Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
続いて棚の下から破砕音をあげて、長い両足が噴出、さらに棚の上を破ってギギナの頭部が現れる。
棚を胴体にした異形の魔人がそこにいた。
されど罪人は竜と踊る、2巻より抜粋
オルガマリーは舌の上で茶を転がした。
「うん・・・濃いわね」
「・・・何がだ?」
オルガマリーの言葉が何を指すのかと言えば。
単純に神秘の含有量である。
料理とか飲料などは現代の方が格段に味では上である。
歴史とは退行する物ではなく進む物だ。
故に古代の酒が何故、美味なのかという疑問があるが。
これは単純に使用される素材と環境によって神秘の含有量などが違っていたり。
そもそも概念の付与で認識がずらされているだけの話である。
神代の酒が、その代表格で。
概念や神秘に魔力を抜けばやったらめったら薄い葡萄酒に他ならないのである。
故にオルガマリーは茶の味が濃いと評する。
この場合での濃いとは、魔力の含有量の事であった。
近代に入りつつあり神秘は減衰しきっているとはいえ。
それでも500年以上前の茶である。
現代魔術師からすれば十分に濃い含有量だ。
茶に含まれた魔力は魔術回路、あるいは魔術刻印を通して旨味の摂取や飲酒をした幸福感を齎す。
と言っても。
この程度なら、現代人にとっては不味く渋い茶で終わる程度の品である。
クーフーリンは彼女の言いたいことを理解しつつ。
「でもまぁ俺としてはアンタらの時代の料理の方がよかったがなぁ」
クーフーリンがそう言う。無論それは過去に生きたサーヴァントが現代料理を食べたことがあるというのは実におかしな話であるが。
オルガマリーは思いつくことがある。
交流会で盛大に愚痴っていた、並行世界の聖杯戦争の事であった。
普通サーヴァントは、現世での経験を受け継ぐことはない。
座の本体にサーヴァントの情報はフィートバックされるが。
逆に座の本体の情報はサーヴァントとして別の場所に召喚された時にその情報は共有されない。
単純にこれは抑止力が現地住民に無駄に情報を与えて人理の運航に支障が起きない様にするするためである。
と言ってもペルソナ使いだけは別で。
その能力上、阿頼耶識と意識を繋いでいる状況であるため。
座の位置する境界記憶体へと無意識に干渉して特殊なつながりが発生し。
サーヴァントはペルソナ使いとの交流は忘れずに覚えて引き継ぐことが出来る。
無論、ヤバイ情報が入りかねないためフィレモンの情報封鎖は入るものの、大概の事は覚えている。
さらに並行世界の出来事を覚えているのは、そう言ったペルソナ使いとの特殊なつながりと。
人理焼却下という特殊な環境だから召喚の際に検印される記憶情報の管理がずさんになった結果とも言えるだろう。
「並行世界のクーフーリンが散々な目にあった聖杯戦争だったかしら?」
「おうよ・・・マスターが早々に叩きのめされて変態神父に令呪奪われてなぁ・・・
望みもしないことをでよ、それで自害しようとしたら、令呪で止められて馬車馬の如き扱いってやつだ。」
「そりゃまた・・・」
「まぁそれでも戦いが無い時は、街をぶらりしてたし、そいつから金はもらっていたからな。一応満喫は出来たぜ・・・。ただし戦いは糞だったがな」
そういうクーフーリン、その聖杯戦争は監督役を語った神父の策謀であった。
追い詰められまくった騎士王、精神的にボコボコにされた少年少女。影の暗躍に光の異端者の神父。
胸糞悪い物しかなかった。
ケルトでも早々お目に掛れぬ蠱毒の如きという物であったのだ。
「ほんと、その時のいい思い出つったら、うまい飯と英雄王とガチれたことくらいだよ・・・」
クーフーリンの背中はすすけていた。
彼も苦労しているわねとオルガマリーは明日は我が身と身を震わせた。
「さて少し暇になったし、状況を整理しましょうか」
「だな、少しどころか、かなりごちゃついてるしな」
オルガマリーは茶を飲み干してカップをテーブルに置きつつそういう
クーフーリンもそれに同意した。
戦況は無論、こっち側の圧倒的不利と言えるだろう。
相手は亡者にワイバーンに海魔、未確認ではあるけれど悪魔らしきものを従えている上にだ。
「ファヴニール・・・、ヴラド三世・・・、ランスロット・・・、頭が痛くなるわ」
会議などで齎された情報に、オルガマリーは頭を抱える。
ファヴニールは北欧系神話における邪龍だ。
推定的見積もりは最低で魔獣上位ランク。
最高位で神獣上位ランクに位置する怪物である。ジークフリートあるいはシグルドが死力を決して討伐した竜である。
それに、湖の騎士と名高いランスロット、護国の鬼将ヴラド三世ともなればそうなる上に。
「しかも知能を兼ね備えていると来ている上に、プライドの高い、そいつはジャンヌ・オルタと仲良しと来ているぞ」
「ジャンヌ・オルタの方の性能もぶっ壊れよ。何よジークフリートのバルムンクを真正面から打ち負かして。剣技では終始圧倒。どんな怪物よ。」
鎮静魔術を掛けて若干やり取りをしたジークフリートや。
マリー・アントワネットを筆頭としたジャンヌ・オルタと交戦した者たちから。
ジャンヌ・オルタの話を聞いたのだが。
もうオリジナルとは別物と言っても差し違えないくらいに変貌している。
大英雄クラスのジークフリートを真正面から殴り倒したというのだからシャレになっていない
「さらに彼女の配下のサーヴァントは祝福属性がないと傷を即座に再生し致命傷を与えても即座に復活・・・モリモリすぎじゃない?」
「達哉やら、嬢ちゃんが居るのがこっちの救いだけどな」
さらに敵のサーヴァントは祝福の掛かった武器でなければ傷を即座に治療できると来ている。
最も即座に再生するのはこっちで抑えられる。
なぜなら齎された情報は悪い物ばかりではなく
祝福や光属性の乗った攻撃であれば即座に回復は不可能。
それで止めを刺せれば撃破あるいはしばらくは行動不能へと追い込めることが判明している。
これはランスロットを抑え込む為にエリザベート、マルタ、マリー・アントワネット、アマデウスの四人が殿を務め。
ランスロットと交戦、光属性系スキルの攻撃及びそれらを付与した攻撃は再生不能、あるいは治癒こそできるが減衰を確認でき。
結果的にランスロットを撃破あるいは行動不能へと追い込んだのだ。
現にそれ以降の戦場でランスロットは見ていないという証言は取れているものの。
最悪は常に想定しておくべきだ。
現にランスロットは撃破?以前での戦場でマリーやマルタの居ない戦場で袋叩きにして殺しきれる傷を与えたにもかかわらず。
即座に復帰してきているという情報もある。
最悪傷がいえていないから出てこれないことであると考えておくべきだ
もっともそれでも時間稼ぎは出来るという証明なので。
一度倒し切れば一週間ほどは出てこれないと考えることもできる。
それに達哉は無論、強力なペルソナを所持しているし。
オルガマリーだってカルデアでの訓練やら先の戦闘でペルソナを複数取得している。
それにマリーはサポート向けのペルソナとはいえ祝福属性スキルを習得しているし。
アマデウスのペルソナもあれば。ペルソナ使いのサポートを遠方に居ようと広範囲で即座に適応できるし。
合体魔法だってできるし合体魔法の応用でペルソナスキルで宝具やスキルを繋ぎ合わせ。
効果を増大したり相乗したりできる。
再生能力は脅威ではない。
がしかし敵の手札はサーヴァントやファブニールだけではない。
大量のワイバーンに亡者、海魔も存在するのである。
それでも数の暴力は驚異的で。敵のサーヴァントの対応に関してはカルデアもサーヴァントをぶつけるほかなく。
「まぁ、火力ほしいわね」
「叔父貴が居ればなぁ」
クーフーリンは戦闘技能と面制圧能力は高いが火力で言えばアーチャーに劣る。
長可及び書文に宗矩の技量には無論文句のつけようもないが。
タイマンではほぼ最強レベルの技量あれど物量には弱い。
故に聖剣や魔剣の一級ビームが欲しいところだが。
そんな人材はカルデアには存在しない。
クーフーリンは叔父であるフェルグスが居ればとぼやくが居ないので実現はしない。
サーヴァント以外の数に対応できる、火力持ちが大怪我して行動不能のジークフリートしかいないのである。
エリザベートキャノンもあるにはあるが。
頼り過ぎるのもいかがなものかという物である。
現に何度も戦場で使用している以上。
向こう側も馬鹿ではなく。そろそろ対応してくると考えた方がいい。
「一応対策しているけれど・・・」
「正直焼け石に水だな。連中は弱兵も良いところだ。」
一応対サーヴァント及び対亡者対策に、兵士の装備は聖女マルタによる祝福儀礼武装の製造が進められていた。
ペルソナ使いやサーヴァントにとっては亡者は取るに足らぬ相手であるが。
一般人兵士にはそうもいかない。斬っても死なず損壊を無視して突撃してくる相手なんぞ悪夢そのものだからだ。
加えて兵士も弱兵だ。
「・・・そりゃ、ケルトとか日本のサムライに比べれば弱兵よ」
「そうか?」
「そうよ・・・、全世界が覚悟ガンギマリ死兵集団とか笑えないから」
もっとも弱兵の基準がケルトのクーフーリンの評価は今一当てにならない。
長可も宗矩も「なんでお前らそんなにすぐへし折れる?」とか言っていったが。
ケルトとか侍の基準値が高すぎるだけであって。
現状やる気があるフランス兵士だって十分な部類である。
「けどまぁ現状じゃ、その評価も止む無しよね・・・」
が足りない。
相手は魑魅魍魎と復讐心に取りつかれた英霊たちである。
いくら通常戦力にインスタント聖剣持たせたところでどこまで役に立つかという話なのだ。
なにか手は無いかと
「悩んだって仕方がねぇぜ、お嬢ちゃん。策で埋められるのは99%までだ。」
「分かってるわよ・・・、いくら戦術、戦略で埋めたって100%に届かないってのは」
そういくら戦術、戦略や個々の能力で99%までは可能性は埋められるが。
残る1%はどうあがいても埋めることは出来ない。
後は出たとこ勝負で運の女神に見放されないことを祈るばかりである。
ああもうっとオルガマリーは両腕をを伸ばしつつ背筋を伸ばした。
そう言えばとクーフーリンが思い出したかのように口を開く。
「ジークフリートの傷の調整は良いのか?」
「プラン通りなら戦闘前にやった方が居でしょうね、長持ちしないから絶対に」
傷口の呪いを解呪するとはいかなくても、マルタのスキルで抑え込んで。
そこに達哉とオルガマリー持続回復スペルや魔術を掛けて傷口をふさぐ。
後はオルガマリーとパスをつなぎ、彼女の魔力とカルデアの魔力。
ペルソナ経由で達哉の魔力も投入し癒えぬ傷口を強引に修復し魔力に物言わせてつなぎ留める。
無論、長続きは絶対にしないという計算が出ているので。
下準備だけ整えて戦闘まえに一気に組み上げる方式で行くしかなかった。
つまり空中で分解し続ける戦闘機を修理しながら飛ばすような所業である。
故に戦闘が始まる前に施術を行うということになったのである。
「無茶苦茶だな、おい」
クーフーリンも無茶苦茶だと思いつつも口に出さざるを得なかった。
それだけの無茶なのだから仕方が無いと言えば仕方がないだろう。
「無茶も承知の上よ・・・」
本当にままならないなぁと思いながら、オルガマリーが言葉を紡ぎ出したところで。
応接室の扉が開かれた。
「やっと終わった・・・」
そうボヤキながら部屋に入ってくるのは、ライダーマルタである。
キリスト教の聖者であり聖女に列する女性だ。
竜を祈りで静めた逸話を持ち。
本来ならルーラークラスで呼ばれるであろう高名な聖女なのだが。
何故か、その静めた竜である「タラスク」を従えてライダークラスでの召喚である。
まぁ本人曰く「結構無理をした」弊害らしいのだが・・・。
そんな彼女はくたびれ果てていた。
急ピッチで進められる武器と防具の聖別作業は負荷がでかい。
同じ竜を倒した誼の聖人「ライダー・ゲオルギウス」も居るが。
より効力を高めるために二人で祈っているのである。
故にシフトは組めず休む暇なんかなかったわけで。
今日も一日中祈り倒しであった。
「ご苦労さん、茶飲むか?」
「ええ、頂くわ」
クーフーリンの淹れた。茶をが入ったカップをマルタは受け取り。
一気に飲み干しつつ。椅子に勢いよく腰掛けようとして。
マルタはハっとなって、寸前の所で気づいて、聖女らしくお淑やかにゆっくりと腰を椅子に下ろす。
「マルタ、私たちの前では気にしなくていいわよ」
「そうしたいのも山々だけれどね・・・奴の影響下にある特異点だもの・・・、隙を見せたら何があるかわかったもんじゃないわ」
オルガマリーの気づかいにマルタはそう返す。
奴の、つまり「ニャルラトホテプ」の影響下にあるということは漠然とながら、影に関わったことのあるサーヴァントなら理解できている。
それが何かは具体的には未だに判明せずだが。
達哉の推測が正しいのであれば奴の試練の中でも”噂が具現化する”と言う状態である。
それ即ち、最悪、その状況で末期に至ると。
現実と妄想の境界線がなくなり、この場に居る全員が根源接続者化した挙句。阿頼耶識の底に沈む羽目になる。
嘗ての達哉の世界の様にだ。
故にマルタはお淑やかな聖女の仮面をかぶっている。
本来ならバリバリの武闘派だ。
が、素面を出しては何されるか分かったものではないというのがマルタの意見だ。
「・・・イエスがまさかニャル絡みだったとはね・・・」
「まぁね・・・、あの人はそれこそ・・・ね・・・」
イエスを誘惑した悪魔はニャルの化身であったらしい。
彼は影を食い止めるべくユダヤから見れば異端の道を歩んだ。
その果てに七つの大罪を巻き込んで彼は奇跡を起こし昇天したのだが。
傲慢 憤怒 嫉妬 怠惰 強欲 暴食 色欲を道連れにしたところで。
原罪と言うのは人の数ほどにある悪性だ。
第一に人を人に足らしめるものは光と影である。
そして光と影は常に共に存在する普遍性であり。
一度倒したところでまた湧いてくるのは分かっていた。
「それで、タツヤを避けているの?」
マルタは露骨に達哉を避けていた。
ニャルラトホテプに魅入られているからというニュアンスを含めてオルガマリーはマルタに問う。
マルタはそれは違うと首を横に振った。
「彼を見ているとね・・・、ゴルゴダを思い出すのよ・・・、彼の瞳の奥は余りにも彼に似すぎているから」
あの時ほど自分が無力に感じたことはないという感情を込めてマルタは言う。
彼女から見て彼は似ていたのだ。
姿かたちではなく瞳の奥に宿す気配が似すぎていた。
「・・・あのね、タツヤは聖人なんかじゃないわ、どこにでもいる人間よ」
だがそれは錯覚だとオルガマリーは指摘する。
そう言う憧憬こそ。
「そうね、奴の思うつぼよね」
ニャルラトホテプが最も付けこむ隙になるのだから。
「じゃ次は私たちの番ね」
「だな」
武器防具の聖別作業がひと段落した為。
次は自分たちの番であるとオルガマリーとクーフーリンは礼拝堂へと赴いた。
ジャンヌと別れて。
達哉はバングルから、目に付けている映像投影用のコンタクトに投影されるマップデータを頼りに、マシュと書文の所へと歩いていた。
文脈からそこまで急ぐ必要もないように感じ取れたために歩いているわけである。
「それにしても便利な時代になったな・・・」
達哉はそうボヤキながら、歩みを進めた。
と言うのも、達哉が生きていた時代である1999年では考えられない電子機器の発達が行われており。
カルチャーショックが凄まじい物がある。
電話端末は特に顕著であろう。
ボタン式の携帯端末はほぼ駆逐され。
今主流のスマートフォンのサイズは文庫本一冊よりも薄くサイズも小さい
操作はタッチとスワイプで行われ。
さらには音楽、ネットなどを筆頭にする多機能すぎる端末の高性能さである。
そこに魔術を組み合わせた。カルデア謹製の機器はSF小説に片足突っ込んでいるような性能だ。
此処に来てからという物、達哉のいた時代との差でカルチャーショックを感じざるを得ないのは道理と言えよう。
そんな事を思いつつ街の雑踏を抜けてマシュ達が居るであろう街角へと出る。
そこでは・・・
「・・・はぁ?」
達哉は思わず間抜けな声を出した。
彼の視線の先では、マシュと書文がタッグを組んで大道芸をやっていったからである。
書文が奇妙な体勢を取って。
その手の上に載ったマシュが器用にナイフでジャグリングしていたのだ。
地味に大衆が集まって盛り上がっている。
丁度、一通り芸が終わり、マシュが書文の手から降りて着地。
お辞儀をすると観衆の声援が上がった。
達哉は気を取り直して人垣の合間を縫う様に素早く進んで。
マシュに声をかける。
「何やってるんだ? マシュ、書文さん・・・」
「ひゃっ!? せ、先輩、居たんですか!?」
「ああ・・・さっき来たばかりだが」
達哉が声をかけると。
マシュはとたんに慌て始める。
サボっているのかと思われたかもしれないとマシュが思ったからだ。
「いやサボるだとかは思っていない、」
無論、達哉もそう言う勘違いの類は経験して入おり。
マシュの様相からそれを察することが出来た。
「してマスターはなぜここに?」
書文が何故ここにと聞いてくる。
サーヴァントとマスター間ではノータイムの念話通信があるがゆえに。
バングルは渡されておらず。
またバングル自体も数に限りがある。
まぁ早い話が、レフの爆破のせいで数を用意できなかったのである。
それによる通信の齟齬であった。
「いや、所長に、合流してくれと頼まれたんだが・・・、やることはあるか?」
「いえ今のところはないですよ。大方の修復作業とかは職人の方々が。私たちの仕事は運搬でしたし」
いくらデミサーヴァント又はサーヴァントであっても出来ないことは出来ないのだ。
マシュは生まれてこの方、そういう修復作業に参加したこともなければ経験もない。
書文だって日曜大工が精々であろう。
故に本職の職人に劣るのは事実であり。
主な業務はサーヴァントの身体能力を生かして荷物運びであったが。
それも午前中に終わってしまった。
手持ち沙汰になり。
この街角で。救った難民の親子と再会し。
子供を喜ばせるべく。
マシュがまだ病室暮らしであった頃に映像で見たサーカスのジャグリング芸に感銘を受けて始めた。
趣味のジャグリングを披露して。
民衆が集まり喝采するものだから。
マシュも書文も興が乗ってしまい現在に至るという分けである。
「あ、達哉お兄ちゃん」
その時である。
解散を始めた大衆の中に。
マシュと書文が芸をする切っ掛けになった少年がまだ存在し。
達哉に気付いて声をかけてきた。
無論、達哉もその顔には見覚えがあった。
何故なら先ほども述べた通り、カルデアが護送した難民の中の一家族の少年であったからである。
その後ろには少年の両親も居た。
「これは達哉さん。あの時は、どうもありがとうございます」
「アナタのお陰で生きて此処にたどり着けました。本当にありがとう」
少年の両親はあの時は助かりましたと頭を下げて。
達哉は若干どう反応していいのかよくわからない表情で『当然の事をしたまでですよ』と返す。
「そういえば。マシュお姉ちゃんが達哉お兄ちゃんは自分よりすごいっていたんだけど、達哉お兄ちゃんもすごいことできるの?」
子供特有の無茶ぶりである。
子供の両親は達哉の戦いを知っているが。
年頃の子供の視界に行くのは、やはり難民の一番近くで戦った、マシュに目が行くのは当然の事であり。
仕方がのないことだと言えよう。
少年の父はそれを窘めようとするが。
達哉は苦笑しながら、右手で少年の父を制して。
腰を下ろして少年と目を合わせる。
年頃の少年の我がままくらいは、彼として聞いてやるつもりだった。
無論。達哉自身が出来る範囲でだが。
「マシュや書文さんの様にはできないさ・・・、一応モノマネは得意だ」
「モノマネ?」
子供が顔を傾げる。
この時代に芸としてのモノマネはほぼ無いに等しい概念だったからだ。
マシュと書文は意外だなぁと思いつつ。達哉と子供のやり取りを見ている
「じゃあ、それやってよ!!」
「いいぞ、目を閉じてな」
それをやってとせがまれつつ、達哉は拒絶することなく請け負った。
達哉は目を閉じてろと子供に言って。返事を聞いて目を閉じたのを達哉が確認し。
口を動かす・・・・
「「!?」」
マシュと書文は驚愕した。
達哉が口を動かしたと思った瞬間にファンファーレが流れたのだから。
ボイスパーカッションとかそいうレベルではない。
明らかに楽器をちゃんと奏でたような音が口から出ていたのである。
もういいぞと達哉が子供に言って目を開けさせる。
子供は達哉のモノマネをすごいと評しつつ目を輝かせていた。
その後、集まった子供にせがまれて何度か達哉がモノマネをする。
工場の騒音だとか、バイクの騒音だとか。
ラーメン屋でなんかよく流れているBGMだとか。
よくわからないレパートリーかつ人類が出来るのか?という物が多い。
「ふむ、極めるというとは分かっていたが。別分野の極みを見ると。自らの道が極まったと物とは別の感動が出てくるものだな」
一芸極めれば何でも芸術になるという典型例だろう。
書文は達哉のモノマネを心の底から称賛した。
「私も先輩みたいにできるでしょうか・・・」
「それは分からんな、長く続けるほかないだろう、此ればかりは」
マシュは達哉がモノマネをして人々を喜ばせている様を見て。
自分もできるのだろうかという。
マシュのジャグリングも一芸であるがプロと比べればはっきり言って拙い物である。
それをデミサーヴァントの身体能力と書文のサポートで芸に出来た形であり
達哉のように単独で芸に昇華した物ではないのだ。
故にそれはすぐに出来るものではないと書文は言う。
こういう極めるということは才能も必要だが。それよりもどれだけ努力できるかにかかるゆえにだ。
その時である。
「やるじゃない」
「アマデウスさん!?」
いつの間にかマシュの隣に立って、好敵手を見つけたボクサーじみた表情をしつつアマデウスがそういう。
彼は世紀の音楽家だ。
そんな彼がそう認めるほどの物なのであった。
と言う分けで対抗心を燃やしていた。
「ちょっと行ってくるよ、マリー」
「あらあら、珍しくやる気じゃない」
「まぁね、一芸特化とは言え音楽の才には変わりはない、勝負を挑みたくなるという物さ」
アマデウスはそういいつつ口を吊り上げると達哉のもとに向かう。
久々に好敵手を見つけたとばかりに。
確かにボイスパーカッションの部類とはいえ。
アマデウスの琴線に触れるものであった。
サリエリと比べるのは烏滸がましいとはいえ。
勝負するには相応しい相手と認めたのである。
アマデウス共に街を散策していたマリーは、まぁまぁと言う様に微笑ましい物を見るかのように。
彼を見送った。
「あのー、見てないで止めましょうよ」
「マシュの言う通りだな。ああいうのは熱が入ったらとことんまでやるぞ」
マシュが止めた方が良いのではという。
書文もそれに同意した。
何故ならこういうことは。
行われると互いに決着が付くまでとことんやる物だからである。
書文だって武芸者である故に。
若いころの立ち合いとは本当に互いが納得するところまでやったものだからだ。
現に勝負が始まっている。
アマデウスのボイスパーカッションに達哉は顔を歪めた。
それは不快感だとかそういう物ではなく。
純粋に強敵が出てきたという思いだからだ。
伊達に達哉とて、これで多くの悪魔相手に交渉してきたわけではない。
いくら虚しい理由から身に付けたとはいえ、それなりの矜持がある。
アマデウスのボイスパーカッションに応えるように達哉も次のネタを出す。
「楽しそうだからいいじゃない。アマデウスがあそこまで楽しそうにしているのに。止めるのは無粋でしょう?」
マリー・アントワネットは優雅に微笑みつつ言う。
彼女の脳裏に浮かび上がるのは過去の情景であった。
マリー・アントワネット、アマデウス、サリエリ。
嘗ての自分たちはそこでこうやって馬鹿騒ぎした物であるから。
「それにね、アマデウス、ここ最近、フラストレーションが溜まっているのよ・・・。少しガス抜きさせてあげて・・・」
「それはどういうことですか?」
「エリザちゃんの歌の事よ」
どういうことかと問えばそう返されたら。
どの様な白痴でさえ理解してしまう。
あの威力は凄まじかったゆえにだ。
あそこまで音痴とくるとある種の兵器であるがゆえにだ。
「アマデウスさんは、エリザベートさんに歌をですか・・・」
マシュは聞いただけで。その壮絶さを理解する。
当たり前である。あの戦場で聞いた音波攻撃が。
よもや歌だとは思わず、あとで歌であると聞かされた時には驚愕した物である。
「ええ、彼女、才能はすごいのよ? アマデウスも認めるくらいにはね・・・。けど、どう教えても上手くならないからフラストレーションがすごくて・・・」
「それは技法などが致命的に駄目であるとかですか?」
いくら優れた音感や声量などを持っていても。
歌う技術力が無ければ話にならないわけで。
そこに原因があるのかとマシュは推測を口にするが・・・・
「いいえ、技法はアマデウスが教える前は・・・まぁ失礼だけれど拙いの極みだったわ。でもちゃんと身につけたのよ」
「・・・それでアレですか?」
「そう、それでアレなのよ・・・と言うより威力アップしてるのよ、何故か・・・」
技法などはアマデウスが教え込んだ。
努力家と言うこともあったし。もともと才能があったのか。
メキメキと実力を身に付けたエリザベートであるが。
練習の時はいざ知らず。
本番になるとなぜか音痴になる。
しかも何故か、技法などを身に付ける前より酷くなっている有様だ。
そりゃ、アマデウスも匙投げたくなるを通り越して右ストレートをぶちかましそうになり。
マルタが必死にアマデウスを羽交い絞めにして何とか収まったという事件もある。
「だから好きにさせてあげて。」
「はい・・・」
「心得た。」
マリー・アントワネットの言葉にマシュと書文はうなずき。
ヒートアップしている勝負を楽しむことにした。
勝負は一時間ほどで終わった。
ここまでネタが続いたのは、ある種の達哉の努力の方向性だろう。
一見いい勝負に見えるが。
「いやぁ、すっきりしたよ。悪いね勝負吹っ掛けちゃって」
アマデウスはいい汗かいたと言わんばりの万遍の表情で余裕もあるが。
一方の達哉は肩で息をしていた。
即興ネタまで披露し食い下がるのが一杯一杯だったのだ。
勝負は達哉の負けである。
当たり前である。相手はあのヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトである。
ここまで食い下がれる方がすごいと言えよう。
「いいえ気にしてませんよ・・・良い物を見せてもらいましたし」
「そうかならよかった。僕も良い物を見せてもらったよ。次の作曲の発音の参考にさせてもらうよ」
達哉のモノマネを可能とする技法を見たことによって。
アマデウスも自身にはない物を身に付ける機会が来たと喜びを新たにしつつ。
互いの健闘をたたえて握手を交わす。
「見事だった。両者とも流石だ」
「すごかったですよ、先輩にアマデウスさんも」
見事だったと書文が微笑みつつ両者をたたえて。
興奮気味にすごかったとマシュは言つつ水筒を達哉に差し出す。
「久々だったんじゃないかしら、こうもアマデウスが音楽勝負するなんて」
「そう言えばそうだね、生前にサリエリとはよくやってたけれど、アイツ以外とやるのは本当に久々だなぁ」
アマデウスとガチれるのはそれこそ。彼と同年代を生きた「アントニオ・サリエリ」くらいなものだ。
アマデウスが音楽家として大成したころに相手になってくれるのは彼しかいなかった。
ほかの同僚はアマデウスには勝てないとして勝負事態放棄している始末であるし。
教え子たちも勝負を吹っ掛けても達哉のように挑んでくるという物は少なかった。
故に久々だったのである。
だからアマデウスとしてはサリエリ以外と勝負するというのは久しく。
本気は出せないが挑んでくる達哉の姿勢には新鮮味を感じていたのである。
達哉はマシュから受け取った水筒の蓋を開けて。
蓋とコップを兼任する容器に水を注いで飲み干す。
「じゃあ僕らはここらへんで失礼するよ、まだ回らなきゃいけないところもあるしね」
「そうね、またね」
そういって二人は去っていった。
「して、次はどうする? これと言ってオルガマリーからは指示が来ていない故にな」
「そういえば合流前の連絡を最後に指示が来ていませんね」
正直手持ち沙汰になってしまった。
指示もなければやることもない。
二人の言葉に達哉は少し考えて。
「書文さん。森さんと合流してそのあと、ちょっと敵陣を偵察してきてほしい、森さんだとそのな・・・」
「・・・うむ、奴に隠れて移動するという概念はないからな、任された。」
「マシュは俺と一緒にちょっと街の見回りだな。」
「分かりました。」
そう言って書文と別れて街へと足を運ぶ。
既に午後の三時過ぎだ。
もうじき日が傾いてくるころ合いである。
日本とは違い、ここは過去のフランスだ。
治安も無論悪いだろう、極限状況下でそれも拍車に掛かっている。
行く先々でのトラブルを解決あるいは鎮圧しながら達哉は目的の場所へと向かう。
「・・・」
「?」
街の一角にそれはあった。
パッと見てごく普通の薬屋にも見える。
マシュからすれば看板にフランス語で「サトミタダシ」と書かれていた。
達哉は眉間に皺を寄せて、バングルの通信機能を立ち上げる。
早急に連絡する必要性があったからだ。
『なにかあったの? タツヤ』
「・・・噂が具現化している。」
その言葉にマシュは絶句し、オルガマリーは叶ってほしくない予見通りで顔を顰めた。
『ならセーフハウスに戻ってきて。ジャンヌを除くフランスのサーヴァント組はこっちに全員いるから、前線組にはライン経由で伝えましょう』
「わかった。」
コミュ回ならぬコンタクト回で本日終了。
次回は噂システム解説とたっちゃんとすまなさいさん&エリちゃんコミュ回になる予定。
コンタクト一覧
たっちゃん、モノマネと、男と言うのはトーク
マシュ、原作とは違って、興味が出て趣味となったジャグリング及び、推理小説トーク
所長、料理講座と、愚痴トーク。
森君、茶の湯についてのイロハ&恫喝。
宗矩、敵の持っている刀剣の鑑定と、喫煙トーク。
クーフーリン 頭ケルトでも良くわかる原初のルーン講座と槍捌きを見せる。
書文、八極拳のススメと悩み相談。
マリー、現代ファッションの評価及び、美味しい紅茶の淹れ方。
アマデウス、現代音楽についての持論および、鍛えたビリヤード技術を見せる。
ジャンヌ 現在色々あって余裕なしなため、コンタクト無し。
エリザちゃん、歌う(ダメージ判定あり)と自分に酔う。
マルタネキ、拳で語る&布教。
すまないさん、趣味がこれと言ってないためコンタクト無し
免罪剣 写真を撮る。写真機材について熱く語る。
なおユニオンコンタクトは盛大にカオスになるもよう。
マシュの趣味のジャグリングは本作独自設定です。
ロマニかペペさんあたりが楽しく室内でも体を動かせるようにと、色々気を利かせた結果です
セイラムのCMでジャグリングしていたマシュが可愛かったから仕方がないね。
普段はおはじきとか野球ボールで練習している模様
あとは所長が趣味料理なのも理由があって。
たっちゃんが来る前は食堂に行くのも苦痛であったがゆえに。
ポケットマネーで料理機材やら食材やらそろえて、自室でボッチ飯やっていたという悲しき独自設定を追加。
一人の時間且つ仕事の事とか忘れることや思ったよりも楽しかったということもあってどっぷり嵌っていた。
腕前はレクター博士くらい。
たっちゃんFGOに噂システムが実装されました。
噂が広がれば事実として具現化します。
利用しすぎると特異点が大崩壊しますけどね!!。
現在流れている噂
「ジャンヌ・ダルクが蘇って復讐に来ているという噂」
効力ジャンヌ・オルタがフランス住民に対しアンリレベルの殺戮能力を発揮。
これによって本物のジャンヌの方が偽物判定を食らっているため大半のスキルが使用不可能。
「ジャンヌから逃げてきた商人がまだいる」
「死んだ貴族たちの隠し倉庫がある」
効力、ティエールの物資が尽きることが無い。
「サトミタダシという腕利きの薬師が店を出している」
効力、サトミタダシフランス支店オープン。
えー作者の現状ですが・・・
台風災害のお陰で仕事がえらい舞い込んでくることになり。
元受けの奴らが資材の手配やら設計図の数字ミスなんぞやってくれたおかげで。
仕事がGEレクイエム状態です。
加えて活動報告でもいった通り。8日にデスストが出るので今月の更新も難しいかもしれません。