Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
H・ジャクソン・ブラウン・ジュニア
もう何年も歩き続けました。
もう何年も悩み続けました。
もう何年も空を見上げ続けました。
そして私は。
「私は・・・・」
「随分無様な姿ですこと」
「貴様は・・・!? モルガン!?」
「随分驚くのですね。マーリンは今頃慌てて分身を送り込んでくるころですが。まぁ時間はありますね、本当に情けない、ねぇベディヴィエール? そんな様だからアナタの上司はあの様ですよ?」
「ぬかせ!! 貴様が王から全てを奪ったのだろうが!!」
石のようになったベディヴィエールの前に現れたのはモルガン、円卓最大の敵にして、ガウェイン、ガヘリス、アグラヴェイン、ガレスの母。
夫の命を奪われ、息子たちすら円卓に取られ、その憎しみからモードレッドを生み出しブリテンの転覆を狙った大罪人である。
少なくともベディヴィエールにはそう映っていた。
王の全てを奪った黒幕だと。
「私が全てを奪った? クスクス、本当にあの子も哀れですね。彼女から全てを奪ったのは、アナタたち円卓でしょうに」
「なにを!!」
「自分自身を正当化してくれる騎士道とかいう価値観を押し付け、完璧なものなど無いのに彼女を妄信し食い物にした。自分たちに都合の良い物であれと彼女の苦悩すら無視してあの様。モードレッドを嗾けなくても崩壊していたでしょうね円卓は、所謂、音楽性の違いとか解釈の違いとかであの子を無視して好き勝手やってね?」
そうアーサー王伝説なんて真面目にやっていたのはアルトリアとケイくらいなものだ。
後は皆好き勝手やっていた。
ある者は自己解釈の混じった騎士道精神に酔い。
ある者は理想の国というどこにもない物を作ろうとして知らず知らずのうちにアルトリアを酷使した。
ある者は忠義とか言いつつ自身の私情を優先し筋を通さないやり方で知らず知らずの内に亡国の引き金を引いてしまった。
「まるで近代民主主義みたいね、議論中に寝ている議員、票と金しか頭にない議員、そう言った賢明な人を貪り食らう豚みたいな連中がアナタたち、本当に滑稽で仕方がない」
クスクスと嗤って両手を叩く。
そう円卓なんて現代民主主義の愚かな議員等と変わらない。
政治体系に置いて理想の最上位なんてものはなく、最悪かあるいはそれよりマシなだけである。
「そんなことは!!」
「アナタも同じ穴のムジナですよ」
「なにを!!」
「心はいつも痛んでいた。けれどアナタは碌に会議にもでず、見ていただけではないですか? 命令が無いと動けない人形の如き愚かさですよ。それで王の笑顔が見たい? アハハハハハハハ!! 笑わせる!! 意見も討論も行動も出来ない人形・・・いやこの場合電柱ですね。そんな存在が王を笑顔に? 本当に滑稽極まる!!」
そうベディヴィエールは見ていただけ。
仕えていただけだ。意見も討論も行動も出来ていない。
ただ王を見て悲しんでいただけ。
そんなものは人形にも劣る電柱と言われても仕方がないだろう。
「ですが、まぁアナタの望みは叶えて上げましたよ」
「なに?」
「彼女の笑顔と幸せが見たかったのでしょう? なら見せてあげるというのですよ」
そして投影される松島での映像。
其処では記憶を失っているとは言え。一人の女性としてカルデアという仲間たちとバカ騒ぎしているアルトリアの姿があった。
そして最終的にすべての記憶を取り戻し女神であれど一個人としての自己を取り戻したアルトリアは門を閉じるためにその地を去った。
其処にはベディヴィエールの見たいものが沢山あった。
なぜならあんな笑顔を円卓の前で私生活で彼女はしたことが無かったから。
「ああ、我が王」
「それともう一つの願いもようやく叶う」
「もう一つの願い?」
「そう、あれだけ再会したかった王が後ろにいますよ」
「な・・・に・・・」
そう言われ驚愕しつつもベディヴィエールは後ろを振り向き。
その瞬間、胴体をロンゴミニアドで貫かれていた。
俯いているアルトリアの表情は見えない。だが怒りで染まっていることは分かった。
しかも霊基も女神ロンゴミニアドに何かを掛け合わせて合体したかのように上昇している。
いや姿形は変わらないが別のナニカに変異していた。
「相変わらず使えんなベディヴィエール」
「我が王・・・?」
「返却の任すら放棄したか。だったら返して貰うぞ」
「それはダメです!?」
今、もしも彼女に聖剣が渡ったら碌でもないことになるのを直感で理解した。
不味い不味いと思いながらも、ロンゴミニアドで突き刺されたまま、その身を浮かされ。
まるで針に刺された昆虫のようにもがくことしかできない。
そしてもがきの果てに預かっていた聖剣を振り下ろしてしまう。
だが・・・・
「やはり使えないな」
「!?」
アルトリアは振り下ろされた刃を片手でつかみ。
強引にベディヴィエールから聖剣を奪い取り、もう用はないとばかりに。
槍を振るい。突き刺さっていたベディヴィエールを振り落とす。
地面に無様に転がされる。
そして。
「王命を破った輩には罰が必要だ」
ドロリと聖槍と聖剣が溶けて一つに融合し槍に近い大剣となる。
「まって下さい!! 私は!!」
「待たない、いつも貴様らはそうだった。思考を放棄した挙句、待ってなどくれたことなど一度もなかっただろうが」
そしてそれは無慈悲に振り下ろされベディヴィエールを殺傷した。
「――――――――まだまだ慌てる時間ではない、はは・・・ははは!!」
モルガンは姿を消しており。
狂笑しながらアルトリアは再び歩き出した。
そしてベディヴィエールは。
「ここは?」
気づけば満点の星空浮かぶ宇宙空間のような場所に存在していた。
そこにある気づけば座っており。同時に椅子に縛り付けられたように動きが取れない。
此処は何処だと思っている内に、再びモルガンが姿を現す。
「どうです? 英霊の座に就いた気分は?」
「ここが英霊の座?」
「ええそうです。ガイアの抑止として召し抱えられた者達が縛り付けられている場所、星のように見えるのは個人の座ですよ」
「それがどうした? 我が王に何をした?!」
「私は何も、ただ与えただけ。今の彼女は彼女自身の意志で動いている。たった一人のアルトリアとして動いている。もうあなたたちの王ではないのですよ」
「きさまぁ!!」
「そうキャンキャン騒がないでくださいよチワワじゃないんですから。これはツケです、今まで間違い続けてきて尚もいい夢を見ていたいというね。だからアナタにはこれを差し上げましょう」
そう言ってモルガンはニャルラトホテプはベディヴィエールの視界をジャックする。
其処に映るのは地獄だった。
ベディヴィエールは絶叫する我が王がこんなことするはずがないと仲間たちがこんなことするはずがないと。
だがいくら叫んだところで現状は変わりはしない。
そんな永遠とした地獄を見せつけられる。
「ではそこで永遠に悔やみ続けてください。それが私があなたに与える罰ですので」
そういってモルガンことニャルラトホテプは嘲笑いながら消えていった。
残るはベディヴィエールの慟哭だけだった。
蛇人間の巣穴から脱出した一行は、迷彩を掛けていた馬車から布式の全天周迷彩礼装をはぎ取り、
帰路に付いていた。
少しでも魔力や精神力を回復するべく。
あらかじめ馬車に積み込んでおいてたバケットの中にぎっしり詰め込んだサンドイッチをを食べながらだ。
無論、オルガマリー謹製のBLTである。
味は某チェーン店にも負けてはいない。
故に馬車組はBLTを食べつつ周辺警戒を怠っていなかったのだが・・・
「なんでアルはサモライザーに戻っていないのよ、確かタツヤ担当だったわよね彼女?」
「いや、カリバーンは迎撃に役立つ、モードレッドがどこから襲ってくるか分からない以上、聖剣の威力は必須だ。俺も所長も何度も四倍マハラギダインやら光子砲やらメギドラオンやら使えないだろう?」
「シグルドとクー・フーリンの宝具の方がよくなぁい?」
「彼らは踏み込みがあるだろ」
「あっ」
確かにゲイボルグやグラムの方が威力はあるしグラムは特攻を得られる。
だが投擲系であるため踏み込む必要性があるのだ。
故に必然、足場がしっかりと必要している必要がある。
馬車の上でやれば踏み込みで馬車がクー・フーリンとシグルドでは粉砕されるのは必然だ。
「うーん、うーん」
「ねぇお兄ちゃんジャックちゃん大丈夫だよね?」
そんなやり取りをしていると、アリスが心配そうに聞いてくる。
ジャックの事だ。彼女はガリオンの強制シャドウ化の攻撃を受けた。
寸前のところで助け出したが。
それでも影響はすさまじく。一応、馬車に戻ってからオルガマリーがダヴィンチやロマニの指示を受けつつ、
応急的に霊基を復元こそしたものの。
改変されてから元に戻したショックの為、高熱に魘されている様な状態に陥っている。
邪魔だからと言って現地サーヴァントであるためサモライザーに戻すわけにも行かない。
一応、玉藻が看病に回っているが。
こればかりは屋敷に戻ってからでないと本格治療できない。
「ああ大丈夫だ屋敷にさえ戻れば治療できる」
アリスにに向かって真っすぐ目線を合わせて達哉は言い切る。
診断結果がそうなのだ。それに時間的猶予もまだたくさんある。
悪い勝負ではない、屋敷には十分な施設もある。
ジャックの治療は可能だった。
「「よかった~」」
幼女組はそれで安心したようだった。
「あの達哉さん」
「なんだ? アル?」
「嫌な予感がします、エミヤさんを出した方が良いかと」
「・・・わかった」
アルトリア・リリィの直感はBクラスである。
そんな彼女の警告に達哉は素直に応じた。
最も、エミヤの担当はオルガマリーである。
「所長、エミヤを出しておいてくれ、アルが嫌な予感がするとさ」
「わかったわ、コール!! エミヤ!!」
エミヤが召喚されると同時にオルガマリーも今まで使われてなかったM2機関銃をコッキング。
初弾を装填する。
オルガマリーも具体的には臆病な本質だ。
故になんかあるとわかっていても、サーヴァント程便利な直感は持っていない。
其処をアルトリア・リリィに言われたのだから事前の準備はしておく。
「最近、狙撃手としての仕事が多いな」
「それが本業でしょうが、アンタ・・・」
「私としてはどれもこれも極めているわけではないのでね」
エミヤのボヤキに達哉が狙撃手であることが本業だろうと突っ込むが。
本人は英霊としては器用貧乏の類に入ると自嘲する。
ペルソナ使いでしかない達哉から見ればエミヤも十分すごいのだが。
確かに指弾を極めペルソナよりあり得ぬと言わせたパオフゥより劣るのかもしれない。
だが特化しすぎなのも考え物だ。
状況によっては使えないからだ。
「でもエミヤの眼は頼りにしている。こっちじゃ4km先なんて見えないからな」
だがしかしエミヤはオールラウンダーだ。あらゆる状況に対応できるし。
こういう時なんかはより彼の力は役に立つ。
故に達哉も剣を収め。ペルソナを遠距離向きの物にチェンジした。
達哉は銃器の扱いには向いていなかった。
いや訓練すれば一兵卒くらいにはなれるだろうが。
どこまで鍛えてもそこまでであり、特殊部隊の最上位クラスになれるオルガマリーとは違うのである。
だったら大人しく遠距離向きのペルソナを使うか、伸ばした剣術を使った方がマシなのだ。
故にこの状況下で必要なのは距離だ。
ペルソナをオーディンにシフトさせる。
オルガマリーも同様、ジャアクフロストにペルソナチェンジしていた。
オルガマリーの専用ペルソナである、シュレディンガーは全域対応型なのだが。
どうも器用貧乏感が否めず、そこらへんは達哉同様、戦術基本としつつ他のペルソナで補っていく方針だった。
さて準備は出来ている。
どう出てくる?と皆が思考を張り巡らした刹那。
「―――――――――――!!」
遠くから咆哮が聞こえた。
「またモードレッドかよ!」
「金時さんは待機だ!! 屋敷に逃げ込めれば追撃もくそもない!!」
「でもよぉ!」
「遠距離攻撃手段がある所長たちに任せるんだ今は! こっちには回収する余力もないんだぞ!!」
「くっ、分かったよマスター!!」
「玉藻さんは援護! エリザベートは音波準備! マシュはいつでも防御できるように宝具スタンバイ!! いいな!!」
「任されましたん♪」
「了解しました先輩!!」
「私、本業歌手~!」
そう伝え終え全員が配置に付く。
刳り貫いた天井から半身を乗り出しオルガマリーはM2を構えなおし。
エミヤとマシュは天井に立ち弓と宝具をスタンバイする。
書文と宗矩もL16 81mm 迫撃砲に弾を込める寸前でスタンバイしている。
さぁきやがれと全員が思った瞬間。
モードレッドが上空からブレス吐きながら急降下してきた。
それを先にエミヤが捉える。
この中では一番の視力を誇るがゆえにだ。
カラドボルグⅡで狙うは敵胴体。
頭部を狙えれば殺せるが回避された後が悲惨なことになる故に。
距離3km、マシュが宝具を起動しブレスを防ぐ。馬車が揺れる、足場は不安定だ。
狙撃としては最悪の状況下であるが。
それでも、エミヤがカラドボルグⅡを放つ。
空間すらねじ切れる一撃だ。モードレッドともいえど直撃すればただでは済まない。
だが直感で羽を羽ばたかせて横にスライドし回避。
そのおかげでブレスは止み。
そして彼我の距離が縮まっていく。それ即ち追いつかれつつあるという事だが。
それはこちらの武器の射程距離内に入る事を意味していた。
「全員撃ち方はじめ!! 弾幕張って釘付けにするわよ!!」
オルガマリーがそう指示を飛ばし、M2重機関銃のトリガーを引き絞る。
射出される弾丸は無論の事、対サーヴァント用の神経弾にクー・フーリンがルーンを刻み強化したうえで、オルガマリーのペルソナパワーも込めたものだ。
迫撃砲も無論対サーヴァント用である。
そしてそれらは十分、効果が見込めると思っていたが。
「また超再生かぁ!?」
何度も何度もこれまで苦しめられてきた超再生という奴である。
そうモードレッドの鱗は強化しまくったM2重機関銃で抜けているのだが。
肉の部分で停止、それならば手傷位を負わせることにはなるし、
ミンチになるまでフルセット叩き込んでやればいいだけだが。
超再生能力によって、ヒットした弾丸は肉の部分で止まり再生が始まって肉体から弾かれる。
迫撃砲もあんま意味なさそうな感じだった。
というか迫撃砲の方は止まっている対象に向かって撃つ物である。
互いに高速移動しながらではまともなヒットは狙えない。
「所長! ペルソナでのスキル攻撃に切り替えよう!! じゃないと足止めも出来ない!! シヴァ!! ニュークリアミサイル!!」
「分かったわ!! 強化 圧縮 圧縮 詠唱放棄!! 持っていきなさいジャアクフロストの四倍ブフダイン!!」
達哉はオーディンからシヴァにペルソナチェンジし核熱系最強スキルを放つ
そしてオルガマリーは魔術と精神力を鱈腹込めたブフダインが炸裂し、
閃光となってモードレッドに直撃したが、
多少動きを止める程度でとどまった。
「ちぃ、やっぱり、シャドウ化する前の対魔力補正もちか!!」
「どうする!! 達哉!!」
「エミヤさん、狙えますか!!」
「もう一度同じ攻撃をしてくれたまえ!! あれで動きが止まったからな!! 次は外しはしない!!」
理由としてはモードレッドの対魔力スキルのせいである。
ねじれてシャドウ化した影響でそれが強化されている形になっているので、
その対魔力スキルを突破できる最上位スキルをぶつけても減衰され結局再生能力でゴリ押されてしまうのだ。
「本当に不出来な奴ですね、モードレッドは(ボソ)」
「アルさん今何か言いましたか?!」
「いいえ!! 次は私も合わせます!!」
アルトリア・リリィが一瞬、まるで庭の石を退かしたら蟻と蛆虫が生存競争しているのを見たかのような不快で仕方がないとばかりと言った冷たい視線と、
周りには聞こえないような小声でイラついた声を出していた。
M2やらペルソナスキルの炸裂音で普通に周りには気づかれなかったが。
一旦座席に戻ったマシュには何を言っているか聞こえこそしなかったようだが、
ぼそりと何か言ったというのは聞こえたようで。
マシュの確認の声にアルトリア・リリィは何も言っていないと言いつつ、カリバーンを構えて。
そう言って屋根上にアルトリア・リリィが上る。
「硬ぁい!!」
「くそ!! 学習しているぞこれ!!」
「なんとかできんのか!? 達哉!!」
「周囲、消し飛ばしていいなら。手段はある」
「合体魔法か」
「こうなりゃ、もうそれしかないわ・・・タツヤ合わせて」
「了解」
もうこうなれば周辺被害とか言っている場合ではない。
ただでさえモードレッドが暴れまわって周辺被害出しているのだ。
遠慮する理由がない。
「いくぞ!! ヴィシュヌ、メギドラオン!!」
「ジャアクフロスト、ブフダイン!! ガブリエル、リリースジェイル」
一気に周辺の気温が下がる。
ヴィシュヌのメギドラオンに共鳴し同時召喚なんて芸当は出来ないのでオルガマリーは連続召喚でそれを補う。
そして炸裂するのは、第一のフロストカイザーでは無いにしろ超絶的な冷気が現れ、
「「アイスジハード!!」」
一瞬でモードレッドを凍結させた。
そのまま降下しながらも身を捩っている。ここまでやって体の芯まで凍結していなかったらしい。
さすがはドラゴンと言った所であろうか。
だが致命的な隙に違いはない。
「我が骨子は捻れ狂う!」
―
炸裂する空間すらねじ切る一射。
それはモードレッドの胴体部直撃コースだったのだが。
「■■――――――――!!」
咆哮と共に無理やり身を捩じり回避。
「ええい!! 竜種は化け物か!! だがその翼は貰ったぞ!!」
それを見たエミヤは悪態を付くものの。さすがに絶妙なタイミングで撃たれた一射は。
モードレッドの片翼を奪い取っていた。
地に落着するモードレッド。
「アル!! 今よ!!」
オルガマリーが叫ぶ、今だと。
最悪を想定し二の矢、三の矢を準備しておかない訳がないのだ。
何時も最悪の戦いであったのだカルデアの戦いは。
超回復であったり超火力であったり、相手を殺したら殺しただけ強くなったり、
そもそも殺すこと自体が間違いであったり、サイズがデカすぎたり、十二回殺さなきゃいけない上に耐性強化持ちだったりなどなど。
故にすでに準備は完了。
カルデアからの魔力装填も完了。
馬車の上に立ち、アルトリア・リリィがカリバーンを大上段に構え膨大な魔力を装填する。
「
不穏な一節が聞こえたが皆気にしてる余裕もない。
故に極光の轟音と共にその一節は掻き消され、叫ぶ真名解放の大声に掻き消されていった。
走る黄金光のランクはカルデアの測定ではAランクとなっていたが全員が機器の数値を疑わなかった。
当たり前だ。通常ではありえないマスターからの魔力供給に加え、カルデアからの無尽蔵な魔力があるのだ。
ランクが上がっていても不思議ではないと処理された。
そして極光がモードレッドを飲み込む。
「やったか!?」
「エミヤ、フラグ立てないで!!」
「す、すまん」
エミヤの言葉にオルガマリーは神経質そうに叫び窘める。
こういう場合は大方。
「■■――――――――!!」
「ほらぁ!!」
やっていなかった外殻がはがれ所々焼けただれていたがモードレッドは健在だった。
飛べこそしないが、地面を高速で走ってくる上に。
「
「■■■■!!」
「
カラドボルグⅡとカリバーンは明確に脅威と見なしたのか。
跳躍し屋根を走り回り、時にはローリングしてまで避けて見せる。
当たっているのは連射の効くオルガマリーのM2やペルソナの攻撃くらいなものだった。
それも雀の涙ほどでしかない。
「マリーさん!! 馬車のスピード上げてくれ!!」
「無理よ!! これ以上上げたら、曲がった時に横にすっ飛んでいくわ!!」
屋敷までの道のりでのカーブポイントはまだまだある。
故にこれ以上スピードを出せば曲がり切れない。
「タツヤ、上、上!!」
「ちぃ!! 全員白兵戦準備!! 飛び降りろぉ!!」
オルガマリーの警告に達哉はそう叫びながら全員馬車から飛び降りるように言う。
超高速で疾駆する馬車から飛び降りれば最悪ミンチだが。
そこはペルソナ使いとデミサーヴァントにサーヴァント達だ。
馬車が粉砕すると同時に全員が無事脱出する。
達哉は即座にサモライザーを抜き放つが。
「コール!! シグルド、ブリュンヒルデ!!、ってなぁ!?」
網膜のコンタクト型礼装にエラーメッセージ。
サモライザーとハンディカムPCを繋ぐ線の接合部、即ちUSBポートがやられていた。
脱出の際に地面を一転した際にやってしまったのだろう。
ならばと兼定を抜き放ち。ペルソナをアポロにチェンジ。
「タツヤ!! 早くあのイチャコラ夫婦出して!!」
「すまない! 壊れた!」
「はぁ!? 魔獣が踏みつけても壊れない一品じゃない!?」
「線の方はそうでもなかったらしい。繋げようにもUSBポートの直し方は知らないし、知っていたとしてもこんな状況で暢気に修理はできないぞ!!」
「だぁ!! 何時も何時も!!」
サモライザーの強度は実戦仕様だ。
コンセプトが対サーヴァントやらそれ以上の強敵やらが主眼となっており召喚機本体及び霊基を封じ込めるデータプールを担当するハンディカムPCも魔獣の攻撃でもビクともしない設計になっている。
それが大量配備が効かない理由でもあるのだが。
その召喚機とハンディカムPCを繋ぐ導線も無論実戦使用だ。
普通なら簡単に千切れたりはしないが。付け根の部分のUSBポートがやられていた。
此処だけはサモライザーの泣き所である。
データ転送や、システムアップデートに整備をしやすいようにしたためここだけ対防塵、防水処理しかされていない通常の大容量通信式USBポートだ。
衝撃には弱いのだ。
「屋敷に戻ったら、カルデアに一旦転送ね!!」
「そうだな!!」
そう言いつつモードレッドが巨躯を振るう。
人間なら一発アウトな攻撃だった。
達哉はノヴァサイザーで、オルガマリーは物理耐性持ちのペルソナに切り替えつつ回避行動。
「エミヤさん!! カラドボルグⅡの類は指示があるまで使わないでください! アルのカリバーンも同様だ! モードレットの奴、直感で避ける、場を移動されると面倒だ!!」
「「了解!!」」
「マシュ! 盾でぶん殴れ!! 頭を揺らせればそれでいい!! とにかく全員、動きを止めることに集中。そしたら金時さんとフランの宝具を合体させて仕留める。段取りはそんなところだ!!」
「わかったぜ!」
「がんばる」
「アリス、ナーサリーはジャック抱えて屋敷まで逃げろ!! 相性が悪すぎる!!」
「わかったけど。みんなは?」
「此処で迎撃する、これ以上引っ掻きまわされたらたまったもんじゃないしな、だから行くんだ!!」
「「わかった!!」」
そしてアリスとナーサリーはジャックを抱えて戦線離脱。
確かにアリスは強力だが、相性が悪い。
純粋な出力とか筋力とか技量がものをいう場所でもあるのだ。
悪く言えば能力でのごり押ししかできないアリスとナーサリーでは相性が悪すぎる。
此処は英雄舞踏の領域だからだ。
オルガマリーは正確に両手に持ったリペアラーでモードレッドの両眼を狙いジャアクフロストでブフダインを叩き込み。
マシュは達哉の言ったように、オルガマリーの銃撃後、その大盾をモードレッドの頭部に叩き込み意識混濁をを狙う。
金時とフランは宝具に魔力をチャージ。
書文と宗矩はサイズ差の違い故にダメージを与えられないがゆえに囮を必死に熟し。
マリー・アントワネットと玉藻は後方支援に徹している。
「■■―――――」
「くそ! このぉ!!」
「マシュ!! アルの直衛に・・・『敵魔力増大、ブレスが来るよ達哉君!!』ええい!! 全員一旦マシュの後ろに集まれ!!」
モードレッドはアルトリア・リリィだけを主に狙い暴れまわっていった。
アルトリア系列とモードレッドの因果関係はカルデアは知らない、資料ではモードレッドは宰相に抜擢されるほど有能な人材で。
円卓の崩壊を決定づけた張本人でしかない。
まさかクローン人間で親子愛を拗らせた子供なんてことは知る事なんてできるはずもないのだ。
だからアルトリア・リリィが執拗に絡まれる訳で。
最もそんなことは本人たちにしか分からない。
閑話休題、それよりもブレスの方だ。
モードレッドの体内に内蔵されたクラレントが最大隆起。
加えて竜種になったことからサーヴァント時の三倍もの出力という大出力で放たれようとしていた。
マリー・アントワネットの宝具はガリオンとの戦闘で破損。
此処は・・・
「
「シュレディンガー! ヴォイドザッパー!!」
「アポロ! ノヴァサイザー!!」
合体宝具で防ぐ。
発生する空間断層と時間停止空間及び障壁によって絶対防御をなす。
無論
十分防げる見込みはあった。
「■■■■■■■■■■!!」
「
炸裂する赤雷の極光を、マシュたちが展開した合体宝具が真向から受け止める。
倒れそうになるマシュを達哉とオルガマリーが支えて真向からの大出力に対抗するのだ。
「てやぁぁああああ!!」
そしてそれは見事にモードレッドのブレスを受けきった。
拡散し消えゆくモードレッドのブレスを確認した後に。
宗矩と書文が走る、狙いは足関節、其処さえ断ち切ってしまえば動きは封じられる。
「兜割ぃ!!」
「
宗矩は右。書文は左の脚を潰す。
加えて。
「
モードレッドの頭部にカリバーンの極光を振り下ろし目つぶししつつダメージを与える、アルトリア・リリィ。
ここで完全にモードレッドの動きが停止した。
好機である。達哉、金時、フランの三人が一斉に跳躍し、モードレッドの上を取る。
「金時さん、フラン、俺に合わせてくれ!!」
「応!!」
「わかった!!」
金時、フランは宝具を起動し。
達哉はオーディンにペルソナチェンジ。
「オーディン! 真理の雷!! うぉぉぉぉおおおお!!」
「派手に行くぜぇ!吹き飛べ……必殺!
「わたしと、いっしょに、こい……
達哉の最上級合体剣魔法と同調した金時とフランの合体宝具が炸裂する。
「「「
それらは同時に融合しモードレッドの背中部に叩きつけられ。
凄まじい雷鳴と共に炸裂、一瞬にしてモードレッドの霊基をしゃぶり尽くし破壊した。
そして轟音と共にモードレッドが倒れ伏す。
着地した達哉、金時は残身。
フランはそういう文化がないため肩で息をしていた。
数秒の後。
『モードレッドの完全沈黙を確認』
ロマニからの通信で達哉と金時は残身を解く。
達哉は兼定を鞘に納め金時は鉞を担いだ。
だが問題はフランの方だった、魔力やら電力やらで普段動いているため純粋な電力不足に陥っていった。
つまり動けないでいた。
「たつやー、わたしでんりょくぎれ・・・」
「いや俺に言われてもどうやって補充すればいいんだか」
「がいぶから・・・でんき注いでもらえばいいよ」
「・・・わかった。オーディン、ジオダイン」
電力不足なのだから彼女の魔力に合わせる形でオーディンのジオダインを発動。
「アバババば!?」
「なぁ達哉やっぱ無理あんじゃねぇかな!!」
「これしか手段がないからしょうがないじゃないか!!」
「それにしても無理在り過ぎだって!!」
なんかフランが変な声を出しながらオーディンのジオダインを浴びていて。
金時は無理あんじゃねぇのかと声を上げるが、
今はこれしか手段がないと達哉は声を張り上げる。
「ふらん、でんきまんたん、ありがとうたつや」
「お、おう」
でもペルソナパワーという魔力も含有されているし魔力も同調し含まれているためか。
フランの衣装は焦げれど本人のエネルギーは満タンになったらしい。
その時である。
「■■―――――――!!」
「うお!?」
「フランこっちに!!」
「うん!!」
『再起動だと!? ありえるのか!?』
モードレッドが再起動、これはカルデア側の不手際であった。
霊基を完全破壊されたなら普通は死体は残らない。
こうも残ったという事はまだ生きているという証拠だった。
金時は即座に離脱、達哉は武術経験のないフランを咄嗟に抱えて離脱する。
モードレッドは這いずるようにゆっくりとだがアルトリア・リリィに向かっていき。
「いい加減にしてください」
とうのアルトリア・リリィは心底迷惑そうな顔でカリバーンをモードレッドの頭部に右眼孔から突き刺した。
「ち、ち――――――う――――――え―――――」
「なにを勘違いしているのですか? 私はただのアルトリアです。断じてお前風情の父などではない」
当人たちにしか聞こえないような小さな声でそう冷たく言い切って。
選定の剣に魔力を込める。
宗矩の教えに従って魔力を無駄遣いせず最高効率で聖剣の極光を放つような技。
ランスロットが嘗て得手とした技であり宝具と同じ要領の技を放つ。
「
そして炸裂する内から最適最速で破壊する極光。
それがモードレッドの頭部を完全に破壊した。
誰もが―――――唖然とはしていなかった。なんせ短期間とはいえ宗矩の薫陶を受けていたのである。
それくらいの事はやるだろうと思っていた。
そして
粒子になって消えていく。
『今度こそ、今度こそ! モードレッドの完全撃破を確認!!』
「終わったか」
「まだ終わっていませんよ先輩・・・帰りは徒歩です」
「言わないでくれ」
そう馬車が完全破壊された現状、ここに来たように徒歩で屋敷まで移動しなければならない。
実に気が滅入る事だった。
アルトリア・リリィは何を思ったのか、モードレッドの消えた残滓を見続けている。
「どうしたの? アル?」
「いえ、モードレッドでしたっけ? なんで私を執拗に狙ったのかなと思いまして・・・」
「父上だったかしら・・・アンタ、モードレッドの母ってこと?」
「私には分かりません、なにせ王になる前のアルトリアが私みたいですし」
「そうなら気にしない方が良いわよ、そういうの思考の迷路だから」
「ですかね」
「そうよ」
そうそう言うのは迷路だ。
本人が知らないなら猶更だ、認知するのもよほどのやらかしがない限りする必要性もない。
だが、皆が急いで屋敷に行こうとする中でアルトリア・リリィは。
「ここでも私情を優先するか。モードレッド卿、やはり貴様は使えんな」
皆に聞こえない程度の声でまるで期限の過ぎても蜂一匹取れなかったトラップ式駆除アイテムをゴミ箱に捨てるような声色と視線でそう呟いた。
その声は発した本人であるアルトリア・リリィ以外、誰にも聞こえていなかった。
カルデア三人の合体宝具お披露目回と。
ベディさん退場&座に縛り付けられて召喚もされず、第六特異点中継生ライブON AIRを強制視聴の刑にされました。
ニャル「これも全部お前が望んだ結果だwwwちゃんと全て叶えてやったぞ!!」
ニャル的には全部ベティさんの願いを叶えて上げた模様、無論破滅することを知りながら。
マーリンは絶賛発狂中ですね。第七あたりでむしゃくしゃして賢王と一緒に暴れている様子。
最も第七ではマーリン、さらなる自覚という名の罰が降ってくるんですけどね。
あと竜狩りなのにシグルドとブリュンヒルデを出さなかったのはわざとです。
夫妻には第四特異点の大取を務めてもらいます故。
夫妻ファンの方々は待っていてください。
あとアルトリア視点もちょこちょこ混ぜていきます。
スケジュールが圧迫気味なのでね。
時間軸の混濁は人理焼却下の影響でってことで一つお願いします。
アルトリア・リリィちゃんが不穏だって?
気のせいですよ(スットボケ)
後は本陣を攻め立てるだけなのでサモライザー修理の間にちょこっとした事件と日常回が続きます。
だってしょうがないじゃないですか!! 原作時点でバンスゥ展開続くから話、膨らませ辛いですよ!!
まぁなんか当時は演出やら文字制限がリンゴから出てから作家の皆様方が本気出せなかったって言うのは仕方がのない事ですけど。
第六章に向けてアルトリア・ランサー・オルタは出番あえてないですし。
魔術王(仮)との戦闘が第四章の眼玉なのでね・・・
すいませんがたっちゃんやオルガマリーのサモライザーバージョンアップで日常描写で稼がせてもらいます。
運営さん、もうちっとバンスゥ展開はどうにかならなかったの?(愚痴)
後次回も首寝違えたので遅れます、ご了承ください。