Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
ダメです。残念ながら回収不可能です。
機動戦士ガンダムより抜粋。
さて当カルデアであるが。
突入チーム、つまりマスターズとサーヴァント達は一日の休みをもらっていた。
動いているのは観測班とアマネくらいだ。
以前はロマニもその組に入っていたが。
今や彼はデミサーヴァントモドキで前線投入が確定している。
故に彼も自室で休んでいた。
「さてこれで良いか」
達哉はドサリとバックをダヴィンチの工房の隅っこに置く。
鞄の中はアマラのアイテムで満載されていた。
手榴弾代わりにもなる魔法石系アイテム、各種異常状態を回復するアイテムに、
異常状態を無効化するアマラの礼装だった。
無論これらは自分たちで身に付ける物もあれば、サーヴァント達に装備し耐性を付与する、
あるいは現地での協力してくれるサーヴァントに配るものも含まれている。
魔法石系は各属性別に分かれており手榴弾のように使用も出来る。効かなくとも最悪フラッシュグレネード代わりにはなるので持っておいて損はない。
兵器の弾薬なんてなんぼあっても足りない。
ロマニ曰く次は第一以上の大規模戦闘になりアメリカ大陸を横断する羽目になるというのだから。
「ダヴィンチちゃん、頼まれていたもの置いておくぞ」
「ああ助かるよ、ほんと在庫がなくなってきたからねぇ」
「所長、そんなにぶっ放しているイメージが無いが・・・」
「いやぁ第一と第三で随分消費したからね」
「あーそうだな」
弾薬は実は結構減っている。
特にRPGに迫撃砲の弾が。
これも第一、第三、第四、チェイテ特異点、魔法少女特異点で派手にバラまいたのが原因だ。
特にC4なんて在庫自体がヤバい。
元々がそんな襲撃なんてしねぇだろHAHAHA見たいな乗りで在庫自体も元より少なかったのが第四でのまさかの大量消費だ。
作ろうと思えば作れるが、ダヴィンチ曰く現代素材が無いと無理との事。
類似品は作れるがどうしても利便性で劣るとの事だ。
当たり前だ。C4はプラスティック爆薬で爆発感度が低く兎に角加工しやすい。
魔術でこれを再現しようと思えば10倍のコスト、さらには素材の厳選もおこわなければならない。
正直、C4とかRPGに迫撃砲の弾とかを魔術とかで強化するのは容易いが再現するとなると採算が取れないし素材的に作れないのだ。
だから必死に新しく調達できぬ弾頭の代わりに魔改造したRPG弾頭をエミヤが投影している訳で。
「そう言えば・・・カルデアの主要電力は大丈夫なのか?」
達哉はそうダヴィンチに聞いた。
カルデアは南極にある。
当然、電力とかは施設に建造されたカルデアの炉が主用電源となっている。
第一で説明した通り急遽投入されたディーゼル発電機もあるが。
今現在は緊急時に備えてという事とガソリンが調達できず備蓄も少ない事から稼働してはいない。
カルデアの炉は修理完了&魔術的資源を突っ込めば稼働するので問題はない。
現状サーヴァントへの魔力供給も問題はなかった。
「大丈夫だよ。修理も終わったし運用に必要な資源はそろっている。落ちる心配はないよ」
という事で当座の心配はする事はないらしい。
「そう言えば、この呼符というのは・・・資源の無駄遣いにならないのか?」
「ならないね。カルデアの炉の燃えカスを鋳造して作っている物だしね。召喚以外のリソースにもならないから存分に使ってくれたまえ」
呼符と言う物がある。
それ一枚で召喚サークルを一回だけ動かせる代物なのだが。
製造方法は単純でカルデアの炉から排出された燃えカスを再利用して作ったものなのだ。
生産数が僅かでしかない上に召喚にしか使えない、一枚一回と効率が悪い。
もっとも先の200連爆死の前に使って乱数をずらすという悪あがきに全ブッパしたので今はこの一枚しかない訳だが。
「じゃ、俺はこれでお暇するよ」
「わかった。じゃ明日ね」
「ダヴィンチちゃん・・・言っとくがちゃんと休めよ」
「あはは、分かってる分かってるよ」
「なら良いが」
ロマニの主要時間軸知識もあってスタッフの負担は大分減った。
マスターズがレイシフトしていない時は気軽に監視業務だけとなったからである。
こうして達哉は暇があったらなんか作っているダヴィンチに釘を刺しつつ工房を後にする。
まだ昼前だ。しかし訓練は禁止されている。
型稽古も前日に全て終わらせているし暇だ。
かと言ってアスモデウスの整備に手を出せば怒られる。
久々に暇という奴だった。
部屋に戻ってマシュから借りた本を読みつつコーラを飲むのも良いなぁと思いつつ。
如何するか迷っているとき。
「あっ先輩」
「マシュか」
廊下の曲がり角から車椅子を自動運転モードしたマシュと遭遇した。
マシュは一度自動航行モードをやめて手動運転で達哉に近寄る。
「食堂に行くところだったんです」
「なんでまた・・・昼飯には早いだろう?」
「いえ、いま食堂では皆さんで映画上映会やっているみたいなんですよムニエルさん主催で」
「レクリエーションルームをなぜ使わないんだ?」
「食堂だとツマミも酒も直ぐ出せるからじゃないですか? あとレクリエーションルーム需要無さすぎて修繕後回しが決定したそうですし」
レクリエーションルームは当カルデアではあまり需要がない。
サーヴァント達も基本個室は与えられているし、ゲームがしたければPCゲームならムニエルが貸し出しているからだ。
だがゲームをするサーヴァントは孔明だけであり。
後は全員、実質で各々の趣味に興じられるだけのこじんまりっしたものであって。
レクリエーションルームの使用は主要時間軸と違って無いに等しく、代わりに食堂が溜まり場となっていたのだ。
故に余計なリソースも無かったつい第四特異点後までレクリエーションルームの修繕はプールルーム同様後回しにされ放置され続けているのである。
それに森君がなんかボイラー室の隣を勝手に改造して和サーヴァント達の憩いの場になっているし。
個人で映画見たいなら私室で酒とツマミ食いながら大勢で見たいなら食堂でが基本となってしまい。
余計にレクリエーションルームの需要が無かった。
「今日の上映作はなんだったか・・・」
「ジャンプストリートだそうですよ」
「俺の映画知識は1999年で止まっているから、映画名を言われてもな」
「TVドラマ版のジャンプストリートはジョニー・デップと言う俳優の出世作です。内容は童顔の主人公が事件捜査の為に高校に潜入捜査することから始まります、と言うのがあらすじです。一見作風はコメディですが、麻薬、売春、殺人、自殺などを主題に描いだ傑作ドラマです。もっとも今日上映するのは映画版でこっちはコメディタッチなのが特徴的ですね」
マシュがそう解説するが。
達哉的にはピンとこない。この男、趣味バイク弄りで映画なんてゴジラくらいな物だからだ。
しかしマシュやオルガマリーの進めて来る映画は名作であったし。
それよりもサブカルに強いムニエルが貸し出しているんなら大丈夫だろうという事もあった。
ムニエルはアニメオタクのように見えて結構洋画オタクでもあったからである。
もっとも男の娘という性癖は達哉的には意味が分からなかった。
尚口には達哉は出さなかった。性癖なんて人それぞれである。そう言う事もあって良いではないかと納得した。
問題はそれを他人に何だかんだ理由を付けて押し付けるのは良くない事であるという事である。強要と寛容は違うのだから。
最もムニエル自身もそれをちゃんと理解している大人であり押し付けてくるという事はない。
達哉とマシュは食堂へと向かう。
折角の休日なのだ。
ここは、ゆっくりと食堂で映画でも過ごしたいと思ったが故である。
なお、オルガマリーは既に食堂で肉のトリミングやら食材研究で居たため、
既に食堂に居たので、達哉がマシュの座る車椅子を押し食堂へと向かった。
「ふむ・・・これはシマチョウやマルチョウから内臓膜を取り除いた感じに近いな」
「エミヤ・・・別名それ脂身だけというのよ。美味しいんだけど胃がやられるわね」
「利用方法が限定されすぎてますね」
食堂に入るなり聞こえてくるのは映画の音声と。
調理室でワイバーンの肉とかを研究しているオルガマリー、エミヤ、ウォンの三人組のボヤキだった。
普通の竜種の肉は美味だが、その幼体に当たるワイバーンの肉はゲテモノだった。
食って食えないことはないのだが普通以下の味である。
だが脂身は美味しいと言った加減でどうにか食えるように工夫してはいるのだが、
ワイバーンの美味いところは本当に脂身だけなのでどうしようもなかった。
何故かと言われると焼いたり煮たりすると油だけが抜け落ち肉部分はパサついてどうしようもない。
逆に竜へと成長すればリブロースとかみたいで全体の味がよくなる。
第三特異点でぶっ殺した長命竜の肉の在庫は在るので良い。
問題は魔猪とワイバーンの肉だった。
前者はジビエ料理ににしか使えず後者は先にも説明した通り脂身しか取り柄がない。
ワイバーンの肉はアレだ。
如何調理しようが脂身が抜けてササミにするしかない。
魔猪の肉はそうでもないと思われていたが東坡肉にするわけにも行かなかった。
最低保証の味にはなるだろうと思ってたがそうではなかったのである。
下処理をした上で魔猪はジビエにするしかなかった。
第一、下処理したところで特異点内で使えるかと言う話でもあるのだ。
カルデアで作ってもらった物をレイシフトなんてコスト掛かる。
故に第四までは現地調達と素材を送ってもらって調理していたのだ。
第四ではルイが新鮮な食材を揃えていたしキッチンシステムも当時の最新鋭だから飯に困る事は無かった。
だが無くなるものは無くなっていく。
この第四特異点までを通して食材と言う問題が直結し始めていた。
オルガマリーの私物でパスタマシーンは在るが小麦が調達できない。
幾ら備蓄があるとはいえこれから先を考えていきたかったし。
次の第五はロマニの言葉を信じるならアメリカ大陸横断だ。
マジで非常食とか野営食は必要になる。
MRE? 栄養価としては優秀だが味と触感に見た目が全滅している。
大量に余ってはいるが食うだけで罰ゲームな物を誰が食べたがるのか。
故に今のところMREは本当に非常時か、食堂で文句たれた奴の罰ゲーム用である。
「あ、タツヤ、マシュ、早めのお昼?」
「いや、映画上映やってると聞いて暇つぶしに、な、マシュ?」
「先輩の言う通りです、暇でしたんで」
「なら今、試作品だけど魔猪のカルボナートなら出せるわよ、酒でも飲む?」
「じゃあ折角だし貰おうか」
「ですね」
映画を見ながらみんな試作料理に手を出しつつ酒を飲んでいるので自分たちもそう言う事にしようとなった。
なおマシュが酒に弱いのは相変わらずで羅生門の悲劇を繰り返さないように普通にコーラだった。
そんな情景を他所に賭け事なんかも行われている。
QPを担保にしたもので行うのは自己責任だ。
イカサマもバレなきゃ在りの何でもルールである。
「ありえない・・・!! 圧倒的ッ・・・サマ!! 圧倒的ッ・・・サマ!!」
「いやクィーンアントワネット、私は普通にやっているだけなのだがね・・・」
孔明のストレートフラッシュを喰らいぐにゃぁとなっているマリー・アントワネットも合法である。
お陰で過剰賭けしたおかげでマリー・アントワネットのQPはスッカラカンだ。
なお第一特異点で述べた通りマリー・アントワネットは賭け事大好き人間である。
凄く弱いのも第一で述べた通りだ。
アマデウスかサンソンが居れば羽交い絞めにしてでも止めるくらいには弱い。
パーフェクト王女に見えてやっぱ人間なのでダメなところはダメなのだ。
でなければ断頭台の露として消えていないというのもある。
なおクー・フーリンもカモにされていたりする。
いや純粋に腕はいい、そこは王族。だが致命的レベルで引きが弱い、幸運Eは伊達ではないのだ。
マリー・アントワネットにも同情されるレベルである。
なお以外にも一番強いのはオルガマリーだった。
不幸なこともたくさんあったが、それゆえに今ある幸運を分かっていたからである。
彼女は運と言う物を理解しつつあった。
それは孔明も同様だ。
運と言う物を弁えていない奴はカモになるのは道理だが、理解している者は自然とサマもわかるしカモられないものである。
「それにしても、所長とエミヤさんとウォンさんでも随分苦戦しているようですね」
「品種改良されてないからね。神秘含有量はすごいけど食事には適さないわ」
純粋に味と言う評価点では現代の品種改良や整備された環境で育てた物が美味い。
ならなぜ神代の人は神代の野牛などが良いというのかと言うと何度も言う通り神秘含有量の問題である。
だが現在においてはそれも越してきている。
魔術の後退を目指す行為より科学で進む方が早いからだ。
「ソーセージにしてみたり、東坡肉にしてみたり、ニンニク焼きしてみたりも私も含む三人で協力してやってみたけれど臭かったりパサついたりで上手く行かないのよねぇ」
カウンターに頬杖を付きながらオルガマリーはそう言う。
神秘含有量を無視すると不味いのは当たり前に不味いのは古代の方なのである。
故にどう足掻いたって美味しくならないのは当たり前の話なのだ。
無論、高度な魔術回路を持つ人間であれば旨味を感じ取れるかもしれないが。
あくまでもそれは肉本来の旨味ではなく神秘によって誤魔化しているに過ぎないのである。
「そりゃまた・・・」
「食事は少ないカルデアの娯楽兼栄養補給だからねぇ」
カルデアには娯楽が少ない。
ゲームだってムニエル頼りなのだ。
映画は礼装下で共通言語化で自動翻訳されるが。
後は食事と酒、保安部との模擬戦程度である。
なお映画はムニエルとオルガマリーの私物だったりする。
「ロマニの知識のお陰で楽は出来ているからもう少し娯楽増やしたいのだけれど・・・」
「所長・・・レクリエーションルームは手付かずです。いくら観測が楽になったからと言ってまたエミヤさんや孔明さんをあの状態にするのは・・・」
「まぁそうよねぇ・・・アレは酷かった」
俗にいうキャスター洗脳酷使事件である。
「所長」
「おっとどうしたのエミヤ?」
「魔猪の肉だがジンギスカン用のタレに付け込めば美味しく食べれるぞ!!」
「まじで!!」
「ああマジだ。もっとも酒で下処理をした上でニンニク追加だが、それでどうにかなる!!」
そう言ってオルガマリーとエミヤは厨房に引っ込んでいった。
後はいつも通り。
そして一日が過ぎる。
遂に突入日だ。
故に達哉達が取る朝食はそっけない物だった。
今日で最期の食卓になるかもしれないと言う恐怖を押し殺す為である。
食事もベーコンではなくソーセージを出す。良く焼いたソーセージを。
オルガマリー的にはブラッドソーセージを出したいが新鮮な物が手に入らないこの現状では妥協をせざるを得ない。
後は変わらない、何時ものスクランブルエッグにパンとコンソメスープ。
それらを黙々と胃に詰める。
この緊張感にはフォウも何も言えずにソーセージを齧っているほかない。
そして全員が武器の最終チェックを行う。
素手が基本であるマシュは行う必要が無いが達哉は兼定の刀身と柄のチェックを。
オルガマリーは自分が使う銃器のチェックを行い。
そして三人共、レイシフトスーツに着替えてブリーフィングルームへと向かう。
「それで今回の特異点は三つ巴なのよね?」
「ああ、所長の言う通りさ」
所長の言いようにロマニがそう言う。ソロモンの姿からチェンジ出来ないので、
ソロモンがロマニの何時もの医療服と言う恰好だが全員がスルーした。
いい加減慣れたし本人も法衣服より医療服の方が動きやすいとしてだ。
「エジソン陣営。ケルト陣営。そしてレジスタンスか・・・言っては何だが、エジソン陣営は抑止側だろ・・・。なのに国をアメリカだけにするというのは許されているのか? 強制退場とか抑止はしないのか?」
「一応、抑止力は特異点では動かない。だからサーヴァントも好き勝手し放題出来る訳で。ニャルラトホテプの暗躍も許すわけだからさ。といって僕の知識はアテにしないでくれ」
特異点内では抑止力は動かないとされてはいるがカウンターとして呼び出されるサーヴァントも居る。
でなきゃ現地サーヴァントの呼び出しに理由が付かないからだ。
そしてさらにロマニの知識の鵜呑みも出来ない。
なんせニャルラトホテプが暗躍しているのである。
奴は抑止力すらも試練や嘲笑の証明として利用する。
と言ってもカウンター作業はサーヴァントを呼び出すまで。そこが抑止力の限界なのだ。
でなければゲーティアなんぞ、発生した時点で排斥されている。
ネロもオルガマリーも同様にだ。
結論、抑止力は役に立たない投げっぱなしジャーマン野郎とロマニは述べた。
「第一、人類の半分が消し飛んでかつ星の危機になってから起動するかなぁ程度の物なんだよ実際」
「そんなにアバウトな物なのか・・・」
「根源接触には過敏に反応するけどね、それ以外に本格介入はせず間接的な介入ばかりさ。アラヤはほら。ニャルフィレだから当てにならない」
ガイヤの抑止力はまだ当てにできるがアラヤはロマニの言う通りそうでもない。
既にフィレモンとニャルラトホテプが掌握済みだ。
連中は人理焼却を試練と位置付けている。故に阿頼耶識の抑止力は難度調整程度にしか動かないだろう。
まぁ其処ら辺の議論はされつくし意味を持たない。
「そして肝心の特異点だけど」
ヴゥンと音を立てて床に第五特異点の現状が投影される。
デンバーを覆うように円が描かれていた。
「これは?」
ロマニが問う。
「超々磁場とプラズマによる複合防壁らしいわ。核融合の炎すら防げるレベルのね」
「ボクの時はそんな物なかったけど」
ロマニの時はそんな物なかった。
だが不味いのはプラズマ防壁の出力だ。
「・・・観測班の見立てによると。デンバーに直接レイシフトしようものなら。その段階で黒焦げ確定らしい」
「マジで?」
「ああ、溶岩にペットボトルの水を落とす様なものだという話だ」
孔明がギロチンで葉巻の端を切って火をつけて紫煙を燻らせつつ観測結果を言う。
そう現在のデンバーは強力な超々磁場とプラズマの複合防壁で守られている。
外部からの侵入は不可能だ。量子化するレイシフトの影響すら跳ね返し、それを無視してレイシフトした場合、
レイシフト対象は溶岩にペットボトルの水を流したように蒸発するという観測結果が出ている。
しかもその障壁のお陰でデンバー内部は観測不能という状況だった。
「じゃぁよ、あの獅子舞野郎とは交渉できないってか?」
壁に背を預けながら長可が言う。
因みに獅子舞野郎とはエジソンの事である。
クソマスター事件で手を組んでおり知り合いだ。
ペルソナ使いと接触したサーヴァントは接触したペルソナ使いに出会った場合。あるいは同じ軸にいる場合は記憶を持ち越せる。
故にエジソンとは知り合い関係で三つ巴は回避出来そうだったのが雲行きが怪しくなってきた。
「まるで・・・」
「タツヤ?」
「いや俺の先輩方が経験したような感じだなと・・・」
エルミン学園の人々が経験し世界を騒がせた事件。
町一つをプラズマ防壁が覆い、住人を閉じ込め、内部が異界化するなどの混沌が引き起った事件。
すなわち「セベクスキャンダル」にだ。
「・・・もしかしてニャルラトホテプが居るのって・・・」
マリー・アントワネットが口を両手で覆う。
その場にいた誰もが思案したことだった。
「・・・良くも悪くも、こう追い込めれば手段を選ばぬ御仁でしたからな。追い込めれば誘導も容易いかと」
宗矩の言いように誰もが沈黙する。
つまりエジソン陣営は説得不可能に近いとの事なのだ。
「カルナ相手にするとか考えたくないんだけど」
エジソン、エレナ、フローレンスに機械化軍団なら問題ない。
障壁もリバース・イドで強引に螺子開けることが可能だ。
後は数と本職のサーヴァントでボコればいい。
というかフローレンスはこの際敵として考えなくて良いだろう。
彼女の気質上、どう考えてもエジソンに与するとは考えられないからだ。
問題はインドの大英雄カルナである。
技量もアルジュナと並びツートップ。
更に歩く核兵器みたいな宝具構成しているとの事。
マスターには忠実で最期まで守るとの事だからエジソンを見限るという事はしないと思った方が良い。
倒そうと思えば倒せるがどれだけ損害が出る事やら。
まずカルナの鎧の関係上、貫通持ちのリバース・イドは100%持ち出さなければならない。
仕様上、関節技も通ると思われるが、カルナと言う大英雄の槍と奥義であるブラフマーストラを潜り抜けるという無理難題が大前提となる。
攻守及び技量まで極まっているのだからやってられるかとなるわけだが。
「だがヘラクレスを相手にするよりはマシだろう・・・正気だったらこっちに勝ち目が無かったぞ」
書文がそうぼやく。
アレも大概だったと。
総出でかつ全力で袋叩きにして、女神の一撃まで使っても殺しきれず、使いたくなかった宝具使ってようやく殺し切ったのだから。
狂気に汚染されておらず弓兵あたりでの理性在りのヘラクレスと戦うなんて考えたくもないと。
それよりはマシと考えるべきだろう。
「アルジュナは確か・・・ケルト側だったかしら」
「うん、そうだね」
「ロマニ・・・アンタら良く向こう側での人理修復でアメリカ大陸を更地にしなかったわね」
「ボクも今思うとそう思う、ラーマもボクら側で参加してたし」
インドの大英雄三人そろい踏み、なんだこれ悪夢かと全員が思った。
流石のヘラクレスでも死ねるような戦場であった。
「魔改造された俺、なんなんだ・・・」
「いやぁアレも大概だったよ」
其処にメイヴによって呼び出されたメイヴの考えた最強のクー・フーリンが居たというのだからもうやっていられない。
今思えば地獄だなとロマニは遠い思い出に浸った。
「でそこに+ニャルラトホテプ」
オルガマリーの言いように誰もが沈黙する。
とりあえずニャルラトホテプというキーワードに。
奴なら無茶苦茶やる。こっちのギリギリを見極め、かつロマニの知識を基にした戦術、戦略の梯子外しはやってくる。
第一、インド大英雄がノイズ過ぎて何から手を付けて良いのか分からないのだ。
メイヴ? 既に対メイヴ用の決戦兵器としてオルガマリーの私物のチェダーチーズをホールで準備している。
最悪の場合も考えて顔面にぶっかける用の粉チーズも。
メイヴ対策にはチーズでどうにかるからスルーだ。
噂結界の効力も相まって英霊は生前の死因からは因果逆転レベルで逃げられない。
語り継がれてきた神話、それもまた噂故に。
それに第三見たく、別の時空からハーモニープログラムや狗兵、Xー03みたいなのを持ち出さないとも限らない。
兎に角、戦術、戦略を練るにしてもノイズが多いのと。
「やる事、多すぎじゃね?」
然しもの織も困憊した様子でやる事、多すぎじゃねと言う。
「ラーマは確実に自陣営に入れられるかもしれない」
だがしかしラーマは確実に自陣営に入れられるとロマニが断言する。
「その根拠は?」
「あえて仮説でだよ? クー・フーリン・オルタに彼の霊核が破壊されていてもボクなら万能細胞で作った人工心臓を新しい霊核に置換することができる」
「それでも引っ付かないでしょ・・・」
「ああ、俺の槍の呪い舐めて貰っちゃ困る」
「そこで織の魔眼さ、ゲイボルクの呪いとラーマの持つ呪いの両方を殺して貰えれば彼はこの特異点に召喚されているはずのシータと再会できる。ラーマも仲間にできてシータも仲間にできる一石二鳥さ」
そう、この特異点ではラーマがうろついている。しかも霊核を破壊されてなお気合でだ。
それも妻であるシータに会いたいという一念でである。
だが彼はシータには会えない。そう言う呪いに掛かっている。
其処で彼の傷を癒しつつ呪いを解除できればラーマとシータの二人が自陣営に入り戦力アップを狙えるのだ。
「そこまでオレの眼に期待してもらうのは率直に言ってうれしいんだけどさ。神代のマジモンの呪いを見れるかは賭けだぜ」
直死の魔眼はそこまで便利な物ではない。
まず見る物の死を理解する必要性がある。
仏舎利を埋め込んで死の解像度を下げたりペルソナの闇無効を付けてそもそも読み取らせなかったりなど対策の仕様はあるのだ。
加えて挑むは権能一歩手前の呪いと神代の呪いである。
とてもじゃないが読み取れるとは織は思わなかった。
「それなら、丁度よく作ったペルソナがある。最上級の闇持ちだ。そのスキルと同調して見れば行けるんじゃないか?」
達哉がそう言う。
丁度よくルシファーを作ったのだ。
闇属性のオメガクラスタがある。
それと同調し合体スキルとして使えば行けるかもとの事だった。
「まぁそれでだめだった時は諦めましょう。後エミヤ」
「なんだね?」
「あんた、固有結界内部の剣、全部壊れた幻想出来る?」
「できるが・・・それがどうかしたか?」
「なら単純、敵全員巻き込んだ瞬間に爆破しなさい」
「!?」
「こっちは合体スキルがあるしね」
いくらカルナであっても無限の剣製の内部の剣の一斉爆破には耐えられまいとオルガマリーが目を付けてのことだった。
確かに投影品でワンランク下がっているとはいえ壊れた幻想を使えばランクを上げられる。
しかも全部爆破しても相手が死ぬまで生産し放題。
カルナやアルジュナ、その他軍勢を巻き込んで固有結界を展開、一斉爆破すれば片が付くという悪辣な方法にエミヤはその考えはなかったと引いた。
もっとも味方を巻き込むのでその場合は一気にマシュの所に避難する必要性があるが。
無限の剣製は足止め性能も優秀で其処に不足はない。
「やれることは確認できた。兎に角突入ポイントはロマニの知識通りに行こう」
「タツヤの言う通りね」
そして突入ポイントも決定する。
第五特異点の攻略が始まろうとしていた。
一方そのころ、第五特異点デンバー内部。
「ふむ、そろそろカルデアが来る頃合いか」
円状のサーバーを見ながら黒ずくめの男は無表情で言った。
サーバーの名は「デヴァ・ユガ」というシステムであり本来なら人を遠方に運ぶためのシステムだ。
だが悪利用すれば、全人類を洗脳できるシステムでもある。
そのシステムを黒ずくめの男こと「神取鷹久」は唯々眺めていた。
彼はニャルラトホテプの化身だが同時に使徒でもある、オリジナルの神取の記憶を持つコピー品とも言えるだろう。
だが影には影の役割があると思い、自分もまた自分であるとその役割に準じている。
「彼らが勝てると思うかい? 人類の業に」
そこにもう一人スーツ姿の男がやってくる名を「アイザック」と言った。
とある世界で自らを電子化し戦争を煽り立てていた存在。
その後、ニャルラトホテプと接触し自ら売り込み眷属となった男だ。
「彼らは二度勝利している。一度は偶然、二度目は奇跡、三度めがあればそれは」
「必然だって? お前も奴も例外を作ろうとしているのにねぇ。作ろうとしている時点で例外じゃないんだよ、例外はいつだって突然変異の一世代のみの個体だ。継続性がないから総じて無意味」
神取の言葉にアイザックは道化のように嗤いながら言う。
そう例外とは作ろうと思って作れるものではない。アイザックの世界での過去の人間は躍起になってそれを作ろうとしたが失敗に終わった。
アイザックも人間に可能性なんてものはないと証明すべく例外になりそうな奴を処理し続けた。
だが例外によって敗れ去りここにいる。
それでも例外なんてのは大概が一世代だけの一個体と限られるのが真理だと彼は語る。
「だから僕は認めない。人間なんて意味がないんだよ」
「ならば証明しよう、人間に意味は存在し得るのだと」
神取とアイザックは互いに睨み合うように宣言する。
ニャルラトホテプの化身とはいえその己すら嘲笑う特性上仲がいいなんてことはないのだから。
「それより、折角出したのだ。あの化身は使えるのか」
「使えるよ、僕が万全に整備しているしね、自称大統領閣下もご執着だ」
神取が言うのはもう一つの化身。
アイザックが作り上げたACを呼び水に噂で呼び出されたある種の最悪。
神取はアイザックの投げよこしたタブレットに移っている漆黒の巨龍の様な機械龍に目を送った。
クーフーリン・オルタを再起不能にされメイヴがヤケクソで召喚した魔神柱の二十八体の連結体、すなわち二十八人の戦士の応用で呼び出されたソレを消し飛ばした怪物を。
機械龍もまた化身の一つ。そしてそれは冷却液に満たされた巨大な倉庫で破滅の唸り声を上げていた。
『A.D.1783北米神話落崩イ・プルーリバス・ウナム』 『白衣の天使』 人理定礎A+ 開幕
と言うわけで次回から第五突入です。エジソンが盛大にやらかして、陣営逆転現象が起きます。
フローレンスはしょっぱなからレジスタンス側。タニキが再起不能になり二十八人の戦士も消し飛ばされ聖杯も奪われたメイヴはしおしお状態体。
ニャルが他世界からのコピーの化身の兵器量産製造したせいでアメリカ側優勢がニャルに扇動されたエジソン暴走状態に。
色々とカオスになる予定です。
ACとかゾイドでるよ!! ロンギヌス13と同じ噂で具現化したニャルの化身だけどな!!
あと某装置もあるせいでオルガマリーが付け狙われる特異点でもあります。
という訳で次回から第五特異点攻略に掛かります。
職活したいけど気圧がぐるぐる変わるせいで具合悪いので次回も遅れます