Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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「私に上半身裸で尻尾つけろってわけ? 嫌よ、恥晒しじゃない!」
「アニメのイベントで私のコスプレをしてくれた猛者に謝れ!」

邪神ちゃんドロップキック第二期より抜粋


06 少女たちのアウトレイジ

「野郎ども、カチコミの時間よ」

 

ドスの効いた低い声でオルガマリーがベネリM4の持ち手をスライドし初弾を給弾しながら言う。

表情も冷え切っており。

ぶっちゃけ男性陣と謎のヒロインXオルタは引いていた。

マシュはまぁオルガマリー同様被害者である。

殺気を出しながらオルガマリーの言葉に同意しつつシールドに仕込まれたバンカーボルトの点検を行っていた。

 

「7.62x51mm弾で奴のドタマ(二重の意味で)カチ割ってやるわよ!!」

 

オルガマリーの宣言に男性陣の股間と額に冷たい風が駆け抜けたタマヒュン的な意味合いで。

そしてオルガマリーを先頭にマシュが続き。

そのあとに戦闘員たちが続く。

 

「Arrrr」

 

なぜかティアも同行していた。釘バットをもって。

ここ最近の交流で彼女はまだうまく言葉をしゃべれてはいないが表情が豊かになってきたなぁと達哉は思う。

おかげで表情とジェスチャとつたない言葉でのコミュニケーションが成り立つようになっていった。

サリエリ曰く地頭は悪くない、むしろいい部類にはいるので。

フェスが終わったら本格的に言葉の発音と意味の授業でもしようかと彼はぼやいていた。

もはやポエナリ城には敵はいない。

なぜなら憂さ晴らしにオルガマリーとマシュがそりゃもう派手に蹂躙したからだ。

フェス準備に忙しかった面々はその騒音に気づくことはなかったが。

ともまぁ楽々と最後の間まで来たわけである。

 

 

「よくぞ来た。カルデアの戦士よ!!」

 

 

そしてそこには赤褌だけのマーラヴラドがポージングをとって待ち構えていたのだ。

片からすれば間抜けな光景、ヴラド本人が見たら憤死しかねない格好であるが。

それはスキルが発動しているということである。

 

―ファイナルヌード―

 

全体魅了系の最高峰スキルの一つが面々に襲い掛かるが

 

「ばっかじゃないのぉ! 対策と事前準備なんていくらでもしてくるわよ」

 

確かに魔王の権能は強力だ。

だがそれを凌駕するのがアマラの品々でありペルソナ能力。

事、ペルソナ能力は心の力である。

故に精神耐性がある場合、他の出力で突破可能な無効耐性などとは違い神格の権能すら跳ね除ける性能を発揮する。

それこそニャルラトホテプのように権能とかではなく直接的にかつ直に心えぐる手段を持ち合わさなければ。アマラの戦士たちには対策をされるのだ。

それに各種治療薬も悪魔、天使、神からの傷を癒すように調整されているのだから。

アマラの宇宙が強いのはそこに理由がある。

全員が超人、神殺しに至る可能性を秘めているゆえに。

気づかずに神殺しの品を用意できる点にこそあるのだ。

達哉の世界はニャルラトホテプが無茶苦茶にするまでは平和だったが。

IFの世界では核弾頭が発射され、悪魔と天使の戦場となった。

受胎ではそれらをめぐる神々の戦争。

玉座を争う戦いでは超越者同士の紛争である。

最もそれらを主催した者たちからすれば、大いなる意思を殺すための”試行錯誤の過程”にすぎぬし副産物でしかないのだが。

今はどうでもいい。アマラの品は神格にも通用するものがあるのである。

故に精神耐性のあるペルソナと魅了無効を付与するアクセサリーにさらには自前の礼装まで装備しているのである。

サーヴァントの体に寄生しなければ性能も発揮できないマーラでは突破不可能な過剰装備だ。

というか神体をもった権能さえ無効化できるだろう。

ぶっちゃけ事前情報とペルソナ使いとの相性が最悪ということを加味すれば。

高位分霊か本体が出れば話は別だが。現状では詰んでいると言うほかない。

 

「乙女の尊厳汚しまくってぇ、苦しんで死ねよやぁ!!」

 

言葉が若干無茶苦茶になってるぅと全員が思うのもつかの間。

オルガマリーとマシュが躊躇なく、RPGー7(対魔術師用を対サーヴァント用に魔改造した代物)を発射。

直撃、使って残った発射機を投げ捨ててさらに背負っていた残りのRPGー7も二人で乱射である。

RPGー7がなくなったら。

オルガマリーはガリルエース52を二丁両手に持って腰だめに構えて乱射。

マシュはM240Gをもって乱射だ。

それも切れたら今度はベネリM4やら手榴弾やらグレネードランチャーやらを躊躇なく叩き込む。

 

「俺ら出番あるか?」

「ないんじゃないかなぁ」

 

クーフーリンの疑問に達哉はそう答えるほかなかった。

並の英雄どころか上級英霊ですら特殊な加護による防護がなければ消し炭になる弾薬量である。

ぶっちゃけ資源の無駄使いだが。

 

 

「ククク」

「「なっ」」

 

そんな爆炎をよそに響いてくるのはマーラの嘲笑である。

 

「残念だったなぁ、小娘ども、我は銃吸収よ!! グワハハハハハハ!!」

 

マーラ様の耐性は銃吸収であるすなわち銃火器および銃スキルを吸収し体力へと変換するのだが。

 

「なら物理で殴ればいいですよね?」

「えちょ話を「誰が聞くかぁ!!」

 

だがマーラは忘れれていた。

オルガマリーは確かに銃火器の扱いにたけるが殴打武器として機能するリペアラーを使いこなすオールラウンダーであり、マシュは八極拳と盾を組み合わせたガチガチの近接戦闘者である。

つまり魅了も効かない、物理大得意な皆様方に囲まれている時点でマーラは詰んでいたのだ。

だがそれで往生際よくするのであればマーラはマーラではない。

 

「暴れまくり!!」

「くッこの」

 

衝撃波を包囲に射出。

マリーアントワネットが慌ててテトラカーンによるバリアを形成。

寸前のところで前に出すぎていた、オルガマリーとマシュをクーフーリンと達哉が回収してテトラカーンの範囲内に瞬時後退するものの。

 

「なんで人の話を聞こうとしないんじゃ、きさまらぁ!!」

 

マーラ逆切れである。

 

「戦隊ものやら仮面ヒーローものじゃないんですよ、こうも隙をさらせばボコるのは当然じゃないですか」

「文学少女がお約束を否定したらあかんやろと我思うの、まぁそれはいい。我はお前たちの事を思ってやっているのに、なぜボコり倒されんといかんのだ!!」

 

マシュのまさかのお約束否定に突っ込み入れつつ、マーラヴラドは頓珍漢なことを言い出す。

いきなりお前たちのためにやっているだのなんだの言われて理解不能もいいところだった。

 

「何が俺たちのためだ。おかげで所長やマシュがどれほど苦労したと思っている!!」

「達哉のいう通りだ。貴様は強制わいせつ罪を行ったんだ。現捕物の事を年頃の少女に強制したんだぞ」

 

周防兄弟がどの口でと詰め寄るが、マーラヴラドは笑みを深めるばかり。

 

「ククク、影の言っていた通りだなぁ、故に我が一肌脱いだというわけよ」

「なに?」

「周防克哉、気づいていないのか? 愛する人を守れず、世界を滅ぼしかけて、いや滅ぼし、その後罪と罰を背負って孤独な世界に帰り、自分を直視し、なおかつ一年も孤独に過ごした人間の自我がまともに機能しているはずないだろう?」

 

影のいっていた通りだとマーラヴラドは達哉を分析し。

どういうことだという克哉の声にマーラヴラドは自分の分析を言う。

当たり前の事なのだ。自分を直視し続け、なおかつ一人孤独で生きる。

たとえるなら一つの部屋に閉じ込められる、だが食事には一応の問題はなく、風呂もトイレもある。

だが電話がなく誰とも話すこともできない。

普通の人間なら精神を間違いなく病む。

ロマニはいくら医療部門統括とはいえ外科や内科が専門だ。

精神までは抑えていない。

ダヴィンチは天才だ。そもそも感性が違う。

アマネはもう摩耗しきっていて逆に気づけない。

 

「そんな男が自分自身を愛せるはずもあるまい、自分自身を愛せないということは真の意味で他人を愛せない、そしてリビトーを解放できないし摩耗させて機能不全に陥らせている、そうつまり性欲!! 愛欲!! それらが一切機能していないということになぁ!!」

「・・・」

 

性欲も愛欲も愛も恋も他者愛は無論であるが自分に自信をつけるくらいの自己愛必須である。

何事もバランスで成り立っているのだからそうだろう。

愛にも恋にも他者愛と自己愛がバランスよく成り立ってようやく成り立つものだからだ。

そういった意味では達哉はごっそり自己愛が消えうせかけていた。

彼は自分を愛せなくなっていた。

だからこそ。影はマーラにチクりを入れたわけである。

 

「自分を愛せない男では、ああなるほど!! ■■■■を持っていても意味はあるまい」

 

クツクツと笑う。

 

「だからこうやって擦り切れた愛欲、あるいは封じ込めたものを再び燃え上がらせるために我は来た。ついでにそこの3人の情操教育のためになぁ」

「貴様に情操教育されるほど俺の保体の成績は悪くはない!」

「クククッそうかなぁ、二人は天秤の上だぞ?」

「・・・なにを言っている?」

「フハハハハ! 気づいているようだなぁ、履行済みと言いうわけか。まぁそれはそれでいい恋は最大火力で愛はじっくり弱火で煮るものだからなぁ。この我が直々に恋愛観すっ飛んだ貴様に事実をたたきつけてやろうというのだよ」

 

要するに自覚させてやろうということである。

 

「お前がそこの少女二人に対して恋愛感情を抱いているということをなぁ!」

「なにを」

「おっととぼけるのか? うれしかったんだろう? 頼られるのが? 自分を認めてくれたことが? 背負っているものごと受け入れてくれたのがうれしくてしょうがないんだろう?」

 

重すぎる罪と罰。

その果てにようやく手に入れた場所。そしてそんな自分を受け入れてくれた少女。

好意を抱くなと言われるほうが無理がある。

二人のやさしさに惹かれていないと言えばそれは嘘だ。

 

「オルガマリー・アニムスフィア、貴様もそうだろう? うれしかっただろう、初めて心の奥底から自分の孤独を理解してくれる存在が、弱さを含めて抱きしめてくれる存在が!! マシュ・キリエライト、貴様もだ!! 外の理に一緒に耐えてくれる存在が、自分を助けてくれる周防達哉という存在が!!」

 

次々に彼女たちの心を切開していく。

影のカンペありきとはいえ、快楽において右に出るものはいないのだ。

ある意味、どこぞの聖職者よりも快楽に精通している。

アレは家族愛を知らぬがゆえにマーラに及ばない。

 

「故に抱いてやれよ。それがいい男の条件というものだしいい女という条件だ」

「恋すればすぐ抱くだの抱かれるだのに結び付けるんじゃぁない!!」

 

彼の言い分通りなら自分は彼女たちに好意を抱いているのは間違いないのだろうと達哉は受け止めつつ。

それとこれは違うだろうと反論する。

愛しているからすぐ性交渉とか頭が阿呆な奴の戯言だ。

愛は人それぞれなのだから外野がとやかく言うべきことではない。

 

「性交渉は種を残すという行為の一つではあるが避妊手段の増えた今日ではコミュニケーションツールの一つなのだよ、三人共。あと過去からの事情で今日の性事情を知らぬ英霊共。もたもたしているのは我からすればある種の不健全なの。それとも周防達哉、貴様、不感症か? それともインポテンツなのか?」

「俺は不感症でもなけければ、インポテンツでもない!!」

「ならロリコンかペド趣味とか? もしくはホモとか?? いい男そろってるものなぁカルデアは、そしてはっきり言ってマシュと添い寝しておいて手を出さぬほうがおかしいと我思うの、口では何とでもいえる故に、はっきりこの場で証を示せ!!ついでに言えば影は教えてくれなかったもののティアも貴様に好意を抱いているようだぞ?」

「いやそのだな、というかティアまでなんで?!」

 

ティアに粉かけた気はない達哉としては錯乱寸前だったが何とか思考を持ち直し、脳をフル回転させる

不感症とインポイテンツにホモは軽く否定できるが。

ホモにロリ趣味、ペド趣味を否定すれば、やましいことを二人に持っていますと宣言するようなもの。

逆をすれば性癖異常者の烙印を押されるという究極の選択だ。

特に影のカンペには達哉、マシュと添寝済みと書かれているのは事実だ。

マシュはその時のことを思い出し顔を赤らめながら俯かせ。

オルガマリーとティアは無意識のうちに嫉妬を込めてマシュを見る。

自分もそうしたかったという無意識の行動だった。そして一連の動作後。

二人の視線は達哉へと向く。

添寝までして役得の一つもしない達哉は性癖異常者かあるいはただの身持ちが固い硬派なだけなのかという証明を今この場で達哉はしなければならない。

無論はぐらかしは悪手にしかならない。

 

「達哉」

 

信じているぞという克哉の視線

 

「タツヤ」

「先輩」

「Arrrrr」

 

オルガマリーとマシュさらにはティアの信頼の視線。

 

達哉追い込まれる。

下手な返答をすればホモかロリかペド趣味扱いだ。

ああいや、影からカンペもらっているマーラの事である。

余計に事態をひっかきまわしピグマリオンコンプレックスなど数ある性癖を持ち出し場を混乱させるかもしれない。

嗚呼――――――故に。

 

 

「俺は普通だぁ!! おっぱいとか大好きだからぁ!! いたって普通だ!! いや脱いだ生のは見たことないけれど。それでも普通なんだぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 

この状況、自らの性癖をカミングアウトしなければ脱却の機会はないと判断し。達哉は涙目になりながら性癖をカミングアウトする。

達哉、終わったと思いながら、叫ぶ。

そしてそれが終わると同時にヘロヘロになり仰向けに倒れそうになりそうなのをティアが達哉の背後に回って受けとめる。

達哉の背にティアの豊満な胸部装甲が当たるが。今の彼はそこまで感じ取れる余裕はなかった。

なんせ自分の性癖カミングアウトである。

オルガマリーやマシュに失望されたかもしれないという恐怖とカミングアウトの疲れでそれどころではなかった。

 

「なるほど・・・つまり両手に「ARRRRRR!!(特別意訳※うっさい死ね!!)」ちょわ!?」

 

そして達哉を克哉にティアが預けつつ。

まだしゃべらんとするマーラヴラドに向けて釘バット(護身用)振り下ろす。

 

「クフフフ、愛しの男がひどい目にあわされてお冠か、ならさっさと「これ以上の口は閉じたまえ」

 

いい加減見苦しいとばかりに克哉がヒューペリオンを呼び出しジャスティスショットを叩き込む。

がしかし。

 

「天丼展開で当たるか、マヌケェ!! マラマラダンス!!」

 

変な踊りを踊るがごとくくねくね動いてジャスティスショットを回避。

そこで身を反転し口から何か吐き飛ばす。

 

「たたり生唾!!」

 

要するに唾なのだが、それはウォーターカッターとして炸裂する。

狙いは克哉で水耐性持ちのペルソナにチェンジ防御姿勢をとるものの。

謎のヒロインXオルタが直感でまずいと感知。

克哉の右肩をつかみ即座に位置をずらすように引っ張る。

 

「えっくん?!」

「克哉さん、アレ多分水属性じゃない、防ぎ様がないビジョンが浮かびました」

「すまない助かる」

 

直感ランクは低いとはいえ、それは信頼に値する情報だ。

克哉は拳銃ではなくヒューペリオンを呼び出し。

謎のヒロインXオルタはネクロカリバーに光刃を展開。

達哉を筆頭にカルデアの面々も近接戦闘に移行する。

 

「馬鹿め、ここはわが領土、快楽の海に沈め!! 極刑王の地獄突き!!」

 

ヴラドの宝具を取り込み自身のスキルへと昇華させた槍の群れが炸裂する。

あるものは自力で回避し、あるものはスキルで相殺し、あるものはスキルで防ぐが。

 

「セ、セクハラじゃない!?」

 

その槍の穂先を見た瞬間、マリー・アントワネットが優雅な口調をかなぐり捨てて叫んだ。

槍の穂先が大人の玩具になっている。

具体的に書き記すと、小説タグにこの話のためだけにRー18をつけなきゃいけなくなるのであえて明言は避けさせてもらう。

というか下手すりゃヴラドの尊厳を破壊しまくっているマーラである。

今更感がすごかった。

 

「えーと、なにがセクハラなんです?」

「マシュは知らなくていいから!! 無垢なそのままでいて!!」

「え?なに? そこな少女はこの素敵な大人の玩具を「黙れ!! 死ね!!」」

 

ロマニの保体教育でゴムの使い道までは知っているが大人の玩具を知らないマシュは穂先になんか変なのついている程度の認識でしかないが。

性魔術の魔術書を教育の一環で見たことあるオルガマリーはそれが何なのか理解できてしまった。

故に親友に余計なこと教えるなと、シュレディンガーを召喚しヴォイドザッパーを放つ物のくねくねした動きで回避される。

うざいったらありゃしない。

 

「くそ、広範囲スキルを使いたいが・・・こうも高速戦闘の中では・・・」

 

克哉が悪態をつく。

なにせ10人以上で攻撃を同時に仕掛け、音速領域での戦闘が行われているのだ。

もっと場所が広ければ。、あるいは連携人数があと5人ほど少なければ広範囲スキルのマハ系で薙ぎ払えた物をと悪態をつくほかない。

さらにふざけた動きではあるがマーラヴラドは槍裁きも一級品だった。

クーフーリン、宗矩、書文+αという豪華メンツに囲まれても余裕綽綽で攻撃を捌いてカウンターまで叩き込んでくるのだ。

シャレになっていない。

スキルのラインナップも下ネタに全開に走っているくせに強力なものがラインナップだ。

その出力に押されて魅了無効のアクセサリーにひびが入り。

ペルソナの無効耐性を突破しおはじめる。

 

「このままじゃ」

「グハハハ!! さぁどうするカルデア!! このままではソドムとゴモラにしてしまうぞぉ」

「シャレになっていない!!」

 

ジリ貧もいいところ。

このままではエリザ粒子にのっかりマーラのスキルが拡散。

ソドムとゴモラがごとき様相を呈する。

なんでギャグの様なのに世界規模になっているんだと思った刹那。

 

ゾブリ・・・

 

そんな音がして。

マーラヴラドは己が胸部を見る。

心の臓腑と霊核を一本の日本刀が貫いていた。

ノヴァサイザーによる時止めからの一撃である。

つまり達哉が背後からぶっさした形になる。

マーラヴラドはそのまま倒れ、消えていく。

 

「ククク、我を倒したからすべてが解決と思うなよ」

「なに?」

「なぜなら、その服はエリザ粒子影響下では脱げんからだぁ!!」

「「なっなんですってぇ!?」」

 

驚愕の真実、マーラヴラドを倒したからって痴女服が脱げるわけではないということであった。

つまりは痴女服続投かよと叫びながらオルガマリーとマシュは崩れ落ちる。

そんな二人をよそにまだマーラヴラド、否、マーラは嘲笑いながら続ける。

 

「それにだ人理焼却を乗り越えようとも火種は腐る程ある、その時こそ我は完全体としてこの世に降臨するだろう!! いいな覚えておくがいい!! 我こその人類の性的リビトーの化身なのだ「いい加減死んどけ・・・」ウヴォァァァアアアアアアア!?」

 

達哉無上の追撃によって後頭部に孫六を突き立てられたマーラはついに消滅した。

ついでにヴラドも巻き添え食って消滅である。

Apの焼き増し的結果にニャルラトホテプもご満悦だったりするがどうでもいい話だ。

なぜならカルデアはApのこと知らないし。

そしてマーラの消滅を確認というロマニのアナウンスと共に達哉が膝をつき。

マシュとオルガマリーにティアが慌てて駆け寄り後ろから支える

 

「先輩、大丈夫ですか?」

「達哉大丈夫?」

「ああ大丈夫だが・・・さっきの答えは保留にしておいてくれ」

 

実際まだ達哉も自覚し始めたばかりなのだ。

それで答えを出せ、どちらが好きかなんて答えは出せないだろう。

 

「私たちもまだわからないのよ」

「いろいろありましたしね」

「だからお相子ってことで」

「所長のいう通りです、あとで答え合わせをしましょう」

 

正直なところ三人ともまだ好意が芽吹いたばかりだ。

まだまだ。愛とか恋とか言える段階ではない。

二人はまだ自覚したばかり、ティアはまぁ言わずもかな。

達哉は舞耶の傷がいえていないのだからそうだろう。

 

「疲れた…いろんな意味で」

 

達哉のそんなボヤキが今日の出来事を表していていた。

というわけで今日は解散となり、ついにフェス当日と相成ったわけである。

 

 

 

 

フェス開幕は夜になっている。

故に日が出ている内にはただの祭り騒ぎと相成っていた。

町には出店が出て様々な物品や食事、娯楽が並び。

酒場は夜に向けてテンションを上げるために幻霊、英霊でごった返していた。

マシュとオルガマリーはダウン、昨日の事がよほど来ていたらしくまだ眠っていたし。

そのままにしておいたほうがいいだろという判断で達哉はティアを連れて街を練り歩いていた。

様相はさっきも述べたとおりで賑わっている。

 

「Arrrr?」

 

ティアがふと気づき、指をさす。

その指先につられて達哉が視線をやると。

 

「克哉さん、なに前進したり後退したりしてるんですか・・・早く金払ってお好み焼き受け取ってくださいよ」

「しかしだねえっくん。これには深い事情があるわけで」

 

屋台の前で財布握りしめて前進後退を繰り替えしている克哉が存在していた。

なぜこんなことになっているのかというと。

店員さんはタマモキャットだった商売魂たくましく、お好み焼きの屋台を出していたらしい。

屋台ではいかに商品を魅せて、あるいは食べ物の匂いで客を釣るのかが重要となる。

故に看板に気づかずおいしそうであれば店で購入するのが祭りの人情というものだ。

だからこそ寸前まで気づけなかったのだ克哉は。

店員が犬か猫かわからぬ属性を持つ獣人だったことに。

一度気づきそして看板を見るとタマモキャットのお好み焼きとなっているではないか。

故に克哉はいったん後退したが本人の自己申請により前進、だがやはり猫なのではという疑念がありサイド後退している。

 

「Arrr」

「兄さん、重度の猫アレルギーなんだ」

「Ar!?」

「猫好きなんだが本当にひどくてな、うん」

 

達哉のいう通り、克哉は重度の猫アレルギーである、少なくとも触れないレベルでだ。

故に前進 後退を繰り返しているわけである。相手が猫なのか犬なのかわからぬがゆえにだ。

 

「キャットは一応、キツネであるし、故にイヌ科であるよ」

 

店主それがわかればカミングアウトせずにはおられず。

一応告げると克哉は安心した様子でタマモキャットに近づきお好み焼きを二人前頼んで料金を払う。

それを見ているとティアも鉄板の上に並べられたお好み焼きに眼が行き。

口端から自覚なしによだれを垂らしていた。

達哉はその様子に苦笑しつつタマモキャットから自分の分とティアの分もお好み焼きを購入する。

 

「Ar?」

「ああ、食べていいぞ、そのために買ったんだ」

「Arrrr!」

「喜んでくれたようで何より、兄さんたちもそこで一緒に食べないか?」

「うん? いいぞ」

 

こうして達哉は克哉たちと合流しベンチに四人で座ってお好み焼きを食いつつ売店で買ったラムネサイダーを飲みながらだ。

 

「こうして祭りで兄弟で参加して食べるのも久しぶりだな」

「そっちの俺はしてくれないのか? 仲改善したんだろう?」

「将来、警察官になりたいらしくてな、今までサボっていた分の勉強をやっていて忙しいんだ」

「そうか・・・」

 

達哉の夢は克哉の世界の達哉と致命的に差異がある。

まず克哉の住む世界の達哉は不良だった。喫煙飲酒なんでもありだった。

憑依した我らの達哉も憑依したときにこれには頭を抱えた。

まぁそれはさておき、こちら側の達哉が憑依したおかげで克哉の世界の達哉は改心し警察官になる夢を持った。

そこまではいいが。

こっちの達哉は元々大学進学志望で夢を持っていた。故に学業にはまじめに励んでいたわけで。

だが克哉の世界の達哉は違う、家庭環境がこっち側の達哉よりも悪化した結果不良化しており勉強なんてろくすっぽしておらず現在進行形で苦労しているわけである。

身から出た錆であるが下手すりゃ自分もそうなっていたわけで達哉は背を震わせた。

 

「そういえば達哉、二人を好いているっていうの本当か?」

 

克哉が切り込む、無論、達哉を心配してだ。

 

「好いてはいるのだと思う。けれどラブか親愛なのかわからない」

「そうか・・・、急くなよ達哉。そういうのはじっくり詰めていくべきだ」

「それは兄さんの意思か?」

「いいや、父さんからの受け売りだ。父さんが若いころ、そういったトラブルがあったらしい」

「そりゃまた・・・」

 

好意自体はじっくり詰めて確認すべきだと克哉はいう。

父からの受け売りだった。

なんでも父が若いころ、それこそ警官になりたての頃にスピード婚した奴がいたらしいのだが案の定トラブルに発展。

離婚騒動に相談に乗っていった父も見事に巻き込まれえらいことになったらしい。

その教訓と受け売りだった。

そして拙い箸捌きでお好み焼きを食べていたティアが一瞬ビクンとする。

達哉に好意を寄せているのは彼女もまた同じだ。

複雑な思いがあるのだろう。

 

「だからって、兄さんは奥手すぎるんじゃないか? 舞耶ねぇともっと距離詰めてもいいだろ?」

「本当に仕事がたがいに忙しいんだよ。有給使いたくても使えん」

「どうしても?」

「お上様からの直々の呼び出しも増えたしな・・・オカルト関連に対応できる人材は貴重すぎるらしい」

 

ため息交じりに克哉はぼやいた。

あの一件以降、あの時のメンバーはほぼヤタガラスにロックオンされ有能な人材として認識されているらしく。

オカルト絡みがあると、上からの呼び出しがよくあるらしいとのことだった。

マンサーチャーをやっているパオフゥなんかは半ばヤタガラス専属になりつつあるらしい。

それでも人手不足ゆえに仕事が忙しくなかなかデートとはいかないのであった。

実に世知辛い世の中だった。

達哉は人理焼却への対応と暗躍するニャルラトホテプへの対応で色恋沙汰なんかしているレベルではなく。

克哉も一歩間違えば世界滅亡とか神格のいらぬお節介や裏組織やら企業の裏事への対応でそれどころではない。

二人ともそういう星の下。

あるいはニャルラトホテプに見初められたがゆえにそういう人生なんだろう。

 

「とにかく向こうもしっちゃかめっちゃかだ。僕もいつまでもこうやっているつもりはない」

 

帰れる方法はサーヴァントユニヴァースの頃から調べている。

だが一向に確実に戻る方法はいまだ見いだせていない。

あるいは事が終われば。帰れるかもしれないが行動は必須だ。

都合のいいことなんて世の中にはないのだから。

だから謎のヒロインXオルタもお好み焼きを食べる手を止め俯いた。

彼はいずれ帰るという現実をようやく直視したためだ。

彼女の食べるお好み焼きはちょっとしょっぱかった。

そうこうしている間にも時間は過ぎ去るというもの。

そのあと達哉と克哉は別れ夜に向かって英気を養うべく、達哉はティアを連れて。

克哉は謎のヒロインXオルタを引き連れて街を練り歩きそれぞれの楽しみ方で英気を養う。

 

そして夜が来る、フェスの時間だ。

 

「時は来た」

 

玉座に座り一人の女性がつぶやくように言う。

エリザ粒子の鋳造は上がっている。つまり自分たちの望むことが近いということだった。

混沌の祭りはまだ終わっていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヴラド尊厳破壊回。
赤褌一丁の姿。
セクハラ発言しまくり。
宝具が言ったら18禁みたいな形状に。
Apみたいに体乗っ取られてしたくないことをやらされた挙句、あっさり消滅。
ヴラドは泣いていいと思いますん。





ニャル「はいこれ」
マーラ様「ナニコレ?」
ニャル「現在のカルデア女性陣とたっちゃんの心理表と行動表ね、あとティアの心理表」
マーラ様「これでなにせよと?」
ニャル「恋愛方面で好き勝手に連中を弄って良いよ」
マーラ様「いいのな? 我好き勝手にやっちゃうぞ?」
ニャル「思いっきりやっていいよ、じゃねぇとこっちの計画も破綻しかねんわけだしかつてブッタを惑わそうとした手腕に期待してるよ」
マーラ様「まぁ貴様と明星と四文字と超人が珍しくスクラム組んで行っている計画は知らんが、少年少女の恋心を自覚させることくらいは朝飯前よ、それよりだ」
ニャル「なに?」
マーラ様「我が顕現するのに必要な”触媒”を用意はできているんだろうな?」
ニャル「それはもう極上の”獣”という”触媒”を用意しているよ」

某菩薩「あのなんか私、なにか寒気がするんですけど」

できるかもわからぬ1.5部への前振り完了、マーラ様って女神体もあるんだよね・・・


マーラ様、完全にメタられる。
そりゃ知名度的に前提情報揃えやすいお人ですので。
マーラとかいう魔王相手ってわかってるなら精神無効&耐性ペルソナに魅了無効アクセに魅了解除スキルもったペルソナで固められるよ・・・
さいしょから勝ち目なんてなかったんや。
なお高位分霊は精神貫通とかいう糞スキル持ちなんで。
マーラ様本体やそれに匹敵する高位分霊には対策練っていてもこうはいかんですけどね。



あと今年分の投稿はこれで最後になると思います。
今年もいろいろありましたね、はい。
というわけで来年からもたっちゃんグランドオーダーをよろしくお願いします。

あと今更ですが、アーマード・コアⅥ発売決定おめでとぉぉぉおおおおおおおお!!

いやぁリンクスになってからレイヴンになってミグランドやって身としては本当にうれしいですたい。
PCもちょうどゲーミングPCに買い替えたのでタイミングもグーですよ!!

でも鬱は治らない、何でですかほんと・・・日に日に悪化している件について・・・
まぁ大きな病院にいって診断結果次第では入院するかもしれません。
その場合はご了承ください。

というわけで、早すぎますが皆さん良いお年を~ノシ




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