Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
スターウォーズ 帝国の逆襲より抜粋。
一節 「ショックウェーブ」
キン、キン、とオルガマリーの耳には。
そんな雷鳴りの様な耳鳴りが響いていた。
意識は混濁し、視界が明滅している。
ふと、視線を横に向ければ湯気が立つ臓物が腰の断面から露出させた死体が目に入る。
もっともそれは、オルガマリーの知らぬ誰かの遺体であった。
「-------!!」
誰かが叫んでいる。
「しょ――――――」
視界を真正面に戻すと。
ただ唯一の男友達とも呼べる存在が必死になって自分に呼び掛けていた。
「せ―――――もう――――――」
少し向うでは友達とも呼べる存在が盾を必死に維持し。そらから降り注ぐ火球を防いでいる。
サーヴァントたちは襲い来る亡者の群れをなぎ倒し。
空を飛ぶ翼竜を叩き落していた。
なにがどうなってと。
衝撃で頭が上手く回らない。
レイシフトと同時に。運悪く移動中の難民の群れのど真ん中にレイシフトしたのだ。
いや本当に偶然である。
座標はちゃんと特定し人気のない場所を選んだつもりが。
まさか翼竜やら亡者たちによって、町からたたき出された難民が、翼竜などに見つからぬように移動していたなどというのは予想外に過ぎたのである。
無論、自分たちは異端者として囲まれ実力行使で逃げ出そうと思った時に。
空から降り注いだ榴弾の如き火球によって吹っ飛ばされたのだ。
「所長!! 起きてくれ!!」
そこまで意識が走馬灯のように現状まで走って。
ようやく、オルガマリーの意識が引き戻る。
達哉がアムルタートを呼び出しオルガマリーの治療に当たっていった。
「大丈夫か?! 所長!!」
達哉も必死だった。
何故なら、飛竜共の火球を直撃ではないとはいえ、至近距離に居た故に。
咄嗟に、自身のペルソナである「ラプラス」で防御し。
礼装に仕込んだ防御機構がなくば体はバラバラになっていたであろう、傷を受けたのだ。
現に達哉が治療するまえは手足が変な方向に折れ曲がっていたのである。
変な方向に曲がった手足を書文が位置を整え達哉がメディラハンで繋ぎなおしたのだ。
だが、これは運がいい方だろう。
下手すれば首がへし折れて即死だったかもしれないから。
「ええ、大丈夫・・・大丈夫よ・・・、現状は?」
頭を振るい、気を取り直しつつ達哉に現状を問う。
本当にあっという間の事で、なにがなんだかといった様子だった。
「現在、俺たちは竜みたいなものやゾンビに悪魔と交戦中、戦況は押してはいるが・・・」
「押し切れないってことね・・・」
「ああ、難民も抱えて動くことが出来ない・・・、ついでにカルデアとの通信が途絶した。」
「最悪ね・・・、吐きそう」
現在、敵性勢力と大絶賛交戦中な上にカルデアとの通信が完全に途絶していた。
しかも難民抱えての防衛線である。
自分たちだけなら撤退か、あるいは敵の戦力ラインを突破の上で逃げるということもできるであろうが。
難民を抱え込んでいる以上、それはできない。
かと言って難民を見捨てることは出来ない。
ある種、最悪であるが難民を無事に護衛しきれば、味方であると証明できるからである。
「近くの都市は?」
「難民曰く、ティエールに向かっていたそうだ。というかティエールしか残っていないらしい」
「・・・なるほど定礎も悪化するわ、それは・・・」
フランスの大都市以外はほぼ落とされ、この様であるらしいとのことである。
定礎も悪化するという物である。
人理焼却犯が本腰を入れ始めた。
あるいは人理焼却犯に諭された誰かが、何かしら要因ですさまじく強くなったかであろうとオルガマリーは見当をつけて。
その思考を一旦片隅に放り投げる。
今はいくら考えても仕方がないし、目の前のことに取り組まなくてはならぬから。
「タツヤ、難民を見捨てる方針は無し、これは現地住人に取り入れる機会よ、逃す手はないわ
けれど戦闘ではアナタの方が私より上だもの、指揮はアンタがやって。私がサブと責任を取るから」
「・・・わかった。」
オルガマリーはあえて戦闘指揮は達哉に任せることにした。
こうも緊迫した状況下では達哉の方が経験も多い。
鉄火場を経験した事もない、小娘がするというのは無理な話である。
予定されていたことが完全崩壊しているなら猶更だ。
であるなら、当初の予定を放棄し、一番の経験者に腕を振るわせた方がいいのは道理である。
達哉も即座に同意し念話を飛ばす。
「クーフーリンと森さんは先方!! 書文さんは遊撃、宗矩さんは難民の護衛を頼む」
クーフーリン及び長可は打撃力が高いため先方にし突破を図りつつ。
高機動且つ龍の皮膚や鱗、外殻を無視できる書文を遊撃。
宗矩は関節部を狙うなどの手はあるがリーチが短いため、護衛に移行させる。
「俺達は中衛を務める。マシュは、さっきの飛竜たちの連携に備えて走り回ってもらうことになるが・・・行けるか?」
『大丈夫です、行けます』
「ならいい、とにかく難民を連れての護衛脱出任務だ。難民を優先しつつ各自情報は随時念話で更新しつつ戦況に合わせて動く、行くぞ!!」
達哉たちは前衛には出れない。
無論、達哉はサーヴァントとタメを張れるがマスター故に落ちることは許されない。
これはオルガマリーも一緒だ。
中衛は前衛と後衛の援護に集中する。
特に先ほどの翼竜たちへの攻撃にも備えて防御宝具マシュには前衛、中衛、後衛を行き来してもらうことになる。
マシュへの負担はでかいがやるほかない。
達哉の指示と同時にクーフーリンと長可が槍を横一文字に亡者の群れを薙ぎ払う。
「行くぜぇ!! ナガヨシィ!! ついて来いよォ!!」
「ぬかせぇ!! あんたが付いてくるんだよぉ!! 俺になぁ!!」
クーフーリンと長可の突破力は一級品だ。
一度の突撃で亡者たちが木ノ葉の様に吹っ飛び。
驚異度を更新した。竜種たちは上空からのパワーダイブでクーフーリンたちに襲い掛かるが。
「どこを見ておる?」
園境にて姿を消していた。書文の飛び蹴りが側頭部に直撃。
浸透頸も併用されたそれらは、翼竜の脳髄を揺さぶり確実に粉砕する。
そのまま空中で死体となった翼竜を蹴って、書文は再飛翔し打掌を同じ要領で叩き込んで。
派手さはないが着実に翼竜の命を刈り取る。
「こっちです!!」
マシュは盾を構えて盾を横なぎに振るい亡者共を吹っ飛ばしつつ。
へたり込む難民を立ち上がらせるべく引っ張り上げて。
ティエール方面に行くことを促す。
兎に角、難民が移動しないことには、話にもならないからだ。
へたり込む難民のリーダー格の男の腕を引っ張って立て上げさせて。
移動位置を誘導する。
「でもあっちは・・・」
「あっちは先方二人と先輩と所長で退路をこじ開けます!! あなた方は私たちが守りますので全員でまとまって走ってください!!。」
向こう側は戦場だ。
長可とクーフーリンが敵を粉砕しつつ退路をこじ開けているとはいえ、まだ敵の量は多い。
「でも俺たちは・・・」
あんたらを敵として弾劾しようとしたと言い掛け。
「そんなことはどうでもいいです!とにかく走って!!」
マシュはそんなことは、どうでもいいと叫ぶ。
こうなったのは成り行きと偶然である。
各個人の想いが交差した結果であるのだ。
それに今は敵味方の哲学をしている場合ではない。
二匹の翼竜が難民に狙いを定めパワーダイブし突撃してくる。
此処は戦場である余計な思考を走らせている暇はない。
故に事はシンプルに纏めてやることをやるだけだ。
マシュと宗矩が駆けだして迎撃に移る。
「やぁぁあああああ!!」
マシュは盾を構えつつ斜め上に飛び上がる様に竜種の顎へとアッパーカットの様なチャージアタックをぶち当て。
翼竜の顎を分差しつつ意識を飛ばす。
脳震盪は生物共有だ。
サーヴァント特有の身体能力で重量級の盾をぶち当てられれば竜種ともいえど耐えられる道理が無い。
顎を粉砕され意識を失った、翼竜は突撃軌道が反らされ、難民の群衆から逸れつつ地面にぶち当たりながら自重の重さと突撃速度も相まってズタボロになりながら転がっていく。
もう一匹の翼竜は宗矩に空中で瞬時に解体されていた。
「なるほど、鱗以外は、存外脆いと見た。」
瞬時に相手の特性を見抜き解体を実行する。
流石は、柳生新陰流の師範でもあった男である。
魚を三枚下ろしにするように翼竜の鱗の隙間や関節部狙って切り倒していく。
一方の達哉とオルガマリーも大忙しだ。
中衛として前衛が討ち漏らした物と左右から挟み込むようにする翼竜と亡者を相手取らなければならないからである。
難民の安全な護送と前衛と後衛を中継するポイントでもある。
殺されるわけにはいかない。
さらにはマスターとして死ぬことも許されないのだ。
達哉は自分の愛刀となった。
正宗を握りしめ。亡者の振るう刃を側面同士を当てて手首を半回転させ横に知らしつつ。
そのまま切り上げ、亡者の左わき腹から右肩までを両断しながらペルソナを呼ぶ。
「ビャッコ!! マハブフーラ!!」
節制ビャッコを達哉へとペルソナをシフトし広範囲にわたる。冷気攻撃を行う。
ペルソナシステムの変更によってビャッコのアルカナも変更され、特殊相性がなくなった故に燃費は多少悪くなったが。
背に腹は代えられない。
アポロとは違い線ではなく点として広範囲にばら撒かれた氷属性魔法が散弾のようにぶちまけられ。
広範囲の翼竜を叩き落す。
竜種の図体も、だいぶ大きく散弾状に射出すれば被弾面積の大きさゆえに軽々と殺傷できるのだ。
それでも、翼竜は数こそ少ないが、達哉の展開する弾幕を掻い潜り後方へと流れていく。
だが後方へと到着した竜種はマシュと宗矩のインターセプトを食らって叩き落されていった。
「ラプラス!! マハコウハザン!!」
一方のオルガマリーも撃破数では負けていない。
火力が足りないと判断し、数だけは竜種よりも多い亡者を目標にして撃破数を増やしている。
無論、ペルソナだけではない。
戦闘用に調達した代物が役に立っている。
コルトパイソンをベースに魔術的加工が施された礼装魔銃の威力も、また高く。
戦闘能力皆無なオルガマリーを十分に戦わせてくれている。
コルトパイソン本体には衝撃の吸収用の魔術と弾薬の自動装填魔術だけが施されている。
これは改造者のダヴィンチの考案であり、相手にダメージを与えるのは弾頭の方であるとして。
あえて手はそこまで加えられていない。
もっとも弾頭の方はダヴィンチが.357マグナムを参考に精製した物であり。
その威力は亡者の頭部をスイカの如く粉砕し。
一撃で屠る威力を誇る優れものだ。
初心者のオルガマリーでも銃本体に施された先ほど述べた魔術で操作性に問題はなく。
弾薬の装填訓練も必要なしに素早く装填できるのである。
銃弾を媒介にした。銃弾が飛翔し、亡者どものの頭蓋を吹っ飛ばし。
ラプラスの振るう大鎌に祝福の光りが宿り広範囲を薙ぎ払う刃となる。
『マスタァ!! 敵の包囲網が崩れた!』
「よし!! 俺が穴を広げる、前衛組は一応防御姿勢!! 行くぞ! 」
長可が敵の陣形が崩れたと報告。
それを逃さぬように達哉は即座にペルソナをヴィシュヌへとシフトし具現化せる。
黄色の神々しい存在が顕現し手をかざす。
「メギドラオン!!」
無属性広範囲系のスキルが炸裂。
一瞬で空中に存在する飛竜や、地上を闊歩する亡者の群れを薙ぎ払う。
対軍宝具にも匹敵する無属性の純正のエネルギー波の威力は強烈だった。
無論味方に誤射しないように、座標指定の上での点的な展開であったが。
それでも威力は折り紙付きである。
飛竜の鱗を一瞬にして食い破り撃墜し。亡者どもを形もなく消し飛ばす。
「全員走れ!!」
即座にペルソナをアポロへと変更しマハラギダインを斉射しながら達哉は指示を飛ばす。
それに応えるのはクーフーリンと長可である。
これ以上退路もない故に突撃あるのみだ。
兎にも角にも道を切り開かななければならないゆえにだ。
『マスター、敵第三波を確認、どうする?』
その時、先方はクーフーリンと長可に任せて良いと判断した書文は気配を消し先行。
敵の陣形を確認していた。
「敵の指揮者は?」
『不明、どこもかしこも埋め尽くすが如くというものよ』
「なら書文さんは前衛二人に合流してくれ。同じ手で突破する」
『心得た・・・ムッ』
「どうした?」
『こちらにティエール方面から向かってくる馬車を一台確認した。馬車は普通だが・・・それを引っ張る馬はガラス細工のような馬だ』
「・・・すっごく判断に困るんだが」
周囲は亡者と飛竜の群れ。
であるなら同じ手を取るほかないと達哉は判断するが。
書文の言葉で、ものすごく判断に困ることを伝えられる。
だが迷う暇はない。
即座に判断を達哉はつける。
「マシュ、聞いていたな!! 難民も只無作為に放浪していないはずだ。
硝子の馬は特徴的すぎるから、何か知っていると思う!! 聞いてみてくれ!!」
『了解!!』
硝子の馬を使う者を知らないかと護衛組のマシュに確認を取るように指示するが。
『その必要はないよ』
声が突如として鼓膜に響く。
誰もが誰だだと口を開く前に声の主が答える。
『僕らは抑止力側で呼び出されたサーヴァントさ!! 君たちはカルデアだろう? フィレモンから話は聞いている!! 今対軍宝具をぶっ放すから、耳を塞ぎ、口を開いて対ショック姿勢を取ってくれ!!』
フィレモンという概念はペルソナ使いしか知らぬようなものだ。
第一に達哉とオルガマリーのペルソナが共振反応を起こし揺れる。
顔も知らぬペルソナ使い同士が接近することで起こる共振反応だ。
達哉はそれと声の主の言葉を信じ。
「総員、耳を塞ぎ口を開いて、伏せろ!!」
叫ぶと同時に念話を飛ばし、全員が伏せた。
衝撃波が炸裂し。
敵陣が吹っ飛んだ。
一方、カルデア
「駄目です!! 周防くん、マシュ、所長、三人に通信繋がりません!!」
「通信復興作業は続けるんだ!! 存在証明は?!」
「続行中、現在存在だけは証明されています!!」
特異点へとレイシフト同時に、三人ともカルデアとの通信が途絶。
存在証明は立証されているが、それでも。
薄い線の様なものだ。
達哉とオルガマリーはペルソナの影響ゆえに前代未踏のレイシフト数値をたたき出し。
マシュやサーヴァントたちは、そんな二人と契約しているがゆえに存在立証がなされている。
だがそれだけだ。
バイタルデータですら、ブラックアウト済みなのである。
カルデアの面々は、現在達哉一行が直面している問題を知ることも許されないのである。
全然進まぬ状況に。さしものロマニも唇をかみしめる。
大人であるというのに。今戦っている青年少女たちに何もしてやれないことにだ。
「そう慌てなさんなって。定礎A-の地点に突入するんだ。こうなることは予測出来ていたはずだ。」
「だが・・・」
そんな時に管制室へと入ってきた。
ダヴィンチが混乱する一同を想定していた事態のはずだと。
けれども想定の斜め上を行き過ぎて対応ができないとロマニが言うのをダヴィンチは左手で制して。
「だからテンパり過ぎだって。別々に事を進めるから噛み合わないのさ。
観測班は通信班とデータを共有、ラインから周波数の割り出しを行え。
ダストンくん、報告によれば向こう側からの通信反応は数度なんだね?
間違いなく?」
「はい、数度の微弱な通信波は観測済みです、ですが微弱すぎて・・・通信の逆探知が不可能です」
ロマニを諫めつつダストンから上がっていった。報告をダヴィンチが再確認の意味で、ダストンに問う。
ダストンは間違い在りませんと言いつつ。
通信波が微弱すぎて逆探知は不可能だというが。
「論点はそこじゃない、君、携帯が電波状況は最高なのに通信がつながらない場合どうする?」
違うそうじゃないと言い切り。ダヴィンチはムニエルに聞く。
繋がらない場合どうするかをだ。
「はぁ、何度か連絡をしますが・・・」
「そう言うことだ。そして彼女たちはレイシフトという前代未踏の状況に挑んでいる。達哉君は戦慣れしているから。
情報の重要性は良く知っているはずだ。数度の連絡で済むはずがない。
とすると。今彼らがおかれている状況は純粋に電波が届かないから、見切りをつけて霊脈を探しているか。
最悪に考えるなら、数度の通信で打ち切らざるを得ない状況下に置かれているかだ。」
ダヴィンチの予測に全員が青ざめた。
つまり向こう側は修羅場の可能性が高いと。
だがダヴィンチは慌てない。
手も足も出せないのだから慌てたところで何にもならないのは理解しているからだ。
「とにかく、さっきも言ったけれど、通信班は観測班と連携して通信の復旧作業。
医療班は薬剤やメディカルキットの転送準備、。ロマニ、君は通信の復旧と同時に彼らの状況を聞いて適切な医療指示及び指導の準備だ。」
「わかった・・・」
ダヴィンチが兎に角、なせることを成せと指示を飛ばし
観測班は存在証明をしつつ通信班と共同で通信に勤しみ。
医療班は倉庫から薬剤などを取りに走る。
ダヴィンチは通信班と合流しロマニは自分に用意された席に腰を下ろした。
ティエールから馬車が発車したのは達哉たちがここに来る一時間前位の事であった。
ボルドーから退避してきた難民の護送と誘導が使命であるからである。
「それが、こんな状況になるんてね!」
「アマデウス!! お願いだから。音楽に集中してちょうだい!!」
荷馬車の上に膝をつきながら宝具の鎮魂歌を奏でつつ。『キャスター・アマデウス』は悪態をつく。
それに。状況が状況ゆえに、さしもの『ライダー・マリー・アントワネット』も何時もの余裕を投げ捨てる様な棘のある口ぶりで。
自身の宝具である硝子の馬を制御し、間接的に荷馬車を制御する。
余裕が全くないのも、襲い掛かってくる亡者共を馬車で引き潰しつつ制御し、空の飛竜は己のペルソナで叩き落しているからである。
そして何故、二人がペルソナを使えるのかというと生前。彼らもまた影の試練に挑んだものだからだ。
その果てに勝利を得たものの・・・歴史は変わらなかったが。
それは置いて置いて
マリーのペルソナは戦闘能力はあるが。
アマデウスのぺルソナは音楽を奏でることと索敵に特化しているタイプであるから。
必然的にマリーに負荷が集中するのは必然と言えよう。
「エリザちゃん!! 準備は!!」
『プロデューサー・・・私もう喉限界なんだけれど…』
馬車内で待機している、「ランサー・エリザベート・バートリー」は涙目になりながら言う。
彼女は生前、残虐極まる性格だったが。月での出来事やら、此処フランスに居る、”もう一人の自分”の事もあって。
抑止の側として、開戦初期から参加している。
彼女は歌が下手だ。
アイドルを自称しているくせに技法も音性も持っているくせに。
何故か下手な歌しか歌えず。
きちんとした設備があれば、その歌声は音響兵器として機能するくらいに下手だ。
故に、フランスを現在防衛している、ジル・ド・レェ元帥は状況の打開の為。
エリザベートの歌を音響兵器として転用。
彼女自身が所持する宝具とアマデウスのペルソナとチューニングもあり。
聖剣顔負けの広範囲殲滅兵器として機能するのだ。
さらにそこにマリー・アントワネットが加わり、硝子の馬に馬車を引かせ、二人を乗せることによって。
高機動型音響兵器車両へと変貌を遂げていた。
「泣き言、言わないで!!、次行くわよ!!」
マリー・アントワネットも余裕はない。
自覚はしている、自分はある種の配慮ができぬ人間だというのも。
第一こういうのは畑違いだ。
けれどそれを踏まえた上でやらねばならないということは。
あの事件で嫌というほど体験している。
『マリーさん!!、このまま突っ込むんですか!?』
もう一人の同乗者がマリーに問う。
このまま突っ込むのかと。
「ええ突っ込むわ。エリザちゃんの歌は亡者の人達には効果が薄いわ、ジャンヌ、準備をお願い!」
『了解しました!!』
もう一人の同乗者である『ジャンヌ・ダルク』を本人が呼び捨てでいいと言ったので。
マリーは呼び捨てで呼びつつ。
戦線に参加するように指示する。
同時に、向こうの戦線も見えてきた。
火球やら氷塊が乱れ飛び、亡者や飛竜共を叩き落す。
光の刃が亡者共を薙ぎ払い、振るわれる槍と十文字槍が亡者、飛竜を区別なく、穿ち殺す。
「アマデウス!! ステージ準備は!?」
「完了さ!!、いつでも!!」
「ならアゲて行くわよ!!」
マリーの開幕宣言にエリザがマイクに声を叩き込むように歌った。
「・・・ッ」
達哉はフラリと頭を揺らしながら立ち上がった。
凄まじい歌声であった。
耐ショック姿勢をとってもこれほどの威力である。
優れた感覚器官をもつ飛竜はそれだけで絶命し。
バタバタと空から落ちてきていた。
直撃を食らった亡者共も動きが鈍る。
「アー、ツゥ・・・亡者にも通用する叫び声ってなんなのよ・・・」
オルガマリーも頭を振るいつつ、立ち上がりながらぼやいた。
亡者などのフレッシュゾンビ系のエネミーはそれこそ。殺し辛い。
肉体の損傷を意に返さぬゆえにだ。
だからこそ頭部を切り飛ばしただけでは動き続ける。
サーヴァントやペルソナ使いであれば持つ武器に神秘が宿るので殺せるし。
スキルや宝具で薙ぎ払うくらいの火力は出せるが。
現代魔術などで屠るとなると、それこそ火葬場クラスの火力が必要になる。
つまり亡者をホイホイ倒せる、サーヴァントやらペルソナ使いの火力がおかしいだけで。
普通ならば専門家を呼んで対処しなければならないのである。
それが普通の魔術的常識から照らし合わせて。
音響で対応するとなると、どれだけの聖歌楽団を呼ばなければならなないのかといういう物になるのだ。
改めてサーヴァントの驚異的性能に戦慄する、オルガマリーを他所に。
達哉は念話で被害状況の確認を急いでいた。
「マシュ、書文さん、宗矩さん、森さん、クーフーリン、全員無事か?」
『私たちは無事です、現在、亡者を掃討中です、それで難民の皆さんも今の衝撃は噂で知っているようでして。動揺は少ないです』
マシュは自分たちは無事だという
書文も偵察に徹していた為、問題は無いというが・・・
『わりぃ、達哉、こっちは森が気絶した。』
「森さんが?」
『今の今まで忘れてたがよ、こいつはバーサーカーだ。マスターの指示は兎にも角にも・・・、不明勢力の言うことなんぞ信じられんわな』
クーフーリンの言いようは、長可からすれば当然と言えよう。
横破りなんぞ戦場では。当時当たり前であったからだ。
信用すれば自分どころかマスターさえも死ぬかも知れぬと言う可能性がある以上。
彼としては従う分けには行かなかった。
己が死することになろうとも。
と言っても気絶だけで済んでいるのは。
流石、森長可と言ったところであろう。
「クーフーリンは戦線を維持。俺と所長が前に出る。マシュ、宗矩さんと一緒に難民を前進してくれ」
『了解しました』
『心得た』
達哉の指示に両者が同意し難民と共に前進するを始める。
達哉とオルガマリーは前へと出た。
相変わらず、飛竜こそすべて叩き落されたが前方は亡者の群れだ。
「それでどうするよ?」
「スキルで薙ぎ払う、飛竜に比べれば楽だ」
長可の巨体を軽々背負いつつ、クーフーリンが近づいてきて達哉にどうするかを問う。
達哉は即座に宝具ではなく自身のスキルで薙ぎ払う事を選択した。
宝具は切り札である。
魔力消費をカルデアの電力施設で賄っているとはいえ。
それでも足りない部分は達哉たちが負担している。
無駄な損耗は避けるべきである。
自力で倒せるなら、自力の方がいいという判断である。
飛竜より遥かに亡者の方倒しやすいゆえにだ。
「・・・体力は?」
冬木での戦闘で見た達哉の姿はクーフーリンからしてもギリギリであった。
故に問う”持つのか?”と。
達哉は苦笑しながら問いを返した。
「気力も体力も充実している。大丈夫だ。」
「なら言うことはねぇわな」
達哉のいいようにクーフーリンも同じように苦笑で返し一歩下がる。
達哉の背後にアポロが具現化した。
両手に宿る炎が燃え上がり。
「マハコウガオン!!」
突っ込んできた馬車が、亡者の群れを吹っ飛ばしつつ。
その御者台に座っていった。少女がペルソナを呼び出し、槍状に形成された光を無数に射出し。
亡者を薙ぎ払う。
これには突然のことに達哉もクーフーリンも呆然とした。
いくら広範囲殲滅系のスキルがあるとはいえ。
突っ込んでくるとは思わなかったからだ。
「無事かしら? カルデアの皆さん、騎兵隊の到着よ」
独特な帽子を衝撃波などで飛ばないように抑えつつ少女が立ち上がり。
優雅に微笑むのだった。
「そう・・・」
ジャンヌ・オルタは興味なさげにジル・ド・レェからの報告を聞いていた。
難民を追って。
偶発的にであるがカルデアを発見し。
戦力を、搔き集めて強襲させてまでは良かったが。
カルデアの面々も手ごわく、そこにティエールを防衛するサーヴァントが合流したことによって。
逆に殲滅されて取り逃がしたというのだ。
普通のジャンヌ・オルタであればキレていただろうが。
彼女は起こることもなく淡々と事実を受け止めた。
「周防達哉は影に挑んで勝利をもぎ取った男よ。たかがワイバーン風情でどうにかできるとは思ってはないわ」
ニャルラトホテプに見せられた現実のうちの一つ。
罪と罰の物語。彼女が最も見入った人生を歩んだ男だ。
故に飛竜ことワイバーンとゾンビの群れを逐一投入という戦術上の愚行を犯した上での危機なんぞ。
サーヴァントたちが居なくとも跳ね除けるだろうと。
ジャンヌ・オルタは信じていた。
世界を滅ぼしかけ救った。
あの青年がこの程度で屈するはずがないのだと。
「ジル、至急に各所から戦力を集めなさい」
「は?」
「聞こえなかったの? 全勢力を集結、ティエールに攻め込むわ。」
ギチギチとジャンヌ・オルタの身体が音を立てる。
聖杯を直接取り込み。
死者の増悪を吸収し続け。
呼び出したサーヴァントとの霊基の同調による過負荷だ。
指一本動かすことさえ。普通のサーヴァントであれば無理なのを、報復心で彼女は動いている。
言い難い激痛が動くだけで走っているだろうに。
彼女は慈母の如き微笑みを浮かべながら。
決戦を挑むと宣言したのである。
「一ヵ所にまとまるしかないとはいえ、実に都合がいい、全部、終わらせてあげる」
都合がいいと微笑んで。
次には魔女のように嗤っていた。
「理解者は多い方がいい、だよな? ”たっちゃん”」
同時に、影を色濃く残している、須藤竜也が二人の見えぬ位置で嗤っていた。
今回は戦闘回
ティエール以外陥落という崖っぷち&初手ワイバーン亡者地獄。
そして、いきなり通信途絶という状況にテンパるカルデア組。
炸裂する、アマデウス&マリープロデュース、エリちゃん砲とフランス組とカルデア戦闘班との合流。
邪ンヌ、短期決戦で押し込む決意をする
そんな感じでお送りしますた。
たっちゃんも体力的にかつ精神的に余裕があるので他のペルソナも使用する。
オルガマリーは先の模擬戦で覚えた本作オリジナルかつ、新スキルの「マハコウハザン」を使用しています。
ちなみに一応の予定としては次回、カルデア組や現地住民コミュとフランス組とのコミュを行い。
その次にティエール防衛回をやってから、第一特異点攻略回となる予定です。
まぁ仕事が・・・いまだに良くならず。エタる危険性も高く
最悪、この物語の肝である、ニャル様無双回予定のオガワハイム特異点編と、たっちゃん最終特異点編だけでも先にやるかもしれません。
ご了承ください。
おまけ
現在のたっちゃんとオルガマリーの装備
たっちゃん
武器 正宗。マリスビリーの蔵から拝借した名刀。本物である。
防具 カルデアの野戦服。第二部のぐだ達の装備と外見はほぼ一緒であるが、継続能力に主眼を置いている。ダヴィンチちゃんが夜なべして作ってくれた代物。
アクセサリー 約束のジッポ
所長
武器 魔銃 コルトパイソンをベースにダヴィンチちゃんが作ったもの、威力はガンドより低い物に見えるであろうが、実際の威力はこちらの方が上。
防具 アトラス院制服、所長仕様、ペルソナ使いになったオルガマリー用にダヴィンチちゃんが調整した代物。見た目はオルガマリーの私服。
アクセサリー 宝石のブローチ