Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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人が成長するためには、多くの踏み台が必要だ。
誰かの助けがなければならないのだ。


ジョゼフ・ボナンノ


八節 「狗軍」

「いいかね、諸君? 絶対にこの木箱に触れてはならんからな?!」

 

航路の安定化も終わり。

船の強化も終わった。

遂にアトランティス海域の突入に入る段階で孔明はそう船員たちに言った。

ダビデが仲間となり、船にアークが搬入されてからの当初からキツク言い聞かせていたが。

今回の作戦では対ポセイドン用に使う。

故に再度の警告はキツイものだった。

なぜに十戒を収めた箱がこんな汚染聖杯も真っ青な呪物化しているのか全員が頭を抱えたが。

今はこれが有効に役立つ時が来たのだ。

つまりポセイドン内部に侵入し中核にこれを叩き込んで一撃で葬る作戦である。

しかしリスクヘッジの問題からポセイドンはサブコアを外部にも作っておりそれも破壊しなければならない。

つまり突入組と外部制圧組、そして座礁させるための居残り組に分かれることになった。

オルガマリーは突入組、ダビデ、ティーチ、アタランテ、アステリオス、ヘクトール、エウリュアレ、長可、書文にさらにはやっとこさ島を抜け出せたアルテミス&オリオンを引き連れて突入する。

達哉とマシュは外部破壊組だ。シグルド、ブリュンヒルデ、クーフーリン、宗矩、アン・ボニー&メアリー・リードを引き連れることになる。

居残り組は固有結界担当のエミヤは無論、船の防御を担当するマリー・アントワネットに現場総指揮を執る孔明も残り死なれては不味いドレイクや船員も居残りだ。

 

「作戦は前にも話した通り、基本的な立ち回りもだ」

 

対ポセイドン戦略及び戦術は何度も議論して煮詰め切った。

後は相対するだけの話である。

ダビデやアルテミスの参加によって楽にはなるが油断はしない。

相手は神だ。油断しろと言う方が無理である。

 

「甲板にとりつくのは良いとして内部にはどう突入するんでござるか? やっこさんの装甲、真上で高火力宝具ぶっ放しても無傷だったんでござるよ?」

「それについては問題ない、どんな装甲でもバターのようにマスターが引き裂ける」

「達哉氏がですかな?」

「いいやオルガマリーの方だ」

 

そうオルガマリーの固有スキル「ヴォイドザッパー」である空間どころかテクスチャですら切断する空間切断攻撃だ。

危なすぎてカルデアのシュミレーターでさえ使用禁止である。

これさえあれば理論上どんな装甲すらも抜ける万能斬撃である。

 

「相手を座礁させたところで、カルデア側で入口を探し、見つけたらオルガマリーのヴォイドザッパーを使ってこじ開ける」

 

この作戦にはカルデア管制官も参加する。

カルデアから遠見で常に相手の状態を把握し孔明に伝えるという重大な仕事が任された訳だ。

 

「達哉たちは打って変わって、達哉のペルソナに乗っかり甲板にとりつき4つのサブコアを破壊する」

 

そして達哉たちは打って変わって装甲上部のサブコアを破壊するという任務に就く。

 

「サブコアにも障壁仕掛けられているのでは?」

「そのための選出だ。ギリシャ的に相性のいいペルソナを卸せる達哉くん、何でも切れる宗矩殿、超火力のシグルド夫妻で何とかなると私は判断した」

 

上陸組の選定基準ももしもサブコアに障壁張っていたらぶち抜けるメンバーを選出したのだ。

神話関係で神秘概念マウントを取り尚且つ最悪、サタンのコンセレイト四倍光子砲でどうにかできそうな達哉。

力と技のシグルド夫妻、そして魔剣使いである宗矩。

他の随伴は彼らの護衛となる

ドレイクは留守だ、なぜかサーヴァント級の身体能力に星の開拓者スキルが生えているが。

前の戦いでいいように嵌められ殺されかけた以上留守になるのも仕方がない

手段は全て整った、ダビデの契約の箱とアルテミス参戦はさすがに予定外だったがいい方向に働いていると言える。

手札はそろった。ブラックジャック的に言えば、あとは相手がバーストか自分たちの数値以下の手札を出してくれることを祈るほかない。

 

「手札はそろった。あとは勝負に出るだけだ」

 

その為に島々を巡り仲間を集め噂をばら撒き船を強化したのだ。

やれることはやった。

後は勝負に出るだけなのだ。

 

「嵐が完全に消えた訳じゃねぇが、弱まってる。各島からもこれ幸いにとアトランティスに向かう住人も増えているそうだ。時間がねぇぜ、孔明氏」

「ティーチ殿の言う通りだ。噂で嵐が弱まった分。アトランティスへの渡航者が増えつつある」

 

航路の安定化と突破しやすいように嵐にまで手を掛けたのが裏目に出た。

渡航者が増えたのである。

ハリケーン級の嵐から普通の嵐(日本基準)にまで落としたのがいけなかった。

それが裏目に出たのだ。

本当に噂結界の調整は難しい。

 

「時間はない、嵐も弱まった以上、強行突破する、そのために一日休息を入れて即座に出向する」

 

時間が無くなった。

あとは何度も言う通り天に運が来るように祈るだけ。

激戦になるだろうと。

だから一日だけ休息を入れて嵐海域を強行突破することになる。

いくら弱まったとはいえ嵐の中を強行突破するのだ。

疲労も出るゆえに一日だけ休息を入れることにしたのは当然の事と言える。

 

 

そしてその日は一日皆休んだ。

アトランティスに強行軍である。

然しもの海賊たちも酒を抜いた。

大嵐の中を強行突破するのだから当たり前だ。

ワンミスが命取りになりえることもある。

カルデアスタッフも半日交代で十分に休憩した。

羅針盤と海図はあるがもしもがある、ナビゲーションをミスるわけにはいかぬからだ。

イアソンは借りたヨットに乗って操縦の練習をしていたし。

マシュと達哉は軽く訓練だ。

オルガマリーは適度にダラダラしていたが。

そんなこんなで一日と言う休息日はあっという間に終わり。

いよいよ嵐の中に突入する。

 

「それよりいいのこれ?」

「そうですわね、気前がよろしすぎじゃないかしら、カルデア」

『使える時には使い捨てでも使う、それが流儀だ。肉体的感触から精神的な疲れは如何にサーヴァントでも

蓄積する、船操舵は外部で行われるのだから着込める奴は着こんどけ』

 

外部員に支給されたのは特殊部隊が使うレインコートだった。

主に潜入任務及び狙撃任務で使われる特注品。

民間の既製品以上の耐水性を持ち、まさに豪雨の中でも装着したものを雨から守ってくれる優れものかつ。

サーモセンサーにも映らないステルス用装備でもある。

何かあったらという事でマリスビリーに購入を頼んだは良いが。

魔術師やら死徒やらが攻め込んでくるという事もなく、結局、ダヴィンチとスティーブンが魔改造したスケルトン強化外骨格とチタンセラミック装甲服(プロテクトギアを現代技術で作り上げダヴィンチとスティーブンが更に強化した代物)で代用可能と来ているので。

倉庫で埃被っていた代物だから有効に使いつぶされるなら保安部としても文句はない。

という訳で外働きするサーヴァントやマスターにはこの特殊レインコートが全員に支給されたのだ。

そしてアマネの予感は的中した。

 

「これで弱まってる方って、僕らが生前経験した嵐より酷いんだけど!?」

「保安部の皆様から貰っておいて正解でしたわね」

 

メアリーの悲鳴に本当に保安部の装備を一部借りておいてよかったと二人は思うくらいに豪雨と強風の嵐だ。

 

「アステリオス!! もう少し力を入れて引っ張れ!!」

「うんわかった!!」

「くっそ、いかに強化したからってマストの方が先に逝っちまいそうだ!!」

 

イアソンは各員にテキパキ指示を飛ばす。

さすがは元アルゴノーツにして船長兼操舵手だ。

意地を張るがそれより船が持つのかとも不安に思ってしまう。

なにせ弱まったうえでこれなのだ、神代でも早々お目に掛かれない大嵐である。

孔明の予測は当たっていた。強化前かつ噂で航路を安定させ嵐を弱めた上でこれなのだ。

強化無しに強行突破しようもんなら風と渦潮と波にやられていただろう。

噂に乗る形でしか侵入できないのも道理だ。

一日中はいいとして最悪数日間はこの状態が続く。

サーヴァントは良い、肉体的疲労は無しだからだ。

代わりに精神的疲労が加わるが、損傷さえしていなければ精神力の持つ代わりにいつまでも動ける。

だが達哉やオルガマリーにデミサーヴァントのマシュは肉体的疲労も蓄積する。

されど現状そんな人物たちでさえ使わなければ話にならない。

最も、オルガマリーは孔明と共に部屋に引っ込んではいたが。

 

『こちらカルデア、ムニエルだ!! 船の11時方向接触まで10分くらいの距離に三機程度の飛翔物確認!!』

「この中で飛ばせるって言いましたら」

「ミサイルくらいしかないだろ!! マシュ、宝具準備!!」

「了解!!」

 

カルデアからの連絡。

飛翔体複数を確認、この嵐の中で飛ばせる航空機はないと判断し。

ポセイドンがメカならミサイルの類かと達哉は判断。

それは実に正しい判断である、普通ならばだ。

 

「飛翔体確認、けれどあれ、ミサイルじゃないよ!!」

「なに!?」

「飛行機らしきものだな」

 

メアリーが飛翔体を確認。

すでにアーチャーズの射程距離内だが。

確認した結果飛翔体ではなく飛行機の様な何かだという。

それを確認しエミヤを召喚、アタランテとさらに部屋にこもっていったオルガマリーも呼び出す。

 

「迎撃は可能なの!?」

「無理だ。こんな嵐の中では至近距離なら兎にも角にも狙撃は無理だ!!」

 

至近距離なら兎にも角にも矢で狙撃となると500mクラスでもこの嵐の中では矢事態が煽られ逸れてしまう。

エミヤも無理であり嵐の中での狙撃経験がないアタランテも同様だ。

 

「500mもありゃ十分よ」

 

だが500mでも有効射程距離っを保てるなら文句はないとオルガマリーは了承。

同時に狙撃指示を行う。

マシュはもしも二人が撃ち漏らした際のための最後の防護壁だ。

二人が渾身の力を込めて目を細め。弦を引き絞る。

そして解き放つ。

 

『命中、残り1。距離100m!!、いや待て、飛翔体が増殖、含めて数5!!』

『敵は戦闘機に類似、エミヤ、アタランテ、宝具を使用し迎撃しろ』

 

ムニエルの悲鳴になれた手つきでコーヒー啜りつつアマネが指示を飛ばす。

両者ともにそれに応えた。

 

訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)!!」

偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)

 

放たれる高火力の矢と無数の矢。

それは超音速ミサイル事無人機を迎撃する。

これだけ濃い弾幕とマルチロールミサイル以上の破壊力を持つ弓だ。

これで迎撃できないものはないのだが。

 

『反応急速感知、距離10m!?』

「なんで気づけなかったの?!」

『ムニエルも所長も慌てるな。・・・恐らくアクティブステルスと光学迷彩の併用仕様だ。両者ともに見覚えはある、多国籍軍現役時はまだ研究段階だったが。相手はロボを実用化できる文明だ。できてもおかしくはない、がティルトローターでこの嵐の中ホバリングできる技術はないぞ』

 

迎撃した飛行機はデコイであり。

本命はこちら、アクティブステルスと光学迷彩機能を搭載したティルトローター機だったのである。

すでに三機ほどに取りつかれ猟犬の様なガスマスクに黒のロングコート、左腰には刀を収めた鞘をぶら下げ。

両手で保持するのはFN社のP90に酷似したPDWを保持した黒ずくめの軍団だった。

降下ロープもなく高さ10mから直接飛び降り着陸していることからかなり強化されていることがうかがえる。

 

「白兵戦よ!! オールコール!!」

「了解、オールコール!!」

 

オルガマリーの叫びに達哉が呼応し二人とも。

サーヴァントを最大数呼び出しながら己の得物を抜き放つ。

ついでに船室で待機していた戦闘組も呼び出す。

 

「ついに出番かいって余裕こいてる場合じゃないか」

 

軽口叩きそうになり気を引き締める。

 

「アイツラ、いやな予感がする、エウリュアレやみなにはちかづけさせない」

 

アステリオスもやる気だ。

だがそれ以上に相手が不気味すぎる。

感情らしいものが一切見えないのだ。

宗矩の分析では無の境地ではなく人形のように最初から存在してないかのような感じだった。

 

「イアソンとドレイク船長の居る船室には絶対近づかせないで!! 各員持ち場を死守!!」

「「「「「「了解!!」」」」」」

 

だがそれでも考えている暇はない。

戦場は常に推移する、オルガマリーの指示と敵兵の銃撃音はほぼ同に鳴り響き開戦と相成った。

 

 

 

 

一方そのころ海中では。

 

『ねぇーシメ、上じゃ始まったみたいだよー』

『ダメだよ、このまま遊びに行ったらミァハお姉さまに怒らちゃう』

 

海中。数機の小さな潜水艦に手足をつけたような機動兵器の内の二機に登場している幼子は袖長のゴシックロリータという場違いな格好をして搭乗していた。

その様子は年相応であるが実に退屈そうである。

まるで自分は戦闘ではなく遊び場に入れないようにしか思っていない。

そしてその要望はマシュを幼くさせオッドアイにしたかのように似ていた。

 

『でも楽しみだね~。何年振りだろうマシュお姉ちゃんと会えるの?』

『何年振りだろうね~。人修羅のお兄様曰く、時間軸がずれてるからね』

 

二人はそういう存在だった。

と言うより作らない方がおかしい。

マシュがデミサーヴァントになる実験以前よりそういうデザインドチルドレン計画が動いていたのだから。

そしてマシュ以前の個体の失敗があり。

故に後期型が作られた。その後マシュの適合実験をもって計画は終了。

後期型は全員お払い箱となり殺処分される筈だったのだが、そこはニャルラトホテプ。

スティーブン経由で使えそうな二人の後期型を回収し。明星に預け。

戦力として今投入したわけである。

故に情緒の成長がマシュ以上に歪んでいる。

 

『だから楽しもう、アン』

『そうだねシメ』

 

そう戦闘は楽しむお遊びとしか二人は認識してなかった。

なんせ戦闘を教え込んだのが気乗りしない人修羅だ。

彼が高ぶるのはよほどの強敵出なければならない。だから認識が歪んだのだ。

そして船上での戦闘も混沌を極める状況になりつつあった。

 

「このぉ!!」

 

状況は銃撃戦から白兵戦へと移行していた。

オルガマリーが訓練してきた二丁拳銃とペルソナの平行使用で敵を倒していく

ヘクトールも刀を抜いて襲ってきた狗兵を相手にして獅子奮迅の活躍をしたはずだったが。

 

「アレ? いまオジサン。アンタの両腕折ったよね?」

 

とっさの出来事だった。

刀を振り回す狗兵の両腕の中に槍を入れて一回転。

ヘクトールの剛力が乗った回転だ。手ごたえ的にも両腕をへし折ったはず。

現に刀は取り落としている。

だが即座に袖に仕込まれたナイフで反撃に出てきたことに驚愕する。

異変はそれだけではない。

 

「皆、注意しろ!! 連中、ムラマサコピー持ってる!! ペルソナ能力どころかスキルが無効化されかねない!!」

 

達哉が叫び警告を出す。狗兵共の刀はムラマサコピーだった。

斬りつけられると、ペルソナ能力が一時的に使えなくなる。

ニャルラトホテプの事だ。その使用不能範囲はスキルにも及ぶと思っていいと。

達哉は叫ぶのだ

 

「くっ」

 

シグルドやら宗矩やら長可たちも苦い顔だ。

有効打を与えられるのが書文しかいない。

なぜなら渾身の斬撃を加えても、半ばで刃が停止する、その上で狗兵は生きていた。

狗兵に蹴りを入れ剣を引き抜き一歩後退する。

何処も似たようなものだった。

肉体から再生の湯気を上げて、狗兵たちが立ち上がる。

オルガマリーの魔術やらペルソナパワーを込めた弾丸ですら傷口から排出再生する。

明らかに人間離れしている防御力と再生能力だった。

 

『最新鋭の防弾防刃装備にチタンセラミック合金製の具足や胸当てをコート下に着ているなこれは』

 

アマネが分析を入れる。

英霊でも寸断できないとなるとそう考えるしかない。

米国でも歩兵用装備として風の噂で聞いたことはあったのだ。

其処にスケルトン式外骨格やナノマシンやら投薬による感情抑制による強化兵士を作ろうとしていることも風の噂で聞いたことはある。

相手はオーパーツ的などこぞから来たことも知れぬメカポセイドンだ。

そういった装備を整えていることは別段不思議ではない。

問題は斬られようが撃たれようが再生する治癒能力の方が問題と言える。

 

『再生能力も問題だが、頭すっ飛ばされて生存できる人間はいない、首を刎ねるか、頭部を完全破壊しろ。頭部装備はもろくなりやすい、故にそうすれば連中も止まるだろう』

 

アマネの経験上の話である。

相手を殺す手段を用意して胴とか撃って殺しきれないなら。

頭部を物理的に分離させるか完全破壊が主流だったからだ。

 

「聞いたわね!! 総員頭部を潰しなさい!!」

 

その言葉を聞いたオルガマリーは即座に行動。

狗兵一人の顔面にマズルスパイクを叩き込みつつトリガーを引き銃弾を叩き込む。

後ろから接近してきた狗兵数体はシュレディンガーのヴォイドザッパーでまとめて首を斬り飛ばす。

そのまま両手を広げて左右から攻め込んできた狗兵の頭部を撃ち抜く。

結果はアマネの言う通りだった。

頭部を破壊された連中は何度か痙攣したのち動かなくなった。

敵の弱点が露呈して士気が上がる。

状況的にドレイクもカルデアから支給されたガリルACE52二丁持ちで応戦するくらいには押し込まれていたのだ。

故にこの状況、手品が割れた以上、反撃のチャンスともいえる。

如何に防護を固めても首などの可動域を守っている部分は手薄だし。

普通なら狙ってやるのは難しいが。相手はどうも人格が薄く教本通りの戦い方しかできない。

弱点さえ押さえれば木偶の棒だ。

カルデアのナビゲーション、しっかりしたドレイクとアン・ボニーにアタランテにマリーアントワネットの後方支援もあって、前線組は躊躇なく動ける。

 

「よっしゃあ!! 弱点がわかればこちらの物ですぞ!! ペルソナ!! ドリルクロヒゲ!! アンダードリル!!」

 

ティーチもペルソナ「ドリルクロヒゲ」を呼び出し反撃、そのドリルで数体の狗兵の頭部をミンチに変換。

フリントロック銃はないのでカルデアから支給されたガリルACE52で襲い掛かってきた二体の狗兵の頭部を撃ち抜く。

全員が反撃に移り。

順調に敵兵を駆逐していくが。

狗兵は相も変わらず感情がないかのように動揺せず。むしろ仲間の死体まで盾にしだした。

やり辛いったらありゃしない。

 

「アパム! 弾持ってきな!!」

「ですが、姉御、これカルデアの備品・・・」

「そういってられる状況じゃないさ! それに連中は遠慮なく使えと来てるんだ。今使わなくて何時使うんだい! いいから持ってきな!!」

「アイ、アイサー キャプテン!」

 

一方のドレイクも何時ものフリントロック式の短銃ではなくガリルACE52を使い。

空になった弾倉を投げ捨てつつ、部下に武器庫にある弾薬を持ってこいと叫ぶ。

フリントロック式の銃では狗兵の防御を純粋に貫けないのだ。

サーヴァントになり無限弾倉化している、アン・ボニーも威力の関係上。

フリントロックの愛銃ではなく。今回に限っては本来はオルガマリーが使用するはずだった対サーヴァント用の神経弾が装填されているDSRー50を使用している。

銃撃音やら剣撃音はいまだにやまない。

はてこんなに数が居たかと思っていると。

 

「くっそ、連中こっそり兵員輸送している、アタランテ、エミヤ、どうにかできないか!?」

 

ステルスティルトローター機によってこっそり兵員輸送されていたのだ。

アクティブステルス及び熱光学迷彩で、サーヴァントもカルデアも察知できないのだ。

いくら熱光学迷彩が水によって分別がつくとはいえ。この豪雨の中では無理がある。

 

「「何とかする!!」」

 

二人はそういって狗兵を蹴り飛ばし、今まさに狗兵を降下させようとしているティルトローターを弓で叩き落とす。

アタランテの通常射撃はAクラスで速射可、エミヤも射撃用の宝具を連続投影し直接飛ばして叩き落とす。

計5機を叩き落とすが。

寸前のところで狗兵が降下、甲板に着陸する。

 

「宝具が使えりゃな!!」

 

クーフーリンが愚痴る。

対空なら兎にも角にも狗兵にぶっぱせば船にダメージを与えかねないからだ。

故に船上では高火力宝具のほとんどが封じられている。

シグルドとブリュンヒルデが強気に出れないのもそういった理由だ。

一方のアステリオスはヘクトールに槍捌きを教えてもらったのか。

自慢の剛力を生かし二槍を思う存分振り回して無双しているものの。

近づく相手は兎にも角にも、近接戦に移行せずサブマシンガンを使っている相手にはいい的だった。

マリー・アントワネットがフォローを入れているが、他の面々のフォローも行わなければならないため。

付きっ切りと言うわけにもいかない。

何時頭部が狙われるか冷や汗ものだった。

そして時間は達哉たちの味方でもあった。

基本量が質を圧倒するというのは戦略的、戦術的基本ではあるが。

それはあくまでも基本的なものでしかない。

戦場の摩擦を語るのであれば質が量を圧する場面も確かに存在するのだ。

例えばこの戦場なんかがそうである。

狭く、戦闘員の展開人数が限られている場合、質より量を取らざるを得ない側は戦力の逐一投入という愚をどうしても侵さねばならないからだ。

逆を言えばこの状況では少数精鋭が有利であるという証明でもあるのだ。

という訳で勝利の天秤は達哉たちに傾けかけてきたわけだが。

問屋がそうは卸さない。

 

『海中に複数の反応を検知! 上がってくるぞ」

 

ムニエルが警告すると同時に。

水中から急速浮上の勢いを利用し甲板に複数機の小さな潜水艦に手足をつけたような機動兵器が登場する。

 

「X−2だと!?」

 

達哉は無論それに見覚えがあった。

新世塾が抱き込んだ自衛隊一部が運用していた水陸両用パワードスーツ「X−2」だったからである。

最も形状はさらに水中での航行効率に特化され。

推進系も変更されている。

 

『さながらX−3と言ったところか』

 

アマネの分析は的を射てる。

噂とポセイドンの持つ技術で作られた機動兵器だからだ。

無論技術はX−2のパワーアップバージョンとも言える。

つまりだ。

 

「刃が通らねぇ!?」

 

本体装甲強度は達哉が対峙したX−2よりもはるかに上だ。

英霊の攻撃でさえ弾いて見せる。

 

「関節を狙え!! そこなら脆い!!」

「簡単に言うがなぁ、こっちは当たったらお陀仏だぞ!!」

 

X−3の右腕に装備されている水陸両用機関銃が唸りを上げる。

無論、対サーヴァント用の加工が施されているのだろう。

概念防御持ちはこちらにはいない。直撃したら死だ。

 

「もしくは雷攻撃だ。それがよく通る!!」

「できる奴、達哉とオルガマリーとブリュンヒルデくらいしかいないじゃぁねぇか!」

「だから俺たちで突破口を開く!! 所長、ブリュンヒルデ聞こえているな!!」

『聞こえているわ』

『聞こえてます』

「所長は雷持ちをブリュンヒルデは雷のルーンを、その後、俺たちで突っ込む」

『つまり感電させて動きを止めたのちカミカゼバンザイアタックね!?』

「そうだ所長!! 全員タイミングは雷発射後だ、後方組はありったけ弾丸ぶちこめ!!」

 

生き残った狗兵はX−3の随伴歩兵として陣形を組んで。

X−3と共に銃を撃ちながら近づいてきている。

物陰に隠れた達哉たちに対し牽制射を浴びせ続けながら。

故に相手のリロードタイムのタイミングを狙い。

 

「オーディン!! マハジオダイン!!」

「トール!! マハジオダイン」

「雷のルーン!!」

 

雷を放つ。

無論全力全開でぶっ放したら甲板が丸焦げどころじゃ済まなくなるので加減はした。

それでも効力は十分だった。

如何に各種防御が施されていると言っても耐えるには限度がある。

オルガマリーも成長しているので高位のペルソナであるトールも卸せるようになっている。

狗兵もXー3も動きを止めた。

 

「出るぞ! マシュ、万が一があるかもしれない、先頭に出ろ!!」

「任せてください先輩!!」

「私は格納庫から、DSRー50取ってくるわ、リペアラーじゃX−3には力不足だし」

 

先陣はマシュが行う事となった。

当たり前だこういう時のためのシールダーである。

接近する前に相手が立ち直った場合。防御役が必要なのだ。

故に先陣はマシュが最適。

オルガマリーは一旦後退、狗兵なら兎にも角にもX−3の装甲が抜けないのである。

故に対物ライフルであるDSRー50を取ってくるのは道理と言えよう。

そして近接戦が得意なものたちが前に出ようとした瞬間。

二機のX−3のハッチが開き、二つの影が飛び出てくる。

一つは黒い影、もう一つは白い影だ。

それは二人でマシュに蹴りを繰り出し。

寸前のところでマシュが大楯で防御。

ただし威力は凄まじく、数歩分後退する事となった。

 

「久しぶりだね、マシュお姉ちゃん」

「そうそう久しぶりだね」

 

その二人は本当にマシュを幼くしてオッドアイにしたかのように似ていた。

二人はとっと静かに甲板に降り立ちつつそう言う。

まるで既知の間柄であるがように。

マシュの背に冷汗が流れ、脳が震える。

間違いなくマシュ自身はこの二人を知っているはずなのに誰なのか思い出せない。

そして脳裏に砂嵐だらけの記憶。

記憶処置、憑依事前テスト、再生施術。

適性● 適性● 適性●という無表情な作業員。

ベッドの上に拘束される自分。

それが終わり部屋と言うか大部屋に戻ると自分とそっくりな存在達。

男女、若干年上もいれば年下もいる。

 

「アナタたちは誰ですか?」

「えー酷い、私たちの事忘れたの?」

「あんだけ遊んでくれたのに・・・」

「くぅ・・・」

 

頭が痛かった。まるで頭部を切開でもされた気分だった。

そうありえない話なのだ。

デミサーヴァント計画という非合法な実験で素体が一体だけというのは実に都合のいい妄想だろう。

普通なら用意するはずなのだ。複数体。

実験が失敗してもいいように。

 

「マシュ!!」

 

マシュがハッとなる。

達哉に肩を掴まれてその背の後ろに。

白いゴシックロリータが右手から指のように生やした五本のナイフに襲われるのを防ぐ。

 

「アポロ!! ゴッドハンド!!」

「アハ! ブレイブザッパー!!」

「ちぃ!?」

 

そしてアポロを召喚。ゴッドハンドを放つが。ナイフ代わりに腕ごと刃と化した大型の刃で放たれたブレイブザッパーと相殺される。

 

「グランドタック!」

 

それに気を取られている隙に、後方にから跳躍した左腕が巨銃へと変貌した少女のグランドタックによる銃撃だ。

対物ライフルの威力なんか容易に超える銃撃である。

ペルソナをアポロからヤマトタケルにシフト。

 

「怪力乱神!!」

 

怪力乱神で銃弾を逸らす、逸らされた銃弾は甲板に大穴を開けた。

二人が後退しながら武器をいったん収める。

それと同時に達哉が感じ取っていた悪魔の気配も薄れる

 

「アハハハ、君が達哉お兄ちゃんな訳だね!!」

「元異聞帯の王様!! ルイの小父様から聞いてたよ」

「元異聞帯の王? それはどうでもいい、お前ら何者だ」

「私はアンドレア・キリエライト!!」

「私はシメオン・キリエライト!!」

「「よろしくねー達哉お兄ちゃん」」

 

二人は無邪気に笑いながらそう自己紹介する。

キリエライトという事はもうマシュの姉妹確定だ。

体格から言えばマシュの後期Noの製造個体、つまり妹なのだろうと当たりをつける。

 

「マシュ大丈夫か?」

「少し頭痛がしますが大丈夫です」

「なら行くぞ。もう始まってる」

 

狗兵やX−3と英霊たちの交戦も始まっている。

自分たちも気を抜いてはいられない。

いくら幼子とはいえ、武装展開したときには強力な悪魔の気配を漂わせていたのだから。

 

「ねぇアン、お兄ちゃんたち本気で遊んでくれるみたいだよー」

「ならこっからは私たちも本気で遊ぼうか。ねぇシメ」

 

二人は猟犬を思わせるような笑みを浮かべ。

 

「「スーパーカーネイジタイム!!」」

「来るぞ!!」

「分かってます!!偽装宝具/人理の壁(ロードカルデアス)!!」

 

 

二人での合体攻撃に達哉とマシュも真っ向からぶつかり合った。

未だ嵐は収まっておらず、激戦は燃え上がるばかりであった。

 

 




久々に戦闘シーン糞真面目に描いたから疲れた・・・
次回も遅くなると思います。

狗兵。アトランティス内部でニャルが広めた噂で生み出された兵士にポセイドンの強化を入れた存在。
ポセイドン兵事狗兵のスペック
平均的英霊よりちょい上、ただし再生の能力持ちかつポセイドンやミァハの命令道理にしか動けない。
人格は戦闘特化に塗り替えられ個我を持っていない。その為達哉と宗矩曰く教科書通りの戦い方しかできないため柔軟性は低い。
装備はポセイドン謹製サブマシンガン(形状はP90に酷似)ニャルラトホテプ謹製ムラマサコピー 袖仕込みナイフ×2。
多目的ガスマスク、防弾防刃コートにチタンセラミック製胸当てと言った感じ、コートの下に着込んでいる服なども気休めの防刃防弾仕様の各種衣類
まぁ早い話がDOGS / BULLETS & CARNAGEの狗兵とメタルギアのカエル兵を混ぜた感じ。
因みに素体はアトランティスにたどり着けなかった連中やアトランティス内部から適性の高いものが選ばれ。
ニャルの噂やポセイドン・クリロノミアで強化処置が施された元人間である。



Xー3
ニャルラトホテプがポセイドンに横流したデータで製造された水陸両要パワードスーツ。
ポセイドンの手によって装甲材や内面機能がパワーアップしているが。
外見は多少形状の違うXー2の色違い。
武装もペルソナ2と変更点は無し

ムラマサコピーはゲーム風に言うと。
斬りつけた相手のペルソナを3ターン使用不能 スキルを3ターン使用不能にするするスキルである。


なんで双子に稽古つけたの人修羅さん?

人修羅「悪魔王に頼まれたから世話しただけで、あんなん戯れだよ、本格的訓練するなら二三回はパトらせてるちゅーの」

双子からすれば地獄の特訓だったが人修羅さんからすれば暇つぶしの座興だった模様。
そのスタンスだから双子の戦闘に対する認識が歪んでいる訳です。
人修羅さんが遊ぶならこれも遊び的な。

あと双子の武装や喰人能力ですが閣下が後付けしたものです。
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