て達哉がされたゲームとは真反対。
達哉の場合は失敗すれば思い出され、
ロマニの場合は失敗すれば記憶を消去される。
真逆ではあるが失敗を続けた場合の結果は世界が吹き飛ぶという悪質なゲームだ。
「貴様ぁ!!」
もう我慢できないという様子でウリエルを呼び出し殴りかかるマシュ。
だが斬撃はすり抜けてニャルラトホテプが消える。
「ところでお前たちは人生に置ける三毒とやらを知っているか? 曰く「無知」「執着」「怒り」・・・」
そして皆の背後にマシュの姿を象ったニャルラトホテプが現れ嘲笑し消えて、
「他にも色々言い方は在るがな。それらお前たちが当たり前に持っている物が私の力の源だ」
その次にはオルガマリーの姿で右翼に現れてはまた消え、
「わかるか? そのちっぽけな脳味噌でよく考えろ」
次には達哉の姿でまたまた嘲笑い消え、最後に魔術王の姿で現れ、
「つまりタツヤの時と同じように自分自身のシャドウと向き合えってことでしょ」
「ご名答だ。そしてここではそれら全てが己自身に跳ね返る。ルールは既に理解しているようだし、ゲームを始めるとしよう。では最奥で待っているぞ、ハハハハハ!!」
そう言ってニャルラトホテプは領域の奥底で待つと言って消えていった。
「まぁた自分のシャドウの相手をさせられるの・・・」
オルガマリーはゲンナリ気味である。
「何かあったんですか」
「魔改造された監獄に閉じ込められてシャドウ七連戦させられたのよ私」
マシュの問いにオルガマリーはそう答える。
もう疲れたよと言った様子だ。
「それで?タツヤは?」
「ジャンヌ・オルタと一緒に終わった世界の切除をした。ほら東京に出たり消えたりしていた不明特異点あったろ」
「あったわねぇ」
「それだ特異点と違って異聞帯というらしい・・・最後は彼女が犠牲になって終わった」
「・・・そう、それでマシュとロマニは?」
「私達は緊急性の高い特異点が出来たのでその修正とドクターの救出に・・・」
「なんでロマニがレイシフト・・・ああ分かったわ、奴に引きずり込まれたのね?」
「おそらくは・・・」
互いに状況を確認し奥へと向かうことにした。
兎に角、人質救出しないとこっちもどうなるか分かったものではない。
全くいやらしい手段だと奥に進んだ。
ダンジョン自体の道のりは単純であった。
迷路じみてはいるし敵の悪魔も手ごわい。SAN値直送しそうな敵にもあったが、
マシュが悉くを退けた。
シャドウを受け入れ、デミサーヴァントからペルソナ使いになったマシュの力は十全に振るわれる。
抑えられていた物が解放されれば誰だってこうなるというものだ。
其処に達哉、オルガマリーが加われば多少の高位悪魔なんぞ敵ではない。
それに今はカルデアとの通信もニャルラトホテプの嫌がらせ兼粋な計らいという奴で動いておりナビゲーションもしっかりとしている。
物資もポーチに移送され回復手段にも困る事はない。
そして大仰な光の扉の前に皆が立つ。
「さてここからが本番だ」
「此処にいる誰かのシャドウが出て来るってわけね?」
「それで間違うとアウトって訳ですね・・・」
「そうだ・・・」
達哉の言葉に心構えだけはしておくオルガマリーとマシュの二人。
だがロマニだけは狼狽えており、そういう状況じゃない。
しかしこういう状況に限って奴は待ってくれないだろう。
突如時間制限とか言い出しかねない負の信頼がある。
「行くわよ」
オルガマリーの言いように皆が唾を飲み込み扉を開いた。
其処には・・・・
『しっかし所長は何を考えているのだか』
『知るかよ。普通こういうのは長持ちする方が良いんだがな、どうせ兵器運用するんだろ?』
見慣れぬ病室、幼いマシュの姿がベットに存在し虚ろな表情で天井を眺めていた。
『スティーブンさんの言う通りだよ。本当に無駄だ。英霊を生身に降ろして運用するなんてな』
『まだ金や女に観光旅行で懐柔した方がコスト掛からねぇだろ。18歳まで生きられない人間モドキを使う理由がわからん』
その景色の傍観者となっていた達哉とオルガマリーは目を見開いてマシュを見る。
そうこれは達哉もオルガマリーも聞かされていない情報だった。
まさかマシュが18歳までしか生きられない体なんて思っても居ない。
両方がロマニを見る。顔は青ざめていた。
通信を見るダヴィンチも青ざめていた。
職員は信じられないような目でマシュ、ダヴィンチ、ロマニを眺めた。
「ロマニ、アンタまだ隠してたことがあったのね!! あの時言ったわよね!! 全部吐けって!!」
「待ってください!! オルガ!! ドクターは何も悪くはないんです!! 私が言わないでくれと懇願したんです!!」
幻影じみた病室の光景が消え去り、天井から吊り下げられた十字架に縛られた向こう側のマシュのいる場所に戻される。
そして、まだ隠し事してたのかと詰め寄るオルガマリーをマシュが必死で止める。
そう、これこそ彼女が最も黙っていたい秘密であった。
それは秘密という名の影。
それを持ってシャドウは具現化する。
「ホント世の中って理不尽ですよねぇ」
「おいでなすったぞ。所長もマシュもロマニも落ち着け・・・」
「あら先輩は驚かないんですかぁ~」
「・・・覚悟はしていた」
「え?」
マシュシャドウの煽りに達哉は俯きながら覚悟はしていたという。
「マシュの場合、正常な生まれじゃないことが分かった以上、何かしらのリスクは在ると考えていた」
マシュが正常な生まれで無いことは分かっている。
其処から予測を立てるなと言う方が無理だった。
何かしらの異常があるなとは予測できていたから、この光景に驚愕こそすれど驚かなかったのである。
「まさか18歳まで生きられない体とは思っていなかったが・・・だが俺はマシュの選択を尊重したい」
だからこそマシュの意志を尊重したかった。
所謂短くかつ太く生きるという奴である。
やることをやれるだけやって生きていくことを達哉は尊重したかった。
自分にはできないからマシュの生き方が眩しかった。
「それでもやりたいことはいっぱいありますよね、もう一人の私!!」
「・・・」
「先輩とオルガの作った軽食店兼バイク屋に住み込んで本を書いて過ごしたい!! 出来る事なら結婚もしたいですし先輩との間にも子供が欲しい、違いますか!」
「ええそうです」
「ならこの理不尽な状況を生み出した元凶に断罪したいと思わないんですか」
「思います」
「なら!!」
「それでも、生まれは選べないんですよ」
「!?」
「私の人生は短い、改めて自覚しました。やりたいことも自覚できています。だからせめて悔いが残らぬように走り抜けたい、この思いは嘘ではないんです。アナタの言う事もまた嘘ではない!! それにドクターは私の事に一切かかわっていないじゃないですか!! 関わったのは前所長とその取り巻き達です!! 恨むならそっちが筋ってものでしょうに!!」
改めてやりたいことも自覚した。人生が短いことも覚悟とした。
それでも呪われた生だとしても祝福してくれる人たちがいて、
自分の呪われた体も受け入れてくれる人が、周防達哉と言う人がいた。
というか寿命問題に関しては前所長のマリスビリーとその取り巻き共に原因がある。
ロマニは一切関係ない。むしろ後から聞かされ寝耳に水な上にマシュの延命に奔走した恩人だ。
故にロマニを恨むのは筋違いという奴だ。
マシュがシャドウにそう啖呵を切って殴り飛ばす。
「私の想いに口を出さないでください短くとも私は足掻きます」
「そうですか残念です」
マシュのシャドウが消えうせる。
それと同時に向こう側のマシュの拘束がほどけ落下。
皆で慌ててキャッチして寝かせる。
「ごめんよ・・・二人とも僕は・・・「帰ったら一発ね。あと給料天引きね」ええ!?「あら?私物のPC取り上げもしてほしいの?」本当にすいません・・・」
「後ダヴィンチ、アンタも一発よ。後しばらくはトンチキな発明禁止ね」
『殺生な!?「あら?洗脳マシーン使って孔明みたくなりたかったのかしら?」ほんとうにごめん』
ロマニがマシュの事を黙っていた事を謝る。
オルガマリーはロマニに一発殴ると宣言しついでに給料天引き、ダヴィンチにも一発と私的な開発をしばらく禁止にしてそれでチャラという事になった。
「先輩、あのぅ」
マシュはおずおずと達哉に声を掛ける。
ある意味、先のシャドウよりエグイ、なぜなら心の奥底にまで秘めていた願望まで穿り返され、
好意を達哉の前で暴露されたのだから。
恥かしくもなり返答が怖くもある。
そこで助け舟という名の爆弾を投下したのがオルガマリーだった。
「マシュ~二人でタツヤ囲っちゃいましょう」
「「オルガ!?」」
「いいじゃない、シャドウに突かれる前にこの際だから言っておくわ。私もタツヤのこと好きよ。マシュのことも同じくらい好き。だから人理焼却が終わったら三人で仲良くしましょ♪、あっ私は愛人枠でいいから正室枠はマシュで」
オルガマリーは既に監獄塔で経験済みだ。
監獄塔の色欲の間で達哉とマシュを愛している事を自覚したのだ。
「そこは自分が正室枠になるじゃないんですか!? オルガ!!」
「マシュも馬鹿ねー、愛人枠だったら好き放題やれるじゃない♪」
「それはずるいですよ!! ここは私が愛人枠で」
シャドウに突かれる前にオルガマリー大胆な告白をするの巻。
愛人枠巡ってキャットファイトがおっぱじめかねなかった。
「「それでタツヤ/先輩はどうですか/なのよ!?」」
「ちょ、ちょっと考えさせてくれ・・・と言うかいきなり二人を娶るには覚悟が・・・」
「それで」
「私達の」
「「こと好きなの/ですか!?」」
「好きだ愛してる、でも収入とかほら色々!! あるだろ!!」
達哉も二人を愛しているし好意を持っている。
だが今は色々あるし、まだ覚悟完了も出来ていない上に人理焼却終わったら無職だ。
女の紐という事態だけは避けたい。言い寄られて此処まで来てしまったのならバイク屋が軌道に乗ったら改めて二人を娶る覚悟だった。
この状況に三人以外の皆が苦笑しつつ微笑ましい目線で見ていた。魔術師に正室と愛人は標準装備だから二股とか普通である。
なおこの場にクー・フーリンが居たなら「ぜってぇ人理焼却終わったら達哉は二人に捕食(意味深)されるよ」と評し、
エミヤは血涙を流していただろう。
閑話休題。
皆で向こう側のマシュをどうしようと考える。
当たり前だこのまま放置なんてできはしない。
かと言ってこのままニャルラトホテプの決戦にも連れて行くことはできない。
その時である金色の蝶が出現し寝かせて居た向こう側のマシュの上に降り立つ。
すると向こう側のマシュが粒子状になって消えていき、消えきった所で蝶が飛び立った。
「フィレモンも観測済みか」
「掌の上で踊らされているようでいい気分がしません」
「というかぶん殴りたいわね」
フィレモンもこの状況に一枚噛んでいる事を知ってゲンナリする三人だった。
という訳で次の間へと向かい到着する。
扉を開けた先には、また幻影だった。
今度はオルガマリーの話である。
『父様が自殺した?』
『はい、拳銃で頭部を破壊して幸いにも魔術刻印は無事だったようなので後日移植し、お嬢様にはカルデアの所長兼アニムスフィア家の当主になってもらいます』
『・・・わかったわ下がって頂戴、ちょっと考えたいことがあるから』
そう言って従者を下がらせる。
ガシャンと激しい音を立てて机の上の物を薙ぎ払った。
『だれも見向きもしなかったくせに今更なに!! 当主!? 魔術刻印!? ふざけるなぁ!!』
そう、彼女は幼少期から孤独だった。
父には物としか見て貰えず、周囲は出来損ないを見るような目で見ていたから。
場面は移り変わりカルデアに就任にしたときに移る。
『なによ!! なんでよ!! デミサーヴァント計画にカルデアス計画なんてもん残して勝手に死んでいるのよ!!』
カルデアの所長として就任したときには責任問題が山積みであった。
それでも生来生真面目な彼女は必死に仕事を捌いていった。
だがしかし、
『なんであんな小娘が所長なんだろうな?』
『跡取りだけってことで座れただけだろ。魔術家ってのは血筋も大事みたいだし』
『けどよぉ、キリシュタリアの方が魔術でも有能だぜ?』
いくら頑張っても認めてもらえなかった。
『なんでよぉ・・・どうしてよぉ・・・』
そうやって夜な夜な枕を濡らす日々。
人間不信にもなりかけ食堂にも行けず、自分で手料理を作って食っては吐くという毎日。
まるで監獄のような日々だった。
そこで幻影が止まり、今度は幼女になったダヴィンチのような存在が居るエリアへと戻ってくる。
「本当に周りの連中は気楽でいいわよね、責任おっかぶせて。挙句の果てに期待外れなんてほざけば楽なんですもの」
同時にシャドウが出現する。
「自称大人たちは見ているだけ。誰も本当の私なんて見てくれない。故に便利な責任清算装置扱い」
「それは・・・」
「だってそうでしょ? 私が失敗すれば世界が吹っ飛ぶ。今この状況だって失敗すれば向こう側が吹っ飛ぶ状況だもの失敗すれば今管制室で見ているだけの連中はアンタを責めるでしょうね」
「・・・」
「それに本当に達哉とかマシュも本当の私を見てくれているのかしら。上っ面だけ見て利用しようとしているんじゃないかしら。愛とか恋とかのラベルを張って寄りかかってくるだけじゃない?」
愛とか恋とかは確かに見方を変えれば都合の良いラベルだ。
自分に対する言い訳にもなる。
「・・・はぁ~」
「どうしたのよ私?」
「責任を片づけるのは確かに嫌よ・・・でもねアンタは一つだけ言いようを間違えた」
「なにを」
「私の方がタツヤやマシュにべったりなのよ! だから今度こそ自分の責任は自分で片づける!!」
そう、何度も泣いているところを抱きしめてくれた。
本当の自分を見てくれていた。
寧ろ自分の方が彼らに負担をかけていたのだと自覚した。
「責任は片づける、自立もする、それが所長の辛い所ね!!」
「・・・本当にいつまで痩せ我慢しているんだか」
「痩せ我慢なんかじゃないわよ。こうやるって目標が出来ているし、生きている以上責任は発生する。それはしょうがないことなのよ。だから今度は逃げないわ責任から、そして困ったら休むし、時には他人の手を借りるし、他人が困っていら手を貸すって決めたの。だから一人の痩せ我慢なんて終わりよ」
そう、世の中生きていれば責任と言う類は大なり小なり発生する。
誰もそれからは逃げられない。それにあの監獄塔でフローレンスから習った。
その責任を背負い走り続けるほど人間は強くはない。だから休んで良いし、他人の手を借りてもいいし、誰かが困っていたら手を貸すのも良いのだ。
だから一人で痩せ我慢することはお終い。他人を信じるという事は傷ついても信じる覚悟が必要だと分かったから。
「なーんかしらけちゃった」
そう言ってシャドウが姿を消す。
先ほどと同じように幼女になったダヴィンチのような存在の拘束が解け、
皆でキャッチ。フィレモンに彼女を任せ次の場へと移動する。
「この調子で行くと」
「次はタツヤね」
「あの時も俺のシャドウは出てこなかったからな・・・まさか向こう側での焼き増しはしないだろう」
達哉は向こう側が残っていた時に一度自分のシャドウと対峙している。
逆に罰の事件の時は対峙していない。
向こう側の時の様な焼き増しはしないだろうと達哉は思う。
そして覚悟を決め皆で次の間へと入って行った。
其処に広がるのは唖然とする光景だった。
アポロが舞耶の首を絞めつけ壁に叩きつけている。
「達哉クン」
「舞耶姉ぇ!!」
苦しそうに舞耶が達哉へと顔を向ける。
偽物だと分かっていても怒りが込み上げて来る。
達哉が兼定を構える。
「周防達哉、オレハオマエダ。オマエノモノハ、オレノモノダ」
「うぐ」
リバース・アポロはそう言ってさらに舞耶を壁に叩き付ける。
パオフゥと同じケースだ。
未だに自分自身の中に燻る後悔と憤怒。それが顕現しているのである。
「オマエノ中ニ燻ル、怒リ、誰ニ向ケタ物カ言ッテ見ロ。コノ女ガ壊レルゾ」
「貴様・・・」
それでも達哉は寸前の所で我慢していた。
だがリバース・アポロは叩きつけるのをやめない。
其処でついに舞耶が・・・
「・・・」
「貴様ァァァアアアアア!!」
事切れてしまい、耐えられず踏み込み兼定を振り下ろすのを止めたのは。
「先輩!!」
「ダメよ!!」
止めたのは二人だった。
寸前の所で二人のお陰で何とか踏みとどまる。
兼定を持った右手をぶらりと下げて、
「怒りか・・・それは俺だ。ニャルラトホテプでもフィレモンでもない。俺自身があの時、忘れ去るってことが出来なかった己の弱さに絶望して怒ったんだ。だから許せないのは俺自身なんだ!!」
そうあの時、気づければ忘れさえしていればと。
そう言った己の心の甘えに絶望し怒り嘆いたのだと血反吐を吐き出すように告白する。
そうだともノヴァサイザーを咄嗟に使えていれば舞耶は助かった。
忘れてさえいればあの事件は起きなかったからだ。
そして舞耶の亡霊が出てくる。
「すまない舞耶姉ぇ、あの時の俺はただただペルソナや噂の力に舞い上がって全能感に支配された俺だった・・・少しでも忘れなくてもこの力さえあれば何とか出来ると思っていた。結果自分だけのうのうと記憶を保持してしまってあの世界を危機に晒した。ニャルラトホテプやフィレモンのせいじゃない。俺が無力だったんだ・・・」
「そんなに自分を責めないで・・・私皆と再会できて楽しかったわ。それに傷だらけになっても立ち上がって私を助けてくれたアナタが・・・」
そこで舞耶の幻影は消える。
そして橙色の髪の毛の少女が拘束されている部屋に戻ってきた。
「・・・」
「「「・・・」」」
「まだ振り切れていないか。情けないよなさっき二人を娶るとか言って舞耶姉ぇの影を振り切れていない」
「しょうがないわよ、大事な人だったんでしょ」
「そうですスパっと割り切れるほうが異常です」
「オルガ・・・マシュ・・・」
しょうがない。大事な人死を直ぐに割り切れるほうがおかしいのだ。
もしいるとすればそいつはロクデナシかサイコパスであろう。
こればっかりはどうしようもないのだ。
「その代わり人理焼却とかいう糞案件終わったらマシュと二人で沢山幸せにするから、覚悟しておいてね!」
「オルガは気が早いですが、その通りです軽食屋兼バイク屋の起業目指して頑張りましょう!! まずは其処からです!!」
「そうか・・・ありがとう二人とも・・・」
達哉は二人に愛されていることに感謝する。
そして橙色の髪の毛の少女の拘束も解除されフィレモンに送還されるのを見届けて、
奴こと、ニャルラトホテプが待つ間へと向かった。
最奥に到着する。そこで奴は相変わらずニタニタと魔術王の姿で嗤いながら待っていた。
「よくぞ試練を乗り越えた。これでとりあえず向こう側の破滅は回避された」
「覚悟は良いか? ニャルラトホテプ」
「もう逃げ場はないですよ!!」
「マシュの言う通りよ、決着つけましょうか・・・」
三人がニャルラトホテプを取り囲むように陣を組み、獲物とペルソナを向ける。
だがニャルラトホテプは手を叩き拍手を送りつつ嘲笑いながら、
「そうだとも君たちはよく頑張ったとも。互いの心を受け止めて良く歩いてきた。だからこそ”お前だけ何もない”というのは実に不誠実な話だ。願いは叶えてやったのだ。対価を支払え。罪を自覚し罰を受けろロマニ・アーキマン」
そうしてニャルラトホテプがロマニに手を翳す。
「まだ私の前で騙しとおせると思ったか? その皮を剝いでやる。なに絆が存在し得るのなら、誰もが許してくれるだろう?」
「え?」
呆然とするロマニの姿は次の瞬間、魔術王と同じものになっていた。
「え?どうして? 僕は人間になった筈なのに!?」
「人間になっただ? 笑わせる。第一宝具を手放していない時点で条件さえ整えばいつでも戻れるくせになぁ」
「どういうことだ?!」
「どうもこうも、こいつが真の魔術王、即ちソロモン王なんだよカルデアの諸君。お前らが対峙したものは此奴の遺体を乗っ取った使い魔の集合体に他ならない」
「なんですって・・・」
「ククク、ではさらなる真実を話そうではないか」
『やめろ!!』
「いやだよ、ダヴィンチ!!」
ダヴィンチの制止の声と同時に全員が脚に力を込めて躍りかからんとするが、
ダヴィンチの言葉を拒絶しながら笑って、
ロマニ・アーキマンの記憶がその場にいる全員に投影された。
そこは現代ではなかった。
荘厳な神殿の中、ソロモンがまるで飽きた映画でもリピートしているかのような顔で頬杖を付きながら、
虚空へと向かって喋っている。
そしてソロモンが見ていたのは世界の未来と過去そのものだった。
其処にはあらゆる悪性情報、最悪の未来、断絶が描かれている。
それに対しある存在が問うた。
―それを知ってなにも感じないのか!この悲劇を正そうとは思わないのか!―
何も感じてなさそうに無表情にソロモンが返す。
―いやぁ、まあ。別に何も?―
そのソロモンと話す存在はその言葉に唖然としながらさらに陳情する。
―貴方は何も感じないのですか。この悲劇を正そうとは思わないのですか―
―特に何も。神は人を戒めるためのもので、王は人を整理するだけのものだからね。他人が悲しもうが己に実害はない。人間とは皆、そのように判断する生き物だ―
そんな諸行無常染みた。まるで己には関係ないと言うかでもないソロモンの言いようにその存在は激怒した。
―そんな道理があってたまるものか。そんな条理が許されてたまるものか。 私たちは協議した。俺たちは決意した。 ──あらゆるものに訣別を。この知性体は、神の定義すら間違えた―
全ての始まりはこれだ。
己の白痴っぷりから選ぶ言葉を間違え術式の暴走の引き金を引いたのである。
「その存在の名は人理補佐式ゲーティア、こいつの持つ一種の術式だよ。私が選別していると知らずこいつは傍観と言う無知蒙昧な言葉で連中を怒らせた」
そうソロモンの言いようは傲慢極まる。まだ言いようというものが在っただろうに。
足掻きもせずにかと言って悟りモドキの傍観の観念が入り混じった答えをゲーティアに言ってしまった。
「違う僕はそういう意味で言ったんじゃなくて・・・」
「言葉の齟齬という奴だなバベルが崩壊して以降言葉の解釈は各々にゆだねられ判断される。過去を知る貴様が知っていない筈があるまいに」
「それは・・・」
言葉の解釈、例えば映画の翻訳でも生じるものだ。
人類が統一言語を失ってから、言葉の発音、ニュアンス、意味、文化は分裂し各々の解釈を持つようになってしまった。
だから人と言うものは言葉や態度のニュアンスでどういう意味かを判断する。
ソロモンにとっては達観した悟りを吐きつける言葉であっても、
ゲーティア達にはソロモンの態度からしてそうは受け取られなかったのだ。
誰だって飽きた映画リピートしている奴が退屈そうに言えば説得力は別方面に転換すると同じ原理だ。
「さらにこれの他にもやらかしはこれだけではないぞ?誰しも一度は間違えるものだ。なぁ周防達哉?」
「何が言いたい?」
「本題は此処からだよ。さぁ次に行こうじゃないか」
映像が変わる。
冬木の聖杯戦争だった。
無論、冠位持ちのソロモンに勝てる存在などいない。
そして順当に優勝し、彼は人間になりたいと望み第一宝具の指輪以外すべてを手放し人間となった。
結果、人理補佐式は持ち主の手から離れてしまうという最悪の状況を引き起こしてしまう。
ゲーティアの手によって人理が焼却されるという最悪の未来を人間になる刹那に見てしまった。
「だが人理焼却による光帯収集からの逆行運河/創世光年は防がれた。お前たちが出会ったあの少女とそこの男の手によって」
映像が変わる。
ゲーティアとソロモンが対峙している。
そして第一宝具によって人理補佐式を無力化。
その”人理”から姿を消すという条件でゲーティアが弱体化し最終決戦となり、
少女は勝利した。
だが・・・
悪魔でその人理からの消滅であって完全なる座からの退去ではない。
そこでソロモンは望んでしまったのである。
―あの時をもう一度―
―みんなに会いたい―
それは些細な願いだった。だが達哉と同じく叶えてはならない夢。
「ハハハハッ!!おいおいどの口がほざく、あの夢魔風情の千里眼を役立たずと言ったくせに貴様の目はそれ以上に節穴ではないか!! 英雄王を見習えよ。まだアイツは現実に抗っていた!!」
主要時間軸でのやらかし、その一つ、マーリンの千里眼を馬鹿にしたことを引き合いに出し、ロマニを嘲笑する。
過去と未来を見るという性能の時点でギルガメッシュに勝っているはずなのに、
答えはギルガメッシュの方が勝っていた。
ギルガメッシュも散々未来という名の聖杯戦争でやらかしたがそれでも後につなぐという事だけは全うしようとしていたのだから。
「止めろ、止めてくれ・・・僕は僕は・・・」
頭を両手で抱えながらソロモンことロマニが蹲る。
それでもニャルラトホテプの断罪は終わらない。
「良くわかっただろう? そも今回の騒動はこいつが原因だ。それ以前、つまりこの世界に呼び出される前に一度のミスでは飽き足らず、自分自身が特異点である事からも目を背け。こいつは彼等との再会を願い、数多くの平行世界を磨り潰し、それでも干渉できなくなった主要時間軸との彼らの再開を願った。だから類似した世界に私はお前を呼び出してやった。思い出す機会に後ろを見て振り返る機会はいくらでもくれてやったのに、こいつはそれらを振り切って同じ願いと所業を敢行したのだ。結果人理は焼却され舞台は再演されたというわけだ。」
ロマニ、いやソロモンは確かに座から降りた。
だがそれは主要時間軸だけの話。並行世界となれば別だ。
この世界は多次元宇宙なのだ。
たかが一個の世界で座から降りた程度では座から下ろしてはもらえない。
現に主要時間軸から派生した平行世界には呼び出されている。
出なければ月姫の方や人理焼却が発生しなかった世界にも影響は出る。
だが現実に問題は出ていないのだから、この程度で座から降りるのは不可能だ。
ならば如何する? 答えは至極単純、そも呼び出しに応じないか、ジャンヌ・オルタのようにそもそも座を壊してデコイ置いて死ぬかという手段を取るほかない。
だがソロモンは呼び出しに応じた。
どうなるのか。座に記録はあるのだ。その上でそうやったという事はそういう事である
その上で召喚可能な平行人理世界のマリスビリーの呼びかけに応じ、
状況を再演し続けた。
無論サーヴァントとなれば記憶が自動リセットされると分かったうえで繰り返した。
「さらにこれだけじゃないだろ? お前は多くの情報をカルデアに翳したが、都合の悪い情報は全て隠していたな。修正力の及ぶ範疇もそうだ。連中も万能ではない。特異点を修復したと言ったところで、死んだ人間は戻ってこないという事実までを隠していたな」
「・・・」
「奴の裏切りに愕然とでもしたか?マシュ・キリエライト。この世にそんな都合の良い話なんぞあるわけないだろう? 特異点化で死んだ人間は修復後、死をなかった事にされるのではなく、類似した人材を外部から補給し辻妻が合わされるのだ。誰だって周防達哉たちが起こした奇跡を何度も起こせるはずがないだろう? それを知っていて黙っていたのがこの男だ。周りが信頼できないから? 信用できないから? 違うよなぁ? 何度目だ? 心の奥底ではカルデアの信頼できる人材を理解していたよな?」
なんせ冠位であり魔術師最高の英霊であり、カルデアサーヴァント一号として多くの知恵と知識をもたらしたのがこの男なのだから。
世界の仕組みを知った上でこの男は達哉たちを欺いていたのだ。
「やめろ・・・やめてくれ・・・僕はそんなつもりは・・・」
「いいや、やめないな。真実を言ってやる。始まりは痛みを知らずに無知蒙昧を貫き続け、向こう側では真実を隠すために藤丸たちを嗾け両手を血で濡らさせ心に傷を負わせた。挙句、こちら側では貴様は再会したいからと世界を焼き!! 自分が傷つきたくないからとすべてを黙殺していたにすぎん!」
クスクスとニャルラトホテプは嘲笑いながら弾劾を続ける。
「お前はお前のために王としての責務を放棄し、願ってはならぬ願いを抱き叶え、そして終末が起こったのにもかかわらず周囲を欺き続けた。これは許しがたい大罪だ。罪には罰を与えなければならん。だからこそ自覚する機会をくれてやった。仲間との絆という依存先を用意し、類似する罪を背負うそこの男と出会う運命を紡いでやったのだ」
幾多の世界を潰し、それでもわからぬというからわからせるための舞台にして処刑場なのだとニャルラトホテプは宣言する。
ここにきてロマニは膝を付き頭を抱えて呻いた。
全てを思い出した以上、自分がなにをしてきて行ったのかを理解したからだ。
元凶はゲーティアだけではない、このロマニもまた元凶の一つだ。
召喚に応じてしまったがゆえに、思い出さなかったばかりに、
この世界を主要時間軸と同じ世界にしてしまったのだ。
達哉が特異点だったようにロマニ、いやソロモンも特異点存在なのである。
「お前が人間になりたいという建前を盾に再会を願った瞬間に見た表情と周防達哉の罪の告白の時の表情は見物だったぞ」
故に願ってはいけない、故に召喚に応じてはいけない、故に思い出さなければならなかった。
結果としてソロモンがその三つのどれにも応じず目を背けた結果、
この世界は主要時間軸とほぼ同じ軌跡を歩むこととなり、
藤丸立香が居ない、この世界はニャルラトホテプの介入がなければ剪定されかけた。
だが達哉が来たことで、剪定は保留。だがしかしより良き人理のための実験場として選ばれてしまい、
ニャルラトホテプやフィレモン、アマラの魔王たちが好き勝手介入できる世界となってしまった。
そう全てはソロモンの選択のせいでという奴である。
記憶をまっさらにして藤丸達と出会いたいという傲慢極まる願いを叶えたがゆえに。
ニャルラトホテプは彼に罰を下すべく、とある計画ついでにこのシナリオを描き上げたのである。
達哉がやらかした行いとは過程は正反対ではあるが結果は同じ事をしていると突き付けたのだ。
一つ世界をふっ飛ばした達哉より、複数回世界をふっ飛ばしているソロモンの方が質が悪いとしてだ。
だからこそ滑稽で仕方がないとニャルラトホテプは嘲笑う。だが事実だ。伝えるべき真実を隠し、
都合のいい事ばかりを吹き込み、達哉たちの両手を真っ赤に染め上げさせ、
自分は安全な後方で思い出に浸る。これが大罪と言わずとしてなんだろうかと。
挙句、主要時間軸や呼び出し可能な平行世界も危機にさらしたのはひとえにお前のせいだとニャルラトホテプは嘲笑う。
もしも三人のうち誰かが間違えば人理漂白に挑むカルデアは詰む。
ロマニとの絆で成り立っている部分もあるのだ。
こうしてロマニ、いやソロモンの罪が全て暴露され、
ニャルラトホテプの嘲笑が響き渡り・・・
三人の憎悪がロマニに集中、
「そうか」
「そうだったのね」
「そうだったんですね」
しなかった。
これにはダヴィンチもカルデア職員もロマニもびっくりする。
まさか知っていた。と三人に言われるとはニャルラトホテプ以外誰も思っていなかったからだ。
それなら今までのロマニの怪しい行動は道理が通るし、
ダヴィンチのはぐらかしにも納得がいく。
そして、先ほどマシュが真実を知らされ無言を貫いていたのもそう知っていたからではなく、
心のどこかでそんな都合のいい事があるわけないと思っていたから。
だがしかし、ロマニが自分たちに黙っていた事実を真実と認めたくなかったからである。
無論、騙したなという負の側面が無いわけではなく、なぜ自分たちに話してくれなかったのかという悔しさとそこまで自分たちは情けないのかと思い沈黙しただけに過ぎない。
そしてそんな都合のいい物がないのも知っている。散々味わってきた。
だから覚悟はできていたのだ。
「去ってしまった者達や失ってしまった者達、自らが手に掛けた存在が帰ってくるわけないだろう。教えてくれたのは貴様自身だ」
「もう散々にね。アンタに教え込まれた」
「都合の良い事なんてほとんどいないと教えられましたからね。それに過ぎたことはしょうがないです」
「ほう、貴様らはこの男を許すというのか?」
「許す許さない以前の問題でしょ。やらかしたら責任を取る。一度は出来たんだからもう一度くらいできるでしょ。そこから学んでいけばいいのよ」
オルガマリーの言う通りである。やらかした以上責任は取らねばいけない。
問題は其処からどう学ぶかだ。
「所長・・・」
「立ちなさいロマニ、これはアンタの試練でもあるから」
「はい・・・」
そう言ってオルガマリーはロマニをまっすぐ見ながら立ち上がらせる。
「どうした? そうやってまた答えを誰かに縋るのか? ソロモン?」
ニャルラトホテプは誰かに頼らないと立ち上がれないかと嘲笑う。
「うっさいわねぇ。運命だの宿命だの、誘導している時点で詐欺じゃない」
オルガマリーがうっとうしそうに言う。
「第一そう言うのは後出しの予言だ」
達哉も刀を構えながら言う。
「ですから何かが起こった後でこう言えばいいんです」
マシュもウリエルを召喚しバトルドレスを展開する。
「「「全て
「クククッ、クッハハハーハッ!! また同じことを私の前でほざくか!! であるなら、すでに結果は出ているのだと思い知らせてやろうではないか!!」
『美しい物なのど無いと知るがいい!! 美しい結末など、どこにも無いと哭くがいい!! 故に影があり闇がある。私はお前たち人間そのものだ!!』
「僕はもう二度と目を背けない!! 行った愚行と・・・そんな愚かな自分自身からもだ!!」
ここに来てロマニことソロモンも覚悟を決めた。
達哉と同じように罪を背負う。もう逃げはしないと。
マシュは己の宿命を受け入れた。オルガマリーは己の責任から逃げないと誓った。達哉は己の怒りに折り合いをつけた。
故にソロモンは思う。彼らのようになりたいのだと。その為、まずは逃げず己が宿業を真っ先に今度こそ見つめるのだと。
そしてニャルラトホテプの姿が変わる。
自身の顔の代わりに仮面めいた無機質な人面が全身に無数に浮かび、下半身から蛸のように無数の触手を生やした異形の人型の黒い影へと変貌する。
以上を持って彼の者のクラスは決定した。
人類の進化の試練と言うものなど建前。
其は善も悪も嘲笑い破滅へと誘う普遍的に纏わり憑く知生体の影。
そして全ての人類悪の源という大災害
その名をビーストNo.0/R ニャルラトホテプ
人類が拭い切れぬあらゆる概念の負の側面であり影である。
カルデアの四人とニャルラトホテプの咆哮が交差し、
人理を賭けた血戦が開始されるのだった。
社長構文で手早くわかる今回の話。
私の試練を乗り越えられなかった罰だァ・・・
仲間の絆とかいうまがい物の光に縋って立ち位置を維持するというのなら。対価としてその絆を断ァつゥ・・・
Drロマニィ!!
何故。カルデア運営には魔術師であっても用意できない金が必要なのに用意できたのか?。
何故。世界のルールという普通なら分からない、そして魔術師であっても手に入らない詳細資料がカルデアにあったのか?!。
何故。君みたいな魔術師でもないチンケな外科医が医療主任という重要な地位に納まることが出来たのクァ!! (ダヴィンチちゃん「それ以上言うな!!」)
その答えはたった一つ・・・ (ダヴィンチちゃん「やめろーぉッ!!」)
アハァー♡
Drロマニィ!! お前がマリスビリーが聖杯戦争で呼び出した英霊、即ちカルデア英霊一号こと魔術王ソロモンであり既に原作という平行人理焼却を起こした張本人が人間と化した存在だからだぁ!!
アーハハハハハハハハハ!! ヴァーハハハハ!!ハハハハハ!!
という感じ。
確かに原作時空には呼び出されなくなったけれど。我々やプレイヤーに二次創作者がいる限り。その数分だけソロモンはやらかしているので並行世界に座が跨っている以上。降りることは本作ジャンヌ・オルタレベルで座をぶっ壊すこと倉しか手段がないわけで。
故に達哉とは逆に忘れたらアウトという判定ですね。
カルデアで既知感に悩まされていますがそれが思い出すきっかけです。
フィレモンも意図的に記憶の検印を緩めていました。
ソロモンとして呼び出された時から既知感はあったので。
それらを千里眼の故障と思って思い出さなかったロマニが悪いというニャルニャル理論。
一応原作勢は第三異聞帯を突破した頃を想定しています。
そんな状況下でロマニに関する記憶が消去されたらどうなるか・・・皆さん分かってますよね?(失意の庭とか見ながら)
もっともたっちゃんたちがミスらなかったお陰で誰も記憶は消去させられていませんけれどね。
という訳で次回ニャルとの決戦です。
あとぐだ子達とはぐだ子が修復したルルハワという歴史がどこぞの邪神がハッスルしたせいで、どえらいことになってしまった為。
向うのルルハワイベントに介入するという形で本格顔合わせします。
と言うか作者の精神力が持たないためそこまで行けるかはあまり期待しないでください。
やるとなればキタロー、アイギス、エリザ、えっちゃん、黒髭過労死回になるかと。
さらにこちら側の邪ンヌが大暴走しますかね。
あと生きている所長と出会ってぐだ子は曇る。
ニャル「オラ。たっちゃん。コインの裏表とよべるがゆえに最高の理解者を作ってやったぞ!! 喜べよ?」
たっちゃん 血涙
ロマニ 血涙
ちなみに具象なのは化身の一つでしかないからですね。
影が顕現するのは全部終わった後です。
ちなみに獣としてのナンバーリングはNo.0
始まりであるがゆえに0で源流であるがゆえにオリジナルのOを掛けて両方の意味でNo0です。
最もニャルフィレ揃って真のNo.0になるので。
ニャルはビースト0/R的な感じ
フィレはビースト0/L
つまりこの二神が揃ったときに、原罪の0が具象化する
あらゆる獣の源流でもあるのでそう定義しています。
獣でありながら。他のビーストを一方的に支配しつつ人類に普遍的に纏わりつく現象なので。
具象しても他のビーストは発生しません。
つまりニャルが出てきても他のビーストは起動しないのです。
最も試練の一環でニャルの手に掛れば起動することは可能というインチキっぷりですけどね
ちなみに心の勝負となります。ゲーム的にはニャルは無限残機&無限HP 通常攻撃は全体で宝具は全体先行強化無効でガッツだけ通用する感じのイベント戦
ORTとは別方向の理不尽っぷりを想定してます。
あと次回は遅れます。マジで遅れますからね!!