Fate/Grand Order たっちゃんがグランドオーダーに挑むようです   作:這い寄る影

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一度でいい、五百年後の世界を見てみたい。
それが叶うのなら、いつ死んだってかまわない。

チャールズ・バベッジ


七節 「哀れな女の定義について/蒸気式階差機関ファイトハウス」

「――――――――♪」

 

フランはマリー・ローランサンの「鎮静剤」を歌っていった。

少し後ろで達哉がギターを弾き。

シェイクスピアが指を動かしながらリズムを確認している。

この現状楽曲もないのでカルデアから懐かしのナンバーを取り寄せる形で。

時代的に近いマリー・ローランサンなどの楽譜が送られてきていた。

哀れな女についての哀歌だが。

 

「たつやどうしたの?」

「なんでもない・・・続けてくれ・・・」

「いや吾輩から見ても冷や汗びっしょりですよ達哉殿・・・ここはこれ位にしてやめておいた方が・・・」

「個人的問題だ・・・気にせず続けてくれ」

「う、うん・・・」

「達哉殿・・・」

 

フランやシェイクスピアからしても。

達哉にとってこの曲はトラウマものだというの言うのは分かる。

だが詳細は分からない、第四以前より関わりかつ限りある者しかわからない彼のトラウマ直撃曲なのだから。

ぶっちゃけミックの選曲ミスであった、時代が近い事という事もあって案安に選んでしまった結果。

舞耶自身が引用していた曲にぶち当たってしまったのである。

そして引用した彼女の最後は・・・

 

『私忘れられる・・・よりもっと哀れな女が・・・わかったわ・・・それは人を縛る女・・・みんな私のことは早く忘れなさい』

 

歌の中では忘れ去られた女こそが最も哀れな女と謳われているが。

実際には違うと舞耶は死際に語った。

それは人を縛り付ける女、死というナイフを持って他者に己の存在を刻み込み縛り付ける女こそ最も哀れであり、

当事者たちを最も深く傷つけるのだと。

だから忘れろと彼女は言ったのだ。

出なければ彼らを縛り付け深い傷を負わせてしまうから。

現に達哉はあの失敗を忘れられない。

ノヴァサイザーが間に合っていれさえすれば。あの惨劇を防げたのだから。

だが現実は間に合わず、舞耶は岡村にロンギヌスで刺され死に世界は町を残し人々は去って、達哉一人の世界となったのが結末である。

そんなこんなで夜である。

 

「国会議事堂を強襲するわ」

 

オルガマリーがそう言う。

スケルターの生産数が尋常ではない上に邪魔だ。

これじゃいくら掃討しようがねじれシャドウがスケルターに置き換わるだけである。

それならまだマシも数が半端ではない。

ねじれシャドウも質としてはすさまじいが、逆に言えば囲んで袋叩きにすれば事足りる。

逆にスケルターは一体一体は雑魚だ。

一対一なら負ける可能性はない、しかも動力やら駆動系には魔力式蒸気機関を使っている。

言わばおんぼろの世代遅れも良いところの代物だ。

負ける道理が無いが数が数である。

霊基修復とサモライザーのヴァージョンアップでカルデアのサーヴァントが使えない以上数で押されては堪ったものではない。

故に先手を取って、スケルターを量産し続けるバベッジの始末をつける算段だった。

 

『所長、C4爆薬にも限りがある、少し自重してくれ』

 

それでもアマネに苦言を呈された。

当たり前だがカルデアから引っ張りだしてくる銃火器の備品には限りがある。

M2重機関銃はこの前のモードレッド戦から回収しているが、元はドアガンとしてヘリに搭載していた物を転用した代物だ。

当然数に限りはある。整備部品もだ。

そしてC4だって保安部の任務の性質状、そんなに量はない。

第一、C4だって、カルデア内で馬鹿やらかした魔術師を粛清か拿捕するために仕入れたものである。

魔術師の工房になっているであろう個室の入り口をふっ飛ばすのだ。フレーム爆薬では威力が純粋に足りない。

だから燃料タンクとかふっ飛ばせる量のC4を過剰気味だが仕入れていた訳で。

故に前回の蛇人間の祭壇という地下空間を崩したのに使ったのでC4の残量も保安部が計算した結果。

国会議事堂を半壊ギリギリいけるかなぁ程度しか量が無いわけである。

だからこそ量も心もとない。

 

「何とかならないの?」

『完全を期するなら、サモライザーの改修を待つべきだと進言する』

「それじゃ間に合わない、連中、鼠算で増えていくもの」

『だったらペルソナスキルと宝具の合体宝具で消し飛ばせばいい、そのくらいの威力は出せるんだろう?』

「まぁ周辺被害考慮しなかったらそれくらいは・・・」

 

合体スキル&合体宝具はそれだけ威力が高い。単体スキル型もあるが基本周囲を薙ぎ払う物ばかりだ。

だから基本、威力減衰覚悟で範囲を絞るか。

或いは第一やモードレッド戦の時のように周辺薙ぎ払う覚悟でぶっ放すかの二択に絞られる。

案の定アイスジハードをぶっ放した区域は今でも凍結中。

磔刑の雷撃衝撃の剣(ゴールデンネガティブスパークブレイド)はモードレッドに直撃したためか彼女がクッションとなって地面にはモードレッド大のクレーターにはじけ飛ぶ雷撃が周辺の建物を倒壊させ。

界滅す金色の一撃(ゴルドマハープライヤ)は直線距離300mまでの空間とテクスチャを両断、今でも空間位相が乱れている地獄と化している。

特に合体宝具の制御は難しいのだからそうなっても仕方がないっちゃ仕方がない。

だからいくら終わったら全てが戻るからと言ってあっちこっちの空間やらテクスチャやら周囲一帯凍結やらを乱発したら人理悪化を自分たちでするような物なのだから。

基本は威力控えめかあるいはシバルバーや異界化などの特殊施設内以外では使用を控えたいのだが。

相手が相手なので全力ブッパするしかない訳で。

特に今回は戦場が第二レベルで狭い。

余り高威力の合体系はぶっ放したくないのが本音である。

 

「とにかく国会議事堂は歴史的建造物を、それを外から全壊させたってなったら人理定礎にも悪化の兆候が見えるかもしれないから、緊急時以外なし。内部に侵入してから爆破とか決めた方が良いわね」

「あの所長、それってかの悪名高き行き当たりばったりという奴では?」

「ヴォイドザッパーはなんかしんないけど脳に来るのよ、普通に使うなら10発前後が限界・・・合体宝具で使うと頭が煮え立つような感覚に襲われるから、合体宝具で使うと撤退でいっぱいいっぱいなのよ」

 

ヴォイドザッパーは理不尽性能だ。

攻撃性能では有象無象のサーヴァントの宝具を上回る。

なんせ空間どころかやろうと思えばテクスチャ事両断できるのだ。

最もそれを行えるのはシュレディンガーの持つ大鎌の刃部分なので威力に比例して範囲は狭く。

スキルとしての燃費は普通なのだが、なぜかオルガマリーの脳に負担がかかるという仕様だった。

普通に使えば10発前後、合体宝具で使った場合には同調させた宝具にもよるが防御型なら2,3発。

攻撃型であれば一発で撤退する気力しか残っていないのが先の戦闘で分かった。

元々脳に高負荷を掛けるスキルである。

そう簡単にブッパできない方が当たり前だ。細かく調整が効き尚且つそれに見合った消費のノヴァサイザーが可笑しいだけなのだが。

そう言う訳でヴォイドザッパーは使い処が限られる切り札だったりする。

繰り返して言うがノヴァサイザーが可笑しいだけなのだ。

 

「アスモデウスが完成していればな」

「まぁカチコミは楽になったでしょうね。でもない物ねだりはいけないわ」

 

アスモデウスとは悪魔でもなくペルソナでもない。

長距離移動の為に開発班がペルソナ使い&デミサーヴァント用に開発している超大型バイクだ。

サーヴァントのライダークラスですら満足のいく一品であり。

達哉やクーフーリンにマリー・アントワネットによって試作品をシミュレーターで何度も繰り返しテストされてはいるが。

完成はどう見繕っても第五特異点となることだった。

ちなみに現在予備含め5台が製造中だった。

 

「それで一応聞くが、バベッジは元々こちら側だったんだろう? 金時さん、説得の猶予はあると思うか?」

 

そうバベッジは人理側だった。ジキルもだ。

だが彼らが離脱する為に殿を買って出てそれ以降は行方不明なのである。

だがスケルターの構造分析から、ガリオンがバベッジをねじれシャドウ化させたのは状況証拠的に揃っている。

 

「無理だな、バベッジの旦那も相当拗らせてたみたいだ。ガリオンにひっ捕まって。Pみたいにされてない方がおかしい」

 

そうバベッジは一見普通に見えるが、固有結界を求道式に展開しているほど拗らせている。

固有結界とは言っては悪いが拗らせた典型例が持つ技能だ。

自我で世界の上に己の世界を張り付けるのにどれだけ自身の渇望を持っているのか想像もつかない。

一見真面に見えるエミヤですらあの様なのだから。

基本固有結界持ちというのは人格が狂っている。

でなきゃ世界を一時的に塗り替える事なんて不可能だ。

まぁそれはさて置き。

元々バベッジはこちら側だったがガリオンがジキルのアパルメントを強襲。

その撤退戦で殿を務め以降行方不明。

途中、追手が追い付てきたのでジキルが第二の殿を務め行方不明。

逃げる当てない所をルイに拾われたというのが現状であった。

 

「固有結界持ちがねじれシャドウ化か・・・Pより最悪みたいね」

 

固有結界持ちがねじれシャドウ化。

間違いなくPより驚異度の高いシャドウになっているのには間違いがないだろう。

だが現状手札が限られる。

カルデアサーヴァントは先の戦闘での霊基修復も兼ねて戻っているのだから。

と言っても先ほども言った通り合体宝具という切り札もある。

 

「ゆーてもさ、スケルター自体は雑魚だぜ? 無視で良いじゃないか?」

「後ろから刺されたら洒落にならないもの、いくら雑魚って言ったって数が尋常じゃないし」

 

金時の発言にそうオルガマリーが返す。

スケルター自体は魔術技術こそ使っているがメインの駆動系及び装備は蒸気機関だ。

悪魔やシャドウ、幻想種よりも弱い。

ペルソナスキルで十二分に対処可能だった。

だからと言って無視できるような物量ではないのだ。

日に日に生産数が増している。

ボス攻略中に雪崩れ込まれるという後ろから刺されるという行為をされたら堪ったものではない。

だから早急に排除する必要性があるのだ。

 

「幼女組や作家組との相性も最悪だ。ジャックの容体は?」

「私で何とかしたわ。でも相手が相手よ。アリスでも相性が悪い」

 

幼女三人衆は癖が強い宝具持ちだ。

だがアリスを除く二人は宝具依存過ぎて今回の攻略には向かない。

アリスにとっても死のない機械相手というのもあって。

よって幼女三人衆は今回お留守番だ。

 

「後は行ってみない事には分からないわね、一応ホームズに確認するけれど。”厄介事”はないのよね?」

「ああ少なくとも外部は問題ない、内部までは潜入できなかったため、私の推理によると内部は生産工場の様相を呈しているだろうが・・・」

「それなら内部突入は必須か」

 

オルガマリーがホームズに追求し。

ホームズがそう述べる。

ならばどちらにせよ内部突入は避けられないかと達哉はため息交じりにぼやいた。

内部が要塞化されているなら大本が地下施設を作っている可能性もある。

合体宝具で表層を薙ぎ払った所で意味がない可能性が出てきたのだ。

 

「いずれにせよ出たとこ勝負よ」

「いつも通りだな」

「いつも通りですね」

「そういつも通りよ、でもいい加減慣れてきたでしょ?」

「それは確かに」

「まぁそうですね慣れてきました」

 

達哉とマシュの苦笑交じりの言葉に。

はぁっとため息吐きつつ同意するオルガマリー。

つまるところ全チップを掛けた高度に柔軟性を保ちつつ臨機応変にという行き当たりばったりの作戦。

何時もの事だと達哉もマシュも苦笑で返した。

 

「では出発は一時間後、軽い物作って置いたから小腹は満たしておいて。くれぐれも食べ過ぎないように」

「「「「「了解」」」」」

 

そして作戦は一時間後に開始予定となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

達哉は作戦開始前という事もあって程々に腹に詰め込むことを選択していた。

オルガマリーが作り置きしておいたブルスケッタとサトミタダシで購入した。

ジンジャーエールを交互に詰め込みながら腹を多少満たす。

詰め過ぎは戦闘に支障をきたすが、すきっ腹というのも問題だ。

第一、あれほどカスタムされた馬車もモードレッドに破壊されている。

故に移動は徒歩だ。

だから空腹という訳にもいかない。

銃器メインのオルガマリーは入念に愛銃を整備しているし。

マシュも同様、盾に着けられたパイルバンカーやハンドアックスに、自身が身に纏うオルテナウスの点検でここにはいない。

故に達哉は兼定の整備を終えて飯食ってるわけである。

そんなとき、フランがふらりと達哉の元に現れる。

 

「たつや・・・ちょっとききたいことがある」

「聞きたいこと? 俺に答えられるなら何でもいいぞ」

「あのちんせいざいってきょくを歌っているときにふとおもったの。わすれさられるおんながいちばんあわれだって・・・」

「・・・だな」

「でもたつやはそのさきをしっているふうだった・・・あのきょくにさきがあるの?」

「・・・」

 

達哉は押し黙った。

ロンギヌス、同名の存在、成就する予言。

そして彼女の舞耶の遺言。

故にその先を知っている。

現にこうして苦しめられていた。

もう一つの世界で兄と順調にやっていそうなので今まで程ではないが。

それでも十分にトラウマものである。

だがフランの為だと歯を食いしばり吐き出すように達哉は言った。

 

「それは人を縛る女、いや女だけじゃない死んで縛る人自体が哀れなんだ・・・」

「そうなの?」

「ああ、俺も散々迷惑かけた。驕りが解決できたのはつい最近だ」

 

舞耶だけではない達哉も十分人を縛る側だった。

チェイテで偶然再会した兄の心配具合を見るだけで十分理解できる。

 

「だが忘れるのが良いだとか忘れないのが良いのだとかは俺にはまだわからない」

「なんで?」

「忘れていい事もある、逆に忘れなくて良かったこともあるんだ。だから・・・すまないが俺は君に納得できる答えを持ち合わせてはいない」

「だったらなんでひとをしばるひとがあわれなの?」

「深い傷になるからだとおもう、だからとっとと忘れて自分の道を行けということだろうな・・・」

「ふかいきず・・・でもたつやにはそんなきずないみたいだけど?」

「身体的な物じゃない、心の傷という意味だ。肉体の痛みは耐えられるし、直そうと思えば直せる。だが心や精神はそうもいかない、簡単には治らないんだよ」

 

人の喪失感というものはあるい意味、精神的傷となる。

達哉がそうであったように。マシュが第三でミスをして暴走したように。

故に喪失感というものは大きな傷となり人を縛り付け。

ミスを誘発させる、そうかつての達哉のように。

であれば、忘却は無慙無愧な諸行かと問われればそうでもない。

忘却も闇の側面があれば光の側面もある。

先ほども言った喪失と固執を失わせ当事者を解放するという側面が。

だからこそ舞耶はあの場で悟ったのだ。自分自身の死に未来ある若者を縛り付けて停滞させてはいけないと。

だから忘れろと言ったのだ。

だが忘れろと言われて忘れられる人間もまたいない。当事者なら猶更だ。

 

「忘れてしまえば楽だというが・・・もう俺はやらかした。忘れる事よりも忘れない方が大事だったから」

「やらかした? なにを?」

「世界が滅亡する際で忘れれば全てチャラだったのを忘れられなかった」

「このじたいがそれ?」

「良いや違う、俺はこの世界の人間じゃない、先も言った通り忘れてしまえば滅びなかった世界である自分の世界を復興してたらここに叩き込まれた異世界人だ」

「!?」

「まぁ複雑な事情があって、今はカルデアで働かせてもらっている。もう向こう側には誰もいない。そう言う訳だ」

「たつや・・・」

 

達哉は言葉を選びながらフランにそう伝えた。

一時の出会いだ。無駄な荷物をフランに背負わせたくないという事もあるのだろう。

 

「さてと時間だ。フランも覚悟決めて行けよ」

「うん・・・」

 

達哉の話を聞いて出動時間という事も相まって。

達哉は鞘に収まった兼定を杖に立ち上がり戦場へと向かう。

その背に付いていきながらフランは。

 

「わすれさられるおんなよりあわれなのは・・・ひとをしばりつけるおんなか・・・」

「ん? なんか言ったっかフラン?」

「いいやなんにも・・・はやくいこうたつや」

「ああそうだな」

 

そして彼らは戦場に赴く。それが余りに重い事だと気づかずにフランも共に。

全員の準備が完了しいつも通り手慣れた様子で裏路地を進む。

旧ロンドンの地図はカルデアも所持している、歴史的構造物の把握は十二分だ。

後の足りない暗黒街などの通路はホームズなどが補強し完璧なものが用意されている。

後は地図に従って進むだけだ。

 

一行は屋敷を出て国会議事堂を目指す。

暗黒街と思わしき場所も通るのだ。

ズドムという発砲音が複数なる。

スケルターを一撃で破壊する音だ。

 

「ねぇこれ威力可笑しくない?」

 

12ゲージ使用のスラグ弾を使用しているがあからさまに威力が可笑しい。

当時主流だった煉瓦壁を発泡スチロールのように破砕し、スケルターの装甲を容易く突破。

破壊する芸当が可能となっていった。

 

『ああそれね、やっと生産し終えた特殊12ゲージ鉄心神経弾さ。これも数は多くないから無駄弾はしないでくれ給えよ』

 

ダヴィンチがそう言う。

オルガマリーの使う弾薬は人理焼却前に仕入れた弾薬をスティーヴンとダヴィンチが対魔術師用の神経弾としてすべて改造。

それをさらに対サーヴァント用にダヴィンチが魔改造したものが全てだ。

リペアラーやガリルエース52にDSRー50の弾薬は正式採用銃の弾薬であること。

籠城やら緊急事態を想定しマリスビリーが大量購入していたので困る事無いが。

ベネリとかM500とかP90にSOPMODは保安部の隊員がカルデア以前より所持していた物でありそれには含まれていない。

ドアガンを担当していたM2機関銃の弾もそんなに出番はないとして弾薬の在庫もそんな似ないし。

銃本体もカルデアに二機配備されているヘリからひっぺ剥がしたものを使用。

一丁は第一特異点で木っ端微塵になり。

今回使用した最後の二丁目は破損を免れ現在カルデアで修復中だ。

そして一時間ほどかけて一同は国会議事堂にこぎ着けつた。

 

「これの何が国会議事堂よ!?」

 

オルガマリーが突っ込む。

案の定、国会議事堂は武装され鋼鉄の装甲に覆われていた。

無数のスケルターで囲まれていた。

大型の物から小型のものまで大小様々である。

しかも、感知できる魔力反応は管制室曰くというか案の定地下にあるとの事だった。

という訳で素早くペルソナを切替て合体スキルでゴリ押すことになる。

相手は機械だ、アイスジハードでは無意味に等しい。

ならばと、達哉とオルガマリーは身構える。

 

「アポロ!! マハラギダイン!!」

「シュレディンガー!! メギドラオン!!」

「アポロ、もう一回、マハラギダイン!!」

「「メルトダウン!!」」

 

そして発生する熱波が国会議事堂とスケルターを襲う。

スケルターは容認不可の熱波を浴びて沈黙。

武装されている国会議事堂の追加装甲内に隠れていたスケルターも同様だ。

守りは消えた。いや他に居るかもしれないが場は開いたのである。

乗り込むなら今がチャンスだと全員が駆け抜けた。

そして国会議事堂のすぐそばに身を寄せる。

 

「屋上にスケルターがいなくて助かったわ」

「現代戦闘だと対空戦も当たり前ですからね」

「ロケラン撃たれなくて助かったわ、ほんと、金時、扉をぶち破って頂戴」

「およう、行くぜ黄金衝撃(ゴールデンスパーク)!!」

 

鋼で覆われた扉を金時が宝具の渾身の一撃でぶち抜く。

扉が文字通り吹っ飛び開門。

全員が即座に突入する。

スケルターの装甲は薄い、現代の技術で製造されていればセラミックとかだったろうが。

この特異点ではトタンが精々だ。リペアラーでも十分だ。

ベネリM4を腰に下げ。両手に一丁ずつリペアラーを持ったオルガマリーが制圧射撃。

その後に前衛組が突入し、スケルターを駆逐する。

一番不利なのは達哉だが的確に相手の関節やメイン動力を貫き的確に処分していく。

 

「玉藻、サーチをたのむ!!」

「お任せされました!!」

 

そしてこの場にいる誰もが国会議事堂に入ったことはない。

カルデアのサーチが期待できない以上地下は不明瞭だ。

無論入り口もだ。

故に玉藻が魔術を走らせ一気に地下への入り口を探る。

 

「見つけました!! そちらの礼装に反映させます!!」

「議事室の議長席の裏側が入り口ってねぇ・・・秘密基地じゃないんだから」

「でも男の子はそう言うの好きでしょう?」

「達哉や金時はそうかもしれないけど、私は女でそう言うのにあこがれないから!!」

「二人とも口動かすなら手を動かしてくれ!!」

「ご、ごめん」

「す、すいません」

 

最短通路及び敵中枢への道筋は割れた。

後は向かうだけである、無駄口を叩くオルガマリーと玉藻に達哉は叱咤を飛ばしながらスケルターをアポロのゴッドハンドで叩き潰し。

マシュは大盾とパイル。金時は鉞。フランは大槌でエリザベートは槍と召喚した拷問器具でスケルターを薙ぎ払っていく。

兎に角、奥へと目指すのだった。

そして議事堂へと到着。

 

「キマイラ!!」

「セイリュウ!!」

「「ブフダイン!!」」

 

即座に議事堂の扉を全部閉めてブフダインで扉を大凍結させてスケルター達の侵入を防ぐ。

 

「これで一息つけますね・・・」

「ああだな、皆これを」

 

達哉はマシュの言葉に同意しつつ全員分のチャクラポットを取り出し投げ渡す。

貴重品ではあるが、今の今まで使う機会が無かったので溜まっていたりするので問題はない。

だが味は以前書いた通りだ。

皆慣れてないので凄まじい顔をしてしまう羽目になった。

 

「これどうにかなんなんいの!? 味!!」

「慣れてくれとしか言いようがない、でも精神力や魔力は回復するだろう?」

「そうだけどさぁ!!」

 

チャクラポットは精神力だけではなく宝具一回分の魔力も回復してくれる。

ただし味はあれだが。

 

「それより地下への通路は議長席の所でしたか・・・」

 

とりあえずチャクラポットを飲みほしたマシュが議長席を一回りしつつ様子を確かめる。

 

「先輩、所長、議長席の周囲に隙間が確認できました間違いなくにかしらの仕掛けで引き戸タイプのギミックがあるかと」

「なら持って来た強化C4フレーム爆薬でふっ飛ばすわよ、正規手順で開けて全員入った瞬間に閉じ込められたなんてなったら洒落にならないから」

「了解です所長」

「マシュ、君は右側を頼む。俺は左側だ」

 

そういって達哉は長い筒状に梱包された強化C4フレーム爆薬をマシュに投げ渡す。

強化C4とは魔術工房にブリーチングする為にかつてアマネが保安部に入る前に使っていたものだ。

将来的にはC5とも呼ぶべきものになるものである。

戦艦の水密扉ですら余裕でふっ飛ばせる代物だ。

 

「セット完了です、先輩そちらは?」

「完了だ。皆さがれ!!」

 

強化C4をセットし終わり、全員が安全圏まで退避。

達哉が起爆装置を複数回押すと起爆。

爆炎が上がり衝撃波が発生するレベルだった。

議長席は木っ端みじん。

指向性もあるはずだがこの威力はシャレになっていなかった。

だからまだ強化C4とも言われている。

上手い事指向性を持たせても余分な衝撃波が発生するからだ。

要するに試作品なのだ。

だから持ち込んだ量の手持ちの爆薬だけで孔明が慣れない発破演算をしてあの空洞を崩壊させることができた訳なのだが。

 

「ホント・・・!!たまったもんじゃないわね!!」

「室内で使うなという意味が分かったよ・・・だが」

 

オルガマリーの愚痴に同意しながら普通なら室内での使用は非推奨だと聞かされていた達哉はその意味を理解し。

 

「だがこれでよかった。じゃなきゃ金時さんに宝具かサタンの光子砲を使わなきゃダメだったぞ」

 

議長席から地下へと続く門は分厚い鉄板のような仕掛け扉だった。

これでは達哉の四倍マハラギダインでも焼き切ることは難しい。

いやできなくはないが火花が散って周辺が炎上する。

そうなれば今度は消火作業だ時間が掛かる。

閑話休題。

 

「突入!! GO GO!!」

 

編成は先ほどと同じで全員が突入していく。

階段を下り切ればまるで人間の体内の様に配管が設置され。

蒸気シリンダーが配管に蒸気を送り込んでいる。

 

「うっ煙臭ぇな」

「蒸気機関なんてそんなもんよ、とりあえず先を急ぎましょう」

 

あちこちで不要な蒸気が出ており煙臭いが進むしかない。

幸いにも乗り込まれた事を想定していないのか、スケルターは出て来ず。

あっさりと中央にたどり着いた。

 

「これがアンタの夢の果てかチャールズ・バベッジ」

 

其処には巨大な階差機関と演算機と醜く合体したバベッジが鎮座していた。

これが所謂、彼のねじれシャドウ形態なのだろう。

醜悪極まる、これなら本人の為に即座に解体してやるべきだと。

達哉はアポロを出現させる。

皆も同様に戦闘態勢へと移行した。

最早解釈しか手立てはないのだから。

 

「敵正反応確認排除執行する」

 

その瞬間である、彼の周囲の機器が動き複数のレーザー砲台となったのだ。

 

「蒸気機関でレーザーはないでしょ!? スチームパンクとSF混合してるじゃない!?」

「それより所長、早く私の後ろに!!」

 

射出されるレーザー、叫ばれるオルガマリーの愚痴。

マシュが前に出て盾となる。

レーザーとはいえただのレーザーだ。宝具とか上位ペルソナ使いの攻撃に比べて重さが無い。

余裕で凌げると思ったのもつかの間であった。

 

「脅威レベルを1から2へと引きあげ、強制執行を開始」

 

天井やら背後からまた複数のレーザー砲台が起動。

イルミネーションの如くレーザーを射出する。

これでは一方向しか守れないマシュの盾は意味がない。

全員が散開し、

回避に集中するがこういう敵は金時やフラン、玉藻も相性が悪い。

なんせ相手は半ばねじれシャドウという名の半受肉をしつつ機械になっている。

この猛攻の前では遠距離攻撃を持たぬ金時とフランはきついし、

玉藻では機械に呪いをかけられない。

だったらと、

 

「いけ!! アイアンメイデン!!とその他多数!!」

 

魔力が供給される限り拷問器具にスピーカー着いた物を無数に召喚できるエリザベートが拷問器具を多数射出。

直撃からの壊れた幻想を狙うが。

 

「デススチーム」

 

吐き出されたバベッジの蒸気のジェット噴流で押し流されレーザーで迎撃された。

 

「うそん?!」

「いや、よくやった、サタン!! 光子砲!!」

「耐熱防壁複数展開」

 

だがそれは隙を生んだという事である。

達哉はサタンによる光子砲を射出するが。

耐熱タイルの張られた耐熱防御壁複数枚展開され防がれる。

だが耐熱防壁の破壊自体は完遂した。

後は一手詰めるだけである

 

「マシュ!!」

「分かっています!! 行っきますよぉ!! 所長!!」

 

振るわれるマシュの盾。それに乗っているのはオルガマリーだ。

盾が振り切られる瞬間、オルガマリーも足を全力強化跳躍。

デススチームは間に合わない、レーザーはアイアンメイデンの迎撃や他の目標に振り切っている。

耐熱防壁も達哉が破壊した。

故に弾丸の如く一直線に飛翔したオルガマリーがシュレディンガーを呼び出し万物切断するスキルを繰り出す。

 

「シュレディンガー!! ヴォイドザッパー!!」

 

大鎌が振るわれ斜めに引き裂かれるバベッジ。

其処にダメ押しとしつつ、リペアラーを二丁押し込み。

 

「散華しなさい!!」

 

引き金を引きワンマガジン分叩きっこみ。

バベッジから蒸気が噴出。

これはいかんと、強化した脚でバベッジを蹴りつけるように跳躍退避。

遅れて爆発無数の蒸気が溢れ出て、バベッジが沈黙した。

 

「ゲホゲホやったのか?」

「金時!! フラグ立てないで!!」

 

蒸気にせき込みつつ金時がやったのかという問いにオルガマリーがフラグ立てんなと叫ぶ。

やったかは当カルデアではフラグも良いところ。

実際にやってなかったことが多いのだからお願いだから言わないでというオルガマリーの気持ちもよくわかる。

そして。

 

『メインユニットの機能停止を確認・・・再起動可能と判断。386番から789番の配管をパージ再構成を行い最終防衛システム起動及び蹂躙用起動形態へと移行します』

 

いつも通り事態は最悪の方に転がっていったのだった。

 

「なっこれは!?」

「しんどう!?」

 

達哉とフランの驚愕を他所に外はえらいことになっていた。

 

『こちらダヴィンチ!! 外はえらいことになっているぞ!! 議事堂突き破って巨大マシンの出現だ!!』

「「「「「「はぁ~!?」」」」」」

 

そう外はえらいことになっていた。

議事堂突き破って怪獣映画よろしく。

巨大バベッジが起動したのである。

 

「蹂躙形態ってそう言う事ですか!?」

 

マシュが奥歯を嚙み絞めつつ叫ぶ。

高貴な思考を持ったバベッジはここにはいない。

ガリオンに影の部分を突かれて、剝き出しのエゴが具象化した存在だ。

最早理想はなく己がエゴで全てをゼロにして蒸気文明を作り上げようとする怪物である。

それはさて置き、コアのバベッジが再起動。

この場で完全破壊するしかないという訳だ。

 

「仕方がない合体宝具で叩き潰すぞ!!」

「でも所長が・・・」

「大丈夫だマシュ、磔刑の雷撃衝撃の剣(ゴールデンネガティブスパークブレイド)の方で叩き潰す、行けるな、金時さん! フラン!」

「おう行けるぜ」

「まかせて」

 

再度起動したレーザーのイルミネーションの中タップダンスを刻むように回避しながら面々はうなずく。

現状の巨大ロボと化したバベッジから外装を破壊し乗り込むのは手間だが、

既にコア部に乗り込んでいる。

ならばあとは再生不可能なレベルで消し飛ばしてやればいいというだけの話であった。

 

「なら話は決まったわね!!」

 

オルガマリーがリペアラーを専用ホルスターに戻し。

持って来ていたガリルACE52に持ち替えてペルソナもカーリーにチェンジ。

玉藻はマシュの後ろに隠れつつ魔力弾でレーザー射出装置を狙う。

レーザー光が減ったのを皮切りに達哉、フラン、金時の三人が突っ込む。

 

「デススチーム」

「アポロ、マハラギダイン!!」

 

だがその前に射出された蒸気を達哉のアポロが薙ぎ払う。

 

「耐熱防壁展開」

「させるかぁ!! シュレディンガー、ヴォイドザッパー!!」

 

先ほどと同じくマシュの盾をカタパルトにして張り巡らされた防壁をシュレディンガーにチェンジしたオルガマリーが薙ぎ払う。

そのまま三人が跳躍し。

 

「オーディン! 真理の雷!!」

「派手に行くぜぇ!吹き飛べ……必殺!黄金衝撃(ゴールデンスパーク)!!」

「わたしと、いっしょに、こい……磔刑の雷樹(ブラステッド・ツリー)!!」

 

呼び出されたオーディンの真理の雷を起点に魔力を同調

合体宝具が起動する。

 

「「「磔刑の雷撃衝撃の剣(ゴールデンネガティブスパークブレイド)!!」」」

 

そして炸裂する光。

その一瞬、バベッジは正気を取り戻し。

 

「おお、青空が・・・」

 

その言葉は合体宝具の前に掻き消えて・・・

爆発。

達哉はフランを抱えて、金時は自力で離脱。

コアのバベッジが完全消滅したことにドン、ドンと音を奏でて蒸気を送る管が爆発を始める。

更に巨大ロボも仰向けに倒れつつあった。

振動で全員が転げる。

そして今にも爆発しそうな場所にいる故に。

 

「達哉ァ!!」

「分かっている!! アムルタート、トラフーリ!!」

 

オルガマリーの叫びに答え崩壊するこの場から全員で離脱する為に。

トラフーリでの離脱を行う。

無論トラフーリは緊急脱出用の物として想定されている。

長くはワープできない。だがこの状況なら十分に安全圏まで退避できるだろう。

そして全員がロボの中から脱出。

国会議事堂から少し離れた場所にワープする。

そして倒れ行くバベッジは、そのまま仰向けに倒れて爆散。

爆炎と噴射する蒸気が上方に向かって放たれ一時的に魔霧を払いのけて、

青空の雲を映したのだった。

 

 




盛大な前振り、舞耶姉さんのアレって鎮静剤からの引用だったのね・・・(自分無学)
という訳でフランちゃんが最も哀れな女を理解してしまった。あとは分かるね?
そしてねじれバベッジ戦。
まぁ別に特質すべき点はありません。
まぁ強いて言うなら忘れ去られる女より哀れな女というのを理解しつつ在ると言うことですね(積み上げられるたっちゃんトラウマフラグと、フランの死亡フラグ)

次回、ジキル戦、さぁニャルニャルしていきますよぉ。

と言っても次回も遅れます、9月に入ったのに全然涼しくならないってなんやねん!?

オマケ
アスモデウス
FF7ACのフェンリルがモデル。
現在まで達哉やクーフーリンが地味に極秘裏にテストヘッドになって開発が進められていた代物。
無論、搭乗者と共にレイシフト可能な一品で。
性能はライダークラスが満足可能かつ常人の搭乗を一切考慮していない。
使用はサーヴァントやデミサーヴァントに高位ペルソナ使いを想定している。
内燃機関変わりとしてダヴィンチ謹製の小型魔力炉が三機搭載され。
曲がる際にはハンドルではなく加重移動で行う。一応減速の為に前部には展開式エアブレーキや逆噴射装置。
後部には緊急停止用のパイルバンカーなどなどが装備されている
現在は調整中の為第五から投入予定。
予備含めて5機が作られている。
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