Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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大げさな事じゃない。死はつきもの。ディズニーランドで会おう


リチャード・ラミレス


十九節 「魔影乱舞」

議事堂を揺るがす振動にオルガマリーはベッド代わりに使っていたソファから文字通り転げ落ちて目が覚めた。

 

「いつつ・・・一体何が」

 

轟音と衝撃、迸る濃い魔力。

魔力の波長からして達哉が何かと交戦しているのは理解できた。

 

「大丈夫ですか? 所長」

 

同じ部屋で寝ていたマシュもほぼ同時に飛び起きて。

ソファから転げ落ちた所長を抱え起こす。

そして二人の身に着けているバングルの着信通知が、けたたましく鳴り響いていることに気付く。

通信に出れば、投影される画面越しにロマニは狼狽えていた。

 

「なにがあったんです?」

『須藤の奇襲だ!! 会議場を中心に悪魔も出現中で、乱闘騒ぎみたいになってる!! 今クーフーリンと森くんに宗矩は守備隊を組織して外に出ない様に戦闘中。書文とマルタは内部で出てくる中位ランクの悪魔と交戦、ゲオルギウスはパニックになっている中詰めの守衛の統率と要人と在中職員の避難作業です?!』

「なんですって?! タツヤは!?」

『達哉君はジャンヌと一緒に須藤と交戦している!! あとマリー・アントワネットとエリザベートはジル元帥を探しています!』

 

知らされたのは須藤の奇襲、それと同時に議事堂を中心に中位ランクの悪魔を部隊長とした中から下ランクの悪魔が出現。

議事堂周囲に出ない様に長可たちは守備隊を組織し議事堂に防衛線を展開。

書文とマルタは議事堂に出現した悪魔の統率個体と思われる悪魔と交戦中とのことだった。

さらに悪い知らせは重なり、議事堂に同じように詰めていたジル元帥の位置が特定できず連絡も付かないとのことである。

達哉とジャンヌは絶賛、須藤と交戦中とのことだった。

 

「なんでジル元帥との連絡が取れないのよ!」

『分からないんですよ!! 渡した礼装はこっちで確認する限り壊れた風じゃないのに、連絡が付かないんだ』

 

ジル元帥には通信用の連絡礼装を渡しておいたのは前に述べた通りである。

だがそれが壊れた様子もないのに連絡が一向につかないとのことであった。

 

『ロマニ、私よ、マリー・アントワネットよ!! ジル元帥が詰め所に居ないわ! 礼装は机の上に置きっぱなしで争った形跡とか、後始末した様子とかもエリザちゃんに確認させたら無いから。たぶんまだ死んではいないと思う』

 

さらに通信にマリー・アントワネットが割り込んでくる。

ジル元帥は個人用の詰め所には存在せず。礼装は置きっぱなし。

争った形跡や後始末した形跡の確認は、そういう類の処置に精通するエリザベートが確認を取り、形跡が無いことを確認し。

一応、現在時刻に於いてジル元帥は生きているかもしれないということになる。

 

『一応、捜索続行するわね、いいかしら? オルガマリーちゃん!』

「お願いするわ! これ以上は人を死なせるわけにもいかないもの」

 

捜索続行の言葉にオルガマリーは無論許可を出す。

何度も言う通り人理定礎はギリギリだ。単純に人が死に過ぎなのだ。

そこに有名人が死ねば本格的に拙いのは言わずもかなだからだ。

そして再度、ロマニに通信をつなげて街に出た悪魔が居ないかどうかを確認。

 

「議事堂で出現した悪魔は街には!?」

『それは大丈夫。大勢の部隊が警備に詰めていたからね。漏れは今のところ確認できないよ』

 

幸いだったのは昼間の連絡を受けて、一応にと議事堂の守備隊を多めに詰めておいたのが吉と出たことである。

これによって即座に防衛網を敷くことが可能であった。

それで悪魔たちは街には出ていないとのことである。

 

「どうして起こしてくれなかったんですか!?」

 

だがなぜそのような状況に成っておきながら自分たちを起こしてくれなかったのかとマシュはロマニに攻寄る。

彼女は焦っていた。当たり前である。

もしかしたらあの戦場の惨劇が街で繰り広げられていたかもしれないと言う事を理解したからだ。

 

「マシュ、悪いのは私達でしょ」

 

だがそれは見当違いだとオルガマリーはマシュの右肩を右手でつかんで制するように指摘。

元々、精神不安定と極度の疲労で通信に制限を掛けていたのは自分たちだと指摘する。

マシュはそれにハッとなり苛立ちで八つ当たりした嫌悪感に表情を歪めるほかなかった。

 

「す、すいません、ドクターは悪くないのに」

『気にしなくていいよ! 僕もちょっと判断ミスったかなぁって思ったから。緊急通信のダイレクトまで切るなんて楽観視しすぎたよ』

「ロマニ、マシュ、反省はあと!! ロマニは議事堂のマップと敵位置情報を礼装に転送して。よしこれなら・・・・」

 

反省と謝罪はあとと言いつつ、オルガマリーはロマニに内部状況の情報と見取り図を要求。

魔力センサーで敵の展開状況を確認。

強力な反応は三つ、二つに書文とマルタが対処。もう一つ強力な反応は須藤で。達哉たちが対処中。

敵の分布を見て、ルートを決定し。線を書いて礼装に転送。

 

「私とマシュは二手に分かれて達哉と合流するわ」

「所長、ここは分かれない方がいいのでは?」

「時間差で挟撃になる様にするためよ。須藤は逃がせない、ジャンヌ・オルタの次くらいにはヤバいやつだもの」

 

出力アップしたジャンヌを言葉を弄しつつ圧倒する力に。

破綻した殺人鬼だ。逃がしたら寝首を掻くまではまだいい方で。

科学館を躊躇なく火の海にし、向こう側で達哉の代わりに犠牲となった拓也を無残な死体に変換した狂気があり。

何をしでかすか分からない故である。

故にオルガマリーは達哉たちが通路で交戦している事を理解し。

多少手間も増えるが挟撃と言う形を取って須藤が逃げ出すことも視野に入れて戦力分散をあえて選ぶ。

ルートも。カルデアでのトレーニングで出した数値と敵の戦力図を合算し算出したタイムで割り出した。

出来ることはやったのだ。

 

「行くわよ、マシュ」

 

オルガマリーは愛銃となったコルトパイソンを構え扉の前に立ちそういう

 

「了解です、所長も武運を」

 

マシュも策を了承し盾を右手で担ぎ、左手をオルガマリーの右肩へと置く。

所謂、突入動作の基本形である。

準備が出来たら肩を叩くことで。突入という訳だ。

マシュが肩を叩くと同時に。

 

「アンタもね!」

 

オルガマリーは気合を入れる意味もあって大声で返しながら扉を蹴り破った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アポロ! ゴッドハンド!!」

「アレスゥ! ティタノマキァ!!」

 

アポロの拳とアレスの槍が空中で激突し衝撃波が発生し周辺の壁や天井を破砕。

両者ともに己がペルソナ同士の激突に弾かれるようにたたらを踏みつつ後退する。

達哉は鯉口を切って右手を刀に添えて疾駆。

 

「おいおい。もっと出来るのにぃよぉ、なんでそんな玩具みたいなペルソナ使ってんだ?」

 

須藤は軽々と達哉の居合一閃を刃先でまず受け止め。そのまま刃を滑らしつつ軌道の変更と摩擦で速度を殺し。

鍔と刃元で受け切って見せる。

だが達哉は一歩踏み込み。鞘に添えていた左手を鞘から離して柄を両手で握る形へと持っていき。一気に押し込まんとする。

須藤は器用に右手で刀を旋回、達哉と同じく左手で柄を握り両手握りの形へもっていく、鈍い金属音が響き合い。達哉と須藤は鍔迫り合いの形に落ち着く。

アレスもゴットハンドを軽々と受け止めている。

がしかしだ。力負けしていた。

無論達哉がだ。

 

「うっぐッ!?」

「■■■■もってんだろぉ? なんで使わない? それさえ使えば。第一の獣を消せるって言うのによぉ!!」

「そんなもの、持っている覚えはない!!」

 

須藤がノイズ交じりに■■■■を持っていると指摘し、達哉としては何が何だかである。

達哉は精神力を通常の二倍消費し強引にアポロのパワートルクを増やして拮抗状態へと持ち込む。

こう言う類の敵は初めてではない。日輪丸で神取のゴット神取とやり合った時もパワー負けしている。

繋がっている場所がそもそも違うのだ。

ニャルラトホテプの眷属や使徒のペルソナはモナドへと接続されており、具象化されるペルソナは規格外の力を発揮する。

精々、ガタス深部までしか接続できない達哉では出力負けするのは道理だが。

精神力を力とする以上、無理をすれば出力差を跳ね除けることは可能だ。ただし専用ペルソナであるアポロでなければ。

細かい出力調整が不可能なため、他のペルソナでは取れない手段ではある。

それでも燃費は悪くなる物なので拮抗状態は長くは続けられない。

 

『ジャンヌ。俺ごとやる気でやれ!!』

『達哉さんごとですか!?』

『こっちで合わせる。最悪ノヴァサイザーでどうにかできるから、頼む!』

『・・・わかりました!!』

 

ジャンヌに支援要請、自分事やれと達哉は指示を飛ばし。

此方で合わせると言って説得。ジャンヌもジャンヌ・オルタと達哉とマシュの戦闘は見ているので。

合わせられると確信しているし実力や戦闘経験は自分よりも上だからと決意を固めタイミングを見る。

そして、達哉はかちあげるようにアポロの腕をアッパーカットのように振り上げ拳と槍を弾かせる。

と同時に達哉が刃を引きつつ一歩後退。

須藤は無論追撃を選択と同時に。

 

「たぁ!!」

「あっぶッ!?」

 

ジャンヌが達哉と入れ替わる様に横なぎに旗を振い突進してくる。

達哉は後方宙返りの要領で走り幅跳びの様に横なぎに振るわれた旗を回避。

旗は躊躇なく攻めに転じた須藤へ直撃コースとなる。

完璧な形での入れ替えだ。

即興としてはよくできた方であるものの。

須藤は右手を引き左手を刃の後ろへと持っていき、

上斜めに坂を作る様に刀を構え振るわれる旗を受け止めつつ、両膝をかがめて姿勢を低くしジャンヌの横なぎを受け流す。

ジャンヌは捌かれたことに驚愕しつつも旗を振って石突きを床に立てて急停止。

須藤へと足を進めんと力を入れるが。

 

「マハジオダイン!!」

 

須藤はペルソナ使いだ。

ペルソナ使い・・・だけではないが。異能持ちとの戦闘に於いて恐ろしいのは無拍子に異能が炸裂するというワカラン殺しが平然と行われることにある。

故にいくら不自然な体勢であってもペルソナは呼び出せるので。

取ったと思ってもペルソナが牙をむく。

 

「私に――――」

 

だがジャンヌには対魔力EXが存在する。

ペルソナにおけるダイン級の威力は威力範囲が対軍ランクに匹敵するとしても、概念強度はBからC程度。

精神の通常の倍と収束発射と言う工程を得てAクラスになる。

故に冬木では対魔力持ちのセイバー相手には収束発射という手段でしか通せず大規模を薙ぎ払う攻撃では意味がなかった。

それはジャンヌにも言える事である。

加えて貫通スキルであっても。ジャンヌの対魔力は受けて向こうではなく。逸らして無効という一種のベクトル操作に類似するものだ。

つまりジャンヌをペルソナの魔法スキルで仕留めるのは不可能である。

見た目が似てるもんだから、須藤はそこの所を見誤っていた。

 

「魔術は効きません!!」

 

炸裂する雷を反らしつつ、ジャンヌが突き進もうとする物の。

 

「なら物理だぁ!! モータルジハード!!」

「クッ?!」

 

魔法スキルが効かないなら、物理で殴るまでと言わんばかりに。

須藤はアレスで横で薙ぐようにモータルジハードを繰り出す。

ジャンヌは旗でそれを受け止めるが、あまりの威力に防御事吹っ飛ばされ壁に衝突。壁向うの部屋に突撃させられる

達哉が復帰し、須藤の背後から、カウンターを見越しての縦の柳生新陰流の基礎にして奥義「合撃」の形の一つを繰り出すものの。

 

「付け焼刃は、良くないぜェ」

 

須藤は半身をずらして、悠々と避けて見せる。

達哉はそれは分かっているとばかりに、右手の握りを緩め、左手を介して軌道を横に変更。

だが、須藤は自身の刀と達哉の肩の側面を重ねて鎬を合わせつつ。

先ほどの様に刃の殺傷能力を削ぎ、先ほどと同じように鍔迫り合いの形に。

アポロも再度ゴッドハンドを繰り出すが。アレスに片腕で受け止められる。

 

「捕まえたぜ、そうだ。お前もあの時の舞耶と大体同じ年頃だったよなぁ、一丁、やけどでもつけてやろうかァ、どんな顔するだろうなぁ、ジャネットは、あの時のオメェ見たいな顔をするだろうか」

 

須藤は余裕綽々で受け止めて挑発に口を滑らせるものの。

元よりこの硬直状態が狙いだ。

 

「ッ―! このぉ!!」

「おーお~。ホント贋作とは違って防御に極振りだねぇ、ジャネットよぉ。殺しづらいったらありゃしねぇ。アレス!」

 

アポロの右腕を押さえつつ、アレスの槍でジャンヌの旗を受け止める。

全員が硬直状態の必死の間合いであるが、須藤もそれは一緒である。

加えてジャンヌの対魔力の効力を達哉は確認した為。

アポロに精神力を普段の倍叩き込みながらコンセレイトを発動し、アポロの両腕から炎が噴射し収束する。

 

「あの時と同じようになるのは貴様だ!!」

「玩具みたいなペルソナでイキるなよぉ。」

「普段の四倍だ。ビルなら吹っ飛ばせる。無論お前もだ。」

「キヒ。ビルかぁ。随分吹かしこくじゃねーの、日輪丸の時に出来なかったくせによぉ」

「ほざいてろ!!」

 

そして炎が炸裂。

普段の精神力をコンセレイト込みで4倍注ぎ込んだマハラギダインが指向性を持って射出。

射線軸的にマップデータを参照し被害が出ないという判断と。

ジャンヌ・オルタばりの理不尽再生能力が無いと判断して一撃で殺しきる為である。

同時に轟音で仲間たちに手奇襲を知らせるための信号弾としても使用した。

射出と同時に。一応の事も踏まえてジャンヌは壁際に退避。

通路の装飾品やら壁紙を焦がしながら熱線が横断、通路行き止まりの壁もぶち抜く。

並のペルソナ使いでは文字通り消し炭であるが。

 

「ヒャッハ!」

「ツーーーーー!?」

「達哉さん!?」

 

残念ながらアレスは炎無効持ちである。対魔力Aを想定した収縮射出ではあるが。

ニャルラトホテプから直接力を供給されているため、無効化出来るランクが上がっているのだ。

故に普段の四倍と言う戦闘継続を考慮しないリソースを使ったマハラギダインが防がれた。

最もアナライズが使えないし、ペルソナもJOKERからアレスに変貌しているため。それを読み切れと言うのは土台無理な話で。

それ故に須藤のアレスが繰り出したティタノマキアが直撃。

咄嗟にヤマトタケルにチェンジしたから無事で済んだが、吹っ飛ばされて達哉が床を転がる。

無論追撃を考慮しながら、即座に姿勢を立て直すのは流石達哉であろう。

もっとも須藤はその場に佇み達哉を嘲るように喉を鳴らしつつ服の裾を軽く払う。

ジャンヌは攻めれなかった。ただでさえペルソナを使わなかった須藤に圧倒されていたゆえに付けこむ隙が無いのである。

 

 

「あぶねぇ、ヴィシュヌやらメタトロンやらだったらヤバかったぜ。なんでそっちを使わない? 使ってたら俺を仕留めていたぜぇ」

「なにを・・・」

「ククク、わざわざ聞いてみたが。分かってるよ。周辺被害を気にしてんだろ?」

 

威力に関して言えばヴィシュヌやメタトロンの方が火力は出る

だが裏を返せばアポロ以外のペルソナのダイン級の威力は下手な榴弾よりも威力が出てしまうし。

制御関係で言えば相性が良いペルソナよりも専用ペルソナの方が細かに制御が利く。

故にヴィシュヌやメタトロンなどの火力を市街地の此処でぶっ放せばどうなるかなんて火を見るよりも明らかだ。

守るべき人々に累が及ぶし。

建物自体が倒壊する恐れもある。ここの避難誘導だって終わっていない。

アポロか物理特化のヤマトタケル、補助オンリーのアムルタートしか実質使用できない状況なのだ。

 

「本当に甘ちゃんだよな、たっちゃんは。日輪丸の時の様にうるせぇ死ね!! くらいやったって許されるとおもうぜ?」

「なにを・・・」

「だってそうだろう? 特異点って問題自体が元来は現地住民やら過去に未練たらたらのお馬鹿な英雄様のやらかしだろうが」

 

特異点という問題自体が、

当事者たちが元来片づけるべき事柄である。

本来未来からの修正者を期待する方がおかしい。

その為の抑止、そのための人理、そのための枠組みであり選別なのだから。

あるいは抑止のサーヴァントが片づける案件だ。

本来カルデアが介入する前に解決するのが彼らの仕事だからだ。

 

「第一にそちらの資料曰く、”修繕できれば無かった事になる”だろう? だったら気にせずぶっ放せばいいじゃねぇねぇか?」

「黙れ、こっちの心情の問題だ。それをやったら人間としての一線を超えるだろうが」

「超える? おいおい、シビリアン・コントロールって概念があるから大丈夫だろうが。日常茶飯事だぜ」

「大義があるから一般人を巻き込むというのを容認すればただのテロリズムだ!! 都合の良い解釈をまき散らして前提を替えるな!! 俺がやった罪と何が違う!!」

「おーおー。成長したみてぇだな」

「貴様に褒められてもうれしくはないな。ノヴァサイザー」

「それもそうか。ノヴァサイザー!!」

 

ノヴァサイザーによる時間停止によって一気に押し込まんとするものの。

須藤もアレスにダークノヴァサイザーを使わせる。

嘗て須藤がペルソナしていた「JOKER」の固有スキルであるが。

アレスと言う専用ペルソナにも引き継がれていたらしい。

時間が静止する中、剣の打ち合いに移行する。

互いに停止時間8秒だ。

 

「それともまた騙されるのが怖いか? 本当はロマニとかいうボンクラか所長辺りがデータ改ざんして騙してるんじゃないかと思ってんじゃねぇの」

「お前、相変わらず人の神経を逆なでするのだけは達者だな。言っては悪いが所長とロマニさんがそんなことやる度胸と余裕があるとでも?」

「ははっ、そうだな、あの嬢ちゃんにそんな度胸も余裕もあるわけんめぇか、だがロマニはチゲェよな。あのマリスビリーの側近だった男だぜ。ぶっちゃけ信用してねぇだろ、なぁたっちゃん?」

「彼が裏切り者だと仮定してカルデアを残す意味がどこにある!」

 

須藤の挑発にも達哉は動じない。

第一に世界滅亡と言う状況下。カルデアだけが残っている方がおかしいのだ。

それ以外に目的があるとしても。どう考えてもカルデアを残す意味がない。

どの様な目的であるか。つまりホワットダニットをから考えてもカルデアは邪魔にしかならないからだ。

つまり残す意味がないのだ。

殺す手段があったのに、今更内通者を使って抹殺と言うのも間抜けどころか、子供の行き当たりばったりな行動過ぎるゆえに。

逆にカルデアには現状裏切り者が居ないと決定できてしまうのである。

静止時間が過ぎ去り、時間の流れが元に戻る。

破砕された欠片やほこりが一気に雪崩のように重力に引かれて床に落ちる

 

「キヒヒ、確かにああ確かにだなぁ。第一の獣も馬鹿だよなぁ、だからこそ良く聞けよ。そしてよく考えなぁ!! マリスビリー自体が典型的魔術師だ。手段は選ぶとはいえ過程は考慮しねぇ頭魔術師だぜぇ! 世界平和だの根源だの糞下らねぇ幻想に縋りついて世界吹っ飛ばしてしまう愚者だよ。お前以上に下らねぇロマンチストだ。お前は学習したが、魔術師は学習なんてしない!! ただ全部を解き明かして成し遂げたことの上っ面に酔いしれて。事の本質を理解せず、自分たちは進化したって奢っている愚者共の集まりだぁ!!」

 

オルガマリーは元々がメンタルが一般人よりであると言う事と、フィレモンとの接触によって己は己であると自覚しエゴをペルソナ化し能力を得たことによって、魔術刻印の呪いから外れているため、一般魔術師像とはかけ離れているのだ。

普通の魔術師は研究に熱を上げ、成果の為なら他者を平気で食いつぶし、財貨を蓄える悪竜が如きロクデナシである。

さらにそこに世界が変われば基本やらかす側だ。

アインツベルン然り、マキリ然り、エインワーズ然り、ハートレス然りである。

 

「そんな連中をなんでお前は信じれる? ああ今生きて動いている連中は信じられるかも知れねぇが。その前にくたばった、マリスビリーを信じれる分けねぇよな?」

「その尻拭いをするのも・・・俺たちの義務だ」

 

そう言って達哉は不自然に刃を引いて後退。

それと同時に。

 

「ご指摘ありがとう!! 死ね!!」

 

オルガマリーが到着。ノヴァサイザー発動数秒前に付くことは聞いていた為、達哉は悠々とオルガマリーの行動に合わせられた。

全力疾走からの跳躍+全力のローリングソバットが放たれる。

間合いと速度的に回避は不可能と須藤は判断し。

左腕を蹴りの間に入れて衝撃を流すように横に飛ぶ。

 

「アポロ!!」

「ラプラス!!」

 

達哉はアポロを出し、オルガマリーがラプラスを出して大鎌を振るわせつつ、コルトの標準を須藤に向けて全弾発射。

 

「ケッ、当たって・・・」

 

トンと須藤の背に何かが当たる。

此処には遮蔽物がなかったはずだと思考し視線を向ければ。

大盾を構えたマシュが居た。

彼女の表情は盾と夜の闇で見えないが双眸が見開かれ殺意に濡れている。

そして須藤に逃げ場はなく。

 

「マハラギダイン!!」

「コウガ!!」

 

二人のスキルが炸裂。

後ろへの後退はマシュがふさいでいるため不可能であり。

マハラギダインは須藤に対し効果こそないが、視界と耳を塞ぐ帳となり。

オルガマリーの光の杭として射出されたコウガを躱しきれず、須藤の右顔の目元周囲を焼く。

 

「グッ ギィ!? このクソがぁ!! 俺の貌に傷をォ!!」

「三度目だな。そんな様になるのはな、そして」

「形勢逆転です」

 

顔の右側を焼かれて痛みに狂う須藤を、達哉とマシュにオルガマリー、そしてジャンヌが囲む。

 

「今度こそ、終わりです須藤竜也」

 

マシュは覚悟を決めた表情で言いながら左手のメイスを強く握りしめる。

 

「調子のってんじゃねぇぞ! 俺がサバトマで悪魔呼んでんだからよぉ! 今頃ここいらはパニックに・・・」

「なってるわけないでしょうが。サーヴァントたちを舐めないでほしいわね」

 

確かに多少の混乱はあるだろう。

だがサーヴァントとは英雄譚を成し遂げた者たちである。

今更、悪魔だのに怯む要素も無ければ。

この程度のパニックを収めて人を率いて統率して見せるのが彼等だからだ

現に同時刻。議事堂周囲。

守備隊も白熱した様相を呈していた。

 

「ダラァ!!」

 

長可が雄たけびを上げ左手で持つ大盾を上に薙ぐように振るい防衛網に接近してきた悪魔を複数体弾き飛ばす。

 

「市街地は目と鼻の先だァ!! テメェら気張れェ!! 訓練の時より温いマネしたら琵琶湖に沈めっぞ!!」

 

市街地は目と鼻の先である。故に大盾を構えて道を塞ぎ。それでも越えてこようとする悪魔どもを槍やメイスで応戦していた。

故に此処は最終防衛ラインなのだ。

走る長可の激昂も厳しくなるという物。武将と言うよりヤクザ染みているのは愛嬌という物だろう。

 

「ビワコってどこだよ!」

「ファシム!! 無駄口叩いている暇あったら連中をぶっ殺せ!! 長可さんならガチでやりかねんからな!!」

「わかってますよ!!」

 

琵琶湖がどこか分からないと愚痴る若い兵士に、兵士長が怒鳴りつけつつメイス振って悪魔の頭蓋を粉砕して蹴り飛ばす。

戦端前に訓練の時に長可を黄色人種と馬鹿にして、訓練で手を抜いた結果。ボコボコにされてガチで近くの川に沈められそうになった挙句に次の日には人間無骨を振り回す長可に追い掛け回され鍛え上げられた兵士たちは有言実行されると思いつつ。

必死である。

 

「援軍まだか!?」

 

と言っても流石に悪魔とて伊達ではないのだ。

正直。クーフーリンが遊撃手で無双しているとはいえ。後続の悪魔はどんどんと中位クラスに成って言っている。

押さえるのが正直難しい所である。

さしもの長可も抑えきれないと判断せざるを得なくなり、援軍はまだかと叫び。

 

「長可殿!! 守備隊の人々を左右に避けて下され!!」

 

援軍を呼びに行っていた宗矩が帰還。

左右に守備隊をよけろと叫び、その声を聴いて後ろを振り向いた長可はギョッとして。

 

「全員左右に分かれろォ!!」

 

焦りをにじませた声で指示を飛ばす。

守備隊全員が焦りを感じる長可の声に後ろを振り向きつつ左右分かれようとして。

宗矩が引っ張ってきたものを見て全員顔面蒼白になり駆け足で左右に分かれると同時に。

 

「全門撃てぇ!!」

 

宗矩の指示と同時に馬で引っ張ってきた大砲五門の一斉掃射。

対ワイバーン及び屍人を想定した聖別済み、祝福儀礼済みの弾頭が込められた大砲である。

悪魔相手でも威力に不足は無し。

道が開けたと誤解した悪魔たちが開けた場所に集中したもんだから。砲弾が直撃。

えらいことになる。

爆発と同時に、悪魔の血肉、贓物などが飛び散った。

これには長可も引きつった笑みと言う奴である。

知識としては大砲の争点には時間が掛かる、再度防衛陣地を形成。

宗矩はカルデア経由のラインで暴れまわっているクーフーリンの視界を借りて状況把握。

 

「弓ぃ、射て!!」

 

さらに駄目押しとばかりに引き連れてきた弓兵による掃射を開始。

クーフーリンは矢除けの加護もあるし本人の技量も卓越しているという割り切りである。

 

『宗矩ィ!!矢が飛来してきたんだが!?』

「すみませぬがそうも言ってられぬ状況です故。それに矢除けの加護が御身には宿っておりますからな、遠慮なく射らせてもらいます」

『ちょっとは遠慮しろォ!!』

「第二射、準備、急げ!!」

 

クーフーリンの抗議を宗矩は黙殺しつつ。

第二射準備。

ニホンジンってえげつねぇとフランス軍は思いつつ、事態が事態であることと。

でもケルトの大英雄なら大丈夫だろということもあって躊躇なく第二射準備である。

クーフーリンは飛んだとばっちりだった。

 

「本当なら火矢であぶりたいところですがな」

「普通の攻城戦ならありだなぁ、これは逆だぞ。中から湧いてくる敵を出しちゃいけねぇ上に味方が中にいんだからよぉ」

 

普通の攻城戦とは逆である故に。さしもの長可と宗矩も内心頭を抱えていた。

中から湧いてくる敵を撃滅するのはまだいいが。味方が中で奮戦中なのである。

通常のセオリーから外れている。

これが逆に敵しかいない場合だったら。文字通り火責めやら、クーフーリンの槍で一網打尽にする。おまけに大砲の斉射も加えるだろう。

 

「だから初めてだぜ兎にも角にも、包囲殲滅する側が耐えなきゃなんねぇのわよ」

「まこと奇怪な事もありますな」

『長可殿、私です、ゲオルギウスです。今外に出ますので、矢の掃射を中止してください』

「柳生の爺さん。矢の掃射は次の奴でいったん中止!! ゲオルギウス、次射で掃射を止めるのは聞いていたな!? 確認できるよな!!」

『無論ですとも』

「なら掃射終了と同時にこっちに向かってこい!! クーフーリンは掃射中止と同時に出てくる連中の護衛だ!」

『あいよぉ!!』

 

だがそれでも、長可は包囲網をがっちりと敷いて統率し、崩さないでいた。

元より有能な武将である、猛将の気はあるが、そこは宗矩のサポート、クーフーリンの遊撃も合わさり完璧な布陣である。

もっとも際どい所でことは推移している以上気は抜けなかったが。

彼等は彼等の役目を果たしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うこともあって、悪魔たちは外に出れないでいた。

 

『オルガマリー殿、此方は大物を今仕留めた』

『こっちも仕留めたわよ・・・大御所どころが出てくるとか。何なのよのもう』

 

書文からの通信が入る。

悪魔たちを統率していた個体は倒したと。

オルガマリーは須藤に聞こえない様に、念話ですぐに気配を殺して不意打ちできるように来てと指示を飛ばし。

書文はそれを了承する。

さらにだ。ジル元帥を探し回っていった。マリーアントワネットとエリザベートに書文よりも早く相性の関係で悪魔を倒しエリザベート達に合流したマルタも合流し包囲網を敷く

須藤は完全に追い詰められた形ではあるが。

それでも不気味な余裕を持っていた。

 

『先輩、須藤から情報を引き出すのは駄目だと思います』

『わかっている、これ以上は野放しに出来ない』

 

マシュは珍しく相手を取るべきだと主張する。

先の先端での出来事やマリーアントワネットのやり取りである程度の覚悟を決めて彼女は選んだのだ。

達哉もその意志に同意。

北居ないのどうのこうの。背景がいくら哀れだからという分量を須藤は超えているのである。

ここで仕留めておかねば後に障ると、各々が武器を構え。絶対に逃がさんとしたときにだ。

 

 

「っとぉ! 動くんじゃねぇぞ・・・ カルデア」

 

達哉は刃を止める。

さしもの達哉も停止せざるを得ないものが握られていた。

 

「人間ってのは切って殺してもよぉ、多少は動けるんだぜ? 下手に俺を殺してみろよ。町の一角が消し飛ぶぞ」

 

須藤が握っていたのは爆破スイッチ、或いは発火スイッチだった。

彼は此処に来る前にティエールの各所に仕掛けを施していたのである。

ブラフだと笑い飛ばすことは出来ない、なんせこいつは、達哉の世界では幼いころの達哉を躊躇なく刃物で刺した上に。

舞耶が閉じこめられている神社に火をつけ。科学館を火の海にしているのだ。

やるといえば必ずやるという嫌な信頼が保証されてしまっているのである。

 

「今の時期、農屋に鱈腹、藁とか貯め込んでのな。さらにぃ戦争準備で武器庫には大砲や羅なんやら、黒色火薬もより取り見取りだったよ」

「貴様ッ・・・!!」

「アナタは!! そんなに人を殺して何がしたいんですか!?」

 

マシュから見ても。と言うか誰から見ても須藤は支離滅裂だ。

そう言った環境下に置かれて壊れたは分かるが。

なぜそういう思考がふっとび、躊躇なく虐殺を行えるのかマシュにも理解が及ばない。

それを聞いた須藤は口を吊り上げて言ってのける。

 

「何がしたいってぇ? 決まってんだろ、この世界は終わってんだよ!! たっちゃんが来なきゃとっくの昔に剪定対象で消去予定だったんだからヨォ」

「えっ、なぁ!?」

「本来登板だったヤツは、そもこの世界のどこにも存在しねぇ、出来るやつは全員冷凍漬け、所長様も本来なら死んでる。焼却完了ッて時点で七つの特異点が修繕できなかったからよぉ、アッこれ駄目だわってなるのは当然よ。そこを電波が、たっちゃんって言う英雄をこっちに呼び寄せたからどうにかなってるだけだぜ!!」

 

そう、この世界は詰んでいた。主人公は存在せず、代打を務められる者たちも冷凍漬けだ。

達哉が来なければマシュはそも力の覚醒を行えず、あの爆破で死ぬ。

オルガマリーも達哉とマシュが何とかできたから生きているだけで普通なら死亡である。

戦えるものが居ないがゆえに剪定されていたそれにニャルラトホテプが目を付けて、達哉を放り込み現状剪定を先延ばしにしているに過ぎない。

 

「第一にだ。人理焼却という未曽有の災害!! 故に全員全力と最善を尽くさなきゃいけねぇのに、生前に未練と後悔タラタラやら格好つけたいから良いシチュエーションが回って来るまで本気を出さねぇ体たらくな連中、そしてぇ主要時間軸じゃ一般人に命運背負わせて走らせている時点でねぇんだよ!! ここでもヒッドイもんだぜ! 頑張っているのが第一の此処、第三の海賊共と第七の賢王くらいなものだもんなぁ!!」

 

影の提示する情報である程度特異点の状況を把握し、

並行世界での旅路を知ることが出来る須藤はそう評する。

人理焼却と言う未曽有雨の災害。故に天秤の守護者たちは主義主張を抜きに過去の遺恨を抜きに戦わねばならないのに。

それを引きずって事態を解決に乗り出しもしない。

挙句単独で特異点一つなら引っ繰り返せる奴が変な方向で動いているのだから。ニャルラトホテプからすれば爆笑ものである。

 

「それにだ。今回の一件もそんな過去の情けねぇ英雄様のやらかしらしいんだよぉ、そいつがやらかしたせいで主犯が起動してこの様だ!! たっちゃんが世界創生できず此処に放り込まれたのも。お前らが苦しんで嘆いているのも、ジャンヌ・オルタがぶっ壊れたのも特異点の犠牲も全部そいつの責任を取る為なんだよ。たっちゃんは知ってるよなぁ、些細ではあるが決して叶えてはならない類の願いはあるってなぁ!!」

「ッ」

 

些細ではあるが決して叶えてはならない願い。

達哉はそれを知っているしやってしまった。

忘れたくないと願い叶えてしまった結果がこの事件とほぼ同じであり。

その後の漂白現象と同じことをやらかしかけたのだから。

 

『――――――』

 

須藤のいいように現状をモニタしていたロマニが絶句する。

 

「つぅーか。オルガマリー、テメェも悪いんだぜぇ」

「なにを」

「なにを糸瓜もあるかよ。お前さんがきちんと所長してりゃ、こんなことにはならなかった」

「ッ―」

「第一によォ、お前さん自身が言ってたらしいじゃぁねぇかよ。所長も家督も全部、パッキン冷凍林檎野郎に放り投げてやるってなぁ、嫌なら最初からそうすりゃよかったじゃねぇの、違うか?」

 

話しがこじれたのはオルガマリーにも一因がある。

引き継ぎたくなかったら、引き継がなければいい。

 

「確かにそうよ。けれどねェ、魔術業界はそんな甘ったれたことが許されるところじゃないのよ」

 

そうそんな甘ったれたことが許される業界ではない。

今こそある程度の政治力やらツテはあるが、三年前のオルガマリーには何もなかった。

故に所長の座につくほかなかったのだ。生きる道がそれしかなかったからだ。

そう言った意味ではレフにオルガマリーは今でも感謝している。

でも元凶になったことについては受け止めるべきだとも思っているし反省もしている。

今になって彼女も気づかされたことが多いゆえにだ。

もっと早く素直になっておけば解決できたことも多かったから。

 

「責任は取るわ、アンタを倒して、レフをぶん殴ってからね!」

「本当かよォ、できんのかぁ。泣き虫オルガマリーちゃんよぉ」

 

オルガマリーの決意を聞いても須藤は嘲笑を止めず、次の言葉を投げかけようとして。

 

「この娑婆僧!! さっきから聞いていれば好き放題いい加減に!!」

「だからなんだ? ご自慢の拳で黙らせるってカァ? イエス様も草葉の陰で泣いてるだろうぜ。隣人を愛せと説いたのに武力行使してるのってなぁ!」

 

マルタの言葉に更なる挑発を掛けて殴らせようとする。

 

「駄目よ!! マルタ!!」

「分かってる。分かっているけれど!!」

 

エリザベートがマルタを抑え込むといういつもとは逆の光景が繰り広げられ。

須藤はせせら笑いつつ。躊躇なくスイッチを押し込み。

ティエールの一角が炎上した。

 

「ウワァオ、これには俺も予想外だなぁ」

「なぁ、っ、アンタは!」

 

躊躇なくスイッチを押したことにマルタは驚愕する。

 

「おいおいにらむなよ聖女様。俺は事前に警告したぜ。無視して殴ろうとしたのはお前だ。俺は殴られる恐怖を感じたからブラフじゃねぇってことを分からせる必要があった。だから悪いのはお前だ!!」

「そんなヘリクツ!!」

「動くなって言ってんだろうが!! 今のはほんの余興だぜ。こいつは押し込み具合で起爆順番を決める特注品でよォ。深く押し込んだら全部ドカンだ」

「ッ!!」

 

そして拮抗状態が生まれる。

下手に殺せばスイッチは押し込まれる。であればノヴァサイザーによって時間停止中に殺害。

不可能だ。須藤もノヴァサイザーを使える。

時間停止した瞬間に時間停止世界に須藤も入り、躊躇なくスイッチを全開で押し切るのは目に見えていた。

 

「ヒィヤァハハハハ!! じゃあ俺は撤収させて「いいやそうはならない」」

 

奥歯を噛み何もできぬカルデアを須藤は嗤い。

クラマテングにペルソナをチェンジ。逃げようとする物の、書文が物陰から奇襲。

それは完璧に決まった。書文が放った裏拳が浸透頸の原理を持ってスイッチを握る須藤の右手を粉砕。

さらに翻って繰り出された崩拳が須藤の腹部に突き出されるものの、

アレスを以てガード。

 

「テ「くたばれやァ!! 下衆ゥ!!」

 

書文の攻撃こそ凌ぎきったが、攻撃が緩くなったということもあって内部に突入してきたクーフーリンが槍を投擲。

アレスの槍を振り弾くが。

躊躇なくオルガマリーがコルトパイソンの引き金を引いて須藤の下半身を撃ち抜く。

足を奪われた結果、移動が出来なくなったところに、マシュのシールドバッシュが炸裂。

それでも彼は往生際が悪く倒れ込むように前転し回避。

 

「いい加減!!」

「往生せいやぁ!!」

 

マルタが追撃、渾身の右こぶし。

それを身を仰け反らせて避けるが、さすがに躊躇を無くしたジャンヌの蹴りが炸裂。

 

「グギィ!?」

 

吹っ飛ばされてもすぐ逃走を図らんとする須藤はクラマテングを呼び出そうとするが、

それが悪手になった。ノヴァサイザーはノヴァサイザーでしか基本対処ができない。

アレスからクラマテングにペルソナチェンジしたがゆえにノヴァサイザーに対抗できなくなっていた。

達哉がノヴァサイザーを起動、アポロの拳がクラマテングを四散させ。

嘗ての様に須藤を肩から右斜めに切り裂き。

 

「ウァ・・・・」

「これで三度目の正直ってやつだ」

 

須藤がそのまま仰向けに倒れる。

 

『・・・こちらの各種センサーでは死亡確認。ダヴィンチ、そっちは?』

『こっちでも確認済みだよ。全く肝が冷えるよ』

 

ロマニとダヴィンチが各種センサー系で客観的に須藤の死亡を確認する。

自分だけの認識では不安だったのでそれを聞いて達哉は残心を解く。

これで三度目である。

ようやく悪夢から解放、された気分だった。

 

「今度こそ、倒したんですよね・・・」

「ああ多分な」

 

マシュの言葉にそう返す。ニャルの眷属になった以上。

また湧いてくるかもしれないが、今は倒してのだと確信したかった。

 

「もうこれ以上は勘弁よ・・・マジで」

 

囲いを作るためにあえて単騎で悪魔どもをシバキ倒しながら此処に来たオルガマリーは体力の限界に近い。

こうも連日、大騒ぎであるやってられないというのは誰のと言うか全員の本音である。

 

「全員回復させるわね」

 

マリーアントワネットも疲労を隠せないでいた。

未だに見つからぬジル元帥の捜索で悪魔どもとと交戦である。

エリザもマルタも疲れていた。

 

「書文さんは大丈夫ですか」

「無事にとはいかんな・・・」

 

書文も衣類が破けていた、中堅どころの悪魔とはいえ強力な存在であることは変わりがなく。

近代英雄である書文では手を焼く羽目になった。

マルタは聖人という観点から相性こそいい物の、技量で押されていたゆえに生傷が絶えない。

 

「森さん、そっちは?」

『マスターか、こっちもボチボチだよ。あとは掃討終わらせてOKだ」

「了解」

「森さんはなんと?」

「外も掃討戦に移行中だ。こっちの騒動はもうじき収束するが。問題は・・・」

「須藤の爆破した地域の救助作業ですか」

「そうだ」

 

やることが増え過ぎていた。

全員の空気が重くなる。

噂結界の事もありこれ以上、厭戦気分が蔓延する前に収束作業をしなければならないからだ。

全員が重たい気持ちでその場を離れようとしたとき

 

「キヒ」

「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」

 

 

この場に居た全員が驚愕する。

右手を砕かれ下半身をハチの巣にされ。出力強化されたジャンヌの蹴りをもろに喰らい。

達哉に肩から脇腹までを刀で引き裂かれて、血やら内臓までをぶちまけているのだ。死んでいない方がおかしい。

加えて魔術的見解及び科学的見解から死んでいるとロマニが判断したのだ。

間違えるはずもない。

もう一度述べるなら死んでいない方がおかしいというのに。

 

「電波・・・電波電波電波電波電波ァ!! 来い!! 俺は此処にいるぜェ!! クヒャヒャヒャヒャ!!」

 

須藤はゆらりと立ち上がり狂笑を叫びながら、傷が全て時間が戻るかのような再生で再び蘇る。

加えてそれだけでは収まらず。

 

『何だこれ・・・情報の相転移? 彼を起点に穴が開いている!?』

 

吹き荒れる膨大な魔力は神代の深淵その物の香り。

そして咽返るような獣の匂い

ロマニの驚愕通りに須藤を中心に穴が開いたかのように何かが這いずり出てくる。

 

『情報飽和確認! 魔力流入!? 何かが出てくるぞ!!』

『須藤の脳内だ!! コイツ、ペルソナっていう心理領域から何かを呼び出す気だぞ!!』

「クーフーリン、槍を!!」

「分かってる!」

 

 

達哉はその感覚を知っている。

まるで神取と対峙した時の様な。

或いはそれ以上の物が出てくると判断しクーフーリンに宝具の使用を指示。

 

 

 

 

「電電電電波ッ 電波だよォ!! 電波波波電波電波電電電波波波ァ!!  アレスゥ・リバァァスゥゥゥウ・イドォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

 

炸裂。

領事館のこの階層と上の階層が吹っ飛び。

 

 

『馬鹿な・・・そんなことが』

 

ダヴィンチも唖然とする。

計器に表示される魔力量はありえない物になっていた

顕現するのは神そのものではない。

専用ペルソナを中心核として他の荒魂を切り取って取り付けて強引に神格領域まで引き上げた者。

存在は歪ではあるが、特化されているがゆえに専攻分野では本霊よりまさるもの。

 

達哉や日本サーヴァントには素戔嗚に見え。

書文には蚩尤に見えた。

クーフーリンにはそれはタラニスに見えた。

要するに形こそ違えと言えど。各々の生まれの土地の神話の戦神を彷彿させる気配。

大よそ戦神の負の側面を継接ぎにして作り上げた歪な神が這いずり出てくる。

 

だからこそ、ジャンヌ・オルタは須藤を容認していたのだ。

影が須藤にナニカ仕込んでいたのを見抜いていたから。

殺そうと思えば殺せたかもしれないが、実利と被害が割に合わないと判断し、

故に手出しが出来なかった。最低でも第一特異点を取り込む最終工程まで先延ばししていたのはそういう理由である。

 

 

 

『さぁゲームの続きと行こうぜぇ。カルデアァ!!』

 

 

 

継接ぎの名も無き戦神はそう狂笑した。

 




アレス
アルカナ 戦車
Lv90
斬耐 突耐 銃耐 炎無 核耐 地― 水― 氷― 風無 衝無 雷- 重無 闇吸 光弱 精無 異―
力70 魔30 耐41 速62  運40
スキル
ティタノマキア
モータルジハード
チャージ
マハジオダイン
ノヴァサイザー
サバトマ
防炎の壁


須藤本来の専用ペルソナ。JOKERの能力を引き継ぐ形で使用している。
ペルソナヴィジョンは伝承のアレスを戯画的にむちゃくちゃにデザインしたような歪なヴィジョン


あと電波強すぎじゃねと思う方もいるでしょうが。
さらに直感AクラススキルにJOKERの能力を引き継いだ専用ペルソナ「アレス」を持っているため。
流石のたっちゃん達でも出力負けする上に。
ノヴァサイザー使える為、実質ノヴァサイザーが封じられている。
さらにたっちゃん達は市街地&拠点内戦闘であるため攻撃スキルを最大出力で使用できないので圧倒されています。
さらに言えば制御の関係で出力調整細かくできる専用ペルソナ以外が実質封殺。
闇体制完備であるため兄貴の槍も命中しません。
電波はやりたい放題出来て、自分たちは技量と連携で潰すしかないという、たっちゃん達からすればクソゲー状態よ


なお内部の指揮担当悪魔は書文とマルタさんにボコられました。
と言っても中の中くらいの強さの奴なんで戦闘職サーヴァントならボコれるくらいの強さ何で。


そしてニャル仕込みの爆弾がさく裂。
自分言いましたよね? 憑神やるって。
つっても、足立がアメノサギリになった現象やらを制御できるってだけの話しですけども
たっちゃん達がやるのは第四以降ですけれどねッ!!
それまでは使えません。

チート過ぎじゃないかって? 大丈夫 大丈夫。
電波の場合、本人の精神がイカレていると言う事とニャルのバックアップにお陰で使用制限がないだけで。
たっちゃん達が使う場合なら使用制限有りますんで。
第一にチートを得たところで楽にならないどころか、それに合わせて、ニャルが難度調整するんで大丈夫ですよ。



■■■■(アゾられた。トッキーと同じ表情」
ニャル「まだジャブなんだから耐えろよ!! 大丈夫、たっちゃんなら耐えられたからwwww 英雄のお前が耐えられないとかないからwwwww 最後までどこぞの爽やかナイスガイばりに生き恥さらしてねwwww(某ターバンのガキばりに■■■■の心の太腿を指しながら)」

第一特異点後半戦スタートです。
このままたっちゃん達には突っ走ってもらいます。

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