Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
一定量の心配や苦痛、苦労は、いつも、だれにも必要である。
ショーペンハウアー
「驚いたわね」
メディアはそう嘆息しつつ、ティーカップを机の上に置いた。
目線の先ではゼイゼイと喘いでいるオルガマリーと。逆にかめはめ波を出そうと必死になっている小学生の如き様相を呈している達哉がいた。
出航まで暇だという事もあってメディアが魔術の稽古を孔明代わりに二人に着けていたのである。
前にも話した通り達哉は一般人だ。
特別な才能など無いと言われる。
それこそ主要時間軸の主演たる藤丸よりないだろう。
なぜかと言えばコミュニケーション能力とて一種の才能だ。
あらゆる英雄を絆させるという才能に加えて素でレイシフト適正がMAXなのである。
それに貧弱ではあるが魔術回路を持ち合わせている。
では達哉はどうかと言われると。ない。
そう何もないのだ。
剣術が優れるのは幼少期に兄に仕込まれ。ニャルラトホテプと対峙するべく鍛え上げたからでありもとより才能はない。
レイシフト適正やサーヴァントへの魔力供給もフィレモンと契約しペルソナ能力を得たからこそペルソナで代用しているに過ぎない。
コミュニケーション能力も明確に劣っている。
達哉は誰とてでも仲良くはできない。
故にメディアに魔術を教えられても使えないのが現状だった。
ハードウェアに対してソフトウェアが貧弱と言えばいいか。
対してオルガマリーは魔術師的血の家系で古き手段で調整され生まれてきた天才である。
キリシュタリアという大天才が横にいたから霞んではいるが、十分彼女だって向こう側の人間だ。
魔術抜きでの才能ならキリシュタリアより上でもある。
閑話休題
故に其処にペルソナ能力も加わればメディアクラスの魔術だって鍛錬すれば現代でも行使可能だ。
最も先ほども述べた通り時間があればの話ではあるが。
現状薬草学以外は劣化の劣化も良いところ。
如何に神代の魔術、一長一短に覚えられるほど生温い物ではないのだ。
だからぜぇぜぇと喘ぎ声をあげてオルガマリーは仰向けに倒れて伸びているわけで。
「坊やは才能無いわね、本当に」
「なんかスイマセン」
「謝らないで頂戴、できないことはできないのだから。けれど対策を練るために知識を得ようとする姿勢は嫌いじゃないわ」
まず物事への対処法というのは知恵をつけることから始める。
知らなければ物事に対応できないのは当然なのだから。
だから才能無くとも実践できなくとも対応できるために知識として身に着けようという達哉の姿勢はメディアは嫌いにならなかった。
むしろ好ましい部類に入る。
「それより所長にはきつくやっていたようだが・・・」
「教えれば行使できるなら私もキツク行くわよ。というか私の師匠も知恵を教え込むなら兎にも角にも実践編となればこの三倍はきつかったし」
メディアは遠い目をしながらそういった。
彼女は彼女なりに手心加えていたらしい。
「まぁそれより、今日の鍛錬は此処までね」
二人ともへばっている。
達哉は勉強と多少の実地で済んでいるがオルガマリーは両方できる生徒なためメディアも熱が入った。
それにカルデアとの契約もある。
ここいらが潮時という奴だった。
という訳でへばったオルガマリーを達哉が背負い。
メディアと共に港へと移動する。
其処では忙しなく竜牙兵が作業し強化の為にシグルド、ブリュンヒルデ、クーフーリンも忙しなくルーンを刻んでいく。
無論強化魔術出来るエミヤはバーベキューの時のお返しとばかりに酷使されていた。南無。
「お疲れ様です。先輩、所長」
「ゼーハ・・・ゼーハァ・・・船の進捗状況は?」
「所長、すっごい疲れているようですけど。大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、魔術回路と刻印とペルソナを魔術回路として酷使しただけだから・・・」
「それでも限界まで酷使してますよね? その様子だと」
「体力的には問題ないわ、冷えピタを額に張っておけば一時間くらいで何とかなるわよ」
魔術の鍛錬は神経の酷使に近い。
故に体力的には消耗はないのだが。神経を酷使する以上、プロ将棋やチェスみたいな消耗は発生するのである。
つまり冷えピタはって食事をとれば抜ける疲れだ。
だから体力的には問題ない、されど精神的疲労はすさまじい。
「今日はおとなしくしておけ。その様子じゃ返って邪魔だ」
「・・・そうかしら?」
「所長、先輩の言うとおりです、邪魔になるんでおとなしく寝ていてください」
そんな日々が続き。
メディアと別れを告げ次の島へと向かう。
「驚くほど順調だねぇ、いやな感じだ」
「ああ驚くほど順調だ。逆に寒気がしてきたぜ」
次の島へと向かう道中は驚くほど順調だった。
海賊との交戦があるわけでもなくかと言って帆船特有の風にになやまされる事態という事も少なく航路が安定していた。
噂結界の効力が出ているのか偶々なのかは今のところ判別がつかない。
凪のような状態のお陰でカルデアスタッフも何時もより休憩時間多めのルーティンワークで過ごせているから。
ありがたいと言えばありがたいことだが。
故に誘い込まれているかのような気がして船乗りとしての経験が二人の脳裏に嫌な気を流してぼやかせるわけである
だが結局は杞憂だったのか数日の航海を終えて次の島へと到着したわけである。
カルデアは通常運営にに戻った。
「ダヴィンチ、島内のサーチをお願い」
『ちゃんを付けてくれ給えよ所長。それなら数分で終わる。目的はダビデだね?』
「ええ、そうよ、でも一つ気になるわ」
「ポセイドンに対する切り札の事ですね?」
「ええそうよ、ダビデにそういった逸話はないはず」
羊飼いから身を起こし数々の偉業を成し遂げてイスラエルの王となった男。
魔術史においては表の歴史よりも重要視され多くの魔術師が基盤として使っている魔術の祖とも言える存在、ソロモン王の父でもある。
だが立志伝とは言うなれば血塗られた歴史である故に彼の神殿建築は許されなかった。
総合してみると故に文武両道。
英雄にふさわしい功績の持ち主である。
技量に関してもゴリアテを倒した投擲術、筋力に関しても鉄を曲げて鎧を作ったという剛腕。
軍を率いてイスラエルを取った手腕。
確かに味方にできればこの上ない良物件ではある。
だが対ポセイドンにおいて切り札持ちとなると首を傾げずには、全員、居られなかった。
確かにダビデは上位サーヴァントに数えても良いだろう。
だが大火力持ちという逸話はどこにもない。
何が切り札になるのだろうかと誰もが思う訳で。
「まさか石の投擲がかめ●め波みたいなやつで、五発目には対象特攻の気波みたいな奴だったりとか」
「先輩、いくらなんでもそれは・・・」
「いやだってな。マシュ、エクスカリバーなんかが特にその類だったじゃないか、原点だと壊れない剣ってしか記述ないのにビーム出したし、クーフーリンに書文さんや宗矩さん以外、全員伝承にはなかったりズレていたり変化していたりで当てにならないじゃないか」
「それはそうですけど」
伝記や過去の記録は予想図にしかならない。
アーサー王やドレイクに黒髭、その他多数が頓珍漢になっている以上。
達哉の荒唐無稽な想像も下手すりゃ的を得ている可能性だって捨てきれないことに。
マシュは項垂れるしかなかった。
そりゃ歴女のマシュにとって拡大解釈もやり過ぎだという事も多々あり。
彼女の歴史観はもう無茶苦茶である。
彼女の心境を簡単に言い表すなならばアーネンエルベの一日を見ようと思って買った本が中身がアキバ冥土戦争だったという衝撃と同じくらいには衝撃的だったりする。
それぐらい齟齬が酷いのだ歴史家仕事しろというレベルであろう。
最もそう思っているのはカルデアスタッフとオルガマリーにマシュで達哉自身は世界違いの齟齬くらいにしか思っていなかったりする。
尚、達哉の世界は世界でもっと混沌としているのだが本人は知らなかったりする。
閑話休題。
「交渉は私、マシュ、タツヤで行くわ」
「マスターそれは危険すぎじゃないかね?」
マスター二人とデミサーヴァント一人で交渉に挑む。
確かに危険な構図ではある。メディア曰く、ポセイドンにすら有効な宝具持ちだ。
即応出来きる時止め持ちの達哉や防御特化のマシュがいるからと言って不安になるのも当然と言えば当然だろう。
だが。
「エミヤよぉ、心配しすぎだぜ。三人とも戦力になるLvだし。達哉が居るんだ。万が一ってことはねぇだろ」
「しかしだだね長可・・・」
「じゃ、おまえ、何でもありの実戦形式で達哉に勝てんのかおめぇ」
「いや無理だが・・・」
何でもありの白兵戦なら達哉はカルデア内で最強である。
ノヴァサイザーによる時止め、ペルソナによる超火力、宗矩が矯正し十文字に合撃や弾きも加えさらに磨きのかかった殺人剣術。
分野では劣るが総合力ではいまだなおトップだ。
特にノヴァサイザーされたらどうしようもない。
最近、宗矩と書文はジャンヌ・オルタと同じで止めた秒数を見切って間合いを取るという方法で破りつつあるが。
それでも今はまだ上手く行っていない。
ジャンヌ・オルタは本当におかしかったという証明である。
あれでも全盛期にはほぼ遠い状態だったのだからさもありなんという奴だ。
閑話休題。
とりあえず交渉で過剰戦力用意しても威圧感を与えるだけでいい事はない。
マシュの盾もある。
何かされたら達哉とマシュが即応するので問題はないと言えた。
「じゃ、ぼくらはつうじょうぎょうむでいいんだね?」
「そうらしいね、アステリオス、槍稽古とかどうだい?」
「やる!!」
いつの間にやら槍使いを暇つぶしにアステリオスに教えていたヘクトールやら。
その他々は通常業務に戻っていく。
「さて俺たちは俺たちの仕事をしますか」
「ですね」
「そうよね」
と言うわけで。ここはマスター二人とデミサーヴァントの出番で仕事と相成るわけだ。
先ずは町で情報収集という形を取ったが。
「速攻で居場所割れたわね」
「だな」
「ですね」
この島内では有名人であったらしく。場所は速攻で割れた。
街はずれの平原で畜産業を営んでいるらしい。
時たま来る船乗りに羊や牛の乳を売ったりしているとか。
それにしてもなぜに羊?と達哉は思い。
マシュも思いこむ。
真実知っているオルガマリーは盛大に顔を引き攣らせた。
「羊なんて何で船乗りが買うんだ? 知っているかマシュ?」
「そこまでは私もわかりません、世界史や国ごとの歴史には自慢ではないですけれど詳しい方ですが、海洋学には詳しくありませんから何とも」
「そういえば黄金の鹿号にも羊飼うスペースがあって飼っている「あーはいはい、無駄話はそこまでよ!!」
「無駄話ってオルガは何か知ってる「女の口から男性の性処理事情なんて言わせないで!!」あっ(察し)」」
豆知識豊富なオルガマリーはなぜ船乗りが羊を買うのかを知っていった。
そしてオルガマリーの言葉に察する二人。
要するにダッチワイフ(意味深気)の代わりという奴である。
こういうことは歴史の豆知識と言う奴で然しもの歴女のマシュもジャンル違いであるがゆえに知らなかったという訳である。
達哉? 1999年代の男子高生にテストにも出やしない事情を察せと言う方が酷であろう。
そしてオルガマリーの言葉に二人とも察してしまったわけで。
なお我らが日本人はそういう目的で羊を送られたのに。ジンギスカンに加工して食ってしまったという歴史の裏話があるのだが今は関係のない話だ。
「そういえば先輩はそういう事大丈夫なんですか?」
マシュ爆弾投下。
気になるものは気になるから仕方がないのである。
「・・・言いたくないが・・・最近そのなんだ、あれだ。息子が起動しないんだ。やる気も出ないし」
その爆弾投下に対し。
さらなる爆弾が投下される。
達哉の息子、起動しない問題である。
「・・・そりゃあんなことあってトラウマ植え付けられて。一年ライフラインが途絶えたところでサバイバル・・・その上人理焼却ですものね、枯果てる以前の気もするわ。ロマニ聞こえてる?」
『聞こえているよ所長』
「全部終わったらそこらへんの治療できる?」
『難しいね。達哉君の場合身体的問題じゃなくて心理的問題だからね。精神カウンセリングとそういった類の投薬やら理解ある恋人作って直していくしかないよ、だから人材がね、居ないんだよ、ね、レオナルド?』
『ロマニの言うとおりさ。まぁ必要があれば起動する薬や妊娠しない薬くらいは作るけどいる?』
「いいやダヴィンチちゃん要らないよ、息子が起動しないことは今の状況下ではある意味いい事だ、処理の手間も省けるしな」
『いいや! 医者の観点から言わせて言わせてもらうけど大問題だよぉ!!』
カルデア勢は知っているし心配もしているし、達哉とオルガマリーとマシュの仲が進展しない事にやきもきしていた。
マーラ事件やらチェイテ事件で一安心もしていたが。
さすがにPTSDによる息子の機能不全とは誰もが思っていなかった事である。
そりゃやる奴はやってる。
魔術には避妊魔術もあるのだ。
それはなぜかと言えば一重に血の選別のため、優秀な母体と個体を選別するという目的があるからである。
ブラッドスポーツ的側面も持つ魔術師の御業という奴であろう。
無論、見過ごせない問題ではある。
チェイテドスケベ事件事件などでマシになったと思っていたら、この有様である。
観測員や記録員が頭を抱えた。
本人がそれでいいと思っているのも質の悪さを増長させる。
『この特異点攻略が終わったら医務室に来るように、分かったね達哉君!! 専門じゃないけど何とかできるように僕頑張ってみるよ』
「別にいいじゃないか?」
『問題は問題だよ!!』
「それで治ったとして次の特異点でもしもが起きて処理中に所長やマシュに見られたら俺の尊厳崩壊するんだが?」
「「上手く見えない所で処理してしてなさい/ください。タツヤ/先輩」」
「おっおう・・・」
このままにしておいた方が良いのではないか、逃げ場はねぇのかと達哉は頭を抱えつつ、三人は情報通りにあぜ道を進んでいく。
すると開けた場所は広大な草原が広がっていた。
そこには羊や牛などが放牧されていた。
「牛や羊って放牧されていた方がストレスなく上質な肉にできあがるのよねぇ」
「そういえば所長って肉好きですよね、自室の隣ぶち抜いて専用の冷凍部屋兼冷蔵部屋にその他機材入れてるくらいですから」
「まぁ肉は好きよ大好きよ、特にイタリアに出張したときキアニーナ牛のビステッカの名店トラットリア・デル・フォルノでビステッカは本当においしかったわ、65日間熟成させた肉を伝統の焼きで焼くのよ。さすがにカルデア内じゃできないから他ので代用してるけどね。あーあと日本のヤキニクも食べてみたいわね。なんだかんだで日本での会食じゃ寿司とかが主だったし。いや寿司も美味しかったけど」
「所長、私が外に出るの禁止なのに出張でいろいろ食べまくってたんですね」
「そんな目で見ないでよマシュ・・・仕事の一環だもの。時には食べた気しなかったし。行くも戻るも大変なんだから勘弁してよ」
マシュはつい最近まで軟禁処置だった。
施設内を出歩くのさえ一年前まで禁止されていたのである。
故に各国の魔術のお偉い方と会食で美味いもん食っていったという事実にジト目をマシュはオルガマリーに送るが。
当の本人は当時は気が気ではないのだから勘弁してくれと弁明する。
「この特異点終わったら秘蔵のキアニーナ牛出してあげるから勘弁して頂戴」
「あるのか? キアニーナ牛」
「あるわよ~熟成もちょうどいい感じだったから美味しいわよ、最も炭火で焼くわけにいかないから本家には劣るけどね」
そんな食事談義をしつつ三人はついにダビデが居ると思われる、コテージの元にたどり着く。
丁寧に呼び鈴がついていたので鳴らしてみるが。
「留守か?」
呼び鈴を鳴らしても出てこない。
人の気配、英霊特有の気配がないことから留守かと達哉は思ったのだが。
「先輩、所長、見てください牛や羊がこっちに向かって移動してきています」
「という事は帰ってきたという訳ね」
羊や牛たちが小屋に向かって帰ってきていた。
戦闘には杖を持った美青年が一人。
おそらくアレがダビデだろうと辺りをつける。
「おー。また船乗りのお客さんかい? 今日も良い羊あるよ」
「残念だけど。そういう客じゃないわ。私たちは人理保障機関カルデアの物よ」
「・・・人理絡みか、ちょっと待っておくれ。羊や牛を小屋に入れたらゆっくり家の中で話そう。長話になりそうだし、扉の鍵は開いてるからリビングで待っていてくれたまえ」
「わかったわ」
そして案の定の当たりだった羊購入する船乗りと思われたが。
其処はオルガマリーが訂正し、ダビデは人理から得た知識で達哉たちが何者かであることを知る。
そういう話になるなら長話になりそうだと。
一旦、達哉たちを家に上げて置き。牛と羊を小屋に収納する。
リビングに案内され10分くらいたってだろうか。
ダビデがリビングに入ってきて、ホットミルクを人数分出してくれる。
皆で軽く自己紹介を済ませて交渉に入る。
「人理知識で一応の状況は知っているつもりさ」
「ならなぜあなたは動かなかったのかしら?」
「それは単純。航海経験がないし足もない、これで島々を渡るってのは自殺行為だろう?」
「まぁ確かにそうね」
ダビデがカルデアが来る前の前哨戦たる黒髭海賊団inアルゴノーツ&ドレイク船団VSポセイドン戦に参戦できなかったのはこれが理由だ。
本人に航海スキルが全くない。
故に合流もくそもなかった訳で。
仕方なく放り出されたこの島で、畜産業者と化していた訳だ。
「だから僕はここで畜産業をしているわけだ。随分と儲からせて貰ったよ」
「それはなんでまた」
「羊は需要がある牛の乳のチーズもね、羊は船乗りにとって自慰「あーあーそれは分かっているわ」それは何よりで」
先ほどの話が穿り替えそうだったので。オルガマリーが言葉を挟んで止める。
「でもまぁチーズやバターは保存食として優秀だ。牛も羊もね」
「だから稼がせて貰っていると?」
「耳が痛い話だが、達哉君の言う通りさ。人理のバックアップもあって知識は豊富にあるし。さっきも言ったとおり、試す時間は腐る程あったからね」
達也の言う通り、ダビデには得た知識を経験に血肉にする時間があった。
人間、知識だけポンと渡されても出来ないものだからだ。
だがダビデは羊飼いとしての経験があったし応用と学習の時間があった。
故にこういう商売しているだけの話だった。
「それで僕としては君たちに付いていくことに異存はないよ」
「そりゃ話が早くて助かるって話じゃないわね・・・」
「おや僕が信用できないかい?」
「サーヴァントは一癖も二癖も癖が強いからね、人間としてあっさり許諾されても信用できないわ」
良くも悪くもサーヴァントは癖が強く我が強い性格だ。
これまではニャルラトホテプが奸計を張り巡らし状況がヤバいという状況下で協力できていた物の。
逆に言わせればそれが薄い場合、何かしらの要求をされる可能性をオルガマリーは考慮していた。
達哉もそれは同様である。無条件の奉仕程高いものはなくまたありえない。
第三特異点は確かに熾烈ではあるが第一と第二に比べれば余裕がある。
故に何か要求されるとは思っていったが、まさかの要求無しの即決、まず裏を疑うだろう。
「はは、それは確かにそうだ。といっても信じてもらえるか分からないけど。僕は生前やり切った感があってね、そういったことに興味はないかな。しいて言うならナンパして女性と一晩を共にしつつ次の日には別れて畜産業をやって琴を弾き同じことを繰り返すくらいしかないなだ。という訳でそこのお嬢さん二人、今晩でも」
「残念だけれどタイプじゃないわ」
「私も所長に同意見です」
「ありゃ、そりゃ残念」
「いやに引き下がるのね」
「嫌がる娘と過ごして何が楽しいのかって話だよお嬢さん二人、それに怖い兄さんいるしね、でも協力はするよ。僕も引きこもっているのにはいい加減飽きてきたしね」
ダビデ的には嫌がる女性を口説き一晩共にする気はない、ナンパはスマートにと言うのが彼の信念だ。
それに嫌がる二人を無理にでもとすれば達哉に下手すれば首が飛ばされるということを肌で感じ取ったというのもある。
最も達哉としては話を拗らせたくない。
軽いナンパ程度は流していたが。
戦力という意味合いでの驚異度はダビデに見抜かれていた。
彼だって伊達に軍を率いて戦った王だ。
それくらいは見抜く。
「ちょっと達哉」
「いやまて、所長、俺は何もしてないぞ」
ここで達哉が剣気でも飛ばしたのかと問いかけるが。
無論そんなことはしていない、先も述べた通りダビデ自身が見抜いたのである。
「そんなことは気にもしてないしどうでもいいから、仕事の話しない?」
事態が変な方向に行きそうだったのでダビデが軌道修正し話を戻す。
「それでさ、気になったんだけどそっちの戦力は聞く限り十分なはずだ。付いていくと言った手前。付いてはいくけど、正直僕は役不足だと思うけど」
「イスラエルを統一した王が戦力不足ってことはないと思うぞ」
「それでもね達哉君、僕個人の武勇はゴリアテを倒した事くらいだからね。宝具も自分でいうのもなんだけど癖が強いよ」
確かにダビデはイスラエルを統一した偉大な王ではあるが個人武勇で有名なのは巨人ゴリアテっを倒したという事くらいが有名である。
「そのゴリアテって巨人だったんだろう?」
「正確には巨人族の先祖返りってやつだね、本物には遠く及ばないよ」
残った記録から算出されたゴリアテの身長は2m38cmだとされ。
ダビデもそれくらいと今言った。
この身長は栄養学や食が発展した現代でも滅多に見ないレベルである。
所謂、巨人族の先祖返りという奴で、見た目よりはるかに筋力はあったとダビデは語った。
「正直二度とやりたくないね。最初に兵士嗾けたら溶ける溶ける。だから最終的に僕が単独で賭けに出て勝った訳さ」
遠い目でダビデは当時を思い出すように語る。
英霊から聞くそういう虚飾が施されていない事実のほとんどがこれだった。
何処までも泥臭く必死にあがいてやり遂げたのだと。
華麗に戦い荘厳に勝つなんてものは、後世が付け加えた嘘だ。
出なければ話が面白くならないという事もあったからだろう。
それらがあったからこそ今があることを三人はかみしめ、オルガマリーはホットミルクを一口、口に含んで飲み干して、交渉を続ける。
「貴方にはポセイドンを屠れる切り札があると聞いたわ、是非に見せてもらいたいんだけど」
「ええ!? これまでの話で相手が神だってのは分かっていたけど、僕の宝具にはアレくらいしか無いよ、と言うか、なんで僕がアレを持っていることが分かったんだい?」
「此処から比較的近い島の魔女のメディアに教えてもらったのよ、と言ってもアレが何なのかは分からないけれど。メディアも遠目に見てヤバい代物ってことくらいしかわからなかったらしいし」
「ああ隣の島の魔女から聞いたのか。それなら納得。言っておくけど、アレは僕の中でも特大に厄ネタでね、こっちに来てくれ、倉庫に保管してあるよ」
「保管って常時展開型の宝具なわけ?」
「その通りさ、ついでに所有者権限も移せて下手すると残り続ける厄介な代物だよ」
ダビデがそうつぶやき立ち上がる。
付いてこいとばかりだったので。達哉たちも立ち上がり。
ダビデの後ろについていく。
倉庫と言われる場所に近づいていくたびに達哉は寒気がした。
この先、不味い物がある、触れてはならないものがあると直感が囁きかける。
それはオルガマリーもマシュも同じだ。
オルガマリーは魔術師としてペルソナ使いとして、マシュはデミサーヴァントとしてある種の確信があった。
そして倉庫の扉が開かれる。
「うっ」
「これは・・・」
「シャレになっていないわよ」
扉が開かれた先には棺桶サイズの木箱が鎮座していた。
だがそれが問題ないのだ、神代にも匹敵する超高の魔力。
更に箱から負の瘴気とも呼べるものが、ズゴゴゴと出ているのである。
カルデアの探査に引っ掛からなかったのが不思議なレベルだ。
どれだけヤバいかと言うと魔術回路なしの人間でも不味いと感じるレベルの呪物クラスである。
「これが僕の宝具の一つ、契約の箱さ。使用権を譲渡できるししたら残るヤバい奴」
「・・・なにを収めているのかしら? そういった逸話ないでしょ?」
「中身は十戒を刻んだ石版だよ?」
「なんで!! 聖遺物が!! 汚染聖杯よりも!! 真っ青な代物に!! なってんのよ!!」
触れれば不味い代物だった、達哉の高位ペルソナ耐性でも貫く呪物になっていた。
つまり触れれば人生終了である。
洒落になっていない。これなら確かに神も殺せるだろう。
キリスト教徒の元祖に通じる神が作りし物だ。
キリスト教徒が仏教、イスラム以外の神話の神々を駆逐したから他の神々も行けるが。
逆に言えば自分たちも自爆させかねない代物である。
そして逆に言えばそういう即死的逸話も噂もない十戒を収めた箱がなんでこんな呪物になってるのか三人は頭抱えた。
「触れたら全員アウトですよね・・・これ」
「そうね、マシュの言う通りよ。タツヤァ何とかできない?」
「うーん、伝承の相性を考えるとメタトロンで行けるかって予想が立てられるくらいだ」
メタトロンは小ヤハウェとも呼ばれ聖四文字の代行者でもある。
故に十戒関連であっても大丈夫と予測を立てるが予測は予測だ。
触れた瞬間にデデーンなんて落ちもありうる。
そんな賭け、カルデアの一角を担う達哉にさせることはできない。
だがダビデはこういう。
「一応、詠唱すれば僕の近くに呼び出せるし僕なら触れられるよ」
詠唱さえできれば手元に呼び出せるし触れることもできるというのだ。
ならそれらを頼りに戦術を組み立てればいいかと、オルガマリーは冷や汗を袖で拭い。
「それでもいいから私たちに付いてきてくれる?」
「もちろんさ、それが僕の今すべき仕事だからね」
こうして切り札は手に入り、新たな仲間が加わった。
島もここで最後、あと何回か往復を行い。航路を安定させ。
後はアトランティスへと突入を掛けるだけとなった。
前にも言った通り専用ペルソナは神の欠片みたいなもんなので神代の魔術回路として機能し。
あらゆる異界突入能力を使い手に保持させます。
いうなれば超高性能魔術回路保持、各種異界突入能力、レイシフト適正MAX
故に才能あるオルガマリーは劣化とはいえメディアの奥の手や魔術を学び実践できるんですね。
でも逆にたっちゃんは元々魔術の才能無いから。
レイシフト適正、魔力供給、異界突入能力、レイシフト適正をペルソナで補っているので。
オルガマリーのようにメディアから教えらても、せいぜいがウェイバークラスが限界。
分かりやすいように言うなら。
オルガマリーはハイエンドPCのハードウェアにハイエンドソフトウエアを完備、周辺機器も万全。
逆にたっちゃんはハイエンドハードウェアだけで他のソフトウェアダメダメという感じです。
故にどうあがいてもサーヴァントに対する魔力補給は一流クラスですが型月魔術の腕前はウェイバークラスがたっちゃん的に限界値です。
それでも対策のための知識として孔明の授業はまじめに受けてます。
そしてやっぱさすメディ。
大型竜の素材もあるので船を一気に強化しきりました。
其処にブリュンヒルデと兄貴も加わりますんで船は一気に仕上がった感じですね。
あとたっちゃんの息子、PTSDで起動しない。
マーラ事件とチェイテドスケベ事件で多少は改善されていますが起動しません。
そりゃあんなことあったら、起動する物も起動しませんし恋愛観もぶっ壊れて粉々になってます。
いまは修復中。
1.5部が始まるころには治っている予定です。
あとオマケ
所長の使っているリペアラー詳細
意外な適性を見せたオルガマリー専用に開発された魔改造拳銃。
ベースはLARグリズリー
搭載弾は.357マグナム弾を神経弾に改造した物を対サーヴァント用にさらに魔改造した神経弾。
瞬時に近接戦闘に移行させるためフレームと一体化した大型マズルスパイクを搭載。
さらに自動供給システムが停止した場合に備えて17発搭載可能なロングマガジンを搭載。非常に重い物となっているものの。
それによりマズルスパイクでの近接戦闘能力が向上し相手の武器に対応も可能となった
マズルスパイクは所長の戦闘スタイルも考慮し叩き割るあるいは叩き切るという想定がなされている。
マズルスパイクも特注品でありエミヤが投影した剣をダヴィンチが加工し改造作った代物であるため。
サーヴァントに対しても十分な殺傷能力を得ている、第二後で一度マズルスパイク部分が破損したためか。
ダヴィンチの手によってさらに強化、強度向上が図られた。
銃全体はホワイトに塗装され銃身にはオオアマナのエングレーブが刻印されている
この塗装や刻印にはタクティカルアドバンテージをあえて考慮せず。
自分たちは修繕者なのだから無駄な殺生や殺戮は控えるようにという戒めの為にアマネがあえてペイントしエングレーブを掘った戒めの証である。
設計ベースはアマネ、それをダヴィンチが清書し洗礼、職人芸で完成させた逸品である。
次回は突入&襲撃回となります、いわゆる前哨戦ですね、ポセイドン兵と双子が襲撃してきます。
それではまた次回よろしくお願いします。