Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです 作:這い寄る影
私が殺人者であるという事実は、詩を読むと歌いたくなるというのと同じくらい疑問の余地のないことです。
H・H・ホームズ
ジャック・ザ・リッパー
通称切り裂きジャック。
だが神秘性はない、幼女の方のジャックは一部”噂”によって形作られた幻霊に近い水子の集合体で。
かろうじて反英雄的存在だ。
問題はもう一方の方だ。
彼は無辜の怪物よって複数犯説に模倣犯、愉快犯などなどが統合されて形作られた英霊であるのだ。
ジャックの幼女の方は娼婦が堕胎した水子の集合体であるため。
切り裂きジャックにそんな定説もないためか噂にかすりもしないため噂の影響下にはないが。
逆に、当時から現代まで紡がれた学説、即ち噂によって。
男の方のジャックは噂結界の範疇に在った。
それは噂結界の絶対数という問題である、民衆と魔術師、何方が数が多いかと聞かれれば前者であり。
水子の集合体が殺人鬼でしたなんて信じられない。
だからこの特異点に限り幼女の方のジャックは理知的なのだ。
逆に複数犯説で呼び出されたジャックはもろに噂結界の効力を受ける。
故に単一意識がごちゃ混ぜになり、”ねじれ”てシャドウ化したのだった。
結局、サモライザーはヴァージョンアップされることになった。
と言っても使っている導線を直結式にして新たなUSBポートを設置するだけだったが。
ダヴィンチ曰く。
『配線の変更に伴う多少プログラム改変とプログラム最適化するから三日くらいは掛かるよ』
との事だった。
USBプログラム一つとってもスティーブン謹製であり。
場所の配置換かつ増設と直結式に変更となると多少のプログラム改変はしなければならない。
スティーブンのプログラムは凄まじく芸術的で現代人にとってはスパゲッティコードも当然だ。
こんな小さな調整でさえダヴィンチの手をもってしても三日はかかるという。
達哉のサモライザーにはクー・フーリン、シグルド夫妻が残っている。
壊れてしまって、改装にも入ったため召喚も出来ない状況だ。
故に、ここ三日は動かず、或いは敵の最終拠点である時計塔地下への露払いと掃除を行うことになった。
要するに次の突撃と奇襲を楽にするための戦いである。
あと休息も必要だ。
肉体面は何度も言う通りどうにかなるが、精神面はそうもいかないのだ。
つまり掃除と休息を繰り返し万全を喫すという所だろう。
なんせガリオンが岩盤崩落程度で死んだとは思えないのだ。
マリー・アントワネットの宝具を一撃で粉砕した使い手だからだ。
あと休息の内にマリー・アントワネットの宝具の修繕期間も含まれており。
彼女もオルガマリーのサモライザーに封入されカルデアに送り返され霊基復元を受けている。
つまり主力が足りない。
前話で行ったように二の矢、三の矢を用意できなければ負けるのはカルデアだ。
下手すれば四の矢も準備しなければならない。それだけニャルラトホテプの仕込みは甘くないのだ。
第一から第三までその場しのぎで何とか乗り越えられてきたが、
ニャルラトホテプの仕込みは苛烈になっていくばかり。
十全を喫することは第一条件なのである。
という訳で。
「Ra―Ra-」
「音程が正確すぎる上に硬い、もっと肩の力抜いていいのよ」
「でも・・・がくふにはちゃんとしているよ?」
「楽譜や歌詞に正確じゃダメなのよ! えーと、えーと、達哉ァ!!」
「はぁ・・・エリザが言いたいことは楽譜や歌詞、音程に正確じゃだめなんだと言いたいのかな?」
「そうそれそれ!!」
「せいかくにしなきゃ、がくふのいみないよね?」
「フラン殿、楽譜や歌詞の表明層をなでるだけではまだまだということですよ。前にも言ったでしょう?そんなものは機械に突っ込んで演奏させればいいだけなのですから!!」
そう言う事は何度も言われている。
そう正確だけじゃダメなのだ。
人の心をつかみ振るわせられなければ音楽とは言えない。
もし正確さだけ重要視された現代では機器も発達した故に。
機械に音楽ぶち込んで演奏させればいいだけの話。
だがそういったものは評価されず、評価も受けない。
あくまでも現代においても音声ソフトを使うのは楽器の演奏と一緒だ。
プログラマーがどれくらい人の心を掴むのかという重要性はいまだなお変わらないのである。
まだまだ音楽というのは人間の手から離れていないものなのだ。
「エリザベート殿が歌ったでしょう? そこから模倣し応用を利かせなさい」
シェイクスピアとて演劇作家。
されど監修役でもあった。ダメなところはケチつけるし。
その為の音楽知識、芝居知識は持ち合わせている。
故にこうやって指導できるのだ。
「もほうし・・・おうようをきかせる・・・」
「それが一歩目でありますぞ」
故にアマデウス程ではないにしろ音楽指導の経験はあった。
「以外ね、アンタが気を利かせるなんて、てっきり他人の不幸を食い物にして愉悦してるやつだと思っていたわ」
「ハッハッハッ、まぁ生まれ持って抱いている宿業ですからな吾輩の。されど育てれば一流女優になれる才、実に育てて見たいと思うのですよ。演劇屋としての宿業ですな」
フランは人造人間である、だが現代に置き換えれば遺伝子弄って作った子と変わりはない。
違いがあるとすれば。手法の違いだけだ。
アナログなのかデジタルなのかの違いである。
故にフランケンシュタイン博士は彼女にできうる限りの才能を与えた。
それが発揮されなかったのは教育の問題である。
如何に優れた才能持ちと言ったって、ちゃんとした先人たちの教育、
現場での経験が供わなければ開花しない。
もっとも歌を歌うという才能に関してはエリザベートに軍配が上がるが。
フランの遺伝子もまた変なところで変異しているのか演じるという事に関しては天才級だ。
いくら遺伝子を捩じ繰回した所で完全な制御は出来ない。
それは現代科学でも一緒であるし魔術業界でも一緒だ。
例外があるとすれば某人形師くらいなものだろう。
そんな訳で、フランに意外な才能があることが発覚したわけだが。
「なら、言葉を上手く話せるようにしないとな」
達哉がそう言う。
フランはまだ舌足らずだ。
エリザベートや達哉も教育に走っているが上手く発音できていない。
「なら吾輩も協力しましょうかな」
その発音教育にもシェイクスピアが参戦する。
彼は劇場作家だ。発音に関しては一言も二言もあるしプロだ。
さぞ教育が進む事だろう。
あれ、自分、理想の夫見つけるのに修行しているのに一流女優教育の方向に向かってるぞとフランは思った訳であるが。
「まぁ、手に職付けておいて損はないぞ?」
「そうなの?」
「そう言うもんさ、一流女優となればいい男も近づいてくるしな」
「・・・たっちゃんはいいおとこじゃないの?」
フランは達哉に懐いていた。
聞きたいことはちゃんと教えてくれる、分からないこともちゃんと教えてくれるし。
やっちゃいけない事はきちんと叱る。
そういうのが理想の大人にして男だったから。
そう聞いたが。
「いや、・・・ある意味俺は・・・・いや何でもない。それこそ決意に甘んじてしまう事だからな。だが俺以上にいい男はたくさんいるぞ」
何処か寂しそうな瞳でそう言い切った。
この第四特異点で達哉の事情を知るのはカルデア組とルイなどの観測組、そして
茨木童子や頼光がやらかした特異点で共に戦った金時くらいなものである。
故にフランは達哉の事情を知らなかった。
知ったら知ったでシェイクスピアですらドン引きする事をやらかしてしまった上でその後の行動で成し遂げたのである。
それはさて置いて置いて。
手に職付けておいた方が良いというのは事実である。
いくら人造人間だからって生活維持の為に必要なものはあるのだから。
職を持っていないと話にならない。
例え特異点が解決後、すべてが無かったことになったとしてももしもがあるかもしれないがゆえに。
独り立ちの準備をしておいて損はないのだから。
第一劇場の一流女優ともなれば、引く手数多だ。
食うことに困る事もなく、フランの夢である理想の夫と巡り合えるかもしれないのだ。
一石二鳥とはこのことか。
という訳でフランは午前中はみっちりとエリザベートとシェイクスピアにしごかれる羽目になったのだった。
無論達哉も巻き込まれる形でだ。
昼時。
当時の上流階級の飯はフランス料理だった。
フランスから呼び寄せたシェフを雇って。
ちゃんとした物を取っていた。
もっとも食事は簡潔に済ますべきやら時代の流行によってマナーがコロコロ変わったりするのが当時の現状だったが。
ルイは違っていた。
当時の人間?には珍しく楽しく穏やかにというのが彼の心情でもあり。
食事時でも会話や雑談を許していた。
お付きのシンも文句は言わなかった。本人曰く「堅苦しい食事なんてごめんだ」との事である。
という訳でフランもオルガマリーの調理に参加している訳である。
オルガマリーの私物のチーズとトマトを利用したカプレーゼ。
前菜のブルスケッタ。メインはカチャトーラなどなど。
色とりどりの物が作られていく。
もちろん、フランも手伝った。洋食というものの見分を広めるとして玉藻も手伝った。
だがしかし。オルガマリーの指導はきつかった。
自分で食べる分にはいいだろうが。他者に出すのだ。
故にキッチリしなきゃいけないと指導は厳しい物になった。
されどフランは。
「フランは覚えが早いわね~」
「ちゃんとれしぴまもればいいだけだし」
以外にも早く適応していた。
人造人間である無機質さが此処で上手くできた要因である。
料理とは一種の科学式の様なものだ。レシピ通りに正確にできるならまずは失敗しない。
包丁などの捌き方も正確無比だ。
オルガマリーがキチンと教えただけですぐ覚える。
玉藻は玉藻で基礎はあるのだが元々神霊の分け御霊である、日本食なら兎にも角にも洋食には苦戦していた。
「うぎぎ・・・上手く行かぬ・・・なんでキャットとの技量共有がなされてないんですかねぇ」
チェイテで出店を開いていたタマモ・キャットの方が玉藻より腕は上だった。
同じ分け御霊であっても、玉藻は本体に近い。
逆に言えばタマモ・キャットは遠いゆえに独自性の違いという奴が出てしまっているのである。
そして遠いがゆえに情報共有や技量共有もされない。
玉藻涙目である。だがここは良妻になるための修業としてオルガマリーに怒られつつも洋食を学んでいた。
そして夜が来る。
食事を終わらせて胃に詰め込んだ料理が馴染むのを待って。
戦力になる全員が夜のロンドンへと出るのだ。
目的は敵の掃討戦だ。
普通のねじれシャドウ程度ならモードレッド戦後何とか無事だったM2などを再搭載した馬車を作り。
次なる探索は地下へと続く時計塔地下への潜入へとなるのだから。
ルートを切り開く必要がある。
「あとは噂ではジャック・ザ・リッパーにそれとは違う殺人鬼が確認出来るわね」
「サーヴァントか?」
「恐らくは」
進路上で暴れまわっている奴がいるとの事だった。
現保有戦力での浸透戦術では今日を含め三日の時間が掛かるとの事。
ある意味、丁度いい時間ではある。サモライザーのヴァージョンアップがそれくらいかかるのは先も書いた通りだからだ。
だがいざ出てみれば問題はまだあった。
ヘルタースケルター、通称スケルターと呼ばれる機械歩兵がねじれシャドウより数が多い上に無尽蔵に沸いてきているのである。
第三の狗兵より遥かに劣り、装甲もリペアラーで抜ける程度で。
内部機関はこれまた効率悪い蒸気機関と来ている。
はっきり言って雑魚なのだが、いかんせん数が数だ。
「これは製造元の特定もしないとですね先輩、所長」
マシュが盾でスケルターを薙ぎ払いつつそう言う。
「だな」
「そうね、この数は厄介だもの」
いくら蹴散らそうが沸いてくるのである。
狗兵よりある意味うっとおしい。
とりあえず今すぐ製造元を突き止めて叩き潰した方が良いと判断。
予定を変更することになる。
と言ってもこの霧だとスキャニングが使えない。
スケルターを無視して、とりあえずはねじれシャドウを相当し帰路につく。
さてこの難題、どうするとの事だったが。
「ああ、それならバベッジの固有結界による産物だね。彼は人理焼却側で呼び出されていたが、抵抗していたからね。私も、彼がねじれだったか、そうなる前に依頼を受けている」
ホームズはそう言い切った。
スケルターの製造元がバベッジであるという事。彼が国会議事堂に引きこもりおそらくはねじれシャドウ化していることをさらに話し。
「そういうことはもっと早く言えやぁぁぁああああああああああああ!!」
オルガマリーの渾身のアッパーカットを受けてホームズ、天高く打ち上げられて意識を刈り取られた。
そりゃこの緊急事態で、小説の如く勿体ぶっていればぶん殴られるのも当然である。
まぁこの場合は成すタイミングが完全に遅れているのもある。
出る以前から話しておけば良いものを。
とりあえず今日はお開きという事になり。
一同帰路につく。
屋敷に戻ったら国会議事堂への奇襲か強襲作戦の段取りを考えればならなかったからだ。
戻るのは戦闘を避けるために裏路地を縫うように進む。
達哉、マシュは近接装備であるため武器の損耗はないに等しいが。
オルガマリーは銃火器を得手とする、当然弾薬を使用しそれも在庫はカルデアにある分だけだ。
当面問題はない多量な量があるとはいえこれから先は難度も上がっていく。
必要な時以外は温存したいというのは仕方がのない事だった。
さらにいつも通り霧は深い、視認性も低い。
ペルソナやデミサーヴァント能力のお陰で毒性のレジストは出来ているが。
戦闘を終えて火照った体に張り付いて不快感を催す。
そういう意味では条件は整っていた。
”深い霧””路地裏””女性連れ”。
そう皆さんなじみ深いであろう、現代まで続く”怪談染みた殺人事件”の再現にはピッタリではないか。
つまりそれ即ち噂である。
「フラン!!」
「!?」
その殺気に達哉が即応した。
指向性があるとも、書文や宗矩程鍛えていないのか。
指向性を持たせても殺気が多少分散、この中で戦闘経験豊富な達哉が即応した。
ノヴァサイザーによる3秒停止。
それでフランに襲い掛かった暴漢を兼定で切り捨て念の為アポロのマハラギダインを複数叩き込む。
一瞬にして下手人は灰となった。
だが。
「チィ!?」
「クゥ!?」
オルガマリーとマシュの元にも飛来するナイフ。
振り下ろされたそれを二人が迎撃する。
書文との特訓の成果だ。
无二打の一撃を与える前の前段階、殺気を直接当て相手をショックさせ動けなくするという所だけを何度も浴びせ。
格上に対する殺気の耐性と殺気を察知するという技法を身に着ける特訓を受けているのである。
指向性があるのならば故に当然、自己で対応可能だ。
オルガマリーはリペアラーで弾き、殴り返して銃弾を叩き込み。
マシュは盾でガードすると同時に盾を使った鉄山靠で相手を吹き飛ばす。
「ごふ」
だが玉藻はそうもいかない、なんせ生前は純粋な戦闘経験が格下しかいなかった。
サーヴァントとして生前の力を発揮できない彼女は今やこの中で最弱クラスの戦闘力しか持ち合わせていない。
故にこのままでは不味いと達哉が即応しノヴァサイザー三秒停止。
玉藻の腹を突き刺した存在の腕を斬り飛ばしゴッドハンドを叩き込み撃破する。
そして躊躇なく、玉藻の腹に刺さったナイフを引き抜き、地面に放り投げる。
「ッッ、あのもう少し優しく・・・」
「している暇はない、アムルタート、メディアラハン」
もう少し優しく引き抜いてくれという玉藻に冷静に返しつつ回復スキルを掛けて傷口を癒しつつ。
即応体制を取る。
「ロマニさん、そちらでサーチできるか?」
『いつも通り、魔霧でサーチできない、そっちの位置でさえ把握できないよ、こうして通信と存在証明するのが精いっぱいさ』
「なら自力で対処するしかないか・・・全員玉藻さんを中心に円陣を組んで迎撃用意、玉藻さんは察知結界でいいからそれを広域展開してくれ」
「精度は?」
「度外視で良い。なるったけ広域かつ即応性のあるもので。敵の数さえ知れればいい」
「分かりましたわ」
各種計器は役に立たない。
そして一々、相手の場所を入念に調べる時間はなかったのだが。
そこは玉藻。日本三大妖怪の分け御霊である。
日本式ではあれどメディアクラスに匹敵する腕を持つ。
故に相手の位置情報を大まかに察知しつつ数を補足し動きを大まかに把握できる結界を広域に即時展開。
「さすが玉藻、ジャパニーズ三大妖怪の分け御霊だけはあるわね」
「いやですねぇ~。ほめても何も出ませんよ、オルガマリーさん」
まさか数秒で要求値以上の事をやってのけた玉藻に対しオルガマリーは手放しでほめる。
このレベルの結界は玉藻的に容易ではあっても、現代魔術師なら日数と金を食うのだからそれもそうだろう。
それを片手間レベルでやってのけたのだから賞賛に値するのは当然の事だ。
オルガマリーも結界術は使えるが人避け認識阻害くらいなもので。これほど高度な結界を片手間にはできない。
そして捉えた情報は礼装で共有される。
「先輩・・・」
「ああ分かっている。完全に包囲されたな」
反応検出20人前後。
自分たちを囲むように布陣している。
しかも玉藻の結界をもってしても一人一人がブレているような反応だ。
以前、孔明から聞いた平行世界での聖杯戦争でアサシンが同じような宝具を持っていったことは聞いていたが、本職ほどではないのかブレてはいるが捕捉可能だった。
そして群像が一気に動き出す。
玉藻の結界データを共有しているため先ほどの様な奇襲はもう受けないのだが。
「うぅー」
「なんで私達ばっかり!?」
達哉たちは眼中に無いとばかりに女性陣を狙っていった。
フランが大槌でナイフを弾き返す刃で叩き潰す。
マシュは大盾を使って殴り飛ばし。
オルガマリーはリペアラーのマズルスパイクでナイフを弾き、そのままカウンターでもう片方のリペアラーのマズルスパイクをレバーブロー気味に叩き込み引き金を引いてゼロ距離射を叩き込んで消滅させる。
玉藻には金時が護衛に付いて襲ってきた連中に鉞を叩き込んでいた。
「おかしいですねぇ・・・数が減っていません」
そこで玉藻が異変に気付く”相手の数が一向に減っていない”のだ。
もうかれこれ最初に補足した人数は倒している。
全員が実力者だ。この程度の実力と人数であれば数分もかからず鎮圧できるはずだが。
倒した端からまた影が出てくる。
確かに倒しているはずなのだ。
倒して消滅する間に冴えない男の様な存在とかジャックに似た幼女などを確認している。
「管制室、そっちで分かることはないか?」
達哉は何かしらの違和感を感じ。カルデアに問い合わせる。
魔霧の影響でスキャニングに期待は出来なかったが、一応の為である。
『うーん。そこら200m周辺の魔霧が通常の魔霧と主成分が違うね。レオナルド。そっちでの分析結果は?』
『ロマニの言う通りだね、普通の魔霧とは違う、それがドーム状に展開されているのを観測したよ』
「ドーム状? 結界みたいな感じにか?」
『うんそうだね達哉君の言う通り・・・まさか・・・』
達哉の言い様にダヴィンチはピンとくる。
ドーム状に展開される魔霧とは違う魔霧亜種。
それはまるで結界の様であると達哉は見抜き。
ダヴィンチが即応し解析班が動き出す。
『精査結果が出たよ、その魔霧亜種自体が固有結界の亜種みたいなもので。敵の本体は魔霧の亜種みたいなものだ!!』
そうこの一帯に出ている魔霧亜種こそ固有結界の亜種染みた代物。
性質としてはタタリに近く、固有結界の方が本体と言った代物だった。
「結界事態が本体ってどう対処すればいいのよ・・・というか、なんで私達ばかりぃ!?」
出てくる敵勢力は男性陣ガン無視して女性ばかりを狙う。
「・・・ジャックが機能していないから、別側面のジャック・ザ・リッパーが具現化してガリオンか噂結界で何かされたんじゃないでしょうか?」
マシュがそう憶測を立てる。
水子の方のジャックは友達を得て沈静化している。
故に噂結界で複数人説のジャックが呼び出されガリオンがなんかしたか。
或いは両方同時に呼び出され噂結界に引っ掛かり変質したか。ガリオンがなんかしたか。
或いはその両方という線もあり得る。
「という事は敵はジャック・ザ・リッパーという概念系の結界が敵であるという事か・・・女性ばかり狙うのもそう言う事か」
「どうします? 手持ちで亜種固有結界を破壊できる規模の攻撃は難しいと思いますが」
固有結界とは心象の具現、一種の極小規模の世界の展開に等しい。
故に他の結界とは違い破壊するなら対界宝具などを持ち出さねば脱出不可能だが。
「そこは大規模攻撃さえできれば大丈夫だと思いますよ、マシュさん」
玉藻がそう言い切る、なぜなら亜種だからだ。
霧としてジャック・ザ・リッパーを生み出す装置でしかない。
故に通常の固有結界よりはるかに強度は劣るのだ。
「合体宝具で何とかするか・・・所長はヴォイドザッパーを金時さんは宝具を」
「「了解」」
つまり強度でいえば大したことはない。
いや普通なら頭を抱えるレベルの代物なのだが。
此処にいるのはペルソナ使いに鬼退治の代名詞の一つ金時である。
さらにオルガマリーのペルソナ、シュレディンガーのヴォイドザッパーの威力は対空間、対テクスチャ能力に秀でた必殺の一撃だ。
ヴォイドザッパーを中心に合体宝具をすることにより。
この切り裂き魔空間を破壊できるのは通りと言えよう。
金時が鉞に魔力を装填。オルガマリーがシュレディンガーを呼び出し。達哉はシヴァにペルソナをチェンジし即座に呼び出す。
「「「
炸裂する空間破断の雷がジャック・ザ・リッパーという固有結界を両断した。
「うぅーつかれた~」
「そりゃな、フランにはきついだろう、あの状況」
一行は屋敷に戻ってきていた。
オルガマリーは気が抜けたのとヴォイドザッパーの反動もあって。
即座に寝室に戻った。
マシュはアンデルセンの所に文法を学ぶべく赴き。
「なぁマスター俺にもギターの弾き方教えてくれよ」
金時、まさかのギターの弾き方を達哉にねだるのである。
「いやあの、金時さん、アンタ、引けないのか?」
「モチノロンだよ。生憎生まれてこの方楽器には触れたことないぜ、折角格好は決めているのに、ギター弾けないとか、全然ゴールデンじゃねぇだろう?」
「・・・そうだな」
金時、現代的格好をしているくせにギター弾けなかった。
いやそもそも、サーヴァントは全盛期から一側面を切り出された存在だから。
現代風の恰好になっていたり、オタクになっていたり、自己改造しまくって理想の女性になっているほうがおかしいのである。
と言ってもそこらへん突っ込むと切りが無さそうなので達哉は突っ込む事を放棄した。
そう言う訳で達哉は金時にギターの弾き方を教えることになった。
ついでにフランのダンスレッスンも入る事になりシェイクスピアも合流。
にぎやかなレッスンと相成った。
それで・・・
「金時さんには基礎教えて、教本上げたから良いが・・・」
「何か問題でも? 達哉殿?」
「なんで俺までダンス特訓?!」
そしていつの間にか達哉もダンス特訓に入っていた。
フランと手をつなぎフォークダンスの基礎をみっちり叩き込まれている。
金時は先ほども言った通り基礎は抑えたので教科書と睨めっこしながら達哉たちのダンスに合わせて曲を弾いている。
本当にサーヴァントの皆様方は才気に溢れていると達哉はため息吐きながら。
ステップをフランと共に刻んでいく。
「たつやはわたしとおどるのいや?」
「嫌そう言う訳じゃないんだが・・・なれない事をすると気恥ずかしさが先に来る」
今でなら文化祭の最後にキャンプファイヤーを囲みつつダンスとかあるのだろうが。
達哉の頃はそう言う風習はなかったし。
女性の手を握ってダンスというのもなかった。
というかあの頃の達哉にそんな余裕はなく、これが初めてとも言える。
其処にシェイクスピアの演劇指導も入るものだから中々にハードなレッスンだ。
フランは現状サーヴァントではないけれど人造人間である。
体力は無尽蔵に近い、如何にペルソナ使いであっても付いていくにはキツイものがある。
まぁ達哉は最上級ペルソナ使いであるし、実戦経験も豊富で体力はある。
故にこの状況は気恥ずかしさが勝っているのが現状だった。
フランだって美少女である、男として当たり前の反応だ。
むしろ死体を繋ぎ合わせてよくこんな美少女に仕立て上げたなと達哉は思う訳で。
フランケンシュタイン博士の腕に驚愕するしかない。
普通死体を継ぎ接ぎにしたのならこんな美少女にはならない。
なるとしても想像通りの歪な死体人形になるのが関の山だろう。
だがそれをフランケンシュタイン博士は克服した。
それなのに失敗作扱いというのはどういう訳かという話である。
ルイ曰くここに来た当初の彼女は臓物に執着していたとの事。
最も美しいそれさえ見つければという話であったらしいのだが。
シンによるマジレス真拳と教育食らって今のフランがあるらしい。
其処にはルイも嘲笑していた。フランケンシュタイン博士は生み出した子に教育も出来ぬ愚物であると。
まぁそこは達哉も内心同意した。
生み出したものが初めっから全てを備えているわけではないのはその通りであり。
フランケンシュタイン博士はそこを理解せず教育を放棄しあまつさえ見捨てたのである。
育児放棄と一緒だ。
これでは成功もクソもないというのは摂理であろうと言う物である。
「たつやもうわんせっとお願い」
「ああ分かった」
フランの懇願に達哉は了承する。
美少女と美丈夫が躍る絵は実にものになるとシェイクスピアは思いつつ夜が更けていった。
という訳で掃討回が後2話程度続きます。
まぁたっちゃんとフランのコミュ回ですね。
第四章のタイトルが人造の花嫁なんで。
たっちゃんにはペルソナ主人公らしくフラグ立ててもらいます。
なお
ニャル「追尾機雷設置完了!!」
という訳でフランにはたっちゃんに対するトラウマ起爆剤になってもらう(無慈悲)
今回の敵
ジャック・ザ・リッパー
幼女じゃない方のジャック・ザ・リッパーが噂結界とガリオンの手によってねじれシャドウ化した物。
霧状の固有結界亜種染みた物が本体であり、内部で出現するジャックをいくら倒しても、ジャックは無限生成されるため。
そも霧から逃げ切るか。打倒するならドーム状に展開された霧事潰すしかない。
故に霧の結界そのものが彼と言っても過言ではない。
ねじれた事と噂によって生まれた事象みたいなもんであり、ごく小規模版タタリに近い。
だが範囲も狭く町一区画程度である。
次回、国会議事堂カチコミ編、バベッジ死す、ペルソナスタンバイ!!
あと次回も遅れます。今年暑すぎて冷房のないパソコン室に入れないし。
買いだめしていた小説読んで外部インプットしたいので。
あと職活も並行していくのでそういう諸々の理由もあって遅れます。
本当に申し訳ない。