Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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なあ、頼む、ここで待っていてくれ。
クラブラングーンを食べて。
どこも行くな。
すぐに戻る。

Far Cry4より抜粋。


五節 「拮抗状態」

現在の状況はアルトリアにとって想定の内だった。

考えても見て欲しい、主要時間軸の記憶持ちのロマニが居てもイレギュラーが一重二重どころ十重以上に張り巡らされ、

終局のⅦよりも上である原初の始まりの片割れと戦い、勝ち生き抜いたのだ。

円卓全員揃えた? 自分は最果ての女神にして神の戦車? そんな物で勝てるとは思いこんでもいない。

此処までしてようやく殺せる手段が整った程度としかアルトリアは考えていなかった。

殺せるなら兎にも角にも目標は生け捕り。

不殺とは相手の実力を圧倒的に上回ってようやく履行できる概念であるがゆえに。

ある意味、想定通りだった。

達哉という柱を抜いても彼女たちは最善手を打ち続けて来る。

故に想定内。まだ彼女達、カルデアをへし折るには絶望が足りないだろう。

此処からはにらみ合いだ。だがアルトリアとしては望むところ。

常に時間はこちらの味方だ。

妥協しても巻き込める体制は整ているのだから。

だがアルトリアのことである。目指すは常にパーフェクトだ。

かと言って・・・

 

「誰も、カルデアを消し飛ばせとは命じていないのだが?」

 

びくりとモードレッドが肩を震わせる。

そう誰もオルガマリーとマシュを消し飛ばせなんて命令していないのである。

マシュがペルソナに覚醒して無ければ危うかった。

今のモードレッドはラミエルと融合し、主要時間軸の上を行く出力を叩きだせるがゆえにだ。

 

「捕えろ、消し飛ばせ、捕えろ、消し飛ばせ・・・同じ言葉に聞こえましたか?」

 

アルトリアは膝を着き頭を垂れているモードレッドに近付きながらそう言う。

 

「頭空っぽの鳥の様なあなた方でもわかるように言葉は選んでます。同じ言葉に聞こえましたか?」

「制御できなくて・・・」

「何? 聞こえません」

「制御できなくて、第一もう目標は達しています。いまさら連中の身柄なんて!!」

「なるほど・・・制御できなくてオルガマリーとマシュの身柄は必要ないと自己判断した・・・ 貴様のそういう所が王に慣れぬ所以であり私の一番嫌いな所だ!」

「ガッ!?」

 

CQCで張り倒され顔面をアルトリアの右手で抑えられながらモードレッドは恐怖する。

 

「全部話した上で、見事に重要な要素を消し飛ばそうとしやがって!!」

 

左手で持った最果ての杭でモードレッドを死なぬ程度に何度も貫く。

 

「アハハハ・・・これは喜劇か悲劇か・・・、まぁ良い最悪の事態は避けられた」

 

そう笑って一通り刺した後、アルトリアは嗤って立ち上がる。

 

「あのぅ、我が王よ・・・」

「なんだ? ガレス?」

「達哉さんに食事などは・・・」

「最果ての杭で肉体を維持し魔力補充をしています、最低限の生体維持は出来ているので無用です」

「ですが!!」

「4度」

「??」

「既に四度です。自らの肉を引きちぎり血を流して脱走を図ろうとしたのは」

 

そう達哉だって馬鹿ではない。

アルトリアこの間から離れた瞬間に脱走は試みている。

その度に磔直しだ。

故に食事を与え活力を与えれば脱走頻度は跳ね上がるだろう。

この計画が成るまで達哉には最低の養分さえあればいい。

 

「それは君たちも了承していたはずだろう?」

 

セフィロスが嘲笑いながら柱の陰から出て来る。

 

「今更、奇麗な物を目指そうという思考自体が烏滸がましいと思わないかな?」

「なにを!!」

「此処に至るまで自分の矜持の為に切って切り捨てて来た。はっきり言ってやろうお前たちの心を守ってきたのはそこの童の如く泣き叫ぶ女性だ」

 

そうだいつも円卓の騎士道の矜持の犠牲になっていたのはアルトリアだ。

皆の為に皆の為にと重い十字架を背負い丘を歩いていたのが彼女である。

その結末を台無しにしたのは円卓自身である。

ランスロットの暴走、アグラヴェインの私情に塗れた告発。ガウェインの私情塗れの復讐。

モードレッドの私情塗れの反逆。

全てアルトリアが悪いとは言わぬが、彼女の破滅の大半を担った連中は円卓である。

 

「なに言ってやがんだ・・・」

「なにを?言っているかだと?」

「全部テメェの一人芝居じゃねぇか!!」

「ふむ、君たちは勘違いしている」

 

青吐息になりながらモードレッドがクラレントを杖に立ち上がり、

セフィロスを睨みつける。

モルガンはニャルラトホテプの駒であり化身であることは調べがついているのだから。

だがしかし勘違いしているとセフィロスは無表情で言う。

 

「真の忠義とはありのままの世界のために最善を尽くすこと。他者の意志を尊重し、自らの意志を信じること。それが出来ていたか? いいや貴様らは自分の都合の良い様にアルトリアの意思を曲解し自己愛で装飾した自己愛の権化だよ」

 

くつくつと嗤いながらセフィロスが指摘する。

そう、クリームヒルトが言う所の英雄病だろう。

第一にだ。

 

「私は強要も強制もしていない。お前たちが勝手に絶望して勝手に走って全てを台無しにしただけだ」

 

そう幾ら様々な切っ掛けを与えたとはいえ、

選ぶのは当の本人達だ。

 

「そこの達哉は一度間違ったとはいえ、二度目は正解を選び今でも私の試練に対して正解を選び続けているぞ? 無論カルデアもだ」

 

達哉もカルデアも必死になって現実を受け入れて足掻き、血反吐を吐きながらなんとか正解をもぎ取っている。

対して円卓はと言う話になる。

過去の失敗を受け入れ敢えて裏切って正解もぎ取ったケイ、ランスロット、トリスタン以外誰もいないではないかと告げる。

 

「そして第七でも抗っている者達がいる」

 

そう賢王ギルガメッシュを筆頭にまだ第七は諦めていない。

 

「それに対してお前らは、聖四文字の出した妥協案にしがみ付いた」

 

だがアルトリアはぽっきり折れてしまった。あり得たかもしれない未来を見せられて。

無論、あり得たかもしれないだ。無いかも知れないのだ。

だが一度見せられた以上、その可能性は否定できない。

ハッピーになるかもしれないが逆にバットもまた否定できずに圧し折れたのだ。

 

「わかるか? 彼女自身が言う通り、間違った選択をしたんだよ」

「テメェ!!」

 

セフィロスの嘲りに遂にモードレッドが切れた。

されどセフィロスとアルトリアは冷めた様な視線で見ていた。

解放されるクラレント。

されど。

 

「この程度では意味があるまいよ」

「ッ」

 

セフィロスの長刀が降りぬかれモードレッドの両腕が切り飛ばされていた。

モードレッドはすぐ様痛覚を遮断する。天使と融合しているのだこれ位は容易だ。

だがしかし技量の差が出た。純粋な技量と言う観点から見ればセフィロスの方が上である。

故にセフィロス相手ではこのありさまである。

斬り飛ばされた両腕を慌ててガレスが持って来て癒着させる。

 

「それで何の用です? 既に私の答えは決まっている」

 

だがしかしそれですら今のアルトリアからすれば些事だ。

玉座に腰かけ退屈な歌劇でも見るかのように頬杖を付いて煽りも惨劇も見ていた。

それで煽る為だけに来たのかとアルトリアが問うが、

セフィロスは肩を竦め、

 

「いいや、連中の狙いを伝えにな」

「狙い、そう狙いですか・・・」

「ああ、奴ら、オジマンディアスの宝具で空中戦艦を作って殴り込む腹積もりらしい」

「それは良いですね、手間が省けます」

 

セフィロスの言葉を聞いてもアルトリアは興味なさげだった。

元より何時までも硬直状態にさせて置く腹積もりはない。

準備が完了次第、アルトリア側から盛大に殴り込む腹積もりだったのだから。

寧ろ相手から殴り込んでくれるなら何度も言う通り都合が良い。

例え空中戦艦同士の戦いになるとしても、オルガマリーとマシュは殴り込んでくるしかない故に。

あと業腹だが初代を抑えることもできる。

ニャルラトホテプの化身であるセフィロスなら出来るだろうからだ。

後は前衛にメタトロンとギフトと融合したガウェインに控えにサンダルフォンと融合したアグラヴェイン。

前衛としてパーシヴァルにガレス。火力のモードレッドに、その隙間を埋める天使の軍勢。

されどそのすべてが、オルガマリーとマシュを此処に来させ消耗させる捨て駒だ。

全てが揃った時点で全てが終わり始まるのだから。

 

「では各々役目を果たすように」

 

アルトリアはそう言って場を解散させた。

 

「全く誰も彼ももしかしたらに恐怖しすぎだ。在るということは逆をいえば無いかも知れないという事なのにな」

 

セフィロスはそう嗤い、姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

そしてチェイテピラミッドアズライールの廟では。

 

「エミヤがいてくれて助かったわ」

 

庭先でエミヤとオルガマリーにマシュがアスモデウスの整備とマシュの車椅子の整備だった。

一面塩の荒野だった中を爆走したのだ。

言うなれば塩化カルシウムとかよりも酷い純度100%の塩の中を爆走したのである。

そう言うのを見越してコーティングとかもされていたがそれでも限度がある。

 

「それでも限度があるがね・・・マシュの車椅子の予備パーツは4セットあるが、アスモデウスはこれ一機で、元々がパーツ取兼予備車だ。いかに私の投影でも完全な修復には至らん。むしろ途中で動かなくなる危険性の方が高い」

 

現在使用しているアスモデウスはパーツ取用の予備機だ。

如何にエミヤの投影が優れているからと言って、元々彼は剣特化。

限度という物がある。

次の使用に耐えうるかエミヤは保証できなかった。

そしてマシュの車椅子であるがこっちは元々、常用予定だったので、

予備パーツは四セット程ある。

元より無茶運用前提である為予備パーツの心配はなかった。

 

「未来と言うのは便利ですね」

「私ものってみたい~」

 

古代において不具というのは珍しくも無い。戦が起きれば小指どころか手足の一二本失うなんて日常茶飯事だ。

という事で、足を失った物が移動できるようになる自動走行車椅子と言うのは静謐にはありがたみのある物に写ったし、

アスモデウスという神馬にも引けを取らぬモンスターマシンに三蔵は目を輝かせていたのである。

 

「いやこれ訓練前提だからね・・・」

「そんなに酷いの?」

「長距離を高速移動、サーヴァントの戦闘に耐えうる事とついていける速度でじゃじゃ馬なのよ、ライダー勢でさえ多少の訓練は必要だし」

 

ただしアスモデウスは本当に暴れ馬だ。

テスト段階ではクー・フーリンも喜んでいたが制御し切れているという訳ではない。

ノンチューン状態は達哉ですら訓練ありきだ。

よって今回、ノンチューンのこの予備機のアスモデウスを制御し切るのはオルガマリーでも身を削る思いだったりする。

加重で旋回する以上、下手に体を傾けると真横にドリフトしかねない暴れ馬だ。

加えてマシュの車椅子をサイドカーとして接続して使用していた。

ガウェインから逃走劇を計ったあの時、本当にギリギリだったのである。

二度目はオルガマリーも御免との事だった。

 

「一応、言っておくぞ。アスモデウスは次走で使い物にならなくなる」

「・・・やっぱ?」

「今回だって保証できないんだ、次は車輪が外れても驚かん」

「三機目と五機目は現在解体されたしねぇ」

 

アスモデウスは計五機建造されているが、三機目と四機目と五機目はパーツ取りかつ予備機だ。

四機目は致し方なく今回投入され塩害にやられ、

三機目と五機目は第五で盛大に玉砕した一号機二号機の修理に回されている。

つまりもうどうしようもない訳で、

 

「でもいいじゃない。どうせチェイテピラミッドアズライールの廟で特攻なんだし」

 

という訳でオルガマリーの鶴の一声でアスモデウスはカルデアに戻された。

無論、マシュの車椅子はパーツもある為現地洗浄と修復とコーティングのし直しで済んだ訳だった。

 

「ですが未来になると自走式の車椅子なんてものが出るんですね」

「これ程の物は公にされていないけどね」

「そうなんですか?」

 

静謐は意外そうにしていた。

これだけ優れたものなら普及している物だとばかり思っていた。

 

「魔術と科学の混合品だし、スペックが過剰すぎるのよ」

 

オルガマリーはそう言う。

そうマシュの車椅子は電動車椅子としても過剰スペックだ。

調整前はカルデア内をスポーツバイクの様な感じで大爆走し、調整後は普通に使えるようにはなっているが、

マシュの能力と戦闘についていけるスペックを持ち、

アスモデウスにサイドカーとしてドッキングしても耐えれる一品なのである。

ぶっちゃけ仮に市販できたと仮定してもコスト面で損をするだけだし、一般人には使いこなせないのだ。

 

「では・・・現代ではないので?」

「いいえ、車椅子自体はあるし値は張るけど普通の電動車椅子はあるし、パラリンピックって言う身体障碍者専門の世界規模の大会もあるわ」

 

本当に世界発展したのだ。

 

「よし送られてきた予備パーツに換装完了、コーティングもし直したし大丈夫だろう」

 

ふぅっとエミヤがマシュの車椅子の整備を終えて額を拭いつつそう言った。

マシュの車椅子も整備完了、コーティングも癒着済みだ。

 

「座って良いですか?」

「ああ無論だとも」

 

マシュも何時までも器用に鎧部分だけ展開しておくわけには居られない。

早くペルソナを解除して車椅子に座る必要があったのだが。

 

「あのね!! 私に一度のせてくれないかな!!」

 

三蔵がそう言う。

電動で動く車椅子なんてそりゃ乗る機会なんてなかったのだから好奇心が出るのは当然だった。

 

「まぁ少しだけなら・・・」

「やったー!!」

 

マシュの許可も下りたことだし三蔵は車椅子に乗って自由に走行している。

それを微笑ましく見る四人だったが・・・

 

「ん? なにこのボタン?」

「あっそれは・・・」

 

三蔵が気づく隠れたように配置されているボタンに気づく。

それは緊急加速用のボタンだった。

押せばどうなるかと言うと調整前の自動走破と同じ速度でカッ飛ぶ。

そしてマシュが注意する前に三蔵はボタンを押してしまい、

 

「悟空ぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!」

 

あらぬ方向にカッ飛んでいった。

そしてチェイテピラミッドアズライールの廟のチェイテ城部分に突っ込み悲鳴が上がった。

 

「「「「・・・」」」」

 

オルガマリー、マシュ、エミヤ、静謐は黙ってそれを見ていることしかできなかった。

そして数分後、

正座で座らされ半泣きの上に頭にたん瘤二段作って半泣き状態の三蔵と、

それを仁王立ちで説教するというオジマンディアスが存在していた。

 

「そなたがモーセと肩を並べる聖者として認めている、同時に英霊してもだ。だが少しは慎みと落ち着きをもてい!!」

 

現にチェイテ城の部屋何部屋かぶち抜き台所に着弾。

修復遅延が起こる。エリザベートが土方姿で泣きながら作業していた。

オルガマリーは書類の山に埋もれていた。

 

「それでどうです? エミヤさん・・・」

「ああもうこれはカルデアから予備機を送ってもらった方が良いな、なんせ全部イカレているし・・・」

 

マシュの問いにエミヤは車椅子を見てそう言う。

と言っても予備機の調整なんてしていない。しかし運用データはタップリあるのでカルデアの技術部のデスマーチも確定したわけだが。

それはそれとして、

 

「木材とかで補強できるの?」

 

煉瓦や石垣などはまぁ分かるとして神殿の補強材と木材はどうなのとオルガマリーは搬入されていく木材を見ながら隣のオジマンディアスに問う。

 

「そこは心配ない、余の神殿と同化してしまえば強度は同じになる。それよりも貴様たちに必要なのは休息だ」

 

オジマンディアスはそう言う。

そう神殿として認知してしまえば強度は一緒になるのだ。

さすがは太陽王だろう。

そして同時にカルデアの疲労も見抜いていた。

 

「そうもいかないのよ達哉はコトワリ持ちなの」

「そうか、なるほど、時間がないなそれは」

 

オジマンディアスも友と嫁と共にニャルラトホテプの試練を受けている。

故にその本質が分かる。

 

「達哉が共闘したって言うジャンヌ・オルタがいればねぇ・・・」

 

ジャンヌ・オルタ。

第一特異点の黒幕、そして第四後に異聞帯を切除してくれた存在。

彼女さえ味方でいてくれればと思うのはぜいたくな事だろうか?

実際問題、P時空とメガテン時空を駆け抜けた女である。

居てくれればこういうまどろっこしい事せずに済んだだろう。

達哉の言葉を信じるなら第八の冠位を持ち彼女も神話大戦のメインを張っていたがゆえにだ。

だが居ない物は居ない。

無い物ねだりは出来ないのだ。

 

「まぁこの書類仕事終わったら寝るわよ、あと搬入終わったらマシュにもベットの上の住人になってもらうわ」

 

マシュも作業に従事している。

兎に角一段落ついたなら二人とも休む算段だった。

特にマシュの薬抜き治療は必須だ。

これからの戦いマシュのイノセントダストは必須になってくるがゆえにだ。

そして現地の報連相も書類仕事が必要であるが故に現在進行形でオジマンディアスと捌いている。

最もオルガマリーはカルデアの所長でオジマンディアスはファラオである。

この手の書類仕事には慣れている。

そしてオルガマリーも書類仕事をエリザベートにバトンタッチし暫くはベットの上の住人になる予定だった。

それはマシュも一緒だ。

されど焦る。だって愛しい人が連れ去られたんだから。

それを必死になって抑え込んで前に出るのを我慢している。

自分自身を過信すればそれが死に直結するがゆえにだ。

 

「ちょっと休憩」

 

台所が大破したので即席麵だ。

やっぱ定番の日〇カップヌードルである。

ペルソナの炎スキルを使ってお湯を作り、そのお湯を入れて三分待つだけ。

 

「なんだそれは?」

「カップヌードル、ラーメンって料理をお湯を入れて三分で作れる物よ。長期保存も効くからウチではポピュラーね」

「兵站の概念が崩壊するんだが・・・」

 

確かに普段王が食べる物としてはナンセンスだがオジマンディアスが嗅いでも兵糧としてこのレベルは恐ろしいと思わざるを得ない物があった。

 

「余の分も無いか?」

「食べたいの? 良いわよ・・・無くなっても調達簡単だし」

 

調達は実際簡単である。サトミタダシで買えばいいだけの話だし。

という訳で、送って来てもらった物をお湯淹れて三分待った物をオジマンディアスに差し出す。

 

「箸使える?」

「万能足る余を舐めるではないわ!! ぬお!! 間から滑り落ちる」

「フォーク使いなさいよ」

 

案の定だったのでオルガマリーはプラスティックフォークをオジマンディアスに差し出す。

 

「うむ悪くない、むしろ兵糧としては最上級だ」

 

彼は王ゆえにそう言う観点から評価できる英霊である、故に正当な評価を下したのだった。

一方のマシュたちも。

 

「未来ってのは良いなぁ、こんなに手軽に食えて美味い物が溢れているなんてなぁ」

「アーラシュ殿に同意する。お湯淹れて三分でこの出来とは」

「中には五分の物もありますけどね」

 

カップ麺は三分が主流であるが所謂ラーメン屋が出すカップラーメンとかうどん系などを代表に5分要求するのも増えた。

 

「うわーん!! トータ!! かき揚げが溶けちゃったよぅ!!」

「師匠、それ込みで食べるのが乙というものだぞ、と言うかマシュが言っていたであろう、付属のかき揚げは麺本体を食べてから食べた方良いと・・・」

「ううビショビショして脂っぽい・・・」

 

そんなやり取りをしている三蔵と俵を尻目にマシュはカップヌードルを啜る。

無論音を立てずにだ。

ヌーハラなんて言葉も出来たくらいだし洋食のマナーも完璧に習得しているマシュには容易い事である。

 

「しかしマシュよ。貰っても良い物なのか?」

 

初代は前の話でも食事がとれない。一人だけ省くというのもマシュ的には心像に悪いので。

という事でマシュは私物のアロマオイルを初代に渡して楽しんでもらっていた。

 

「良いんです、たとえそれが偽善だとしても私自身が良しとしたんですから」

「だが謂れのない憐憫は悪の一つであり、謂れのない慚愧も、また悪の一つ」

「ですが後味悪いのが嫌というある意味自己満足ですので憐憫には程遠いかと」

「自分の為にか、ふむ・・・なるほど」

 

マシュの言いように何処か納得したように初代は頷きアロマオイルを楽しむことにした。

確かに謂れのない憐憫は悪ではあるが、自分の心情が悪くなるという理由付けであるなら、

それは本人の勝手という奴であるし自己責任だ。

 

「しかしそれは「わかってます初代様」ならばいい」

 

自己責任。言葉にすれば簡単だがそれは重い物であるからだ。

故に納得して覚悟をキメている者にこれ以上、ものを言うのは無粋だろうと初代も思い言葉を切る。

それに理解してやっているという事もある、故にこれ以上は無粋であろうという話だ。

なお呪腕は牛サラミ喰いつつノンアルコールビールを飲んでいた。

カップ麺はダメらしい。

 

「というか、マシュは音も立てずによく食えるな」

「現代ではヌーハラ、まぁ麺を啜る音に不快感を示す人も居るんで・・・古今東西の英雄と接する以上、音は断てない方が良いかなぁと」

「俺は気にしない、なぁ皆?」

 

アーラシュっがそう言って周りを見る。

皆が同意していた。

 

「そうですか、なら遠慮なく」

 

皆が気にしないのであればとズソソソソとカップ麺を啜る。

実は夜中に小腹が減った時、本や日記を書きながら良く食べていたりするのだマシュは。

ベルベットルームを使う事が出来てからその頻度は上がっていたりする。

無論体重とか増えるのだが。プロの格闘技家レベルで常日頃鍛錬をしているのだからカロリーは消費し切っているので太るだとかは気にしていない。

 

「あの私達全員分と言うのは些か」

「気にしないでくださいって何度も言っているじゃないですか」

「しかし二十人分だぞ」

 

百貌の分裂体にもカップ麺は配られていた。

凡そその数二十人分である、確かに普通ならキツイかもしれないが。

ベルベットルームはQP払いだがサトミタダシは現金払いだ。

無論、そんなことしたら偽造紙幣として疑われかねないので金銀支払いにして貰っている。

金銀である故にサトミタダシからは大量の物資を買い付けできるのだ。

もっとも薬局という事で入手できる代物には限度があり手術用具や医薬品などの専門用品は買えない。

故にカルデアの専門器具やら医薬品は市販品以外限界に近付きつつある。

閑話休題。

という訳で栄養面とかは偏るがカルデアの食糧難は避けれている。

そして士気向上の為にカップ麺配るのは当たり前と言えた。

本当なら士気向上を狙ってオルガマリーの私物でオルガマリーが直接料理の手筈だったが、

オジマンディアスも言った通りの連戦で疲れている。

文句は言えない。

寧ろカルデア側に気を使わせている方がおかしいのだ。

ニャルラトホテプも言うように人理焼却の七大特異点やら極小特異点の始末は英霊どもが本来つけなければならない。

異聞帯の方は殆どジャンヌ・オルタが切除を買って出た。

そして彼女は成し遂げたのだ。そして死んだ。

英霊ならばこれ位やって当然、人理の為に舞えよ死せる英霊どもと言う話である。

そこまでやってニャルラトホテプとフィレモン、そしてこの状況を観察している者達のお眼鏡に適うのだ。

故に厳選されたカルデア組の英霊は天使と融合しギフトさえ与えられた円卓を殺し切る手段を持つのである。

 

「あんで私だけ毎度出撃なのよぉ」

 

辛ラーメンをすすりつつ涙目で弱音を吐くエリザベート。

彼此第一特異点から七大特異点は皆勤賞だ。

これに関してはニャルフィレの意向である。所謂成長できる枠としてだアキラメロン。

 

「お主は良く、そのカップ麺を食えるな」

「そう?辛味が効いてていいけど?」

 

このカップ麺は韓国製の辛いラーメンだが、

エリザベートはそれを気に入っていた。

最初に食した俵は口に合わず速攻で啜って牛乳を飲み、今は日〇カップヌードルを啜っている。

昔の人には合う合わないが現代人よりも激しい。

故にえり好みがあるので各種用意していたのが功を奏していたようだ。

 

「さて」

 

マシュが必死でカルデア技術部が組み上げた自動車椅子から鎧だけペルソナ召喚し立ち上がろうとして。

 

「私達がやっておくから、マシュは休んでいて!!」

 

エリザベートが無理やりそう言ってマシュの身体を車椅子に止める。

 

「ですが!!」

「今のアンタとオルガマリーは治療中の病人と変わらないのよ!!」

 

エリザベートの言う通りマシュも重篤だ。

下半身を動かすための薬物、精製工程は確立されているが解毒工程は確立されていない劇物である。

此処に来る前に一本キメた。

それがどういう意味なのかエリザベートが分からない筈もない。

崩壊する肉体を無理やり薬物で維持しながら稼働させるのと同意義であることに。

達哉は現在進行形で脱出を図っているしオルガマリーも第五での覚醒に伴う連続注入が抜けきっていない。

本当にカルデア側はギリギリなのだ。

それを見て成長してきたエリザベートからすれば止めるのも分かるというもの。

兎に角、この人理焼却と言う物語のキーはカルデアなのだ。

自分の無力さを嚙み締めつつもそれは理解している。

だからこそそれでもとエリザベートは言う。

 

「少しは私達を頼って!!」

「・・・すみません」

 

エリザベートの言葉に呻くようにマシュはそう言う他なかった。

歯車は依然と悪い方向に回り続ける。

だって現実はそう言う物だ。共に頑張ろうとも単一で頑張ろうとも世界は変わりなどしない。

会議が踊るように世相も踊る。

無駄無駄と影は嘲笑い続けていた。

 

「全員酷使でもさせる気か?」

 

織はカップ麺を啜りつつ言う。

全員が最善手を取り続けて指が掛けられるか掛けられないかの難度。

第五で既に味わっていたが、また更にハードルを上げて来るとは織も思っていなかった。

お陰で器用な連中以外殆ど作業に参加させてもらえない。

加えて戦力もサーヴァントを除けば無いに等しい。

天使軍団を従えるキャメロットにはこれでは不足も良いところだった。

 

「アイツらの狙いはマスターズ三人の成長だけじゃねぇ。俺らも含まれている」

 

ツナギ姿のクー・フーリンはそう織に言う。

そうカルデアに呼ばれたサーヴァントは特異点を乗り越えられる特機戦力であると同時に、

成長を期待された期待株としてフィレモンに選ばれた存在だ。

だから限界を迎えて酷使されるのが前程だが、

 

「あの子たちに守られているから本当に情けなくなる・・・」

 

マリー・アントワネットは紅茶(午〇の紅茶ペットボトルタイプ)を飲みながらため息を吐く。

そう此処は既に試練場。基準世界という物がある以上、人間や英霊が何処まで乗り越えられるのかと言う物であり、

何れ来る”大いなる意思”を打倒する為の人材を育て上げるための物。

もっともニャルフィレの思惑は別の所にあるが、

他の傍観者たちはそう認識している。

宝石翁でさえ手が出せぬ漆黒の宝石こそこの世界なのだから。

 

「はぁ我らも気張らねばな」

 

辛ラーメンを啜りつつつ書文も重たい溜息を吐いた。

何度も言うがここ最近、カルデアマスターズに負担を掛け過ぎたがゆえにだ。

 

「と言っても作戦は決まっている」

 

クー・フーリンがそう言う。

先ず敵の手札で落とすべきはガウェインである。

日中なら身体能力三倍なうえに常時日中と言うギフトによって肉体は常時三倍。筋肉はクー・フーリンの鎧並みになっている。

倒すのも困難だが、殺し切れる手札をカルデアは持っている。

即ち防御無視のスキル、オルガマリーならヴォイドザッパー、クー・フーリンなら因果逆転の呪いの魔槍。

宗矩なら因果破断の兜割りに書文なら直接内臓を破壊できる浸透勁、織なら直死の魔眼と言うようにやりようは幾らでもある。

十二回、しかも一度使った物は耐性を得るヘラクレスよりは容易い。

 

「初撃でガウェインはオルガマリーに選ばれた人選の書文の爺さんと宗矩の爺さんだ」

 

先ず門を守護しているであろうガウェインは真正面からオルガマリー、それに選ばれた書文と宗矩が殺す。

人選理由としては無拍子にガウェインの肉体を貫通できるからだ。

 

「初代殿は?」

「奴は嫌な予感がするっていうから艦内待機だ。あれほどの剣士が待機するってんだ、いやな事しか起きねぇよ」

 

此方の陣営最大の切り札、初代山の翁は待機だった。

本人が言っていたが巨大な者に見られ何時介入されるか分かったものではないという話であり、

故の敢えての待機だった。

ニャルラトホテプの介入は無論、本来あり得ぬ悪魔と天使の介入すら許してしまっている。

本物が出てきたのなら、ペルソナ使いの三人か初代しか対応ができない。

これには率直に初代も頭を下げた。

だがオルガマリーとマシュは逆に謝らないでくれと初代に伝えた。

警戒し牽制し迎撃してくれるのならそれ以上に望むことはないと。

問題は・・・

 

「ロンギヌスよねぇ」

「そうだな」

 

マリー・アントワネットのボヤキにクー・フーリンが同意する。

第一特異点で在ったそれは、達哉を瀕死の重傷に追い込んだ。

 

「アレは本当に運がよかっただけだからね」

 

ロマニがそう呟く。

考えても見て欲しい。修復不可能になった傷や内臓を消し飛ばしてなかった事にするなんて狂気の沙汰だ。

本当にロマニの腕を以てしても際どいタイムリミットだったのである。

最初期だからこそ移植用の万能細胞臓器と血液があったから達哉は助かった。

次はないのだ。

故にパーシヴァルは無傷で打ち取らねばならない。

その役はクー・フーリンが買って出た。

総合力の話である。如何な円卓とて神秘レベルではクー・フーリンに軍配が上がるし、

筋力に技量何もかもが上だ。

彼以外の適任者は居ない。如何に優れているとはいえ生者であるマスターをぶつけるのは論外と孔明が言った。

故にこそクー・フーリンがパーシヴァルの処理に当たる。

そう言う流れだ。

最も相手が貫通不可能な防壁を張ってきた場合は三蔵かアーラシュの特攻によって強引にぶち破るという作戦である。

無論、オルガマリーとマシュは反対したが、

 

―私達は死人なんだよ。だから生きている人々に特攻なんて押し付けたらお釈迦様に怒られちゃう―

―そう言うこったお嬢さんたち。俺もそうなったらそこは曲げられん。生きるべきものたちが死者の為に無茶するとかいうんじゃねぇよ―

 

そう言われてはぐうの音もでない。

あくまで英霊は死する存在だ。現界した以上その魂はうたかたの夢なれば。

生者の為に使うのが道理であろうと。

其処は捻じ曲げてはならない最後の一線だった。

第一、かの三蔵でさえアルトリアへの説法は一目見て諦めていた。

絶望に沈んで飢えて苦しんで死んでいく幼子。もうどうしようもない。下手な救済を与えようものならもっと怒ると。

そう、もうアルトリアはどうしようもないのだ。

逆に記憶がリセットされ、取り戻す過程で人間性をカルデアの手によって取り戻してしまったがゆえに依存してしまったとも言える。

だからこの話は此処でお終い。そうはならなかったというだけの無情さでしかないのだ。

だがそれでもオルガマリーもマシュも達哉も受け入れた上で抗えるがゆえにニャルラトホテプを筆頭にアマラの超越種に見いだされたと言ってもいい。

 

「それよか、戦艦の出来具合はどれほどなんよ?」

「あと三日ぐらいと言っていたな」

 

クー・フーリンの問いに孔明はシーフードカップ麺を啜りつつそう言う。

 

「あと三日で決戦ね・・・達哉君無事でいてくれればいいけど」

 

心配そうにペ〇ングを音もなく食べながらマリー・アントワネットはぼやいた。

彼女にとってはオルガマリーもマシュも達哉も養子の様な存在だ。

故に達哉には無事でいて欲しいというのは当たり前のことである。

 

「大丈夫だろ、アイツはひ弱な鍛え方なんてしてねぇよ。むしろ逃げようと藻掻いている最中じゃないか?」

 

長可はこの中で何気に一番達哉を認めている。

故に脱走を試みているんじゃねぇのと言う。

 

「まぁなんにせよ出てみたところ勝負になる。気を引き締めて置くことに越したことはなかろう」

 

孔明は麺を啜りスープも飲み干してそう言った。

議論は重ね尽くされているのだ故にこれ以上は無駄だ。

互いに賽を振るうしかないのだと。

そして各々作業に戻って行った。




アスモデウス四号機大破!!
そりゃ塩の中を走っていた訳ですし細部が錆び付いて使い物になりません。
純度100%の塩の中で爆走したんですものそりゃ幾らコーティングしたところで錆び付きます。
そしてマシュの自動車椅子一号機大破!!
いやあれ本当に緊急離脱用の機能なんです。
たっちゃんやオルガマリーと違ってマシュトラフーリ使えないからね。
分断された状況様の為の緊急装置です。

あと皆でカップ麺回でお送りしました。
ペヤ〇グ激辛Finalも出そうと思ったのですが年代的に合わないのと地獄絵図になりかねないので没にしました。

実際、邪ンヌがいれば楽になったのというオルガマリーのボヤキですが。
かなりカルデアの負担は軽減されていました。
色々経験して戦闘スキル以外も磨いてPC関係も強いですね。
もし彼女が初期から来ていたら今回のアルトリア・リリィの裏切り見抜いて。
後ろから刺してきた瞬間を狙って対処できていましたし。
でももう彼女は居ませんのでね。召喚できるのは彼女の残滓、イミテーションですから。
マグサリオンと無慙くらい違いますし。


あとボケーとして車の扉の縁に右目ぶつけて充血状態なんですが、なんか左目の方が痛いんですけどどういう事なのコレ・・・
眼科に行った方が良いんでしょうか?
いやなんでぶつけた方っが痛くも痒くもなくて逆の方が痛いのこれ?
更に階段で滑って右手が多少痛いので次回も遅れます。
後バレイベ礼装も当たらずフレさんたちに義理も果たせないとは・・・
本当に災難ですよトホホ・・・
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