Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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世界は残酷で醜悪だ。なれど、ときどき美しく装って我らを惑わせる。

血を分けたものが争い、竜が悲しい唄を叫び、人形が我が身を嘆き、神ですら沈黙する世界なのであろうな。


されど罪人は竜と踊る、より抜粋。


第0章幕引き 都合の良い奇跡は善意か悪意で仕組まれた物でしかない

ゾブリと柘榴を砕きつぶしたような音と感触が達哉の右腕に伝わった。

両腕を木端微塵に破壊され胸部の真ん中に風穴を開けらたセイバーは、アポロの両腕が引き抜かれると同時に膝をつき、沈黙した。

 

「見事だ。 周防達哉」

 

血反吐を吐きながら騎士王が述べる。

なぜ俺の名をと達哉は目を見開いた。

 

「奴から聞いた・・・。影に抗い、勝利した一人目の人間だと・・・・なるほど・・・私では勝てぬか」

「奴? まさか奴が!?」

 

奴、ニャルラトホテプ。

もうすでに干渉したのかとゾッとした表情に達哉は顔を染める。

それを見てセイバーは弱々しく立ち上がり。達哉に振り向いた。

 

「貴様の責任ではない・・・奴は”愚かな人外が外に干渉しようとして”その結果、人理に干渉してきた。長い人類史だ。お前が悪いわけではない・・・そういうこともある」

「しかし」

「・・・貴様たちは私たちより懸命だった。君は後の為に罰を受けに帰ったというのに。

私は国の滅びを認められず、奴の言う通り人形として正しさの奴隷として踊り続け。あの何もなくなった場所で生き足掻くアナタとは違うと罵倒し吠え猛り。あとに託すという義務でさえ・・・放棄した・・・・ ククククッ、何たる無様、あの時の私は征服王を英雄王を否定したが・・・、すまない英雄王、貴方が正しかった。」

 

―我も征服王もやらかさなかった言えばウソになろう、だがな後に託すという義務だけは放棄しなかった。その一点で貴様は王足り得ぬ―

 

―セイバー、一つ言っておこう、貴様のしようとしているのは、あの雑種と同じことだ。

いいや。ある一点においては貴様の方が愚物極まる、影からは逃れられぬと自覚できぬのなら。我自らの手で殺してやる―

 

セイバーは遠き思い出に身を馳せて。

ようやく自覚する。

己の罪を。

 

散々言われたのに。ニャルラトホテプに英雄王に。

少年との出会いでも、それは自覚できなかった。いや都合が悪いからと目を反らした。

国を維持するのではなく託すことが王の務めなのに、少年の姿に縋りつき。影から逃げるように妖精郷に逃げ。

その義務を放棄し、自分の愛した少年と共に忘れるかのように過ごして。

そして少年が息を自分が息を引き取り座に召し抱えられた後に。

己が死に際に放たれたヤツの言葉の意味を。

 

あのカムランの丘でニャルラトホテプに見せつけられた達哉の姿を己が所業を棚上げして罵知ったことを自覚し。

 

挙句、望んでも居ないのにこの世界に叩き落され。猶も奔走る達哉と必至に生きているこの子たちの力を試してやるだのなんだの言って。傲慢に見下し。

自分が此処にいたのは本来であれば獣を牽制しカルデアに杯を渡すのが筋だというはずなのに。

ニャルラトホテプの嘲笑に暴走して殺しかけるなんぞ無様に過ぎる。

本当に馬鹿は死んでも治らないとはこのことだなと。

セイバーは苦笑して。

 

 

 

 

「周防達哉・・・すまない、介錯を頼む・・・」

「・・・ッ、だが」

「これ以上無様を晒させないでください・・・、貴方の生き方を汚し、殺しかかった女ですよ・・・私は・・・」

 

 

セイバーはそう言うが達哉だってやらかしている。

忘れずにセイバーと同じように世界を滅ぼしかけた。

達哉に彼女を責めることなどできない。

彼女は他人を思って足掻き続けたのだから。それが彼女の吐露から察せるから

周防達哉という男に彼女に物を言う資格は無いと言える。

だって救国を願った少女と己がエゴで世界を滅ぼしかけた青年。

どっちがマシかと言われれば前者であるがゆえにだ。

 

「”奴”に何を言われたが知らないが、俺はアナタの様に誇れる人間じゃない!! 俺自身のエゴで己の世界を・・・ッ!!」

「違います・・・アナタは世界の事を思っていた。だからこそ戦い打ち勝った。だからこそ一度の過ちで済んだはずです。ですが私は違う、敗北したからよかったものの何度もやらかした。貴方と同じことを。」

「それは・・・違ッ」

 

それは違うと言いかけて言葉を飲む。

これ以上は侮辱でしかない、己に対しても彼女に対しても。

 

「最後に一つだけ・・・・、奴に唆された獣が・・・今の事態を握っています。私が与えられた情報はこれだけですけれど・・・どうか後を頼みます」

「・・・ッ」

 

 

私は遅すぎましたけれどと苦笑し膝をつき首を垂れる。

さながら斬首される罪人の様に。

言葉は誰も挿めぬ。

誰も何も言えぬ。最善を目指した少女を弾劾できるほど達哉は誇らしい人間ではない。

マシュはそれほど人生観を積んでいるわけではない。オルガマリーもまた同様で・・・

 

 

故に嘗て王であったクーフーリンが。

 

 

振り上げた達哉のルーンパイプをゲイボルクで弾き飛ばし。

彼女の霊核を貫いた。

 

「そう言うんだったら、なおさら達哉に刃を振るわせるな・・・・騎士王、こいつの荷物が一杯なのがわからねぇか?」

「・・・そうですね・・・本当に私は馬鹿です・・・・」

 

セイバーが崩れ落ち地面に倒れる。

霊核を抉りぬいたとはいえ。

消滅には時間がかかる、彼女の瞳は光がゆっくりと消えていく。

 

「ごめんなさい、シロウ、ごめんなさい、リン、ごめんなさい、サクラ、ごめんなさい皆・・・・ごめ・・・・んな・・・・・さ・・・・・い、私が・・・・」

 

懺悔の言葉は言い切れず光となって彼女は消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・」

「達哉・・・わかってんだろ?」

「ああ分かってる」

 

 

クーフーリンが問いかける。

彼女の罪は彼女の罪でお前が背負うべきものではないと。

無論達哉もそれは分かっていた。

他者の罪に共感したからと言って背負うのは傲慢に過ぎる者であり、割り切るしかない。

 

「奴を殺したのは俺だ、アイツの罪も魂の価値もお前が背負うことはない・・・、割り切っちまえ」

「ああ・・・」

 

それでも一応の確認ということでクーフーリンは事実を突きつけるように言って。

達哉はうなずく。

 

「だがな慣れるなよ、そうなったらお終いだからな」

「・・・わかってる」

 

されど慣れるなと。森の賢者は言う。

一人殺せば殺人者だが百人殺せば英雄だ。

英雄はその煌びやかしい称号の裏では只の虐殺者に他ならないゆえにだ。

戦いを良しとするクーフーリンであるが。

達哉にはそういう事に慣れて欲しくはなかった。

その果てにあるのは師と同じものであるからだ。

 

「あの・・・ところで聖杯はどう回収しましょうか?」

 

話しが区切りの良いうちにマシュは聖杯をどう回収すればいいか述べる。

これ以上引きのばそうともいい結果にならないことは明白故だからだ。

あえて空気を読まないように言葉を紡ぐ。

オルガマリーもまたそれに乗っかる形で賛同した。

 

 

「そうよね・・・あんな、物、どう回収しろっていうのよ・・・いや本当に」

 

実際、大聖杯を回収しようとなるとどうしていいかわからない。

それほどに大規模な術式で設備だ。

カルデア施設そのものに収納は不可能と言っていい。

 

実際問題どうしろと頭をオルガマリーは抱える。

 

「いや、いわゆる大聖杯はジェネレータみたいなもんよ。実際の機能はセイバーの持っている小聖杯になる」

 

その苦悩にクーフーリンが答え指をさす。

先ほどまでセイバーが倒れていた場所に膨大な魔力を含んだ黄金の杯が転がっていった。

 

「こっちが本命の機能を持った杯だ。こいつを持って帰れば、特異点は修正されるぜ」

「よ、よかった・・・あれほどの大規模な物どうしようかと・・・」

 

クーフーリンが聖杯を拾い上げてオルガマリーに手渡し。

オルガマリーは出来ない事をせずにすんで、ほっと息を吐いた。

 

「・・・クーフリン、アンタ体が・・・」

 

ふと達哉は気づく。

クーフーリンの身体が足元から光の粒が上がって消えかかっていくことに。

光は徐々に強くなって姿が掻き消えていく。

 

「代打バッターだからなぁ、俺は。勝利者になった時点で用済みってわけさな」

 

 

特異点は修正された。故に歴史は正されこの乱痴気騒ぎは幕を下ろす。

役者は舞台より退場しなければならない。

 

「ちょっと待ってくれ、俺たちはアンタになにも・・・・」

「いいよ、気にすんな、代打とはいえ望んでやったからな。分かり切った上の事ってな。それよかお前らは俺とは違って今を生きているんだ。自分の事と存在する隣人の事を気にしろよ」

「クーフーリン」

「じゃあな、達哉、マシュ、オルガマリー、楽しかったぜ、ああそうだ。次があれば槍兵で呼んでくれよ!! すぐ駆けつけるからな!!」

 

礼はと言いかける達哉を気にするなと制して死者である自分よりも生きている自分と身の回りの隣人を大事にせよと通告しつつ。

セイバーの言いようから次もあると睨み、もしもの時はすぐ来るからなと言いながら。

遠回しにキャスターではなくランサーでなと言いくるめて。

 

 

ケルトの大英雄にして森の賢人は姿をかき消した。

 

 

「終わったのね・・・いや言わなくてもわかるわよ・・・」

 

 

終わったとばかりにへたり込みオルガマリーは天を仰ぎつつ軽く現実逃避した。

なぜならセイバーは次があると言っていたのだからか・・・、あるいは罪の暴露合戦になり。

状況的にも重いことが連続して続いたがゆえか。

それが達哉に起因する事か分からないけれど。

達哉の視線はそれをよこせと。オルガマリーに訴えかけていた。

 

「そうだ・・・俺が・・・・」

 

奴の介入という言葉でその線は現状色濃くなったと言えよう。

達哉の滅びた向こう側が来ると。

 

「・・・ちょっと待ちなさい。タツヤ。セイバーなんて言ってた?」

 

だがオルガマリーはセイバーの死に際の台詞を聞いていたがゆえに内心に妙に引っ掛かりを感じる。

セイバーは達哉を責めず、獣がと言っていった。

ということは?

 

『所長!! マシュ!! 達哉君!! 応答してくれぇぇえええええええ!!!」

 

その思考も、オルガマリーとマシュの腕に着けていたバングルから響き渡り強引に展開された映像にさせぎられる

 

「びっくりさせないでよ、ロマニ!! 給料天引くわよ!」

『いや、そのもう一時間近く連絡取れなかったんだよ!! 心配になるじゃないか!』

「親しき仲にも礼儀ありです、ドクター、通信の強制介入ではなく、事前にベルを鳴らしてくださいよ」

『マシュ、まで酷い!? 助けて達哉君!!』

「すいません、心配してくれたのは良いですけれど・・・音量でかすぎです」

 

心配して強制通信はいいけれど音量がマックスすぎて実にうるさい。

音が反響して洞窟内にグワングワン、ロマニの情けない声がこだましていた。

それが突然展開されれば誰だって驚きキレるという物であるくらいには音量が凄まじかった。

 

『ロマニ医療主任、マイク設定がMAXになってますよ、MAXに』

 

ムニエルが達哉の声でロマニの使うマイク設定がMAXになっていることに気付き慌てて指摘する。

実際カルデアも達哉たちの存在証明と機材維持のために奔走しつつ。

騎士王に挑むということは作戦の練りの段階で聞いており気が気ではなかった。

クーフーリンの工房から出れば機材の不調で通信も断続的であり気軽につなげることもできない。

気が気でなかったのは確かであり。

特異点修復の余波で通信が安定。大急ぎで連絡してきたわけである。

 

「でもありがとね、ロマン、心配してくれて。皆無事よ、衣類がボロボロだけれど」

『所長がデレた!? 達哉君・・・、彼女そこらへんの雑草でも食べたのかい』

「・・・給料天引きと私物PCは没収ね」

『イヤショチョウハウツクシクユウガナソンザイデスヨ・・・』

 

オルガマリーとロマニが漫才の様なやり取りをしている様に達哉は肩の力を抜き。

ため息を吐く。

だが表情は。

 

「あっ」

「ん? どうしたんだ? マシュ」

「い、いえ、先輩って普通に笑うと・・・ええっとなんて言うかその・・・・綺麗だなと」

 

達哉は此処に来てから笑うことはなかったいつも無表情で何かを堪える様に眉間に皺を刻んでいた。

連続した死闘と罪の直視から一時的に解放されて力が緩んだ故か目の前のやり取りに彼は笑った。

だからマシュもオルガマリーも達哉が微笑むところを始めてみた。

 

「・・・男ってのはな」

 

気恥ずかしさに顔を反らしつつ誤魔化すように男についてのトークを語り出す。

その様子がなんだかおかしくてマシュもオルガマリーも吹き出し笑う。

重たいこともあった達哉と騎士王の罪の吐露や状況的に殺されかけた事。

色々なことがあった。だから帰ろう。今はそして折り合いをつけていこうと。

三人は決意し

 

ここに一つの物語は・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く度し難い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綺麗に幕を下ろさず、獣の無様な所業によって若人たちは更なる地獄を旅する羽目になるのだとは誰も知らぬことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「れ、レフ!? 生きてたの?! 私同様に自力でレイシフトを!?」

「所長!!」

 

レフに駆け寄ろうとする達哉がオルガマリーの右手を左手で掴み止める。

 

達哉のペルソナが震えた。

 

悪魔と交戦直前の様に。

 

「あいつは人間じゃない・・・!!」

「なっなにを言って「全く貴様は勘が良い、実に良いな。初見で正体に感付きそうになった事といい、現代では失われた神卸の力といい、その戦闘能力といい、なんなのだ?」

 

達哉の言い様に動揺しオルガマリーは言い返そうとするが

その前にレフは大聖杯の淵から達哉たちを見下ろし忌々しげに言う。

特に周防達哉は強固な染みどころか。羽毛の服にへばりついたガムの様に忌々しいとばかりに。

さらりと言われる、初見の時にレフが達哉が気づきそうになったという事実に驚愕しつつも。

レフの禍々しい様子にマシュも気づく。

自分の知るレフはあんなどす黒い感情をあらわにしたことはない。

まるで中身だけが別人のように変わっていることに。

本能が叫ぶ、ペルソナが無くても二人には理解できた。

あれは”存在してはならないものだ”と

 

「レフ・・・教授・・・アナタは一体・・・誰になったというのですか!?」

「出来損ない、貴様もか、私の在り様に気づくとはね、本当に忌々しい、どいつもこいつも統率の取れない屑共が!!」

 

悪意をそのままにレフは顔面を歪ませ語り出す。

 

「デミサーヴァントとなったマシュ・キリエライト!! 私の言うことも聞かず生き残った。ロマニ・アーキマン!! 本当に予想外の事ばかりで頭にくる、その中で最も予想外なのは、何も知らぬからと見逃したらトンだ怪物だった48人目の適合者の周防達哉と、そしてぇ」

 

まるで罪人を処刑するかのように声高らかに告げる。

 

「自分が死んだことに気付いても居ない、哀れなオルガマリー」

 

レフは言い切った。オルガマリーが死んでいるということに。

さしもの死者を前にしたことのある達哉は経験則に感覚が固定され気づけなかった。

 

「え、は?」

 

オルガマリーは呆けるほかない。

だってそうではないか。自分はそんなつもりも無くて。

レフが何を言っているかも分からなくて

 

 

―ククク。哀れだな、ならば教えてやろう 貴様が望んだこと故にな-

 

 

誰かもわからない声が脳裏に響き。

映像が再生される。カルデア爆破の瞬間を。

管制室でレイシフトの光景を眺めている一人称視点が投影されて。

足元から紅蓮の炎が上がって自分という存在が粉みじんに砕けていく瞬間をだ。

 

「あっアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?」

 

確実に鮮明に思い出しオルガマリーは頭を抱えて蹲る。

自分が死んではいないという事故逃避の防衛本能による記憶の消去であった。

 

「どうした? 死んだショックで飛んでいた記憶でも蘇ったのかのかな?、まったく人間とは話にならないほど、か弱く度し難い」

「所長、しっかりしてください!!」

 

レフが嘲笑し、蹲るオルガマリーに寄り添う。

 

「レフ、貴様ッッ」

 

アポロが再度出現させ。達哉自身は戦闘態勢を整えつつ。

躊躇なくフレイダインを放たんとするものの。

突然とレフの背後の空間が裂け。まるで穴でも開いた旅客機の中に居るような衝撃波が三人を襲った。

達哉はクーフーリンの消失によって効力の失われたルーンが刻み込まれたパイプを地面に突き刺し片膝をつきつつ両手でそれを保持する。

己が死の瞬間を見せつけられて混乱し蹲るオルガマリーをマシュが片手で庇いながら達哉と同じように大盾を地面に突き刺し衝撃に耐える。

 

「くそ、何がどうなって・・・」

 

現状が分からない。死んだ人間は即座に世界に還るからだ。

幽霊になるのはこの世に未練を残した・・・・達哉は思考を巡らせて。

オルガマリーがマシュを立ち直らせる中で思い出す。

死にたくない普通に生きたいと語っていたことに。それもまた立派な”幽霊になる条件”だ。

そして気づく。あの爆発をカルデア職員たちは調べ上げていたはずだ。

故に知らないはずがないと。

 

「ロマニさん・・・まさか・・・」

『すまない君たちを見ていたら言い出せなかった。』

 

職員たちはロマニを含めて言い出せなかった。

あのオルガマリーが年ごろの少女のように笑って友人を作り前を向うとしているさなかに・・・

達哉の背負う罪の重さにソレを上乗せすることが・・・

マシュが打ちのめされている様を見て。

 

言い出せるはずがなかった。

 

『・・・あの爆発の起点は。オルガマリーを中心に発動していることが確認できた。だからその・・・そこにいるオルガマリーは彼女の残留思念そのものだ』

「そんな・・・」

 

マシュの唖然とした表情にロマニは泣き出しそうな己を縊り殺したくなった、殺意が凝縮し悔いを噛みしめる表情をする。

故に真実。どうしようもできない事だと三人に分からせる。

ここまでくればオルガマリーも含めた三人も気づいた。適性値0のはずのオルガマリーがレイシフトできたのは。

耐えられない肉体が破壊され魂だけの状態になったからだと。

 

『すまない、本当にすまないッッ』

「ふん、本当に貴様らは不完全だ。総体におけるこの消失は些細な意味しかない、それを荘厳な意味を持たせ。戦乱を世にはびこらせたお前ららしい無様な思考だ。オルガマリーはなんと取りつろうとも、無意味に消える、それが摂理だ。奇跡はこれ以上起きない!!」

 

 

ロマニのその表情を見てレフは鼻先で笑いつつ言い切る。

それをよそに吹っ切れてしまったがゆえにオルガマリーは現実を直視してしまった。

もう自分はどうにもならないのだと理解させられてしまった。

 

そしてレフは開いた空間をどこかへと接続し。

それを見せつける。

 

「なっなんでカルデアスが。」

 

その様子に錯乱状態のオルガマリーも絶句する。

大聖杯よりショッキングなものがそこに広がっていた。

星の歴史を監視するカルデアスが真っ赤色に燃えている。

それ即ち人理が機能していない証であった。

 

「人理は我等が王が焼却を完了した。すでにお前らの守るべきものは存在しないのだ。そうだろ? 貴様なら事実だと理解できるはずだ。なにせ外に確認を行いに行った職員は戻ってきていないはずだからな」

『・・・・』

 

レフの指摘にロマニは奥歯を噛みしめるしかない。

 

「ふざけんなッ。」

「駄目です所長!!」

 

現実に思考が追い付けない。

白熱した怒りそのままにオルガマリーは瞬発的に肉体を強化しマシュを振りほどき。

 

「所長!! 駄目だ!!」

 

行くなと伸ばした達哉の手を振りほどきレフに向かって突撃する。

達哉はアポロを一旦戻し。オルガマリーを追う。

だが遅い。

 

―そう遅い、遅い―

 

何かが嘲笑って。

 

 

「本当に無様で哀れだな。オルガマリー」

 

レフが右手を突き出し不可視の力場がオルガマリーを拘束と同時に。

左手で魔力弾を達哉とマシュに向かって射出。達哉はアポロでマシュは盾でそれを叩き落とすが。

そうしている間に。オルガマリーは約50mを高速でスライドし距離を空けられる。

無数に射出される弾を迎撃しかいくぐりながら達哉とマシュは走る。

 

「だが我が王は寛大だ。君に地獄を与えてやろう、精々あの愚か者共を嘆き狂わせるがいい」

 

―生に意味などないと知るがいい、答えなどどこにも無いと泣くがいい!!―

 

レフの言葉に達哉の記憶の映像で見たニャルラトホテプの嘲笑がリピートされ・・・

 

「カルデアスは超高密度の情報体だ。次元が異なると言ってもいい。故に触れれば分子レベルで分解される、まさしくお前が落ちる地獄にふさわしいという物だ。」

「そう・・・もうどうでもいいわ・・・」

 

心がへし折れた。

地獄に放り込まれることにではない。

自分は無様に間違いなく死ぬというのは分かり切っていた。

それ以上にオルガマリーを絶望させていたのはレフの裏切りはもちろんの事。レフの叛逆を見抜けずレフの背後にいる存在に人理を焼却されて。

友と呼べるような存在の達哉とマシュに・・・特にいろんなものを背負った達哉に・・・これから起きるであろう大事変の解決を無様に押し付けて何もできずに死ぬという己の無力さと馬鹿さ加減にだ。

 

「ふむ、予想と違うな。まぁ無様に足掻かれるよりはよっぽどいいが」

 

レフは何時もの表情に戻り。でもまぁ最後位の言葉は聞かせてやろうと少し待つ。

オルガマリーは無気力に手を伸ばす。

それは来るなという揶揄だったのかもしれない。

こっちに向かってくる達哉たちに来るなと。舞耶という素敵な人だって言っていたじゃない。

この世で最も哀れな女は人を縛る女だから。

自分は無力で馬鹿で救いようがなくて。貴方達が苦労して引っ張るような人間じゃないと。

だから。

 

「お願い・・・来ないで・・・・」と呟き、そして。

 

それを聞いたレフが右腕を振り抜き、一気にオルガマリーをカルデアスに放り込もうとして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神話が覚醒する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アポロォッ!! ノヴァサイザァアアアアアアアアアアアア!!」

『我は汝、汝は我、我は汝の心の海より出でし者、烈日と蒼穹の支配者なれば・・・・契約者の持つ心の灯をもって道を切り開かんッ!!』

 

 

 

 

 

達哉の絶叫と共に。

太陽神が時計の針を達哉だけ回す。

彼の認識では世界の色だけが反転し停止する。

最大停止時間までとはいかないが現在停止できる時間を最大停止する。

先ほどの戦いでマシュの宝具の維持と合体宝具で魔力を使いペルソナ行使に多大な浪費をしているゆえにこれが最後に近い。

それでも!!と達哉は叫び走り抜ける。

無論、必死に魂状態のオルガマリーを助けるべく考えていた。

そしてたどり着く。

同じような状況があったことを。

 

向う側から来た達哉はパラレルワールドの自分の街で寄るべきところがなかったが一人の女刑事と奇妙な縁を繋ぎ。

事件捜査の間はそこに居候させてもらっていた。

だが女刑事は街で蠢く噂殺人と呪いを追う内に。ニャルラトホテプに唆されその噂殺人に利用されていた組織につかまり。

悪魔化させられてしまう。他の殺人や呪い同様に悪魔化した女刑事をベルベットルームならばどうにかできるかも知れないと駆け込んだ。

そこですでに悪魔化した女刑事は通常に事件にかかわった者たちが変質した存在から引き戻すことは出来ない。

ガタス・マンダラという場所で散らばった女刑事の心を集めろと言われ奔走したのである。

集めた心の保存方法を無論達哉は聞いていた。

オルガマリーが残留思念、即ち魂の存在として心の存在となり、普通の死者とは違い、此処にいるのなら。

捕まえることが出来るかも知れない。

幸いにもオルガマリーから休憩中に人体を他人であろうが自分であろうが再現し作り上げられる人形師が居ることを愚痴交じりに。

学校から出陣する前に聞かされていた。

望みは現実にある。ならば実行するのみであると。

 

達哉は歯を食いしばって実行する。

 

 

オルガマリーの拒絶に延ばされた手に。

 

 

彼がいつも伸ばして届かなかった。いつかの日とは違いちゃんと届いた。

 

 

反転した世界に色が戻る。世界が動き始める。

 

 

 

「タツヤ・・・?」

 

 

オルガマリーが呆然とする中で達哉の右手がしっかりとオルガマリーの右手をしっかりと掴み。

両足に力を込めてオルガマリーに掛っている力に対抗する。

 

「小賢しいマネを!!」

 

余計なことをと舌打ちしつつレフは力を込めて気づく。

自分の放つ魔術がレジストされつつあった。

弱々しくであるがアポロが具現化し達哉の右腕に己が右腕を重ねていたのが原因だ。

神秘は古き神秘に敗北する。

であるなら神格の欠片を出力するペルソナは神秘の塊だ。故に対抗できる。

如何に人外となったレフであっても。

人の身を脱ぎ捨ててない状態の魔術であれば、攻撃魔術でも無い限り、直接本体の達哉が手を貸すオルガマリーを潰せない

 

だがレフの本性がそれを否定している。

 

こんな下等生物風情に本気を出さなくてはいけないのかという怒りがだ。

 

故に本性を出さずあえて人間形態で叩き潰すため、狙いを達哉本体へと変える

 

「ならば直接消し去ってくれる!!」

 

ならばとそいう言いつつ左手を二人に向ける。

 

「周防達哉が令呪をもって友へと告げる!! マシュ!! 俺とオルガマリーを守れ!!」

「了解です!! 先輩!!」

 

残り数m地点まで来ていたマシュを転移させ己を守らせる。

レフの血圧が上昇していくが知ったことではない。

 

 

「なんで助けたのよ・・・・」

「助ける、方法が・・・・あると言ったら?」

 

空いている右手でFOOLのペルソナカードを懐から取り出し。

オルガマリーの右手の手の甲に重ねる。

 

「詩織さん・・・の件がある・・・所長も見ていたはずだ」

 

無論、オルガマリーもそれは見ていた。

 

「彼女の件で、彼女の精神体の欠片を集めていた。その要領で君の魂をペルソナカードに封印する・・・戻ったら人形師の人形に詰めて貰らえば完全蘇生だ」

「でも私、生きていていい人間じゃない。こんなことになった全部元凶よ!! そんな女がどんな面を下げて生きれればいいのよ!?」

「逃げるな!!」

 

オルガマリーの絶叫に達哉が言い放つ。

 

「生きることから逃げるな!!」

 

それは達哉だから言える言葉だ。

無様晒していると言えば達哉もだ。だが生きる事だけは決して諦めたことはない。

それは断言できる。

償うことは生きることだからだ。

死して贖罪なんぞ罪から逃げることでしかないからだ。

背負って傷だらけになって。後悔してそれでも背負って生きていくということが償いになるからだ。

 

「それに・・・こんな人生でも悪いことだらけじゃない・・・俺は皆に出会えた。君だってそうだろう? ロマニさんやマシュに出会えて友人に成れたはずだ。楽しかったはずだ。彼らといるのが」

「タツヤ・・・」

 

如何にレジストしているとはいえ人外の力が再度強まり出していく。

今度こそ力での対抗が難しい。

マシュは耐凌ぎ。ロマニが特異点が崩壊し出したと絶叫を上げレイシフトアウト準備を指示する。

 

『所長もですか!?』

『当たり前だ!! こんなに無様晒して達哉君ができるって言っているのにこっちが出来なかったなんて。大人失格も良いところだ!!

茜、存在証明のデータリンクこっちにも回して!! 僕も手伝う、総員、レイシフトアウト準備!! 全力を注げぇ!!』

『『『『『了解ッッ!!』』』』』

 

全員が手を尽くすオルガマリーの為に。

 

 

「オルガマリー!!、生きたいと願うんだ!! 君のその叫びが必要だ!!」

 

 

自己証明とその存在を受け入れれば存在はより明確な形で封入できるからである。

故に叫べ。己は此処にいるのだとと言えと達哉は抜けていく握力を必死に、魂に触れるためにアポロを必死で維持する。

高ぶる感情のままに。ついとオルガマリーの名を叫んでしまうが知ったことかと言わんばかりに手に力を込めた。

掴んだ手を離さないように。

 

 

「所長!! 帰るんです! 先輩も所長も皆で!!」

 

マシュが叫ぶ皆で帰るのだと。

あの校舎で約束したではないかと。

帰って皆で喜び。彼を見送って共に泣こうと

ゆえに・・・嗚呼ゆえに。

 

 

「やだぁ!! 死にたくない!! タツヤと友達になれて。マシュと友達になれて・・・ようやく誰かに認められて。頼られて。生まれてからずっと一人で。でもようやく色んなものが手に入って。色んなことやりたくて、やだ、いやだぁ!! 死にたくないよぉ・・・・だから・・・!!」

 

 

 

情けない悲鳴を上げながらも彼女は生存を渇望し叫ぶ。

 

 

 

「お願い・・・助けてぇ―――――」

 

「任せろぉ!!」

 

いま彼女は此処にいたいと叫び、泣き散らしつつ。繋がった手を握り返し助けてと叫び。

達哉はそれを聞いて確かに強固に存在が証明されたのを確認し、アポロを通じてオルガマリーをペルソナカードに封入する。

 

『所長はカードになったけれど! 存在証明成立続行中です!! 行けます!』

『ロマニ医療主任、特異点もう持ちません!!』

『レイシフトアウト準備は!?』

『あとは医療主任の承認だけです!!』

『承認する、三人を回収するんだぁッ!!』

『了解! レイシフトアウト開始!』

 

それと同時にレイシフトアウトの準備が完了。実行せよという声と共に達哉たちの姿がサーヴァントの消滅のように掻き消えていく。

 

「こんな三文芝居でェ!! 認めんぞォ!! 逃がすもの・・・・」

 

レフは本来の姿を出そうとして。気づけなかった。

特異点の崩落。拡散した聖剣の閃光が著しく強度を弱めていたことに。

そしてそれが崩落してきているという事実に・・・

それに気付いたのは落下してくる岩盤の影が大きくなった時であり。

上を見て。それに気付いて。

 

「ク―――――――――」

 

断末魔も罵倒の言葉も上げる暇もなく、レフ・ライノールは質量の暴力に押しつぶされて消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ舞台は整った。

 

 

 

人類最新の英雄譚にして前代未踏の旅路。

 

 

 

罪人に課せられた贖罪と理解者を得て彼岸の果てに至る物語が幕を上げるのだ。

 

 

この所業は我である影の試練なれば、人も英雄も神も獣も逃げきることは出来ない。

 

故に破滅は迫り、英雄はそれを乗り越える必要がある。

 

その果てを知り、狂い泣くがいい、周防達哉、お前の末路は英雄だ。

 

 

 

影は依然消えず、より深く闇は深くなっていった。

 

 

 




各個人の現状。

たっちゃん、ようやく親しい誰かを助けるために伸ばした手は、ペルソナではなく自分自身の手が届く。

オルガマリー 一度はへし折れるが達哉の叫びで復活、原作とは真逆の事を言えたため生存。
ベルベットルームに直行。

マシュ、シールダーのサーヴァントに偽りなし鉄壁の防御力を発揮する。

レフ 達哉の力とマシュの防御力、オルガマリーの成長を見誤って岩盤にプチりと潰される、なお生きてる。

アルトリア 魔術師還らずでの致命傷を受けたヤン状態。

ニャル 計画通り!! つまり達哉たちがオルガマリーを助けられることも織り込み済み。 セイバーに仕掛け時間差論理爆弾を起動させ座の本体のアルトリアにトラウマ刻み込んで、止めを刺しつつ。本当に憐憫とかで舐めプしかできない奴の眷属のレフは駄目駄目だなぁと思っている。
次の次で予定する第一特異点攻略準備インターバルパート2でたっちゃん虐めの準備中。



マーリンのニャルに対する履歴。

ブリテンがまだ維持されていたころは。

マーリン 本当にうるさいなぁ、アレ、でもまぁ煽るだけだから放置してもいいか(なおニャルがウーサーやらモルガンを焚きつけていたことはジャミングの影響で知らない)


カムラン直前にアヴァロンに来たニャルに煽られ。

マーリン クソガァアアアアアアアア!?

カムラン後
ZERO時空でニャルが遊び感覚で介入、
この世界では英雄王は影の試練にエルキドゥを奴の策謀で失いつつも勝利したがゆえに。原作より傲慢ではないく王様問答でアルトリアを止めるべく必死に諭すものの徒労になり。
影に踊ろされながらも人々が必死になって紡いできた人理を守るべく英雄王が躊躇なくして。
これ以上影に踊らされているならマジ殺しモードでアルトリアにマジレス真剣喰らわされて原作通りの結末に。
ただでさえ原作からして破滅が多いため、ニャルは多くは干渉しなかった。
マーリン、死んだ目で見ていた。

Fate本編。
セイバールート突入、マーリン、アヴァロンで「どうだみたか! 僕の完全勝利だね!!」とコロンビア。
ラストルートも通過し完全勝利と意気込む。
ちなみに英雄王は現代に”汚染杯”で受肉した影響やら、影に魅入られて姿を本編まで晦ませていたコトミーの追走での”過労”で全力出せず敗北。


現在。
ラストルートに士郎に化身を使って誘導し、罰による痛みを増幅させるために暗躍。
士郎と幸せに過ごし息を引き取り座に召し上げられるが、それこそニャルの計画であり。
達哉たちと出会い、ニャルの嘲笑が聞こえてしまったせいと反転による暴走で。
嘗てアルトリアがカムランの丘で見せられた達哉のあり様を否定して。
ここまで来るのに何を犠牲にしたのか自覚。
結果座のアルトリアに大ダメージ、ニャルの計らいで座本体に生身の記憶をして刻まれ意気消沈。
というか座の現在の彼女は、魔術師帰らずの死に際のヤン状態くらいにメンタルボロボロにされてとどめを刺された。

ニャル あえて罰から逃していただけでお寿司、影から逃れることは不可能という摂理から目を反らし、己の自慰行為に夢中で何も介入せず、人の心も分からない、ろくでなしがどうにかできると思ってるの?wwwwwwwwwwwwww 彼女がああなったのはお前のせいだから!! 助けてやらずに止めなかったのが悪いんだぞ?wwwwwwwww

マーリン、チクショォオオオオオオオオオオ!?






次回はオルガマリー、ベルベットルームに叩き込まれるペルソナに目覚める、第一特異点に向けての準備。

その次もインターバル回、おそらくサーヴァント召喚の後にニャル様による達哉虐め






ニャル、おいそこの聖女モドキ、達哉いじめが終わって第一特異点入ったら。アルトリアの次は貴様だからなwwwwwwww


ジャンヌ !?


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