Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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我慢しなきゃいけないのが、そもそもおかしいんだよ。
痛いときは痛いでいいんだ。

化物語 なでこスネイクより抜粋。


04 弾劾と接敵

「本当にセカンドオーナーの遠坂は何をしていていたんだね!!」

 

魔術師にとって徹夜は当たり前である。

故に資料を読みあるのは苦ではない。

だがその内容が問題だった聖杯汚染はこれで確定。

アインツベルンがアンリマユの代替品を呼び出し汚染されたことは詳細に記されていた。

だが問題は魔術の鍛錬表の事だった。

エリザベートの黒歴史になりつつある拷問日記以上の桜に対する拷問の事や、

雁夜に対する拷問まがいの施術、

そしてあの蟲爺が肉体を維持する為に女を虐めた事が事細かに記されていたのである。

さしものケイネスもキレざるを得なかった。

 

「桜ちゃんにしてきた仕打ちは酷いのは分かっているけれども、他のやらかしもそんなに酷い物なの? ケイネス?」

「酷いなんてものではない。お家取り潰し案件だ。ちなみに三回程度取り潰してお釣りがくる」

 

ケイネスの言いように資料整理していたソラウも顔が引きつる。

それだけ遠坂の管理のずさんっぷりは酷い物だった。

触りを調べて桜の親権を奪取し、尚も遠坂家を取り潰してでもお釣りが舞い込んで来るという言いようだった。

 

「兎に角、彼女は我が家で保護する。まさかここまで酷い物だとは・・・」

 

臓硯のやらかしはそこまで酷いと言えた。

遠坂が見過ごしてなかったら執行者が派遣されている。

触りでこれなのだ。深読みすればどれほどの物になるか分からない。

 

「だが聖杯が汚染されていると分かっていても、他は止まらんだろうなぁ」

 

聖杯が汚染されているのは分かったが、

他は止まるか話は別だ。ケイネスは武功を求めに来たのである。

アカンと分かったら止まる良心があった。

だが他は違う、時臣は根源への到達、切嗣は恒久的平和、カルデアのウェイバーではないこの時空のウェイバーも危うい、此処は彼の小心っぷりを信じる他ない。

アサシンのマスターはカルデア側から見ても綺礼だ。実際は違うのだが。

愉悦の為にアンリマユの誕生を願いかねない。

キャスターのマスターの龍之介は召喚前にカルデアが始末しキャスター陣営になり替わっているからセーフだとして、

バーサーカーのマスターである雁夜が本当にどう動くか読めないのだ。

昨晩、臓硯と共に始末出来ていれば楽だが、彼はいなかった。

と言っても始末して終了という訳にも行かないのだ。

聖杯がこの状況下で起動すれば、グランドクラスのサーヴァントの七騎案件になる。

つまり世界すっ飛ぶ案件になりかねないのだ。

かと言って資料ではもう雁夜も止まれないだろう。

時臣も根源に至る為なら町一つ程度吹っ飛ばすだろうし、切嗣ももう今更という奴である。

サーヴァントで抑えられそうかというのも征服王と英雄王と言う時点で終わっている。

軽く詰んでないか?とケイネスは思った。

もうここまでくれば開き直ってカルデアに戦力を出してもらうのも一つの手かと思い始め、

頭を左右に振るった。

 

「兎に角、今は遠坂を抑えることが先決だ」

 

それよりも現状遠坂を抑えるほうが最優先事項だ。

切嗣は完全にカルデアが抑えにかかっている。彼の戦術は魔術師にとっては有効ではあるが、

逆に言えば元正規の特殊部隊相手に勝てるかと言うと否である。

狙撃術も所詮は我流だ。アマネ率いる保安部に勝てる要素が無い。

保安部はカルデアに来る前はガチガチの対テロ戦闘をしてきたのだから当たり前だ。

要のセイバーもカルデアマスターズで十分に取り押さえることができる。

 

「もう十分だ」

 

そう言ってパタンと資料を閉じるケイネス。多少だがこれでも遠坂を抑え桜を養子に迎え入れるのには十分だった。

既にケイネスは昨晩の内に遠坂に使い魔を出し話し合いの場を設けたいという趣旨の手紙を脱していた、ついでに桜の事に関してもという趣旨も付け加えて。

それが余計な事になるのだが、ケイネスは知らぬばかりであった。

 

「全員で遠坂邸に向かう」

 

サーヴァントの前では結界も無意味。切嗣がヘリ特攻をしてくるのとホテルハイアットレベルの防御陣地をまだ形成できていないことも相まって全員で遠坂邸に向かう事になった。

無論、レンタルハイエースで。

 

「気になったんだが・・・一々レンタルしなくても・・・」

「その方が暗示掛けやすいのよ。一々免許の為に暗示なんてやってたらきりがありゃしない」

 

ケイネスの進言にオルガマリーはそう愚痴った。

管理体制がCPに移行しつつあるこの時代では暗示による免許の偽装なんてやったらきりがありゃしないのだと。

だからハイエースをレンタルしてレンタル屋に暗示を開けるためだけですむレンタルを選択したのだ。

アスモデウス? あれは第五特異点で無理しすぎたせいでオーバーホールのフレームからの全面修繕中だし。

この特異点の時代的に街中で乗り回せないような代物だ。

故にレンタカー移動するしかないという世知辛い問題があった。

 

 

 

遠坂時臣はルンルン気分であった。

ランサー率いるケイネスから会談の打診があったからである。

しかもキャスター陣営とも同盟を組んでおり、キャスターのマスターや協力者も同席するとの事だった。

油断はできないが、上手く行けばランサー陣営とキャスター陣営の両方と同盟を組める。

組んだ後は彼等に遊撃を任せ、最善のポイントで背中から討てばいいと思っていた。

ついでに昨晩、間桐邸を落とし桜を保護、同席させたいという宇宙猫案件もあったが些細な事。

これには禅城家に一旦非難させていた葵を呼び戻し、情に訴えさせれば桜をコントロールできると思っている。

それより問題はアーチャーことギルガメッシュである。

彼は常に不機嫌そうにワインを飲み、召喚時から時折姿を消していた。

元より最古の王にして暴君でもある。彼の機嫌を損ねるわけには行かない。

今回の会談は上手くしなければならないと思っていた。

 

「突然の来訪を許していただき、感謝いたす」

「いいえ此方としても是非にも無い話です、どうぞ上がってください」

「ええでは失礼して」

 

そして件の客人たちがやって来た。

ケイネスにその婚約者ソラウ、そしてサーヴァントのランサー。

一方のキャスター陣営は貧弱感が否めなかった、キャスターのマスターであるオルガマリーは古い名家の出であると見抜けはしたが。

達哉はどう見ても一般人であるし、彼らとともに着た少女であるマシュは下半身不随でメカメカしい車椅子に乗っている。

そう言った意味ではキャスター陣営は同盟に値するのかと時臣は思ったが。

とりあえず応接室に通す。

 

「粗茶ですが」

 

桜と再会出来たことに嬉しそうな葵、それをみてソラウはこの子が髪色が変わり目の色が死んでいるのに何も気づかないのと内心罵った。

 

「それで此度の件、セカンドオーナーとしてどう思われますかな?」

 

そしてケイネスがまさかの青筋を額に出現させながら時臣に問う。

 

「此度の件とはいったい」

 

時臣には心当たりが一切なかった。

ケイネスの額に青筋がさらに増える。ソラウの顔面が般若顔になり、他は呆れ気味だというかマジか此奴という表情だった。

その様相を前に時臣は笑みを崩さず内心焦りまくっていた。

どこが地雷か全く読めないし、今回の一件の件についても分からぬのだからしょうがないとも言えよう。

 

「ほう、では管理地に置いて間桐臓硯が人食いに拷問を行っていたことは存じ上げないと?」

「えっはぁ?!」

 

時臣寝耳に水であるが、

こればかりは完全に時臣が悪い。

個人としてなら悪くはないのだが、

セカンドオーナーと言う管理者としての立場がある。

これは時計塔日本支部から委託されている管理者と言う立場であり権限だ。

故に、

 

「現に臓硯の隠蔽は杜撰な物だった。地主としての立場を利用して行方不明でゴリ押すとはですな。今朝被害者一同に関する情報を警察に問い合わせた結果、現在も捜査中との事・・・完全な隠蔽を行う魔術師としては片手落ちですな。現に警察に行方不明として漏れているのですから」

 

そう、普通の魔術師なら警察にバレることなく情報を処理する。

それすら出来ず警察の介入を許してしまっているのだ。

魔術師としては片手落ちと言う他なく、故に管理者として情報処分しなければならない案件なのに遠坂が動いた様子はない。

それでは管理者として異議を問うのは当然の事だろう。

 

「ちなみに魔術の探究と言っても無駄だぞ。彼は明確に人喰らいだ。これが証拠と被害者のリストだ」

 

ランサーから拷問資料を受け取りケイネスは時臣の前に無造作に投げ出す。

時臣はすぐ様にその魔導書染みた日記を手に取り速読。

顔面の色を真っ青に降下させる。

本当に紙一重の隠匿であった。下手したら民間にバレかねないような杜撰な代物である。

ケイネスが時計塔に報告を上げれば執行者が来るだろうし、時臣はセカンドオーナーとしての地位を剥奪させられる。

さらに言えば自分が見込んだ凛の時計塔留学の道も閉ざされるであろう。

 

「なら今すぐに臓硯の粛清を」

「その程度してないと思ったかね? 既に臓硯は粛清済み、間桐家も抑えたと使い魔の手紙に書いていたはずだが?」

「ぐっ」

 

そう間桐家を抑えたというのは使い魔の持って来た手紙にも書いてあることだった。

ともすれば臓硯もすでに粛清済みと考えるのが自然である。

 

「この程度の隠匿及びこの地の魔術師の把握も出来ないのであれば、貴様も同罪だ。時計塔に報告し然るべき処罰をさせてもらう」

 

ケイネスは何処までも冷酷だった。

しかも時臣的にも言い返せない。証拠がこれぞとばかりに揃っているのだから当たり前だし。

家の格でも遠坂よりもアーチボルト家のほうが遥かに上だ時計塔への発言力もである。

つまるところ詰みである。

 

「所で桜は・・・」

「彼女は魔術鍛錬なんぞ一切うけておらん」

 

ケイネスはそう言いつつランサーに新しい資料を持ってこさせる。

それも先ほどと同様に時臣の前に放ったケイネスだった。

震える手で時臣はその資料を見て顔面が真っ青どころか真っ白になりかけた。

魔術教練は一切無し臓硯の胎盤への加工と趣味も兼ねての拷問虐待の数々が記されていた。

 

「すぐさま桜を当家に引き戻し・・・」

「私の中で君への評価は地の底だ。桜は我がアーチボルト家で引き取る。貴殿ではどこぞの匹夫に彼女を渡しかねん」

「おおそれは!!」

 

時臣にとっては正しく瓢箪から駒という奴だった。

桜があの名家アーチボルト家に引き取られるという事になるとは思っても居なかった。

これなら遠坂の血筋は残るとして喜ばない奴はいないと内心小躍りする時臣。

その時臣の打算を女の勘で読み取ったソラウとオルガマリーが言葉で噛みつこうとする。

それを手で制したのはケイネスと達哉だった。

 

「もうこやつは何を言っても無駄だ」

「オルガマリーもだこいつに何を言っても無駄だ」

 

ため息交じりだ。

もう時臣はケイネスにとっては凡夫、達哉にとっては毒親にしか見えなかったからだ。

 

「そう言う君に魔道の何たるかはわからないがね」

 

此処ではただの人にしか見えぬ達哉を見ながら時臣は嘲笑う。

彼にとって二人の娘は自分のスペアでしかない、自分根源に行けなかった時のだ。

その為なら何でも容認する今回は偶々合わなかったが臓硯が魔術教練の為に行っていたのなら笑って容認しただろう。

桜の望む望まないにかかわらずだ。

 

「二子を設けた魔術師は誰もが苦悩する、秘伝を伝授し得るのは一人だけだからだ。いずれか一人は凡俗に落とさぬといけぬジレンマにな」

「それでも良いじゃないか、幸せなら、桜がアンタに求めていたのは魔術師的幸せではない、その凡俗たる父の部分を求めたんだよ」

「それはいただけないね、そんな物は幸せではない」

 

達哉が芯を付くが時臣には響かない。

その態度は普通の幸せを求めどれほど苦しんだソラウとオルガマリーの逆鱗を逆撫でするばかりだ。

第一に我が子がいる前でそれを言うのかと二人は切れそうだった。

流石の達哉もキレそうになりつつもケイネスと共に二人を抑えつつ次の言葉を待つ。

 

「二人とも優秀過ぎた。その片方を凡俗に落とすことなど親にはできない」

「だからそれが違うと言っている。アンタならツテを使って桜を一般人にも出来たはずだ」

「たとえば?」

「アンタの言いたいことは分かっている。無知のままじゃ桜は生きられない。だったら自衛の手段だけを教えておけばそれでいいだろうが!!」

 

そう桜の才能は突出している、どう足掻いても一般生活は送れない。

それは嫌と言うほど孔明の講義で分かっている事だった。

だが逆を言えば一般生活するのには近づける。自衛としての魔術を教えればいいそれだけだ。

 

「?それでは根源に至れぬであろう」

「・・・もうわかったよ」

 

駄目だ此奴、何っても聞きやしない。

さしもの達哉も諦めたと言うかこの場の全員が時臣に何言っても響きはしないと納得しそして、

こいつは何処までも根源へ至る道具としてしか桜を見ていないと思うしかない。

魔術師としては正しいんだろうが道具にされた側としてはたまった物じゃない。

己のエゴに子供を付き合わせる典型的毒親という奴だった。

そしてそれを聞いて桜は。

 

「ああ、やっぱり」

 

虚空を見つめるような瞳で。

 

「父さん、母さんにとって私は要らない子だったんだ」

 

そう呟いた。

 

「桜!!」

 

そこで葵が部屋に飛び込んで来る、偶々茶菓子が出来たので部屋の外で待機し効き耳を立てていたのだ。

 

「近寄らないで!!」

「桜――――」

 

そして母も拒絶する。父の気持ちを聞いた時点で桜は分かっていた分かってしまった。

この女は葵と言う女と父を結びつける鎖としか見ていないのだと。

漸くまだ間桐家に養子に出される前に感じていた違和感に気づいたのだ。

父こと時臣が言う事が本音であれば自分なんか必要ないはずだから。

葵と時臣を繋ぐための道具それが自分、才能は付属品でしかないことを理解してしまう。

 

「姉さんがいるなら、私必要じゃないんですよね・・・!!」

 

そういって桜が走り出してしまう。葵は呆然としたままだ。

彼女はこれだけ言われてもまだ自分でも気づいていなかった。いや気づいてはいたが脳内で都合の良い解釈にこねくり回した。

逆にソラウは走り出し桜を追いかける。

ケイネスはため息を吐き。

 

「聖杯が汚染されている可能性もある。停戦協定は後日正式に教会に出させてもらう。それと貴殿の家、持つとおもうなよ」

 

そうケイネスが吐き捨てて聖杯が汚染されているかもしれないという資料を残し遠坂夫妻以外のケイネス含めた皆が桜の後を追い。

呆然とした夫妻だけが残されたのだった。

 

「離してください!!」

「嫌よ!!」

 

子供と大人の歩幅には差がある幼子がいくら全力疾走したところで成人女性の全力疾走に勝てる訳もなく。

遠坂邸の庭先でソラウに背後から抱きしめられる形で桜がとっ捕まっていた。

最も彼女は激しく抵抗しソラウは引っかき傷だらけだったがそれでも強く桜を抱きしめる。

 

「アナタも私を利用したいんでしょう!!」

「違う違うのよ・・・桜ちゃん」

 

ソラウも親の愛情を知らない、異性からの愛は最近知ったが。それでも父性とか母性なんて物とは桜と同様無縁だった。

 

「私も知らないから、だけど私を見てくれる人はいたから、アナタだってそうでしょう?」

 

先日になってようやく気付いた。今までの自慢はケイネスなりの不器用な愛情表現だったのだと。

カルデアが気づかせてくれた。

 

「達哉と約束したんでしょう? 焼肉だったかしら? 皆で食べに行くって」

「・・・うん」

 

桜もソラウの言葉で達哉との約束を思い出し落ち着く。

達哉は約束を守るどころか一晩前倒しで助けに来てくれた。

一人で眠れないと駄々こねた時も一緒に寝てくれた。

彼には彼のやることが在るのにちゃんと桜を見てくれていたのだ。

 

「だからお洋服を買いに行きましょう、このイザコザが終わったら・・・血がつながっていなくても家族になる為に少しずつ始めていきましょう」

「・・・うん・・・うん!!」

 

ソラウもまた己が境遇から桜をちゃんと見ていた人物だ。

虐待の有無は違えど道具として生きろと言われたがゆえに、桜に入れ込んでしまうのも無理はない。

だからこそだ真実の心の裡が開ける、擦れ切った桜を信じさせることができるのだ。

自分を分かってくれる人がまた増えたことで家族になってくれると言ったことで桜は滂沱の涙を流したのだった。

一方、皆さまが気になっている切嗣陣営。

切嗣は頭を抱えていた。

 

「仕掛けたC4は全解除、加えてランサー陣営は間桐家を落とし工房化、クッソ」

 

珍しい彼の悪態である。

現に普通の魔術師ならやれる量のC4をセットし他のだ。

それが全て解体された挙句、回収されるとはふざけているのかとしか言いようがない。

加えてランサーはキャスター陣営と手を組んだともされる。

昼にはアーチャー陣営と会談さえ行ったとの情報さえ入って来ていた。

ケイネスは典型的魔術師だ。

ともなると爆弾の解除なんて出来っこない。

やれるとすればキャスター陣営か。

別に不思議な事態ではないなんやらかの理由で宮内庁の有する対魔術特殊部隊に令呪が現れればそう言う事は簡単にできるし、

介入の理由にもなる。

そうなればなぜかキャスター陣営に一般人が一人紛れ込んでいるのも納得が行くという物だ。

一般人に偽装して遊兵とする。宮内庁の対魔術特殊部隊は少数精鋭を地で言っている。

たった一人がクロン大隊の内の三人に匹敵し得るとの情報もある。

それはシャレになっていない。分かり易く言えばケイネスが礼装無しで三人に増えた様なものだ。

サーヴァントの存在もありとてもじゃないが不意打ちでも正面戦闘でも勝てる気がしない。

 

「タンクローリーは無理だ・・・いっそニトロを満載したヘリでも・・・駄目だ予算と時間が足りない」

 

舞弥にも昼間に偵察させたが出来損ないとは言えハイアットホテルと同種の結界が張り巡らされている事。

加えて間桐邸までは激しい段差の石階段に、それなら別方面からタンクローリーを突っ込ませようとも思ったが木々が生い茂っており無理に等しいとの事だった。

かと言ってヘリにニトログリセリンを満載したドラム缶を使っての疑似空中爆撃からのヘリ特攻は予算が掛かり過ぎるし手配にも時間が掛かる。

少なくともこの聖杯戦争中には間に合わないだろう。

 

『どうしますか?』

「舞弥は引き上げてくれ今夜どう出るかで戦術を決める」

『分かりました』

 

舞弥の問いかけに切嗣は深く溜息を洩らしソファーに腰を深く掛けた。

今日はセイバーもアイリスフィールも現地入りしている。

本格な激突があるとすれば今夜だろうとあたりを付けて自分自身の銃WA2000の整備に余念を欠かさなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで釣れたのか?」

「ランサーが上手い事やってくれたみたいだ。予定通りだよ、達哉君」

 

助手席に座るケイネスに後部座席から達哉が語り掛ける。

今夜は顔合わせ回だ。

そう気負う事も無い。最もバーサーカーは滅殺するというのは全員の共通認識だが。

彼が下手に戻ってきてもらっては面倒なのだ。

もう雁夜は誰もが顔面の前でうろつく蝿でしかない。

強いていうなら邪魔だった。

 

「ところでマシュ嬢は大丈夫なのかね? ペルソナは長時間展開できない筈だが」

「マシュの形式は私達の形式と違うのよ、最長一週間は展開できるわ、だから心配しないで」

 

ケイネスはマシュの事を心配していた。なんせ普段は下半身不随なのだ。

通常のペルソナは長時間展開ができないとも聞いたし、

大丈夫かと邪推するのも当然の事。

だがマシュのペルソナ展開方式はカタルシスエフェクトタイプだ。

その気になれば一週間は展開してられる。

最も、第五の時の様になりかねないので、展開は最小最低限に収められてはいたが。

 

「ウェイバー君、ソラウと皆を頼むぞ」

「任されました」

 

そうこうしている間に誘引を行っているディルムッドに先んじて倉庫街に到着。

レンタルハイエースには光学迷彩布を掛け。

皆が一等席に移り、ケイネスが視線除けを孔明が光学迷彩と防御結界を張る。

 

「おーおー居るわ居るわ、距離800m」

 

そしてコンテナの上に陣取った一同。

オルガマリーはDSRー50を構えスコープを覗き保安部一の狙撃手のウォンが組み立てた狙撃地図を元に算出された狙撃ポイントを漁る。

すると二人の影を認識した。WA2000を構える切嗣とステアーAGUを構える舞弥が居た。

向うはまさか狙撃戦なんて想定してないだろうしこちらが対物ライフルを持ち出してくるとは夢にも思っていないだろう。

昼間のストレスからオルガマリーは悪魔の様に笑っていた。

これには達哉もマシュもケイネスもソラウも孔明もドン引きである。

けれど桜は、

 

「いいなぁ私もバキューンってしてみたい!!」

「それは大人になってからな桜」

「えーぶーぶー」

「拗ねてもダメな物はダメだ」

 

拗ねる桜にケイネスがそう注意する早速いい養父っぷりだった。

 

「兎に角だ。早い所終わらせよう、焼き肉ゆーじーの予約時間が迫ってきている」

 

達哉がそう言う。

 

「いや此処は普通、焼き肉よりサーヴァント戦ではないのかね?」

「焼肉だな」

「焼肉ですね」

「焼肉よね」

「焼肉です」

「焼肉ね」

「師よすいません、自分と会いたくないんで焼肉です」

「貴様等ぁ!! ああもう!! 仕方ない、ビールが不味かったらゆるさんからな!!」

 

ケイネス以外とっととこの顔見見せを終わらせて焼肉に行きたがっていた。

ケイネスはビールがうまくなかったら許さんからなとプンプンしながら広場を見る。

ランサーが到着した。

 

「総員戦闘態勢、桜とソラウさんは息を殺して静かにしてください」

 

それと同時に全員が戦闘態勢に入る。

達哉は兼定を抜き放ち、マシュはウリエルを呼び出し鎧を身に纏う。オルガマリーはまず射殺しても問題ないであろう舞弥に標準を付けていつでも引き金を引けるようにしていた。

孔明も結界の維持に全力を注ぐ。

桜とソラウももしもの場合が在ったら守り切れないため此処に連れてきたのだ。

故に静かにしていろと達哉が警告する。

それと同時にディルムッドとセイバーの戦闘が幕を切って落とされた。

今のディルムッドは十全だ。真に互いを理解したマスターにその同盟相手はかのカルデア。

バックアップに不足は無し、気力も体力も充実している。

加えて本来のキャスターであるジル・ド・レェは召喚さえされてはいない。

故に宝具の槍も二本とも開帳済みだ。

近接戦闘なら負ける要素無しと圧倒的攻め手で攻めていく。

だがセイバーもブリテンの騎士王だ。腕は鈍らではなく優れているほうなのだ。故に油断はできない。

そしてディルムッドも黒子を切り落としている為真名バレの心配はない。

 

「どうしたセイバー、その程度か?」

「くっ」

「我が主の同盟主であれば、今のやり取りで俺の手首は3回切り落とされている」

 

第五での記憶と昼間での稽古でディルムッドは達哉とやり取りをしていた。

我流に柳生新陰流奥義と魔剣を加えた腕はディルムッドも凌駕していた。

ペルソナを使えば既にこの世にいないし、それでも十文字と合撃によって詰められ。

今のセイバーとの打ち合いでの中でと仮定するなら三回は手首を切り落とされているという確信があった。

だからこそ嬉しい。忠誠心を思う存分発揮できるようになり十全に力を発揮できる戦場なんぞなかなか無いがゆえにだ。

 

「今の俺に不足はない。取りに行かせてもらう!!」

 

必滅の黄薔薇も開放する。

今の彼に制約はない。真名がバレてもカルデアがカバーに走るがゆえにと言うか、

 

『ディルムッドの死因って猪だからぶっちゃけ真名バレしても問題ないのでは?』

『あっ』

 

昼達哉の言いようにケイネスは唖然と口を開けた。

ディルムッドの死因は魔猪による致命傷の傷を嫉妬に狂ったフィンが癒さなかった事が起因している。

ぶっちゃけ真名バレしても其処を突ける訳が無いのだ。

魔猪を用意できるのなら話は別だけれども現代魔術師にそんなこと出来る訳もなく。

故に真名がバレてもデメリットが無いのだ。

あと最低条件で必滅の黄薔薇でセイバーの腕の腱を切らねばディルムッドの最低限の目標も達せられない。

それは不忠となる。

だから最低限、セイバーの腕の腱だけは切っておきたかったのだ。

それに、

 

「若者に遅れては先達の名が廃るというもの!!」

「くっ!!」

 

ディルムッドは猛攻に転じる。

凄まじい攻勢だ。自分の身を顧みぬかとセイバーが驚愕した時である。

必滅の黄薔薇が手甲を貫通しその腱を断ち切った。

両者弾けるように間合いを取る。

 

「傷が、アイリスフィール」

「もう治癒魔術は掛けたわ、なのになんで!?」

「我が必滅の黄薔薇の傷は癒えぬ。まず感触的に親指の腱貰ったぞ」

 

必滅の黄薔薇で与えられた傷は癒えない。

これでセイバー陣営はいつでも始末可能、と言っても聖杯が汚染されているので脱落させるのは無理だが。

今のセイバーは俎板に乗った鯉だ。いかようにでも調理できる。

 

「まさか。一度穿てば決して傷を癒さぬ呪いの槍、魔を断つ朱槍、フィオナ騎士団随一の騎士、ディルムッド・オディナとは・・・、だが黒子が・・・」

「ああそれならキャスター陣営との戦いの後、同盟の証として切除した。いやはや生前の自分の愚かさが嫌になる。必滅の黄薔薇で早々に黒子を切除しておけばあのような悲劇は起きなかったものを」

 

そう言ってディルムッドは槍を構えなおす。

 

「だが次はないぞ、セイバー」

「抜かせ、貴様の首叩き落としてやるぞ!!」

 

その時だった。

雷が鳴る。

轟音が響く、牛二頭が引く宙を行く戦車が両者の間合いの間に入り込む。

 

「AAAALaLaLaLaLaie!!」

「うわぁぁああああああああああああ!?」

 

そしてその乗り手はライダーだった。

ついでに悲鳴を上げているウェイバーに頭が痛くなる孔明だった。

 

「双方、剣を収めよ」

「俺は槍だがなライダー」

「ええいそう言う無粋な突込みは無しだランサー、王の前であるぞ」

「生憎と今生の主はただ一人なのでな」

 

普通なら気後れしてしまうライダーのカリスマにディルムッドは気後れする理由もなく皮肉で言い返す。

セイバーはディルムッドが良いマスターに巡り合えたのだなと思った。

 

「我が名は征服王イスカンダル。此度の聖杯戦争に置いてはライダーのクラスで現界した!!」

「やはり、聖遺物を盗んだのは君かウェイバー君」

「げぇ、先生」

 

光学迷彩結界を解除、ため息交じりにケイネスが額を抱えて現れ、

ウェイバーばビビり散らかすが、

それと同時に銃声。

 

「ちっ、感が良い」

 

更にケイネスの横に立つのは銀髪の少女ことオルガマリーだ。両手にはDSRー50が握られ、狙撃手を排除しに掛かった。

生憎感が良いのか銃本体を破壊するにとどめられたが。

更にその横に達哉、マシュ、孔明が横に立つ。

 

「ほう!! 可憐な女ではあるがなかなかの腕よ!!」

「かの征服王にお褒め頂き感謝の極み」

「では!! ついでに問うておくとしよう。うぬらとは聖杯を巡る敵同士ではあるが此処にいる全員、余の配下になる気はないか」

 

ライダー事イスカンダルがそう言うが。

 

「楽できない立場でな、生憎と上司は決めている」

「私も先輩に同意見です」

「現状私も宮仕えの身でね」

「そして統率しているのが私だから無理」

 

カルデア勢はそう言って拒絶。

孔明も苦しいが此処はあえて拒絶した。第二で味わった、自分の事より優先することがある。

その優先すべきことを蹴って仕えるなんて言ったら逆に失望されるだろう。

 

「ならばランサーは」

「生憎と誰かに仕える趣味はない」

「私も」

「征服王よ俺の答えは先ほど言った通りだ」

 

ケイネス陣営も仕えない一択だった。

ケイネスは誰かに仕える気質ではないしソラウも一緒。

ディルムッドは現界中はケイネスに仕えると決めている。

 

「ならセイバーは」

「寝言は寝てから言え」

「私も愛する人がいるから無理」

 

セイバー陣営からは完全に拒絶の声だった。

 

「・・・これは交渉決裂かぁ。もったいない」

「なにやってやがりますかぁぁあああああ!! この馬鹿ァ!!」

「だってな、キャスター陣営を見てみろ、誰も彼もが一級の英雄の風格だぞ? そそられぬ方が無理という物であろう?」

「一級? 一人は一般人っぽいけど」

「坊主、逆にこの場において一般人がお前の先生と背を並べて立てるほどの人物ということだぞ」

「あっ」

 

そのことにカルデアとランサー陣営以外が気づく。

そう、達哉の存在そのものが異質なのだ。一般人なのに英雄と肩を並べられる人材たちに並び立っているほうがおかしい凄まじい異物感だった。

 

その時だった。

 

「いい観察眼をしているな雑種」

 

無数の宝具が飛来した、各々のサーヴァントがマスターを守る為に走る。

なおカルデア勢は自分で払っていた。

 

「貴様は・・・」

「今は貴様に興味はない征服王・・・我は裁定しに来たにすぎぬ」

 

倉庫の屋上、其処に黄金の鎧を身に纏った美丈夫が存在していた。

そしてその背後には無数の黄金の波紋の中から切っ先を出す宝具の数々。

 

「そうだとも、周防達哉、大いなる罪人。そして人理焼却に挑むカルデアの者達よ。先を紡ぐのに相応しい者達かどうか、この我が見定めてやろうではないか。なに安心すると良い、慢心はせぬが加減はしてやる」

 

黄金の王、それ即ちギルガメッシュ。人類最古の王にして暴君は冷静な目線で達哉達を品定めするかのように見定める。

完全に戦闘モードだ。

ならばもう討ち取る勢いで行くほかないとカルデア勢も覚悟を決める。

 

「「オールコール!!」」

 

サモライザーを抜き放ち全員召喚した。

 

「うそだろ、こいつら全員サーヴァントだ」

 

ウェイバーが驚愕する暇もなく英霊複数体を引き連れたカルデアとギルガメッシュの戦争が始まった。

まず先手を取ったのはギルガメッシュである。

星の流星の如く射出される宝具を防ぎきるのは困難だ。

達哉達、マスターズは自前で防御できるが、ケイネスたちは反応できない。

 

「投影開始!!」

「ふん!!」

 

エミヤたちがケイネスたちを守る。

無数に投影された宝具で先手を打って飛来する宝具を撃ち落とす。

だがすべては無理だ。キャパシティを超えている。

それをフォローするのが宗矩だ。弾きで飛来する宝具をディルムッドと共に弾く。

他の面々も他のマスターたちを守るように展開。

宝具も惜しみなく使う。誰かが脱落した時点でアウトなのだからそうだろう。

その間にも勇敢にカルデアマスターズはギルガメッシュへと切り込む。

 

「アポロ、ノヴァサイザー!!」

 

間合いに入った刹那、達哉は躊躇なくノヴァサイザーを起動。

最大停止時間8秒だ。これで確実にギルガメッシュの首を、

 

「甘いわ罪人」

「ッ!?」

 

停止した時間の中でギルガメッシュもまた動いていた。

彼の隣には宙に浮く水時計があった。

 

「時間停止が自分だけの物と思ったか? 我にもこのくらいはできるぞ、オケアノスの水時計でな」

 

時間神クロノスの権能を封じ込めた水時計による時間停止。

それにより停止した世界に入門できるのだ。

最も魔力消費が大きいため使用時間は達哉のノヴァサイザーと同じくらいだが。

それでも時止めを防ぐのには十分に過ぎた。

黄金の斧と兼定が交差し力の差で両者は弾け飛ぶように間合いを取る。

 

「ヴォイドザッパー!!」

 

そして停止した時間が再び動き出し、ギルガメッシュの背後を取っていたオルガマリーがヴォイドザッパーを繰り出すものの・・・

 

「ハルペーの大鎌」

 

ギルガメッシュが展開した大鎌によってそれも防がれる。

ハルペーの大鎌、クロノスが嘗てウーラノスを討ち取るために使ったとされる絶対切断の大鎌である。

それは空間にさえ及び、ヴォイドザッパーと相殺しあう。

だがオルガマリーはリペアラーを引き抜いて近接射撃。

ギルガメッシュはオルガマリーの手を叩いて射線軸をずらし、王の財宝の波紋を広げ宝具を射出。

その刹那にマシュはウリエルからラウンドテーブルにペルソナを変更、オルガマリーとの入れかわりで彼女を攻撃から守る。

その間に達哉が兼定を大上段に掲げ兜割り。

ギルガメッシュは防御宝具を展開し因果切断の一撃から離脱した。

その間にも宝具はまるでこの戦いには関わらせぬとばかりに各陣営に降り注ぐ。

 

『王よ! 御止めをこれ以上は私が!!』

 

達哉、マシュ、オルガマリーの三人の猛攻を防ぎながら蚊の鳴くような時臣の声聞いて、

 

「今は裁定中だ時臣、貴様も魔術師であるならもっと振り絞れ」

『王!?』

 

既に王律権ダムキナは発動済み。それでも賄いきれない攻防が行われ時臣は文字通り死にかけていた。

そして何度も衝突が行われる。

無数の宝具を有するギルガメッシュに果敢に挑むカルデアのマスターズ。

正しく神話の戦闘だろう。

そして三人が間合いを離した瞬間。

宝具の掃射も攻撃も止む。

地面に突き刺さった宝具も回収され神話の如き戦いが終わったことを告げていた。

 

「なるほど、いうだけの事はある。我を差し置いて最初に影を退けた人間と言うのは本当だったらしい」

「なら引いてくれるのか?」

「ああ、此度は引いてやる罪人・・・故にこそ、その生き方を損なうことなかれと、その前にだ」

「?」

「狂犬に注意だ」

「Aurrrrr・・・・・・Arrrrrthurrrrrrrrーー!!」

 

突然、広場の中心に黒い霧が現れる。

それは狂戦士の顕現だった。

 

「今更か!?」

「こっちにも余裕無いわよ!?」

 

さしものカルデア陣営も疲弊している。

今更、バーサーカーの相手なんてできないのだが。

バーサーカー、まさかのセイバーではなくアルトリア・リリィに突っ込むの巻。

そう、今のバーサーカーは第六特異点のランスロットと記憶を共有している。

だからセイバーではなくアルトリア・リリィに突っ込んだのだ。

 

「ええ私ですか!?」

 

振り下ろされる電柱の一撃を何とか弾き、アルトリア・リリィは慌てた様子で悲鳴を上げた。

 

「嬢ちゃん!!」

 

其処にクー・フーリンがフォローに入る再度振り下ろされる電柱をクー・フーリンが粉砕する。

確実にバーサーカーは殺しに来ているこれ以上加減のしようがない故に――――――

 

「一撃で決めろ!!」

「了解、全呪開放、加減は無しだ・・・絶望に挑むがいい。噛み砕く死牙の獣(クリード・コインヘン)

 

クー・フーリンが宝具を起動、倉庫街をふっ飛ばすわけには行かないので今回は噛み砕く死牙の獣(クリード・コインヘン)を選択。

バーサーカーを蹂躙するが、

 

「Aurrrrr・・・・・・」

「すまねぇ達哉逃がしちまった」

「いやこれで良いさ」

 

クー・フーリンが申し訳なさそうに言う。

バーサーカーは消失した。

と言っても霊体化して逃げたのだ。つまり仕留め損なった。

そしてこれで終わったのかと思ったのだが。

カルデア&ランサー陣営、他の陣営に睨みつけられている。

まだ臨戦態勢は解けない。

一方ギルガメッシュは空を睨みつけていた。

そして鳴るのは無数の羽音。

 

「さんたまりあ、うらうらのーべす、さんただ―じんみびきし、うらうらのーべす」

 

唱えられるは打ち捨てられた讃美歌

 

「さんたびりごびりぜん、うらうらのーべす、まいてろきりすて、うらうらのーべす、まいてろににめがらっさ、うらうらのーべす」

 

上空に無数の虫が集合し漆黒の人型を作る。

 

「まいてろぷりんしま、うらうらのーべす、まいてろかすてりんしま、うらうらのーべす」

 

具現化するのは悪魔そのものだった。

 

「あんめいぞぉ、ぐろぉぉろりああす!! キハハハ!! 待たせたね道化役の登場だよ♪」

 

悪魔は茶目っ気たっぷりに嘲笑いながらそう言う。

 

「黙れ蝿声」

 

ギルガメッシュは躊躇なく宝具を射出。

具現化した悪魔は鈍い音と共に爆発四散し再度肉体を構成した。

 

「いやぁ君たち千里眼持ちにとって僕のような存在はうるさいノイズ見たいなものだけれど、そうすぐ切れるのよくないと思う、だってすぐ切れる若者みたいだもん今の君って、他人を雑種雑種とか言っておきながら自分も今の若者とか立場を脅かされたらすぐ切れる会社の上役みたいなものじゃん・・・そこのと「黙れ」いったーい」

 

悪魔は今度は串刺しにされるが、別の所で復活する。

こんなにも悪魔祓いの最上級宝具を受けてもだ。

 

「アナタたち一体何者なの・・・?」

 

余りの悪性情報の塊にアイリスフィールは吐き気を催しながらも問う。

悪魔は耳穿りながら。

 

「まずそこからぁ? 良いよ教えてあげるよ、今日は触りだけだけどね!! 僕は神野明影!! 真のキャスターさ!!」

「真のキャスター? キャスターは其処に」

「ああ彼もキャスターだよ、未来の君が理由あって孔明降ろしてキャスターやってるだけさ。と言っても召喚術式は違うし済む世界も違う、今回の聖杯戦争は異常だらけ!! 他世界まで浸食してたから侵攻された彼らが修繕に来ただけさ。まぁ分かり易く言うと彼らは英霊を使役して特異点を修繕する平行世界軸の未来の組織ってわけ」

「ええ、アイツが未来のボク?!」

「そうだよー、そして僕は狂言回し、それ以外何もできない役立たずさ、だから君たちは安心して聖杯戦争をしてくれたまえ、クキハハハ・・・ハハハハハハ!!」

 

そう言って悪魔こと神野明影はまた無数の虫に分裂し去って行く。

 

「タツヤ撤退よ!!」

「分かっている!!」

 

カルデアのサーヴァント達が消えうせる。

いや厳密に言えばサモライザーの中に戻ったのだ。

そして煙手榴弾を複数個地面に叩きつけカルデアとランサー陣営は撤退に入った。

因みに煙手榴弾の中には魔力攪乱剤が含まれており追うのは不可能と行った所だった。

 

「おい!まて!!」

「待て坊主、追うのは得策じゃない」

 

追おうとするウェイバーをイスカンダルが止める。

 

「何でだよ!! アイツら疲弊してたじゃんか!!」

「他の者達にはあの宝具の雨霰から守ってもらった貸しがある。それにだ、疲弊していたとは言うが連中余力を残しておったぞ」

「マジで・・・?」

「応とも、あえて周囲に被害が出ぬように戦っておった。まだ札があると見える。漁夫の利を狙った所でどうなるか予想がつかん。なんにせよイレギュラーだ。明日にでも教会からの呼び出しが来るだろう。その時に真意を問いただせばいい。それでどうする金色の?」

「罪人の裁定終わった。我もこの町でやることがある此度は大人しく撤退するとしよう」

 

そう言ってギルガメッシュは霊体化し夜の街に消えていった。

 

「セイバーはどうする?」

「私達もそう言う気分ではありません、特にシンノアキカゲと言いましたか真のキャスターも見過ごせませんし今夜はそっちを追います」

 

セイバーはそう言うが実際には違った。

切嗣と舞弥はオルガマリーの狙撃により銃器を破壊され負傷。

イレギュラーだらけ過ぎて今は撤退、拠点で情報の精査と纏めるために撤収しろとのお達しだった。

 

「なら余たちも撤収しよう、ウェイバー、余は焼肉が食いたい!! 焼肉ゆーじーとかが美味いらしい!!」

「ちょっと僕はあまりお金が、ってうぁぁああああああああああああ!!」

 

こうしてイスカンダルも去り、残されたのはセイバー陣営の身だったが此処に居ても仕方がないので彼女たちも場を後にした。

イレギュラーだらけの聖杯戦争が本格的に始まる。

 




ディルムッド「主人に忠義を出せてたのしぃ~!!」

ディルムッド報われるの巻き。

AUO「はぁはぁこれでカルデアに手を出す奴はいまい!!」
ニャル「ニャルニャルルルル~」
AUO「ムギャァァオオオオオオ!!」

英雄王、噂結界で街にあふれる怪異の討伐を裏でひっそり行っていました。
そして今回の襲撃はカルデアに手を出す馬鹿が居ない様にとカルデアの計画が上手く行くように実力を示させた方ですね。
あとたっちゃんの自己肯定感をアップさせるのも狙いです。
最もニャルの化身として神野が出てきたので本格対処始めましたけども。
本作の英雄王はチートです、下手にペルソナ降ろしたりとかしてるとズッ友チェーンで拘束されますし、リバース・イドもズッ友チェーンで対処できます。
ノヴァサイザーも時止め系宝具で対処してきますし、ヴォイドザッパーも空間制御系宝具で封殺してきますし、イノセントダストも多重防御宝具で封殺してきます。
チートやこんなんチート!!ってレベルに設定しています。
後切嗣はカルデアに最大警戒してます、そりゃ年代的には存在してない筈のDSRー50でカウンタースナイプされましたからね。
なお時臣は王律権ダムキナ使っても供給が追い付かないせいで瀕死状態ですけども。
次回焼肉回&孔明とウェイバーの対談。
そして雁夜おじさん八つ当たりしようとしてボコり返されるの巻きでお送りします。
下手したらトッキー刺されるもお送りしますかも。

ニャル「オタクの夫、浮気してたよ♪」
葵(ターバンのガキみたいな表情でナイフ構える)



ビール飲んでたら深夜テンションも合わさって書き上げてしまったので。
次回こそ本当にっっ!! 遅れます!! 
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