Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
ミレニオンではなく、 ハリー・マクドゥエルを、選んでしまった。
だが、今は後悔していない。
おまえを撃つなんて、できないよ・・・
ガングレイヴ アニメ版より抜粋。
『倒れてていいの?』
「あう・・・」
扉にぶち当たってマシュは気絶していた。
目こそ覚めたが視界が明滅している。
それを見降ろしているのはもう一人のマシュだった。
あのオガワハイムで対峙したもう一人の自分。
『早く立たないと二人とも危ういわよ』
そう言ってもう一人のマシュは剣と盾を出現させる。
『さてどっちを使う?』
「決まってます」
マシュは首筋に最後の薬を打ちこんだ。
殆ど効果がない。
もう感覚がなく動かせる程度だった。
「剣を選びます、もう土壇場です、もう殴ってでも止めなければなりません」
『殺すという言い回しは使わないのね』
「はい・・・私は私のしたいことをするだけです、そうでしょう?もう一人の私」
『傲慢ね・・・でもそれでいい』
そうそれがマシュ自身の選んだ道だから。
そうしてペン型注射器を投げ捨て、ウリエルを手に取る。
一歩一歩這いずるように歩みながら階段を上る。
「まだ抗うのですか・・・」
「当たり前です」
ボタボタと血涙と鼻血と口からは血が漏れ出ているマシュ。
もう限界だった、あと少しそう少しで彼女の命という運命の蝋燭は尽きる。
イノセントダストとは文字通り無限出力を約束する代わりにマシュの運命力を擦り減らしている。
ペルソナ展開もだ。
普通に生まれていれば普通にデメリットは無かったのだが。
マシュはデミサーヴァント降霊用の前期型のデザインベイビーである。
在り様からして歪なのだ。常人の達哉やオルガマリーとは違いペルソナの発動自体、対価が求められるのである。
「なら折れる絶望を与えましょう」
アルトリアがそう言った刹那。
無数の天使が玉座の間に降り立った。
「アルトリア・メルカヴァーより各員へ、マシュ・キリエライトを捕えよ、なお手段は問わない」
「「「「「「「「「「「「「了解」」」」」」」」」」」」」」
天使が一斉に殺到する。
「デスバウンド!!」
それをマシュがペルソナスキルで一薙ぎする。
だがしかし天使共は津波の様に押し寄せて来る。
であるなら消耗戦だ。
マシュが折れるかアルトリアが妥協するかの違い。
どのみちカルデアは詰み状態だ。
「っ・・・」
ペルソナこそ呼び出せて入るが。
神経がイカレている。薬のオーヴァードーズ現象の弊害だ。
今やマシュの身体能力はペルソナとの不完全結合により中途半端な形でしか出力できない。
というかもう無痛病と一緒だ感覚がない。
それでも兎に角必死になってウリエルを振りつつ走る。
「「「「「「「「「「「「「コウガ」」」」」」」」」」」」」」
そして天使たちによる全方位からの射撃。
それでも勘で何とか回避するが感覚がない以上。
全てを回避するのは無理だった。
数発着弾しそのまま倒れる。
「まだ・・・まだです」
もう腕を動かすだけでやっとだ。
足は意思に反して動かない。
意識ももう朦朧としているそして暗闇に落ちる最中聞こえる声
「これで終わりです、アナタで最期だ」
達哉やオルガマリーは倒れた。
後はマシュが倒れるだけで千年王国という名の天獄が生まれる
「私たちは皆敗者なんですよ、最初の一歩から間違って、此処まで来てしまった」
暗闇の中、巨大な手がマシュを包み込む。
アルトリアとの精神同調による心まで圧し折る技術である。
ギシギシとマシュも丸め込まれようとして。
愛しい二人と尊敬できる先達の姿を見て。
―違う―
それでもとマシュは抗った。
「何が違うというのです?」
アルトリアは血涙を流し嗤いながらら首を傾げる
―まだ私は諦めていない―
「なるほど。諦めない限り勝利は決定していない。なるほど道理です。ですが、アナタが依り代とする二人は倒れました。貴方で最後です」
―最後なんかじゃないし、私は諦めない、先輩もオルガも英霊の皆も諦めていなかった―
そう全員が己が結末を受け入れ抗っていた。
―だから、今度は彼等にそれを教えるために今度は私がやるべきことをやる番です!!―
だから教えなければならないだろう。
それが救いになるのだから。
先達たちからバトンを受け取ったものとして。
馬鹿やっている友達を止めるために。
―あなたも含めて、皆の選択は間違ってなかったって教えなきゃいけないんですから!!ー
アルトリアが張る心の帳を強引に振り払い、抜け出して。マシュは剣を取る。
先人たちの選択は決して間違いではないのだと証明する為に。
ガラスが割れるように暗黒から現実へと帰還した。
そして爆発、象に群がった蟻を振りほどくかのようにマシュは自分に纏わりついた天使たちを吹き飛ばし。
しっかりと両の足で立つ。
「なっ」
「アル、あなたの
最早以前のような性能は発揮できない。
規定された寿命と肉体設計がマシュを縛る。
普通の人間なら問題ないのは前述した通りだが。
デザインチルドレンとして歪な設計をされた段階で。普通のペルソナ展開でも負荷がかかるのだ。
それでも一時的に全身の感覚を取り戻したマシュはウリエルを振るい天使を屠る。
スキルは使えなくてもマシュ自身が積み上げた物は本物だから。
「なんでまた立ち上がる!! もう詰みなんですよ!?」
アルトリアが絶叫するそれに呼応するかのように半壊した天使がマシュを背後から抱きしめるように拘束して。
「ッッ!?」
絶体絶命である。
今のマシュでは天使の拘束を振り払得られない。
今度こそコウガの斉射を受ければ終わりである
「―――――――どんなに足掻こうが結果は変わらないのに!!」
全員がコウガの方向を向けて・・・
「ぁ―――――」
マシュを拘束していた天使とコウガの銃身を向けていた天使たちが無数のワームホールから射出されたマハエイガオンで撃ち抜かれる
「そりゃね・・・でも変わらないからってのは諦めでしょ・・・・。足掻かなきゃ始まらないわ、だから」
ずるりとオルガマリーが這いずりながら動き出しつつ言う。
マシュはこれ以上ないくらい彼女の鼓動を感じていた。
まるで傍にあるいは背を預けた時の安心感。
ペルソナの同調現象である。
『「ヴォイドフォール!!」』
その瞬間、マシュの隣にオルガマリーの幻影が立ち。
その場の居る天使たちに標準を定める。
ヴォイドフォールからの完全標準からのマハエイガオンの射出で仕留めきる。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
アルトリアが絶叫する。
だってそれは・・・・それは彼女がもっとも多くの人々に求めた物だから。
そしてそのたぐいの光を成せるのは強き人だけでしかないという絶望。
そして・・・それでも
だから・・・消えてしまえと願う。
だってそうだろう?強さが彼らにそれを強要させているのだから。
玉座の間を形作る壁が分断され、都合8本もの超質量と超強度を持つ杭となって浮遊。
転移なんてさせるか、転移防壁なんぞで防御させるかと彼女たちに絶望を叩きつけるべく射出される
『クッ、転移が』
「ッ」
もうオルガマリーもボロボロなのだ転移が寸前のところで間に合わない。
覚悟を決めて剣を構えたマシュは無駄だとわかりつつも迎撃しようとして。
『俺に任せろ』
マシュの脳裏に達哉の声が響く。
それと同時に着弾。
轟音と土煙が上がるのと同時に、柱たちが結晶化し粉砕される。
『俺は彼女たちと迎える明日を見たい』
今度は達哉と同調しユニオギアスを発動。
最果ての城壁が直撃する瞬間にそれらを結晶化しマシュのリソースに変換される。
それと同時になけなしの力でオルガマリーがマシュがアルトリアに有利取れる場所に転移させる。
『その日を見届けたいから』
もう意識はぼやけている。
肉体は限界だけれどもその願いを届ける為に。
マシュと同調させる。
『俺達は止まったりしない』
「私達は止まったりしない」
―ユニオギアス―
マシュもその決意を受け取り万物を融解させる炎を身に纏いながらウリエルを両手で構え突進した。
炸裂するゴッドハンド×100。
されど如何に最果ての材料を利用したと事で、ユニオギアスの前に溶かされ粉砕されていく。
だったらと。
「貴方達の理想は実現しないぃ!!するはずもない!! だって世界は――――人は――――美しくも強くも無いのだから!!」
アルトリアはゴッドハンド×100を一に収縮、それを10本射出する。
これにはユニオギアスも分が悪い。
だが彼女のウリエルは鉄塊から剣へと変革つつあった。
そして押しつぶされそうになりながらも。
「違う!!」
それは違うと否を叩きつけながらウリエルはより剣へと変貌する。
それ即ち彼女の成長である。
リバース・イドを超えてアルカナ正常位に戻る。
漆黒のインナーや鎧が金細工の施された真っ白な物に変化する。
片翼だった翼は両翼へ。
本物の天使の如くに彼女は変革して、まとわりつく腕を飲み込み融解し新生した。
剣を大上段に掲げ、今ここに新生する。
マシュ・パラディーンとは違う方向性。
マシュ・ウリエル・レゾン・イドの誕生である。
「美しくないのは当たり前です。この旅路を通して思い知りました。けれどそれでもあきらめていない人たちがいた」
こういう言葉がある。この醜くも美しい世界という矛盾した言葉が。
現に美しい蓮は薄汚い泥より咲くのだから。
チェーン状に放たれた無数の最果ての鎖を斬り払いつつマシュは墜落するサタンの様にアルトリア目掛けて突撃する。
「世界は醜いけれどそんなにひどく無いと教えてくれるとが居ました」
彼女の脳裏に浮かぶのは仲間の人々、あの醜い人間の性さえ見続けたパオフゥとアマネでさえ。
そんな世界でもいい事はあると言い切った。
それを紡ぐために英雄たちは走って来たと知っているから肯定し否定できるのだ。
矛盾だ。矛盾が成されている。されどそれこそ■■■の権利故。
影も蝶も嬉し泣きする童の如く泣くのだ。
「だから!! 私は彼等が世界を愛したように、自分もまた愛してみたい!!」
「アステロイドボム!!」
それでも英雄の皆や今を生きるカルデアの人々はそれでも世界を愛した。
其処には各々の理由がある。だがそれでいいマシュ自身も個人的な感情で世界を愛しているから。
故に世界をありのままに愛せる。だってそうだろう? 世界が無ければ生きていけぬ、自分の夢を叶えられぬ。
世界を変えることではなく、ありのままの世界を残すために最善を尽くすこと。他者の意思を尊重し、そして自らの意思を信じることという信念にたどり着いたのだ。
アルトリアは決断したもうマシュは止まらないと。
だからこそ最果ての資材を収縮しアステロイドボムを発動させる。
爆発寸前のそれにマシュは突っ込み・・・
「この剣は皆を繋いでいる。真っ暗な空を引き裂いて、あらゆる旅人に星の光を、太陽の光を。月の輝きを!!」
そう今でも達哉やオルガマリーやサーヴァントの皆やカルデアの人々の鼓動をまじかに感じている。
それを発露しながら天獄に否を突きつけるように自分の在り方を表すようにアステロイドボムを引き裂く。
「遍く人々を祝福する光を届けたい!!」
「
それでも炸裂する拒絶の光に対しマシュは真っ向から挑む。
「だから!!」
マシュは覚悟を胸に。
「これが私の――――いえ、私とみんなの旅路だから!!」
決意は成った故に奇跡をここに。皆の鼓動を聞きながら。背後から後押しされる感覚を胸に。
放たれる
―イノセントブレイズ―
「うぁあああああああああああああ!!!」
出力されるのは殺意でもなく、守るでもなく己が意思を貫き通すという覚悟による無限出力。
そして、最果ての勝利の剣の光が爆散し巨大光の剣が振り下ろされる。
「ッッ!! アァヴァロォォオオオオオオオオオオンン!!」
鞘の真明解放。八層にわたる次元防壁を展開。
だが、圧倒的なまでの出力と収縮率、そして貫通スキルによって拒絶の理想郷は粉砕されていく
その縁でマシュは感じた皆の鼓動と。微笑みながら消えていくもう一人の自分を。
マシュは真に己を受け入れたがゆえにだ。
「つらぁあぁぁああああああああああああああああああああああああ!!」
マシュは叫ぶ。
傲慢とか言われてもそれでも救いたいから。
だって友人なのだ。
アヴァロンという完全防壁を砕き鼓動を感じる愛しい人たちと共に手を伸ばす
―ヴォイドフォールー
―ユニオギアス―
アルトリアから二人の力を借りて神の戦車という玉座から引きずり降ろしながら手を伸ばす。
最果ての女神でもない神の戦車でもない、たった一人の女性であり友人のアルトリアに手を三人は伸ばす。
『『「戻ってこい!! アルトリァァアアアアアアアア!!」』』
戻ってこいアルトリアと三人が手を伸ばす
そして空に光が灯った。
「終わったのですか?」
チェイテピラミッドアズライールの廟の中で杖を盾にして天使たちの攻撃を抑えていたニトクリスが呟く。
さっきまで動いていた天使たちが伽藍洞の人形の様に崩れ落ちていった。
「終わったのだろうな」
短剣で無双していたオジマンディアスもため息吐きつつ言う。
一時期は神殿の使用権原さえ奪われていた上に天使共が雪崩打って来たのである。
甲板上の迎撃要員はもう疲弊でヒィコラ言っているし。
それでも乗り込まれ、ホームズですら戦っていた。
「カルデアそっちは無事か?」
オジマンディアスが問う。
そうカルデアにも直接天使たちが乗り込んできていたのだから心配するのも当然だろう。
『こっちは死傷者無し、保安部も軽いけが人だけで済んでいるよ』
ダヴィンチがそう言う。
何度も言うが保安部は装備さえ整えれば総出で上級サーヴァント及びⅡかⅠ階梯の死徒とやり合える化け物集団だ。
伊達に生まれる時代を間違えた連中ではないのである。
装備さえ整えばあらゆる獲物を刈り取る狼の群れ。故に米国は彼らを恐れ切り捨てたし。
故にマリスビリーは彼らをスカウトしたのだ。
『一応言っておくがな、ウチらは普通の人間だぞ』
アマネから文句が来るが。
「『はは。何を仰る』」
オジマンディアスとダヴィンチからは鼻で笑われ一蹴された。
本当に生まれる時代間違えているって話な訳で。
化け物の群狼、クロン大隊にすら装備すらと問えれば一方的に殺戮できる。
一種の殺戮マシーン、それがカルデア保安部なのだ。
『ところでそっちの状況は?』
「無事だ」
オジマンディアスは外の映像を見る、キャメロット・ブライド・エハングウェンがゆっくり崩れていくさまを。
「まるで少女の夢の終わりだな」
オジマンディアスはそう一人呟いた。
気付けばアルトリアは倒れていた。
そんな自分を三人が覗き込んでる
もう三人共限界だ。
マシュに至っては瀕死であるそれでも三人は這いずるように仰向けに倒れたただのアルトリアに向かっていった。
アルトリアの惨状も酷い物だった。
ユニオギアスとヴォイドフォールで神格を引き抜かれただの人に戻り。
マシュのイノセントブレイズが直撃したのである。
全身が真っ白になり灰となって崩れていく。
「このッッ」
達哉が叫ぶ。
「馬鹿野郎!! 俺たちの事は無視して自分の幸せ考えろ!! もうアンタは走り切ったじゃないか!!」
長らく捕えられていた達哉だからこそしたくない事をやっているのは分かっていたからだ。
「本当にそう・・・です、もういい、もういいですよアルさん」
マシュもそう諭す。
アルトリアは頑張って来た正しさの奴隷と言われようが走り抜いて今に繋げた。
其処に誰も文句は挟めないのだ。挟むとしたら絶対悪の影であろう。
それでもアルトリアは走り抜いたのだから。
「本当よ・・・でも理由は聞いてあげる。何があったの?」
オルガマリーがそう問いただす、アルトリアは震える唇で口を開き答えた。
「未来を見せつけられました、先にも言った通りこの大災害が終わっても次は戦争です」
「「「戦争?」」」
「はい、ニャルラトホテプの規制で詳しいことは喋れてもノイズにしか聞こえないでしょうから敢えて言いませんが、アナタたち三人の内一人が欠けた瞬間に終わります、その三つのルートを見せつけられました・・・」
既に影と蝶の試みは行われている。
都合三度失敗し今回で四回目。
その失敗した三回をアルトリアは見せつけられ絶望したのだ。
「その絶望に耐えられなかった」
アルトリアは救われた。あの松島で。
だが救ってくれた当人たちは地獄の絶望という断崖を飛ばねばならない。
それにアルトリアは耐えられなかった。
故に圧し折れて此処にいる
「だって貴方達は私の友達ですもん、そんな事実に耐えられないよ・・・」
そう分け御霊とはいいえカルデアでアルトリアも過ごした。
故に見捨てられない。馬鹿だと分かっていても天獄を求めてしまった。
「なんで世界は責任をアナタたちに押し付けるのです? ちっぽけな理想すら許さないのです?」
だがしかし世界は許さない。それだけ達哉達三人は強大な物に成りつつあるから。
だからこそ認めない、こんな結末は嫌だと第六得点をアルトリアは乗っ取り天獄計画を立ち上げたのである。
「馬鹿ですね・・・だから何度も言っているでしょう。もう走り切ったアナタは休んで良いんです」
「それでも見捨てられなかった」
マシュの言葉にそう答えつつロンゴカリバーをマシュに手渡す。
「アルさん・・・」
「私の残った運命力と共にこれを託します・・・ああそうか最初からそうすればよかったのか」
「・・・」
アルトリアは悟ったこの特異点の黒幕を倒し運命力と聖杯とロンゴカリバーをマシュに譲渡すればよかったではないかと。
「本当に私って馬鹿だ」
「もういいもういいんです」
ロンゴカリバーがマシュの第二のペルソナとして取り込まれるのを見届けつつ。
アルトリアは右手を降ろす。それは床に当たった衝撃で灰となり風が攫って行った。
マシュはアルトリアの残った運命力とロンゴカリバーを譲渡されたことによって第六特異点突入前くらいには寿命が戻る。
「もう休め・・・アル」
「はいあなた方も悔いのない旅路を、そして・・・・ありがとう」
アルトリアは灰になって崩れて消えていく。
肉体の限界 零
元より超えた限界の過負荷を神霊になることで無視し、神の戦車となることによって超えていた。
それらすべてを引きはがし人間に戻したのだから、負債が一気に押し寄せてくる
だからどうあがいても奇跡を成しても。
彼女を救うことは不可能だった。
「うぁ」
誰かがうめき声を上げて嗚咽を漏らす。
それにつられるかのようにこの場にいる三人は泣いた。
友達が死んだのだ。
彼等にとってアルトリアは王でもなければ騎士でもない、親友だから。
だから泣く当たり前だ。
当たり前の事なのだ。
灰が空を舞う、ようやくここまでしてアルトリアは宿業から解放された。
レイシフトアウトが始まる。
光の粒子に変換され彼らは帰還する。
そして、気が抜けたのか。
「担架持ってこい!!」
ロマニが叫ぶ。
レイシフトルームでは怒号が飛び交っていた。
全員負傷状態だった。特にマスター三人の体調は最悪であった。
達哉は拘束されている期間で最低限の栄養しか与えられず何度も肉を引きちぎっては脱出を試みたので重度の栄養失調及び貧血気味だった。
オルガマリーはイドタイマーの薬物が無くなるまで己を酷使したオーヴァードーズ気味、加えてアンビースト化していたのだ。脳やらの神経がやられている。
マシュなんかアルトリアが残り少ない運命力とロンゴカリバーをペルソナ化して譲渡してくれなければ死亡、あるいは再起不能だった。
保安部もボロボロであるが優先すべきはマスター三人組である。
サーヴァント達も医療用ポットに叩き込まれた。
マスターズ三人は問答無用で医療室送りである。
中和剤がないので少なくとも半月は拘束される羽目になった。
「というか気合いと根性でイドタイマーぶち抜くのやめてほしいんだけどねぇ!! 何のためのリミッターだと思っているんだい!!今回は偶々いい方向に動いたけれど次はどうなるか分からないんだよ!!」
「ごめんなさい」
「マシュも劇薬だって言ったよね!!少しはサーヴァント達を信じなさい!!」
「すいません時間がないと「だまらっしゃい!!」すいません・・・」
「あと達哉君も達哉君だ・・・脱出するのは良いけどね自分の身体を顧みて・・・手術は必要なさそうだけどね」
「すいません」
ベットに寝かせられロマニにマスターズ三人は説教されていた。
当たり前だオルガマリーはオーヴァードーズ。
マシュはオーヴァードーズに含めてマジでアルトリアが運命力譲渡してくれないと死んでいたし。
達哉は逃げ出そうと藻掻いた結果失血死寸前まで行っていたのだから。
と言っても一週間を過ぎれば医療室内なら自由に移動できるし。
エミヤとウォンの薬膳中華を持ってきてもらったし。ムニエルが携帯機の傑作選を持って来てくれたのでそこまで暇ではない。
なお飲酒は駄目と言われてオルガマリーはこの世の終わりみたいな顔をしていたがどうでも良い事だろう。
オルガマリー専用の食糧庫の管理はエミヤが行う事となった。
とりあえず退院まで変わったのはその程度である。
「暇ねぇ・・・」
「そう言うなよオルガ・・・」
ピコピコとDSという骨董品のゲームを動かしながら言う。
それに達哉はベットの縁に座り込みライトノベルを読み進めながら返した。
彼此一週間である暇なのも当たり前だ。
「先輩やオルガはまだいいじゃないですか点滴だけですもん」
マシュは一応念のため各種医療機器に繋がれていた。
リクライニング機能のお陰で床ずれこそ起こしていないがトイレに行くのもしんどい。
腕や手は何とか動かせるので日記をプロットにしつつ小説化の作業に勤しんでいる。
「今日外してもらえるからいいじゃない」
「午後からですけどね・・・」
「「「・・・」」」
会話が弾まない。
全員が死の淵に言ったのだから当たり前だ。
「・・・死にたくない」
そしてついにマシュは耐えられなくなったのかぼそりと呟く。
覚悟は出来ている、だが耐えられるかと言われれば話は別だ。
どんな人間だって弱音を吐く。覚悟が出来ているからと言って本物を体感すれば弱音の一つや二つ出てくるものだ。
「吐き出せ」
達哉はそう言った。
貯め込んだとこ所で良い事なんてないのだから。
シャドウ当たりがまた湧いてくるかニャルラトホテプに付け込まれるからである。
「そうよここには私達しかいないんだし」
オルガマリーもそれに同調する。
そしてマシュは一旦製本作業をやめて泣き出した。
「死にたくない!!死にたくないんですよ!!アルさんがあそこで運命力を譲渡してくれなければここには居ません!! まだやりたいことが沢山あるんです!!なんで私の身体はこうなんですか!?ああ私は人間に成りたかった!!」
そう言って泣きじゃくる。
人生を嘆く人々は多い、日本でさえそうなのだ。
だったら自分はなんだ、人間モドキとして大量の屍の上に生まれ。
アルトリアを犠牲に生き残った自分は何なのだと。
まるで他者の命を取り込まねば生きられないか弱い吸血鬼のようではないかと。
だから人間になりたいと切に願う。
「先輩とオルガの経営するバイク店兼軽食屋に住み込んで本を書きたいんです、先輩との子供も欲しいんです、そして子供をオルガと先輩の子供を自分の子供と一緒に苦労して育てたいんです」
嗚呼、それだけのちっぽけな夢すら許されないのかとマシュは涙を流す。
如何に運命力を譲渡されたからと言ってアルトリアの運命力は少ない物であった。
最終決戦までに持つかどうかの物でしかない。
ロマニに聞いたがマシュが最終決戦後どうやって命を紡いだのかは不明であるとの事。
だが命を補填できたのは確かなのだろう。出なければモナドマンダラに捕えられている事がないのだから。
しかし世の中に絶対はないのは確かでこの時空でどう転ぶかは賽の目の出目次第である
「俺たちに言えることはない」
「そうねどういっても偽善にしかならないもの」
励ます事さえ偽善だ。
Dそうなるか分からない物に縋るのは現実的ではない。
だから。
二人はマシュの右手を固く握って泣いた。
「マシュには死んでほしくない」
「私もよ、ああ、糞親父、今生きているなら全力で殴ってやりたいわ」
夢は共同体だ。只々それだけなのだ。
「・・・」
「今日はよそうぜ・・・エミヤの奴がオルガマリーに叱られるのを承知の上で酒出すって言っているしよ、飲んでお前も吐き出せ」
達哉達の慟哭はロマニも壁越しに聞いていた。
クー・フーリンも薬抜きの為に連れて来られていたから。
今日の事は酒を飲んで忘れようという話になったのである。
「うん・・・」
ロマニは正直に頷いた。
それで良いんだよとクー・フーリンとロマニは踵を返し食堂へと向かった。
そして何時もの謎自宅。
言峰とニャルラトホテプがテーブルを挟んで向き合う。
ニャルラトホテプが読んでいるのは「風の十二方位」だった。
「すべて揃いましたな」
言峰の言葉に。ニャルラトホテプは頷く。
「カグヅチ コトワリ 世界 宇宙 だが…粗削りだ」
それでもなお足りない。
最高級の料理を作り上げるには素材だけ取りそろえたところで意味はないのだ。
「やはりAチームは必要か・・・。最終特異点を経てもこれでは無意味だ」
「■■■■■■■■に■■■■■■を万が一のため仕込んでいたのが助かりましたな」
「ああそうだな、閉鎖宇宙も天獄もいずれ綻びが来る。なぜ他者を交えない議論と結論を絶対だと思えるのか不思議でならない」
マリスビリーの考えた閉鎖宇宙もアルトリアの考えた天獄もいずれは破綻を迎える。
だって自分で決めて決行した事なのだから当たり前にそうなる。
自己完結型の結論こそ綻びを生み出しかねないがゆえに。
アルトリアは自覚があったそれでも止められなかった。
だがマリスビリーの計画は悪く言えば行き当たりばったりである。
宇宙が完成した瞬間にアマラなら兎にも角にもこの宇宙ではパージングが開始される。
無意味で無価値な計画、まさしく世界を滅ぼす宇宙の恥と言っても過言ではない。
そしてそれらを実行する装置の■■■ですらマリスビリーの真意を理解していない。
独自解釈の元暴走している。これではどう足掻いても結果は見えている。
故にニャルラトホテプはフィレモンはその大本たる■■■・■■■■■■は超越譚の為の贄にすることにした・
もう都合三度失敗している、四度目の正直という奴だった。
「兎に角、もう
ニャルラトホテプはそう言ってつまらなそうに風の十二方位を机に放ったのだった。
文字数少ないけれど第六終了!! マシュ、リバース・イドを超えてレゾン・イドへの二段覚醒。
最初はイマジナリー邪ンヌ出そうかと思ったけどなんかちぎゃうと思ってマシュシャドウに再登板してもらいました。
じゃねぇとマシュが完全狡噛さん化しちゃうし何よりイマジナリー邪ンヌ生み出せるくらいにはライブラリー見ていても唐突すっぎるからね。
達哉も救出完了。マシュの運命力もギリギリだったけれどアルトリアがなけなしの運命力補填したおかげで最終決戦までは持ちます。
そしてマシュは第二のペルソナ「ロンゴカリバー」をゲットし。
所長も怒涛の二連戦で疲弊しているけど、アルトリアも救われて文句なし
さてニャルサイドも怪しくなってきました。
因みにマシュはあと一回覚醒を残しています。たっちゃんは二回、所長は一回ですね。
なまんじ強すぎるから覚醒回数ではたっちゃん出遅れ気味。むしろ剣術方面を伸ばしている弊害かも知れません。
第四と第六、モーさん良いところなしですが嫌いというわけじゃないです。
現にFGO始めた時、バレンタインピックアップで彼女の為に諭吉さん5人飛ばして爆死しましたからね。
ただねぇ、面白いくらいに付け込みやすいから思わずニャルちゃった(テヘペロ)
肝心のマーリンですが第七でニャルにボコボコにされます。
原作のごとく良い空気は据えません
近藤さんも賢王の計画聞いて曇りまくります。土方さんも五稜郭思い出して曇る。沖田さんは通常運転。
と言っても次は幕間のぐだぐだイベ、虎千代ちゃんと上杉家とカルデアの交流を描いて。
流石にカルデアマスターズには休みつつ虎千代ちゃんを人間に矯正する物語となります。
なお特異点化の原因が虎千代母なんですけどね!!
因みにAチームでのアフタータイム
カドックがニャルとフィレと閣下と聖四文字に目を付けられデビルサマナー化しているし。
時間逆行というインチキ再生すら許さない邪ンヌイミテーションが居るので運命三女神は詰んでいます。
後次回も遅れます・・・