Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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統幕幕僚長。現在の自衛隊の兵力で、あの怪獣に勝てるのかね?

必ず倒せる筈です!

「ゴジラ」1984年版より抜粋


二十五節 「魔王の顎 人々の剣」

ゴウと炎が駆け抜ける

ベリアルは愕然とした。

一体多数と言う絶対勝利の方程式が成り立つ状況である。

無論、達哉が絶死の地に放り込まれたの側なのだが。

彼は自重という名の鎖を把持していた。

理由としては三つほどで、単純に時間が足りない、フレンドリィファイアを気にしなくともいい。相手は一回殺せば死ぬと判断しての事である。

故に鎧袖一触とばかりに悪魔の軍勢を薙ぎ払い。

時止めという理不尽を持ってベリアルの命を刈り取ってしまった。

本来ならば通常の英霊でさえ出力差でどうにかするしかない分子結合解除の権能も。

時止めの前には無力だった。

攻撃展開すれば確実に回避され。防御展開しようとすればその前に潰しに掛れればどうしようもないという物であろう。

まさしく、明星の力の一部に匹敵する理不尽と言うほかない。

さらにノヴァサイザーの応用によって瞬時に接近してきた悪魔、数体を切り捨てて見せた。

無論、これは味方が居ないという事でスキルの範囲指定を自重していないというのがある。

達哉は向こう側に帰ってからずっと一人で戦い続けていたのだ。

彼の本領は下手をすれば味方が居ない方が本領を発揮できる戦い方の方が得意になってしまっていった。

無論、本人も自覚しているので矯正のために積極的に戦闘訓練などには特異点突入前に行っていたが矯正しきれていなかった。

故にそれが良い方向に今回は働いたわけだ。

鎧袖一触と言う形でだ。

ベリアルは嘗ての主やら神殺しの一つ段階の下という実力に舌を巻く。

そして影に蝶、明星に超人が目を付けるはずだと同時に納得もする。

 

つまり”いつも”の事がこの世界で行われようとしていると悟るわけだ。

 

まぁそれは置いておいてとベリアルは悪魔たちをバッタバッタとなぎ倒す達哉に視線を戻す。

達哉はフレームがとびとびの様に動いていた。

そこから推測できるのは達哉が時を止めているという事である。

なんせ上司も時間系スキルを使用可能なのだから見破れるということだ。

 

「――――――――――」

 

達哉の視線はどこまでも鋭く冷たい。

ペルソナをアポロにシフトし、ナイフを投擲させる。

ゴッドハンドを乗せてだ。

 

「腐落しろ」

 

ベリアルは己の権能スキルを発動する。

ベリアルが身に纏った炎は投擲されたナイフを瞬時に分解した。

砂すら残さぬ徹底ぷりである。

 

(耐性関係なく、あの焔に触れるのは無しだな、なら・・・)

 

近接戦闘は無理だと当然達哉は判断。

物理攻撃をすれば即座に分解されることを察してのことだ。

下手に接近戦なんて挑めば、精神エネルギーのペルソナは大丈夫でも、達哉が持たない。

物質系スキルはあの焔の前には無意味で必然的にエネルギー系のスキルに限定される。

普通ならこれで手段が一本化され達哉は単調な攻めにしか回れないが・・・

背後から襲い掛かってくる悪魔を振り向きざまに切り捨て。さらにその背後を取ろうとする悪魔をヤマトタケルで薙ぎ払いながら。

ペルソナチェンジ、アポロとメタトロンを交互に入れ替えつつ牽制射をベリアルに打ち込む。

扇状に展開したマハラギダインを腕で粉砕。おそらく炎無効。

一方のメタトロンで展開したマハコウガダインは槍を振って叩き落している。

光は耐性無しと判断しつつ、達哉は距離を置く。

悪魔たちが殺到するがヤマトタケルによって鎧袖一触。

抜けたとしても達哉自身が振るう剣の前にバッサリと切り捨てられる。

無論、この量を相手取って無傷ではない、達哉も全身傷だらけだ。かすり傷だけと言うだけでも十分豪傑の範疇ではある。

ベリアルはこれ以上の物量投入は意味が無いと判断。

 

「開け、最下層、飲み込め。虚ろなる怠惰の炎よ」

 

よって炸裂させるは無価値の炎の最大出力系、虚ろなる怠惰の炎だ。

それは津波の如くうねり炸裂する。

全方位、逃げ場などないと言わんばかりだ。

配下の悪魔たちを砂に分解しながら達哉へと押し寄せてくる。

だが達哉は先ほど無価値の炎の使用を見ているため、ペルソナをサタンへと切り替える。

 

「光子砲!!」

 

呼び出された裁きの魔王が口を開き、最大出力での光子砲を発射する。

無論、収束発射なのだが、大樹の幹くらいの太さがあり、炸裂する光は虚ろなる怠惰の炎に大穴を穿つ。

達哉は足に力を込めて疾駆、その穴に躊躇なく飛び込み突破。

そのままベリアルへと、リスキーすぎる接近戦を挑まんと突撃する。

ベリアルも迎え撃たんと徹底抗戦の構えだ。無価値の炎と合わせて純粋な近接戦闘では理不尽ともいえるべき性能なのだから。

自分の土俵に来てくれるなら、迎え撃つのが道理である故だ。

もっとも真っ向から打ち合う愚を達哉は犯さない。

二度目の光子砲を射出。

無論、ベリアルは回避を選ぶ。さすがに光子砲の威力では消し飛ぶのはベリアルである。

続けて、達哉はアポロへとペルソナをシフトする。

 

「マハラギダイン!!」

 

須藤に放ったのと同等出力の四倍出力マハラギダイン、若干収束気味に発射。

ベリアルは炸裂する炎線を見て、問題ないと判断。

自分自身のLvと耐性で十分に無効化できると判断し回避せず、接近することを選びマハラギダインに突っ込む。

まさしく魔王ならではの選択。

マハラギダインで鎧の様に無価値の炎が埃を散らす様に剥がされるが。

 

―問題あるまい、周防達哉は数m先・・・、近接戦闘の間合いには遠い―

 

だがベリアルはノヴァサイザーの事を測り間違えていた。

先ほどから、達哉はコンマ以下の時間停止しか使っていないからである。

さらにそこに悪魔としての驕りだ。如何に某明星染みた力と言えど。

停止しかできないし、良くても4秒か5秒程度だと思い込んでいたのである。

良くも悪くも達哉を人間としてしか見ていなかった。

彼を勇士とは聞いていたが、どこぞの修羅やら神殺し悪魔召喚師やら悪魔狩人Lvではないだろうと。

現にその通りなのだが、そこらへんの基準が極端だった。

つまり1か10で判断してしまった事が致命傷となる。

普通の人間が1 どこぞの規格外品共を10とするなら達哉は6くらいまで来ている十分な怪物である。

一年、孤独に過ごし悪魔を殺し続けてきたことは伊達ではない。

無論、そんなバックストーリは知っているとはいえども。実際見てきたわけではないので余計に読み違える要因となっていった。

精々ニ三秒が限度と思い込んでいたのである。

これは達哉の思考誘導的処置もあった。わざとコンマ以下で停止しベリアルに力の差を見誤らせたのだ。

 

そして・・・世界が反転する。

 

時が止まるレベルでの超加速。

 

達哉以外に入ってくることのできぬプライベートタイム。

 

「ノヴァサイザー、悪いが8秒だけは俺だけの時間だ」

 

ノヴァサイザー最大出力時間停止8秒。

この間合いならばスキルを使わずとも、ベリアルの首を刀で切り飛ばしても十分にお釣りがくるというものだ。

そして今のベリアルはアポロのマハラギダインで無価値の炎が吹っ飛ばされており身に纏っていない。

距離的に大丈夫だろうとベリアルは判断していたが。それは二秒三秒だったらの話しで。

8秒止められるので十分間合いの範疇である。

刀の刀身は多少がたついているが、宗矩の矯正を受けたお陰で鋭さは増しているのだ。

故に、達哉は全力疾走で間合いを詰め、横一文字に刀を振り抜かせる。

 

「そして時は動き出す」

 

達哉がそう宣言すると同時に世界に色が戻ると同時に、ベリアルの首が宙を舞った。

 

「―――――――まさかこれ程とは」

 

ボトリと地面に首が落下してもベリアルは生首状態で多少は生きている。

無論絶命するまで数十秒と言ったところだろう。

停止時間を彼我の距離から導き出しベリアルは絶句していた。

ちなみにベリアルの胴の方は既にマグネタイトに分解され達哉の経験値に成っている。

 

「お前も十分理不尽だ」

 

通常のペルソナ使いでは詰みかねない理不尽持ちが何を言うかと達哉は言いながら刀を構えて生首に刀身を一直線に振り下ろす。

どこぞの鬼退治の様に生首だけで抵抗されても御免被るからだ。

きっちり止めをして仕留めて置くことは当然ともいえる。

 

「ふぅ・・・」

 

溜息一つ吐きながらもチャクラドロップを口に放り込み多少の精神回復。

チャクラポッドは先の会戦で在庫なしだ。

多少の回復だがないよりはましと思いつつ次の手番を考える。

第一に全員トラップに嵌ってバラバラにされたのだ。

マシュとオルガマリーとマリー・アントワネットはセットだから大丈夫だと判断。

クーフーリン組は言うまでもなく大丈夫であろう。ケルトの大英雄であれば十分にフロストカイザーを詰め切れると信じているしそこは疑っていない。

宗矩たちもその実力はきっちりと身に染みているし、基本悪魔はこっちに慢心してるのがデフォなので。技量的に十分詰め切れるとは思っている。

 

「ジャンヌと合流するか・・・」

 

とすると、最後の光景、あからさまにジャンヌだけが孤立させられていた。

ジャンヌ・オルタの仕込みかニャルラトホテプの仕込みか、ベリアルの後ろにいるであろうナニカの仕込みかは無論達哉が知るわけもない。

戦力的観点から言ってジャンヌが一番まずい状況であることに変わりはないのだ。

ジャンヌ・オルタと相対するにせよ。悪魔の軍勢と相対するにせよ、攻め手が足りず突破力に欠けている。

マシュと同じく誰かと組むことでジャンヌは真価を発揮できるタイプだからである。

迷っている時間はない。

嫌な予感がするという根拠のない勘がささやき右手のニャルラトホテプに刻まれた刻印がうずく。

 

―刻は繰り返される―

 

ケラケラと何かがそう嗤っているような気がしてならない。

戦闘の時は特にそうだ。

だから此処にとどまるのも一つの手だろう。

通信の回復を待って。或いはダヴィンチたちがジャミングを退けて通信してくるのを待つのも手であるが。

余りにもそれは都合のいい妄想と言う物でしかない。

ゴドーを待ちながら、永遠と語り部がゴドーがどんな人物なのか語り散らす様に待っていてはチャンスは来ない。

下手に待っていればゴドーは来ないというオチよろしく、状況を悪化させるだけだ。

ジャンヌは城内に居るだろう。ジャンヌ・オルタの居所はあたりを付けているため、彼女はしらみつぶしに動くはずだと推理し。

ならば、自分が罠に嵌った地点から近場のアテを目指して動けば何れは追いつけるはずだと。

そのさなかに悪魔と遭遇したのなら先ほどのベリアルと同じように切り捨てて行けばいいし。

ジャンヌ・オルタと遭遇したら逃げの一手を打ちつつ、音で知らせればいいと判断する。

故に達哉は玉座の間に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクは体が弱かった。

フロスト族の中でも弱いと言われ続けてきた。

だから強くなるために外に出た。

 

それで出会ったんだ。彼女と

 

無双、最強、絶対。

 

格上相手に彼女は怯まなかった。両手に握る剣を二本持って。

ボクより弱い人間とかいう種族のくせに、ボクより強い相手を蹂躙していた。

だからこそ魅入ってしまった。弱き人間が圧倒的強者を蹂躙する強さに。

そんな彼女に目を付けて、なんとか仲魔にしてもらって

そしてボクは彼女と旅をした。

その果てに。

 

「ひーほー」

 

呼吸が途切れる、視界が明滅する、ボクは何をやっているのだろうと思う。

ボクはジャンヌを庇って致命傷を負ったんだ

 

「ジャック!!」

 

ボクに致命傷を負わせた悪魔をジャンヌは即座に切り殺して僕の所に駆け寄ってくる

彼女が泣いている。でも流せる涙が無いのか両目からは血涙だ。

表情も嘆いているのか怒っているのか分からない混沌の様相。

 

「ひーほー、ひーほー、ジャ・・・ヌ・・・・大丈夫?」

 

ボクはジャンヌを見つつそういった。

自分の事しか気にしてなかったあの頃の自分から随分変わったなぁとボクは苦笑しながら。

 

「なんで庇った!! 一番強いフロストになるんでしょう! だったら私なんか見捨てて「みすてられないよ・・・」

「―――――――」

「だってジャンヌは」

 

確かに、強くなるためには生き残らなければならない。

だったら見捨てるのが正解だったのだろう。

もっとも今のボクからすればそれはハズレの選択肢だ。

旅をする中でボクは楽しかった。彼女やボクより後で仲魔になった連中とどんちゃん騒ぎしたり。

地図を眺めて皆でどこに行こうかと頭を悩ませたり、行く先々で起きたトラブルに悪態を吐きながら必死に奔走したり。

時には怒りに身をませてカチコミからの爆破オチで互いになんでこんなことになるのかと肩を落したり。

だからジャンヌはボクの事をどう思っているのか知らないけれど、ボクは――――――

 

 

「ぼくのしんゆうだもん」

 

 

その言葉を耳にした彼女は絶叫した。

涙はもう枯れ果て血が流れる。

彼女は怒り続ける嘆き続ける、血を流し肉を削ぎ骨を削りながら。

彼女が一番見たくない光景なのだろう。彼女は失いたくないから努力するのだと言っていった。

だとすれば失われつつあるボクの存在に絶叫するのなら彼女はボクの事を友人と思っていた分けで。

それが嬉しくあると同時に申し訳ない気持ちになるし、この先一緒に行けないことにボク自身怒りを覚える。

もっと力があればと思う。

視界が暗転していき、もう彼女の声も聞こえず表情も見えない。

 

 

 

ぼくは・・・・・

 

 

 

 

彼女の、ジャンヌの・・・・

 

 

 

『見事だ』

 

 

 

 

『正直君には期待していなかった。だがよくぞ練り上げた。故に君次第だが、力を与えよう』

―ちから?―

『ああ、そうだとも、だが君は死にかけで、魂も崩壊寸前だ。そんなきみに力を与えれば、君が君でなくなってしまう可能性は実に高い、だから君自身が選びたまえよ』

 

明星の星が告げる。

ボクに力を与えてやると。

僕は、ボクは、ぼくは―――――――――

 

 

 

―力が欲しい―

 

 

そう言ってボクは星に手を伸ばし意識が完全に堕ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Siyxaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」

 

魔王が狂気に染まった雄たけびを上げる、敵味方無し、フレドリィファイアなんぞ誰が気にするかと言わんばかりだ。

クーフーリンはこれ以上ないくらいに苦戦していた。

 

「ちっ」

 

全力で振り抜く魔槍の一手が飛来する氷塊を粉砕する

だが彼がするのは舌打ちだ。

相手は氷を支配し、間接的にこの場を槍衾として変貌させている。

水分と言う物が在る限り、この氷塊の怪物「フロストカイザー」からは逃げられない。

そしてその再生能力も驚異的だ。

なんせ水分さえあれば即座に固形化し、欠損した肉体を複製し埋めて再起動してくるのだからシャレになっていない。

彼の者を倒すなら、システム的にアンチを張るか大火力でフロストカイザーの領域ごと消し飛ばすほかない。

クーフーリンの槍ではそれこそ力不足であると言わざるを得ない。

いいや誤解無きように言うとクーフーリンが劣っているのではなく。

単純に相性の差で不利に追い込まれているのだ。

これがガウェインあたりであれば熱量で何とかできるだろうが。

クーフーリンの槍は単純破壊能力や再生阻害能力に優れているとはいえ。

威力は先も言った要因で意味がなく。

再生阻害もフロストカイザーの備える耐性と、通ったと仮定しても臓器をそこらへんの空気中の水分から代替して付け替えられるのだから意味がない。

 

「グリードさえもっと可愛げがあったっていうのになぁ」

 

神獣グリード

師からのまた聞きになるが。

それを参考しても。

ケルトにおける海魔の首魁でさえ、目の前の魔王には及ばない。

相性差もあろうが。相手は絶対零度の吹雪を発し続け。凍てついたものを自由自在にそうして見せているのだ。

フロストカイザーが凍結した場所は彼の支配下に置かれている。

まさしく360°全方位、彼の射程圏内かつ顎の中と言っても過言ではない。

これが魔王だ。これが向こう側におけるデフォルトである。

本霊となればもっと理不尽をなす。

 

故に――――――

 

 

「舐めるなよ、雪達磨」

 

 

クーフーリンは奮い立ち覚醒する。

彼もまた理不尽の一角を成す、ケルト神話最高戦力の一角であり最先方だ。

彼も彼でうっぷんが溜まっていた。

本来なら達哉もマシュもオルガマリーも戦う事自体が似合っていない。

そんな普通の若人他たちに戦いを強要している時点で十分無様なのに。

この一端すら抑え切れないのは無様極まる物だろうとクーフーリンは怒りサーヴァント規格の限界を超えていく。

 

「ルーン、全呪起動、絶望に挑むのは貴様と知れ」

 

革鎧の裏に事前に刻み込んでいたルーンを全部起動。

波濤の魔物の鎧に劣るこそすれど、サーヴァントとしては過剰なレベルでの強化が躊躇なく履行される。

限界にまで膨張する筋肉。

霊基を巡回する血が汗孔から蒸発を開始。

涙腺からもそれは同様で、蒸発する血涙が炎のように揺らめく様は壮絶の一言。

此処まで純粋に出来るのは何とか今居る分だけは十全に魔力供給できるようにしたカルデア一同の動力の賜物である。

普通の聖杯戦争なら、マスターが一瞬にして木乃伊だ。

いま、クーフーリンのステータスはヘラクレス(狂戦士)と同等レベルまで引きあがっているのだからあたりまえではある

 

だがキツいのはマルタである。

確かに武闘派であるが。魔王クラスの悪魔となると神話やらイエスやらブッタやら十二使徒クラスが必要となる。

タラスクはフロストカイザーに揚力で互角ではあるものの。

凍結の権能を持つフロストカイザーでは分が悪い。

現に火を吐くが彼の凍結能力の方が強いのだ。

 

「大冷界」

 

そして氷属性最強のスキルが起動する。

それは収縮発射、ではなく津波の様に起動する。

凍結する大地が、降り注氷塊が、天地逆転したかのように、二人を包むように起動する。

並大抵の英霊であれば詰みだ、絶対殴殺の鉄の淑女、取り込まれれば氷塊の魔王のみが無事で済むという地獄。

 

「愛を知らぬ悲しき竜よ」

 

それに対抗するは嫉妬の竜の子と聖女。

もうここまでくれば自重も糞も無い。

アイコンタクトでクーフーリンとマルタの視線が交差。

クーフーリンはかまわないと伝え。マルタは了承しタラスクの全能力を解放する。

タラスクの四肢と口から炸裂する獄炎が氷獄を溶かし攻撃を凌ぐ。

 

「狂乱の剛爪!!」

 

しかし権能だけではない、フロストカイザーはその剛腕を振いタラスクに襲い掛かる。

 

『ギッガァ?! このォ!!』

「グォ!?」

「タラスク!?」

 

タラスクの甲羅が深く爪で抉られ砕かれた甲羅の一部が弾け飛ぶ。

これにはタラスクを知るマルタは驚愕である。

血は薄いとはいえリヴァイアサンの子孫だ。

現代で倒すなら航空機の高性能ミサイルが必要となるのに、フロストカイザーは腕をふるっただけでその堅牢な甲羅を一部とは言ええぐり取って見せたのだから驚愕するものである。

一方のタラスクは痛みに喘ぎつつ突撃。

狂っているフロストカイザーは避けることをせず真正面から食らってしまう。

が体に罅を入れても即座に空気中の水分を吸収し修繕。

同時に、接触しているタラスクの水分でさえ氷結を始める

 

「タラスク、退避しなぁ!」

 

強化した全力のクーフーリンの蹴りがフロストカイザーの頭部に炸裂。

フロストカイザーはよろけながら、タタラを踏みつつタラスクを手放す。

両腕から炎を噴射しつつ、フロストカイザーを焙るついでにジェット噴射でタラスクが後退する。

 

「こんだけやって・・・無傷とか・・・笑うしかないわね」

 

マルタは顔を引きつらせつつ笑うほかなかった。

クーフーリンの槍やら蹴り、タラスクの突撃に獄炎を浴びようが。

 

「Ssyaaaaaaaaaaaaaa・・・・」

 

魔王フロストカイザー、健在である、獄炎に現在進行形で炙られながら冷気を噴射し強引に鎮火。

加えて全身罅だらけになりながらも

 

「コンセントレイトォ」

 

フロストカイザーが呟いた言葉にクーフーリンもマルタもタラスクも青ざめた。

コンセレイト、使用魔法スキルに注ぎ込まれた精神エネルギーをブーストするスキルである。

所謂、溜めに近いスキルであるため、高速戦闘が主眼のペルソナ使い及びサーヴァント戦では使用難度は高いが。

使えれば巨大な一撃を生み出すことが可能だ。

そしてフロストカイザーの口に光が灯る

 

「退避ぃ!!」

 

こればかりは堪った物ではないとクーフーリンが叫び。

各自回避行動。

 

「コキュートス!!」

 

そして吐き出される極寒の閃光は、達哉の最大出力のスキル出力を凌駕し。

さらには、祭神の影やらバルムンクが可愛く見えるほどの閃光だった。

炸裂する青が射線上の建物やら街をうろつく屍兵やらを一瞬にして凍結させつつ、一瞬で粉砕しダイアモンドダストへと変換しながらオルレアンを横断し突き破っても止まらず。

地平線上の向こうで大爆発を起こす。

 

「ええい、向こう側の悪魔ってこれがデフォなの!?」

『姐さん、次どうします!? アイツ次に移っちゃってますよ!?』

 

まさしく魔王であろう、今のが直撃していれば、射線上の物体と同じく芯まで凍結され、ダイアモンドダストに変換されていたこと請負だ。

しかも大英雄であっても即死圏内の冷気砲は連射も可能なのか。

次弾装填とばかりに今度はコンセントレイト抜きながらも、コキュートスがフロストカイザーの口内に装填される。

だがクーフーリンは臆さない。

ルーンは稼働中、体も心も十全だ。

 

「次弾は撃たせねぇ!!」

「ギガァ!?」

 

高速移動を繰り返し、フロストカイザーの顎下を垂直に蹴り上げる。

普段槍を蹴り投擲する全力の力と各種ルーンが乗った強化されたケリが炸裂。

顎が粉砕されながらフロストカイザーは真上へと頭部を跳ね上げてしまい、そのままコキュートスが放たれ上空へと放たれた。

直撃した雲は一瞬にして凍結、雹へと変換され、降り注いでくる。

そしてそのまま、クーフーリンは両腕を振い、真名解放はしなかったがゲイボルグを投擲するかのように全身に力を込めて反転。

棒高跳びの様に地面に槍をぶっさす勢いでフロストカイザーの胴へと突き刺す。

単純な威力で言えば、達哉のヤマトタケルの金剛発破を上回る威力重視の一撃だ。

さしものフロストカイザーも胴体をすり鉢状に穿たれながら、仰向けに倒れつつ後方へと吹っ飛ばされる。

氷土が割れ、降り積もった雪が舞った。

 

「チィ」

 

クーフーリン舌打ち、右手が強化込みでの想定外の筋力を発揮したがゆえにピクピクと痙攣し引き攣れと筋肉痛を起こしている。

まぁ抉り穿つ鏖殺の槍を使ったときよか遥かにましであるが。

戦闘に多少の支障が出るだろう。

 

「クーフーリン、こっちに来なさい、回復するわ」

「わりぃけど、仕留めきれた自身がねぇ。こっちに来て治療してくれ」

 

クーフーリンは雪が粉塵として舞う先をにらみつけてながらそういう。

今戦闘態勢を解いて回復なんてすれば致命的な隙だからだ。

 

『今ので仕留めきれてないんスか?』

 

クーフーリンのいいようにタラスクも絶句。

タラスクであれば先の一撃で十分あの世行けるくらいの一撃だ。

 

「そう言った感触がねぇのよ・・・、影の国でもあそこまでの魔物は―――――」

 

と言いかけて雪の粉塵が真っ二つに割れて、フロストカイザーが再度姿を現す。

 

「うそでしょ・・・」

 

さしもの女傑のマルタでも顔面を引きつらせた。

胴には擂鉢状に大穴が空き、そこから全身に罅が入っており、フロストカイザーの霊基が崩壊し漏れ出す魔力が湯気の様に揺蕩っている。

加えて、下あごは完全粉砕、頭部も罅だらけで同じような状態だ。

もはや死体も良い所なのだが、生きて戦意を轟かせている。

無論、クーフーリンも殺す気でぶちかましたのに生きているのだから顔を渋面にするのもうなずけるだろう。

だが問題はそこではない、周囲の冷気をフロストカイザーは吸収し水分を氷結させ肉体を再構成していく。

先の会戦のジャンヌ・オルタほどではないにしろ、かなり早く体を再構築していく。

そして場が振動する、異変が起きていた。今までビクともしていなかった建造物が見る見るうちに崩れていく。

何かあったのかと思いつつ、突っ込むかとクーフーリンが意を決し、させぬとばかりにフロストカイザーは大冷界を発動。

全方位から氷の杭が竜のアギトの如く襲い掛かってくる故に、クーフーリンは後退を選択。

マルタも無論同じで、タラスクの下へと堪った物ではないと逃げ込む。

一方のタラスクは四肢から炎を上げて全力で大冷界を迎え撃つ。

そうしている間にもフロストカイザーは肉体を十全に修復し終えてコキュートスを口内にともしていた。

拙いとクーフーリンは思い、行動に移ろうとする、外ではまだ大冷界が起動し、外に出ればどうなるか分かったものではないが。

釘付けにされている上にコキュートスを撃たれれば避けることができない。

そこは多少の無茶をしてでもと意志を固め。止めるマルタを振り解き出ようとしたとき。

 

「Ga!?」

 

フロストカイザーに何かがぶち当たると同時に爆発。

後に続いて、同じようにアイアンメイデンが飛翔しフロストカイザーに着弾すると同時に爆発する。

たまらずフロストカイザーがタタラを踏む、もっともそれでも表面に罅を入れる程度でしかなかったが。

 

「壊れた幻想まで使ったんだけど・・・ダメージそれだけって噓でしょ?」

 

その様そうに愕然としているのは、翼で滞空する美女だった。

 

『「「だれ?」」』

 

急な援軍と見おぼえない存在に、二人と一匹は思わずそんな間抜けな声を上げてしまった。

 

「誰って、エリザベートよ!!」

「いや、俺の知ってる嬢ちゃんはそんなスタイルよかねぇし、服装違うじゃねぇか」

「幼いころのスタイルはそうだから、言い返せない!? でも私がエリザベートよ!! ちょっと色々あって。カーミラと霊基統合したからこんな姿になっただけよ!!」

 

エリザベートの姿を知っているゆえに二人と一匹は誰となったわけで。

もっともカーミラと霊基が融合し本当の意味での全盛期の姿になったという摩訶不思議現象が起きるなんて思っているわけでも無いから当たり前に疑問に思うわけだが。

声がエリザベートなので二人と一匹は納得した。

 

「それより遅れてごめんなさい」

「謝んなくていいよ、で? 嬢ちゃんはカーミラと霊基統合したってことは決着ついたと思っていいのか?」

「ええ、それでいいわ」

「・・・ところでエリザベート」

「なに? マルタ?」

「さっきから宝具を連射して壊れた幻想やっているけれど・・・大丈夫なの?」

 

先ほどからミサイルの如く炸裂するアイアンメイデンを見つつマルタが言う。

確かにランクは低いが、立派な宝具だからだ。

普通、壊れた幻想は一回きりの切り札染みたものである。

群体染みた宝具なら複数回使えど残弾が減るし宝具事態の性能を下げることにもつながる。

故にこのまま連射していて大丈夫なのかと聞いたのだ。

 

「大丈夫よ。魔力が続く限りいくらでも作れるし」

 

エリザベートがそういう、いわばアイアンメイデンは某弓兵の投影の如く大量生産が可能と言う事だった。

無論生成するにはそれなりの魔力も必要だから某弓兵の如く盛大に使い潰せないのが通常である。

悪魔でカルデアの支援があるから出来る手段であった。

 

「ところでどうするのよ・・・。如何に低ランクでも傷つけるのでいっぱいいっぱいなんだけど」

「そりゃ、相手はクーフーリンとタラスクでようやく損壊するくらい頑丈な相手よ、加えて空気中の水分を使って体を再構築できるみたい。」

「なに・・・その理不尽」

 

マルタの解説に唖然となるエリザベート。

タラスクとクーフーリンの一撃でキズらしい傷を与えられるというのに再構築能力まで持ち合わせているという。

こうなると、大火力で物言わせず消し飛ばす。

全体攻撃を与え続け相手に再構築の隙を与えないようにして殺しきるという、どんな手段でも使えと言う事しかない。

達哉が居ればペルソナの火力でそう言ったことはできるが今この場にはいないので。

出来る筈もと思いながらエリザベートは案を思いつく。

 

「全体攻撃を絶やさずやるなら、私が出来るわ」

「・・・マジか?」

「アンタたちも巻き添えだけだど」

「駄目じゃない」

「死にはしないわ、一応、やり様ってのがあるのよ、最も死ぬレベルで五月蠅い音に鼓膜を揺さぶられるけど」

「「あっ」」

 

その良いようで二人は察する。

それと同時にエリザベートのすることが分かった。

もう後がない、クーフーリンは決断しその手段を決行することにした。

 

「じゃぁ行くわよ!!」

 

まずエリザベートは生産限界までアイアンメイデンを製造、フロストカイザーに殺到させる。

小賢しいとばかりにフロストカイザーが四肢を振い、ブフダインで薙ぎ払うが、四肢が接触するたびに壊れた幻想が起動し機雷となる。

そうやってフロストカイザーの気を反らしつつ、フロストカイザーの空中周辺に特注のアイアンメイデンを十機配置。

 

「スゥ―――――――」

 

エリザベートが息を吸うと同時に。空中のアイアンメイデンのハッチが開く。

そこにはスピーカーが内臓されていた。無論繋がっているのはエリザベートの槍に内蔵されているマイクである。

 

 

破城魔嬢(ハウリングエルジェーベト)!!」

 

 

殺意を乗せての全力歌唱である。

都合十方向からの指向性を伴った物理圧壊を伴う全力歌唱をフロストカイザーは浴びせかけられたわけだ。

振動を伴うそれは全身を揺さぶられ、フロストカイザーの全身が氷からシャーベットへと変換されていく。

 

「ギィガァァアァァァァアアアアアア!?」

 

フロストカイザーは堪った物ではないと、冷気を生み出し再構築を開始。

だが駄目押しとばかりに、タラスクがファイアブレスを放つ。

それでも再構築の方が上なのか、まだフロストカイザーは生きていた。

この場からの離脱を選び脚を動かすが大量に押し寄せてくるアイアンメイデンと、それで作り上げられた拷問巨人がフロストカイザーを押しとどめる。

これでフロストカイザーの動きは止まったし再構築に集中している。

幾ら再構築中と言えども再構築能力とエリザベートとタラスクの攻撃が拮抗状態だ。

あと一押しで滅ぼせると踏んだ。クーフーリンとマルタも動き出す。

 

「クーフーリン、今よ!!」

 

マルタは必至に祈りを込めてクーフーリンの肉体を治癒する。

何故ならクーフーリンの身体全体が限界を超えた駆動を起こしている。

マルタの祈りが無ければクーフーリンは退場しているだろう。最もマルタも必死になって祈って治癒しているためそういう風にはならない。

つまり彼の持ちえる最大威力の投擲宝具が発動するということだ。

 

「応さぁ!! 抉り穿つ鏖殺の槍(ゲイ・ボルク)ゥ!!」

 

炸裂する紅槍は弾道ミサイルの如く飛翔。

フロストカイザーはよけようとするがアイアンメイデンたちが絡みつき回避をさせない。

 

「―――――ジャンヌ」

 

全身が揺さぶられ崩壊する激痛、自分は滅びるという感覚の刹那。

その間だけフロストカイザーは自分自身が何だったのか思い出しながら、ゲイボルグが着弾。

全身の結合は弱まっており、クーフーリン渾身の一撃に耐えられる訳もなく。

溶けかけの雪を散らす様に爆発四散し、氷の魔王は完全に滅び去った。

 

 

 




閣下「強化しすぎたか・・・・」
ニャル「おまうぇwwwwうぇwwwうぇwwww」


ノヴァサイザー理不尽案件
ベリアルも上級分霊とはいえ某シルヴァリオの殺人鬼張りに理不尽な固有スキル持ちのにほぼ瞬殺。
時止め系スキルはこれだから扱いが難しい。
本来ならこうなるんですよねぇ。
邪ンヌが有利取れているのも、そも再生能力が理不尽すぎる事やらVR時代の経験があるからで。
大概あの相手なら、ノヴァサイザーからの首狩りで試合終了とかいうクソゲー始まります。
サイズ的に振りをとってもペルソナ火力でごり押しまで取ってくるたっちゃんまじ理不尽。
メガテン主人公とかモヒカンサマナーは前転やらあの手この手で回避して来る模様。
もっともこれから先の特異点ではボスクラスはあの手この手で無効にしてきますが。

まぁ後々ですけど、所長もマシュも理不尽になっていきますけどね(敵はもっと理不尽で殴り掛かってくるが)


そしてフロストカイザー堕ちる
如何に哀しみ背負っていても、やってることがやっている事なんで。
でも兄貴とマルタネキにエリザが終わらせたお陰である意味救われた。



エリザの新宝具
破城魔嬢 ハウリングエルジェーベト
スピーカーを内蔵したアイアンメイデンファンネルから彼女の歌を聞かせるという物。
もっとも本作ではガチで殺意を乗せた音痴マシマシな超振動を引き起こす歌を炸裂させるという凶悪な代物である。
アイアンメイデンも魔力が続く限り生産可能なため、時間を掛ければ戦場上空をアイアンメイデンで覆い、全方位から歌を利かせることも可能。
多分学士殿は死ぬ。



次回、邪ンヌVSジャンヌでお送りします。
果たしてジャンヌはVRで成長しまくった(VR時代よりは現在弱体化中)邪ンヌに勝てるのか、ご期待ください!(鮪並感)


あと第一特異点はあらゆる特異点の予習も兼ねているので惨劇になります。
つまりラストは悲惨ですので、切るなら今だぞ(第二特異点が第一より簡単とは言っていない)!!

忠告しましたからね!!

それでは皆様また次回。
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