Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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軍法会議でも何でも受けてやる。
現場にもいもしねぇで、ガタガタ言うんじゃねぇっ!!
黙ってろ・・・


ゴジラ FINAL WARS より抜粋


十八節 「魔影浮上」

『戦闘終了、お疲れ様です。先輩』

『ふぅ・・・なんとかなったよ・・・』

 

ノイズ交じりの映像。ロマニの瞳に写っているのは達哉たちではなく、彼が知っていて知らぬはずの誰か。

彼等はジャンヌ・オルタと交戦し一息ついている。

だがしかし、それはロマニの知る現実とは違っていた。

ロマニの知る、ジャンヌ・オルタは自分自身が贋作であることを知っているし、振る舞いも憎悪に濡れていて阿頼耶の怪物と言わんばかりであるし。

火力からして違うのである。

第一に彼らが安堵しているような状況ではすでにない。

何故なら既にロマニの知る現実ではティエールの間近で戦端が開かれ、地獄の露呈を呈していたからである。

 

『ドクター? どうかした?』

 

少年の貌にはノイズが掛かって見えない。

だが思い出さなければならないような気がして悪寒が脳を掻きむしり。

 

「――――――――――――!?」

 

ロマニは跳ねるように目を覚ました。

視界の先には慌ただしく動く職員たちが居る。

そしてその中には相変わらず禁煙だというのに煙草をくわえつつキビキビと指揮を執るアマネの姿があった。

 

「ロマニ。お疲れ」

 

そこにダヴィンチがコーヒーカップを持ってやってくる。

 

「・・・僕寝てた?」

「寝落ちしてたからね。一応起そうとはしたんだが、アマネに止められてね、曰く”必要以上に隠れてオーバーワークしている奴は咄嗟の時に動けないから寝かせて置け”ってね」

 

そう言いつつ苦笑しながら、ダヴィンチは珈琲の入ったマグカップをロマニの前に置く。

芳醇な香りがロマニの鼻孔を擽った。

明らかにインスタントでは出せぬ香りである。

 

「これ、インスタントじゃないよね?」

「所長の私物、昨日が昨日だから、気付け代わりに皆に出しておけって指示が出てね」

 

昨日はどこもかしこも慌ただしかったし誰もが死線を通った。

士気の維持のために、スタッフ各員にオルガマリーが私物の珈琲豆を出す様にダヴィンチに今朝早く指示が出ていたのである。

そしてロマニは珈琲を啜りつつ一言。

 

「・・・アマネには叶わないなぁ」

「元米国の非正規作戦群の長だぜ? それこそなんちゃって的な秘密部隊じゃなくて公表も存在も隠匿されている裏のマジものの元長だよ? 魔術師相手に銃火器と筋肉と技術で対テロ戦闘やってきた女傑の目を欺くのは不可能だよ」

 

ロマニがオーバーワークを無理したうえでやっているのはばれていた。

アマネ的にもメディカルスタッフの頭脳であるロマニに現状倒られてはたまったものではないとして。

ダヴィンチに寝かせておくように指示を出していた。

文字通り彼が倒れたら医療部門が機能停止する故にである。

それに現場の医療指示と監督という作業もある。何度も言うが魔術抜きの医療も必要になる可能性も高いため。

彼に倒れられたら文字通りの詰みに近くなる故だ。

 

「それでアマネは?」

「彼女は戦闘情報の整理と施設修繕の臨時指揮中だ」

「彼女も人の事言えないじゃないか。」

「それでも最低限の休憩は取っているからね、ああ見えて・・・ ところで・・・ 君、様子がおかしいぞ?」

「・・・また既知感がね」

 

ロマニは冬木の時、つまり特異点ではなく、この世界に置いて行われた聖杯戦争にマリスビリーの助手として参加した時から既知感を感じるようになっていった。

今の今までは気にすることはなかった。

既知感と言っても物事を体感した時に、前にもこういうことがあったようなという物だったからだ。

あったなぁ程度ということもあり気にしていなかったのである。

此処に来るまでは、紛争地域で緊急医療や勉強で忙しく、その気疲れと思っていたからである。

だが最近、その既知感と現実認識がずれだした。

達哉と出会ってからである。

感じる既知感と現実が違い過ぎていた。

既知感で直感に感じるのは、既知感では所長は既に居ないし達哉と言う存在はいない。

冬木はあんなにスムーズに既知感では進まなかったし、第一特異点はこのような地獄じみた光景ではなかったはずである。

違和感は日に日に増加する一方だった。

 

「君の眼の影響かな・・・」

「いやもう眼は冬木の時から動いていないよ」

 

眼とは何かと当事者たちだけが分かる符号で二人は会話する。

ダヴィンチは眼が原因ではないかと言う。

ロマニは魔眼持ちだったからだ。今はとある事情でその機能を失っている

故に原因は眼ではないかという物の。

 

「いやもう眼は使えないよ・・・」

 

ロマニは眼は動いていないと断言する。

 

「だが既知感はあるんだろう? 噂結界の事もあるし。達哉君や所長がペルソナ使いの影響かも知れない」

「だとしても目は関係ない、今は見れないからね、僕の目は」

 

だが既知感は警報を鳴らす様に事あるごとに襲い掛かってくる。

それは現在進行形で体感する現実とほぼ同時のリアルタイムにだ。

未来予知の類ではないので、本当に関係が無いのだ。

 

「とすると・・・ニャルラトホテプか?」

「かもしれない」

 

既知感の正体は分からない。

誰がどう関与しているのかも分からないのだからといっても。

影が居たらこう言うだろう。

 

―もう遅い、分水領は超えている―と。

 

現に人理は焼かれているのだからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議は糾弾していた。

 

「だから、アンタたちが付いてきても、損にしかならないの!」

「君たちだけで確実に勝てる保証があるのかね!?」

「この期に及んで、安全策なんて通用しないよ!! 有り金全部ベットして勝つか死ぬかの瀬戸際なのよ!!」

 

人理定礎は先の会戦でさらに悪化。

これ以上の犠牲者が出ればどうにかなるか分からない状況である。

故に打って出るしかないという事をオルガマリーはフランス上層部に伝えた。

特攻するのは自分たちだけだから潔く送り出してくれるだろうと思えば。

まさかの引き止めである。

フランス軍は事実上の壊滅判定だ。

現代的尺度で言えばそうである。あとぶっちゃけるなら邪魔だった。

下級悪魔であればどうにかなるもののその上となるとペルソナ使いの支援とサーヴァントの支援が必要になる。

先の戦闘ではカルデアのラインとアマデウスのラインがあったおかげでそれも出来たが。

アマデウスが脱落した以上、それも不可能だ。

そしてフランス上層部は先の戦闘でリッシュモンとジル元帥以外は日和ったのである。要するに死にたくないという奴だ。

故に奴らに対抗できるカルデアを手元に意地でも置いておきたいという奴である。

 

「これが会議は踊るという奴かよ」

 

余りの醜態ぶりにクーフーリンもため息を吐く。

 

「俺も初めてだな、兄さんならもう何度も見ているだろうし当事者だっただろう、親父も・・・」

 

兄の克哉は刑事であり父も刑事である。

無論、そこにはいろいろなこういった会議やら派閥争いを行いつつ仕事と正義を両立してきたのだろうと達哉は察し。

クーフーリンも同意しつつ溜息をついた。

 

「因果は巡るってやつだな・・・マシュも来たいと言っていったが連れてこなくて正解だったな」

「ああ、止めになるぞこれは。」

 

先の戦闘で殺し殺されの本質に触れた後に会議は踊るなんて見せられれば。

今のマシュのメンタルは粉々になるだろう。

達哉もかつてはそうだったが、克哉周りの事を知ってからは今は違う。

そうこうする間にも会議の議題は白熱し、同時にオルガマリーが押しつつあった。

加えて。通信越しにではあるものの。

オルガマリーの次に政治が理解できるであろうアマネも参戦。

伊達に米国非正規作戦群を率いて西へ東にと、世界の政治情勢及び、均衡を担う薄汚れた仕事という名の殺しをこなしてきていないのだ。

 

「では。方面に逃げたカーミラはどうするのかね?」

 

軍の高官の一人がそういう。

カーミラはジャンヌ・オルタの居城である、オルレアンとは違う方向である、ラ・シャリテに逃走したのである。

エリザベート曰く『まぁあんな怪物に付き従っていたのって、力がもらえるからと恐怖心からでしょ』とのこと。

仕留めるには至らなかったが大幅に力を削ぎ落し瀕死にまでは追い込んだのである。

恐怖の重りがなくなったということもあって。逃走したのはエリザベートには丸わかりだった。

故に、カルデアにとってカーミラは邪魔な駒である。

目の上のたん瘤と言ってもいい。

もう戦力を分散する余裕はない。

かといってカーミラを無視しオルレアンに殴り込めば、カーミラがその隙を嬉々として突いて

ティエールに殴り込むのは道理である。

であれば、カーミラを張り倒しラ・シャリテを経由してオルレアンに殴り込むかと言われれば

不可能である。戦術および戦略を管理するアマネの算出にダヴィンチも同意したくらいに現状リソースが足りていない。

噂結界の効力でジャンヌがジャンヌ・オルタの力と同期しているから。

敵の状態もおのずと図れるが、ジャンヌ曰く。あの大爆発を起こしても、ジャンヌ・オルタは二割の出力を維持しているとのことだ。

如何に先ほどの戦闘のレベルは無理とはいえ、先ほどの戦いの二割でも十分脅威であることは既に分かり切っている。

故にカーミラを張り倒しながら、ジャンヌ・オルタのいる城塞化しているであろうオルレアンに殴り込む余裕はない。

二割であっても、逆に出力低下の影響で。制御が楽になり冷静さを取り戻し余裕のある、ジャンヌ・オルタとか悪夢である。

という訳で。もうカルデア総出で袋叩きにするしかないわけで。

どうあがいてもカーミラに構っている余力はない。

ぐっと痛い所を突かれたとばかりにオルガマリーが口をつぐみ。

それに代わって、アマネが非情な判断を言おうとした時である。

 

「あーそれなら私が何とかするわ」

 

エリザベートが右手を上げつつどうにかすると言ったのだ。

 

「アレ一応未来の私だし、私の手で決着付けておきたい。だったら、責任取るって意味でも私が適任でしょ?」

 

どうあがいても、カーミラは未来のエリザベートであり同一人物である。

故に今回の一件の責任の一端を取るということでの発現だった。

 

「だが、君一人で、あの吸血鬼を相手取るつもりかね」

「そうよ、ぶっちゃけフランス軍は邪魔、無駄に犠牲が増えるだけ、だから私一人で行く」

「でもエリザベート」

「・・・今の私にはこの位しかできないわ、コーチも居なくなっちゃったし、城も使い潰しちゃったもの・・・だったら未来の私を意地でも食い止めるわ」

 

エリザベートの手札はほぼ無いに等しい、アマデウスが退場し城も使い潰した。

かと言ってオルレアンでは足を引っ張るだけだとエリザベートは考え、

決着をつける為と責任を取る為にカーミラを死ぬ気で抑えるという。

 

「策はあるのかな?」

「もちろん、未来の私だもの。どういう布陣を引いているか手に取る様に分かるわ。だから大盾を五枚重ねて連結した物を用意して頂戴」

「何をする気? エリザベート」

「なにって簡単よ、オルガマリー」

 

オルガマリーの言葉にエリザベートは苦笑しながら言う。

 

「ダイナミックエントリーよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで会議が踊ると言う状況の最中。

マシュは待機であった。

達哉もオルガマリーも止めたし。

 

『上役との会議程不毛な物もないぞ。見て気持ちのいいもんじゃないし、大人しく休んでいた方が身のためだ』

 

と。アマネが躊躇なく不毛と言いきって見せた。

 

『なぜかって表情だな。いつぞやの任務の時の会議の時、そいつらは意気揚々と机上の空論を述べた。私はリスクについて説明したが酔っぱらっているのか、聞きやしなかった。会議はそのまま終了し任務の準備をしていたら。現地工作員は諜報活動中に敵地のど真ん中で気軽にピザを食べようとして、ピザ屋に化けたテロリストに取っ捕まり、救出作戦まで同時並行で行う羽目になった。現場とディスクワークの連中じゃ、それだけ現実への思考の差異が発生する。間違いなく今回は荒れるというのが私の経験則上導き出せるものだ。』

 

諜報員が取っ捕まりCIAの考えた理想の計画(笑)はご破算。

使い捨ての非正規部隊とはいえ隠匿性の高く難度は非常に高い任務であったため、

ブチ切れた参謀本部が指揮権を奪取。

作戦該当区に着くころには作戦内容も参謀とCIAの間で行われた暗闘で二転三転し、すっかり別物になっていたことを例に上げつつ見たって気持ちのいい物ではないし、そういう類の交渉はオルガマリーに任せるべきと押し切られてしまったのだ。

故にマシュは手持ち沙汰という訳でも無かったりする。

 

「うーん、やっぱり皆気落ちしちゃっているわね」

 

マリー・アントワネットも待機組であった。

というより、彼女自身からカルデアにライン経由でマシュのメンタルケアの打診があったため。

意図的に待機に入ったと言っても過言ではない。

 

「あのマリーさん」

「なぁに」

「会議に参加しなくてよかったんですか?」

「いいのよ、私政治に関しては失点だらけの落第点だしね」

「えっ? ええ・・・」

 

自虐的にマリー・アントワネットはそう言った。

マシュは困惑気味に驚く物の、

おかしな話ではない。現に彼女は失敗した側の人間である。

第一、結果論になるが彼女が政治の怪物だったら革命なんぞ起きなかった。

もっともどうあがいても血は流れたが、それは無き可能性とやらで、此処で語る事ではない。

 

「だってそうでしょ? ぶっちゃけ私なんかよりオルガちゃんの方が数倍上手くできるわよ」

「そうなんですか?」

「そうよ。私もオルガちゃんくらいできればなぁって思うもの。でも好き好んで身に着けた技能じゃないから、私が羨ましがっていたのは秘密にしてね」

 

そんなこともあって、隣の芝は青いという奴である。

オルガマリーとて好き好んで政治手腕を上げたわけではない。

時計塔の魔術師の特色として貴族主義が蔓延しているため、ロードの跡取りとなれば政治的手腕は生きるだけでも必須課題である。

そして所長にもなればそんな魑魅魍魎蔓延る政治界にも入らなきゃいけないわけで。

カルデア維持のために必死に勉強し戦ってきて三年もカルデアを維持したのだ。

そこにさらに若干吹っ切れたということも相まって十全に発揮される政治手腕は本物である。

だがやはり好き好んで身につけたものではないので、

羨ましがられてもストレスにしかならない。

 

「だから、ジャパン的に言うなら餅は餅屋って言うじゃない、人間ですものできない事を無理しようとすると失敗するのは眼に見えているわ。」

 

マリー・アントワネットは苦笑しつつ言う。

無理をした結果があの様だったからだ。

だが信頼できる政治手腕の高い味方があの時代に居なかったのも事実であった。

ドコモかしこも腐っていたから。

それをどうにかしようとして抗いそしてと言う奴である。

だから口が裂けてもマリー・アントワネットは言わなかった。

それは重荷だからだ。

 

―なぜもっと早く出会えなかった―

 

行ってしまえば最後だ。

自分たちの重荷を背負わせる行為に他ならない故に飲み込む。

本当なら将来ある若者の為。自分たちで終わらせたかったのが、マリー・アントワネットの本音だからだ。

ただでさえ頼っている現状でこれ以上の無様をさらけ出すわけには行かなかった。

同時に

 

―なぜ今できて生前に、そう言うことが出来なかったのか―

 

そう思ってしまう。

所謂所の努力しなかった部分への後悔だ。

勉強やらなんやらをちゃんと理解していればという奴である。

 

「重い話になっちゃったわね。でもそうやって生きていくしかないのだと私は思う」

「なぜです?」

「生きる上で悩むだとか後悔はセットなのよ。それが人間でいう薄汚さやら浅ましさとかいう人もいるけれどね。それが人間が生きる上で必須なの。後悔とかなかったら学習できないでしょう?」

「・・・」

「だからゆっくり考えて良いの。その為のフォローをするのが私達大人の役目だから」

「ですが早くできないと・・・・皆が・・・所長が・・・先輩が困ってしまいます」

「マシュちゃん、アナタは十分にやってるわ」

 

マシュは力の無さを嘆いているが、マリー・アントワネットはそうじゃないと優しく諭す。

あのジャンヌ・オルタの攻撃から達哉を守り抜いた実績もあるではないかと。

 

「そうでしょうか・・・」

「そうよ、きっとじゃなくて絶対に。ジャンヌじゃ無理だったわ。無論私でも無理よ。」

 

後から戦闘データを拝見した時にマリー・アントワネットも顔を青ざめさせた。

ジャンヌ・オルタの攻撃はごり押しのように見えて、実際合理的だったからだ。

達哉一人では詰まされているのは言うまでもなく。

達哉が別の存在と組んだ場合は文字通りの焼け石に水だった。

クーフーリンならばマシュと同じくらいに達哉との連携が出来るが。

宗矩では如何に優れた魔業を持っていようとあの火力の前には相性が悪すぎる。

長可や書文も同様で、マリー・アントワネットも防御や守護には秀でているが技量と火力で押し込まれるのは眼に見えていた。

盾を持つマシュでなければ押し切られていたことは明白だった。

宗矩と書文の分析でもそう出ている。

出力に引き摺られ、挙句好みの得物が無いがゆえにああいうごり押しだったが。

それでもあの技量は異常だったと。

寧ろマシュの事を褒めたたえていたのだから。

 

「でもマリーさんはペルソナを使えます」

「無理よ。生前でもね。達哉くんの様に高位のペルソナ呼び出せたわけじゃないし、宝具もマシュの盾の様に小回りが利いてしっかり受け止めるのは不可能よ」

 

マリー・アントワネットの宝具は小回りが利かない。

広範囲に展開する物であるがゆえだ。

故に駆らなず隙を突かれこじ開けられるのは眼に見えている。

マシュでなければ駄目だったのだ。あの場所では。

 

「そうでしょうか・・・」

「そうよ!! もっと胸を張りなさい、達哉君や私たちが生きて帰ってこれたのはアナタの働きがあってこそだもの。達哉君たちも守って住民も守ったのよ」

 

あそこで達哉たちが、落ちていれば完全に天秤はジャンヌ・オルタの勝利に傾いていたのである。

達哉とマシュがジャンヌ・オルタを追い込んだ故に、現状致命傷一歩手前で済んでいるのだ。

だから。

 

「いつまでも後悔していると次に響くわ。今すぐ糧にしろとは言わない。今は保留してもいいの。気持ちの整理をするときには逃げるというのも時には必要よ」

 

だから悩んでいても仕方がない。

今それをすれば後悔に足を引っ張られ次が上手くできないからだ。

故に此処は保留、安全圏に脱するまでは考えるなと言う事でもある。

逃げるというのは確かに負の側面も大きいが、必要な時は確実あるのだ。

今のマシュの様に、極限状況下に追い込まれて無理をするという選択肢は悪手になりかねないからである。

 

「マリーさん・・・」

「という訳で達哉君やオルガマリーちゃんたちには悪いけれど、遊びに行きましょうか」

「遊びにですか?」

「リフレッシュのためによ。さぁ行くわよ」

 

そう言ってマリー・アントワネットはマシュの手を引っ張って市外へと出る。

戦略目標は達成できず。活気は幾分か下がってるし不安が蔓延している物の。

それでも人の行き来は多かった。雑踏を抜けながら青果店を見て回り。

賭場に入って、マリー・アントワネットが生前のような暴走をするのをマシュが必死で止めたり。

肉屋に向かって、マシュが現代の肉屋ということにカルチャーショックを覚えたり。

折角、噂で開いたサトミタダシに行ってみれば。

 

「現代の薬局じゃないですかぁ!!」

 

外見はそれこそなんか、ファンタジー風味の如何にもな感じであるのに。

中に入れば現代薬局そのものである。抑止力仕事しろとマシュは言いたくなったものの、

現地住民は違和感なく利用しているためもう何も言えない。

さらに薬局内で流れるソングは中世ヨーロッパ訛りがキチンと決まっている電波ソングだった。

ニャルラトホテプの影響で具現化した影響か現地住人は無意識洗脳レベルで違和感に気付いておらず普通に使っている有様である。

 

「ねぇ折角だから、今後の事も考えて買い溜めしておきましょ?」

「それもそうですね、お金もありますし」

「じゃ、マシュちゃん、案内と解説よろしくね、現代の物については専門にしていたもの以外、今一ピンとこないのよ」

「そうなんですか?」

「ええ、知識は渡されているのだけれどね」

 

知識こそ渡されているが実感が伴っていないため今一ピンとこないのが現状である。

要は説明書だけを見ているのと大差が無いからだ。

マリー・アントワネットが生前履行した物なら想像もつくのだが、現代良品はさっぱりなのである。

故に

 

「・・・マシュちゃん、このゴムってどうつかうの? 避妊具らしいけれど・・・」

「わー! わー!! 私達には必要ない物ですから!! 返してきてください!?」

 

とか

 

「すごいわねぇ、美容品がこうより取り見取りなんて。」

「私もカルデアから出たことないんで、圧巻ですね。」

「マシュちゃんは、美容品とか使わないの?」

「?? なんでです? ちゃんとした栄養管理と適度な食事にトレーニングをすれば必要ないですよね?」

「マシュちゃん」

「?? なんです」

「今の台詞、全世界の女性を敵に回すわよ」

 

とか

 

「これ一本で栄養が取れるものなの?」

「取れませんよ、胃に入れてからの吸収工程で全部とれるわけじゃありませんし。満腹感で満たされるわけじゃないので。食事の補助という側面が強いんです」

 

などとサプリの説明をしたり。

そんなこんなでレジ袋を抱えて店から二人出ていけば。

 

「マシュお姉ちゃん!!」

「マシュさん、この度はまた助けてもらってありがとうございます」

 

助けた難民の家族と再遭遇しお礼を言われたりしあっという間に夕方になっていった。

 

「ん?」

「どうしたのマシュちゃん?」

「先輩からの通信です。会議が長引きそうなので今夜は議事堂の方で寝泊まりするそうなので、セーフハウスには向かわず議事堂に来てほしいとのことです」

 

ライン連絡は達哉からであった。

会議は現在も続けられており、警備網を引き直すのも面倒なため。

議事堂の応接室を複数借りて今日は寝泊まりするとのことだった。

 

「カップ麺買っておいて正解ね。私カップ麺初めてだから、ドキドキしちゃう」

「そう言えば私もです」

「そうなの? カルデアの食事事情も結構カツカツって聴いているけれど?」

「レトルト食品が現状の主軸なので。カップ麺に手を出すところまでは行っていませんよ」

 

昨晩出されたカップ麺には手を付けておらず。

人理焼却前は食堂が機能していた為、ロマニの指示のもとに食事をとっていたし。

レフが爆破した後はレトルトであるがパウチ食品やらコンビニ弁当だった。

流石にカップ麺一辺倒という劣悪までは行っていなかったので、手を出すのは実は今日が初めてだったりするのだ。

 

「へぇ・・・普段からは食べたいと思ったことは?」

「ありますよ! 動画サイトとかで新作のカップ麺のレヴュー動画とかあがってみてみるとおいしそうだなぁって思っていましたから。」

 

そんな雑談をしつつ雑踏を抜けていく。

その時である。

 

「ヒャハ」

「!?」

 

雑踏の中で通り過ぎた男の声に、二人は驚愕し振り向く。

当たり前だ。忘れもしない須藤竜也の声だったからだ。

 

「気のせいだったんでしょうか」

「いえ、気のせいじゃないわ。ペルソナが一瞬震えたし。確実に来てる」

「・・・連絡します」

「それが賢明ね。」

 

マシュはバングルを操作しライン通信で達哉とオルガマリーに須藤が来ていることを連絡し。

狙われたら溜まった物ではないと足早に議事堂へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議は結局、夜になるまで終わることはなかった。

カーミラの件を片づけても必死に論理武装してくるのだから当たり前だろう。

オルガマリーを筆頭にアマネ、ジル元帥、リッシュモンの説得で何とか押し切り会議は終わった形だ。

今夜は此処で休息をとって休むことになった。

帰るのも億通だからと言う理由だし、サーヴァントたちが警護をしてくれているのと。

帰って警護ラインを引き直すのも面倒という理由もあったからである。

なんせ、マシュの連絡で既に須藤がティエールの市内に潜入しているかもしれないとのことだったからだ。

今日は取りあえず、オルガマリーは答弁で。マシュはまだ戦闘の疲労が抜け切っておらず疲れているので。ロマニと達哉が説得し寝かしつけて置いた。

達哉は体力も回復していると言う事と場慣れしているということもあって正宗を腰の鞘に納めて館の警邏である。

 

「ん?」

 

そんな時である、時代が時代だ。

文明の利器では闇夜を照らしきれていない、故に通路は当たり前のように暗く。

明かりは月光だけである。

そんな通路の中で窓際にジャンヌが蹲っていった。

ジャンヌはズタボロだった。

体がではなく心がだ。

彼女は暗闇に包まれた通路をボウっと眺めて呟く。

 

「なにも出来なかった。」

 

戦端を開いて蓋を開けてみればこの様である。

カルデアは万全を喫する上で、噂結界まで使い力を底上げしてくれたというのに。

メインの交戦である対ジャンヌ・オルタ戦では達哉とマシュが行い追い詰めて。

その脇でジャンヌ自身は須藤と交戦、いいように甚振られた。

ジル戦ではエリザベートは自身の宝具すら使い潰し、クーフーリンは渾身の投擲でズタボロ。

聖人二人は己が身を顧みず道を切り開き。

カルデアのサーヴァントたちはぼろ雑巾の様になりながらも戦線を維持して見せた。

その脇で自分は何をやっていたと言われれば何も出来てはいない。

ジルの祭神の光線を防ぐことだって、マシュが居れば十分な側面もある

 

―代わりは幾らでも居る!!―

 

―マジ嗤えたぜ。聖者として本物より出来がいい贋作とかよぉ―

 

―他人におんぶにだっこなんだよ。都合よく状況が動けば都合の良い光にしがみ付いて、鳶がお揚げを掻っ攫うが如きいいとこどりじゃねぇか―

 

あの戦場でジャンヌは何もできなかった。折角付与された出力もスキルも活用できず、須藤に嬲られ結果を出せないばかりか。

ジャンヌは悪くないのだが。噂結界を活用したせいでカルデア

そして、ジャンヌ自身をベースにしたオルタは、ドンレミが燃える炎をバックに、無感動な瞳でジャンヌを見下ろし。

 

―だったら無視してもいいでしょう? どうせ何もできはしないんだから―

 

お前なんぞいなくてもどうとでもなると宣告された光景を思い浮かべ余計に気が沈む。

 

「私・・・必要なかったのかな・・・」

「違うだろそれは」

「え?」

 

ジャンヌが俯かせた顔を上げれば。

当たり前であるが達哉が居る

 

「確かに変わりは誰でもの良かったのかもしれない。けれどな、誰もやっていない、だからジャンヌが選んでやり遂げたんだろ」

「ですが・・・」

「気にしすぎだ。奴の言うのはあくまで結果論だ。やろうと思ってできれば誰も苦労はしないし、英雄なんてそもそも必要ない」

 

変わりは誰でもいる。

それはあくまで結果論だ。故に返すなら誰でも良いという割に誰もやりたがらなかったし成し遂げられなかった。

故に、達哉はジャンヌがやり遂げ成し遂げたんだろうと評する。

ごく単純で在り来たりな理論だが、現実そうなのだ。

 

「奴とその眷族は決まって、本人が隠している罪悪感や無意識下の悪意を暴き立てて、本筋と結果論を挿げ替えるのが手段の一つだ。」

 

本人が気にしていることを最悪のシュチュエーションで暴き立て。動揺したところで行動の是非を結果論で否定し挿げ替えるのがニャルラトホテプの常套手段である。

無論、それは試練と指摘の一環である。

本当に、その心と行動が真面なら、この程度の指摘で動揺する方が悪いという奴であるが。

その手段の工程の徹底した悪意と巧みな心理誘導を跳ね除けられるのは無論簡単ではない。

人生の選択においてどうしても後悔や要らぬ行動、迂闊な選択を取らずに生きるという負い目の無い人生を送るなんぞ不可能である。

英雄王にだって後悔はあるのだからだ。

それだけニャルラトホテプの誘導と誘惑と嘲笑を跳ね除けるのは簡単な事ではないのである。

 

「かと言ってそう決めつけて対峙すれば躊躇なく上げ足を取ってくるけどな」

 

無論、前もって対策を立てればその上で別アプローチを掛けてあらかじめ用意していた手段で後ろから差してくるのである。

その上で運命だったと啖呵を切って行動を検めたうえで惨い結末が決定されても立ち向かえる人間がどれほどいようか。

 

「その、なんだ。奴の言葉は正しくはないが正しい。だから言葉の上っ面を見るのではなく、言葉の問いの意味を考えればいい」

 

奴の指摘を鵜呑みにすればそれこそ破滅一直線だ。

何がダメでどうすればいいのかを考えて履行する姿勢がまず第一条件である

 

「でだ。選ぶということはそれ相応の理由があったはずだ。」

「理由なら私が神に縋ったから」

「縋る理由があったんだろう?」

「家族に見て貰いたくて」

「それも一つかもな。俺もそんなやんちゃはやった。けれどそれじゃ悪戯の範疇でおわるだろう?」

「いたずらの?」

「ああ、家族に構ってもらいたくて多少の無茶やったり、バカやったりすることは誰だってある。だが親に見てもらいたくて戦場に行く馬鹿が居るか?、いないだろ常識的に考えて・・・でだ、今聞いた限りじゃ、ジャンヌと両親の関係は致命傷までいってはいなかった。戦場に出るまではだが、だからこそ家族の理由は別だと考えろ。奴は無意識に抱える傷を引き釣り出して認識させ、さもそれが行動の決定になったと誤認させて間違わせるのが常套句だ。」

 

実の身内に追い詰められて凶行に走るという事例は多い物の。

それは両親がドクズだとかの領域である。

少なくとも表面上は家族をやれていたのだから大きな理由にはならないのだ。

暴発したところで過激な悪戯程度が関の山である。

 

「私が戦場に出なければならないと考えた状況」

「ああ、ニャルの声だろうがフィレモンの啓示だろうが 君は君自身でなければならないと思った。もっと残酷な切っ掛けがあるはずだ」

 

切っ掛けはあくまで切っ掛けでしかない。

ソレは思いつめた自分自身を背後から押す魔手のような物である。

両親に見てもらいたいからという側面は否定できないがそれでもパンチ力に欠けていた。

家族との仲はその中の小さなものであり。

故に行動に起こすに足り得る”残酷”な問題か切っ掛けがあったはずであると達哉は言う。

ジャンヌはそういわれて考える。

色褪せた青春の時代。まだ神の声が聞こえ始めた当初の原初の記憶。

百年戦争という戦争は未だ続き、国は追い詰められつつあった。

如何に暗黙の了解があって貴族や騎士は捕虜と言っても兵士はその限りではない。

彼等に保証はなく、正真正銘の命がけだったのだ。

そして戦場からドンレミを経由して各々の故郷に帰っていく兵士達。

誰もかれもが終わらない戦乱に疲れ切っていた。

そして思い出すのは。

 

「ああ」

 

近所の気のいい兄ちゃんがズタボロで帰ってきたことだ。両足に右手まで失ってどう生きればいいのかと言う状況で帰ってきたことを眼にしてだ。

兄ちゃんの家族や婚約者は絶望し、影では死んでくれればよかったと言って。

そして兄ちゃんは首をつって死んだ。

それがきっかけだった。

嫌だったのだ。何とかして終わらせたい。

だから世界を少しでも変えたい、この続く戦争を終わらせたいと願い。

何もかもを利用し走り出したのではないかと。

 

「なんで・・・どうして・・・私、忘れて・・・」

 

聖女に成りたかったわけじゃない。英雄になりたかったわけではない

それらはあくまで手段にすぎず。ただただ止めたかったのだ、百年戦争という戦争を止めたかった。

それだけだったのだ。

 

「なんで私忘れて・・・」

「・・・そう言う事もあるさ、人間なんだいつまでも覚えていられない、俺もそうだった。」

「達哉さんがですか?」

「忘れて逃げた。姉と慕った人が死んだと思い込んで友たちが居なくなって一人に成ったと思い込んで。それが辛くて忘れるという行動で逃げた。」

 

あの後少しでも舞耶の事を調べておけばああはならなかった。

逃げた結果。10年越しの再開と絆の確認という光で目を曇らされ行動の意味を考えず走った結果。

最後に後ろから差された。言葉的にも肉体的にも精神的にもである。

 

「奴の言う言葉に嘘はない。俺は俺のエゴを押し通して世界を滅ぼした大罪人だ」

「それは違う!!」

「なら聞くが。失敗に目を背けて過去を改ざんして、挙句、作り直した世界すら消しかけた人間が英雄に見えるか?」

「それは・・・」

「違うだろ・・・。でもな、それで死んで償うというのは別だろ」

「・・・」

 

死は救いである。

なんせ死ねば全部終わり、背負うべき責任もぶん投げられる最終手段。

だがそれは無責任の極みという物だ。

だから誓ったのだ。孤独の中でも生き抜く世界を再建する。

ここにきて孤独から抜け出すことになったが、同時に孤独から脱却した罪悪感で苦しむことになっている。

 

「だから此処に俺はいる、罪を背負うために過ちを糧にするために、だから君は君として清算すべきことがあるはずだ」

「清算すべき行動・・・」

「ああ、ジルに何か言いたいことがあるなら言えばいい。分からないなら誰かに聞いたっていいんだ。」

「そうでしょうか。」

「当たり前だ。過ちは拒絶する物ではなく受け入れて糧にする。それが人の特権だ」

 

世の中、完璧に間違わない奴などいない。

だから人は完全ではないから、犯した過ちを背負って糧にするしかないと

 

「立てるか?」

「はい」

 

達哉はジャンヌに手を伸ばし、ジャンヌはその手を掴み。

ゆっくりと達哉は腕を引いて彼女を立ち上がらせる。

月光が彼らを照らす。まるで英雄譚の一幕の様にだ。

それを物陰で見ていたものは、じぃっと見ていた。

 

「落ち着いたか?」

「はいすいません、達哉さんにはみっともない所お見せしてしまって・・・」

「気にするな、その代わり俺が困ってるときやカルデアの皆が困っている時は助けてくれ」

「はいっ!!」

 

達哉の言葉にひまわりのような笑顔を張んなきながらも見せて微笑むジャンヌ。

その時である、光が強ければ。影もまた濃くなるという当然の現象が起きるのは道理、故に。

 

「またそうやって縋るのかァ」

 

声がするのもまた必然であろう。閲覧者とは別の存在が物陰から具象化するように浮き出て嗤っている。

二人が振り向けば。

 

「須藤!? 貴様どうやってここに!?」

 

幾ら戦争が一時停戦状態とはいえ戦時下なのだ。

ここの警備には現在、サーヴァントたちも参加している。

潜り抜けられるはずがないのだが。

 

「電波様のお導きってやつよ。あの人が見られない物なんてねぇってのはわかってんだろぅ?」

 

ニャルラトホテプがバックに居れば話は違う。

阿頼耶識の黒であるがゆえに情報抹消しようが、気配を消そうが、改竄しようが当事者たちの知覚から警備網やら事の真実を見抜き、暴くことは可能。

故に警備の穴を吐くことなんて朝飯前という訳である。

 

「それによかったじゃねぇか。望んでいた理解者だぜ?他者に縋れない苦渋!! 立ち上がることの辛さ!! 救いたいという憤怒!!それらを共有できる理想の聖女様だァ」

 

達哉はP2という壇上に上がるにあたり誰にもすがれなかった。

主人公とは常に完璧という戯画的な認識ゆえだろうか、あるいは彼自身が意地を張れてしまう人間だったからだろうか。

達哉とジャンヌは似ている、強く意思を通せたがゆえに脆い部分を誰にも認められなかったという同類だ。

 

「スタイル良し、貌も良し。器量はまぁ磨けば光るんじゃねぇのってもんはある、野蛮な男どもに回されたこと以外は、パーフェクト美人ってなぁ世の男どもなら感涙物だろうよォ」

 

ジャンヌは美人であるしスタイルもいい、器量もジャンヌ・オルタは磨いて店主が留守の喫茶店を任せられるぐらいなのだから、光る物があるというのも嘘ではないだろう。

もっとも須藤の言いようはあからさまに挑発の色に染まっている。

故に、達哉は鯉口を切る。

 

「おいおい、まさか重ねてか? 舞耶お姉ちゃんとよぉ、まぁ似てるわな。他者に愛されたいがゆえに都合の良い女性と言う仮面をかぶってたあの女とジャンヌはそっくりだもんなぁ!! 好みに合致したようでなによりって電波も言ってるぜ!」

 

舞耶もジャンヌと似た側面があった。

戦場カメラマンだった舞耶の父は、その仕事の性質上彼女に十分な愛を注げず。

それのお陰で自分は家族から必要とされていないのではないかと言うトラウマを抱くきっかけとなった。

故に気のいいお姉さんという仮面をかぶり他者から必要とされる自分を演じて他人からの愛を求めていたという点では似ているのである。

それを知っているがゆえに、達哉は完全に刀に手をかけて疾駆した。

お前が言うなと言わんばかりに憤怒の形相でだ。

 

「アポロォ!!」

「キヒッ! アレスゥ!!」

 

そして達哉は殺意に濡れた表情で疾駆と同時に居合抜きの形で刃を走らせつつ。アポロを呼び出しゴッドハンドを発動。

須藤は達哉の斬撃を受け止めながら。

白く燃える様な髪を持ち、継接ぎだらけの古代ギリシャの鎧に身を包つつ、口と両目からは白い炎が揺蕩う様に揺れ燃え上がっている。そしてその右手には槍の様な棍棒のような歪な槍を持つ歪な武神、即ち須藤が本来所持している専用ペルソナである「アレス」が呼び出され。

アレスの持つ槍でアポロのゴッドハンドを受け止め。

衝撃が場を揺るがした。

 

 

 

 

 

 




会議は踊るよ何処までも。
幾ら追い詰められようが最善手を選べる。かっこいい大人なんて一握りと言う現実。
と言うか克哉やらパオフゥレベルの異能持ち大人が型月主人公周りに居たら話が始まらんわけで。
たっちゃんは会議の様子を見て兄がどれくらい苦労していたのかを知る。
ジャンヌは家族周りのぎくしゃくに連日撤退していく兵士やらズタボロになって帰ってくる近所のおじさんとかあんちゃん見てればああもなろうという訳で。
出来るんであれば誰でもいい分けですが決断できる人間はジャンヌしかいなかったわけで。
故に運命に選ばれた以上、やり切るほかなかった才能の有無ではないやらなければひっどいことになるから彼らはやり切ったわけで。
そりゃそんな中駆け抜ければ誰だって無自覚に精神歪むし最初の切っ掛けを忘れるよって話ですよ。


ロマニ周りの不穏もどんどん起きてきます。
感じる既知感とズレる現実。
どんどんズレていきます。


そして電波強襲、ティエール市街地防衛線始まるよ!!


とまぁそんなわけで
作者の近況としては活動報告で述べた通りです。
鬱病の再発と休職を巡って会社と口論になり止めることとなりました。
ゆっくり休養してバイトから復帰していこうかなぁと思ってます





あと電波、サバトマ使えるんだよねぇ・・・








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