Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
ただ死ぬのは真っ平御免なのだ。
それ程までに度し難いのだ我々は。
世界中の全ての人間が我々を必要などとしていない。
世界中の全ての人間が我々を忘れ去ろうとしている。
それでも我々は我々のために必要なのだ。
ただただ死ぬのなんかいやだ それだけじゃいやだ!
私達が死ぬにはもっと何かが必要なのだ もっと!! もっと!! と。
HELLSINGより抜粋。
オルガマリーを達哉はベットの上に寝かせる。
胸が上下し、呼吸には問題ない様子だったが、
完全に一時的に手足を動かせないとの事だった。
「はぁ・・・」
達哉はため息吐きつつ鞘に収まった刀を抱えるようにして椅子に座る。
濃密な一日が終わりそうだった。
だがある意味肩透かしとも言える。エジソン軍はACを投入してこなかった。
絶好の機会だったと言うのに。
自分のイドタイマーを見る。使用時間残り02:34秒。
心もとない時間だった。
カルナを一方的に蹂躙した様子から神取もまたリバース・イドに近い手札を持っている。
それを無制限に使えるとしたら最低でも五分は欲しい。
というか本来、使う予定なんて無かった。
あそこでアルジュナが暴走しアルジュナ・クリシュナなんて出て来るとは思っても居なかったのである。
ロマニからアルジュナの人となりを聞かされた感じ、ジークフリードタイプの英霊と思っていたからだ。
まさかあそこまで拗らせているなんて誰が予想できるか。
寧ろ主要時間軸では良く暴発しなかったなと言う話である。
そして相手が畳みかけてこなかったのが救いだ。
アルジュナ・クリシュナとの戦闘の最中かその後に戦力を派遣されたら詰みに近い状態にされていた可能性が高い。
なぜそうしなかったのは謎だが。
なんせ向うはオルガマリーを確保した時点で勝ち確なのだから。
プチデヴァシステムに向うの狗兵の言葉から推測するにデヴァユガシステムがあるのかもしれない。
デヴァユガシステムにオルガマリーを繋いでみろ。特異点ごと星が吹っ飛ぶ。
今や受け入れ抗っているとはいえビーストⅦを内包しているのだから当然の帰結でもあった。
故に今回襲ってこなかったのはギリギリのところで梯子外して愉悦に浸る為か、
あるいはもしかしたらデヴァユガシステム自体がまだ未完成なのかもしれない。
あれ自体は本来は転送装置だ。
完成していて本来の用途で使われたらサイズ関係なく転送できる優れもの。
プチVOBなども必要とせず戦力を送り込んで来られる。
あと謎のビームもだが使ってこないのも不自然だ。
とすると、両方とも完成に至っていないと思うのが自然な考えだろう。
だがなんにせよ、
「不気味だ」
そう不気味だ。こうも積極的に干渉してこないのはだ。
必ずニャルラトホテプは何かしらの形で干渉してくる。故に不気味だった。
「もしくは手ぐすねを引いて待ち構えてるかと言うかそっちね」
するとそこにメイヴとクー・フーリンがやってくる。
ついでにアルジュナもだ。
そしてメイヴが敵が攻めてこないことについての予想を言う。
「なんかあったのか」
「いやさ・・・ほれ師匠の件があるだろう」
「そうだったな・・・だったらライン通信使えばいいだろ?」
「一応メイヴ達にも話しておきてぇからな。ほれケルト軍側とはライン通信繋げてねぇだろ」
クー・フーリンが気まずげにそう言う。
そう彼の師匠のスカサハの事だった。
普通、彼女は呼び出されない。なぜならまだ生きているからだ。
だがこの人理焼却下に置いては影の国も焼却されているらしく一時的に座に登録されている状態である。
故に出て来れるし、主要時間軸では味方だったが。
この時空では噂結界の影響から、オリジナルに匹敵するレベルで魂が腐っており味方にはならない。
案の定、喧嘩売られて目を付けられた。
でその対策という訳で集まった訳である。
警備や訓練に出ているカルデア勢にはライン通信接続済みだがケルトとは通信繋いでないので集まる必要があった。
フィンたちはマシュのバングルを見ているので絶賛気絶中のオルガマリー以外は皆と繋がっている。
「彼女を補足してこちらから仕掛けるか?」
「いや、そりゃ無理だろう。隠ぺいのルーンで姿隠ししてるだろうし、はっきり言ってルーンの腕じゃ俺は勝てねぇ」
現状、メイヴの考えた最強のクー・フーリンと言う霊基のお陰でクー・フーリンの実力は生前に近くなっており、
サーヴァントのスカサハには後れを取ることはない。
しかしルーンの腕だけは生前でも師匠越えを出来てなかったので事実上探知不可能。
孔明の結界も範囲的に無理とくれば。
「では、誘き寄せて袋叩きに?」
吹っ切れたアルジュナ、なかなかにえぐい事を言う。
因みにやってることは戦争なのでカルナ的にも戦場で汚い手を使うという事に何も感じていなかった。
というか生前アルジュナに討たれた時もそのくらい全力だったんだなとしか本人は思っていなかったりする。
閑話休題。
「いいや誘引は終わっている」
クー・フーリンが眉間を揉みつつそう言う。
「その心は?」
とアルジュナ。
「ホレ、お前のシャドウを鎮圧する為にリバース・イドを切っただろ。アレは複合神格やら獣の先触れだからな、師匠が嗅ぎ付けない筈がねぇ」
そうリバース・イドとは人が克服できぬ普遍的獣性の発露だ。それを元に普遍的無意識下から神格の欠片を複数呼び出し複合神格を一時的に身に纏う。
特に達哉の場合は無色と言えどコトワリ持ちなため通常のリバース・イドよりも遥かに高出力化しているのだ。
そしてオルガマリーの場合は正規No持ちである為、達哉と同様、ビースト幼体を中核として神格を呼び出すので達哉と同様超出力化している。
二人がリミッターなしかつ周りに気を使わないで暴れた場合、この状況下では人理定礎と特異点が崩壊。
星が消し飛ぶ代物である。現に第四特異点と監獄塔ではそうなりかけた。
本当に北欧夫妻が命を賭して達哉を止めなければ全て吹っ飛んでいたし、監獄塔ではフローレンスとエドモンが死力を尽くさねば星の自転自体が止まっていた。
まぁ何が言いたいのかと言うと、あのスカサハがそんな物を見逃す筈が無いのである。
間違いなく挑みに来るだろうとの事。
「すいません私が暴走したばかりに・・・」
「いいや所長も言っていたが気にしないでくれ。やらかし度で言えば俺の方が上なんだから。それにこれはある意味スカサハを始末するチャンスだ」
もうこの話題はアレだ。堂々巡りになると察した達哉がアルジュナの謝罪を受け入れつつ、自分たちも盛大にやらかしたと言って宥めた。
これはある意味チャンスと言って話題を転換する。
「そうね。ある意味チャンスよねこれって」
メイヴもそう頷く。
そうある意味チャンスなのだこの状況。
もっともエジソン軍を攻めるチャンスとかではなくスカサハを始末するという意味でだ。
今や彼女は戦場のノイズだ。
居るだけで邪魔にしかならない。近日実施されるエジソン軍への殴り込みの最中に暴れられたらたまったものではないのだから。
メイヴだってクー・フーリン・オルタが健在だった頃に何度か喧嘩を売られ煮え湯を飲まされているのだから。
やはり仕留めておきたい。
『ですが現実問題どう仕留めますか? しぶといですよ、あの人』
マシュがそう言う。
そうスカサハはしぶとい。クー・フーリンが合体するまでの殺戮マシーンなクー・フーリン・オルタに喧嘩吹っ掛け生き延び、
若いとは言え第五の書文を殺しかけ、
無価値の炎を使えるフローレンスからも生き延びている。
それに加え未確認ではあるがエジソン軍にも喧嘩を吹っ掛けているとしたら最早しぶといというレベルではない。
現に達哉、マシュ、カルナの三人がかりからも逃げきったのだ。
どう仕留めろと言う話になってくる。
また逃げられたら手札を晒すことになるので今度は逃がさず確実に仕留めたい。
「ああそれなら考えがある」
クー・フーリンがそう言った。
その後、スカサハが出現した際の細かい部分を詰めて、
更にあくどい感じにメイヴが策を仕上げる。
文字通り戦士としての誇りを踏みにじる行為だった。
「だってクーちゃんの師匠なんでしょ? このくらいは当たり前よ当たり前、生前、クーちゃんにはこれ以上やっても遂に防衛され切った訳だしね」
メイヴはそう言う。
生前、クー・フーリンを仕留めるために策謀に策謀を重ねて兵まで揃えて多くの出血を強いられた挙句勝ち逃げされたのだ。
ともなればその師匠であるスカサハはもっと生き汚いと考えるのは当然の事。
『まぁそう言う奴はしつこい。どこまでも追跡してくれるぞ』
アマネも疲弊したように告げた。
「アンタなんかあった訳?」
『・・・カルデアに来る前にテロリストに絡まれたうえでストーキングされた経験がある』
「・・・そりゃまた」
「俺をストーキングしてたオメーが言うんじゃねよぉ!!」
何かあったのかと。メイヴはアマネに問う。
どうやら過去。そう言う輩にストーキングされていたらしい。
さすがのアマネも僻々している様子だったのでメイヴは一応同情しておく。
最もクー・フーリンからすればお前が言うな発言な訳だが。
「まぁこの布陣なら殺し切れるでしょう。所でオルガマリーは大丈夫なのですか?」
「ああ、だが目覚めるのに一日くらいは掛かるし戦闘行動可能なレベルで手足が動くまでに二日は掛かるらしい」
イドタイマーから注入される精神安定剤は神経にさえ作用する劇薬だ。
当然一度注入されれば一日は寝ている羽目になるし二日は千鳥足確定だ。
「オルガマリーのリバース・イドはいつ頃使えるのかしら?」
「今日も含めて一週間後だ」
「・・・何とかならないの?」
「無理だ。イドタイマーのリセットには今日も含めて一週間後に自動的に、あるいはカルデアの医療スタッフの全員一致で承認されなければ解除されない。期間中にリバース・イドを使用するとまたイドタイマーから薬剤強制注入されて鎮圧される」
「そこまでは神経質すぎじゃない?」
「それだけ危険で制御困難な物なんだ・・・、それに下手に使用すると人理定礎も悪化する」
そうリバース・イドは危険だ。
固有スキルはテクスチャまでに作用する。
細心の注意を払って使用しないと特異点が崩壊する。
暴走して力を振るえば先述した通りになるのだ。
後脳変異も発生する。故にそれらが起きないように達哉は10分、オルガマリーは5分と言う制約が課されることになったのだ。
ジャンヌ・オルタは類似した力であるオーヴァードーズを自在に操っていたが、アレは戦歴からして違うので除外である。
という訳でリバース・イドは切れない。
なんせこの後、エジソン陣営の張っている超磁場障壁の突破と神取討伐に使うからだ。
という訳でやり方は一方的な殺しになる。
相手の心情なんぞ考慮しないやり方だ。
だが相手の心情を思うだとか自分の誇りだとか最早言ってられない状況なのだ。
なぜならプチVOBでACの軍勢送り込まれるか、クー・フーリン・オルタを再起不能にし二十八人の戦士を消し飛ばしたビームがいつ飛んでくるかもわからぬ状況なのである。
死にたがり一人の為に構ってやれるものはない。
ここは戦場、討たれた後の屍に口は無しという奴であった。
そして次の日。オルガマリーの護衛をしつつ薄く眠っていった達哉はハッと目が覚める。
バングルを起動させると丁度10時程度だった。
薄く眠っているつもりが深い眠りに入っていたらしい。
気が緩んだかと思った訳だが、そこに水を持って来たラーマとシータがやって来た。
護衛は自分達がするというので交代してもらった。
という訳で鞘に収まった愛刀を持ってエミヤが作った朝飯のBLTサンドを齧りつつ教練場へと向かう。
其処には、
「随分張り切ってるな。森さん」
「応よ、ケルト兵は肝も据わっている。鍛えがいがあるぜ」
上半身裸でケルト兵を鍛えているのは長可だった。
兵を動かすという事に関しては現状カルデアでは孔明が一番手の2番手に入る。
そして兵を練兵し連携して動かす訓練の手腕に関してはNo1だ。
然しもの孔明も兵を鍛えるのは長可に劣る。
アマネは特殊部隊運用が主でこの二人とはジャンル違いという奴だ。
「おもしれぇ奴らも居るしよぉ」
そう言って手拭で汗を拭きつつ長可は訓練場を見る。
交代方式でケルト軍の世話をしている。
今は宗矩が見ていた。彼だって兵法家でもあるこういうことは本職には及ばぬが訓練を施す事くらいはできる。
「しかし書文の爺さん、鬱憤溜まってんじゃねぇのか? 今回の特異点入ってから出番なしだしよぉ」
「しょうがない、相手との相性が悪すぎる、いくら八極拳の極みと言ってもACのコアぶち抜けないだろう? それに・・・」
「同化現象って奴かい」
「そうだ」
書文を出せない理由は二つ。
まず単純にAC相手には相性が悪すぎる。自慢の八極拳は相手が機械であるが故に通じない。
かと言って対スカサハ及び対狗兵では活躍できるが此処の書文と融合しかねないとの事で出せない。
クー・フーリンの時はクー・フーリン・オルタが死にかけだったから上手く乗っ取れたものの。
ここの書文は健在である。下手したら乗っ取られる可能性があったから出せなかった。
「そう言えば気になっていたんだが」
「なんだい?」
「サモライザーに入っている時ってどうなんだ?」
「仮想空間だったかに放り込まれる感じだな。外の様子もマスターたちの礼装を通じて認識できるようになったし」
そう言いつつ長可と達哉は放置されていた丸太に並んで座る。
サモライザーも日々アップデートを重ねているのだ。
収容中の仮想空間もあるし、何より外の状況も知る事が今ではできている。
「と言っても、ブラックボックス部分はどうにもできねぇとよ」
だがサモライザーのブラックボックス部分はダヴィンチも手が出せないでいた。
複数の攻性防壁が張り巡らされ素数でランダムに変わるパスワードなどなど様々な手段が講じられている。
と言ってもそのブラックボックスはサモライザーの機能に関係の無い物であることは以前述べた通りだ。
召喚系などに一切干渉していないことから無関係なナニカであるらしい。
「問題ばっかりで嫌になってくるな、偶には休みが欲しい」
「はは、ちげぇねぇや」
達哉の愚痴に長可は同意する。
何度も緊張の糸を緩めようとしたがその度に特異点だ。
もう息抜きが特訓やら修繕作業やらデスクワークと言うレベルである。
いざ休暇と微小特異点に向かった結果、松島での乱痴気騒ぎだ。
纏まった休みが無いのだ。
故に纏まった休みが一週間、最悪三日だけでも良いから休みが欲しいと思うのはぜいたくな事だろうか?
「まぁとりあえず所長が動けないんじゃうごくこともできねぇ、今のうちに糸を緩めとけ」
「そうもいかないだろう」
「あーそう言えばクー・フーリンの師匠の件があったなぁ・・・」
「アレさえなければ羽を多少は伸ばせた。マシュなんか見てみろ、殺気ただ漏れにして誘蛾灯役を買って出てる」
「マシュの嬢ちゃんが殺気ただ漏れにして巡回していたのはそう言う訳かい・・・」
マシュはワザと殺気ただ漏れにしながら警邏作業中だ。
オルガマリーが動けず他のサーヴァントも手一杯か適性外、あるいはマシュと同じように殺気ただ漏れにして疑似餌になっている。
スカサハはそれだけ脅威なのだ。
主要時間軸と同じならノヴァサイザーかサーヴァントで袋叩きにすればいいが。
此処は噂結界の内、非常に座の本体と近くなっている。
つまりほぼ生前と変わらないという事だ。
確実に確殺出来るまでエジソン陣営には攻め込めない。
一応この場で言っておくとスカサハを殺したいのはクー・フーリンだ。
だってそうだろう。影に挑み達哉は二度目の、オルガマリー&マシュ&ロマニは一度目の勝利を手にした。
血反吐を吐きながら走っている彼らを見て思う事が無いわけではない。
寧ろ影を消し切れなかった先人として申し訳なく思っていた。
其処に身内のやらかしである。
キレない訳がない、ブちぎれていた。
あのメイヴでさえ近寄らないレベルでだ。
これが生前なら形容しがたい物になっていただろう。
ねじれの発作を起こし、怪物のようになる。身体は皮膚の下で回転し、髪の毛は頭から逆立ち、1つの眼は頭にのめり込み、もう1つの眼は頬に突き出る。筋肉は巨大に膨れ上がり、英雄の光を頭から発する。
ある時には大きな唸り声をあげ、土着の精霊のすべてが彼と一緒に怒号し、コナハトの戦士を恐怖に陥らせたというなんだかもうクトゥルフ神話の神じゃねと言う様相を呈するのだ。
「たく死にたきゃ首括ればいいのにな」
長可もそう言う。
一見戦闘狂に見える長可ではあるがそれは忠義心からくるものであり、
やるべきことを成すために勝つべき時に勝つために狂っていたにすぎぬ。
それが長可の死生観だ。勝つために身投げ染みた事をする。それが側から見れば狂っているように見えているだけだ。
いやまぁそれでやり過ぎてしまうのはご愛敬と言った所ではあるだろう。
まぁ長可はやるべきことを成すために死んだに過ぎない。
故にスカサハの所業は鼻につく。いい年扱いた婆が若い燕に喧嘩吹っ掛けて殺しまわっているとかどこぞの鬼じゃあるまいにと思ってしまう訳だ。
「まぁ湿気った話は此処までにしようや・・・何時頃釣れそうだ?」
「それが行動原理が分かった所で何時釣れるかまでは分からない・・・位置特定も出来てないんだ」
「本当に釣りじゃねぇか」
本当の意味での釣りである。獲物が掛かるまでじっと待つ。
位置特定も出来ないから本当に待つことしかできない。その分、殺しの間の手段は出来ている。
後は得物が針に掛かるのを待つだけだ。
そう言ったこともあって本来のエジソン軍への殴り込み作戦は延期である。
それにカルデアは現状リバース・イドと言う切り札を切ってしまった。
大軍勢での殴り込みが実質不可能となった為、現状カルデアでは戦術討論が行われている。
アルジュナが暴走しなければ大軍率いて突入出来たのだが、アルジュナ・クリシュナはそう生易しい相手ではない。
全属性無効耐性持ちなのだ。貫通スキルが標準装備のリバース・イドを持ち出さねば逆にやられていたのはこちらである故、必要経費としてもう思うしかない。
「あーアルジュナの奴ぶん殴りてぇ」
「皆で袋叩きにしたんだからそれで許してやろうよ」
「達哉が言うんならそうだけどさぁ、なんで出会う奴拗らせに拗らせてんだよ! クー・フーリン見習えや」
だぁーと長可が愚痴る。
カルデアのサーヴァントで拗らせていたのはシグルド夫妻なくらいなもんだったがすぐに解決したものの。
逆に特異点で出会うサーヴァントは拗らせまくっており、それをニャルラトホテプに突かれ的確にこちらの戦力を削ったり行動を制限したりしてくる。
愚痴の一つも言いたくなるものだ。
はぁと二人が溜息を吐きつつBLTサンドを齧るのだった。
時に戦前と言うのは殺気立つものである。
スカサハにとっては懐かしい感覚でもあった。
神代から現代に物理法則が移行し影の国が隔離されてから久しく味わっていない。
それに技量もより取り見取りと言う奴である。
まず自分の弟子は己を取り戻した。と言っても厳密に言えば噂結界による同化現象での融合なのだが。
噂結界はニャルラトホテプが直々に張るもの。神代の神とて指摘され始めて気づくような代物である。
スカサハは気づいていないのも仕方がの無いことだ。
次にフィニアンサイクル筆頭のフィン・マックールにディルムッド・オディナ。
空位であろう剣聖柳生宗矩、剣ならば投影して戦闘では万能系のエミヤ、策略の極地にして魔術の解体者孔明。
名だたる戦国武将でも荒男の一角に座る長可、か弱き女王でありながらそれでも一流に食いつく能力を持つマリー・アントワネット。
更にはそれら達人の薫陶を受け極みに至りつつあるカルデアマスター三人に、
まだ未熟なれど戦士として成長しつつあるアルトリア・リリィに自分すらも殺せるバロール系列の魔眼を持つ両義織。
これ程の戦士が集まることはない。
特異点と言う特殊状況下ではそれが具現化するのだ。
故に雌豹の如く機会を伺っていたがもうだめだ。神霊すらも降ろす歴戦の勇士を前に我慢できなくなっていたのである。
「総員集合」
達哉と呼ばれていた青年が勘づく。
そりゃ幾ら隠遁のルーンを刻んで身を隠しているとはいえ、これ位察知できねば、
彼は此処までくる間に死亡している。
スカサハの与り知らぬ処だが達哉はこの世界に来る前は悪魔跋扈するライフラインも途絶した世界で一年間サバイバルしてきたのだ。
これ位察知できない様では生き残れなかった。
故に勘づいてライン通信で全員に集合&戦闘態勢。
オルガマリーは起きたものの下半身に痺れがあり戦闘参加は不可能との事だった。
まぁ贅沢は言えまい。
ワシントン内の動きが変わった事にさすがのスカサハも勘づく。
そして。
「出て来いよ師匠」
オルタ霊基ではあるが中身はクー・フーリン霊基であることをスカサハは確認。
隠遁を解いて達哉たちの前に姿を現す。
「ようやく本来の姿に戻ったか馬鹿弟子」
「好きで戻った訳じゃねぇ~。ニャルラトホテプの噂結界で半殺しになっていた此奴の霊基と同化して乗っ取っただけだ」
クー・フーリンの様子はもううんざりと言った様子だった。
そこで朱槍を一回転し構える。
「緊急事態だ。腐れ縁も此処までだスカサハ」
「ほうお前一人で私をどうにかできるとでも?」
「戦って殺してやるよ、いい加減迷惑なんだ。死人が何時までしがみ付いてやがる」
「死人? 私はまだ生きている。故に必要なのだ。私が死ぬ甲斐のある戦場が」
「そうか・・・じゃあ死ね」
クー・フーリンとスカサハの間で殺気が極限状況下に達した刹那だった。
全ては一撃合切で決着が着くと言わんばかりだった。
互いの朱槍が走り・・・
ザシュ。
そう言った音と共に。
「あ・・・なぁ・・・!?」
スカサハの霊核を達哉の兼定が穿っていた。
彼女は状況選定を誤ったのだ。
そうまず初めに大真面目に達哉と長可を狙ったのが間違いだった。
殺気を垂れ流す者を未熟として切り捨て稽古に勤しんでいた空位前段階の若者を狙い。
それで求めていたクー・フーリンがくれば目移りするという愚考をしてしまったのが運の尽きだったのだ。
ノヴァサイザー、8秒停止。
故に達哉の最大停止時間の間合いに釣られた事に気づけなかった。
他にも気づけなかった要因はある。
クー・フーリンが最大の殺気を放っていたがゆえに達哉の殺意が完全に打ち消されていた事も一つの要因だ。
「悪いが、最初から一人で戦うなんて一言も言ってないぜ師匠」
「セタンタ・・・」
「鈍ったな。あの頃のアンタなら気づけていたのによ」
弟子たちは去りオイフェもまた去った。
孤独となった女王はそれゆえに幾ら戦闘を得て技術を高めようと歓喜に勝る死に方は無いとして忘却の道を歩む。
そう戦闘、戦場では不意打ちなんぞ当たり前。
さぁ正々堂々なんて死に物狂いを知らぬ相手だけ。
影の国が現世と切り離されて以降、そう言った相手としか戦ってこなかったスカサハは忘れてしまったのだ。
戦場の不条理な理を。
何時もの様子で挑んだ此処は既に死地であり戦場だ。
不意打ち言葉遊びなんて日常茶飯事。
「貴様ぁ、図ったのか!!」
「誰も一騎打ちするなんて言ってないぜ。無様に無意味に此処で死ね、死にぞこない」
図ったのかと叫ぶスカサハに対し上記の理由も含め尚且つ。
第一に一騎打ちなんてするなんて誰が言ったと冷たく言い放つ。
そう此処は既にキリングゾーン。
スカサハを殺すためだけに整えた舞台だ。
上記にも書いた通り不意打ち前程の舞台なのだ。
此処で時間を少し巻き戻す。
「師匠が来たら何とか達哉のノヴァサイザーで不意打ち出来る距離まで詰めとけ、囮は俺が買う」
「良いのか? クー・フーリンはスカサハとの約束が・・・」
「そうも言ってられん状況だろ。俺の矜持より人理優先だ。俺が誘えば師匠は十中八九乗ってくる。だから容赦なくだ」
「わかった」
「それと何処で襲ってくるか分からんから、急行できた奴は達哉が霊核穿ったら宝具解放して消し飛ばしてやってくれ。ロマニと孔明は師匠が今度こそ逃げないように空間遮断な」
『わかった』
『了解した』
そんなやり取りがあり現在に至る。
周囲の空間はロマニが張った空間遮断と孔明が張った
転移のルーンでは転移すら許さぬ鉄壁の封鎖空間である。
だが霊核を穿とうともスカサハはまだ生きていた血涙を流し血反吐を吐きながらクー・フーリンを見る。
「セタンタァァアアアアアアアアアアア!!」
「っち、やっぱこの程度じゃ死なんか・・・」
伊達に長生きしてないという事だ。
霊核と霊基が変貌し第二形態へと移行しつつあった。
達哉は兼定を即座に引き抜きノヴァサイザーを使って即座に離脱。
上空には五人の影があった。
即ちラーマ、シータ、アルジュナ、カルナ、マシュの影があった。
「裁剣、抜剣、イノセントダスト!!」
「
「
「
「
さらにそこに。
「抉り穿つ鏖殺の槍《ゲイボルグ》」
クー・フーリン、全力の一投だ。
通常霊基とは違いオルタ霊基は規格外なまでに改造されている。
故に何時ものようなバックアップが無くても投げられる。
其処にマシュが魔力を同調、合体宝具と成す。
「「「「「「
超々出力による一投が炸裂し、
スカサハは光に飲まれ、何もなしえず何も成し遂げられず満足も出来ず無意味に死んだ。
「これでよかったのか?」
「良いんだよこれで」
クー・フーリンは何処か疲れた様子で達哉の言葉に言い切った。
理由は何度も述べる通り召喚されたサーヴァントは人理の為に走らねばなるまい。
もう何度この若人たちの危機に駆けつけられなかったり、肝心なところで役に立てなかっただろうか。
故に今は己の拘りよりも不甲斐なさを払拭する方が優先だ。
人理の為に走る。カルデアの人々の為に戦うそれだけである。
そして緊急事態の為、医療薬品を抱え込んで走って来たフローレンスに一応見て貰う。
問題は全員がないとの事だった。
無意味な戦いは此処で終わり、
次こそ人理定礎復元の為の戦いが始まるのだった。
今回は短いですけども師匠死亡回。
悪魔でサーヴァントですからね、座の本体は死んで無いけれども。
それでもまさか弟子の指示でたっちゃんが不意打ちしてくるとは師匠も思っても居なかった。
何だかんだでガチガチに約束は守りますからね兄貴。
と言っても今回は流石に兄貴の眼にも余るやらかし具合なので躊躇なく殺されました。
だってこれからエジソン陣営に殴り込みかけるのにマジで邪魔ですもん師匠。
スティーブンが仕込んだブラックボックスですがシオンレベルのハッカー魔術師で無いと解体できません。
なにが仕込んであるかって? それは秘密です。強いて言うなら第二部で使う代物です。
次回、エジソン軍に殴り込み回、兎に角超磁場障壁を解除するの巻きです。
オルガマリー実装記念にちょっとしたネタバレ
第二部もやれたらデイビットは原作通りの結末、ベリルはまぁ情緒豊かなウチのマシュに塩なすびされます。その後ニャルに破滅させられるけど。
残る5人は生き残りますもっともヒナコパイセンはまぁアレですけど。
あと多少ネタバレになりますが別存在としてU―オルガマリーは第二部書けたら出て来る構想です。
ニャルが別存在の■■■■■■と契約しカルデアスに潜んでいますので、この時空でも第二部は発生します。
あと■■■が介入してくるので異聞帯のモルガンは命は助かりますけど精神崩壊したカミーユ状態になるかも。
バーヴァンシーは泣きながらモルガンの介護生活ですかね。
バーゲストは死ぬし、メリュジーヌは生き残りますが原作同様の良い空気は吸えないかも。
道満? ああ良い奴だったよ(マジ切れしたオルガマリーにボコボコの蹂躙されるのを見ながら)
と言っても書けたらの話ですが。
もう文章量多すぎて書けねぇ!!
第二部文章量多すぎて無理そうなんで。本当に無理・・・
あと石1000個でオルガマリー三枚・・・
これ以上は課金しろってことですね!!(お眼々グルグル)
水着イベント知らない子ですね。
体調も悪くて回る気しないんだよぉ!!
という訳で体調悪いので次回も遅れます~