Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
マーガレット・ミード
「シェイクスピアとのしゃべりは参考になるわ」
「おや? どうしてですかな?」
「私自体、所長って立場だしねぇ。ウィットに富んだ冗句一つ言えないと交渉ごとにならないのよ」
「そう言っていただけると幸いですがね、吾輩のように捻くれてもそれはそれで人付き合いは上手く行かないものですぞ。参考にするならそうですな・・・ルイ殿がよろしいかと。それよりもです」
シェイクスピアはそう言って投影式画面に視線を戻す。
「イデオンと呼ばれるアニメーションでしたかな? すぅんばらしい!!」
「き、気に入ってくれたようで何よりよ・・・」
シェイクスピア、前回喜劇が書きたいだのなんだの言ってもやはり根は悲劇の作家だ。
イデオンを大絶賛していた。
子供たち?には別室でトムとジェリーを見てもらっている。
なお食指が動いたのかアンデルセンも子供たちと一緒にトムとジェリーを見ていた。
最もその後、幼女三人組はいい事思いついたのか。館を警邏していた達哉を捕まえてリアルおままごとである。
アンデルセンは集中してトムジェリを見ていたのは完全な余談だ。
『だがイデオンは参考になるだろう? 読心術で心通しの会話をしても人間は通じ合えないんだ』
「そこに文化の違い、思想の違い、仇討ちやら何やらが加わりますからなぁ」
アマネが通信してきてイデオンを通して本質を学んだだろうと言いつつシェイクスピアが補足を入れる。
そう人間、心の通じ合い通信ができたとてズケズケと己の内に入るなとか、文化の違い、思想の違い、仇討ちやら何やらが加わるから絶対的に価値観を共有できず争うのだ。
「だけどいつかは群から個になると私は思っています、何万年かるかもしれませんけど・・・そうなると信じています」
マシュはそう言う、今の人類はまだ未熟で時間が必要なのだ。
それこそ群から意識を統一した人類統一政権の誕生まで万年は余裕でかかるだろう。
第一に猿から人間が人間として進化しているのにうん百万年かかっているのだ。
高々3000年如きの歴史で悲劇しか見ていない奴は実に馬鹿極まるというもの。
もっと歴史の授業を受けるべきだろう。
「マシュ殿の言うと通りですな。今は停滞気味ですがいずれ人類は宇宙に出れるでしょう、なまじ魔法だとか根源だとか魔術があり手段があるから拗らせてる馬鹿が多いだけですからな」
シェイクスピアの言う通りである。
この世界はあまりにも急ぎ過ぎている奴が多すぎなのだ。
そう言った連中のせいで滅びの道を歩んでいるとなぜ気づけないのか。
おとなしく見守っていれば五大魔法も消え去る時代が来るというのに。
「その尻拭いに奔走している身としてはほんと馬鹿バッカという話よね。あとだけどカルデアスの解体も視野に入れなくちゃ」
「ええ、なんでです?! 所長!?」
「よくよく考えれば、カルデアスで100年先を保証するという事はシュレディンガーの猫の箱を開けるようなものだからね、未来はあやふやだから無限の可能性があるんであって、未来を観測し可能性を見るという事は可能性を固定化するに他ならない。最悪の未来を観測した時点でそこで人類は終わる。よくよく考えてみると人類抹殺爆弾なのよね」
そう未来とはあやふやだからこそ無限の可能性を秘めているシュレディンガーの猫の箱だ。
逆に観測してしまえば最後、未来が固定化される可能性を秘めているのである。
故にカルデアスは今思えば超ド級の爆弾だった。
今現在は未来予知機能は停止中だからいいものを。
兎に角、人理焼却とういうこの大災害が終わったら責任取る名目でカルデアスは解体、施設も分割販売した方が良いとオルガマリーは思っていた。
なおその目論見がどっかの隠匿者共と全財産叩いてカルデアという組織を買い取った奴のせいでご破算となるのは別の話である。
「ひーん!! マスターさーん!! ボスケテー!!」
「いや、そこは助けてでしょうに?」
「いやそれは私に言われても、マシュ知ってる?」
「知ってますよ、日本の古い漫画でのギャグシーンの一つですね、ボスたすけてとメッセージを送ろうとしたところで四文字までしか送れなかったため、そうなったんですよ」
「よく知ってるわねそんなこと」
「ジャパニーズコミックも私の好みですから・・・というかなんで、そんな有様なんですか、アルさん」
「庭で素振りの稽古してたら宗矩さんに眼を付けられまして、振り方を教えてくれるって言うんで喜んで教えてもらったら最初は型稽古だったんですけど・・・いつの間にか実戦形式になって滅多打ちにしてくるんですよぉ!!」
「あー宗矩さんに眼を付けられば、そうなりますね」
「アル、これがカルデア式だから諦めなさい」
そう滅多打ちならまだ優しい方だ。普段通りなら木刀によって骨を折られる事さえある。
体術だってそうだ。書文とアマネは容赦がない。
その程度の怪我なんぞペルソナ使いなら回復スキルと一晩寝るだけで全快するのだから。
そして回復役が居るとわかればルールを設けた上でサーヴァント同士が鍛錬の為に争うのである。
そんな世紀末式鍛錬がカルデアでは標準だ。
因みに現代火器の訓練も行っている。なんせスティーヴンとダヴィンチがサーヴァントにも通用する神経弾という物を開発しているのだ。
現代火器だって立派な戦力だ。現にオルガマリーは刀剣とかの才能もあるが火器の扱いの才能があるためそっちで武装している訳であるし。
で、なぜアルトリア・リリィがその事情を知らないのかというと。
此処に来る寸前で召喚されたためである。
無論、訓練を施している暇なんぞない、加えてなんかアルトリアの修業時代の側面が召喚されたためか。
宝具の威力は目を見張るものの、それ以外がダメダメだったため。
準備期間の現在、宗矩が稽古を付けているという訳だ。
基礎が古いためか達哉よりもなっていないためか。そりゃもうボコボコの有様である。
殺傷技術というのは古いより新しい物の方が優れている故。
「見つけましたぞ、アル殿」
「げぇ!? 柳生!!」
「さぁ稽古に戻りますぞ、まだまだ貴殿は温いですからな」
「宗矩さんそこそこにお願いしますよ」
「あいわかっておりますよ。ここは戦場のど真ん中ですからな」
「助けてくれないんですか?! マシュさん!!」
「私や先輩に容易く一本取られるようじゃまだまだです。甘んじて受け入れてください」
こうして引きずられ、怨嗟の声を上げながら引きずられていくアルトリアを尻目にマシュは優雅に紅茶を飲むのだった。
「大丈夫ですかな? 彼女・・・」
「私達よりきつくはしないでしょう。なんだかんだ言って宗矩さんはちゃんと見極められる人ですから」
マシュの知る限り宗矩が達哉を教練した場合、我流ではあるが収めているし、実戦経験もあるしで、奥義にして基礎、十文字と合撃を叩き込まれたのだ。
それこそメタクソにやられたレベルで。
今は収めたから次は魔剣なという段階であり、よりメタクソにやられている。
「吾輩、東洋の侍ってホント怖いと思った」
「それは私もね、シェイクスピアに同意」
「え? あれくらい普通じゃないんですか?」
「「マシュ/殿!?」」
マシュの台詞を聞いて驚愕する二人。
どんだけキツイことしてるんだ東洋武人二人組と。
アマネでさえ加減しているというのにとオルガマリーは思い。
散々叩きのめされ投げ飛ばされ、起きなければ追撃を躊躇なく入れてくるアマネも同類だなと思う。
だが武術とは反射が物を言う側面もあるため、結局の所痛くなければ覚えませぬという奴である。
「そう言えば私もアマネに関節やら投げ飛ばしやらで餅を叩きつけるみたいに何度もマットに叩きつけられたし、顔面パンチにキックなんて何度も貰っているから普通なのかも・・・」
「アマネという人物はご存じありませんが、おかしいですからな!! 色々価値観狂っておりますよ!!」
もう本当にアレである。
シェイクスピアだってサーヴァントだ。
と言っても戦闘能力はなく、スキルや宝具で自身のマスターを戦えるようにしてから出す。
だがカルデアは違う。マスター二人とマシュがなまじサーヴァントとやりあえるせいでガチの特訓だ。
普通の魔術師やら現代武人なら根を上げている。
アマネやら保安部は現代に生まれたのが間違いとかサーヴァント達にも言われるので無視である。
兎に角、達哉、マシュ、オルガマリーは今を生きている人間である。
成長が可能なのだ。サーヴァント達やら一部頭の可笑しい保安部の教導も熱が入るというものである。
「そうなのかな・・・そうかも・・・」
「そうですぞ!!」
オルガマリーが困惑気味に言葉を漏らし。
その時点で可笑しいのは当たり前だとシェイクスピアは突っ込む。
基本、サーヴァントの武術は当時のテクスチャやそれからくる身体能力に起因する物も大きいし、
宗矩や書文は技術の極みなのだ。
現代人の頭おかしい一部の連中以外は訓練にすらもならないのはその通りなのである。
魔術もペルソナという神代級の外付け魔術回路が無ければキャスターからの教導も無意味に終わるのだから当然だ。
もうこれにはシェイクスピアも頭を抱えた。
こんな普通の日常が似合う若人たちが鉄火場にすっかりなじんでいることに嘆くほかない。
こうなった原因は度重なるリソース不足による自分たちでは何とかしないといけなかったという事。
ニャルラトホテプが難度限界ギリギリにまで調整するため、戦術及び戦略上は愚策である戦力の分散という事をしないと追っつかないという事もあった。
それ即ちマスターでさえ最前線で戦わなければならない。
故に訓練して生存率を上げなければないのである。
そんなことをしていると、
「たつやーいる?」
「あら? どうしたのフラン?」
「ギターのえんそうのとっくんのつづきしてほしいから・・・」
「あー達哉なら幼女三人組とエリザと組んでリアルおままごと中よ」
「そうか、ざんねん」
「あーしんどかった」
そんなことを話しているとギャグ調にズタボロになった達哉が戻ってきた。
「あら丁度いいところに」
「所長、今日は勘弁してくれあの子たちの世話でもう限界なんだ・・・」
「何があったのよ?」
「子供は加減が効かない・・・そりゃもう大変なことになってな。本当に昼ドラのダメな夫役させられるとは思わなかったし嫁小姑戦争をリアルに再現したもんだから際限が付かなくなってな、エリザもノリノリだし・・・」
「なら、吾輩が全員巻き込んでの脚本を「死にたいならそうすると良いわ」すいませんでしたぁ!」
その様相を聞いて、シェイクスピアがメモ帳を広げるが。
それを聞いたオルガマリーがリペアラーを一丁抜いてシェイクスピアの額に照準を付ける。
シェイクスピアの宝具の効力は知っていった。
故にこの状況下で発動でもされれば大きな隙になるだけである。
故にオルガマリーは額に青筋浮かべて銃まで抜いて脅し止めた訳である。
「というか、ルイにシンはこの惨状どう思ってるわけ? 屋敷主なんだからこう好き勝手されるのはどう思っているわけ?」
「基本的に野放しでOKとのことですぞ。何なら屋敷消し飛ばしても問題ないとか」
「「「なんで!?」」」
「いやなんでも持ってる屋敷の一つ程度らしいし痛んできたから消し飛ばしても解体費が浮くからとか・・・」
三人の突っ込みにシェイクスピアはそう答えた。
因みにであるがこの屋敷全体が魔術工房化されており下手な城塞より強固なのである。
でなくば外をうろついている幻想種共がすでに強襲し無茶苦茶にしているだろう。
それができないほど強固なものを作り上げているにも拘らず、ルイは特に拘っている様子もないというのは。豪快というか金銭感覚が狂っているという他ない。
それだけ凄まじいのだこの屋敷は。君主級の魔術師でも早々には持てないほどに。
「一応、大半の主要なものは別所に移しているらしいですがね」
「それでもよ、この結界、敷くのにどれほど大枚叩いて時間と労力を割いたのか・・・魔術師としては目が眩むわね」
それを容易く使い捨てることができる資金力はどっから来ているのか。
第一ルイの魔術の腕も異様だった。
本当に協会に籍を置いているなら君主どころか王冠だって目指せるであろうレベルである。
「というかあの老人、普通に歩いているときがあるのに車椅子使う必要あるの?」
「気分だそうで」
「そう、気分なのね」
なんだかよく分からない館主だと思い溜息が漏れる。
そんな傍らでマシュが幼女三人組に絵本読んで―と連れていかれ。
達哉はフランにギターを教えていた。
「たつやはうたわないの?」
「俺歌上手い方じゃないしな。歌を習うならシェイクスピアとかの方だろう」
達哉は歌を歌うのは得意ではない。ネタ的な意味では歌えるがクソ真面目に歌って評価されれば下手な部類である。
「サリエリ先生がいてくれればなぁ・・・」
音楽教えるなら一級品のサリエリがいればなとぼやく。
現代音楽さえ収めれば現代でも十分名を残せるし生徒が殺到するレベルで教えることができるほどサリエリは上手い。
同期のアマデウスは確かに天才だったが、それは奏で手であり教師という分野ではサリエリに軍配が上がる。
当時、アマデウスの音楽を分析し伝えることが出来たのはサリエリであり、
それも彼の功績と言っても過言ではない。
「ならば私が教えましょう」
サリエリはここにはいない。だがシェイクスピアがいる。
彼もまた劇を作り上げる者。
教導できぬはずがない。
むしろ劇を作り上げる都合上。音楽知識だけではやっていけないのである。
「達哉殿は・・・歌の方は・・・まぁその・・・もう・・・アレですからな」
「才能が無いのならはっきり言ってくれ」
「まぁないですな・・・ですがギターの才能は眼を見張るばかり!! と言っても吾輩の勧誘は蹴るでしょう?」
「ああ、悪いがやっとやりたいことができたんだ」
「それはいい事です、でフラン殿に話を戻しますが。一度体感させた方が良いでしょう」
「エリザに全力で歌わせるのか?」
「その方が手っ取り早い、フラン殿は音楽の怖さを知らぬがゆえにね」
音楽とは武術と一緒だ。
長年訓練したところで報われない事例なんて腐る程ある。
歌劇も一緒だ。
だからエリザベートという極地の一つを知らせる。
「口酸っぱく言うようですが、正確な楽譜や演技に沿うだけなら今の世の中であれば機械で代用が効きますからな」
そう正確に歌わせるだけなら現代なら音声ソフトを使えば楽勝だ。
逆に音声ソフトを使って人々を引き付ける歌を作るのは楽器演奏者やら音楽家として才気と血の滲むような訓練と作業が必要となる。
何度も言うが正確に音楽を奏でさせるだけなら簡単だ。
だが人々を感動させ引きつけさせる曲や歌を奏でるとなるとどうしても才気や努力の壁にぶち当たるのである。
今のフランは文字通り機械だ。
人造人間故に感情を引き付ける引き方や歌い方がわからないのは当然である。
教えれば機械のように譜面に正確には演奏できるものの譜面に誠実には出来ない。
だからここはあらゆる意味で規格外なエリザベートの本気という奴をぶつけて分からせた方が早いとシェイクスピアは判断したわけである。
人間になりたいという彼女の願いも叶えられるかもしれないからだ。
「わー。エリザが本気で歌うの?!」
「楽しみだわ!!」
「楽しみ!! 楽しみ!!」
幼女トリオも楽しみそうに集まってくる。
珍しくルイやシンまでもが出てきた。
「いいの? 本気で歌って??」
「まぁ少しは加減してくれると助かる。あと調律の為に音をくれ」
「了解」
エリザベートと専門的なやり取りをしつつ。達哉はギターを調律する。
あの時は四人がかりでエリザベートについていけたが。
今回は達哉一人きりだ。
正直言って気乗りしない、あの時は兄やクーフーリン、サリエリのフォローもあったからついていけただけで。
現実いっぱいいっぱいだったからだ。
故に今回一人、趣味ギターでプロレベルに踏み込んだだけのヒヨッコが付いていける道理がない。
キツイ一曲になりそうだなと思いつつ達哉は調律を完了させる。
「いつでもいいぞ」
「わかったわ。歌だけだけど思いっきり行くわよ」
そう言って。何回か息を吸って吐いてを繰り返したエリザベートが歌う。
数瞬誰もが屋敷が揺れたと錯覚した。
あくまでも錯覚である。圧倒的な歌の前に誰もがそう感じるのだ。
「あう・・・」
心がないはずのフランでさえ圧倒されていた。
これが才ある人間が才能のある教師によって磨き抜かれた物なのかと。
それは一瞬にして人の心を鷲掴みにする。
此処にいる全員がそうだ。
最も達哉だけ楽器を握って演奏しているのでそういう訳にもいかず着いて行くので必死だ。
まるで音が質量を持ったかのようだった。あの後も訓練を続けてレベルアップしたらしい。
これにはシェイクスピアも圧倒されるというものだ。
同時に悲観も混じる、これほどの歌い手ならば時代が違えば時代に残る歌姫として名を残すだろうにと。
だがそうはならず教えは怠惰で陰惨な物ばかり、結果エリザベートは稀代の歌い手としてではなく淫蕩と血を尽くした悪魔として名を刻んでしまった。
シェイクスピアがもしも当時、エリザベートの教師であったなら周りを殴るレベルで本当に惜しい存在だった。
本当に世界とは残酷だなとシェイクスピアは思う訳で。
そして曲が終わる。いい汗かいたとばかりのエリザベートともう無理というレベルで疲れ切った達哉が其処に居た。
「どうだった? フラン? 何かつかめたか?」
「よくわからない・・・すごいしひきこまれたのはわかるけど・・・なんだろうこのふしぎなかんかく・・・」
フランは情緒が下手すれば三幼女以下だ。
自分を確立していないのである。心があるかさえ分からない。
「それが心だよ。君は人間だよ」
人間の定義とは何か。そんな哲学は今でさえ論議されている。
近代に入ってもそれは同じだ。
魂の解明に至ったのは行方不明になった第三魔法使いのみぞ知るという奴で。
彼は魂の定義を語らずに行方を眩ませた。
なら我々は我思う故に我ありと思うしかないのである。
確かにフランは死体を繋ぎ合わせ魔術で錬成されたとしても。
自分で決めた夢や怒りがあるなら人間であるともいえる。
例えば人間だって赤子の時は人間でないといえる。なぜなら自我が形成されていないからだ。
赤子は無垢だ。故に外界からのあらゆる情報と生活環境で自我を形成していく。
そして大多数の持つ規範に入ることによって人間と呼ばれるようになる。
無論、肉体は老いて情報の精度も落ちてくるし忘れもするが。それは肉体の限界という奴だからこの際置いておく。
つまりちゃんとした教育と環境こそが人間を作り上げるのだ。
そう言った意味ではエリザベートとフランはよく似ている。
両者とも教育と環境で怪物に成り果てた存在であるからだ。
だから人間だと達哉は言う。
確かに人造人間かも知れない子供も産めないのかもしれない。
だがそんなことは些事だ。
ちゃんとした教育があればいい女になると達哉は思っていたしシェイクスピアもそう思っていった。
因みに彼女の悪癖はルイやシンが淑女教育という体裁で矯正している。
「フランさんは夢があるんですか?」
マシュが問う。
フランはこの館でよく働いているし。ルイの淑女教育も受け。
達哉が来る前はシェイクスピアが音楽を教えていた。
つまりやりたいことが在るのだと見抜いたからの問いである。
「すてきなはんりょがほしい・・・・そのためにはるいはかちかんをかえろっていうし、べんきょうもひつようだからって・・・」
素敵な伴侶が欲しい。ごく普通の願いではあるが立派な願いだろう。
故にルイは自分磨きをしなさいと館の雑務などをさせ、勉強させている訳なのだ。
シンはよくわからないとはフランの弁で。
興味ない事にはとことん興味を示さず。全てを冷笑しているかのようだった。
無論それはニャルラトホテプとは違い己と対等な相手がいないという自嘲であり寂しさを含んだものであったが。
故にオルガマリーもマシュも忘れられない。
一瞬だが達哉に向けられた笑み。最高の獲物を見つけて生涯を通して狩るという狩人にも似た笑みに。
ルイ以上にシンを危険視していたのだ。
あれは不味い、敵に回してはいけない類だと。
感じる感覚は第二特異点のゼットと同じ。
ともすればルイもシンもアマラ宇宙に置ける上位者、即ち神霊以上のナニカだ。
第一に聞いてもはぐらかされるだけだろうし、ゼットレベルかそれ以上なら敵対したくはない。
カルデアの敵は人理焼却犯にニャルラトホテプだ。
藪を突いて蛇を出す趣味はないのである。
既にこの宇宙は可笑しい。アマラの浸食を受けているような感覚だった。
こちらの神格以上のナニモノかが浸食を開始している。
最もニャルラトホテプとフィレモンの干渉を受けている時点で手遅れ気味ではあるが。
だからこのどんちゃん騒ぎが終わった後でオルガマリーはルイと二人きりになった時に問いただしてみた。
「ルイ、アナタたちの目的は一体何?」
「何もないよ、強いて言うなら事態の早期解決だな」
ルイはそういう。金持っているだけのペーペー魔術師がそれ以上を望むのかと。
逆にオルガマリーからすればこれだけ高度な結界を張った屋敷を使い捨てられる時点でペーペーじゃねぇだろとな一審突っ込みを入れる。
そして確証も得た。
こいつニャルラトホテプやゼットと同階級の存在であると。
即ちアマラ宇宙における上位者。
神格を超えたナニカであることを。
だが口には出さない。少なくともルイとシンは傍観に徹している上に支援もしてくれている。
其処にケチつけるわけにはいかない。
「手出しはしないという事でいいのかしら?」
「そう捉えてくれてかまわない。オペラや演奏会の客人は静かに座っているのが礼儀という物だろう? 最もシンは興味がないみたいではあるがね。だが彼とはあまり交流しない方が良い」
「それはなぜ?」
「彼は私の最高傑作であるが制御が効かん。強者とみると噛みつく悪癖がある」
「でも私達は興味を持たれていない、彼のお眼鏡には適わないから良いんじゃない?」
「周防達哉に眼を付けている」
「・・・ほんとアイツ、そういうのに目を付けられがちね」
「良くも悪くも超人的在り様だからな、周防達哉は誰もが期待してしまうというものだよ」
そう言う物だとしてルイは遠目で窓の外を見た。
オルガマリーはいくら上位者でも苦労するときは苦労してるんだなと嫌な共感を得る羽目となってしまう。
「まぁ良いわ。私たちの役に立ってくれるなら文句はないわ」
「そう言ってくれると助かる。ああ後、もう夕飯の時間だ。期待しているよ」
「まぁ、達哉やマシュとフランに任せる訳にはいかないけどねぇ」
達哉は料理は出来る。なんせ家庭環境は最悪だったし一年間、孤独の旅を続けていたのだ。
当然料理の一つや二つできる。なお男料理という代名詞は付くので、
普段はやはりプロ級のオルガマリーが作ってくれるし、食堂に行けばウォンが中華料理、エミヤが日本料理を出してくれるので、普段はやらないが。
それでもフランの料理感をねじ曲げかねない。
溜息を吐きつつ。オルガマリーはキッチンへと向かっていった。
それを見届けたルイは。
「ゼットの奴めやり過ぎだな」
「中立とは何だったのか」
ルイのボヤキに合わせ部屋の隅の闇から出てくる、混沌王にとってはこれくらい楽勝だ。
元来悪魔とは闇に潜み人を狙うのだから。
「お陰でこっちの”正体”がバレかけているぞ?」
「問題はない・・・ 今の会話で中立である以上彼女はこちら側には手を出さないと言ったようなものだ」
ルイはそう言ってシンはため息を吐き。
シンは窓の外を見る。
「全く懲りない連中だ。四文字の差し金か?」
「いいや。彼は何処までも中立だよ。大方影がねじれさせた魔術師だろう」
「教会の方も入っているとは驚きだ」
「始末しろ。少なくとも今の彼らには必要のない相手なのだから」
「了解した」
そう言うやり取りもあってシンは姿を消す。
それと同時にルイには映っていた。
天使と化したペストマスクと黒い鳥を蹂躙し消し飛ばすシンの姿が。
カルデアには言ってなかったが、必要以上の情報を阻害する効力もあるのだ。
この館に張られている結界は。
故に達哉たちは気づきもしないし、どうでもいい事だとルイは思い車椅子から立ち上がって場を後にした。
「そうそう、丁度そのくらいに」
「うん」
オルガマリーはフランに料理の教導をしていた。
極めているとは言えないにしても一流シェフに肩を並べるくらいにはイタリアン&フランス料理に精通している彼女だ。
元がネット検索での我流という事もあって自分で勉強し覚えたという事もあって、
苦労する部分は弁えているので教師としても優秀である。
それにフランも人造人間という事もあって優秀な素養を秘めていた。
「所長、このくらいでいいか?」
「いいわよ」
達哉とマシュも料理に参加。
最も腕はないので本格的な調理には参加せず下ごしらえに注力していた。
マシュはそれでも調理経験がなく達哉が丁寧に教えていた。
料理と美味いという概念をフランは覚えつつも。
料理って大変だなとも思った訳である。
子羊の舌の包焼きやらサラダを出しつつレシピを覚えながら全員に出した。
意外とタンというものは大きいものだなとフランは思いつつまだまだ理想の花嫁として理想の伴侶を得ることは遠いと思った。
そして。
「さぁ後は馬車と弾丸の用意が出来ればOKね」
食事を終えて、フランは音楽教導を終えて、
カルデアのメンツは準備を入念なく終えていく。
明日には準備も完了し。
いよいよ本格的に第四特異点の調査と黒幕の撃滅の開始の合図の狼煙が上がったのだった。
故にフランも自身に用意された乙女の貞節を握りしめたのだった。
フランちゃん花嫁修業回ですた。次回は探索回ですね~
なお裏ではカルデアが下準備整えて相手を圧殺できるように準備してます、下準備大切。
たっちゃんの歌唱力は子安ではなくテラ子安の方です。
つまり、ガムリン木崎レベルですね。
ギターの腕はチェイテ特異点でサリエリ先生のお陰で上がってんだけどもね。
本作エリザは霊基統合、自己を見つめて成長し、サリエリ先生や宗矩のお陰で歌い手としては世界で三本指に入っても可笑しくないレベルです。
元からそんくらい可笑しい才能あったからねエリザ。
本来可笑しい方向に向いていたのを自覚&矯正されたからそうなっているだけですからね。
ニャル「まぁ戦力集中できるけど、たっちゃんがキレないとどうしようもない奴いるからね今回、腐っても獣だし♪」
散々、作中では魔術王(仮)さんの事を扱き下ろしてきましたが強さは本物とかいう質の悪さです。
多分レスバしたら魔術王(仮)逆切れして全力で襲ってきますんで質が悪い。
現状でもたっちゃんがキレないと勝ち目在りません。アリスの方は手数という相性差で彼女は勝てないんですよね。
伊達に魔術王(仮)じゃありません
というかね、作者的に思うの・・・
型月ラスボス勢はSF履修しろよ!! そこにアンタらの手段の失敗例、乗ってるんだからさぁ!!
特に天草おまえやぞ!! 放浪中、暇でもしていたのかってレベルでずさんやねん!!
この作品の邪ンヌがお前見つけたら速攻で殺しに掛かるぞ!! 精神的な意味で殺して天草が逆切れしたところで躊躇なく肉体を解体するぞ!!
あと両足に発疹が出来て痒みが収まらないので次回も遅れます。
超強力な除草剤まいたんですが・・・ゴム手袋に革靴装備でなんでこうなるの?
あと自律神経も相変わらずイカレ中で調子が悪いです。
本当に遅れます。
早期投稿はどうあがいても無理です。本当にすいません。
という訳で病院行ってきます。