Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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自分の身とひきかえならば・・・
どんな違法も通るという誤解・・・
それで責任をとったような気になるヒロイズム
とんだ勘違いだ・・・・・・
責任をとる道は身投げのような行為の中にはない 責任をとる道は・・・・・・
もっとずーっと地味で全うな道・・・・・・


天 天和通りの快男児より抜粋。


四節 「雑魚散らし&マグロ&将来の事について」

皆は海賊同士の海戦と言われたどういう戦術を思い浮かべるだろうか?

大砲を撃ち合いながら接近し白兵戦を挑み、敵を皆殺しにして宝物を奪う。

きっとそんなところだろう。

だがカルデアはよりセメントという奴だった。

 

「よっしゃ、頭、目的の船を見つけやしたぜ」

「よーし、全員戦闘配置!! 女になるべく傷はつけるなよ、売値が下がる!」

 

故にそんな下卑た海賊はある意味不幸だった。

視認範囲に入り。戦闘配置、砲撃戦からの白兵戦、女は奴隷に、男は殺し、たんまり積まれた資材は自分たちの物。

いつも通りの略奪思考だった。

がしかしである。

 

ビシャリ。

 

その次の瞬間、海賊の船長の頭部が消失した。

 

「せ、船長?」

 

船員が唖然としていると。

その船員の頭部も消失した。

 

「わぁおさすが12.7×99mmNATO弾」

 

一方の狙撃を敢行したオルガマリーはその威力に驚愕する。

ダヴィンチとスティーヴンによって改造強化された保安部正式採用狙撃銃DSRー50の12.7×99mmNATO弾はその超長射程によって甲板の海賊共の頭部を消し飛ばしていく。

そこにアタランテ&エミヤによる弓射撃も加わるのだ。

故に海賊たちは勘違いしていた。補足射程範囲に入った時点で狩られる側に回ったのは自分たちであると。

もっともこれ以上近づけば達哉のクリシュナによるメギドラオンかサタンによる光子砲で消し炭であり。

白兵戦ともなればサーヴァントがそろっている現状海賊共に勝ち目がないわけである。

どうあがいても彼らの詰みだ。

それでも遠距離からの一方的にスナイピングを仕掛けるのは。

海賊船に輸送中の奴隷たちを救助する目的である。

これは黒髭やアン・ボニー、メアリ・リードの経験談からくる実話であり戦利品として奴隷を抱えている可能性が高く。

無駄な犠牲を出さぬために仕方なくやっていることである。

第一第二でニャルラトホテプは躊躇なく三人のメンタルを懇切丁寧にズタボロにしたのだ。

今回もそうなるとは言い切れず。メンタル負荷を考えての戦術なのだ。

 

「総員白兵戦よーい!! 奴らの宝根こそぎうばうよ!!」

 

故にドレイクが号令を出して。白兵戦だ。

目的は先も述べた通り奴隷や捕虜の救出及び物資の略奪である。

身の程も弁えないならず共に同情の余地なしだ。

生かす理由もいない、一方的な殺しが始まる。

と言ってもマスター二人とマシュは出なかった。黄金の鹿号でお留守番。

下手に手を汚しメンタル悪化されたらたまったものではないというサーヴァントたちの判断だった。

ついでにアステリオスやエリュアレも留守番だ。

前に遭った襲撃でアステリオスは盛大に暴れ散らかした結果敵船が目的達成までの前に沈没という状況になりかけたからである。

まぁ仕方がないという奴だ。

カルデアのサーヴァント抜きでもオーバーキルな戦力比ではあるが海戦経験なしのアジア圏サバたちがこれも経験という事で書文や長可に宗矩まで突っ込んでいく始末。

クーフーリンとシグルド、ブリュンヒルデは過剰戦力という事でサモライザーの中で絶賛待機中だ。

孔明は護衛兼指揮官として船に残り狙撃をエミヤやアタランテと共にしつつ指揮を飛ばしている。

マリーアントワネットは看護婦の真似事だ。

当たり前であるヒーラーとしては一流だからである。

生前ならペルソナチェンジできたから前衛も張れたが。

現在はサーヴァントとしての制限故にペルソナチェンジができず孔明同様一歩下がっての補助が本領だ。

最前線に突っ込んだ第一と第二が緊急事態だったのである。

それはさておき。

船が隣接、白兵戦に移行し戦力差もあってか蹂躙で終わった。

 

「あーこれ以上。捕虜や奴隷を囲い込むのは無理があんぞ」

 

イアソンは接収を終えて達哉とオルガマリーにそういった。

いくら。三隻ニコイチの船とはいえ。収容には限度というものがある。

加えて交易用及び奴隷や捕虜に渡すための食料を除く通常食料はこれ以上人を乗せれば限界ラインに達していた。

捕虜と奴隷は何も救助してハイおしまいという話ではないのだ。

解放後、職に就くまでの一定の食料を渡す必要がある。

無論それは救出した責任を果たすのと同時に、恩を売りさばいておき。噂をばら撒き拡散させるための手段の一つでもあるからだ。

まぁそれでも限度はあるというものだ。

収容人数が限界に達しつつある位以上これ以上の収容はイアソンとしても認められない事なのだ。

次に海賊船と交戦したら火力で分からせて追い払うしかないだろう。

そうしなければ共倒れだ。

必然的に捕虜や奴隷も見捨てなくてはならない。

イアソンから見ても三人は普通のメンタルだ英雄のようにガンギマリではない。

故にさっさと次の島に到着し、救出した人たちに金品持たせて解放して空きを作りたいのが本音だった。

故に今のボヤキである。

 

「そうですなぁ。イアソン殿のいう通りですぞ。いつまでも穀潰し共を養っているわけにはいきませんからな。手切れ金と噂を渡して早く解放せねば。マスターたちのメンタル面の悪化に直結しかねねぇからなぁ」

 

それにティーチも同意。とにかく死んでもマスターとマシュのメンタルは守る。

ニャルラトホテプという存在がいる以上メンタリティ勝負の側面もあるのだから当たり前だ。

そして当の三人は黄金の鹿号の隅っこでカップヌードル(日清)をつつきながら談話していた。

 

「タツヤ、ぼくたちものりこまなくていいの?」

「いいんだ。過剰戦力になりつつあるしな」

「先輩のいう通りです、これじゃどっちが海賊かわかりません」

 

敵船から聞こえてくるヒャッハー声は味方の物、代わりに聞こえてくる悲鳴は敵の物とくればもうどっちが良いもんなのか悪もんなのかわかったもんじゃない。

そんないつもの光景は開始十分もせずに終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで闘争が終わり。

不要な人材をサモライザーに戻して達哉は甲板で仕事をしていた。

オルガマリーとシグルド、それとブリュンヒルデは特製の氷室(魔術で再現した現代と同等の氷室)の中で魔獣の解体作業や皮の鞣し作業に従事しているし。

マシュも孔明と記録の整理などを行っていた。

そこにエミヤが甲板に出てくるなり

 

「マグロ!! ご期待ください!!」

「どうした? 急に?」

 

エミヤの宣言に真顔で達哉が突っ込んだ。

エミヤの姿はいつもの服装に腕まくり、頭には布鉢巻といったありさまで。

両手には投影したマグロ用の釣り糸と針が握られていた。

もうちょっと装備をマシにすれば大間のマグロ漁師に見えるだろう。

そのくらいエミヤの様子はおかしかった。

 

「いい加減私は魚が食べたい、海流がおかしい今ならマグロも取れるかもしれない、そうだろ!? マスター!!」

「いったん落ち着け!!というか第二でカサゴの煮つけ食べただろうが!!」

「刺身とかタタキとか生系の魚料理が食いたいのだ!!」

 

エミヤ完全に錯乱状態である、

これには理由があった。

黄金牢でのストレスである。本来ならエミヤがデミヤになるようなことを行った。

如何に幻影と言えど大河の首を斬り飛ばしたのだ。

加えてただ幸せになりたいと教団に縋った人々を殺したこともある

そして常日頃施設修繕に酷使される扱い&強制洗脳である。

そしてカルデアの食事事情だ。

マスターとマシュ以外は基本レトルトか何かをトチ狂ってしまったのかアマネが制止したのに前所長が購入を強行。

おそらく栄養価でのみ評価され購入されたそれらは保存庫に大量保存されている。

米国軍製の糞まずいレーションと来ている。

素材が余った場合のみ、保安部で身の上事情がなければ殺し屋にならず、アマネに拾われて軍に所属しそれ経由でカルデア保安部にならず、中華料理屋で大成していたとされるウォン・カイコーと。

我らが和食の達人ではないにしろなかなかの腕前を持つエミヤが食堂に立つという機会は実に少ないのだ。

故に暴走した。

深層心理まで刻み込んだ洗脳とトラウマ&やりたいことができないという事でついに暴発したのである。

もうお前英雄降りて料理人にでもなれ案件だが。

 

「と言うわけで。達哉もアステリオスもマグロを釣るのだ」

「ぼくも!?」

 

そして達哉と一緒に作業していたアステリオスまでエミヤの暴走に巻き込まれる羽目になる。

 

「今、海域は神秘で満ちているはずだ!! 大物が釣れるぞぉ、クク、ハァァハハハハハ!!」

「エミヤ着いていくから肩から手を放してくれ!! 痛いぞ!!」

「イタイ!! イタイ!!」

 

暴走状態のエミヤは筋力がオーバーフローでもしているのか達哉は兎にも角にも巨体を誇るアステリオスですら片手で引きずって船尾へと連れて行くのだった。

 

 

 

 

 

黄金の鹿号は無論マグロ漁船ではない故にマグロ釣りの装備はない。

故にエミヤが投影した釣り具を使うことになる。

以外ではあるが。釣り竿で100kオーバーの大物を釣ることは可能なのだ。

ロッドは7フィートの物をチョイス、リールは30000(PE12号)台の物を使用。

そのほかもエミヤが生きていた時点で目にした最新鋭の物を使用した本格仕様だ。

 

「マグロ! ご期待ください!!」

「ねぇタツヤ・・・エミヤずっとあんなふうだけど大丈夫?」

「もう成るがままだろうってやつだ。」

 

エミヤの狂乱状態は収まらない。

ずっとこんなテンションだけど大丈夫?とアステリオスは心配するが。

達哉はあきらめの境地に達していた。

あと釣ったとしても絶対オルガマリーに怒られるんだろうなとも思っていた。

如何に現代の冷蔵庫を魔術などで再現したりペルソナでの瞬間冷凍が可能とはいえ。

この時代の外国ではマグロは主食ではない大物を釣り上げたところで余るのは目に見えている。

何無駄に時間浪費してんだと怒られるのは目に見えていた。

マグロ一本釣りの経験は達哉にはない。アステリオスにもない。

無論エミヤに当然あるはずもなく。下手しなくても坊主の可能性は実に高い。

第一。魚群を捕えなければ話にもならない訳で。マグロ漁が積極的に行われるようになるのは明治を待たなければならないのである。

故に一本釣りなんぞ不可能だ。だからプロという職業が成り立つわけで。

案の定。

 

「マグロ・・・ まぐろ・・・」

「タツヤ、エミヤの様子がおかしくなっちゃったよ?」

「そりゃ彼此二時間は経過して釣れないからな」

 

坊主である。全てがマグロ特化の装備だ。

まぁカツオくらいは掛かるかと思うが世の中そんなに甘くはない。

そろそろエミヤばかりにも付き合ってられない、達哉には達哉のアステリオスにはアステリオスの仕事があるのだ。

 

「アステリオスに達哉なにやってるの?」

「あ、エウリュアレ」

 

そこにエウリュアレがやってくる。

言っては何だが彼女、技能スキルがまったくもってない。

それはサーヴァントとしての戦闘スキルとかではなく。それらに表示されないスキル。

家事とか物を作るとかの生前身に付けていたごく普遍的なものである。

元々女神だった彼女は周囲からの貢ぎ物もあったし、面倒ごとはメドゥーサにぶん投げである。

故に精々できるのが歌って皆を鼓舞することくらいか。

だから暇して船内をうろついて誰かにちょっかいをかけるのが今のところの趣味だった。

なお、料理中のオルガマリーに手を出して、包丁両手、顔面般若顔になったオルガマリーに全力で追っかけられ半べそを掻きながら達哉とマシュに仲介をお願いしたのは完全な余談だ。

 

「つりしてるの・・・エミヤがどうしてもって・・・」

「そう、わかったわ。あの狂乱に引きずられたのね・・・」

 

アステリオスの説明に狂笑しているエミヤを見てエウリュアレは状況を理解。

ああいう爆発してしまったサーヴァントの行動に巻き込まれれば抗いようがないのもうなずけるというものである。

英雄の類は狂乱すれば災害と変わぬが故だ。

そしてその時である。

エウリュアレの幸運EXが効いたのかアステリオスの竿に反応あり。

 

「エミヤ、タツヤ、つりざおにハンノウがきた!!」

 

そう叫びながらアステリオスが合わせる、糸が激しく動いた。

完全に針が食い込んだ証拠である。

 

「よし逃がすなよ!!」

「といわれてもぉ!?」

 

エミヤはガッツポーズをするが、アステリオスは腕に汗を浮かべて必死に格闘していた。

アステリオスのパワーでも釣り竿ごと持っていかれないので精一杯の引きなのである。

どんな怪物マグロがかかったのか達哉もエウリュアレも気になることだった。

エミヤと達哉がちゃっちゃと自分たちのリールを巻き取り、アステリオスの補佐に入る。

その瞬間だったリールが動かないどころか三人かかりで引きずられていく。

 

「なんだこれは・・・ッ!?」

 

達哉もアステリオスも歯を食いしばる。

尋常ならざる引きに圧倒された。

はっきり言っておかしいのだ。

考えても見てほしいサーヴァント二人に最上級ペルソナ使いである。

身体能力と体力は人類の範疇にないのだ。

それが一方的に負けているというのは実におかしい状況だった。

 

『ちょっと、達哉君!! 海中から大型魔力反応検知!! 船尾後方からくるから。気を付けて!!』

 

各種センサ系から送られる情報をロマニが読み上げ達哉に警告。

となるとリールの先には大型の幻想種の可能性が高い。

更にこちらに向かってきているという、それは糸が緩むという事だ。

獲物が疲れたと誤認したエミヤとアステリオスはここぞとばかりにリールを巻く。

エウリュアレが暢気に応援してさらにブースト。

あれ? これまずくないかとと思った時である。

 

『敵影接近、来るよ』

 

事態がさらに悪化。

もう釣り上げる気で満面の笑顔のエミヤとアステリオス。

そしてまるで大型爆弾が海面で炸裂したかのように水飛沫を上げ現れたのは。

 

「「「ク、クラーケンだぁぁあああああ!?」」」

 

今自分たちが乗船している黄金の鹿号に匹敵する巨躯を持つ大王イカ。

神秘濃度の上昇で異常発達し巨大化した幻想種とかしたものである。

即ち、数多の船乗りの間で語られる幻想の怪物「クラーケン」だった。

そして振動、クラーケンの足が船に巻き付いたのだ。

 

「コール!! クーフーリン!!」

 

サモライザーを抜き放ち。ケルト版ヘラクレスにして化け物退治の専門家たるクーフーリンを呼び出す。

 

「なんだ? 今は出番はないはずって、なんじゃこりゃ!?」

 

今頃マスターたちは優雅な船旅している頃だとてっきり思っていったクーフーリンは目の前の状況に驚愕。

そうしている間にも、足の一本が振りかざされ叩きつけられんとする。

 

「シヴァ! 冥界波!!」

 

それを達哉がシヴァ呼び出して切断し阻止。

クラーケンの質量で叩きつけでもされたらたまったものではない。

船が一撃で轟沈しかねないのだ。

更に船も締め上げられており、このままじゃ沈没一直線だ。

加えてぶった切った足が即座に再生する。

とんでもない怪物に当たってしまったものだと。達哉は鞘から孫六を抜き放ちため息を吐いた。

 

「アンタたちぃ!? 何やらかしたぁ?!」

「所長、俺たちはマグロ釣りを「だまらっしゃぁい!!」」

 

そして船の振動に驚き、ロマニから状況を聞いたオルガマリーとブリュンヒルデにシグルドが飛び出てきた。

案の定仕事ほっぽり出してマグロ漁なんかしていたことにご立腹である

 

「事が終わったらアンタたち説教ね!!」

「ちがっ、俺とアステリオスはエミヤに無理やりやらされたんだ!!」

「タツヤのいうとおりだよ、ぼくたち無理やり引っ張り出されただけで・・・」

「そうよ、アステリオスと達哉はエミヤに無理やりに引っ張り出されただけで仕事はそれまでキチンとしてたわよ!!」

「え!?」

 

まさかのエミヤ責任の擦り付けに合うの巻き。

いきなり全責任を擦り付けられたエミヤは唖然の声を上げるが。

いや誰だってぶち切れオルガマリーの説教に遭いたくない。

マシュから達哉は以前聞かされていた切れたオルガマリーの説教は長時間に及ぶことを。

故に全力で擦り付ける。アステリオスも同様、エウリュアレも援護に入る。

というか無理やり引っ張り出されたのは実際に事実なわけで。この場の責任はエミヤにあると言っても過言ではない。

 

「そんなことはどうでもいいから、てめぇらも見てねぇで手伝え!!」

 

そうこうしている内にクラーケンの対応はクーフーリン単騎で行われていた。

半ば涙目で応戦するクーフーリンを見て皆が現状を思い出し。

戦闘態勢に入る。

 

「イカなんてねぇ・・・一撃でシメれんのよ! ロマニ、クーフーリンと私の視覚を同期させて。クーフーリンは宝具抜きで全力投擲準備!! 目標は私の視覚焦点に合わせて頂戴!!」

『了解しました!!』

「わかったぜ!!」

 

動作と作業は一瞬にして完了。

視覚が同期されオルガマリーが狙っている場所が分かったからそこを狙ってクーフーリンが槍を全力投球した。

狙いはクラーケンの両目の間少し上の部分である。

そこに槍が直撃。クーフーリンの剛力と投擲方であれば通常投擲でも下手な宝具を凌駕する。

それがクラーケンの眉間少し上に直撃し貫通した。

いくら巨大であっても所詮は軟体動物は自重を支える筋力しかないティエール騒乱で出てきた祭神より遥かに弱いのである。

故に槍の一撃がクラーケンを貫きシメたのだった。

ようはイカを絞めるのと同じ原理である。

イカには神経系がありそこをナイフとかで突き刺せば締めれるように。

クーフーリンの一撃クラスの投擲が炸裂すればクラーケンとて弱点は変わらないので。

一撃で倒せるという寸法だった。

ゆっくりとクラーケンが巻き付けていた足を解き仰向けに倒れ再度水飛沫を上げつつ水面に倒れた。

ぷかぷかと浮ているが。

 

「どうする? 回収するか?」

「大王イカなんて食えたもんじゃないし、無視で」

「承知した」

 

シグルドの問いにオルガマリーは放置を選択。

大王イカはアンモニアの入った液胞を持ち独特の臭みがある。はっきり言ってしまえばしょんべん臭いし塩辛い。

それでもスルメとかにすれば何とか食えるが。

クラーケンほどの巨体となればおそらくではあるが食えたもんじゃないのは確定しているし。

船の補強材に使える部位があるとも思えないからだ。

故に放置一択となる。

それはさておきと。

 

「エミヤ、アナタ、サモライザーに戻って”再調整”ね」

 

にっこり事態を引き起こしたエミヤに対して処刑宣告を告げた。

今回の事態は暴走するエミヤに責任があると言っても過言ではない。

 

「タツヤ、アステリオス、アンタたちも説教ね」

 

だがかと言って止めなかった達哉たちにも非がないとも言い切れない。

説教は避けられなかった。

がっくりと項垂れる達哉とアステリオス。

そして。

 

「再調整はいやだぁぁああああ!!」

「尋常にしてくれエミヤ殿」

「シグルドの言うとおりです、おとなしくしてください」

 

格上につかまれ再調整は嫌だと叫びながらもがくエミヤと。

ため息交じりにエミヤを捕縛するシグルド夫妻。

そしてにっこりとほほ笑むオルガマリーは自身のサモライザーを抜き、標準をエミヤに合わせ。

彼をデータバンクに戻した。

 

「ダヴィンチ、エミヤの再調整よろしく」

『ちゃんをつけてくれ給えよ、けれど再調整ってのはやりすぎじゃ・・・』

「再洗脳ってことを言ってるわけじゃないのよ。黄金牢で何かあったんでしょ? それをエミヤは消化しきれていない。とりあえずあいつの腹割らせて話し合ってフォロー入れておいてこっちはこっちでいっぱいいっぱいだから」

『そういう事なら、あらほらさっさー了解しましたよ所長』

 

再調整といっても実際はカウンセリングだ。

迫られたらそりゃ洗脳も容認するが今はそういう状況じゃない。

エミヤも達哉と同様抱え込むタイプだ定期的に腹割って話さないとこう暴走するからカウンセリングの為にサモライザーに戻したのだ。

再洗脳した方が楽だろうが、それをすれば外道に落ちるし本人のポテンシャルが発揮しきれない。

人形と化したサーヴァントを引きつれて勝てるならそうするだろうが。

相手はニャルラトホテプ。己が人生という答えで立ち向かわなければ勝てぬ相手だ。

だからサーヴァントを使い魔としてではなく隣人として戦友として扱うのもそういう理由がある。

達哉は一度打ち勝ったとはいえまだ人生半ば次も確実っというわけでもない。

そしてオルガマリーもマシュもまだ歩き始めたばかりなのだ。

故に英霊たちの保持する人生観というものが必要になるのは必須と言う訳であるし。

第一洗脳なんて個人尊厳を傷つける手段を取りたくないというのはオルガマリー掛け値なしの本音である。

彼女の魔術師としての枷は外れている、故に一魔術師としては甘くとも正道の選択を取れるのだ。

 

「さて」

 

オルガマリーが達哉とアステリオスを優雅な微笑みで見据えた。

 

「説教よ」

 

達哉とアステリオスは項垂れるほかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説教が終わり夜が来た。

達哉は疲れこそしたがまだ体が動いていた。夢見も最近悪い。

こういう時に限ってよくない事が起きると経験則が告げている。

故に甲板に出て趣味の星見でもしようかと思ったわけだ見回りも兼ねてだ。

そうするとランタンの明かりを頼りに本を読むマシュと。

それを覗き込みながら雑談するオルガマリーがいた。

二人が仲良く語り合っているのだ。邪魔するのもアレかなと達哉は別の場所で天体観測でもしようかと思い立ったが。

 

「あっ先輩」

 

マシュに感づかれた

 

「俺なんか気にする必要はないぞ」

「タツヤはまたそういうことを言う、良いからこっち来なさい」

 

気にする必要はないと達哉は言うが。

そういうところが悪い癖だと遠回しにオルガマリーに言われ。

苦笑しつつ彼女たちのもとに向かい無造作に隣に座った。

星々は美しく輝いている。だが人理光帯の不気味さは相変わらずだ。

初日はオルガマリーは吐いたが今は慣れたのか気にする様子もない。

いちいち空を見上げて吐いていてはしょうもないし、いい加減なれるというものだ。

 

「それで二人は何をしてるんだ?」

「マシュがね、夢を見つけたんですって、だから相談受けていたわけ」

「そうなのか?」

「はい、でも先輩を除け者にしたわけじゃないんですよ? 相談しに行こうと思ったら、所長が通りかかったので絡まれまして、はい・・・」

 

マシュがそういう。オルガマリーはほろ酔っていた。

昼間の疲れを癒すためだろう。

酒を入れたのだ。

悪い癖になりつつあるなと達哉は苦笑しながら。

この特異点の攻略後。ロマニに治療を訴えるべきだと決意した。

飲酒は程々にという奴である。

そして星を見上げつつ達哉はマシュに問うた。

 

「将来の夢、決まったんだって?」

「はい、作家になろうと思ったんです」

「作家か?」

「いろいろ考えてみたんですけど。私がこれだって思える職はこれしかなくて・・・」

「いろいろ書きだめているのか?」

「はい、まずはフィクション扱いでジャンルはファンタジィでこの人理修復の旅を本にしてみたいんです」

 

まずはフィクション扱いでこの旅路を本にしてみたいとマシュは語る。

ノンフィクションでは誰も信じないし魔術協会も動くがフィクション扱いなら誰も気にせず娯楽として受け止めるだろう。

 

「皆さんの苦行や覚悟に信念をどのような形であれ残しておきたいんです」

 

歴史書では語られなかった英雄たちの苦難、覚悟、信念、答えをどのような形であれ残しておきたいという事もある。

この旅を通して触れてきたことすべてを残しておきたいと。

おそらくは私の書く本もまた。私の生身の肉体と同様にいつかは死ぬことになるだろうっと誰かが言ったが。

実際に死ぬことはない。

書籍の電子化が激しい今日、国境を越え電子の海で保存され続けるのだから。

売れさえすれば本に蓄えられた言葉や知識が死ぬことはない。

もっとも国々の翻訳の言葉のずれで湾曲解釈が死とすれば死なのだろうが。

それでも残すことに意味がある。

マルクスの共産主義とて一見見方を変えれば邪悪な本も、見方によっては反面教師として使えるから残っている。

ヒトラーの自伝だってそうだ。

一度生まれたものはそう簡単には死なない、絶対に何かしらの形で残るものだからだ。

だから作家になって残したいというのはマシュの願いであり夢だった。

英雄たちに触発され彼らのように後生に何かを残したいという願いを持ったのだ。

 

「良いんじゃないかな? マシュに合う職だと思う。」

 

達哉はそう肯定した。

マシュは小まめに日記を書き記している。

文法も問題ないだろう。

と言ってもオルガマリーは心配だった。

 

「でもねぇ達哉、好きを仕事にすると大変よ?」

「まぁそれはそうだが、俺も所長も、マシュの夢に文句言えた立場じゃないだろ」

「うっぐ、そりゃそうだけどさぁ」

 

達哉もオルガマリーも好きなことを職にしたい人間だ。

マシュを非難する資格はない、あえて言うなら助言程度か。

 

「それでも。もしこの話が受けたとして次があるじゃない? それに何がウケるかわからない今日、話しの幅とストックは重要じゃないのよ」

「確かに所長の言う事も一理ある、そこらへんはどうなんだ? マシュ?」

「この旅の事は日記を清書すればいいだけなので。あとは推理物やファンタジーも実は少しずつですけど書き留めています」

 

マシュはそういった。

好きな事を職にするのは辛いが、そこに明確なプランがないから辛くなるだけで。

プランさえ上手く行けばそうでもない。

実際達哉やオルガマリーは現実的プランを立てていた。

最も達哉の場合はオルガマリーに引きずられる形ではあるけれども。

これが終わったらそうすると決めている。

マシュも実際、この旅が終わったらアムニスフィア家預かりとなるわけだから作家をするのに支障はなかった。

そして他の話も骨子は作っていった。

カルデアはネタに尽きない場所でもある、一人のサーヴァントから話を聞くだけでインスピレーションがわいてくるのも道理とも言えよう。

 

「なら安心だな」

「ええ安心ね」

 

ウケるかはどうかは分からないが友人が慎重に夢を目指していることにホッとする二人。

 

「あっ」

「どうしましたか? 所長?」

「どうかしたか? 所長?」

 

突然思い出したかのように声を上げた。

 

「あの、そのね、公的状況では所長でいいけど。プライベートの時はタツヤやマシュにはオルガって呼んで欲しいな~って思ってさ」

「そりゃまたなんでです?」

「肩凝るのよ、それに親友だもの愛称で呼んで欲しいって気持ちもあるわけ。わかった?!」

「わかった今度からそうする」

「先輩に同意します。プライベートの時はそう呼ばせてもらいます」

 

若干顔を恥ずかしさから赤らめさせてそういうオルガマリーに二人は気軽に同意した。

よく考えればプライベートを共有する身でもある。

そこまで所長呼びではオルガマリーの心理的肩が凝るだろうと潔く二人は同意したし。やっと本当の意味で親友になれた感覚も悪くはなかった。

その時であるどすどすと音を立てて、肩にエウリュアレを乗せたアステリオスが甲板に出てきた。

 

「あっアステリオス~、アンタも眠れないの?」

「ん、そうだけど」

「なら一緒に飲みましょうよ」

「でも」

「いいじゃない、アステリオス、向こうからのお誘いなんだし乗ったら?」

「エウリュアレは?」

「無論、相乗りするわ、現代の酒、どれほどの物か気になるし」

 

オルガマリーはそういって二人を誘う。

そういえば飲んでたなオルガマリーと内心で思いつつオルガマリーの手元を見るとシャトー・オーブリオン・ブランの当たり年に作られた15年物の高級ワインだった。

まだ半分ほどしか飲んでおらず複数人に振舞うくらいには残っている。

ちなみにこれ、マリスビリーから遺産相続された物の一つでオルガマリーのとっておきだったりする。

それがエウリュアレ的には気になったらしい。

ツマミはオルガマリーの手作りの鯛のアクアパッツアだった。

身をあらかじめほぐして食べやすいようにしている。

ご同伴に預かり。エウリュアレもワイングラスを渡され一口飲む。

 

「未来ってすごいのね。技術だけでここまで出せるなんて」

 

神秘を含まずここまで出せることに驚愕していた。

時代が時代なら神に献上するべき品でと同等である。というか神代でこれレベルの味が出てきたらケラウノス確定である、神秘を零落させるとして。

そのレベルだからこそ神秘含有率無しかつ神秘的工程をえていないのだから女神としては驚愕物だ。

 

「それで二人ででてきたってことは悩み事か?」

 

最近のアステリオスは悩んでいる風だった。

一緒に仕事をしていた達哉が感じていることでもあった。

所謂、同類の匂いをかぎ取ったのである。

 

「うん、ぼくはいっぱいたべてきた。ひとをいっぱいくいころしてきた」

「それは「待て所長・・・俺が引き受ける」タツヤ・・・」

 

ここでオルガマリーやマシュでは説得力が出せない。

当たり前だ。まだ何一つやらかしていないのだから。

罪を知るものを導けるのはまた罪を背負う者ゆえにだ。

 

「アステリオスいいか? 贖罪の道に終わりはないんだよ」

「タツヤ」

「許されるのは人生が終わった時だけだ。厳しい言い方をするが。世界ふっ飛ばして俺がまだ生きているように。英雄の座に登録されたこと自体が断罪なんだよ」

 

そう死は逃げだ責任ほっぽり出して逃げる行為でしかない。

罪には相応の罰が下される。どんな形であれ必ず運命は贖罪を迫ってくるものだ。

達哉はいまだなお生きて英雄譚を走らされていること。

アステリオスは英雄の座に登録され化け物として断罪され続けることなのだ。

 

「だから罪ばかりに目を向けるのもよくない、罰にちゃんと目を向け生きて生きてどうするかを示さなければならないんだ」

「タツヤ」

「俺は楽しさに付随するこの痛みも背負って生きていく、楽しいことがあっても罪で苦しみながら罪を背負って生きていくそう決めた。だから厳しいことを言うかもしれないが怪物という言葉に逃げないでほしい、人間というアステリオス個人として戦い抜く。それしかないんだ」

 

そう贖罪に甘えは許されない幸せを手に入れたとしても付随する罪悪感の業火に焼かれながら生きていくほかないのだ。

そしてどう生きて生き様で示すしかない。それが贖罪となるがゆえにだ。

贖罪とはいっぺんに清算できない。故に長い道のりとなるのだ。

いっぺんに清算しようとするから、平行世界で行われる聖杯戦争の類はひっどいことになる故だ。

 

「・・・タツヤはそれでいいの?」

「ああ、それでいい、自分のしでかしたことも真実だ。だからこそ誓った。俺は、もう二度と背中を見せない、犯した罪にも自分にもだ」

 

この重い真実と罪と罰、自分を直視し背負っていくとアステリオスに言い聞かせて見せた。

 

「・・・」

「どうかしましたか?エウリュアレさん」

 

そのやり取りを若干の渋面で見ていたエウリュアレの様子に気づいたマシュが気遣う。

 

「いやね、もっと早く彼やアナタたちと出会いたかった。そうすればアステリオスもこんな様にならなかっただろうし、私もメドゥーサを・・・」

「エウリュアレさん・・・」

 

エウリュアレも慙愧を抱えている。メドゥーサの事だ。

故にこう思うわけだああなる前に彼らと出会えていればと。

だがそうはならなかった。

なる前に終わった、幕は引かれ英雄たちは座に座った。

それだけである。

 

「あーもう、後ろ暗いことばっか言ってないでよ、酒が不味くなるじゃない」

「すまない」

「謝らないでよ、それが真理ってやつだし、とにかく今は飲んでこれからを明るく前向きにどうするか考えましょうよ!! ね!!」

 

とにかく暗い話題になりつつあったので負のスパイラルになりそうだったので。

オルガマリーが強引に話題を打ち切り二本目のワインを出す。

余談となるが五人とも二日酔いになったのでロマニの説教が飛びつつ特異点攻略まで過度な飲酒は禁じられるのは完全な余談であった。

 




マシュの夢、英国版、奈須きのこになりたいってよ。
それはさておき、すいません遅れました。なんせパソコン室にクーラーないもんで。
鬱が夏バテで悪化して倒れておりましたのとACに集中しておりました。AC6面白すぎんだろ!!
あと最近とある理由で四肢を全力稼働を久々にしたもんで筋肉痛で動かせなくて遅れました
というわけで今回は日常回。
マップが広大だからこういう何もしないこと船を動かすという専門技術が必要だからたっちゃんたちがすることがねぇというわけです。
まぁ第三特異点の日常回は今回だけ書いて置いて次回からこういった地味日常回はキンクリしますけどね。

あとデミヤの過去が判明しましたね。
そのせいで本作だとデミヤ、案の定ニャルラトホテプに絡まれより悲惨なことになってます。
主に藤姉周りの悪化、レスバでの敗北等々でボコボコに。
そのあとはまぁ原作通りですがキアラを倒す際にニャルラトホテプの化身を倒すためにニャルラトホテプと契約したせいで守護者入り。


デミヤ「血涙」
キアラ「お可愛さそうなことwwwww」(両肩ぽん)









キアラ「え?」
ニャル「オメーも只で済むと思うなよ!!wwwwwww」
マーラ様「我が世の春がキター!!(*´ω`*)」






キアラ「え?」




というわけで次回もよろしくお願いします。
次はある意味たっちゃんと縁深い月の女神様とぬいぐるみ回でお送りしたいと思います。
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