Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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君がミスると患者が死ぬぞ。しかし君が死ぬわけじゃない。落ち着くんだ。

白い巨塔より抜粋


三節 「再会の喜び」

ラーマは雁字搦めにされベットの上に拘束されていた。

手足だけではなく関節が絶妙に動かないように幾重にも拘束されている。

理由はただ一つ、普通に拘束したら逃げられるからだ。

だから動きの起点となる場所も徹底的に縛られていた。

その時である、ネロ以外の来客が来た。

日焼けした肌に腰まで下ろした癖毛のある髪、絶世の美貌。

法衣でも身に纏っていれば恰好も付くかもしれぬが着ているのは現代的白衣だ。

チグハグ感が否めない。

 

「うぁ・・・話には聞いていたけれどこりゃ酷い、よく生き残れていたね」

「気合いだ、それでそちは?」

「ボクかい? 僕はカルデアの医療統括のロマニ・アーキマンだ。君を治療しに来た」

 

男ことロマニ・アーキマンはそう言う。

そして後ろからまた一人見知らぬ女が入って来た。

 

「ラーマの容体は?」

「あまりよくありません、ギリギリ間に合ったというべきでしょう、良く此処まで気合で持たせたと言うか・・・」

「そう・・・ラーマ、聞こえている?  抑止知識であるかもしれないけど私はカルデアの所長のオルガマリー・アニムスフィア、以降よろしく」

「あ、ああ」

「私達はアナタの治療法と呪いの解呪方法を持っている」

「なに!?」

 

ラーマにとって現状、この致命傷より忌々しい妻と出会えぬというバーリの妻の逆恨み染みた呪いである。

それは座に至っても蝕み、一向に妻シータとの再会が叶わないときている。

普段であればどちらかがラーマとして呼び出されるのだが。

ここは特異点、ラーマもシータも呼び出され再会のチャンスが巡って来た。

だが再会すればどちらかが消滅する状況である。それでも一声、言葉を交わしたいと思い、

ブチ切れフローレンスに拘束され現状に至るという訳だ。

そして自分自身の呪いを解呪できる方法を持っているというものたちが来てくれたのだ。

 

「出来るならすぐに!!」

「条件があるわ、シータの救出作戦も行うから、アナタたち二人にカルデア&レジスタンス同盟に加わって欲しいの。それを飲めるってんなら治療と解呪を受け持つわ」

 

ラーマの人格はロマニを通してオルガマリーも聞いている。

恩を感じたのなら協力してくれる良き人だとも。

だがオルガマリーは無償の忠義だとか恩返しとかは理解できても、それを信用するのは身内だけだ。

ラーマはオルガマリーにとっては外様なのだから、一応の保険はかけておいた方が精神的に楽という奴である。

 

「飲もう・・・」

「なら良いわ、話しが早くて助かる。ロマニ」

「分かっているよ」

 

ロマニが注射器を持って注射器に魔力を込めて神秘を付属させる。

これで普通なら注射器の針は通らぬが神秘性を付属したことによって採血が可能になった。

ラーマに暴れないでくれよと声を掛けつつ腕から脈に奇麗に注射し採血を行う。

 

「これで良しっと。後は必要な物をカルデアから送ってもらうだけだ」

「本当にできるの?」

「やれなきゃ話にも出してないよ。霊核の培養と換装くらいお手の物だ。ラーマ、君の手術は一時間後を予定しているそれまで耐えてくれ」

「言われなくとも」

 

そう言う言葉を交わしてロマニとオルガマリーは場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃーしんどい・・・」

「お疲れ様、織」

「あんがとさん、ある意味戦闘より疲れるわ」

 

ベンチに深く腰掛け餅のようにだらーんと伸びる織にキンキンに冷えたスポーツドリンクを達哉は手渡す。

織も達哉と同様トリアージを取っていたが。

病気を殺せる患者の病気を直死の魔眼で殺しまわっていた為、

脳に疲労が発生していたし疲れていた。

 

「達哉の方も大変だったみたいじゃん」

「ああ要らない戦闘だったよアレは」

 

確かに不要な戦闘だった。

死狂いに付き合う道理無しという奴である。

アマネと違って弁えていないタイプだったからだ。

最高の戦場を見つけたら一直線、敵も味方もない唯々死ぬためだけに襲い掛かってくる。

只々無意味に死ぬのは御免だ。最高の意味が欲しいと死に最悪の形で答えを求めるタイプである。

そう言う奴に限って実力やら能力やらが伴い、強く、手強く、死を恐れぬから想定の範囲外の事すらやってのける。

相手にしたらまず最悪の手合いだ。

だが一種の最高のシチュエーションを求めるのは分かり切っているので実は戦場の誘導自体は簡単なのだ。

最高のシチュエーションを用意してやれば向うから勝手にやってくる。

其処を理不尽を押し付けて皆で袋叩きにすればいい。

最悪、リバース・イドの使用も視野に入れていた。

理由はただ一つ。スカサハは槍術だけではなくあらゆる武芸に精通し魔術の深奥にも通じている。

ランサークラスでキャスターレベルのルーン魔術を行使可能と来ていた。

クー・フーリンが居ればよかったが、今彼は絶賛、半死半生のフリをしているので無理で。

故に次は空間転移などの魔術で逃げられないようにリバース・イドの力で封じ込める。

ユニオギアスでスカサハの存在強度自体を弱め、ヴォイドフォールで空間封鎖を行い。

マシュのイノセントダストとカルナの梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)で消し飛ばす。

それでもクー・フーリン曰く第二形態があるかもしれないとの事だった。

流石にマシュのイノセントダストとカルナの梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)直撃したら霊基なんて第二形態に移行する前に消し飛ぶとは思うが万が一もある。

これはゲームではないのだ悠長に相手が第二形態に移行するようなことが分かっているなら、

そうなる前に確殺する。その時は織の出番でもあった。

所謂直死の魔眼の出番でもある。

 

 

「・・・」

「どうした? 織?」

「いやぁ、めんどくせぇーって思ったけどオレも大概人の事言えんかったわ・・・」

「???」

 

織はスカサハの面倒臭さにため息を吐こうとして沈黙し、

誰も殺したことがない殺人鬼なんてやっていた自分も大概だなと沈黙。

いきなり沈黙した事に達哉は心配そうに声を掛けて、

自分も大概とぼやきつつ達哉を困惑させる。

 

「じゃ、スカサハが出てきたときは止め役はオレか・・・」

「そうなる。第二形態にさせる訳にはいかないからな」

 

第二形態もあるとなると、最早織の直死の魔眼が頼りだ。

ムド、マハ系が通ってくれるのならそれに越したことはないが念のためである。

何度も言うがゲームとは違うのだ。攻略法が分かっているなら第二形態に移行さずに殺し切るのは当たり前である。

死にたがりにくれてやる慈悲も余裕も余韻も今のカルデアにはないのだから。

あとクー・フーリン曰く、『直死の魔眼が解説通りの仕様なら師匠は死線だらけだと思うぜ』との事。

どこからでも攻撃さえ当てれれば即死が狙えるかもしれないとの事だった。

これには理由がある、まず魂が腐りきっている事。第二にそれに引きずられ自死因子が活性化している状態との事だった。

如何に不老不死を得てもそれに耐えられるように人間は出来てはいない。

特にスカサハは後天的不老不死だ。もう限界だろうとの事だった。

だから直死の魔眼で見れば死塗れであろうことは予測できることだった。

 

「さてそろそろかな・・・」

 

それはさて置いて置いてとバングルの時刻表を達哉は見る。

手術開始30分前だった。

そろそろ配置につかねばならない時である。

 

「本当にできんのか?」

「どっちが?」

「両方だよ」

 

織が珍しく不安げに達哉に問うた。

まずラーマの呪いを見るという事だ。

死を理解しなければ直死の魔眼で見ても死を読み取れない。

高度な物であるほど読み辛い。神が練った呪いとかはその類だ。

座という死後にですら適応される高度術式を見れるか織は疑問だった。

そしてもう片方は霊核の移植手術の方である。

此方も大概だ。

なんせ麻酔無し、理由としてはラーマは気合と根性で現界している状態だからだ。

意識を失えば即座に消滅する。

麻酔無しで心臓移植手術をするようなものだ前程からして破綻しているのだ。

まずショック死するだろう。だが心臓が半壊状態とも呼べる状況で現界してきたのである。

理論上はやれるが心配にもなろうものだ。

此処には現代設備が無いのだから。

そんな重い話題しか出てこない二人はため息を吐く。

手術の要は達哉と織に掛かっている、この二人がラーマに掛かった呪いを殺さない事には話が始まらない。

 

「サポートは沢山いるんだ出来るさ」

「だな、気に病んでもしょうがないか」

 

何時までウジウジ気にしていてもしょうがないと達哉の後に織がベンチから立ち上がり。

集合場所へと向かうのだった。

一方のロマニは、まずは霊核の培養を行っていた。

カルデアから転送してもらった万能細胞を使って作られた心臓と血管を。

ロマニが魔術と採取したラーマの血液を使ってラーマの霊基に合わせる。

縫合糸もラーマの霊基パターンに合わせた特注品だ。

これもよくなじむようにロマニが編んだ物だ。

これで必要な物は揃った。

後はラーマの気合を信じる他ないと思う。

 

「出来た? ロマニ」

「はい所長、何とかこれで行けると思いますよ」

「にしてもチートね。万能細胞を置換魔術使って霊核に仕上げて見せるなんて」

「原理は意外と簡単でしてね。菌の寒天培養みたいなもんなんですよ。万能細胞にサーヴァントの霊基パターンが乗った物を移植して置換魔術で培養し変異させる」

「アオザキが聞いたら関心するかキレるんじゃないかしら?」

「現代最高の人形師にそんな反応されるならボクの腕も捨てたもんじゃないってことさ」

「それにしても良いの? 現代医療だと心臓移植は一旦人工心肺につなぐみたいけど?」

 

ロマニの所にきて進捗を聞いたオルガマリーが問いただす。

霊核移植は心臓移植と変わらない。

移植完了まの代用品としての人工心肺が必要となるが・・・

ここでサーヴァント特有の神秘が乗った物以外は通さないが邪魔をする。

それ以前にこの特異点の時代じゃ人工心肺を駆動させる電力供給が無いし、

手術室ごとレイシフトなんて不可能だ。

第一。

 

「もう殆ど彼の霊核は機能していない」

「・・・それマジ?」

「ええ、気合と根性で現界している・・・ ここは彼の精神に賭けるしかない」

 

クー・フーリン・オルタのゲイボルグを喰らったのだ。霊核ほぼ機能停止状態。

良く生きている状態である。もうあれだ。気合だとか根性だとかシータに対する愛への一念で何とか保っているような物。

今更、機能停止状態の霊核を引っこ抜いた所で機材が無くても移植までの間は持つだろうという計算だった。

 

「じゃぁ・・・」

「始めましょう」

 

手術が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず説明すると麻酔無しでの手術となる、君の意識が落ちた時点でアウトだ。落ちた場合の事を考えてはいるけどあまり過信しないでくれ」

「分かった」

 

麻酔は意識を落とす=気合と根性が途絶える=消滅を意味する。

故に麻酔は使えない。ここから予定の一時間は耐えてくれと言う他ない。

万が一意識が落ちた場合の手段は用意してあるが微妙な保険程度だ。

過信は禁物すぎる。

激痛で舌を噛みましたと言うのもアレなので猿轡を噛ませて。

身動きがより取れなくなるようにがっちりと拘束。

 

「じゃまずは織と達哉君頼むよ」

「「分かった」」

 

まず第一関門、呪いだ。

ラーマが生前に受けた呪い。これは取引上で必要だから殺すだけ。

第二の呪い、つまるところクー・フーリン・オルタの槍の呪いの方が問題だった。

所謂、ロンギヌスと似たような効力を持ち回復などを阻害している。

これがあるだけで移植手術は行えない。

だから織に殺してもらう必要性があった。

 

「槍の呪いの方は辛うじて見えるが・・・別離の呪いの方は見えねぇぞ・・・」

 

ナイフを逆手に持って死を読み取る為、身を乗り出し織が霊核を覗き込みつつそう言う。

クー・フーリン・オルタの槍の呪いの方は辛うじて読み取れるが離別の呪いの方は読み取れなかった。

よほどの執念で練り上げられたものらしい。いやはや恐ろしきかな神代の呪い。

 

「予定の範疇だ。行くぞ織」

「おうさ」

 

達哉の予定道理という言葉に織が答える。

元々予想の範囲だ。ならば死が読み取れるように魔眼を一時的に強化するのみ。

 

「来いルシファー。オメガクラスタ」

「同調、直死」

 

達哉の背後にルシファーが出現しオメガクラスタを起動。

その最高位の闇属性スキルと織の直死の魔眼が同調し一時的にランクを跳ね上げる。

織の瞳が万華鏡の如く虹色に変化するようになった。

 

「っ」

 

だがそれは無茶をしているという事である。

幾ら「」に繋がっているとはいえ、脳には限界と言う物があった。

具体的にはスポーツカーに航空機のジェットエンジンを積む行為に等しい。

瞳から血涙を流しつつ織はそれでも死を探る。

ラーマとシータ、ある意味、式と幹也のありえたかもしれない可能性だったから。

そんな結末など認めないと気合を振り絞る。

 

「見つけた」

 

そして死線を見切る。

後は殺すだけだが、これが非常に難しい。

此処までの過剰強化をしても細い糸しか見えない。

下手に外せばラーマへの止めとなるかもしれないからだ。

ラーマは猿轡を噛みしめ一寸たりとも動かぬが。それでも多少身じろぎされたら外せる。

あと自分の手の震えが止まらない。もし外したらと言う想定が手を振るわせる。

殺すことより生かすことが難しいとは聞いていたが、これほどまでに心冷える物とは思っていなかった。

 

「行くぞ」

 

だが一歩踏み出さねば一向にこのままだ。

覚悟を決めて息を殺しなるべく手の震えを抑えて、逆手に持ったナイフを振り下ろす。

 

「――――――――」

「どうなった? 織?」

「何とか殺せたよ」

 

達哉の問いに血涙流しつつため息を吐きながら織は額の汗を袖で拭いながら言う。

離別の呪いは殺せた次は槍の呪いだが。

此方は。

 

「こっちは簡単だな」

 

一時的にランクアップしているので、槍の呪いは太く見えている。

離別の呪いと比べればケーキカットするようなものだった。

即座の死線を突き刺して殺す。

それと同時にスキル同調が切れて瞳の色が元に戻りつつへたり込む。

織の顔色は紅潮し茹蛸みたいになっていた。心なしか汗が蒸発し頭部から湯気が出ているようにも見える。

明らかなオーバーヒートだ。

達哉は織に冷えピタを貼ってやり、良く冷えた水に浸し絞ったタオルを顔面に掛けてやる。

だが達哉も他人ごとではない。相性最悪のルシファーを使ったのだ。燃料切れだった。

という訳で達哉と織の仕事は終わり二人が室内から出て行く。

とすれば後はロマニ達の仕事だ。

魔術、ペルソナ及びサーヴァントスキル、宝具全開で滅菌と人工心肺を代用しつつラーマを生かしつつ手術を行う。

執刀医はロマニ及びエリザベート、麻酔医代わりにオルガマリー、オペ看は無論の事ナイチンゲールだ。

そして手術が執行される。

兎に角時間が無い。ロマニとエリザベートの手際は良い。

ロマニは兎にも角にもなぜエリザベートがこんなに手際が良いのかと問われればすごく単純だ。

生前は拷問趣味の殺人鬼だったのだ。

どれだけ痛めつけるか、体をどうすれば苦しんで死ぬかとか、刃物使いとかはお手の物。

其処に現代医療知識さえ加えれば、何をどう切除し何処をどう止めればどうなるかは理解できる。

生前の暗黒面が役立つとはエリザベートも思っていなかったしやって置いてよかったとは思えないが。

今は役に立つと苦虫を噛みつぶしたような表情で兎に角手を動かす。

そして摘出は無事終了する。だがそれで終わりではない。

次は移植の本番だ。カプセルから人口霊核を取り出し各血管と繋いでいく。

 

「時間予定よりなさそう」

「マジ?」

 

冷や汗長しつつオルガマリーがそう言う。

彼女は魔術やペルソナスキルを通してラーマの現状を感じ取れている。

霊基の分散速度が予想よりも早い。

幾ら回復系スキルを掛けてもだ。

 

「なら多少のリスクは承知の上でスピードアップするよ」

「えっちょ・・・私これ以上は早く出来ないんですけど?!」

「それは安全マージンを取った上でのことだろう? ここからはリスクありだ」

「ああもう!! やってやるわよ。荒く行くけど。恨まないでよね!!」

 

此処まではロマニ的には一応の安全マージンを取ってのことだ。

エリザベートもそれを払いスピードをアップさせる。

だがそれでもロマニのスピードには及ばない。彼は緊急医療経験者だ。

カルデアに来る前は戦場で治療活動をしていたのだ。

安全マージンさえ払えば、カルデア最速の医療技量を誇る。

それについていけるフローレンスも凄腕だろう。

彼の指示に答えている。

寧ろ先読みして器具やらの準備をしている。

流石はフローレンスであるとしか言いようがない。

そして・・・

 

「各血管縫合終了」

 

ロマニの言いようと共に全員がへたり込む。オルガマリーは過度な魔力消費と精神力消費で立ったまま気絶した。

 

「余は力を抜いても良いのか?」

「いいやそのままで、所長は無理そうだから、フローレンスは達哉君を呼んできて。あとまだ一応繋いだだけだから霊基四散とかはしないかもしれないけれど万が一がある。達哉君のスキルで繋いで貰ってから気を抜いてくれ」

 

本来なら縫合後の接続もオルガマリーの役目だったが。

予想以上に霊基崩壊速度が速すぎて限界以上に魔術回路及び刻印にペルソナを酷使した結果。

先ほども述べた通り立ったまま気絶していた。

万全には万全を喫するべきなので縫合しても一応回復スキルは掛けておきたい。

という訳で一旦退室した達哉に白羽の矢が立った。

フローレンスが呼びに行こうとして部屋を出ると、万が一があるかもしれないとベンチに達哉が座って待機していた。

ついでに織もベンチに横になり目の発熱が収まらないのが瞑った瞼の上に冷水に浸したタオルをかぶせ二枚目の冷えピタに手を伸ばすところだった。

 

「終わったのか? 予定より早くないか?」

「ええ、ですが最終工程をオルガマリーが行う予定が、ラーマの霊基崩壊が思ったよりも激しくて無理したみたいで気絶してます。安全圏までは現状離脱してますが、そのためオルガマリーが行う予定だった最終工程が出来ていません」

「代わりをしろと?」

「はい」

「わかった」

 

フローレンスの状況説明に達哉は了承。

ポーチからチャクラポットを取り出し一気に飲み干して精神力を回復。

手術室に入る。

そこには立ったままのオルガマリーが白目向いて気絶していた。

 

「あーフローレンスとエリザは所長運び出して」

「「了解」」

 

そしてロマニの指示によってフローレンスとエリザベートの二人掛かりによって運び出されていくのを尻目に、

達哉はアムルタートを呼び出し、念のためリカームを掛け次に本命のメディアラハンを掛ける。

 

「お、おお!?」

 

途端にラーマが驚愕する。

霊核を繋ぎなおしたときにも気力が戻って行く感じはしたが、

まだ霊核が馴染んでいないと感じていた。

普通ならサーヴァントである為、完全な癒着まで三日ほど掛かるが、

それでも十分に鼓動を感じ取っていた。

だがしかし達哉の回復スキルによって癒着が加速し生命を此処に取り戻す。

今すぐ動いても良いくらいだとラーマは思ったが。

 

「カルデアでのスキャニングが終わるまで安静です」

「はい・・・」

 

直ぐに動き出そうとしたラーマの妻のシータがマジ切れした時より恐ろしい笑顔でフローレンスが制止し黙って聞く他なかった。

念には念を入れて縫合の上に回復スキルまで掛けたが、

万が一がある。此処はカルデアのスキャニングによる精密検査の結果が出てからでないと動かせない。

何故なら中途半端に癒着し、全力稼働時に中途半端故に外れましたなんてことは洒落になっていない。

だからカルデアの方でラーマを精査し、医療部の議論が終わってからこそラーマは動けた。

因みに拘束具を外さないのもラーマが暴走して単騎特攻しないようにである。

何度も言う通り愛とか恋とかは狂気の一種だ。

油断はできない。

そして・・・

 

「オルガマリィィィィイイイ~!!」

「ああもう!! 気にしてないから落ち着きなさい!!」

 

ネロがオルガマリーに抱き着いていた。

そりゃもうわんわん泣きながら抱き着いていた。

よほどのトラウマだったらしい。もっとも親友を殺しかけるなんてなったら誰でもトラウマになる。

現にあの状況、達哉とマシュが居なければ死んでいたのだから当たり前と言えば当たり前だ。

あと強引且つ決死の説得だった為、オルガマリーにも罪悪感がある。

いわば、自分を脅迫材料として説得したようなものなのだから当たり前だろう。

助けてと達哉とマシュに視線を送るが。

 

「いやあの時の無茶は無い」

「先輩に同意です、肝が冷えましたので」

「「自分でどうにかしろ/してください」」

「薄情者ぉ!!」

 

そう言って達哉とマシュは当人たちの問題だからとオルガマリーの支援要請を蹴った。

確かにアレは無茶苦茶だった。

刺しに行かれること前程での説得と献身なんてショック療法にしかならない。

あの時はそのインパクトを持って解決したが、

全員がオルガマリーを心配したものだった。

という訳で、感動の再会となった? 訳で10分掛けてオルガマリーはネロを説得。

引きはがすことに成功したのである。

そして場面は会議室に移る。

 

「さてシータ奪還作戦についてね」

 

司会進行は無論、オルガマリーだ。

 

「あの・・・余が言うのもあれだが。余の私情を優先して貰って良いのか?」

「良いんですよ、ラーマさん、そういう契約ですし」

 

おずおずと手を上げながらラーマが控えめに言う。

ラーマから見れば自分の私情優先で付き合ってもらっているように見える。

余計な遠回りをさせているようで気分が悪かった。

だが気にするなとマシュがフォローを入れる。

そう言う契約であるしシータと言う戦力は喉から手が出るほど欲しい。

ACとかいうロボット軍団はそれだけ脅威だ。

 

「兎に角、孤島のアルカトラズにわたる方法の方が問題だろう。ACや狗兵が居るんだ。ロマニの言う通り船を貸してくれる人すらいないかもしれない」

 

話しが脱線しつつあると達哉が軌道修正を掛ける。

アルカトラズは有名な監獄であり脱獄不可能と言われていたのは四方を海に囲まれ警備も厳しかったからだ。

なおそのせいで維持費は通常の刑務所の約三倍、物資及び食料を調達するにも船を使わねばならずさらにコストがドンと乗り。

其処に老朽化と言う追い打ちが掛けられ。

1963年にロバート・ケネディ司法長官が封鎖を決定したというのが顛末である。

故に海を越えなくてはならない。

主要時間軸では立香たちに船を貸し出してくれた老人が居たが、

こっちではそも前提が違う。狗兵やACなどのエジソン軍が人狩りを行っているのだ。

人いるのと言う話である。

 

「まぁ最悪、船はかっぱらいましょう。緊急事態で文句も言ってられないし」

 

最悪、死んだら返すという名の盗難を覚悟するとオルガマリーは宣言した。

ただでさえ緊急事態なのだ超法規的措置という奴、あるいは必要な行為でしたと誤魔化すほかない。

 

「そう言えばアンタたち、なんで先を知っているように動いているんですかね」

 

ロビンはふと疑問を口にした。

明らかにカルデアの機器を超えた先手の打ち方をしてくる。

レジスタンスの知り合いを除けばメンバーさえも知っている。

実に不自然であると口にする。

 

「それは・・・ある意味でボクが人理焼却の元凶の一人だからさ」

 

ロマニが意を決したように言葉を紡いだ。

そうこの人理焼却は本来、ロマニが忘れていなければ起きなかった事なのである。

第一、この世界に主役である立香は居ない。

Aチームもコールドスリープされ出来る奴が居なかった。

それゆえに焼却が完了した時点で剪定事象として消去されるところだったのを

ニャルラトホテプやらなんやらが達哉をこの世界に放り込み剪定を逃れ、

人理修復の旅路が始まったのである。

そしてロマニの口から今までの経緯を聞かされ。カルデアメンバー以外はため息を吐いた。

 

「なるほど、裏でケイオスの同位体が糸を引いていると・・・」

 

ニャルラトホテプの化身であるケイオスと過ごしたことのあるフローレンスは右手で眉間を揉みつつため息を吐いた。

 

「確かに思い出さなかったアンタも悪いが・・・状況を悪化させているのは、そのニャルラトホテプって奴なんだろう。だったらあまり気にすることはないですぜ」

 

ロビンも普段の毒舌や愚痴は鳴りを潜めてロマニをフォローする。

如何に機会が与えられたとはいえ実質思い出すなんて不可能だ。

人間、そんなに強くない。正しい事を正しくやれる連中だけなら世界は簡単だったからだ。

 

「だがニャルラトホテプはオマエたちが討伐したんだろう?」

「奴は知生体の影だ。人間とかが存在する限り滅びることはない。あえて言うなら追い返しただけなんだ・・・」

「ふむ、そうなのか」

 

カルナはだが第四後、達哉、マシュ、オルガマリー、ロマニの手でニャルラトホテプを退けたから干渉は無いんじゃないかと言うが、

奴を倒すことは不可能なのである。

精々が覚悟を決めて殴り続け、阿頼耶識の底に沈めることしかできない。

それにこの特異点乱立するこの状況下と獣が関与している以上、即座に復帰してくるだろう。

だって特異点とか異聞帯だとか獣だとかは人類の影であるがゆえにだ。

 

「神取も実際は死んでいる。神取という人間の記憶を植え付けて再生し本人と寸分違わない存在になっている化身が現状の神取だ」

 

そう神取はセベクスキャンダルの時、ニャルラトホテプに利用されエルミンOBたちの手によって討たれ死亡している。

だから達哉が罰世界で出会ったのも神取本人を完全コピーしたニャルラトホテプの化身だ。

だがアソコまで寸分違わず本人を再現しているのであればそれはもう本人だ。

死者蘇生の御業と大して変わらない。

理論的には橙子の寸分たがわぬ自分自身が居るのなら自分が居なくなっても先に進む理論と一緒である。

さて話が脱線したので戻すことにすると。

 

「アレでさえ化身の一体に過ぎないってことだ」

「それ・・・げっそりとするんだけど」

 

第四を終え監獄塔、異聞帯、特異点を超えた先に居た推定本体でさえ化身の一つにすぎず。

再干渉既に始まっているのだとするとゲンナリするなと言うのも無理な話しだった。

 

「え、なに? そんな奴と戦争しているわけ? オタクら?」

「ええまぁ」

 

ロビンもこれには驚愕しそう言葉に出して達哉の答えに同情する。

人が居る限り終わらぬ戦い。未来永劫影は纏わりついてくるのだ。

有体に言って洒落になっていない。

それは誰だって同情すると言う物だ。

 

「それでケルトの方はどうなっている?」

「ウチのクー・フーリンが一体化しちゃっているから情報は筒抜けよ」

「保証は?」

「ウチの観測班のデータを見る限りという奴ね、これが書類」

 

クー・フーリン・オルタとクー・フーリンが合体して飲み込まれてはいないのかと言うカルナの確認の言葉に、オルガマリーは観測結果の書類を机上にスライドさせ見せる。

それを見てカルナも納得した。

 

「今、ケルト軍はクー・フーリンが動けないがゆえに動けない、メイヴの征服モチベーションもクー・フーリンの為ってところもあったみたいだからね、その張本人が動けない以上、ケルト軍に動きはない」

「そしてエジソン軍のAC部隊がある限り戦力集中を余儀なくされるという訳か」

「戦略としては間違っていないわ、戦力の分散及び逐一投入は愚の骨頂だもの」

 

ケルト軍は今、本拠地であるワシントンに戦力を集中させている。

これは何も戦略上間違ったことではない。

寧ろカルデアの戦術及び戦略体系が今まで可笑しかっただけの話で、

本来なら戦略的戦術目標を決めて戦力を集中投入させる方が普通なのである。

多面作戦なんて正気の沙汰ではない。

 

「だから恐らくシータはアルカトラズに居ないかもしれない、その時はワシントンに殴り込む、覚悟はしておいてね」

 

ケルト軍は既に守りに入っている。

戦力を集中している以上、アルカトラズに本来なら囚われているシータも居ないかもしれない。

だが情報が無い以上、まず安全な方から潰すのも常道と言う物である。

もしいなかったらワシントンに殴り込む。

元よりケルト軍も人理を乱す敵だ。

一応、交渉はしてみるが決裂した刹那に全戦力とあらゆる手段を持って叩き潰すのは当たり前であるとも言える。

切り札はあるのだ。それがブタになるか否かはカルデア、強いては達也たちの手腕にかかっている。

 

「それで選抜メンバーだが、俺たちの戦力は当然として、レジスタンスからはフローレンスを出してもらう」

「・・・それだけでいいのか? むしろもっと要求されると思っていたが」

 

達哉がレジスタンスに要求した戦力はフローレンスだけだった。

理由としては単純明快で。

 

「彼女はスカサハの気を引く好材料だ。こっちから外に出て行けばまず彼女は俺たちを狙う。次にレジスタンスには絶対落ちて欲しくない。難民の逃げ場や保護施設がなくなっては、人理定礎が悪化するからな」

「ふむ納得した」

 

ジェロニモは達哉の言ったことに納得する。

確かに人が減り過ぎても人理定礎の悪化は避けられなくなる問題だからだ。

だからカルナもあえて此処に置いて行く。

万が一スカサハが強襲してきても対応できるようにだ。

エリザベートは無論置いて行く。なぜならこのシェルター自体は彼女の宝具によって作られている物だからだ。

残るのは当然の事と言えよう。ロビンも早期警戒のため置いて行くことにする。

ロビンを連れて行くとしたらワシントンに殴り込みをかける時だからだ。

しかしスカサハがノイズ過ぎると誰もが頭抱えつつ、

その後、詳細を詰めて方針が決定。

達哉達はデミングからアルカトラズへと向かった。

 

「しかしどこもかしこも荒野ばかりね」

 

オルガマリーはアスモデウスのアクセルを踏み込みつつぼやく。

おおよそが荒野だ。薙ぎ倒された木々も目に映る。

 

「ACが暴れましたからね」

 

フローレンスは事も無げに言った。

10m前後、アニメであれば小型の人型兵器であってもそれでも巨大だ。

火力も凄まじい。それらが暴れまわれば森なんて一日で更地だ。

だからこうなって荒野やら荒地にもなろうものなのだ。

時間をかけ沿岸部に到着。

物陰にアスモデウスを移動し光学迷彩マントでアスモデウスの車体を隠し隠匿。

 

「ふぅ・・・三尻は洒落にならないな」

 

隠し作業を終わり達哉はそうぼやく。

バイカーでは有名な噂話だ、三尻していると事故ると。

確かにそうだろう、定員オーバーなのだからバランスも崩すと言う物だ。

 

「先輩。船、ドクターの言った場所にありました」

「人は?」

「残念ながら・・・」

 

其処にマシュがやってくる。船はあったそうだ。

だが村は荒らされ既に狗兵やACによって荒らされた後だという事を遠回りに言われる。

仕方が無い事だが達哉達だって人間だ。

全てを救えるほど手は広くない。

そして海岸線を挟みアルトカラズをラーマは眺めていた。

長年の希望が其処にあるかもしれないから当然の事だと言える。

オルガマリーとロマニはボートを引っ張り出してきた。

 

「確か・・・ロマニの知識によるとベオウルフが居るんだっけか?」

「今のこの状況下では分からないけどね」

「まぁ良いわ居るなら叩き潰すだけよ。皆行くわよ、スカサハが来ないうちにね」

 

スカサハがいつ来るか分かったもんではないからすぐに出立することになった。

ボートを漕ぐのは達哉とラーマである。

一番ステータスが高いだもの仕方ないねという奴だ。

アルカトラズにはそれゆえに早く着いた。

だが竜種の巣窟になっているはずのアルカトラズには竜種どころかベオウルフさえ居ない。

そう誰一人としていないのだ。

故に不気味な沈黙さえあった。

 

「タツヤ、マシュ、礼装の多機能解析モード起動。トラップに注意して先導して」

「分かった俺とマシュが先導する」

 

オルガマリーの指示を了承し、達哉とマシュが先導。

監獄へと潜っていく。

 

「確かロマニの知識だとこの先だったか」

「うんそうだよ、ってなんでラーマ緊張してるんだい?」

「いや、君たちを信用してないという訳ではないが・・・長年連れ添った呪いだ。解けているか不安でな・・・」

「確実に殺したから行っておいで」

「う、うむ」

 

そして。

 

「ラーマ様?」

「シータ!! 今ここから出してやるからな!!」

「えっあ、呪いは・・・」

「カルデアの皆がどうにかしてくれた・・・本当に感謝する、カルデアの皆」

「気にしないで。あと再会に水を差す気はないから、イチャコラが終わったら言って」

 

感動の再会に涙を流すラーマ。

呪いはどうしたのかと動揺するシータ。

この後、砂糖が口から出るほどイチャコラ始まるんだろうなとオルガマリーは思ったので終わったら声かけてねと一言だけ声を掛けて。

皆と警戒態勢を張る。

だが驚くほどに誰も奇襲を仕掛けてこなかった。

 

「ムニエルさん、レジスタンスとの通信回線を開いてくれ」

『了解』

 

達哉は念のためレジスタンスとの通信を開くように言う。

もしや向うが本命かと思ったのだが、

ジェロニモ曰く誰も来ていないとの事だった。

不気味なほど戦場は静かだった。

 

 




ちなみにオメガクラスタと魔眼の同調はオフェリアクラスでも負荷で即死します。
織の場合サーヴァントになっている事による身体能力及び処理演算能力の向上に「」と繋がっている為何とか出来ただけです。
あとなぜ神霊クラスの結界でも容易く殺せる直死の魔眼でもシータの呪いをオメガクラスタの補助なしだと殺せなかったのは純粋に呪いに込められた執念が違います。
だって英霊の座にまで及ぼしているもん離別の呪い、死を超えてなお引きはがせぬという事で死が読めない状況した。
つまるところ相性が悪い形ですね。其処にオメガクラスタによる補助でギリギリに見えるくらいには相性悪いです。
あとなんでラーマ、麻酔無し手術で無言を貫きつつ身じろぎ一つしないのかと言うと・・・刃牙の独歩ちゃんもドリアンに手首切断されて、麻酔無しの接合手術でピクリともしなかったんだから人間の上位である英霊なら当然の事です。
ただでさえ霊核が機能不全になっているのにシータへの愛があるならこれ位へっちゃらよラーマなら。
という訳でシータ回収の為アトラカラズへ。
エリちゃんは拠点防衛のために同行しません。
だって彼女の宝具がなみにオメガクラスタと魔眼の同調はオフェリアクラスでも負荷で即死します。
織の場合サーヴァントになっている事による身体能力及び処理演算能力の向上に「」と繋がっている為何とか出来ただけです。
あとなぜ神霊クラスの結界でも容易く殺せる直死の魔眼でもシータの呪いをオメガクラスタの補助なしだと殺せなかったのは純粋に呪いに込められた執念が違います。
だって英霊の座にまで及ぼしているもん離別の呪い、死を超えてなお引きはがせぬという事で死が読めない状況した。
つまるところ相性が悪い形ですね。其処にオメガクラスタによる補助でギリギリに見えるくらいには相性悪いです。
あとなんでラーマ、麻酔無し手術で無言を貫きつつ身じろぎ一つしないのかと言うと・・・刃牙の独歩ちゃんもドリアンに手首切断されて、麻酔無しの接合手術でピクリともしなかったんだから人間の上位である英霊なら当然の事です。
ただでさえ霊核が機能不全になっているのにシータへの愛があるならこれ位へっちゃらよラーマなら。
という訳でラーマとシータの再開はさらっと行きました。
だって戦力集中してるもんケルト軍。
エリちゃんは拠点防衛のために同行しません。
だって彼女の宝具がシェルター代わりになっているからね
なおシータを連れて来なかった事にベオウルフ、メイヴちゃんにめっちゃ叱られた。
そして次回シータ回収の為に例の二人がこっちに来るのでした。

あと次回も遅れまぁす!!
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