Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
ミニパトより抜粋
01 そう牡蠣です(食べれるとは言っていない)
カルデアのゴタゴタも落ち着いてきた。
達哉も右腕の違和感が取れ完全癒着をロマニが確認し。
通常業務に戻っていた。
そして珍しく食堂で昼食を取っていた。
理由としてはオルガマリーの作る料理はイタリア料理を主軸に時々フランス料理と言った感じなので。
食堂では日本食をエミヤが、中華料理を手が空いた日には保安部一の狙撃手のウォンが作って提供していたので。
偶には日本食か中華料理が食いたかったので。
立ち寄った訳だ。
因みにマシュは達哉経由で伝わった強さを求める理由と目標の相手が相手なだけに宗矩、長可、書文、さらにはアマネですら出張って価値観の矯正に乗り出していた。
それだけジャンヌ・オルタの価値観は歪んでいるのだ。目指していい強さではない。
それに彼女自身の焦りもある。
故に価値観の矯正と実力アップを自覚させることによって修正する気だったのだ。
オルガマリーは仕事が一段落ついたとはいえ。
先の第三特異点ではリソース開放祭り&施設酷使、情報改ざん作業など、仕事が色々溜まっているので。
ほぼ執務室に缶詰めだ。
今頃、ベルベットルームのエリザベスから仕入れた駅弁「越前かにめし弁当」をかっ込みつつ半泣きになりながら書類を捌いていた。
記録班はもっと大変だ。最新鋭の技術駆使していかにもオルガマリーが活躍したかのように映像改ざんと記録改ざんしなければならないのだから当然である。
下手に達哉の事とかマシュの事が協会に漏れたら。
悪名高い悪習である封印指定になりかねないのだから皆全力だ。
そんな日々が続き。
「休暇申請ね・・・」
「はい・・・」
ロマニがオルガマリーへと書類を出す。
それは職員全員の休暇処置申請書だった。
無論全員が一斉に休むわけにはいかぬのでローテションを緩和する方で行く。
ついでにマスター組やマシュの精神安定の為に都合の良い微小特異点が見つかったという事もあって。
ここいらで休暇にしようという事だった。
「いいでしょう、許可するわ。だけど私たちだけバカンスになるけど皆はそれで納得してるの?」
「比較的現代に近い年代という事もあって、現代品を大量に手土産にすることでOKだそうです」
「・・・いいわリストを見せて」
微小特異点が比較的現代に近い時代という事もあって。
欲しい物を買うなら良いよという結論であった。
まぁ仕方ないかとため息を吐きつつオルガマリーはそのリストを見る。
そしたら書かれてるわ書かれてるわ。
いくらベルベットルーム経由でのサトミタダシ&エリザベスの販売物にはない物ばかり。
まぁ買い物も息抜きになるかとオルガマリーは許可した。
「それでマシュは?」
「アマネを筆頭にしたサーヴァントたちにこってり絞られているようで」
「タツヤから事情は聴いていたけれど。そこまで性急にすること?」
「僕は門外なので分かりませんしあまりやってほしくはないですが。一度心を折っておく必要があると、そして今回のバカンスでメンタリティを癒しつつ再構築するだとか」
「嫌な話ね、というかマシュってそんなにジャンヌ・オルタを目標値にしてたわけ?」
「はい、少なくとも数百回はアーカイブを見ているようで」
「そりゃ危険だわ」
「所長?」
「アマネから教えてもらったのよ、ああいうのは救いがないって。事情を説明してもらったら納得もするわ」
「所長はアマネから何か聞いていた?」
「アマネの半生となっちゃいけないような存在の例とかね、理由もわかりやすかったし、何より実例が目の前にいたから」
「実例が目の前に?」
「アマネ自身よ、彼女の戦場でのメンタル維持の方法を聞くたびに、ああこうなったらおしまいだなってね」
アマネも一種の怪物である。
いや保安部全員がそうなのだ。
連中は死に場所を求めている、それもとびっきりの舞台を。
最高の死に場所を、己が性能を出し切って死にたい。
そういう死者の群れだ。
そんな保安部を統括しているアマネ自身が壊れ切っている。
皆、多くの理不尽跋扈する戦場を生き抜き壊れ、そういう思想に染まった。
されど皆自覚はあるので他者に強要はしない。
だからマスター二人とマシュの教練では口酸っぱく自分たちと同じようにはなるなと言い続けている訳で。
だが誤算があった。
まさか、ジャンヌ・オルタの様な復讐鬼を目標設定するとは思っていなかったのである。
だから徹底的に目標を変更させるためにアマネは心を鬼にした。
故に現在ボコボコ中である。
「とにかくフォローはしておくしバカンスも承認するわ、欲しいものが後から浮かんだらいけないから随時リスト更新も忘れないように」
「わかりました。所長」
そしてロマニが退室する。
それを確認し。
「ほんと・・・寒いわ」
そうぼやき。マシュのフォローに向かうべく。
早めに仕事を終えるためにPCに向かった。
「遅い」
アマネは何度目かになる同じ言葉を吐いて。
マシュの喉を突いた。
訓練は保安部総集合による訓練、実戦形式でのゴム弾を使用し装備は強化外骨格装備の軍隊を相手にするという。
事実上のリンチだった。
一応達哉が控えており死人はできうる限りでないようにしているが。
出る時は出る。
故に仲間を大盾でぶつという事に一瞬遅れるのだ。
「ゲホ! ゲホ!」
「なにを迷っているんだ? ジャンヌ・オルタの様になりたいのだろう? ならば目標達成のみ頭に置けば容易い事だろう? 復讐者とはそういうものだ。お前の求める強さの思考とはそういうものだ」
そしてジャンヌ・オルタの強さの秘訣を語る。
「いいか? 彼女なら障害になるものの人間性、思想、立場を一切考えず殺しに行くぞ、なぜなら鈍るからだ。その鈍りが目的達成の上で一番の障害となるからだ」
マシュの脇腹に蹴りを入れ無理在り立ち上がらせ襟首をつかみ互いの瞳が覗き込めるようにしつつ。
アマネが言う。
「わ、私は・・・そんなつもりでは・・・」
「だが望んだ。挙句あのざまだ」
「ッ・・・」
「いい加減理解しろ、アレは失って我が身を削げ落とした強さだ。誰かを守れる力なんかじゃない。もっと別の事に思考を注力しろ」
ジャンヌ・オルタの本質を最も見切っているのはアマネだ。
部下にもああいう手合いが何人かいる。
最も本人たちは復讐を果たしきって虚無になりかけているところにアマネが誘いをかけて現在に至らせている訳だが。
故に本質を語れるのである。
「”盾”が欲しければジャンヌ・オルタを基準にするな、マリー・アントワネットを基準にしろ”剣”が欲しければ宗矩を基準しろ」
「うううううう」
「私からは以上だ。達哉すまないが何人か負傷した。回復魔術を頼む」
「・・・了解」
達哉は分かっている。
アマネの意図するところをだ。
故に歯を食いしばり、あえてアマネには何も言わなかったのだ。
マシュは言っては悪いが一度へし折っておく必要がある。
最も本職のメンタリストがいれば折る必要はないのだが。
いまは居ない。
故に仕方の無い事だった。
一度へし折っておかねばまた暴走しかねない。
そしてアマネとアイコンタクト。あとの心理的フォローを頼むと言った感じである。
へし折った後は達哉たちに任せることによって速やかな心理的応急処置を可能とするがゆえにだ。
アマネではそれは不可能だ。現状インストラクターで保安部部長、マシュにとってはそれ以上でもそれ以下でもないがゆえに。
対して達哉はマシュに親愛以上の心情を抱かれている。
あとはオルガマリーも同様だ。
其処に付け込んで、メンタルを再構築するというやり方である。
「マシュ、大丈夫か?」
「はい・・・大丈夫です」
(いくら何でもやり過ぎだよ、アマネさん)
負傷した保安部の人々に回復スキルを掛けて。
その後マシュにも掛けて場を後にしつつ、マシュと共に場を後にする。
そりゃもう派手にやった。
身体面でも精神面でもボコボコにしたのである。
CQCで肉体面を実戦形式であるがゆえに心の隙を突きズタボロにする容赦なき口攻撃。
最初は反抗心で張り合っていたマシュも数十分でぽっきりだった。
アマネは元非正規特殊作戦群の長だ。選抜対象の心の折り方なんてものは容易い物だった。
その後、廊下を歩きつつ達哉は四苦八苦しながらマシュのメンタルを立て直すべく言葉を掛けていた。
其処にオルガマリーがやってくる。
「オルガ・・・」
「こってり絞られたようね、マシュ」
「はい・・・」
「・・・自分の弱さが嫌になった?」
「はい・・・」
「でもそう簡単に強くはなれないし、強くなったからって全部守れるわけじゃないのよ」
「そんなことは!! 現にオルガは・・・」
「多少は強くなったわよ。だけどそれだけ、第三ではアルテミスに無理させた挙句死なせた」
「・・・」
「もう何度も言われてるじゃない。急いたって急激に強くなることは出来はしない。全部守るなんて傲慢よ」
マシュの思想は傲慢である。
それも仕方が無い事だった。
なんせ失ったことがない。
マリー・アントワネットを一度は見捨てたが。
彼女は召喚される形で戻ってきてしまった。
そこでリセットが掛かったのである。
同時に恐怖も焼き付いた。
達哉やオルガマリーは死んだら戻ってこないのだと。
それを刻み込んだのはジャンヌ・オルタや例の双子にニャルラトホテプだ。
恐怖は焦りとなり、自分が守らればと言う自己愛の傲慢さを会得するに至る。
人間らしくなったと聞こえはいいが。力を与えられ、それがチープな万能感に負け力に振り回されている幼子でしかない。
達哉はその段階をすでに通っている、一人ではどうしようもないことがあると知っている。
オルガマリーはすでに学んでいた。これは生まれの差からくる認識違いが生むものであった。
「ですが!!」
「いい加減にしなさい!!」
オルガマリーがマシュの頬を引っ叩く。
「オルガ・・・」
「タツヤは今黙っていて。これは女の話よ」
「・・・わかった」
手を出すのはやり過ぎだと言おうとする達哉であったが。
オルガマリーに黙らされる、これは女の話でもあるのだと。
叩かれた頬をマシュは左手で抑え俯く。
「もう・・・実はわかってるんでしょう?」
「はい・・・それでも私は強くなりたいんです」
もうすでに嫌と言うほど分からされた。
マシュはジャンヌ・オルタのようにはなれない。
必要とあらば友情の為に友情を投げ捨てた彼女のようにはなれないのだ。
だけどもそれでも強くなりたいと彼女は語る。
「一人では駄目よ、一人じゃ限界がある」
オルガマリーがそう諭す。そう人間一人ではどうしても限界があるのだ。
その限界を超えてしまったとき、人として終わる。
アマネもジャンヌ・オルタもそうだ。超えた結果鬼になったのだから。
鬼になってさらなる悲劇を紡いできた。紡いでしまったのだから。
「じゃぁどうすれば・・・」
「三人で強くなりましょ」
「え?」
「だから三人で強くなればいいだけじゃない。足りない所を補完しあって生きていくのは人間として当然の事だもの」
「・・・」
「だから抱えこまないで、悔しいのは私たちも一緒よ、強くなりましょ、まだ時間はあるタツヤと私とマシュの三人でね」
一人では限界があるが、そこを補完しあって寄り添いながら生きていくのが人間である。
だから三人で強くなろうという。
「すいません先輩、オルガ・・・私は・・・私はッ!!」
「あーはいはい、今は泣きなさい」
「はい・・・あと怖かったんです、刀を握った感触が手から離れなくてそれで、それで!!」
「そういうことも含めて早く相談しなさい、タツヤと私も力になるし、そういう事はアマネが一番対応してくれるからね」
「はいっ、はい!!」
マシュはオルガマリーの胸元にしがみついて泣きはらしながら謝る。
それと同時に初めての自覚のある殺人に悩んでいたことを吐露する。
オルガマリーはマシュを強く抱きしめながら、他者を頼れと諭す。
そして10分くらいでマシュは落ち着き。
とりあえず三人でリフレッシュルームに行き。
三人で話す、マシュの不安などに答えながら。
「とりあえず峠は乗り切ったか」
「損な役回りとはいえ。少々やり過ぎではないか?」
「こういう時にこそ徹底しないと後でやらかす、もう何度も見てきたよ、いやというほどね」
廊下の曲がり角で三人のやり取りを覗き込んでいたアマネが溜息ついて煙草をくわえ火をつけて。
煙を吐き出しつつ胸を撫で下ろす。
マシュのメンタリティ的峠は越えた。あとは修繕するだけだと。
最もやり方が過激すぎ、達哉たちの友情を利用したことに、書文は苦言をアマネに呈するが。
こういう時こそ徹底してやらねばまた暴発すると言い、書文の言いようを一蹴した。
「だが、良いのか? 間違いなくマシュには嫌われたぞ」
「嫌われているのは慣れている。それで生き抜いていける強さを身に着けられるなら喜んで嫌われるよ。もっとも苦手意識を持たれると教導にも影響が出かねないから、後でマシュのメンタルケアも兼ねてちゃんと話すさ」
必要以上に嫌われても困る、だからマシュのメンタルケアも兼ねて謝罪+ちゃんと話すと言い残し。
アマネはそう言いつつ吸い殻を携帯灰皿に放り込み場を後にした。
「まったく、損なお人だ」
書文もボヤキを一つ吐き場を後にした。
「休暇ですか?」
「そう休暇よ!!」
あれからさらに数日。
書類&データ地獄から解放されたオルガマリーはマシュの問いにそう返した。
久々の本格休暇である。訓練も何もしなくて良い完全なる休暇であるのだ。
そして現在食堂、たまには楽したいと全員が集合していた。
「丁度いい微小特異点があるから、そこでバカンス!! 時代も2014年代の七月!! 絶好のバカンス日和ってやつね、しかもジャパンのマツシマで!!」
「日本三大風景の名所じゃないですか!! 私も行ってみたいところでした!!」
「そう行けるのよ!! ヒロシマのカキは食べた事あるのだけれどマツシマのカキは食べたことないのよねー」
「松島の牡蠣の特徴と言えば甘味と旨味が強くて身が引き締まっていて加熱しても身が縮まらないのが特徴でしたっけ? 私楽しみです!」
「そうなのよぉー、ヒロシマカキは身が大きくてぷりっとした味わいだったけど。それとは違う感じだから楽しみなのよねー」
「カキって美味しいんですか?」
「そりゃもう、美味しいわよヒルデ」
「そうですか楽しみです」
「オルガちゃんが言うなら私も楽しんでみたいわね、ジャパンのカキ」
女性陣集まって初々しく牡蠣談義に発展している。
確かに松島は日本でも有数の牡蠣養殖地で味も世界でもトップクラスだ。
元に松島の牡蠣の種は世界にも輸出されるほど優秀なのである。
「生牡蠣ですか、私も興味が出る。生前は焼き牡蠣でしたからな」
「儂は食べたこともない、それほどまでに美味い物なのか?」
「美味いぞ。私も自棄酒したい時にはよくオイスターバーに行く」
「そうなんですか? 孔明殿?」
「ああ、飲まなきゃやってられないことが多くてね、酒のつまみには最高だ」
「カキは当方にとっても初めての食べ物だ胸が躍る」
皆牡蠣一色の話題で持ち切りである。
なおエミヤと達哉は憂鬱気味だった。
「なぁエミヤ、この話題にどう水を差す?」
「まず差す前提なのか? マスター?」
「当たり前だろ、今の時期に牡蠣小屋なんてやっていない事実があるんだぞ」
「それもそうだが・・・」
牡蠣の旬は基本冬である。
夏にやってる訳なんざあるわけがない。
だが騒いでいる連中は土地柄、年代柄、家柄でそも知識が無いゆえに年柄年中食えると思っている。
だが実際、この夏の時期食えるのは真牡蠣ではなく岩牡蠣の方なのだ。
と言うか牡蠣の生食は明治以降の話でもある
故に特異点の期間に行った所で牡蠣食べれる訳じゃないのだ。
「笹かまなら年柄年中やってるんだけどな」
「それは分かっているマスター。美味しいがな笹かま」
冬が季節の牡蠣なら兎にも角にも笹かまなら年中やっている。
まぁそれはさておき牡蠣食べれないよとどう切り出すかが問題だった。
達哉が行くかエミヤが行くかである。
正直、皆ウキウキ空間に突っ込み水を差すには躊躇がある。
「せめて塩釜ならなぁ」
「言わないでくれ・・・」
エミヤのボヤキに達哉は言わないでくれと言う。
そう塩釜なら問題なかった。
なぜか? 単純、そう塩釜なら岩牡蠣が丁度旬なのである。
そっちなら食えたのだが松島では食えないのだ。
悲しいねという奴である。
「あー皆、良いか、落ち着いて聞いてくれ」
達哉特攻である。
エミヤはマジかと言う顔をしていた。
「真牡蠣の旬は冬だから、7月の松島じゃ。牡蠣食えないぞ」
エミヤは当時を振り返ってこう語る。
まじめにその場が時が凍ったかのようだったと。
その後、観測員に塩釜が特異点化してないかと問い詰めるオルガマリーとサーヴァントたち。
一部の冷静なサーヴァントと保安部と達哉が鎮圧と説得が敢行されることとなった。
という訳で。
時期は夏、牡蠣食えない分、屋台などで海鮮物の焼き物を楽しむことにして。
後は旅館などで心を休め、海で様々なレクリレーションを楽しむことにしたのだった。
と言ってもだ。
「私たちの水着とかはダヴィンチが作ってくれたからいいとして、サーヴァントの皆の服装はどうするのよ?」
如何に光学迷彩などの誤魔化しが効くと言え。
あくまで偽装礼装の誤魔化しは視覚のみに限定される
向うでは海を実際に泳いだり浜辺を走ったりするのである。
それでは楽しめる物も楽しめないとしてオルガマリーが声を上げた。
「ああそれなら大丈夫、サーヴァントの霊基に影響する霊衣システム作り上げておいたからさと言うか、スティーブンが作っておいたんだけどもね」
「どういった理由で作ったのよ・・・」
「衣類を変更しても同等性能レベルを維持する為みたいだよ? スティーブンは真っ向からデミサバ計画に反対していたしね。だから用意していたのだと思う」
霊衣システムは完成していた。
と言うよりもスティーブンが用意したそれをバカンスに向けてダヴィンチが完成させただけである。
ポットに入ってデータ入力するだけであら不思議。
霊基の武装などを改変し、一般衣のように仕立て上げることを可能にしたのだった。
「それはさておき、達哉君、オルガマリー、マシュの水着礼装は作っておいたから現地で海で泳ぐ場合はそれを使ってくれたまえ」
そういってダヴィンチは三つの水着型礼装を三人に手渡す、達哉のはぱっと見、ボクサーパンツ型の黒をメインカラーとして白のストライプが描かれた礼装。
オルガマリーは黒のビキニで。マシュは黄色を基調として黒のアクセントが加えられたスポーティービキニの水着だった。
「水着か・・・学校の水泳授業でしか着たことないな・・・」
前にも述べた通り、達哉の故郷は海沿いの町だったが。
基本山派だったと言うこともあって、水着をまともに着用したのはプールでの授業だけである。
「私もですね」
マシュもレイシフト要員として鍛えるためにトレーニングルームの水泳施設を使ったときの競技用水着しか着用したことないので、こういうスポーツタイプのレジャー系列系の水着は初めて+海で泳ぐこと自体が初めてだった。
「今、思い出したのだけれど」
「どうかしたか? 所長?」
「いえね・・・考えてみれば私泳いだこと自体がないのよ」
その言葉に達哉&マシュ驚愕。
だが考えても見てほしい、幼少期から政治学や帝王学やら魔術をしこたま教えられ。
時計塔に至っては普通の学校とは違う、プール授業なんてない。
ようやく自分の時間取れる時期になった瞬間にマリスビリーが自殺。
カルデア所長就任、当時は仕事忙しい上に周りの人間を信用していなかった。
だから教えられることもなかったし泳ぐという発想すらもなかったのである。
「アレ? 第三特異点って結構私ヤバかった?」
「船から落ちたら終わりだったな、間違いなく」
地味に常時命の危機だったことに今更になって気づく。
「えっとまぁ、現地に付いたら泳ぎ方教えますから、ね! 先輩!」
「ああそうだな」
という事になった。
そして当日、レイシフトスーツに達哉は礼装に改造されたかつての私服を登録。
マシュも礼装に改造された私服を登録、オルガマリーも同様である。
後はオルガマリーの私物のBBQセットを運び込み。
サーヴァントたちも霊衣を変え。いざ出撃準備が整った。
足りない分は現地調達という方式を取る。
最も一日目は皆で買い出しだった。
「煙草の要求値が多いですな」
「皆ストレス抱えてるからね、健康に悪くても一時凌ぎにはなるし、カルデアって喫煙室と保安部の詰所以外禁煙だったから全館喫煙可にしたのは緩めたほうなのよ」
「ちょっと待ってくだされ、煙草が健康に悪い?」
「?悪いわよ、詳しいことはロマニに聞いてちょうだい」
「!!??」
宗矩驚愕。
彼の生きていた時代はまだ実は煙草は健康用品だった時代なのだ。
現代の様に紙煙草を喫煙所以外で吸おうもんなら犯罪者扱いの様な時代とは違うのである。
宗矩は愛煙家でもあったがゆえにそのカルチャーショックはすさまじいものがあった。
と言うのもさておき。
レイシフトが開始され。現地到着。
まず一日目は相も変わらずインゴットを現金に換金し。頼まれ物リストに載ったものを買いまくるという訳だ。
後は泊まる旅館の手配だ。
女性用品なども含まれるためそっちは女性陣が買うことになり。
男女で別れることになった。
そんな中で男五人は街中を大荷物抱えて歩いていた。
ぶっちゃけ誰も自動車免許持っていなかったので必然とそうなった。
「なぁマスター、これ一日はつぶれるぞ」
「当方もその意見である」
「まぁ二人とも一日目は観光じゃなくて買い物だって決めてただろ」
「だがまぁ二人の言う通りでもある、少し休憩しないか? マスター」
「ちょっと待て、柳生の爺さんと書文の爺さんどこ行った?」
「そういえばさっきから姿見えないが・・・」
若干二名、姿が見えない。
旅館手配はオルガマリーがしているのでそういう訳ではないのだが。
故におかしい、二人はどこ行ったという話である
「ムニエルさん、二人がいない、逸れてしまったかもしれないから位置情報をくれ」
『OK、OKって・・・今二人、笹かま直売所に要るみたいだけど」
「・・・」
「逃げやがったな爺二人」
「今度叩きのめして・・・いやできるかな? 師匠レベルでつえーしあの二人・・・」
まさかのサボタージュである。
宗矩と書文、スキル使ってこっそり抜け出して海鮮焼きやら焼き立て笹かまやら楽しんでいた。
『おい、今、所長たちも関係のない場所にいるぞ』
「・・・場所は?」
『マリンピア松島水族館だな』
「「「「「・・・」」」」」
まさかの真面目にやっていたというのは自分たちだけでしたというオチだった。
「任務を放棄する訳にはいかない・・・兎に角、買い物終わらせて俺たちも観光と洒落込もう」
「「「「応」」」」
悲哀をにじませ怒りを発露しながら男たちは買い物を素早く終わらせるために能力を全開にした。
一方女性陣はと言うと。
実際サボっていたわけではない女性用品とか結構限定されていたので早めに買い物が終わっただけだ。
という訳で偶には女子会、つまるところマリンピア松島水族館でキャピキャピやっている訳である。
施設は古いがそれでも彼女たちは楽しんでいた。
「わぁ、すごいです」
アシカショーを見てマシュは感嘆の声を上げる。
アシカショーの派手さでいえば金満な水族館の方が上がるが。
伝統も長きこの水族館では洗礼された素晴らしさがあるのは当然の事。
王道は使い古されているとは言うが逆に言えば安パイ的に客を楽しまさせられるという事である。
アシカショーを見終わった一行はペンギン見たり。
クリオネ見たりして水族館を一周。
売店で新鮮な浜焼き、食いやすいという事で螺の串焼きを頼みペンギンを見ながら癒されていた。
螺串に焼き牡蠣に酒があれば最高だなとオルガマリー達は思いつつ水族館を後にする。
すぐ近くには笹かまの直営所もある。
そこで出来立てホヤホヤの笹かまやら浜焼きを買って三大風景を見つつ食べるのも乙なものだと思い立ち。
女性陣は移動を開始。
直売所近くの海辺が見えるベンチで。
「いやはや三大風景とはよく言った物、素晴らしいですなぁ」
「私も始めてきたもので、これほど素晴らしき景色なら早めに来ておくべきでした」
「では、次は遊覧船観光なんか、いかがかな」
「それもいいですなぁ、書文殿」
笹かまやら浜焼き各種をツマミに酒を飲む技量特化のスキル悪用して逃げ出してきた二人が談笑していた。
『オルガマリー、宗矩さん、書文さん、今何をしてる? 観光は明日って話じゃなかったか?』
そんな二人に怒りかかろうととしていたオルガマリーの背筋も冷える。
達哉からのレイライン通信である。
言葉の強さ的に怒っていると。
女性陣と男性二人はものの見事に背筋を凍らせたのだった。
「あはははは、タツヤ、私たちは真面目に買い物は終わらせたわよ、ねぇマシュ?」
「所長の言う通りです、私たちは要求された作戦行動を終了させました。ねぇヒルデさん!!」
「オルガマリーとマシュの言う通りです、私たちは買い物を終わらせました、そうですよね? マリーさん」
「ブリュンヒルデ、ここで私にキラーパス!?」
『もう言い訳は聞きたくないのが俺たちの本音だ・・・旅館の予定取れたんだろうな?』
「ちょっと待って!! 今各方面に問い合わせ中だから!! ね!!」
『後、こちらから宗矩さんと書文さんが逃げ出した。そっちの近くにいるらしいんだが。認識範囲にいるか?』
「いるわよ目の前に!! 酒飲んでツマミに笹かまと浜焼き食ってる、二人が!!」
「「オルガマリー殿!?」」
『よぉく分かった、二人を拘束しておいてくれ。すぐに向かうしこっちでどうにかする』
「わかったわ、やっておくわ!!」
「「オルガマリィー殿ぉぉぉぉおおおおおお!?」」
如何に技術の極致とはいえ、酔っぱらっている上に。
多人数相手では分が悪く捕縛。
二人は抵抗するものの町中では剣を持ち出すわけにもいかず、オルガマリーのペルソナの前に轟沈。
達哉たちが来て意図的に買い物量を減らし残っていた分を男性陣に押し付けた女性陣と書文、宗矩が説教となって。
何とか旅館の予定も取れて、その日はお終いになったとさ。
アマネ「変な方向に育ったから一度へし折って再教育やな」
元米国非正規特殊作戦群の元長。容赦なしです。
自分たちが壊れていることを自覚しているから。そこらへんの塩梅は上手いですし。
達哉たちの友情も利用して矯正させました。
最も彼女的には不本意で本職が生き延びてたらへし折らずにゆっくりひん曲げつつ本職と連携取って早急に立て直してました。
でも本職全滅してるから。あえて嫌な大人という汚れ仕事を演じていました。
大人って辛いねバナージ
因みにイドを見たニャル。
ニャル「生温いことやってんなぁええ?(某二人の背後に立ちながら)」
人理君「無茶はやめて!!」
そして舞台は松島へ。
ちょうど夏時期。
故に牡蠣の旬って冬なんですよね、即ち牡蠣小屋やってるわけもなく。
最も岩垣は夏が旬らしいですが、松島じゃなくて塩釜方面なので結局薬局食えないというオチに。
これには達哉とエミヤ以外のオルガマリーもマシュもサーヴァントたちもガッカリ。
因みに作者、海鮮類みて食べたいなーと思うけど食べるとゲロリにトイレに駆け込むくらいには海戦食べたいけど体が受け付けねぇ。
新鮮なサンマの刺身提供してくれたかつての行きつけの飲み屋さんに牡蠣のムニエルを提供してくれた行きつけのお好み焼き兼鉄板屋さんには本当に申し訳ない。
昔かっらなんですよね、お陰で食べれるのが螺と烏賊と蛸しか食えんのです。
まぁそれはさておいて、水着イベ開幕です。
マシュの水着はダイブ・トゥ・ブルー+上着。所長は黒ビキニ、たっちゃんは白黒のぱっつりじゃないボクサーパンツタイプで行きます。
牡蠣美味しく食べれるような味覚と体になりたいなぁ・・・
次回厄介事との出会い。
次回は遅れますからね!! 震災の事の事も絡むので慎重に組み立てたいんです。