Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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よく、時間が解決してくれると言うけれど、そうは思わない。

でも、行動した時間なら解決してくれるはずだ。


松岡修造。


04 ベルベットルームⅡ アマラ回廊

「ふむ強くなりたいですか・・・」

「ええ、タツヤと違って私はまだLv低いし」

 

ベルベットルーム。

今日は珍しくイゴールが居らず。取り仕切っているのはエリザベスだ。

あのおっさんがいないということも相まって。オルガマリーはどうすれば強くなれるのかエリザベスに相談していた。

今後の事や現状についても相談に乗ってもらっていた。

 

「確かにLvが悪い意味で見合っていませんね」

「エリザベスからしてみればどれくらい必要?」

「最低でも60前後でしょう]

 

Lvアップシステムは人格に影響しない魂喰らいのようなシステムである。

第一特異点ではサーヴァントの魂はジャンヌ・オルタが回収していた為、そこまでLvアップできているわけではない。

 

「と言ってもLvアップでは技量を上げてくれるわけではありません、数値に驕ると足元を掬われますよ」

 

Lvアップで上げられるのは肉体的素養と魂の強度だけである。

ついでに言えばアマラのLvアップは悪魔で魂の強度を高める仕組みで、身体能力の向上は強化された魂に肉体が引っ張られる形での強化でしかない

技量や技術は自分で磨かなければならないのだ。

故にステータスに驕れば即座に足元救われるは道理であるとエリザベスは説く。

優秀な教導員たちがいるからオルガマリーは同レベル帯では十分に強者の部類であるものの。

あのニャルラトホテプがそれだけで通用するようなずさんなものを用意するわけがない。

 

「まぁそうよねぇ、達哉も宗矩にボコボコだし」

 

そしてLvに驕れば死あるのみと言うのも実感済みだった。

訓練では技量の差で達哉はペルソナスキル抜きとはいえ。宗矩にボコボコにされているし。

もしジャンヌ・オルタが疲弊していなければ達哉はペルソナスキルありでも詰まされていた。

 

「ですがあるに越したことはありませんね・・・と言う分けで」

 

だがあるに越したことはないとして、エリザベスが指を鳴らすと同時に。

サトミタダシとは反対の壁に新しい扉が出現する。

 

「・・・なにこの扉」

「アマラ回廊の低層への扉でございます、此方で言うところのアカシックレコード、アマラのあらゆる世界につながる通路にして、魔界、天界、阿頼耶識への入り口へとつながる通路です」

 

アマラ回廊

アマラ宇宙を巡る魂の流れる場所。

アマラのあらゆる世界につながり深層への入り口である。

 

「とりあえず低層につながっております、深入りすると戻ってこれなくなりますので」

「・・・アカシックレコードの価値低すぎじゃない? そっち・・・」

 

アマラ回廊はアカシックレコードとも呼べる。

いつでも簡単アクセスできるのは、幾らなんでも価値が低過ぎではないかとオルガマリーがぼやくが。

 

「普通に通る分には害はありませんが、意図的に情報を抜き取ろうとすると、周防様Lvでもない限り情報に磨り潰されるのでご注意を・・・・それに」

「それに?」

「ここで具現化している悪魔は魔界に近いということもあって、小物であっても中堅クラスの実力を保持、魔王の影ともなれば最上位分霊が基本となっています、達哉様でも苦戦するような相手がひしめいていますので」

 

つまり潜る場合は注意しろと言う事だった。

魔王の高位分霊はそれだけで脅威だ。オルレアンではどうにかなったが。それは達哉の固有スキルが理不尽すぎるという事と。

長可の相手は酷く慢心していたことに尽きるからである。

加えて厄ネタ度で言えば魔王よりも厄介な魔人がうろつき。

移動のために魔王ですらぶちのめせる超人英傑がうろつく危険地帯だ。

要するに下手すりゃ全盛期のジャンヌ・オルタ以上の連中がうろついているのである。

 

「私が出来るのは此処まででございます」

 

エリザベスは事もなげに言う。

本来ならベルベットルームの住人として此処までカルデアに加担するのも十分アレなのだ。

だが彼女はもう住人ではない、自分の意志でやめて今は本当なら、元刑事の経営する探偵事務所の所員だが。

事が事だけにとフィレモンに呼び戻され。

向こう側もカーニバルであるため、これ以上の外部干渉を防ぐためだけに此処にいる。

だからと言って。嘗ての自分たちを彷彿とさせる若者を見捨てる気にには慣れず。

精一杯の便宜を図っていたのである。

 

「ここには夢と言う形で。サーヴァントの皆さまも参加できます、上手く利用してください」

「・・・わかったわ、ありがとうエリザベス」

 

エリザベスの言葉にオルガマリーは頭を下げて礼を言う。

此処まで便宜を図ってくれているのだから当然だろう。

その後、オルガマリーはカルデアへと戻り、頼まれていた買い物の品を所員に配りつつ。

達哉やマシュに新しいベルベットルーム機能が追加されたことを伝える。

 

「ならちょうどいいじゃないか? 所長の武器も新調できたし、マシュのオルテナウスも各種調整が済んだんだろう?」

 

ガンケースを開きつつ、アマネが取り出すのは二丁の異形の拳銃である。

真っ白に塗装され銃身付近から下方に伸びて供給口まで伸びる斧の様な打撃用マズルスパイクが取り付けられている大型拳銃だ。

ベースはLARグリズリーをベースに各部に強化パーツと近接戦闘への即座的移行のために取り付けられた前述のマズルスパイクが装備されている。

マズルスパイクは斬るではなく、抉り叩き切ることに特化させ強度性を重視している。

これは相手の攻撃を防ぐ際にタダの刃にしては即座に壊れると想定されたためだ。

だから強度重視の叩き切る、殴り抉る事に特化している。

使用弾薬は.357マグナム弾神経弾使用を対サーヴァント用に魔改造した物を引き続き使用。

サブに下げられたコルトパイソンと保安部のサブアームであるLARグリズリーとの共有化を図る為である。

マガジンは通常仕様とは違い、ダヴィンチお手製のロングマガジンを使用。

これにより、重量は増したが装弾数は二倍、二丁の運用で制圧射撃も可となり。

先の様な魔術転送式供給の供給不良に陥っても長期的運用が可能となった。

ただし拳銃としては重い。

大型の打撃マズルスパイクに強化パーツ、装弾数二倍とくれば当たり前なのだが。

それは問題なかった。此処連日の重量とバランスが一緒の鉄板入りラバーガンを駆使しての模擬戦である。

さらに射撃訓練ではLARグリズリーを代用としての訓練だ。

二丁を手に取り、オルガマリーは各種動作で重量バランスを確認。問題なかった。

 

「・・・ところで、なんで、真っ白な上に銃身にエングレーヴが刻んであるの?」

 

だがオルガマリーとしては一つ問題があった。

二丁の銃は白く染め上げられ銃身にはオオアマナのエングレーヴが刻印されている。

そうみるとあくまで芸術品にしか見えないゆえにだ。

 

「私たちは修繕者だ。戦争屋じゃぁない、銃を抜くなんてのは最小最低限にしておくための戒めだよ」

 

そうあくまでもカルデアの目的は修繕だ。現地住民との戦闘ではない。

無駄な殺生は心を蝕み最終的に殺人者へと変貌させてしまう。

そういうのを止めるための戒めとゲン担ぎの様なものだった。

オルガマリーはアマネの気づかいに礼を言いつつ、新造された専用のホルスターに二丁の拳銃を収める。

 

「そして次にこれは達哉用だ」

「これは・・・」

「孫六兼元初代の作だ」

 

達哉に新しく与えられたのは孫六の初代の作品である、和泉守兼定と共に知られる名刀であった。

流石に正宗ほどの物が用意できるはずもないのでこれとなった次第だ。

 

「達哉君としては同田貫の方が良いかもしれないけれど。あっちは新刀に分類されるから、サーヴァントに対する殺傷能力が薄くてね、これで我慢してくれたまえ」

 

ダヴィンチはそう言う。達哉的には実戦向きの刀の方がいいのだが。

美術品ばかりのカルデアにはこういう物しかなかった。

 

「切れれば文句は言いませんよ」

 

と言っても達哉的には問題はない。

問題はマシュの方である。

 

「お待たせしました」

「「・・・」」

「あの・・・先輩に所長、どうなされたので?」

 

マシュの格好に二人は驚愕。

辛うじて西洋鎧だった部分は撤去され、その代わり強化外骨格的な装甲が装備されている。

目元には専用バイザーという、なんか美少女メカアクション的なサムシングであった。

 

「達哉君は兎にも角にもなんで所長まで驚愕してるのさ・・・」

「いや実物見たのは初めてだし。糞親父関連の書類やデータはあんたらが全部消去してるから把握していることも少ないし、そういうのはあるくらいしか知らないわよ」

 

マリスビリーの後ろめたい計画の概要書はオルガマリーが見る前に前に抹消済みだ。

不自然なほどに消されており、デミサーヴァント計画がどういったものでさえオルガマリーには分かっていない。

故にデミサーヴァント計画の一端を担っていたオルテナウス量産化計画で試作された現在マシュが身に着けている試作品が一機倉庫に転がっているくらいしかわからなかったし、実物は見たことが無いのだ。

故に不自然にデミサーヴァント計画の詳細が抹消されていたがゆえに。

当初のオルガマリーはマシュはマリスビリーに酷い事されて恨んでいるのではないかと言う疑心暗鬼に陥っていたのだが。

今は些細な話であるため置いておくとしよう。

 

「本音を言えば計画を把握したいから、当事者のアンタかロマニから再編集してあげて欲しいんだけど・・・」

「それはやめておいた方がいい、見て気分のいいもんじゃないし、余計なものを背負うことになるからね、はっきり言うとアレは君が背負う必要のない物さ」

「・・・わかったわ」

 

ダヴィンチの説得にいったんは引く。見なくていい物を見て余計な責任を背負うのは御免だったからだ。

なお未来のオルガマリーはこの時、ダヴィンチとロマニをつるし上げてでも聞いておくべきだったと後悔する羽目になるのだから。世の中ままならないというものである。

 

「森さん装備を変えたが・・・大丈夫なのか?」

 

達哉が長可を見つつそういう。

長可の格好は現在、古き良き武者甲冑に身を包んでいた。

最初期のようなロボではない。

 

「ああ、彼の霊基修繕と同時に最適化しただけだからね。鎧強度は一緒だ。それに前より魔力の流れを効率化したおかげで動きやすくなってるはずだけど。どう?」

「おう、前より動きやすいぜ」

「だろう? 本当なら全員に同じことをしたかったんだけれど。」

「けれど?」

「リソースがねぇ。ないんだよ」

 

本当なら全員に施したかったが、霊基調整のための資源がないのである。

原因はぶっちゃけ施設修繕に使ったからと言うほかない。

カルデアの炉の基盤に異常が発生していたのだからそりゃもう、最優先で回されていた。

その余ったのを使って長可の霊基修繕と調整を行ったわけである。

 

「リソースは、微細特異点の修繕とアマラ回廊から搔き集めてくるしかないでしょう?」

「微細特異点は兎にも角にも、アマラ回廊ってなんだい?」

「エリザベスが開いてくれた向こう側の通路みたいなものらしいわ。Lv上げのために開放してくれたの。あとリソースも回収できるって」

「・・・所長、それって間違いなく危険地帯なんじゃ」

「見返りは多いそうよ」

 

と言う分けでリソース回収のめどが付き。

とりあえず、行ってみないことには分からんと言うことで全員でアマラ回廊へと乗り込むことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アマラ回廊を走る

マシュは重いと感じていた。

彼女を包み込む強化外骨格オルテナウス。

デミサーヴァント計画で製造された外部補助のための装備にして最後の一機だった。

予備パーツはあるがゆえに損傷は気にしなくていい。

さらに彼女の言いたいことは動作が強制されている感覚だった。

オルテナウスはバイザーと各種駆動系に組み込まれた魔力反応装置を使って。光ファイバー伝達系を使い装着者を補助する。

生前の縛りがあるサーヴァントでさえ発揮し得ぬ光反射。思考をダイレクトに反映させるそれは。

肉体が動くよりも早く強化外骨格がサポートへと回るという事なのだ。

故に動きが反応よりも早く動く為、動きが強制され、窮屈で重く感じ取れてしまいのである。

と言っても。

 

―さすが先輩です、所長も―

 

そんな贅沢極まる身体アシスト機能を持つオルテナウスを装備しているマシュでも息が上がる道のりで。

達哉は規律正しく息をしていた。資源会得の為のケースをぶら下げる専用スーツとリソースや食材がたっぷり詰まったケースを体中にぶら下げながらも体幹は一部のブレも無い。

オルガマリーも達哉と同様の装備をしながら限界ですと言わんばかりに息が荒い。

無論第一特異点を超えて、マグネタイトという経験値としての魔力、

戦場を走った生身の体力は前より遥かに彼女をマシに仕上げていた。

以前の彼女であれば。装備を身に着けた時点でギブアップし、もう動けないと白目を向いていたことだろう。

 

「少し休憩しよう」

 

達哉は丁度いい場所を見つけるや否や、そういう。

無論、無理はしたくない、幾ら浅瀬とはいえ危険地帯なのだから。

 

「だな・・・ホントこの世の魔郷が可愛く見える」

 

クーフーリンもため息吐きつつ言う。

アマラ回廊はそれだけ魔郷だった。中堅どころでさえワンランク上がっており。

クーフーリンが生前体験した魔物よりヤバイ奴らが平然とうろついているのだからシャレになっていない。

 

「一回、死にかけたもんなアンタ」

 

長可も笑わず真顔で言った。

一つ目の象のような巨人相手に宝具ぶっ放したら反射され、クーフーリンはどこぞのお祭り作品の如く死にかけたのである。

達哉が居なければ出オチをかますところだった。

と言うか。

 

「物理耐性って理不尽すぎやしないか・・・」

 

長可の愚痴ももっともである。物理耐性持ちは前衛系サーヴァントがいい鴨である。

魔術による攻撃手段がないだけで詰みだ。

達哉の事を基準にしていたから上から殴り殺せると思っていたのも痛い話である。

此処にいる悪魔たちは純度が違う、故に耐性性能は基本ワンランク上だからその基準値が通用しないわけで、それで痛い目にあったというわけだ。

 

「ヒーヒー・・・死ぬぅ、しぬぅ」

 

パワーレベリングの影響で体力上限は上がってはいるが。Lvアップごとに全回復なんて言いう都合のいい物が在るわけもなく。

高位悪魔たちとの連戦にオルガマリーはかすれ声を上げていた。

アマラ回廊は想像していたのと違い神殿的迷路であるし。回復の泉やベルベットルームにつながる扉もある。

無論、それに比例してパワーソース的リソースはがっぽりであるし、幾分かサーヴァントにも強化が入る。

 

「先輩、ここら辺が潮時かと・・・、資源も持ち切れませんし」

「だな、撤退するか、正直俺も限界だ」

 

だがもう限界だった。

先の特異点の一般戦力が塵に見えるレベルで敵が手ごわいのだ。

そこで悪魔の最上分霊なんかも湧き出て来ては仕事が出来るのが達哉とクーフーリンのみとなる。

取り巻きなんか連れていれば無理をしてでもオルガマリーが前に出ないと戦線が持たないレベルであった。

通りすがりの悪魔召喚師が援護してくたおかげで何とかなったが。

あの悪魔召喚師の腕は宗矩でさえあり得ぬと言うレベルだった。

なんせ前転であらゆる攻撃の隙間に身をねじ込んで回避、繰り出される一刀は概念防御なんぞ女々しいとばかりに悪魔を両断しているのだからである。

本当にアマラの宇宙は魔郷である。

故に疲弊が来ていた。これ以上探索を進めればどうなるか分かったもんじゃないし成果に見合わない。

マシュの言う通りここらが潮時と言う奴である。

それと同時に意識が浮上し、目覚めれば、達哉たちはオルガマリーの私室だった。

集めたリソースも部屋にごった返していて片づけるのが大変だったのが後日談となっている。

 

それから数日後、休息や修理などを行い、万全の状態で召喚である

アマラ回廊及び微細特異点から回収された聖晶石を使いギャンブルの時間である。

 

「・・・気が重い」

 

オルガマリーがそうボヤくが此処にいる全員がそうだ。

第一特異点より状況が悪化している。

故に人手が必要だった。

アマラ回廊で聖晶石をざっくり掘れたから、リソース量的に問題はないが。

 

「キャスターキャスターキャスター!!」

「セイバーセイバーセイバー、なんならライダーでも可!!」

「先輩、先輩・・・所長とダヴィンチちゃん率いる技術局の皆さんが雨ごいの儀式みたいなことを・・・」

「そっとしておこう」

 

インターバル01で説明した通り、当カルデアの召喚システムは完全に運だ。

故にこう召喚機の前に触媒を置き珍妙な音楽を流そうが時間合わせしようが完全に運である。

それでも人手不足は顕著だ。開発部はキャスタークラスが欲しい。

オルガマリーは火力目当てでセイバークラスが欲しいと、達哉とマシュに護衛のサーヴァントを除く皆がマリスビリーの宝物から触媒を引っ張り出して雨乞いの儀式のように祈る。

もっともシステム上完全運任せであるため触媒やら雨乞いダンスやら意味がないのだが。

それこそ藁にも縋る思いと言う奴である。確率が上がるならオカルトなゲン担ぎは誰だってやる、皆だって覚えがあるはずだし。

共感も出来るはずだ。まして命が掛かっているのだから必死になろうものであろう。

ダヴィンチもあまりの過労におかしくなったのか絶賛参加している。

居合わせているクーフーリン(護衛)は生暖かい目で見ていた。

という訳で百連分何とか搔き集め、他のリソース使用のために実質五十連と洒落込み。

そして。

 

「「――――――――」」

「駄目ですね」

「礼装だらけだな」

 

残り10という段階。

ダヴィンチ&オルガマリー、FXで有り金すべて溶かした人の顔をしている。

開発部はこの世の終わりの顔だ。

デスマーチを押し付けられそうな人間が出てこないならそうもなる。

 

「タツヤ、アナタが最後の希望よ!!」

「そうだよ!! 君が見せた二枚抜き!! 今回もやってくれたまえ!!」

「・・・そんなこと言われても俺、素の運は良くないぞ」

 

残り十連。もうここまでくると絶望的ではある。

故に二枚抜きを見せた達哉にオルガマリーもダヴィンチも縋った。

ただし、素の運で言うと達哉はそんなによろしくない。

彼の半生は酷い物だし、サーヴァント的ステータス表記すると幸運Eくらいじゃなかろうかと思う今日この頃。

それでも血走った、二人の眼光に押され達哉は残りの十連を行う。

そして廻るサークル。でてきたのは。

 

「サーヴァント、ライダー、マリー・アントワネット、召喚に応じて参上しました。オルガちゃん、マシュちゃんあの時はごめんなさいね辛い役目を押し付けちゃって」

 

マリー・アントワネットその人だった。

第一特異点で、マシュ達を行かせるべく死地に残り散った王妃、故に思わずオルガマリーとマシュの二人は泣きながらマリー・アントワネットに抱き着いた。

当たり前だ。彼女に対する負目もあったから。

そんな二人をそっとしておきつつ、達哉は廻るサークルに目をやる。

そして何も出てこなかった。

 

「アレ? おかしいなぁ」

「故障か?」

「いいや、アマラ回廊でリソースは十分に回収できたんだ不具合が出るはずが」

 

故障かと問う達哉にそう返しつつ、ダヴィンチは計器をみようとして。

一泊遅れて赤外套の白髪の男が天井突き破って床に叩きつけられるように現れたのだ。

 

「サ、サーヴァント、アーチャー、召喚の命に応じ「おい、お前魔術師だな?」 え?」

 

召喚口上を述べる前に、ステータスとスキルを確認したダヴィンチが冷えた声で言う。

加えて言うなら、開発部全員がアーチャーを取り囲んでいた。

 

「ちょっと。待ちたまえ!? え? なんなのだこの状況は!?」

「こいつ魔術師だァ!! 皆喜び給え!! 我々と同じくデスロードを共にする者があらわれたぞぉ!!」

「「「「「「URAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」」」」」」

 

ダヴィンチがそう宣言すると同時に、アーチャーは取り囲まれ、雁字搦めにされてどこかに運ばれていった。

 

「ありがとう、達哉君、これで我々も楽が出来る」

「あの・・・自己紹介は・・・」

「そんなの後でいい、彼には施さないといけない洗・・・ゲフゲフ!! 教育があるからね!! さぁ次だ!!」

 

洗脳と言いかけたよなと言う言葉を達哉はグイと飲み込んだ。

言えば次は自分の様な気がしてならなかったからだ。

 

「と言っても二連だぞ、もう打ち止めじゃ」

 

かれこれ二連である、普通ならここで打ち止めも良い所だろう。

 

「いいや、サーヴァント反応くるよ!!」

 

だがまさかの三枚貫である。

我々なら血涙ものだった。

 

 

「サーヴァント、セイバー。我が真名をシグルド。貴殿がマスターか? どうかよしなにたの・・・。どうした?」

「シグルド? ジークフリードとは違うのか?」

 

神話素人、達哉は首を傾げた。

彼はジークフリードとシグルドを一緒に考えていたのである。

 

「先輩、確かにジークフリードさんとシグルドさんは同じ逸話や名前の由来から混合されがちですが、全く別の英霊なんですよ」

「そ、そうなのか・・・、これは失礼を」

「いいや気にしなくていい・・・当方もよく間違われているらしい事を確認した。」

 

マシュの解説に達哉はシグルドに謝罪し、抑止知識でよく混合されることを確認し、達哉の謝罪を受け入れ

 

 

「四連目キタァァアアアアアアアアア!!」

 

オルガマリー絶叫する、まさかの四枚抜き。

これにはダヴィンチも大興奮である。

マリーアントワネット、無銘のアーチャー、大英雄シグルドに続いて彼に匹敵し得る霊基反応に二人とも大興奮。

 

「・・・ニャルラトホテプだろ」

「ですよね・・・」

 

興奮する二人を外に達哉はボヤく。あからさますぎるという奴である。

ニャルラトホテプかフィレモンが大方手を回しているであろうというぼやきに、マシュも同意した。

そしてサークルの光が抜けると。

そこには絶世の美女が立っていた。

 

「ブリュンヒルデ、クラスはランサーです」

 

これには達哉を除くオルガマリー、マシュ、ダヴィンチも絶句。

まさかのワルキューレ筆頭にして長姉である。神霊クラスに下手すりゃ分類される超ド級サーヴァントだ。

そしてブリュンヒルデはシグルドと目が合い硬直。

言葉を紡げないでいる。

シグルドもまた同様だ。彼らは悲恋の末に別たれている存在である。

如何に古今東西英霊が集まるといったってだ。

こんな運任せシステムを前提として会えるとは誰もが思ってもいなかっただろう。

 

「シグルド? シグルドなのですか?」

「ああ、そうだ我が愛よ、まさか再開できるとは」

 

二人とも感極まったように互いを抱きしめ合った。

 

「・・・タツヤー、マシュー解散しましょー」

「ですねー」

「邪魔して馬に蹴られたくはないからなー」

 

二人のいちゃらぶ空間が形成されようとしていたので。全員が気の抜けた声を合図として解散した。

 

「ボク、エミヤ、カイハツガンバル」

「なにやったぁぁあああああ!? ダヴィンチィィイイイイイイイ!?」

 

さらに次いでの余談となるが、ダヴィンチの工房から出てきたアーチャー「エミヤ」は死んだ目でロボットのような動きをしながら。

そう自己紹介し、オルガマリーの絶叫が響き割ったのは更なる余談となった。

 

 

 

と言う分けで数日後。

 

宗矩、シグルド、長可。

三人を相手に木剣をもって、達哉は立ちまわっていた。

四方八方から振るわれる剣閃を前に達哉は回避と防御に捌きを行った遅滞戦術を取っている。

これは単純にサーヴァントクラスの実力者が複数人であることとペルソナが使用できないという状況を想定しての訓練だった。

ついでにサーヴァント組は連携の確認と帳尻合わせの側面もあるのだ。

新規組はこの荒稽古にドン引きした。

当たり前だ。普通マスターは後方に待機し指示を飛ばすのが普通であり戦うのが役目ではない。

だがニャルラトホテプの事を説明され、第一特異点の戦況と惨状と敵の実力を映像と宗矩の解説付きで見せられた挙句。

状況をプロデュースしたのはニャルラトホテプであるがゆえにマスターにもサーヴァント級の戦闘能力保持は急務であることは理解できた。

しかも魔術支援ではなく、相手と斬った張ったをしなければならないという異常事態である。

それが出来なければ死だ。

ある程度の訓練を積んでいなければファブニール戦やアタランテ・オルタ相手に詰んでいたのだから。

もうここに来て、この人理修復は本当の意味での戦争だ。

戦場にでたら最後、マスターにですら戦闘員的立ち位置が要望されるのである。

故に

 

「ヴァルハラでは日常茶飯事ですが。あの子たちにはあまりにも・・・」

「そうは言ってられんのですよブリュンヒルデ殿、彼らは剣を手にした。故に戦わねばなりませぬ」

 

余りにも惨いと主張するブリュンヒルデに書文はそう言い切る。

ニャルラトホテプは確実に弱いとこを抉って付いてくるどころか爆破してくる。

自分たちも自覚していない影の部分を利用して。

故に万が一が高確率であり得るのだ。

その場合はどうあがいてもマスターたちに対処してもらうほかない。

もっともそういわれたところではいそうですかとマリー・アントワネット以外の新規組は納得していなかった。

ジャンヌ・オルタと言うジャイアントキリングの極致を見せられたうえで尚且つ。ジャンヌの惨劇を見ても驕りが抜けきらない。

だがそれは仕方の無いことなのだ。

一度経験しなければ人はその認識を検められないのだから。

 

「それに若人に嫉妬するのはやめなされ。」

「・・・はい」

 

シグルドは嬉々として達哉に己が技を教えていた。

歩みは遅く才能は一般武芸者のそれだがきちんと何度間違っても付いてきてくれるのがうれしいから。

シグルド的にも熱は入ろうものである。

それにブリュンヒルデは嫉妬していた。

なんせ折角の夫婦の時間が鍛錬と施設修繕に削られているのだからしょうがないと言えよう。

彼女も神代のルーンの使い手であり、施設修繕や座学授業に駆り出されているのだから。

ついでに彼女の呪い染みた精神性は此処に来る際にオーディンかフィレモンの手で外されていたが。それでも嫉妬するなと言う方が無理と言う物であろう。

 

「それでは、自分もまた。マシュへの教練がある故、失礼する」

 

書文がここで悠々ブリュンヒルデとダベっていたのはマシュの休憩時間だったから。

それも終わり書文はマシュへの教練に戻る。

ブリュンヒルデが違う方を見れば、エミヤが二刀をもってオルガマリーを攻め立て。彼女はマズルスパイクでそれを捌き。

一定期間が来ればアマネにチェンジ。蹴り技や足による組手を教えてもらいつつ投げ飛ばされまくていた。

一方のマリー・アントワネットは回復や休憩用のスポーツドリンクの準備をしていた。

良くも悪くも、カルデアは賑やかだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




召喚&訓練回
サーヴァントが多人数戦を考慮して寄ってたかってマスターを袋叩きにするのはウチが初めてじゃなかろうか・・・
シグルドよかったね!! ブリュンヒルデと再会できたよ!!
だから第二特異点後でたっちゃんの悲劇とP2罰のラストを、お見せするね!!(by ニャル)




アマラ回廊 メガテン時空に続いている道。
所謂アカシックレコードようなもの。
情報体の河でありこの最奥に四文字世界、閣下の統率する魔界 ニャルフィレの領域に繋がっている。
深場に潜れば連中やらアマラ宇宙に近くなるなる為帰ってこれなくなる恐れや。
オルガマリーたちは浅瀬を利用しているとはいえ。超ド級の厄ネタがうろついていることもある危険領域である。


ゲーム的には大量のQPやらレア素材に聖晶石やらをランダムで手に入るハクスラミッション。
ただし低確率で聖晶石を落すエネミーは魔人やら魔王などの超高難度使用。

そしてたっちゃん達の新しい装備
孫六兼元 初代の作 ダヴィンチちゃんが強化術式重ね掛けで強化されている。

リペアラー、LARグリズリーをベースに打撃用のマズルスパイクとロングマガジンを装備、スライドやバレルにも強化材などが使用されている、ぶっちゃけ凍京ネクロのリ・エリミネーター

オルテナウス スティーヴンが開発を担当したため原作より機能が追加されサバイバル能力が向上している。。

たっちゃん達の訓練は苛烈です。
そりゃできるからね、出来るようになるまで鍛えられるよ。
英雄たちも後継者が出来てエミヤン以外はハッスル気味だしね。
エミヤンはエミヤンで武術面だけだけど後継者作るって環境にモニョる模様

座の一角にて

フィレ「選抜メンバーを伝えます。マリーアントワネット」
英霊一同「まぁだよな」
フィレ「エミヤン」
エミヤン「ちょっとまてぇ!! 私は負けているが!?」
フィレ「答え、得たんでしょ? だったらモノにしなきゃ、と言う分けで切っ掛け上げるよ」
エミヤン「余計なお世話だ!! もっとこういるだるぅぉぉぉぉおおおお!?」
フィレ「じゃ次、シグルド夫妻」
ブリュン「あの・・・シグルドは兎にも角にも私は・・・」
フィレ「シグルドが原作で次は間違えないと言ったので同時採用でフニッシュです、ニャルが君たち向けの試練になるって言ってたし、成長できるいい機会なので」


と言う分けで、召喚メンバーは成長期待枠でエミヤン、ヴリュンヒルデ、シグルド。
対ニャル追加要因でマリーアントワネットで行きます。
成長期待枠ですが、抑止的理由としてはエミヤンは第三、眼鏡夫妻は第四で不味いレベルの不測の事態が起きるのでその対策でフィレが成長とメタを期待して採用しました。


アルトリア「そう言えば、エリザベートは?」
メディア「そう言えば影も形も無いわよね・・・真っ先に選出されると思っていったけれど」
フィレ「彼女なら既に現地入りです、彼女にはカルデア召喚ではなく、現地直接入りで頑張ってもらいます」

エリちゃんは修繕が終わると同時にチェイテに戻ってフィレモンの手によって直接現地入りなので最終特異点クリアするまではカルデアに呼ばれません。
因みに第四特異点対策としてはカルナさんが出動予定でしたが。今のカルデアでは支えきれないのでボツに。
フィレ的には第四をメタればそれでいいからね。
つまり第二特異点ではシグルドとブリュンヒルデは活躍できないレベルで相性最悪な試練が待ち受けています。




たっちゃんのいるカルデアのマスターの訓練。
基礎訓練→型稽古→組手→仕上げ具合寄ってはまた型稽古から組手。
極限まで絞った上で、対多人数戦と言う地獄。
その後余裕があれば、座学か仕事かアマラ回廊マラソンというハードワーク。
もっともスケジュール管理はアマネがやっているため、休める時に休もうとしないなら彼女が張り倒します。
よって原作では不眠不休気味だったロマニも休んではいます。



それはさておき、次回はほぼ完成済みなので、チェックなどを終えれば早く投稿できそうです。
と言う分けで毎度、毎度の警告です。
ニャルが自分自身で分の悪い賭けをしつつアクセル全開で第二特異点を無茶苦茶にしています、そうつまり。一話丸ごとニャル様回ですので胸糞っぷりがすごいことになっているので、切るのなら今の内です。
特にネロファンの人は切った方が良いかと思う。今日この頃。






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