Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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もし死ぬことに何か意味を見いだせれば・・・
死は単なる恐怖ではないはずだ・・・
そして死に意味を見いだせるのは・・・
生きる意味を見つけられた人間だけなのかもしれない・・・

特攻の島より抜粋。


六節 「急造」

 

 

「とりあえず形にはなったか」

 

一応の書類仕事からやっとの事解放されオジマンディアスは椅子に腰深く背を預けた。

 

「しかし初代殿がこの手の仕事が得意とはな」

「我はこれでも文官だったのでな」

 

そう初代は武人ではなかった。

副職として武人していただけで本業は文官だったのである。

ある日、職場の非効率さに嫌気がさし上司に一年掛かる書類仕事を40日で終わらせると豪語し成し遂げている人物である。

その後、上司の嫌がらせで面子潰され、

後に教団の初代としての仕事はその上司の暗殺であり成し遂げているのだ。

それを初代曰く「あの時は我も若かった。怒りに任せて剣を振るったのはあの時だけだった」と遠い目で回顧している。

それはさて置いておいて、実際有能な文官であるのだ。

いやホントマジでこの人何でもできるなとオジマンディアスとオルガマリーは思う他なかったわけで。

 

「そう言えばさ、口は在るの?」

「なければ声は出せん」

「いやなんか魔術とか信仰心で声出しそうなあなたに言われても・・・。という訳でこれ」

「これは?」

「マシュに私物出させたからねってことで。今度からはそれで勘弁してくれって話よ」

「ふむ良いのか?」

「普通に売っている品だし手軽に吸えるからね」

 

オルガマリーが初代に手渡したのは煙草だった。

何時までもマシュやオルガマリーに身銭切らせるのも良くないと保安部が提案し、

アマネ愛煙の「ピース・インフィニティ」を手渡したのである。

香も味も民生品としては良い物である為、初代も満足するだろう。

 

「と言う訳で寝るわ私」

 

書類仕事出来るのもこれが限度だ。後は現場での仕事が物を言う。

 

「休んでおれ、特に許す、初代」

「承知仕った」

 

オジマンディアスも労いの言葉を掛けて初代に目を移す。

それに同意し初代はオルガマリーの影と同化した。

無論無茶しないかと言う監視と円卓が奇襲仕掛けてきた場合、オルガマリーを取りに来ると当たりを付けているからだ。

達哉はコトワリに精神的主柱、オルガマリーは頭脳役にビーストⅦ、マシュは技こそ極まっているが優先度が低い。

呪腕当たりを張り付けて置けばマシュは良いだろうが、オルガマリーは違う。

だからこそ初代自らが潜むのだ。

 

「ファラオ・・・彼女をカルデアを信頼していないので?」

「ある意味ではそうだなニトクリス」

「ですが仕事は私以上に」

「そう言う事ではない、オルガマリーもマシュも青春真っただ中だ」

 

そうオルガマリーもマシュも灰色の青春期を送っている。

故に今が黄金期なのだ。ともなれば無茶もするのも容易に想像がつく。

 

「懐かしいな、余もあの様な時があった」

 

ネフェルタリにモーセそして自分、与えられたペルソナを抱えて奴の試練に挑んだ。

辛くもあったがそれ以上に充実していたのだ。

達哉は既にその期間を過ぎ去っている、故に精神的主柱に成れるのだ。

 

「だから主柱が抜けた建物より物は脆い、余であってもあの二人が暴発するかは保障出来んのだ」

「それは考えすぎ」

「ほうなぜそう言い切れる?」

「そう言うの何回かあったみたいだし、その都度修正喰らっていたみたいだからね」

 

そうカルデアには大人が居るし、呼び出したサーヴァントの中にも居る。

その都度修正をしてきたのだ。彼女達二人もまた大人になりつつある。

 

「ほう? カルデアにも勇士がいるのか・・・」

「サーヴァント陣営は見ての通り選りすぐり、そして生き残った職員もプロフェッショナルよ」

 

どっこいしょと書類の入った箱を置きつつエリザベートは言う。

なんだかんだ言ってカルデアとの付き合いは長いからそう言えるのだ。

と言うかカルデアも馬鹿ではない。達哉に負担掛けない様にキッチリ調整している。

 

「だからアンタが言うほど心配しなくても良いわ」

 

そう言いながらエリザベートはカルデアから支給されたマッスルドリンコを飲み干す。

 

「あの糞ったれに挑むなら、何時までも純粋な子供のままではいられない。嫌って程知っているでしょうアンタなら」

「さっきからファラオオジマンディアスをアンタなどと不敬ですよ」

「よいニトクリス、エリザベートは領主足らんとしてその矜持を持っている。広さは違えど収める者としては認めている」

「ファラオ・・・」

「それはお前もだニトクリス、同様に認めている少しは自分を認めよ、出なければ刺されるぞ」

 

オジマンディアスもマッスルドリンコを飲み干しつつニトクリスに言う。

そうこの場は、

 

「最早、余が全能だろうがファラオだろうが死力を尽くし動かねばならぬ段階に来ている。立場など使い捨ての紙にもなりはしない」

 

ニャルラトホテプの試練を受けフィレモンからペルソナを受け取っているがゆえにオジマンディアスはよくわかっていた。

 

「それに今回は取られたら終わりだ。世界が連中の讃美歌で包まれるぞ」

 

そう今回はオルガマリーとマシュを連れ去られた段階で詰む。

既に達哉を抑えられており、現状でも何時、コトワリを利用されるか分かったものではない。

だが最悪は本当にギリギリのところで免れているのだ。

そうあくまでアルトリアが完璧主義すぎるのだ。

普通であれば達哉を確保した時点で目的は達成するがより強固なシステム構築の為にオルガマリーとマシュを求めている。

かと言って相手は既に王手へと駒を置いている状況には変わりがない。

今のこの世界がまだ吹き飛んでいない状況は先にも言った通りアルトリアの完璧主義的かつ潔癖症染みた悪癖で成り立っている。

ある意味最悪のケースだ。女の癇癪一つで結末が決まるなどと。

 

「所でエリザベート。宮殿の修復具合はどれほどのものか?」

「80%くらい、一度ブロークンされたからね。むしろこの短期間でここまで修理できたのは奇跡よ」

 

オジマンディアスの問いにエリザベートはそう答える。

そう光輝の大複合神殿はほぼ全壊状態だった。

アルトリアの力はそれだけ巨大と言える。

故に一度ブロークンした光輝の大複合神殿の修復率を80%まで持ってこれたのは凄まじい成果と言える。

エリザベートは此処まで短期間で直せたのは奇跡と謙遜するが、

無論彼女の実力があってこそだ。

なんせチェイテ特異点のチェイテ城はチェイテポエナリドゥスタリオンMk=X城になっている。

何時までもドゥスタリオンMk=Xをぶっ刺したままだけにするのはアレだし撤去もしようがない。

なら取り込んでしまえとキッチリ設計しなおした時の書類仕事及び現場仕事の経験が生きた感じだった。

 

「けれど間に合わない」

「貴様の言う通りであろうな」

 

エリベートとオジマンディアスはそう言葉を交わす。

それを見ていたニトクリスは寒気さえ感じた。

此処まで全員が一致団結して間に合っていないのかと。

 

「私がアイツならそろそろ嫌がらせか直接殴り込む」

「それは余も同意見だ」

 

そう何だかんだ言って人が一息つくのは工程表通りにかつ80%を超えた時なのだ。

此処まで来て問題が発生していないのなら誰であっても気を抜く。

百貌や呪腕でさえ気を抜いていた。初代は何時までも気を張り詰めるのも毒という事で気を抜いているハサンズの事を敢えて見逃していた。

故に狙うのであらば此処だろうと当たりを二人は付ける。

ならば如何する? と言う問題が発生する訳だが、

 

『全快するまで放って置くだろうな』

 

アマネはそう言いつつ珈琲を啜った。

 

「理由は?」

『アルトリアは単騎で神殿を吹き飛ばせたのだろう? 確実に確保できる手段を持っていると思うべきだ。先の小競り合いは円卓も暴走していた。なら奴が仲間を信用するはずがない』

 

オジマンディアスの反応にアマネは相も変わらず表情筋一つ変えずに言い切った。

ランスロットたちの証言と先の円卓の行動が噛み合っていない。

とすると一方的現場の暴走かトラブルであることは見て取れるし、そこにプラスアルファして、

アルトリアはランスロットたちの証言をさらに加味するなら駒としてしか見られていない。

部下でもなく同士でもなくただの駒。

更に勝手に動くとなれば信頼も信用もくそもないのだ。

 

『故に在庫処理に走る可能性があるが、まぁ動くなと言って放置しておいてこちらの行動に合わせて戦力を集中する可能性がある。と言うか私ならそうする、ミギー、次の珈琲を』

 

何処までもアマネはリアリストだった。

まぁ出なければ特殊部隊の長なんてやってられないのだろうが、

 

『だが彼女たちは休ませてやってくれ頼む』

「心得ている」

 

オジマンディアスも同意する。

肉体の損傷面ならどうにかなる。だが心は違うのだから。

今回だってカルデアは大特異点が見つかったから突入させたわけでもない。

人理定礎がEXレベル、それに加えて達哉が連れ去られた事に起因する。

本来ならたっぷり一週間は適度な運動以外は全て休ませるつもりだったのだから。

 

「ままならぬな」

 

オジマンディアスはそうぼやきつつ一時譲渡予定の宝具の様子をラインで確かめつつそう言うのだった。

 

 

 

 

一方のマシュはと言うと自動車椅子を運転しながら周囲を散策していた。

元よりアスモデウスのサイドカーとして成り立つパワーだ。

この山岳地帯でも問題なく動いてくれる。スティックを操作し縦横無尽にゆっくりとだが駆け抜ける自動車椅子。

そんな中で一つの物を発見した。

 

「でこの数字と~」

 

三蔵が青空教室を開いている光景があった。

この時代識字率は低くともすれば数学を学ぶなんて機会がない。

故に僧侶でもあり学者でもある三蔵が子供たちに数学とか文字とかを教えていた。

特異点の事はペルソナ絡みで無ければ忘れ去られる。

無駄と言う者もいるだろう。だがマシュはそれを否定しない。

それをやって多くの特異点を乗りこえ攻略して来たからと言う経験則と決して憐憫は悪いものと思えなかったからだ。

じゃそっとしておくのが筋とマシュは思う。

だって自分、教員なんかした事ないんだもの。

教えを説く三蔵と違い、自分は教職員に向いていないのではと思った。

故にスティックを操作しマシュは場を離脱しようかと考えた瞬間。

 

「マシュ手伝って!!」

「え? ええ~!?」

 

という訳でマシュも三蔵の青空教室を手伝う事となった。

僧侶は所謂学徒でもある。三蔵は普段は元気ハツラツで抜けているところもあるが、

実際はお釈迦様を肉体に降ろせるマジモンの神秘学者でもあるのだ。

ぶっちゃけ現代で言えば超有名大学の地位に若くして付き更には仏教の教えと修行過程を終えた高僧と言えば、

その才女っぷりが分かると言う物。

 

「ぶっちゃけ私が居なくてもいいのでは?」

「いやぁあたしだとつい生前のくせで説法しちゃって脱線しちゃってねぇ・・・マシュが居てくれると軌道修正してくれるし専門用語もかみ砕いて教えてあげられるしで大助かりよ」

 

だがそんな才女でも悪癖があった。生前の僧侶としての癖なのか算数教えるのにそっから斜め上に吹っ飛んでいき、

つい専門用語連発の説法をしてしまう。

今は天使共も居る。説法より明日に役立つ算数の方が良いのにだ。

まぁ早い話宗教で腹は膨れぬという物。

 

「マシュも教えるのうまいよねー、教師か僧侶目指してみない?」

「すいません、私は三蔵さん程教えに真摯になれませんしそれに夢があるんです」

「なになに? 聞かせて!!」

「小説家になりたいんです、先輩と所長が作ったバイク屋兼軽食店に住み込んで私も含めて三人で暮らしながら」

「いい夢じゃない」

「小さいとか笑わないんですね」

「人の夢はそれぞれ貴賎がないのよ、たとえ邪悪であっても根幹には幸せになりたいって願いが在るから」

 

そう夢は平等に貴賎がない、たとえ邪悪であったとしても根幹部分には幸せになりたいという物が在るから。

故に、

 

「あれほど泣き腫らす童は見たことがない」

「え?」

「もうアレは駄目よ、壊れている。でも止まれない。全方位不幸にしかしないし本人さえ望んでいない。アルトリアはそう言う存在に成り果ててしまった」

「アルさんと話す機会が?」

「一度だけね、ああもうアレは駄目だって話してみて分かったわ。殺さないと止まらない止められない、そこまで行ってしまった。全く止めようとした三人以外の円卓は何やっていたのかしら」

 

三蔵もため息を吐きつつそう評する。

アルトリアはもうだめだ。望んでも無い事を無理してやろうとしている。

其処に誰も彼もの救いなんて一切ありゃしない、下手すら当の本人ですら救われないのだ。

その時、マシュの心の裡にドロリとしたものが這い出る。

ああこれが先輩も味わった物かと思いつつ平静を保つ。

呼吸を一定に心は平らにと教わったがゆえにだ。

 

「凄いね、マシュは呼吸一つで精神を落ち着けるなんて」

「書文さんとアマネさんから学んだ方法です」

「武の達人からかぁ」

「あと座学も叩き込まれましたんで」

 

呼吸一つで精神状態をコントロールするのはさしもの三蔵も身に着けてはいない。

だがカルデアマスターズの三人はそれができる。

これは単純に良い先達に恵まれたからであろう。

後散々座学も叩き込まれた。自分を俯瞰しどういう状態かを理解できるのである。

だがしかしだ、

 

「才能が有り過ぎる」

「??」

「いやこっちの話し、マシュは気にしないで」

「ええ、はぁ?」

 

三蔵からしてみてもマシュは戦闘の才能が有り過ぎるのだ。センスに戦闘運び、

逆に言えば勝つためならば禁じ手でさえ使用する覚悟が在るという事に他ならない。

まだ薬剤は在るのだ。無理と思った瞬間、必要なら注入するだろう。

なんでこうなったと三蔵は思う。

誰も彼もが望んでいる方向に選択肢を選ばせてくれない。

カルデアマスターズの夢はたった一つ、互いに夢を共有しながらゆっくり三人で暮らす事。

それすらも許さない極限状態にさしもの三蔵もダメと分かっていながら殺意が向く。

この状況を俯瞰し嘲笑っている影にだ。

その時である、麓から誰かが上がってきたのだ。

なんか酷くボロボロである。

 

「すまない、レディ、水を貰えないだろうか・・・」

「ホームズさん?!」

 

その人物は第四特異点でも世話になったホームズその人だった。

と言っても衣類はボロボロの塩塗れ、頬も少し痩せこけている。

 

「マシュの知り合い?」

「第四で協力してくれた。シャーロック・ホームズさんです。まさかここにも呼び出されているなんて・・・」

「まぁ仕事だからね・・・それより水を頼む」

「「あっはい」」

 

何度も言うがサーヴァントであれば空腹感は無視できるし食事は魔力補給以外の何でもない。

だが精神的に耐えられるかと言えば別問題なので、

やっぱり戦闘に耐えうる精神を維持するには食事は必要だ。

後水分補給も。

という訳でマシュが差し出した封を開けていない二ℓのミネラルウォーターをホームズは一気に飲み干した。

そして少し青吐息を吐き。

 

「助かったよ、生き返った気分のようだ」

「それでホームズさんはなぜに此処に?」

「主な目的はねじれる前のバベッジ氏の依頼でね人理焼却犯の正体暴きだ」

「それならカルデアでは分かってますけど・・・」

「・・・なんだって?」

「いえ第四の後、ニャルラトホテプと対決しまして、その時にドクターの正体が露見、ニャルラトホテプが丁重に解説してくれたんですはい」

「黒幕がゲーティアという事は掴んでいたのか」

「いえ、ニャルラトホテプ曰くこの人理焼却はゲーティアを誘導し、なんかある計画の為に行っている物らしいです」

 

既に黒幕は判明しているとマシュはホームズに説明する。

この事態自体がニャルラトホテプがゲーティアを誘導した人理焼却を持って何かを企んでいると説明する。

 

「拙い、これは拙い」

 

だがホームズはある一定の答えにたどり着く。

 

「ニャルラトホテプは創世を行う気だ」

「!?」

 

そう創世だ。グヅチ代わりに収集した光帯を使えばいい。

だが逆に解せん事もあるのも確かだった。

 

「コトワリを持つのは先輩だけでしかも無色です、第一人類の成長に創世は関係ないじゃないですか」

「・・・奴にとっては試練でしかないのかもしれない・・・まだ証拠が足りない」

 

ニャルラトホテプの目的は人類の成長。

故に創世を使う理由が分からない。第一達哉は無色のコトワリを持っているだけだ。

だからこそ創世すれば世界が吹っ飛ぶのだから。

証拠が足りないともいうのもうなずける。

兎にも角にも動機が見えない、愉快犯として片づけることも出来ようが。

ニャルラトホテプは破滅すればそれはそれでと片づけるだけで試練には意味がちゃんとある。

だがその意味とは?

ワールドやユニヴァース持ちの人間達を量産するならもっと別の効率のいい手段があるはずなのに、

試練のリソースを現状達哉達にぶつけている。

それでは人類の進化という動機と矛盾している。

ホームズの宝具も万能ではない。今はどうしようもない。

 

「相手は人類全ての総体だ。プロファイリングが効く相手でもない」

 

ニャルラトホテプ及びフィレモンは人間の総体とも言える存在で、

この世界にも侵入し多次元的に版図を広めている。故にその思考をプロファイリングすることは

如何なホームズでも無理があった。

悪意といってもある程度分類できるがそこから細分化していき捉えようがない。

善意といってもある程度分類できるが余計な世話をしてくる可能性と細分化され捉えようがない。

だからホームズお得意の推理も効かないのだ。

最も大雑把に推測できることは出来るにしては出来るのだが、

今回はそうもいかぬ相手だ。

究極の愉快犯ち究極の善人が手を組んでいるようなものだから。

 

「今回は私も戦おう」

「え?」

「無論、マシュ嬢の様に極まっている訳でもないし、円卓には手が出せないからね。オペレーターという形ではあるが」

 

無論、ホームズは極まっている訳でもない。

バリツを学んでいても本職には劣るし直接戦闘ならカルデアや円卓には手足も出ないのだ。

だからこそ戦術分析の効くホームズはオペレーターに回るという事にしたわけで。

そして青空教室にホームズも加わって、

文字の書き方などを教え次の日になった。

 

「マッチング開始」

『全魔術回路異常なし、本当は実戦前にテストしたかったけど・・・』

 

今はオルガマリー及びマシュともに闇夜の太陽船のマッチング作業をしていた。

如何に譲渡されたとはいえオジマンディアスレベルの宝具を使用するとなると、

ペルソナ能力の在り様は必須だし同時に調整も居る。

腰にアンカーを巻かれて二人は固定され両腕に多目的兵装を構える。

しかしだ、

 

「これ私達じゃなきゃ脳味噌焼き切れていたわよ」

 

オルガマリーがそう告げる。

ペルソナは極上のブーストでもあるのだ。

現代魔術師がメディアの魔術を使えるという表現で型月ファンの皆様はそのブースト具合が分かると思う。

無論元の資質も必要だというのは前に説明した通り。

神代の魔術は達哉には使えない。

最もこの闇夜の太陽船を外付け兵器にする分には申し訳ない訳だが。

それでもペルソナがなければ速攻で脳味噌の神経と魔術回路が焼き切れている。

 

「だがそれ以外に手段はない」

 

オジマンディアスがそう言いきった。

最低でもアーラシュと三蔵の二枚看板は堕ちることになる。

無論ロマニの前程知識を信じればだが。

第一相手はアルトリアは誘いを掛けているのだ。

このチェイテピラミッドアズライールの廟をカルデアが抜けた瞬間の手遅れなタイミングで聖槍剣を振り下ろす算段であろうと。

見え見えの見せ札ではあるが同時に無視できない札でもあるのだ。

ここに来て試されるのはカルデアの観察眼とオジマンディアスとしての王の度量が求められる。

決死戦になった場合はまだ勝ち目が見える。

アルトリア側は何としてもオルガマリーとマシュを欲するはずだからだ。

達哉という大ゴマを抑えてなお攻め込んでないのがその証である。

故にここは敢えて目的地に突入できる二人を利用しロマニの知識からすれば三蔵を犠牲とする道を選んだのである。

だがしかし先の戦闘から円卓連中は納得が云っていないようなので、

全面戦争に移行するのは見なくても見えている事だった。

ともすれば円卓が大人しく待っている何て都合の良いことはないと思える。

アルトリアも其処は分かっているだろう。

ともすれば円卓は使い捨ての強力な駒でもある。是非にランスロットとトリスタンには活躍してもらい、

某機動戦士の様に魔改造した闇夜の太陽船を使い、カルデアは内部突入しサーヴァントを展開。

即時制圧を目指す。

あるいは防壁を三蔵の犠牲で突破し、それらも合わせてチェイテピラミッドアズライールの廟に設置されたカタパルトから現地サーヴァントを射出しカルデア共々突入させる算段であった。

無論、ロマニとアーラシュは聖槍剣対策に人力CIWSさせるため艦外で迎撃行動させる。

なおもしかしたらの特攻の事は三蔵もアーラシュも同意していた。

 

「生前やりたいことはやり切ったからなぁ」

「私もアーラシュに同意、やり切ったもの」

「「だったら今の子らの為にこの命使い捨てるのに躊躇は無し」」

 

三蔵もアーラシュも今更生にしがみ付く理由はない。

故に今を生きる若人たちの為にこの仮初の命使い果たす所存であった。

といっても・・・

 

「特攻作戦なんだよね・・・」

「如何に施設破壊してアルトリアを先に抑えられるかが勝負所だからね」

 

特攻なのには変わりがない。

オルガマリーとマシュが突撃してくるなら敢えて受け入れるだろう。

もしも自分がアルトリアならそうする故にだ。

そこを突く、三蔵かアーラシュが犠牲になる前に闇夜の太陽船を装備したオルガマリーとマシュの二人で施設破壊し。

頃合いを見てカルデアの全戦力をつっぱして中核に突入する。

 

「円卓をどうするかよね・・・あとニャルラトホテプ」

「直々に出てきていますもんね」

 

最悪なのは天使と融合しギフトまで与えられた円卓にニャルラトホテプが直接介入している。

故に戦力差は圧倒的不利だ。無限沸き天使軍団もいるから余計にである。

幾らアタランテの宝具を通常攻撃として出せるアーラシュと魔術チートのロマニが人力CIWSやった所で焼石に水であった。

しかもロンギヌス持ちが居る。

ぶっちゃけカルデアにとってはロンギヌスはトラウマものの一つだ。

過剰に戦力ぶつけてパーシヴァルは潰しておきたいくらいにはトラウマものだった。

ぶっちゃけ達哉で無かったら即死ものである。

それだけにカルデアの警戒度はガウェインよりパーシヴァルの方が高い。

モードレッド?ガレス?ぶっちゃけカルデアには脅威ではない。

確かに上位に入るサーヴァントであるが精神的に未熟だ。

カーレースで例えるなら互角であるほどメンタルが物を言う状況になる。

クラレントなどを回避し懐に潜り込めばその二人は取るに足らない。

元にモードレッドは長可に後れを取ったのが良い証拠だ。

そして今回のニャルラトホテプの化身は戦闘特化型だ。

宗矩よりも剣の腕が上のマジモンの剣聖である初代と互角に打ち合えているのである。

因みに暗殺とは真正面から行っても誰にもバレなきゃ暗殺になるので初代がアサシンであることには誰も疑問を持っていなかった。

逆に言えば真正面から敵陣に乗り込み暗殺を成す初代相手と打ち合える可笑しい技量をしたセフィロスもまた脅威だ。

もっともそっちは初代の到着まで時間稼ぎをすればいい。

故に大まかな作戦は決まった。

チェイテピラミッドアズライールの廟でキャメロットに侵攻。

ある程度近づくと同時にオルガマリーとマシュの二人が闇夜の太陽船を使って強襲。

無論、二人を手に入れたいアルトリアからすれば障壁は張れず誘い込みを選ぶであろうからだ。

そして二人で粗方施設を破壊し兵装を使い切った闇夜の太陽船をパージしつつ中枢へ。

無論円卓も対応してくるだろうがそこにさらにチェイテピラミッドアズライールの廟を突っ込ませ第二陣を突入させる。

障壁を張られた場合はデンデラの大電球を使って突破。無理なら三蔵の宝具を使い強引に突破。

そして相手が聖槍剣使ってきたらロマニのチート魔術で逸らす。だがそれは連続してできないので二発目を打たれたらアーラシュの宝具でどうにかするという寸法だ。

揚陸作戦染みた特攻による速攻作戦である。

 

「毎度毎度なんでこんな無茶になる上に駆け足なのよぉ・・・」

「でもなんか慣れてきましたよねぇ・・・」

「そうねぇ・・・戦力分散しないだけマシと思えちゃうって相当可笑しい事になっているものねぇ」

「所長、今回もどうせ突入したら戦力分散されますよ」

「・・・」

 

戦力を一点集中!!やったぜ!!と思ったらあの手この手で分散するという戦術上の愚を犯さねばならぬことが殆どだった。

今回も多分そうなるとマシュは勘で思ったので言い切って、オルガマリーはそれに何も言えなくなった。

 

「二人とも、闇夜の太陽船の調整終わったよ」

 

魔術機材を抱えながら闇夜の太陽船の下からロマニが出てくる。

闇夜の太陽船は凄まじくロマニの手で魔改造されている。

突撃強襲仕様と言えばいいだろう。ぶっちゃけガンダムのミーティア化されていた。

 

「万が一があるかもしれないから再度マッチングをしてくれ」

「「了解」」

 

ロマニの指示により闇夜の太陽船に接続する二人。

最初の接続より遥かに良い。むしろ魔術回路に走る雑音も無くなっていた。

だが先にも説明した通りペルソナ在りきである。普通の魔術師なら接続した時点で脳神経と魔術回路が焼き切れているだろう。

だが今の二人はペルソナ使い、何も問題はなかった。

 

「雑音は無いし動きも要求通りね」

「これなら戦闘に耐えられます」

「それは良かった。ボクも此処まで宝具を魔改造したのは初めての経験だからね」

 

如何にソロモン王と言えど宝具をミーティア化させるレベルで魔改造したのは初めての経験である。

 

「空中での強襲か・・・本当に来るところまで来ちゃったわね」

「ですね・・・万が一落とされたら所長はどうするので?」

「それなら大丈夫よ達哉と同じように飛行ペルソナ使えるようになったし」

「それなら安心です」

 

オルガマリーのLvも順調に上がっている。達哉の様に飛行ペルソナを使えるので万が一撃墜されても脱出は可能。

マシュはデフォでペルソナが飛行能力を持ち合わせているので問題ない。

と言うか今まで特異点とかで無茶しすぎたせいで愚痴は言っても動揺はしなくなっていた。

 

『所長、マシュ、ロマニ、聞こえているか?』

「どうしたの? アマネ?」

『私の想定が外れた。連中も空中戦艦を持っていたらしい』

「「「はぁ!?」」」

 

これにはさしもの三人も驚愕していた。

 

『ここからは私が説明するよ。マークしていたキャメロットが浮上して移動中との事だ、3時間以内にはそっちに到着する』

 

ダヴィンチがアマネから解説のバトンを受け取り説明した。

脈絡もない事だったが今のアルトリアはクラスに縛られていない。

加えて最果ての女神と神の戦車としての権能がある。宝具さえあればキャメロットを空中戦艦化することぐらいは可能であった。

一方その頃、

 

「では、聖別も終わり刻は過ぎた。もう手を抜くこともありません」

 

玉座の間でアルトリアがそう言い切った。

同時にキャメロットが振動する。空へと浮かぶ。

 

「決戦です、今度こそ二人を捕えるように」

「「「「はっ」」」」

 

残った円卓にそう告げてキャメロットを浮上させる。

理屈は単純だ。オジマンディアスの宝具の様にこの城も彼女の宝具だ。

其処にエハングウェンの機能を融合させることにより空中戦艦となるのである。

無数の天使たちや翼の着いた馬たちに乗っかった粛清騎士たちも飛び立つ。

空中戦艦と化したキャメロット・ブライト・エハングウェンはそれらで護衛されながら高速でチェイテピラミッドアズライールの廟に向かった。

そして当のチェイテピラミッドアズライールの廟だが、

 

「非戦闘員は麓の村まで退避!!」

「百貌の誘導を急げ」

「承知しました」

 

まさか相手も空中戦艦出してくるとは思わず天手古舞だった。

 

「エリザベート!! 修復状態は!!」

「昨日の今日で100%にはできないわよ!! 現状85%くらい!! それでもやるしかない!!」

 

これにはさしものオジマンディアスも焦っていた。

二度目になるが相手も空中戦艦出してくるとは思いもしなかった。

現在修復工事の為に非戦闘員も居る。急いで退艦させた上で浮上の際の衝撃に巻き込まれない様に麓の村まで誘導しなくてはならなかった。

それは分裂できる百貌が行っていた。

だが幾度となく行ったキャメロットの偵察で分裂体も削られ20人程度にしか最大分裂できないのが百貌の現状であった。

そして神殿事態の修復度も100%とはいかない。まだ作業途中の場所さえあった。

故にエリザベートが告げるように85%が良いところだった。

と言うかこんな事態想定しろと言う方が無理難題である。

 

「誘導完了までどのくらいかかる?」

「一時間あればなんとか」

「際どいタイミングになるな、カルデア、戦力は」

『円卓の反応は確認済み、あと天使と粛清騎士が5万だ』

「っごま!?」

 

オジマンディアスの確認にダヴィンチがそう答え、ニトクリスが絶句する。

如何に下級天使の群れとは言えど、腐っても天使なのだ。そんじょそこいらの兵士なんて紙屑同然の様に蹂躙できる。

 

「デンデラの大電球の発射準備、会敵と同時に撃てる様にしておけ!! 迎撃要員は甲板に上げろ!!」

 

オジマンディアスがそう言う。

アーラシュとロマニは通常攻撃が宝具級の威力を誇るので迎撃要員としてはうってつけだ。

因みにトリスタンも迎撃要員だ。真空の刃は連射力に関しては随一な上に不可視であるゆえにだ。

そして今回は一発勝負である俵も戦闘員として出ることになった。

竜すら捕食する大百足を倒した怪物だ俵は。

普段の優し気且つ気さくな性格とは裏腹に凄腕の武者であり退魔師である。

兎に角慌ただしく周囲が動く。カルデアも天手古舞だ。

何度も言うが本当にアルトリアが空中戦艦持ち出してくるとは思ってもいなかった。

だって逸話どころか最果ての女神としての権能と神の戦車としての権能にもそう言った記載はない。

まさか悪魔合体の要領で宝具を空中戦艦に仕立て上げてくるとは思いもよらなかった。

 

「ファラオ、一体どうする気なので?」

「予定は変わらん。特攻の上での純粋な殴り合いだ。ただ全員パーシヴァルの槍にだけは気を付けよ」

 

ニトクリスの問いにオジマンディアスは予定に変更はないと言い切る。

元より特攻する予定だったのだ。

純粋な殴り合いは避けられない。ただ相手がこっちに来たというだけだ。

ニトクリスやホームズもオペレーター席に座り、

オルガマリーやマシュも闇夜の太陽船を装着する。

カルデアの管制室はデータリンクを行いサポートする形であった。

 

「チェイテピラミッドアズライールの廟発進!!」

「離陸します!!」

 

オジマンディアスの号令と共にチェイテピラミッドアズライールの廟が空中へと浮かぶ。

まるで山頂そのものが飛翔するかのようだった。

 

「各種、魔術経路及び制御系異常なし」

「よろしい前進させよ」

 

そして光輝の大複合神殿の効力で融合したチェイテピラミッドアズライールの廟がキャメロット・ブライト・エハングウェンに向かって飛翔する。

そして視認距離に近付きアーラシュたちアーチャー組が迎撃行動を開始。

それと同時にオルガマリーとマシュたちの射出タイミングが来た。

 

「魔術回路及びペルソナ正常、こっちは問題なし!」

「こっちも同じく大丈夫です!!」

『ではメインカタパルトを解放します!! ご武運を!!』

「オルガマリー・アニムスフィア出撃するわ!!」

「マシュ・キリエライト出撃します!!」

 

魔力誘導式電磁カタパルトで初速を乗せて射出、二機の闇夜の太陽船が雲を引き裂きながら超音速を突破し、

天使の群れに突っ込んでいくのだった。




ピース・インフィニティ復刻しねぇかなぁ(ヤニカス並感)

エリちゃん「違法建築だったらリフォームして手直しすればいい!!」
という訳でチェイテポエナリドゥスタリオンMk=X城は完全一体化しています。
なおメカエリちゃん出来たら一号とニ号に姫路城が追加される模様。
本作では最初期からカーミラさん取り込んで真面目になっているエリちゃん発狂します。

じぃじ人生初の喫煙、まぁハシシ吸うよりはいいからね。

あと三蔵ちゃんは青空教室開いてます。宗教上の違いは在るから宗教は広めたりとかしないですけど計算とかは教えて置けば将来役に立つのでね。

ロマニが全部ゲロっているのでホームズまさかの無駄足。
そしてニャルフィレが意味不明挙動しすぎて推理できぬの巻き。
ニャルは最悪の愉快犯だけど人を成長させる為に居る存在ですからね。
ぶっちゃけアマラ上位存在達からすればこのニャルが調整した第一部でさえ薪ですからねぇ。
あとホームズとニャルの相性は最悪です、だってニャルは犯人を操作して自分の手は一切汚さないかそれも私だしてくるので。
数と言葉で攪乱してきて真実も複数用意できる存在なので本当に厄介。

そして次回から戦闘です、チェイテピラミッドアズライールの廟VSキャメロット・ブライト・エハングウェンの空中戦艦同士の戦いと。
オジマンディアスから一時的に譲渡された闇夜の太陽船二隻をデンドロあるいはミーティア化させてオルガマリーとマシュが装備して突っ込む感じになるかと思います~

あと今回は酒とロキソニンと袋かき氷で火傷を何とかして書いたので次回も遅れます~
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