Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
運命とは命を運ぶと書く。
自分の命を自分で運んで、自分の道を開くしかない
坂井三郎。
「カルデアは罠に嵌った」
神取がアイザックへそう言う。
まずカルデアの戦力は貧弱だ。
常日頃火力が欲しいと言っていることからもそれは伺える。
故にラーマとシータは絶対確保しなければならない戦力だ。
ロマニの主要時間軸知識が当てにならない上でそう行動せざるを得ない。
故に罠を張ったのだ。
ACのお陰で今やエジソン軍は多面作戦をしても問題ないくらいに膨れ上がっているが故にである。
だからアルカトラズを奇襲した。
相手側は泡食って撤退。
シータも残したままだ。
それは問題ではない、シータも所詮はカルデアを釣り上げる餌でしかない。
「ACでも最精鋭を投入しよう。アイザック、人選は?」
「NとKが出ているよ」
「なら雑兵と狗兵と一緒に投入だ」
プチデヴァシステムとは転送だけに限定したデヴァシステムであり。
達哉達も使用履歴があった。
事前に達哉達がアルカトラズに行くことを知っていたが故に、
プチデヴァシステムを設置しておいたのだ。
「さすがにACはプチVOBでの直行になるがね」
だが同時時に達哉もプチデヴァシステムの知識はある。
外やら目立つ場所に設置しようものなら破壊するだろう。
第一プチの名が付く様にACレベルの物を転送することは視野に入れていない。
だからACはVOBと呼ばれる専用の装置を使ってここから直行させる。
VOBとはアイザックが生きていた世界で作られた究極の人型兵器ネクストACと呼ばれるものに使われていた強襲装置だ。
それを現行のACに使えるようにサイズダウンし使えるようにしたプチVOBと言ってもいいかもしれない。
「タイミング的にはもう発進済みかね?」
「ええ無論だよ」
距離的に既にAC部隊は発進済み。
「さてどう切り抜けてくれるかな?」
アイザックはコロコロと喉を鳴らし愉悦に表情を歪めた。
今までのACとは一味違うぞとばかりに。
全員が待機している。
と言うか監獄の探索と洒落込んでいた。
理由は一つ、第一特異点での須藤の件があるからである。
一か所に集まっていた時、つまり会議場で寝泊まりし皆が寝静まった瞬間に須藤を転送させ、
サバトマで悪魔が無数に出現し、須藤のリバース・イドが大暴れしたこともある。
シータだけ残して撤退とかも、メイヴの性格上ありえない。
良くも悪くも女王様気質と女神様気質が合わさったカオスな性格をしているのだ。
その上、性に奔放で欲しい物は男だろうと女だろうとヤッテしまう両刀だとも聞いている。
だがそれ以上に策謀家でも優秀だ。兵士や勇士を言葉巧みに手足の如く状況を操る女王。
決して舐めてかかって良い相手ではない。下手するとシータを餌にこのアルカトラズに誘い込まれたかもしれないと考えるほうが妥当だろう。
なお罠を張ったのは神取であり現状メイヴはナーバス状態になっている。
ここにケルト軍やワイバーンが居ないのも実際にはエジソン軍が一度制圧し何度も言うが神取がわざとシータだけを残し空城の計を発動中という訳である。
だから何もないのだ不気味なレベルで。
一方のメイヴはなんでシータと言う絶世の美女を連れて来なかったのかとベオウルフに八つ当たり中なのも知らない。
「本当なら体調を見て上げたかったんですが」
「フローレンス、そりゃ無粋でしょ」
「分かってはいるのですが強行軍ですからねラーマは、そしてシータは長期間監禁状態でしたし看護婦としては気になります。あとこの場でおっぱじめないかという懸念もマシュの教育に悪いので」
「いやーさすがにそれは無いでしょ、こんな黴たところでヤルなんて猿じゃあるまいし」
「でも彼の同盟者。ハヌマーンですよ、あと猿の軍勢を率いて14年戦争していましたし」
「・・・」
ラーマもシータも人間換算からすると病院に叩き込みたくなる状態だった。
ラーマはクー・フーリン・オルタの一撃を喰らい長らく霊核半壊状態。
カルデアが来てから霊核移植手術、それも強引にロマニの魔術と手術の腕と達哉のペルソナスキルで繋いだのだ。
最低でも経過を三日ほどは見ていたかったのがフローレンスの本音である。
シータは無傷だが長らく監禁状態だったのだ。加えてラーマとの事もある。精神状態が悪いかも知れない。
故に本来なら二人まとめて隣り合わせでベットに叩き込んでおきたい。
後長年の反動でおっぱじめないかも心配だった。
ないないとオルガマリーが猿じゃあるまいしと否定するが、
ラーマはハヌマーンと同盟し十四年間猿の軍勢引き連れて戦争してたんだぞというフローレンスの突っ込みに対し黙り込む。
「やめやめ、そう言う分別くらいあるわよ、きっと、ネイビー」
そう言う考えは無粋であるとして打ち切る。
一旦目の前のことに集中しなければならない。
今、カルデアは三方向に別れアルカトラズを探索していた。
達哉はロマニとマシュはロビンとオルガマリーはフローレンスと言う形である。
因みにフローレンスはカルデアから支給された銃器であるガリルACE52とLAR グリズリー武装している。
流石に素手とハンドガンだけでは火力が足りないとしてだ。
ロビンには手榴弾と魔法スキルストーンを手渡してある。
「それでどうです? なにか見つかりましたか?」
「礼装の多機能分析機能と探査魔術に探査ルーンを走らせているけど今のところは何も」
オルガマリーはペルソナのバックアップによりクーフーリンに教えてもらったルーン魔術も使える。
それを探査に役立て居るのだが一向に見つからない。
何もないのかと思った時。
『所長、マシュ、見つけたぞ』
達哉から通信が入る、何かを見つけたらしい。
「何を見つけたの?」
『プチデヴァシステムだ。ケルト軍じゃなくてエジソン軍の方が軍隊を送り付けて来る腹積もりらしい』
「なら破壊して今すぐ」
『了解』
プチデヴァシステムの事はカルデアでは把握している。
科学的に再現された物質転送装置だ。
罰の世界に置いて神取が新世塾の主宰の竜蔵の要請で作り上げた代物。
あるいはニャルラトホテプの噂結界で具現化した物である。
厄介なのは転送元と転送先の両方に設備を設置しなければならないという事であるが。
設置してしまえばどんな長距離も移動可能なのだ。
こっちが使えば敵陣に乗り込めるが、今はまだ不明な点も多い。迂闊に使って敵が待ち伏せでもしていたら目も当てられない。
故に壊す。なぜなら向うから兵員を送られても厄介だからだ。
それと同時に施設が多少揺れる。
「タツヤ、随分派手にやったみたいね」
そうぼやきながらオルガマリーも捜索を続行する。
何故ならまだプチデヴァシステムがあるかもしれないからだ。
達哉とマシュにも捜索続行を指示した時である。
「オルガマリー!!」
「ムギュ!?」
後頭部をフローレンスに捕まれ無理やりに伏せさせられる。
その瞬間、銃声と彼女たちの刹那の前に胴体があった場所を銃弾が通過。
ライトを取り落とし暗闇に赤の双眸が揺らめく。
「狗兵!!」
伏せたままの姿勢からオルガマリーはリペアラーを引き抜き、
狗兵の頭部をぶち抜く。
他の部位は固すぎてシグルドの剣さえ両断できなかった程だ。
更には再生能力も持ち合わせ頭部を破壊するか、肉体を活動限界まで破壊しない限り死ぬことはない。
「頭部を狙って!! フローレンス!!」
「了解しました!!」
伏せたまま二人で射撃。
先ほっど述べた程脅威ではあるが、種が割れればなんてことはない。
頭部装備は他の部分に比べて脆い。
故にダヴィンチちゃんが強化した特製神経弾の前には無意味だ。
頭部をぶち抜けば終わる。
あるいは首と胴を分離してやれば事足りるのだ。
だが連中は数でも押してくる、加えて此処は通路だ。
建物でもあるし高火力スキルを使うと崩落の恐れがある。
特にフローレンスの無価値の炎は使えない、アレは物質に対してはあらゆるものを腐滅させる。
建物自体が倒壊しかねない。
「タツヤ、マシュそっちは!?」
『交戦中だよ!!』
『こっちもです、多方面から湧いてきてます!!』
「ならまともに相手どらないで撤収!! 管制室!! ラーマに通信繋げて!!」
『了解!!』
「ラーマ、聞こえてる!?」
『うお!? びっくりしたぞ!? 気づいたらそちたちの姿が無いから置いて行かれたかと・・・』
「そんなわけないでしょ!! やっぱトラップだった!! 撤収するから準備出来てる?」
『無論だ。因みに位置は変わらん』
「助かるわ!! じゃ逃げるわよ!! 各員集合ポイントはシータの牢前!!」
『『了解』』
そしてオルガマリーはフローレンスと共に立ち上がり牽制射を加えつつメギドストーンを放り投げて遅延を開始しながら後退していく。
と言っても一気に後退は出来ない。
相手は銃持ちだ下手に出たら蜂の巣だ。
いやそれでもオルガマリーは銃無効化ペルソナ持ちだから良いんだが、
フローレンスはそうじゃない。
銃耐性持って無いのだ。
普通に蜂の巣にされる。だからオルガマリーがカバーする形でフローレンスを走らせる。
暗所ではあるが目のコンタクト型多機能礼装に装備された暗視機能で連中の事は見えている。
特殊部隊じゃねぇんだぞと内心悪態を付きながら必死にカバーする。
状況の急転によって管制室も張りつめる、撤退ルートのガイドをしているからだ。
ガイドをミスれば迷う危険性があるし合流時にフレンドリィファイアしかねない。
相も変わらずアマネは落ち着いた様子で珈琲を啜りつつ的確な指示を飛ばしている。
こればかりは場数の違いだ。
「いつもこのような魔的な連中を相手にしているのか? そちたちは・・・」
「まぁはい・・・」
三チームとも合流し、ラーマとシータの元に向かうと。
そこは夥しい狗兵の死体の山だった。
インドの大英雄たるラーマは斬撃が通りにくいとみるや否や相手の首を斬り飛ばし。
妻のシータはその剛弓を持って相手を貫き胴体を泣き別れにさせた。
それでも動くってんだからラーマとシータもため息を漏らさずにはいられない。
「ところで表に出てどうする? プチデヴァシステムを全部潰しきれなかったから無限とはいかないまでもこちらが消耗し着くまで湧いてくるぞ?」
「それなのよねぇ・・・タツヤならどうする?」
「さすがにリバース・イドを使う訳には行かないし、高火力合体スキルで施設ごと潰すのは不味い、第四の二の舞だ」
第四はそれこそバベッジの大暴走によって歴史的建造物が吹き飛び。
達哉の大暴走もあってロンドン中が悲惨なことになった。ムニエル曰く「人理定礎復元できたのが不思議」と言えるレベルの大災害だった。
今回も出来るならアルカトラズと言う歴史的遺産を消し飛ばしたくないのが本音だ。
故にだ。
「逃げるしかないだろう」
逃げるしかない。
第一ここでの目的はシータの確保である。
敵の罠なのも含めて踏み込んだのだ。最もケルト軍が張っていると思ったら。
張っているのはエジソン軍だったわけだが。
だからこそやることは一つ、シータ回収してレジスタンスの拠点へと逃げることである。
故に達哉は逃げるしかないだろうという。
「うむ、余も達哉の意見に同意だ」
意外なことにラーマも同意した。
彼とて偉大な王の一人である状況を理解し、プチデヴァシステムを全部潰せなかった時点で敵が無限沸きしてくるのも理解している。
そんな奴らに付き合ってやる義理は無い。
とっとと逃げるが上策と理解していた。
「なら小舟に急ごう・・・、何時地下から狗兵が『三時の方向!! 飛翔体確認!!』おい」
「なんで感知できなかったのよ!!」
『いやスキャニング範囲に入ったのが今なんだ!!』
突然の事に突っ込む達哉と。
なんで事前完治できなかったのかと文句を言うオルガマリーに対し。
ムニエルはそう言う。
管制室とはいえ万能ではない。
感知範囲をマスターズ三人に絞らないと精密な解析などができない。
『兎に角、飛翔速度が速すぎる、弾道ミサイルか何かだろう』
「何だよぉおもおおお_またかよぉおぉぉおおおお!!」
オルガマリーがアマネの分析聞いて絶叫した。
第三での焼き増しである。
ポセイドンによるミサイル攻撃には手を焼いた。
それだけ遠距離から一方的に高火力で攻撃されるのは厄介でしかない。
故に似たシチュエーションにまたかよとオルガマリーが絶叫し。
達哉と共にサモライザーを引き抜き引き金を引き絞った。
「CALL!! エミヤ!! 宗矩!! 長可!!」
「CALL!! アルトリア!! 孔明!!」
エミヤは純粋に狙撃技術で、アルトリアはカルデアとのデータリンクシステムとカリバーンを悪用した長距離狙撃が可能だ。
だからこの二人だ。
後ついでに孔明なのは狗兵が沸いてくる原因は監獄に設置されたプチデヴァシステムのせいである。
なら発想を逆転させ、孔明の宝具である石兵八陣で監獄を覆ってしまえば奴らは監獄から出てこれない。
だがそれはあくまでも監獄内部に限った話だ。
外にもあったらエミヤ、アルトリア、孔明が無防備になる、だから護衛として宗矩と長可もだした。
「マリーさんはどうする?」
「彼女は温存、魔神柱版二十八人の戦士を消し飛ばしクー・フーリンを再起不能にした光線が気になる。もしぶっ放されたらCALLして合体宝具で防ぐわよ、それまではこちらが攻撃通じると誤認させないと」
過剰に反応するとポセイドンの二の舞だ。
それ以上の攻撃が飛んでくることは今の今までで体感済みなのである。
故に此処は迎撃要員も居ることだし必要以上の事はしない。
敢えて手札を晒すのも愚の骨頂だからだ。
まぁ神取はニャルラトホテプの化身だ。
その超火力を使ってこないのは何かしらの理由があるのかあるいは使えない理由があるのかもしれないが。
上記の理由によって、まだマリー・アントワネットは温存しておきたい。
「私も力になります」
「余もだ」
「助かる」
シータもハラダヌの弓を取り出しラーマもシャランガを取り出しつつ言う、それに感謝をと達哉は述べた。
本当にインド何でもありだなと達哉とマシュ、オルガマリーは思う他なかった。
だってクラス無視して豊富な宝具出せるんだもの、卑怯と思わざるを得ない。
なおサーヴァント側からすれば極まった技と相手に会わせて耐性持ちを用意をできるペルソナ能力持ちが何言ってんだという話であるが。
それはさて置き、全員が迎撃態勢に入る。
射出される矢は高純度のエネルギーであったり贋作宝具であったりする。
余裕でACの装甲を貫徹可能だし、ミサイルのランダム軌道ならアーチャーズは完璧に読み切れる。
何も問題はないはずだった。
ミサイルが鋭利に軌道を変えるまでは。
まるで横にスライドしたかのように急激に軌道を変え、エミヤ、シータ、ラーマ、アルトリアの攻撃を見てから回避したかのようだった。
そしてシータは見る、ミサイルの先端にロボットが装着されているのを。
「カルデアの皆さん、ラーマさま!! アレはミサイルじゃなくて、ロボットを輸送するための装置です!!」
「だから急制動掛けて回避出来る訳か!!」
シータの叫びにラーマは納得する。
だが相手は十機近く存在している、この僻地では相手に分がある。
なんせアルカトラズは崩壊させてはいけない建造物その一だ。
ラーマの宝具は威力が純粋にインドらしく高すぎるので封殺される。
だが同時に疑問だ。
カルデアを倒したいのなら先ほども言った謎ビームかミサイルが使えるなら波状攻撃も悪くはない。
相手は人理定礎は気にしなくて良いのだから、遠慮なくやれるはずだ。
その方がカルデアを追い込むことができる。
大体、ACに弾道ミサイルみたいなのを括りつけて飛ばす意味が分からない。
それほどまでに確保したい何かというよりオルガマリーが必要なのか。
デヴァシステムにオルガマリーを繋いだ場合、この特異点だけではない。星ごと吹っ飛ぶ。
獣と言うのはそう言う物だ。
だとすればエジソンたちはニャルラトホテプの手によって踊らされているのだろう。
「今から逃げるの間に合わない?」
「所長、ACの機動力は異様です、小舟で出たら逃げ場がありませんし、所長犬掻きしかできないじゃないですか・・・狗兵は孔明さんの宝具で封殺、AC部隊は此処で迎撃するしか取れる手がありません」
オルガマリーの言いようにマシュはため息交じりに言う。
此処に来た小舟で逃げ出しても相手に捕捉される。
第一、オルガマリー犬掻きしかできないのだ。なまんじ泳げたとしても機動力はACが勝つ。
それでオルガマリー連れ去られてデヴァシステムに繋がれ試合終了。
どのみち撃滅するしかないという事だ。
「孔明、狗兵は?」
「抑えられているが、維持に集中が居る。私は此処を動けんぞ」
「わかった。総員迎撃態勢。迎え撃つわよ」
そしてAC部隊がプチVOBをパージし乗り込んで来る。
空中降下なため、シータ、ラーマ、エミヤ、アルトリアが狙撃を行うが回避される。
「チィッ!! 相手は相当な手練れだぞ!!」
エミヤは次の矢を装填しつつ言う。
AC部隊が此処に来るまで一機も落とせなかった事に悪態を付く。
彼の持つ贋作宝具には追尾性もある物があるにはある。
代表的なのが赤原猟犬ではあるが、連中は機械だ。
一発程度の直撃さえ回避してしまえば無傷も同然。
連中は意地でも追尾してくる赤原猟犬の特性を見抜き装甲に受け止めて流すと言った手段で赤原猟犬の追尾能力を無効化していた。
敵も今までのデザインドの様な簡単脳味噌ユニットではなく。
カルナが言う選りすぐりを投入してきたとみていい。
「マスター、拙者たちは「孔明の護衛を頼む!」承知!」
宗矩の言葉に孔明を頼むと言い、時折、結界から抜け出て来る狗兵を宗矩と長可は相出取り。達哉たちはAC部隊との交戦に入る。
『見せてもらおう、お前たちの持つ力』
『恐れるな、死を振りまく時間が来ただけだ』
特異なのはブラックがメインカラーで血のように赤いレッドカラーをサブカラーにしている二機だ。
腕が違う、踏破した戦場の数が違う、潜り抜けた修羅場の数が違うと分かってしまう。
だが今までの理不尽よりはマシだ。
と言っても相手はAC。火力不足のカルデアにとっては難敵だ。
厳密に言えばオルガマリーもマシュも達哉も装甲をぶった切れるスキルや技は在るのだが。
前後左右に超速スライドするAC相手に近づくのは骨が折れる。
もうこれならサーヴァントを相手にする方が気やすい。
一機は後方に控えスナイパーライフルを展開し、もう一機は見た目的に軽量型なので前に出て来る。
他の機体は疎らで彼らに合わせるという感じだ。
厄介である。
「アポロ」
「シュレディンガー」
「ウリエル」
達哉はアポロにオルガマリーはシュレディンガーにマシュはウリエルにペルソナチェンジ。
三者ともACの装甲を抜けるペルソナであるし専用ペルソナである為固有持ち。
これが万全なのだ、マシュはラウンドテーブルかウリエル以外に切り替えられないが。
達哉とオルガマリーはフィレモン契約型。相性さえ無視すればなんでも切り替えられるのだ。
だから状況に合わせてペルソナをチェンジできる万能性がある。
「オルガマリー、指揮は?」
「基本私が出すから私に従って、コサラ国の皇子が20代前半そこらの女の命令を聞くのは不服だと思うけど」
「いいや不足はない。そち達の練度は見せてもらった。シータと再び出会わせてくれた恩もある、不足はない」
「それは光栄ね。じゃ始めるわよ」
『所長状況解析結果が出た。連中生体パーツもない完全無人機だ! 通常のACとは違う』
「それなら胴体か頭部を破壊してやればいいでしょうって話。じゃ行くわよ」
そして戦端が開かれる。
『シータか、戦闘の逸話は無いがよくやるよ』
「私とてラクシュミーの化身だった女、このくらいの武芸は嗜んでいます」
『そう言うレベルじゃないんだがな、だがこの感覚良いぞ!!』
狙撃ACと狙撃合戦を繰り広げるのはアーチャーのシータが抑えにかかっていた。
他のメンツはACを相手するのに忙しい。
一方でシータはフリーだった。彼女が戦闘に関する逸話は無い。
だがしかしラクシュミーの化身であった事ゆえに平均的インド英霊の実力を上回っている。
そして狙撃型ACとの狙撃合戦だ。それに対し戦闘での愉悦を全面的に出す狙撃型ACに対し忌避感を覚える。
生前散々苦労させられてきたのだラーマもシータも戦争に対する愉悦感なんてない。
寧ろ逆、今度こそ二人で静かに暮らしたいとさえ願っている。
それでもカルデアに協力するのは恩義があるからだ。カルデアやレジスタンスの皆は全力で答えてくれた。
其処には打算もあるだろう。されど。
ラーマはあの時の織の瞳を忘れない。
こんなこと認めてなるものかとラーマに掛かった呪いを心底憎んでいた。
カルデアのマスターズも悲しい目をしていた。
嘗ての自分たちを彷彿とさせる目だ。
幾たびの離別を眺めてきた瞳だ。
だからこれ以上はいけない、彼らは戦争とか争いとかとは無縁の場所で生きるべき存在なのだと確信した。
故に力を貸そう、この身尽き果てでも彼らを日常に戻すために。
夫妻は死力を尽くす。もう自分たちような存在を生み出すのは御免だったから。
「まず―――――」
『―――――』
「貴様が死ね」
故に躊躇は無い、無慈悲になったラーマを止められるものは居ない。
自らの得物に
広範囲を薙ぎ払えない以上こうするよりほかはない。
そして殺戮兵器となったラーマが疾駆、軽装ACに真っ向から突っ込む。
軽装ACは縦横無尽に駆け巡りながら若干後退しつつ引き打ちを慣行するが。
『なっ』
それと同等以上の機動力を発揮したラーマに追いつかれる。
そのままラーマは無言で軽装ACを両断した。
如何にACの装甲、それに軽装系ACの装甲だ。
ついでにエネルギー体としての特性も悪利用、間合いを伸ばして文字通り袈裟切りの縦一閃で両断される軽装AC。
一方の随伴AC達も達哉、マシュ、オルガマリー、エミヤとアルトリアの手によって駆逐されて行く。
「まさかモンハンでいう所の近接弓をするとは思わなんだ!!」
「エミヤさん!! 近接弓ってなんですか!!」
「そう言えばアルは経験していなかったな、ゲームで弓を使う際に近接距離で撃った方が良いと分かってから流行った戦法だよ!!」
「なぜに弓で近接?!」
そんなやり取りをエミヤとアルトリア・リリィはしつつ順調にACを屠っていく。
「私では役に立てませんね」
「無価値の炎はどうしたのよ、フローレンス」
「あれ1か10か、あるいは100の三通りしか出力出来ないんです」
物陰に隠れてガリルACE52の弾倉を交換しているときにそうぼやき。
オルガマリーも偶々フローレンスと同じ場所に潜り込んできたのでその言葉を聞き。
なぜにとオルガマリーは言う。
そして理由は単純だった。
所謂、制御が効くような力ではないのだ。
確かに射出軌道自体は制御できるが威力制御が出来ていない。
1から10そして100に当たる
だからこの乱戦下ではフレンドリィファイアの危険性がある為、ベリアルは下手に使えない。
と言うか元々フローレンス自身が緊急医療の経験は在れど戦闘に対する逸話が無いため一流が最低限のこの戦場に置いては戦力外だ。
ブレイブザッパーでACの装甲を切り裂けるとは言っても下手に近づけば蹴りでミンチ確定である。
今までは単独やらロビンと組んでの事だから薬品漁り出来た訳で。
それが通用しない以上この戦場では役不足であった。
いやガリルACE52に装填された神経弾に無価値の炎エンチャントして打ち込むことは出来たが。
相手は10m前後の高機動兵器である、打ち込めるか怪しかったし。打ち込んでも7.62x51mm NATO弾なんて無価値の炎付きでも豆鉄砲だからしょうがないと言える。
「ならこっちに回してくれ!! 連中、どうやってか孔明の結界突破してきたぞ!!」
「いけない!? フローレンス、こっちも余裕がない!! 向こうを手伝ってあげて!!」
「了解!!」
長可が叫ぶ。
遂に孔明の結界容量を超えた物量が転送され突破されつつあった。
既に数人が抜け出している、それらを人間無骨の真名解放やらで強引に抉り殺し。
宗矩もまた躊躇なく刀を振るっていた。
されど相手は待ってはくれない、狗兵がムラマサコピーを抜き放ち徐々にだが数を増やしていく。
対AC戦で戦力に成れない以上、フローレンスは狗兵共の対処に向かわせるべきだとオルガマリーは判断。
その判断にフローレンスは即応する。
時間が無いがしかし。
「
狙撃型ACをシータの宝具が遂に射貫いた。
互いに精密すぎるがゆえに、弾のかちあいが発生したがここはシータの気力が一歩上を行った。
そして残るAC部隊も・・・
「アポロ!! マハラギダイン、極紅蓮忠義斬!!」
「ウリエル!!アカシャアーツ!!」
達哉の兼定が紅蓮の炎を身に纏い胴体部を深く切り裂き、マシュの崩拳も乗せた上でのアカシャアーツが胴体部に深くめり込み破砕する。
状況は逆転した。
ACの残りもエミヤとアルトリアが粉砕する。
狗兵の数は圧倒的だがAC部隊はそこまでではない。
あと少しあと少しで脱出経路を確保可能。
「所長、最後のACを撃破した!!」
「総員逃げるわよ!!」
エミヤが叫び、オルガマリーと達哉は収納可能な自軍サーヴァントをサモライザーに収納。
撤退を指示。
孔明の張っていた結界もなくなったため案の定、刑務所の扉を爆砕してわらわらと出て来る狗兵を無視して。
全員が小舟に走る。
殿はカルデアマスターズだ、ここまで来たら遠慮なし。
施設を傷つけぬようにペルソナで弾幕を張りつつ後退戦闘を行う。
ラーマとシータは先に船に乗り込みオールを手に構えていた。
「全員乗ったか?」
「全員です!! ラーマさん、シータさん!! 全力で漕いでください!!」
「承知した!」
「了解です!」
達哉の確認にマシュは全員乗ったと確認し答え。
それと同時にマシュの声にラーマとシータは全力で船をこぐ。
その間にも飛んでくる銃弾にオルガマリーとフローレンスが対応。
それでも何発か小舟に被弾、底に穴が吐いたり側面が抉れたりなどして海水が流入。
急いで水を達哉とロマニとロビンが必死になって掻きだし。
何とか射程圏外まで逃れ。
当初の浜辺へともどってきた。
「はぁーはぁー寒中水泳する羽目になるかと思った」
オルガマリーは荒く息を吐きながら冷や汗を掻いていた。
「オタクの所の所長さん、なにを焦ってたんだ?」
「いや所長、犬掻きくらいしかできないんだ。船が沈んだら間違いなく撃たれるか海流に流されて溺死する」
「あーそう言う事ね・・・」
ロビンの疑問に達哉が答えそれに納得。
逃走戦に置いて海を泳ぐときは背後からの追撃ばかりを気にしてはいられない。
海流と水温も敵となる。サーヴァントは大丈夫として達哉、マシュは泳げる。ロマニも意外といけるらしい。
だがオルガマリーはてんでダメダメだった。
松島特異点で特訓したが犬掻きまでしか出来ていない。
これなら船が沈んだ時点で溺死コースである。
もっとももしもの時は達哉かマシュがフォローを入れるつもりだったからそれは無いが。
「はぁー兎に角一旦レジスタンスのシェルターに戻りましょう、今日はもうしんどい」
「所長に賛成だな」
「私も同感です、次の一手を考えないといけないですし、予想外に消耗しました。休憩入れたいです」
帰るまでが遠足だ。
此処からはレジスタンスの拠点まで強行軍になる。
何時敵が迫ってくるかもわからんこの場の状況下でのんびりなんて選択肢を取れる方が頭どうかしているのだ。
敵はプチデヴァシステムにプチVOBと言う輸送手段まで在るし。
何より大量の狗兵とACを相手どったのだ。
チャクラポットという手もあるがそれでもあともう一戦か二戦が限度である。
早急に戻る必要性があった。敵の哨戒網が引かれる前にこの場から離脱しなければならない。
運転手二人、つまり達哉とオルガマリーがチャクラポットを飲み干し。
偽装の為にアスモデウスに掛けておいた光学迷彩マントをと払い。
全員を来たより若干一名多く乗せて出発する。
道中は意外なほどあっさりだった。
敵も最精鋭を投入ししたのが響いたのか。
あるいは別の所をうろついているのかは分からない。
時間をかけてデミングへと到着、すぐさまシェルターに入り、
達哉、マシュ、オルガマリーは適当なベンチに身を投げた。
もう眠い、そりゃ眠い。デミングとアルカトラズを不眠不休で往復して、さらには敵の罠を食い破る羽目になり、
ド派手な大立ち回りをする羽目になったのだから当たり前だ。
ペルソナ使い故に一晩寝れば精神力も体力も回復するとはいえ、精神力さえ伴えば幾ら不眠不休出来るサーヴァントとは違い休みは必須である。
故に今は眠い兎に角眠い。寝るに越したことはないと三人は眠りに就いた。
その夜は何事もなかった。
疲労から昼過ぎに起きてしまった。
流石に腹が減った物の・・・がしかしここで料理と言うわけには行かない。
カルデアやサトミタダシベルベットルーム支店で調達しようと思えばできるのだが。
難民の前で上手い飯なんぞ食っていれば顰蹙を買う事になる。
よって三人の食事は缶詰・・・言わるところの乾パンとスパムを丸かじりだった。
流石に多量に余ってはいるがMREは無いとしてそうなった。
だってMREはマジの緊急時か食堂で文句たれた阿呆用の物だからである。
それでも美食家のオルガマリーに現代食になれたマシュは調理して食べたいと乾パンやらスパムを丸齧りしてミネラルウォーターで胃に流し込んでいた。
一方の達哉は此処に来る前は一人でサバイバルしていたのでこれも十分に御馳走だったりする。
酷い日にはミネラルウォーターで腹を満たすことさえあったのだから。
「・・・」
「どうした? ラーマ?」
「いやそち達が食べている物が気になってな」
「食べるか?」
「良いのか?」
「減るもんじゃないしな」
そう言うやり取りを達哉とラーマは行い。
ラーマは達哉からスパム缶を受け取る。
達哉達の缶剥きを見よう見まねで行いスパムを一齧りした。
「ううむ・・・なんと言えばいいか」
「微妙だろう?」
「それはそうだが・・・」
確かにスパムはそのまま行くと微妙だ。
「だが適切に調理すれば美味くなる、長期保存もきいてこの味とくれば破格だと思う」
「長期保存? 具体的には?」
「未開封なら三年だ」
「真かそれは?」
「ああ」
ラーマは時代の進歩に驚く、まず軍の携行食糧としてはいい物だった。
なんせラーマの時代ではこんなに手軽に肉なんて食えない。
味は正直微妙だが軍の携行食糧としては上等だろう。
しかも開けてなければ三年の保存が効く、備蓄していても無駄にはならずさらにここから調理すれば美味くなるとの事だった。
破格も破格と言っても良い。
「あとこの微妙さが癖になる、時折食いたくなってこっそり購入しているからな」
「そんなものか・・・」
「そんなものさ」
後達哉すっかりサバイバル生活が板についたのか。時折無性にスパム食いたくなってサトミタダシベルベットルーム支店で自腹で購入して食っていたりするのはのは余談である。
その時だった。
『達哉、所長、マシュ、クー・フーリンから連絡だ。繋ぐよ』
「なにかあったのか?」
「さぁ?」
連絡があったらしいクー・フーリンから火急の用事との事だった。
ラーマの問いに曖昧に解しつつ達哉は通信を開く。
光学ディスプレイに桃色髪の絶世の美女が映し出され。
『あなたたちがカルデアね?』
『すまねぇマスター達、バレちまった』
クー・フーリンの申し訳なさそうな声が響き渡る。
要するにこの桃色髪の絶世の美女がメイヴなのだろう。
クー・フーリンの偽装が遂にばれてしまったことになる。
厄介事は続きそうだなと達哉は溜息を吐き。
『ちょっとなんで私を見てため息吐いてんのよこの男!!』
『達哉はオメェ程度の色気に惑わされねぇから』
『それはそれでムカつくわね』
何でいつもこうなるのだろうと達哉は傍観の域に達し。
オルガマリーとマシュは殺意に濡れた。
そりゃ人の男に色目使えばそうもなる。
状況はカオスなことになりそうだなとラーマも内心思うのだった。
カルデアは苦しいですね、罠と分かっていても踏み抜きに行かなきゃなんねぇですもん。
NとKはここで脱落、そりゃラーマとシータキレさせたらこうもなろう。
あとオルガマリー、人理焼却が終わったら泳げるようになることを地味に決意しました。
なんせ第三で上手い事脱出してなければ溺死しかけ、今回も小舟が沈んだら溺死まで云っていったかもしれませんからね。
そしてメイヴちゃん接触してくる。
面倒臭いことになりそうですねはい。
自分の色気に惑わされない男とかそりゃね。
次回はケルト陣地にレッツラゴー&頭ケルトの洗礼です
カルナさんも付いてくるよ!!
DQNに絡まれて精神状態が悪化しているので次回も遅れます。