Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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すべてを運命のせいだと諦めてはいけない。
これまでの努力を無駄にしないためにも。

マハトマ・ガンジー


「抗う者達」

第七特異点バビロニアでは皆が日々忙しなく仕事やら戦いをしていた。

そんな日に纏い羊のような角を持つアルビノの美少女こと「ラハム」が神殿の縁に腰かけ夜空を見上げていた。

ギルガメッシュと信長の情緒教育及び授業はキツイいけど真理を味あわされていた。

人類史とは決して断絶と死の物語ではないと。

美しいとは死んでも言えない。だが極寒の大地に強く芽吹く新芽の如き強さを見た。

死と生は円環だ。そうやって強く強く強く生物は目の前に進むのだと理解させられ学習した。

同時に自分の役割も人間的に理解したのだ。

 

「ふぅ、疲れた・・・」

「珍しいねギルセンセイ、こんなところに来るなんて」

「使っても居ないのに千里眼から余計な情報が入ってくるわ日夜の粘土板仕事に指示で忙しすぎるんだたわけめ。少しは貴様も遊び歩いていないで働け」

「えーでもボクの出来ることは戦闘くらいだよ~」

「やれるように頑張れと言っておるのだ!!」

「うーんでもねぇシドゥリ姉さんの手伝いしてたら部屋から追い出されたし・・・」

「なにをやっているのだ・・・シドゥリ、というか奴を怒らせるというレベルで部屋仕事もできんとはどういう了見だ!! このたわけ!!」

「ギルセンセイ、そうボクをたわけたわけ言っていると、今すぐににでもシドゥリ姉の所に向かって仕事サボって酒飲もうとしていますってチクるよ」

「やめんか!!」

 

そんな親子の様なやり取りをラハムとギルガメッシュはしていた。

確かにラハムは不器用だ。自滅因子であるがゆえに才能が戦闘に全振りされているせいで部屋掃除もろくにできない。

こればっかはギルガメッシュも信長も頭を抱えたが生物生まれは選べないからと諦めた。

その代わり上記にも述べた通り情操教育とかなどはしっかりやったお陰ですっかりいい子である。

そんなこんなで二人でワイワイやっていると。

 

「むっ」

「どうしたの? ギルセンセイ?」

「カルデアが奴との交戦状況に入ったらしい、千里眼に戦場が映っているわ」

「・・・ギルセンセイ」

「なんだ?」

「ボクとも精神接続して、みんなを見てみたい」

「いいだろう、だが」

「わかっているよ」

 

そういってラハムはギルガメッシュと精神同調をさせギルガメッシュの膝の上に寝込んだ。

 

「無理しすぎだたわけめ」

 

そして彼は小ぶりの瓶ごと酒を煽りつつギルガメッシュは愚痴りながらも、

内心はカルデアを応援し労わったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

まず大前提を話そう。

人間である限り、人間との交流をえてしまった知生体はもれなくニャルラトホテプと言う影に感染する。

人間と接触した知生体は例外なく感染し逃げることはできない。

故に誰もニャルラトホテプに勝つのは不可能だ。

那由多以上の世界に版図を広げる無限の闇そのもの。

対界宝具とか対テクスチャ宝具とか意味をなさない。

故にジャンヌ・オルタは皆殺しの丘に一人立ち自分という最後に残った汚濁を消し去ることで世界自体をリセットし次の生命に託そうとしたのだ。

それまでしてやっと奴の干渉をなくせる。

逆に一人でも存在していれば再干渉を始める。

まさに無限と言うそのもの。

勝つという発想自体が間違っている。

蟻が大海を相手にするという発想と変わらない。

そう、どうやっても勝てない。

達哉の場合とて勝利と言って良いかは疑問符が付く。

人の心を動かし一時的に機能不全に陥らせただけにすぎぬのだから。

再起動すればニャルラトホテプは再び湧いてくるのだから。

 

「フハハハハハハハ!!」

「チィ!?」

「クゥ!?」

「ッッ!?」

「ズァ!?」

 

一本一本伸びる触手はヒットするだけで上位サーヴァントさえ殺傷する。

これは一重にビーストというクラスでさえ支配下に置きパワーアップしているからだろう。

理不尽さが達哉達が交戦した時より増している。

それでもニャルラトホテプにとっては児戯に等しい。

この空間では根源接続者ですら嬲り殺せる。

根源接続者とは根源接続と同時に空虚な物であるが、

色を知ってしまえば当然の如くに影が発生しニャルラトホテプには勝てない。

それを悟り諦めてしまう。あるいは違う違うと拒絶し影を膨らませニャルラトホテプをより強大な物に育て上げるのだ。

前者が「式」後者が「愛歌」であるが。

今はそんなことはどうでもいい。

やることは一つ、只、人の心を動かすこと。

それしかない。

だというのに、

全員が血塗れだった。

先も言ったが、これは心の勝負である。

ペルソナ使いだとか魔術師だとか魔法使いだとかサーヴァントだとか星の頭脳体だとか神霊だとか根源接続者だとか総じて無意味。

あるのは全てを受け入れ尚も足掻くというどこぞの哲学者が説いた超人染みた精神力のみが物を言う世界だ。

ニャルラトホテプは型月という理を持って膨れ上がり、

だがらこそ達哉が戦った時より遥かに増幅する。

故に達哉たちは反撃する暇すら与えぬとばかりに上級サーヴァントでさえ即死させる通常攻撃をニャルラトホテプは乱打する。

達哉達は凌ぐほかない。

本来冠位抜きのチートであってもソロモンですら血達磨だ。

故に前提条件としてニャルラトホテプを機能不全に至らせるのは全てを受け入れ、なおも足掻く心である。

 

「どうした? 貴様らの力そんなものではあるまいに?」

「アンタに使った所で溝銭でしょうが!!」

「正解だオルガマリー、終局のⅦですら我が手の内よ!!」

 

そうビーストの源流である以上、ビーストの力は奴の力、使った瞬間に跳ね返ってくる。

あるいは吸収されるのがオチだ。

同じ理由でリバース・イドの力も使用不可能。

そのくせこの空間にいるだけでビーストの力だとかリバース・イドの力を使いたくなる。

と言うよりも無理やりに引き摺りだされそうな感覚に襲われていた。

それに必死に抗いながらオルガマリーと達哉は得物とペルソナを振るう。

 

「アポロ!! ノヴァサイザー!!」

「ハハハ!! ノヴァサイザー!!」

 

時間が停止する。

だが動けるのは達哉だけではない、ニャルラトホテプもまた動ける。

彼はビーストだけではない、全ペルソナの反存在であるがゆえに同じスキルを使えるのもまた道理である。

 

「やっぱりか!!」

「ああ、すべてのペルソナは私達から派生した物でしかない。それは知っているだろう!?」

「ああ、だが、自慢話を引き出すことが目的だ。これで二度目だぞニャルラトホテプ」

 

炸裂する触手を回避し、兼定で弾き逸らしながら達哉が言う。

全てのペルソナはフィレモン及びニャルラトホテプからの派生物に他ならない。

固有スキルも無論使える。

だがそれは前の一戦でもわかっていた事。

故にこれは、本命を通すためにわざと行った行為だ。

ニャルラトホテプはその性質上、無駄な事をした場合煽ざるをえない性質を持つがゆえに。

達哉自身の一見愚行とも思える行動に嘲笑し隙を晒さずにはいられないという事である。

時の流れがもとに戻る。

時止め前程の訓練は皆嫌と言うほどやったのだ。

今や阿吽の呼吸で位置と距離を調整できる。

故にオルガマリーが瞬時に触手を掻い潜り、ニャルラトホテプの首を狩れる位置にいたのだ。

 

「シュディンガー!! ヴォイドザッパー!!」

「無駄!! 無駄!! 無駄!!」

 

ニャルラトホテプの首が斬り飛ばされる。

だが手ごたえは水面に刃を通した程度の手ごたえしかない。

首を斬り飛ばしても瞬時に逆再生するかのように首が元に戻る。

こうしたやり取りがもう何十度だ。

何度、何度、何度、普通のサーヴァントやら神霊なら死ぬ傷を与えても無意味に終わる。

それでも達哉たちは足掻く。

必死になって攻撃を当てていく。

 

「ウリエル!! マハフレイダイン!!」

「無敵!! 無敵!! 無敵!!」

「クッソ!!」

 

マシュが崩拳と共にウリエルを叩き込み同時に砲撃形態へと移行させゼロ距離でマハフレイダインを叩き込む。

ニャルラトホテプの腹に大穴が穿たれるがこれもまた逆再生するかのように復元され、

ほぼノーダメージだ。

これにはさすがの大人しいマシュも悪態を吐く。

だがそうしている間にもマシュの周辺を触手が取り囲み殺傷せんとしていた。

 

「死ねぇい!!」

「させるかぁ!!」

 

ニャルラトホテプの叫びと同時に達哉がノヴァサイザーを起動。

止まった時の中でマシュを抱えて殺傷圏内から離脱する。

手札の殆どがニャルラトホテプにはバレている。

何故なら、人理修復と言う旅を最も見ていたのがフィレモンとニャルラトホテプなのだから当たり前だ。

 

「では次の演目に移ろう、刻の車輪!!」

 

その瞬間、曼荼羅の回転が激しくなり、時は加速、あるいは逆行、あるいは停滞し、星が廻り始める。

それは時限流と言う概念そのもの。

肉体や魂の時間を無茶苦茶にされた存在は自滅因子かあるいはタイムパラドックスにやられ死ぬ。

あの時、向こう側での決戦の際には達哉が時止めを行い防いでいたが今回はそうはいかない。

先ほども述べた通り魔術、魔法と言う物のせいでこの世界は人間の意志から編み出たもので時間軸の操作が肯定されてしまっている。

達哉だけではどうにもならないのだが。

 

「星よ、廻れ」

 

ロマニことソロモンも星を廻し時限流に対抗する。

元々は冠位だし、第二魔法使いの師匠だ。現行の時間軸操作なんてお手の物である。

これは魔法による時間軸操作ではなく、あくまでも現在進行形で行われる時限流を操作する魔術である。

無論、神代の魔術師ですら難しい技術ではあるがソロモンなら問題ない。

指輪の力がなくとも伊達に宝石翁や現在の魔術協会「時計塔」を創設した学院長に魔術を伝授した男ではないのだ。

だがしかし、

 

「ッ」

 

ソロモンは鼻から鼻血をだし吐血する。

これはスペック上の問題だ。

先も言った通り蟻が大海を相手にしているのと変わりはないのだ。

下手に干渉すれば誰であろうとも情報量という名のDoS攻撃に晒されるのと変わりがない。

今、ロマニことソロモンの脳髄は演算能力を超過して破裂寸前だった。

そう言った理不尽の類の具象こそニャルラトホテプ。

文字通り人類及び人理に関係すべき全てを網羅している。

だがソロモンのお陰で刻の車輪は凌ぎ切った。

 

「アポロ!! ゴッドハンド!!」

「シュレディンガー!! コンセレイト! メギドラオン!!」

「ウリエル!! アトミックフレア!!」

 

ソロモンが作り出したその隙間を縫って三人が継続戦闘力を考えた上での最高スキルを切る。

だがしかし・・・

 

「フハハハハ!! 運命の車輪!!」

 

今度は因果律操作と来た。

曼荼羅が再加速を始め星々が高速で回る。

 

「攻撃が!?」

「当たらない!?」

「いいや僕がどうにかする! 攻撃を続行してくれ!!」

 

星辰を操作することによる因果地平への逃亡。

ニャルラトホテプに対する攻撃は当たらず向こうからは当てられるという最悪の状況だが、

ソロモンが先ほどよりはマシだとスキルに干渉する。

無論先ほどよりマシと言う程度であり鼻血と血涙は流していた。

だがソロモンに何時までも頼っている訳にも行かない。

ハナから持久戦なのは先にも言った所であり、

勝てぬと分かった上で戦わなければならないのだから必然的にそうなる。

 

「ではこれならどうかな? 結合・真理間塵(ユニオン・トゥルースダスト)!!」

 

ニャルラトホテプは嘲笑いながら星を回す。

次の瞬間にお出しされたのは、宇宙や世界、それの発生要因となった敵たちのコピー攻撃である。

無論、再限度は100%だ。

 

「救世主と戦騎乙女並びに死の神よ、我がもとに集うが良い」

 

ニャルラトホテプの背後に薄っすらと姿が浮かび上がる。

それは達哉があの異聞帯で見た理とアイギス、そしてニュクスの姿だった。

彼らは泣いていた。こんな事をするために答えを出し受け入れたのではないというのにと。

だが今はそれどころではない。

達哉達に襲い掛かる世界の理の再現。

死と生が同時に襲い掛かり、生死の感覚が無茶苦茶にされる。

只の人間やらサーヴァントであればこれで終わりだが、

達哉達とて伊達に試練を乗り越えている訳ではないのだ。

 

「貴様ぁ!!」

「フハハハ!! これだけではないぞ真実を追う探究者、その真実を持って国生みを成すが良い!! 情欲の果てに見捨てられた廃神よ一日1000人の子を縊り殺せ!!」

 

今度は白髪の短髪の少年とボサボサ髪の女性が映し出され。

幾万の真言と幾千の呪言が消しあわず融合し炸裂する。

もうここまでくれば立っている事さえ難しい。

 

「メディアラハン!!」

 

オルガマリーがメディアラハンを起動させ全員の肉体を修復させるものの。

精神が限界に来ていた。

誰もが青息吐息を吐き出しながら自死衝動に駆られながらも立ち上がる。

 

「まだ立ち上がるか、それでなければ面白くないものだ。理不尽に反逆する狂言回し、そして怠惰の聖杯よその両方の意志をへし折るが良い!!」

 

大罪の徹甲弾と統制の光芒が本流として炸裂する。

今度、直撃を受ければ消し炭確定だが、

マシュがペルソナをウリエルからラウンドテーブルに切り替え前に出る。

 

「スキル解放、それは全ての疵、すべての嘆きを包み癒す我らの郷里!! ロードカルデアス!!」

「アポロ、ノヴァサイザー!!」

「シュレディンガー、ヴォイドザッパー!!」

「8つの惑星よ廻り守護星と化せ!!」

「「「「ロード・オブ・カルデアス!!」」」」

 

炸裂する漆黒の奔流に、

それに合わせて合体スキルが起動する。

溢れ出る漆黒を四人が受け止める。

それでも神を倒す一撃の釣瓶打ちは堪えるというものだ。

遂にマシュが吐血した。

体に掛かる負荷が甚大じゃない。もうマシュだけではなく全員が血反吐を吐き出している。

カルデアの管制室の人々はある者は血が出るほど唇を噛み、ある者は指の爪が食い込み出血するほど手を握りしめている者もいる。

 

『皆落ち着け、達哉手札はあるか?』

「ない!!」

『なら気合を入れなおして、使った手札の切り方を間違えるな』

「了解ッ」

 

だがアマネや保安部の連中は動じても居なかった。

戦場ではこんなこと日常茶飯事だ。

自らの手札を切ったうえで届かないというのは当たり前。

だったら切った札を再利用し再び対峙するのも当たり前。

そこまでやっても絶望と死はやってくるのだからまだここからだと言いたくなるのも当然である。

本当に最終的に物を言うのは気合と根性、後は傍観者としては運を天に任せ祈ることしかできない。

それが当たり前なのだ。

だからこそ現実的な手段を講じ尚も諦めていない。

こんな絶望的な状況下でもだ。

 

「ククク。良くぞ他者の答えと反存在の最大攻撃を乗り越えた」

「此処まで人をコケにするか!!」

「ああするともさ、所詮、奴らの答えなど根幹的治療には至っていない先送り程度の物だからなぁ!!」

「なにを!!」

「貴様も見ただろう? 今の連中が出した答えの先がアレだ」

「ッッ」

 

そう達哉は見た。彼らの出した答えの先に在るという物の世界を。

 

「だが一つの可能性に過ぎないだろ!!」

 

だがそれでも一つの可能性に過ぎないだろうと達哉は吠えつつ兼定を振り下ろす。

未来とはあやふやなものだ。

一つがつぶれたところでそれもまた可能性という奴である。

現に文明が潰れても世界樹やメタファーと言う物語に続くのだから。

それでも刀で引き裂かれようがニャルラトホテプの身体は逆再生する。

 

「ああそうだとも!! 良くぞ言い切った!! では褒美だ受け取るが良い」

「嘘でしょ・・・」

 

オルガマリーは唖然として言った。

絶望が其処に在った。

 

「たかが一つの世界を潰して作り上げた負の情念だ」

 

ニャルラトホテプは嘲笑うかのように言う。

彼にとってはたかが一つ程度の世界を潰して練り上げた代物に過ぎない。

つまるところ、先のDoS攻撃の世界版だった。

 

「不滅の黒!!」

 

炸裂する黒の奔流。

それは悪性情報の塊。

視覚もない一般人が根源接続するようなものだ。

一瞬にして魂が浄滅するものの・・・

 

「一度食らったことのある情報攻撃なんぞ!!」

 

達哉はソレを一度食らっている。耐えられる。

そして漆黒の奔流が流れた際には皆が倒れていた。

だがそれでも皆が立ち上がった。

 

「耐えきりました・・・・」

 

マシュはボタボタと口に鼻、両目から血を出しつつラウンドテーブルを杖に立ち上がる。

皆が同じ様相だ。

もう限界に近いがニャルラトホテプは余裕の表情を崩さない。

 

「では・・・」

 

表情が無いにも関わらずニャルラトホテプがニタリと嗤っているのが分かった。

 

「ペルソナや魔術を持たずに抗えるのか確かめてやろうではないか」

 

そう忘れてはならない、ニャルラトホテプもまた獣の源流であり獣なのだと。

 

「ネガ・ノヴァ」

 

即ち、ネガスキルである。

獣の特権の一つ。根源接続者ですら抗えぬともされるそれは、

ペルソナだとか魔術だとかサーヴァントスキルを貫通して炸裂する。

ニャルラトホテプが持つネガスキルそれは・・・

 

「ペルソナが!?」

「銃が重い!?」

 

展開していたアポロが消え去る。

それどころか待機させて置いたペルソナですらもだ。

マシュもラウンドテーブルが消え去り、鎧も消え去ってインナー姿になっている。

その上、ソロモンはロマニの姿に戻っていた。

更に質の悪いことにペルソナによる身体強化補正までなくなっている上に、

各々の武器に付与された神秘すらもなくなっている。兼定の古刀としての神秘はなくなり、

オルガマリーのリペアラーの銃弾やマズルスパイクに付与された神秘性も同様にだ。

更には魔術回路及び魔術刻印すらもなかったかのように消えうせている。

これがニャルラトホテプのネガスキルだ。

あらゆる幻想に立証される事象を否定棄却略奪する大権能。

要するに人が縋る都合の良い幻想を棄却し取り上げるという代物。

そう取り上げるのだ。無効化するのではなく能力略奪能力。

これの前には神秘性に依存している者達はただの人間に成り果てる悪辣な能力だ。

無論、ビーストだろうが根源接続者だろうが異星の侵略者だろうが人間の心を理解した時点でこれに嵌る。

まさしく矛盾し無敵の能力。

ニャルラトホテプの不死身性を加味した上で勝てる物なんていない、足掻く方が無意味だと分からされる権能だった。

 

「これで終わりだ、這い寄る混沌」

 

そして起動されるのはニャルラトホテプの最終スキル。

浸食した世界の理を飲み込み。

嘗て達哉が味わった物とは別の物へと変異していた。

即ち不滅の黒の上位互換である。

DoS攻撃並びに物理的熱量は恒星を超えている。

幾千と潰してきた世界の熱量そのもの。おおよそ最上級サーヴァントどころか神霊やら星の頭脳体に向ける火力ではない。

文字通りのビッグバンなのだから。

 

「「「「それがどうしたぁ!!」」」」

 

だが絶望を知った上でなお達哉達は諦めなかった。

発動までに一定時間がある。

すぐさま発動しないのがその証拠だと、全員で躍り掛かった。

達哉は兼定を振るいニャルラトホテプの首を斬り飛ばし。

オルガマリーはマズルスパイクを叩き込むと同時に全弾ゼロ距離で叩き込み。

マシュは連続して八極拳を叩き込んで。

ロマニですら慣れない拙さで拳を叩き込み続ける。

 

「フハハハハハハハハハ!! 無駄!! 無駄!! 無駄!!」

「「「「そんなこと知っている!!」」」」

 

発動されたら終わり。

無駄と呟くニャルラトホテプに対しそれでも知っていると抗い続ける。

だがしかし。

 

「終わりだ」

 

無情にもタイムリミットが来てしまった。

漆黒のビッグバンが炸裂し――――

 

「「「「ロード・オブ・カルデアスゥ!!!」」」」

「なにぃ!?」

 

ニャルラトホテプの驚愕と共に。

硝子がひび割れるような音ともに彼らに全ての神秘が戻った。

同時に、這い寄る混沌のスキルがあっという間に威力低下する。

ニャルラトホテプの特性を考えれば簡単な事だ。

つまり彼らの足掻きが人の心を動かしたのである。

故に這い寄る混沌の威力は大幅激減し、

ペルソナとか魔術とかのスキルも戻ったのだ。

ネガスキルを破る方法、それもニャルラトホテプを打ち破ると同じ方法だ。

「全てを受け入れそれでも足掻く」という事。

今まさに彼らがしている方法に他ならない。

武器を奪われても各々が積み上げてきた武器で抗って見せたのだ。

それが人の心を動かし土壇場でネガ・ノヴァの権能が棄却され、

這い寄る混沌と言うスキルの威力が圧倒的に低減したしたのだ。

されど弱体化と言っても熱量の乗った不滅の黒とかいう不滅の黒の上位互換のスキルには変わらない。

よって達哉、オルガマリー、ソロモンに戻ったロマニがマシュを支えて直撃に備えた。

元より逃げ場なんぞないのだ。

だから受け止める、全てを。

 

「「「「『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』」」」」

 

炸裂する漆黒。

受け止めるは光の絶対防壁。

流れる本流の中で彼らは見た。

 

多くの悲しみを見た。多くの悲しみを見た。多くの悲しみを見た。

 

それはまさに断絶の未来だった。

多くの物がニャルラトホテプの課する試練に耐えられず倒れていった。

だがそんな闇の中でも。

例え結末が絶望的で倒れるものだとしても。

誰もかれもが次へのバトンをつなげ紡いできた。

故に人類は此処まで成長したのだ。

それを忘れてはいけないとして。されども誰もが諦める刹那に。

 

『父さん、母さま、母さん、人類史は断絶や死の物語なんかじゃないよ』

 

それは見た事も無い誰か。

アルビノに無造作に首当たりで切った美しい白髪。そして頭の両側面から生えた羊の様な角を持つ美少女が手を伸ばす。

 

「第七からの干渉か!! 賢王めやりおる!!」

 

それは第七からの干渉。

賢王ギルガメッシュが”都合の悪い事ばかりを見せる”というニャルラトホテプの千里眼干渉を逆手に取って彼らの娘こと「ラハム」に学ばせていた。

決して人類史は死と断絶の物語ではなく、命を紡ぐリレーなのだと。

千里眼や記憶を同調させて学ばせていたのだ。

そしてラハムは勝手に行動したのだ。自滅因子の武器として生み出された存在が自立稼働を始めたがごとく。

されどまだ彼らはそんなことは知らない。

種明かしされるのは第七に到着してからだ。

だが差し出された言葉と手は暖かくて、それが活力となる。

手を取って希望も絶望も超えた先へと彼らはラウンドテーブルごと歩み出し、

そしてラウンドテーブルが砕け散ると同じく這い寄る混沌のスキルも終わる。

 

「これで」

「終わり」

「にしましょう!!」

 

4人がスキルを展開する。

 

「アポロ。ノヴァサイザー!!」

「シュレディンガー。ヴォイドザッパー!!」

「ウリエル。イノセントダスト!!」

「七の星に裁かれよ!!」

 

現状手持ちで最高のスキルだ。

その四つが合わさり、巨大な光剣が七つ出来上がる。

刃のそれぞれが空間、時間、出力、拡散。どれと共に最高潮だ。

真面に当てさえできれば星の頭脳体だって消し飛ばせる。

 

「「「「センブスソード・カルデアス!!!」」」」

 

七つの物質化したエネルギーの光剣がニャルラトホテプに突き刺さり。

 

「ぐぁぁぁあああああああ!?」

 

ニャルラトホテプが人型、ソロモンの姿へと戻り倒れ込む。

 

「馬鹿な!! どうしてだ!! 今の私は多次元宇宙に渦を巻く混沌なのに!! こんな矛盾認めんぞぉぉぉおおおお!!」

 

そう今や混沌は肥大化している。

誰も勝てるはずがないのに、ニャルラトホテプは敗北を喫した。

無限規模に膨れ上がった自分を打倒するには至れぬ。

だがしかし彼らは勝利したという矛盾を叫ぶ。

 

「這い寄る混沌、諦めろ、君と戦うという事はそう言う事なんだろう?」

 

ソロモンなんとか立ち上がりつつそう指摘する。

 

「彼らは・・・人の可能性そのものだ。普遍的無意識下の暗黒面そのものの貴様は確かにこの多次元宇宙すべての人と繋がっている」

 

そう言って一息置きながらソロモンは達哉、オルガマリー、マシュを見て言葉を繋げる。

 

「だからこそだ、彼らが人の心を動かしたんだ」

 

そう達哉たち彼らは人の無意識下で人の心をついに動かすことに成功した。

その時点でニャルラトホテプは一時的に機能不全に陥る。

その瞬間だけ彼らに勝利の王冠が与えられたのだ。

 

「全ての可能性は混沌より生ず、そうだったわね」

 

一応弾倉を交換しながらオルガマリーがつぶやく。

そうあの瞬間こそ彼らは混沌が磨き上げた超人になったのだ。

 

「クッ・・・・・・・・ククク、ハァーハハハハ!! なんという矛盾!! これが私の運命だと!?」

 

そう此処までニャルラトホテプ自身が彼らを追い込み続けなければこの結末にはならなかった。

所謂、自分自身で墓穴を掘った形に近い。

これまでの試練が彼らを強靭に練り上げ鍛え上げたのだ。

何と言う皮肉だろう。だが逆にニャルラトホテプが居なければ此処まで来れなかった証でもあるのだ。

 

「だがしかしお前ら知生体が居る限り私と言う影は消せん!!」

「くどいですよ」

「マシュの言う通りね影の無い人間なんていないわよ」

「貴様の居場所は此処だと知っている。だからとっとと行ってしまえ」

 

マシュの言葉に始まり、ニャルラトホテプはずっと居続けると受け入れた上で皆が武器を構え、

オルガマリーが銃弾で撃ち抜き、マシュの崩拳が腹を打ち、達哉の刀が袈裟斬りに振るわれ、

ニャルラトホテプはついに倒れて・・・・

 

「ジャアナァイイイイイイイイイ!!」

「「「「!?」」」」

「残念ながら今回はそうはいかない」

 

倒れて再び立ち上がるという怪奇現象を起こした。

最もニャルラトホテプの身体は黒い粒子に分解されていき、

倒したという事にはなるのだろうか。

だがそれでも奴は嘲笑っている。

 

「残念だが。今回の計画は私と言う存在を倒してからが本番だ」

「なに!?」

「そういう計画なのだよ。周防達哉、貴様ならよく知っているだろう? 黒幕気取りを倒してから私が出てくると」

「ッッ」

 

そう言えばそうだった、こいつが出てくるのは黒幕気取りを倒した所でダメ押しに出てくるのが常。

第四を攻略したばかりで人理焼却もまだ半ばなのに出てくるのはおかしい事であった。

 

「だが貴様等の勝ちと言う事実は受け止めなければならんな。だが安心しろ、この先にも試練は用意してある」

「貴様ぁ」

「フハハハハハ、計画は順調だ! この計画は”貴様らが人の心を動かしたという事実”が必要だっただから私が態々出張ってやったのだよ。そして覚えておけと前に忠告しただろうに、宇宙の中心で蠢く白痴の塊とは貴様ら自身という事をなぁ!! ククク・・・フハハハハハハハハハ!! ゲーティアの座する神殿にて待っていよう!!そして私はいつでも貴様らをみているぞ!! アハハハハハハハハハハ!!」

 

影は見ているずぅっと、ずぅっと。

そういうニュアンスでニャルラトホテプは阿頼耶識の底へと沈んだ。

勝てはしたが、これは一時的な物でしかない。人がいる限り奴は消滅しないのだから。

 

「とりあえず・・・帰りましょうか」

 

オルガマリーが座り込むと同時にレイシフトアウトの感覚に襲われる。

ニャルラトホテプの言っていたことも気になるが、今は勝利の美酒を味わいたい気分だった。

 

「あと皆にメディアラハンかけておくな」

「お願いします先輩」

 

レイシフトアウト前に達哉はそう言ってマシュも了承。

思い込み傷と言う事象がある。強烈な思い込みによって実際に傷が発生する事を刺すのだが。

今回はというより今回も皆ズタボロだった。

マシュは正規のレイシフトである為傷を治しておくに越したことはないが。

達哉、オルガマリー、ソロモンことロマニは奴に精神だけレイシフトしている形だ。

戻った瞬間に思い込み傷で体中血塗れと言うのは勘弁だったからだ。

そしてソロモンの魔術と兼ね合わせて全身を修復。

レイシフトアウトするのだった。

それから二日後。

 

「全員医療室で安静だ」

 

レイシフトアウト早々にアマネからそう言われ。

マシュはコフィンから引きずり出されるなり医療検査。

結果。

 

「・・・両足が動きません」

 

検査中に吐血&鼻血、挙句の果てには下半身不随である。

診断結果として両足の感覚は残っているが両足が動かないという状況だった。

よって医務室送りになり、より精密な検査が必要となった。

日常生活に支障はない。ペルソナさえ展開していれば両足も動くからだ。

カタルシスエフェクト型のマシュは長時間、その気になれば週間単位での発動が可能だ。

と言っても無理はなるべく控えた方が良いとして、カルデア内での生活は車椅子生活確定になってしまった。

もっとも介護はオルガマリーが買って出たし元々、寝室は別だが共同生活していたので問題なしと判断されていた。

あとソロモンことロマニとダヴィンチであるが、カルデアを代表としてムニエルにぶん殴られた。

現状のサーヴァント達だとかオルガマリーとかアマネにぶん殴られたら首の骨がへし折られるとして、ムニエルが代行した形だ。

目覚めたサーヴァント達はマスターたちがニャルラトホテプと交戦したことに落ち込んでいたが長可が鼓舞し表向きは何時もの光景に戻っていった。

だが誰も気づかなかった。アルトリア・リリィの瞳が彼女以外いない時に酷く淀んでいることに。

ニャルラトホテプとの交戦記録を何度も見返していることに。

そして些細な問題が一つ。

 

「私のは良いけれど・・・マシュのはどうしましょうか?」

 

達哉の右手のニャルラトホテプの刻印と同じような刻印がオルガマリーには左腕に。

マシュの右目付近には奴の三つ目の内の一つ右目の刻印が施されていた。

 

「元々、右目付近は髪伸ばしていたので上手く隠せるかと・・・」

「なんでマシュは右側の髪の毛を伸ばしてたんだ?」

「その方が素敵だとペペロンチーノさんが言ってくれたので当時の私は意味も分からずそのまま・・・」

「そうか」

 

色々試した結果。魔術と化粧と伸ばしていた右側の髪の毛で隠せるようだったので些細な問題になった。

まぁそれはさて置き、必要最低限を除きそう言った事もあってか新たにマシュを加えたカルデアマスターズと殴られたことで首を盛大に捻ったソロモンは医務室に叩き込まれ日々が過ぎ去っていった。

 

 




ニャル「計画通りwwwそれはそれとしてニャルニャルスタンプを頑張ったオルガマリーとマシュに進呈したいと思いますwww」
マシュ&所長「「いらねぇ・・・」」

という訳で所長とマシュにたっちゃんと同じニャルニャルスタンプが贈呈されました。
たっちゃんは右腕だったので所長は左腕、マシュは右目付近ですね。
隠し設定としてこちら側の邪ンヌにもあります、彼女は額ですね、髪の毛やら額当てやらバイザーで隠していました。
ニャルフィレ四文字閣下の計画は順調です。
寧ろここでニャルを倒した精神性が無いと計画成就には至りませんので。

マシュ「フィレモンが急遽実験がてらに作ったペルソナのせいでわだじのからだだはボドボドだぁ!!」
あとマシュの肉体早めにボドボドになるの巻き、まぁたっちゃんと所長にロマニもズタボロですけどね。
まぁあんだけニャルに嬲られて体に負荷のかかるスキル使ってりゃそうなるよねって話です。
一応マシュの通常生活には問題ありません、所長が補佐してくれるしペルソナ展開してれれば普段通りに動けますんで。

Q.根源接続者ってニャルに勝てるの?
A.無理、一応勝ち筋は無い事も無いですがその過程で人類皆殺しにする必要があるし「」さんとかラブソングさんとか恋やら愛を知ってしまった為、そこから影が発生し湧き出て来るので無理です。むしろ全能感を誘導させられ破滅させられるのがオチですしネガ・ノヴァに嵌るので無理です。

Q.じゃあどうやって勝てってんだよ!!
A.気合と根性と愛と勇気で無駄だと理解した上で抗ってください。もしくは自分も殺す算段で人類絶滅させてください。

結局のところぽっと出の力や不思議な力に縋らず自分の積み上げた力を持って全てを受け入れながら足掻くしかない訳です。
なおこれだけやってもニャルラトホテプは滅びないし阿頼耶識の底で休眠状態になるだけですけどね。
だから邪ンヌは第一を踏み台にして全特異点を蹴破し取り込み自分も含めて現行の知生体全て滅ぼしてリセットかけて次の世代に託そうとしたわけですし。
因みにゲの字の計画の方は彼らの干渉を許した時点でゲの字の計画は破綻の末路ですね。


ネガ・ノヴァ
ニャルラトホテプのネガスキル。
あらゆる幻想に立証される事象を否定棄却略奪する大権能
要するに人が縋る都合の良い幻想を棄却し取り上げるという代物。
性質が悪いのは取り上げるというところであり、無効かではなく能力そのものを奪い取って使えなくするという点にある。
つまり根源接続者であろうと発動されれば根源接続を取りあげられていしまうということに他ならない。
さらにビースト、人間と理解しあってしまった異性文明にすら効果範囲は広がっていく。
だが破る方法もありニャルラトホテプを追い払う手段と同様「全てを受けれ猶も足掻く」ということができ。
人類の総体に声を届ければこの略奪は棄却化されるが。
その領域に至っても文字通りニャルラホテプは都合の良い光や能力に縋るように準備し誘導する為。
解除は尋常ではない。少なくとも能力を奪われてもほぼノータイムで殴るくらいの信念は必要になる。


次回は予告通り織召喚&日常のインターバルですね。
あと第五に突入したらロマニも最前線送りです。
宝具使えなくとも魔術はチートの領域ですんであたりまえだね。


なんか酒飲んでたらテンション上がちゃって二日で書き終えましたけど。
今度は無理だと思います。今度こそ遅れますのでその辺ご容赦ください~
ではまた次回に。
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