全瑞雲祭録 瑞雲教の野望 ~輝くエレクトリカルズイウンパレード(※1)~ 作:鳥頭堂正太郎
2017年5月13日~14日
「第56回静岡ホビーショー」パーツ展示篇
前夜
誰もがエイプリルフールの嘘だと思っていた。
最初は以下のツィートが運営のツィッターに上げられたのが始まりでした。
「今日は土曜日!新しい月、卯月四月がスタートしました!現在「艦これ」運営鎮守府では、春イベント実装準備を鋭意進めつつ、1/1スケール、原寸大「瑞雲」の製作を開始しています。本日も元気に頑張ってまいりましょう!」
時は4月1日、エイプリルフール。
嘘をついてよいとされる日。
「なに言ってんだ、お前。
嘘をつくなら、もうちょっとマシな、信じられそうな嘘をつけよ。」
誰もがそう思っていました。
誰もがエイプリルフールの冗談だと思っていました。
なにせ、同日に「飛行機会社とのコラボ」と「艦これオーケストラを全国6か所と海外1か所で実施」という、どれもがエイプリルフールだと思ってもおかしくない内容のツィートをしていたのですから。
「どれがエイプリルフールなんだ?
全部エイプリルフールなんじゃね?」
皆、そう思っていました。
しかし、その後、
「マルキューサンマル。提督の皆さん、おはようございます!
今日は月曜日!計画、製造、輸送、展示…原寸大はかなり大掛かりなのですが、その道の熟練の皆さんの力を借りつつ、現在「艦これ」運営鎮守府では、1/1「瑞雲」計画を鋭意進めています。本日も元気に頑張ってまいりましょう!」
というツィートで、
嘘や冗談じゃない。運営は本気だったと皆が気づきました。
さらに、以下の
「現在「艦これ」運営鎮守府では、先月四月にお知らせした【1/1スケール】原寸大「瑞雲」計画を進めています。同完成はまだ先となりますが、今週末【5/13(土)~14(日)】に静岡で開催される模型の祭典、第56回静岡ホビーショーにて進捗を少しだけご報告させて頂く予定です。」
というツィートによって、本当に本気で瑞雲が作られていた事を知ったのです。
そして、そのツィートに書かれた5月13日は艦これクラシックコンサート名古屋公演の当日でした。
夜の部が当選していた私は、珍しくワイシャツにネクタイという正装をして、物販にならびグッズを購入し、コンサートへ行き、楽曲を拝聴した訳ですが、一緒に見に来ていた同行者と別れ、(同行者には「そこまでの体力が無い、鳥さんはタフすぎると言われました。そうかな?)そのまま、その足で静岡へ向かいました。
静岡ホビーショー
それは毎年5月に静岡市のツインメッセ静岡で開催される、プラモデル・ラジコン模型・鉄道模型等の模型玩具の製品見本市である。
主催はタミヤ・青島文化教材社・ハセガワから成る静岡模型教材協同組合てあり、
日本ラジコン模型工業会・日本プラモデル工業協同組合等の協賛と、静岡県・静岡市・静岡商工会議所等の後援を受け開催されている。
ちなみに自衛隊も協力しており、戦車などが展示されている。
私は海軍派だから、戦車については詳しくは知らないが。
前述のとおり、プラモデルメーカーが主宰という事や、モデラーズクラブ合同作品展が同時開催されているなど、プラモデルがメインの展示会であるが、プラモデルだけではなく、フィギュアなども展示されており、
この時に最も艦これに力を入れていたのが、(株)青島文化教材社ではなかったか?
アオシマ鎮守府と銘打って、艦娘音頭の動画を垂れ流し、木曽改二と速吸のフィギュア、大鯨、明石、大淀(艦これver)の艦船模型が展示されており、
圧巻であったのはファニーナイツ1/7グラーフ・ツェッペリンの彩色サンプルが透明ショーケースに置かれて飾られており、周囲全方向から眺められた事だ。
確か前年のホビーショーでは、未彩色のグラーフのサンプルが同様の形で展示されており、発売日が近づいてきたなと思ったものである。
それ以外では、PLAMAX minimum factoryの大和と武蔵も置かれていた。
当時、これを見て、ソッコーで馴染みのプラモデル屋行って、予約をした覚えがある。
だが、当初、発売日は同年11月の予定だったはずだが、遅れに遅れ。
結局、翌年の5月に発売され、東北経由で第二次瑞雲祭に参加していた私には、二つ合わせて一万もするような模型を買うような金などなく、おばちゃんに謝って1ヶ月待ってもらい、結局、6月に手に入れた覚えがある。
ちなみにどちらも手付かずのままである。
ちなみに模型などの他にも、いろいろな販売がされており、私は長門の葉書を手に入れた。
こういう事があるから、ホビーショーは侮れない。
1/1原寸大瑞雲計画
さて、瑞雲に話を戻そう。
ホビーショーの行われるツインメッセ静岡はこの時に受付が置かれていた中央通路を挟むように、北館と南館の大展示場があり、北館の最奥に、メーカーのの中でも最も広いスペースのタミヤのブースがあり、その横に三社合同のウォーターラインの模型が展示されていたブースがあって、その手前のスペースに瑞雲のパーツが1/1原寸大瑞雲計画と称して展示されていた。
2019年のフロアマップと比較してみると、ウォーターラインが別の場所で展示されていて、タミヤが最奥のスペースを幅一杯使っており、そんなスペースは無いので、最初から瑞雲を展示すべく、スペースを開けられていたようにも見えるが、急遽展示の運びとなったらしい為、偶然、スペースが空いていたようである。
艦これ運営側が展示したいと申し出たのか、ホビーショー側が展示しませんかと申し出たのかわからないけれど、偶然、うまいことスペースがあったものだなぁと思った。
なお、当時は青島が担当で展示をしていたそうである。
画像を見ていただくとわかると思うが、展示されていた瑞雲のパーツは、支柱部ダイブブレーキ(原型)、エンジンパーツ原型、エンジンパーツ生産型、機体外板、プロペラ(複製仕上げ前)、コクピットキャノピー部(複製仕上げ前)の六個のパーツが全てであった。
ちなみに1/1原寸大瑞雲計画のチラシも置かれていた。
では、各部品ごとに見ていこうか。
ダイブブレーキ
ダイブブレーキとは、急降下爆撃機が急降下時に飛行禁止速度(機体の強度限界)の超過を防止するためにフロートと主翼を繋ぐ、支柱部分に備えられたもので、
急降下爆撃用のダイブブレーキを備えた水上機としては世界初であり、他機種にみられる両開きや片開きではなく、支柱後部の1枚板が90度近く回転する瑞雲独特の構造なのだそうである。
後に展示されていた瑞雲を見ると、確かに同型のパーツがフロート支柱に見られる。
ちなみに、このダイブブレーキは形状にいくつかのバージョンがあるそうだが、生憎、著者はにわかなので詳しくは知らない上に、瑞雲に関する詳しい本が見当たらないから、よくわからないので、詳しい人いたら教えて。
エンジンパーツ原型
エンジンパーツ生産型
見たまま、エンジンのパーツの一部の原型であろう。
これを複製できるようにした型が、エンジンパーツ生産型という事であろう。
この型に材料を流し込んで複数、成形されてエンジンになるのであろう。
どうせ、エンジンカバーで覆われてしまい見えやしないのだから作らんでもいいんじゃないの?と思ったものであるが、後から瑞雲の正面からの画像を見ると、プロペラの奥にエンジンらしきパーツが見えるので、やっぱり必要だった模様。
ちなみに瑞雲には三菱金星五四型というエンジンが積まれていたそうである。
これまた、私はにわかなので、詳しい事はわからない。
なお、金星は河口湖自動車博物館・飛行舘にあるらしいが、一年間で八月だけしか開館しない上に展示品が入れ替わるらしいので、行っても見れるかはわからない。
ちなみに私がそれを知ったのは九月なので、未見である。
ネットにあがっている画像などを見るに、エンジンはこのパーツの画像下部の平たい面が、プロペラに繋がる軸を中心に、円形になるように並べられているようである。
つまり、このパーツはエンジンのごく一部という事になる。
機体外板
展示品の中では、これからも目にする事が多々ある外装部であり、今回の展示では、ちゃんと塗装まで施されている部分である。
赤い丸の一部が見えるので、主翼の一部であろう。
だが、それが左右及び上下のどのあたりかは私にわからないが。
プロペラ(複製仕上げ前)
機体最前部にある三枚のプロペラのうちの一枚。
複製とあるので、作られた原型から型を取り、複製されたうちの一枚であろう。
まったく余談だが、あんなに高速回転しているプロペラの羽根を機銃が撃ち抜いてしまわないものだなと思いませんか?
実はあれ、プロペラ同調装置という機械が内蔵されていて、プロペラが回転するスピードと機銃が弾を撃ち出すタイミングを合わせているらしいのです。
だから、撃ち出された機銃の弾が、プロペラの羽根がある位置を通過する時には、羽根は常時、弾と接触しない位置にあるため、プロペラを自らの機銃で撃ち抜いてしまう事は無いらしい。
なお、初めて同調装置を実装したのはフォッカー アインデッカーという第一次世界大戦時のドイツの単座単葉戦闘機で、同調装置が無く扱いにくい場所に機銃を取り付けた従来の戦闘機を圧倒し、猛威をふるったことを指してフォッカーの懲罰と呼んだそうである。
コクピットキャノピー部(複製仕上げ前)
コクピットキャノピーとは、航空機の操縦席を覆う大きな窓の事である。
操縦席を覆う訳だから、パイロットの広い視界を確保するために透明である必要があるわけで、初期にはガラスを継ぎ合わせて造られたが、やがて軽くて丈夫なアクリル樹脂などで成型されるようになったそうである。
今回、展示されていたのは、透明な部位の方ではなく、その枠組の方であろう。
例によって、にわかだから詳しい事はよく知らない。
とまあ、細かくそれぞれの部位を見てみたわけだけれど、よく見ていただくと、制作工程のパネル以外の、名称が書かれたパネル全てに、日向が描かれていた。
これが静岡ホビーショーで、瑞雲のパーツが展示された顛末であった。
そして、2017年5月30日に、
『「艦これ」運営鎮守府、今年は鎮守府「瑞雲」祭り! 絶叫マシンの充実でも知られる富士急ハイランドさん、その全面協力を得て、富士の裾野でコラボ展開でお贈りします! 【「艦これ」鎮守府 瑞雲 祭り in 富士急ハイランド泊地】今夏【6/17(土)~7/30(日)】に開催です!』
『富士の裾野で展開する【「艦これ」鎮守府 瑞雲 祭り in 富士急ハイランド泊地】、
開催の初日【6/17(土)】は【1/1スケール】実物大「瑞雲」序幕式及び同一般公開開始、
艦娘声優「瑞雲」ステージ、瑞雲仕様テンテコマイの実戦配備、
瑞雲を囲んでの艦娘音頭等も鋭意準備中です!』
というツィートが運営から発表され、後にズイQと呼ばれる第一回瑞雲祭が富士急ハイランドにて、開催される事となったのである。
開催日まで、わずか18日前であった。
さて、これ以降、よみズイで展示された1/00サイズ航空戦艦 日向の模型や、ズイパラで展示された1/1サイズの烈風改のどちらも、製造途中のパーツが展示され無かった事を考えると、おそらく、今後、静岡ホビーショーで艦これ関連の展示をされる事は無いと思うが、プラモデルに興味がある人には、楽しいイベントなので、行ってみたい人もいると思うので、アクセスや、付近の美味しい店やお土産品なども紹介しておく。
ツインメッセ静岡へのアクセス
バス
JR静岡駅北口11番乗り場より「登呂コープタウン行き」に乗車して、約10分の「南郵便局ツインメッセ前」下車。
なお、ホビーショー当日は無料のシャトルバスあり
東名高速道路
静岡インターから 車で約15分
日本平久能山スマートインターから 車で約10分
新東名高速道路
新静岡インターから 車で約25分
静岡鉄道
静鉄春日町駅下車、徒歩約12分
近くのおすすめスポット
静岡鑑定団八幡店
静岡県静岡市駿河区八幡5-8-3
054-282-3009
10時00分~26時00分
静岡県内においてお宝ショップを展開している静岡鑑定団グループのフラッグシップ店。
フィギュアやプラモなどのヲタクグッズも販売しており、品揃えは悪くない。
ツインメッセ静岡からは徒歩15分くらいなので、行ってみる価値あり。
静岡ホビースクエア
静岡県静岡市駿河区南町18-1 サウスポット静岡3階
054-289-3033
11時00分~18時00分(平日)
10時00分~18時00分(土日祝)月曜休館
模型メーカー各社の最新の模型や静岡の伝統工芸品を多数展示し、模型を含めたホビーについて最新情報を発信する常設展示場と各模型メーカーのオフィシャルショップがある。
静岡駅から近いので、帰りに寄るのをおすすめします。
タミヤ本社
静岡県静岡市駿河区恩田原3−7
054-286-5105
定休日 土日曜日
8時00分~12時00分
13時00分~17時00分
模型メーカーのタミヤの本社で、通常は平日のみ事前予約で見学ができるが、ホビーショー時はオープンハウスというイベントが行われて、一般開放公開されており、通常公開していない場所も公開されていたりする。
おすすめの飲食店
炭焼きレストランさわやか
新静岡セノバ店
静岡県静岡市葵区鷹匠一丁目1番1号 新静岡セノバ5階
JR静岡駅北口より徒歩7分
054-251-1611
11時00分~22時00分(オーダーストップ 21時00分)
炭焼きレストランさわやかは、静岡県浜松市中区に本社を置く、さわやか株式会社が運営する、静岡県のみにチェーン店を持つステーキ、ハンバーグレストランである。
名物メニューはげんこつハンバーグで、注文をして、しばらく待つと、大人の拳ほどはありそうな、網目のついた焦げ茶色の挽肉の塊が、牛の形をした熱く熱せられた鉄板に乗せられて客席に運ばれてくる。
ウエイトレスのお姉さんがブッチャーフォークとナイフでもって、客の前でハンバーグを丁寧に縦半分に切り分ける。
切断面を下に向けて、二つのハンバーグを横一列に鉄板並べかえると、フォークとナイフでもって、一個ずつハンバーグをぎゅっと鉄板に押し付けると、ジュゥ~と肉の焼ける音と匂いがして、肉汁が溢れ、白煙があげる。
二度ほど焼きを入れて、適度な焼き加減になったところでオニオンソースかデミグラソースをかけて付け合わせとともに提供される。
外側は炭火でしっかりと焼かれていて、弾力が凄く、まさに肉を食べているという気になり、噛み締めるほどにギュムギュムッとした弾力が伝わってくる。
中側はまだ赤みが残っていて、柔らかく、肉の甘みと旨みが噛み締めるほどに溢れてきて、オニオンソースの甘酸っぱさが肉の旨味を引き立て、それはもうなんとも言えぬほどにうまい。
さわやかは基本的にどこも人気店で、入店時に待たされるのだが、郊外型の店舗が多く、静岡駅の近くにあるのは、この一店だけという事もあってか、普通に一時間待ちとかである。
整理券を発行しているので、待ち時間をスマホで確認できるようになっているので、待ち時間に買い物などに行っても良いと思う。
だが、待ち時間の割りに提供されるのは早いので、席に着いたら早い。
しかし、ホビーショーの後に食べられるかは私は不知火。
石部屋
静岡県静岡市葵区弥勒2丁目5−24
054-252-5698
9時00分~16時00分
木曜日 定休日
静岡市の名物菓子といえば、安倍川餅である
安倍川餅とは、つき立ての餅に黄な粉をまぶし、その上から白砂糖をかけた物であるが、現在では、黄な粉をまぶしたものとこし餡を絡めたものの二種類を一皿に盛った物となっている。
伝承によれば、江戸時代初期、徳川家康が安倍川の川岸の茶店に立ち寄った所、そこの店主がつき立ての餅に黄な粉をまぶし、当時、安倍川上流(梅ヶ島)で取れていた砂金に見立てて、「安倍川の金な粉餅」と称して献上した。
家康はこれを大層喜び、安倍川にちなみ、安倍川餅とせよ。と言ったといわれている。
その後、東海道中膝栗毛には「五文どり」(五文どりとは安倍川餅の別名)として登場している他に、歌川広重の浮世絵の「東海道五拾三次之内 府中 安部川」にも、安倍川餅の店が描かれているのだが、その描かれている安倍川餅の店こそが、この石部屋と言われている。
創業は店先の看板に書いてあるように、文化元年(1804)からなので、東海道五拾三次が描かれた天保3年(1833)には、石部屋は営業していた事になるから、可能性としてはありえなくないが、創業時の店舗は戦災で焼けてしまい、現在の店舗は古民家を移築したものらしいので、判別がつかない。
だが、土間の座布団を敷いた床机と、ちゃぶ台が置かれた小上がりは雰囲気たっぷりで、江戸時代にタイムスリップしてしまったような気にさせるほどだ。
まぁ、そんな事はともかく、今も本通り沿いの安倍川橋そばにあって、元祖と銘打たれた石部屋の安倍川餅は昔ながらの製法を頑なに守り続け、注文を受けてから、つきたての柔らかい餅を固まらないように湯煎し、4cmほどに手で絞り、黄な粉をたっぷり入れた桶の中に落としてまぶすと、黄な粉に。
それとは別に漉し餡をつけ、指先で丸めてあんこ餅に。
一皿にそれぞれ5個ずつの餅を乗せ、きな粉餅には白砂糖が上からどばっとかけられて、提供される。
味は柔らかいながらもちゃんとした歯ごたえもあって、餅の香りと食感、きな粉と砂糖の香ばしさ、程よい甘みの濾し餡と、なんともうまい。
私は昔はあまり安倍川餅は好きではなかったのだが、石部屋の安倍川餅を食べて、そのうまさを知ってから、静岡で少しでも時間があったら、安倍川餅を買って食べるようになってしまった。
しかし、当然、石部屋のそれではないから、まったくもって、味は異なるのであるけれども、それでもつい買い求めてしまうのだ。
あと、甘いものが苦手な人の為にか、わさび醤油で食べるからみ餅もあるのだが、
考えてみたら、餅を焼いて砂糖醤油を着けて食べたりするのだから、餅と醤油の相性が悪いわけがない。
湯煎にかけられた餅をわさび醤油で食べるわけであるから、それはもう、うまくないわけがないのだ。
私は再度訪れて、安倍川餅とからみ餅を食べ比べてみたが、すっかりからみ餅を気に入ってしまった。
安倍川餅よりからみ餅を持ち帰りたいほどだ。
安倍川餅、からみ餅とも1人前700円。みやげ用安倍川餅は2人前1400円~。
田尻屋総本家
静岡県静岡市葵区新通1丁目3−2
054-253-0740
10時00分~17時00分
静岡といえば、安倍川餅に並ぶ名物といえば、わさび漬けだろう。
静岡の観光協会でも、わさび漬けを作っているメーカーの全貌を把握しきれないほどの数あるらしい。
ホビーショーで合流した静岡県在住の提督に、
ここのを食べたら、よそのわさび漬けは食べられない。
田丸屋が有名だけど、そこじゃないんだ!
と言われて案内してもらったのが、田尻屋総本家であった。
なんでも、わさび漬けの発祥は、江戸時代の宝暦年間(1751年~1763年)で。
駿河国の商人であった田尻屋利助が、現在の静岡市葵区有東木に伝わるワサビの茎の糠漬けを元に考案し、売り出したのが始まりとされているそうである。
つまり、宝暦3年創業で、元祖をうたう田尻屋こそ、まさにわさび漬けを最初に売り出した店という事になる。
よく宣伝上手な新参の店が、たくさんの種類のバリエーション豊かな商品を販売したり、大きく立派な店に改装したり、宣伝をしまくって有名になってしまったりして、元祖の店がこじんまりとして、知られざる店と化しているのはよく見かけるが、田尻屋も静岡駅から少し離れた所にあって、寂れた観光地の売れない土産物屋のごとき外観をし、同じように時代を感じさせる看板には元祖、本家、総本店とあるのが面白い。
店内に入ると、わさび漬けを漬けるのに使うであろう大きなわさび色の樽が鎮座ましましており、老舗の風格を醸し出している。
他にも賞状などが飾られていて、長い歴史を持つ老舗なのだと感じさせる。
よくある事だが、メイン以外にもたくさんの商品があって、店内を埋め尽くすくらいに値札が貼り付くされていたりするのを見かけるが、田尻屋ではまったくそれらを見かけない。
というのも、田尻屋では、わさび漬けの他には、わずかに茶漬けやふりかけや醤油漬けなどがあるのみで。
わさび漬けはパック、樽、缶と入れる容器と重量の違いしかない。
値段も三百円から二千円までと安い。
私が買ったのはパックのであったけれど、パッケージには富士山を背景に、江戸時代の田尻屋と東海道を行き交う人々が背景に描かれており、大きく元祖わさび漬けと書かれ、これまた大きくわさびが描かれている。
開けてみると、白いクリーム状の酒粕の中に細かく刻まれたわさびが入っている。
食べてみると酒粕はねっとりとクリーム状の滑らかな味わいで一瞬、ほのかに甘いが、強く主張するわけではなく、すぐに辛味が来る。
刻まれたわさびは繊維質が生きているかのようで、噛み締めるとジャキジャキしていて心地よい。
そうしているうちに爽やかだが強烈なわさびの辛味がツーンと口いっぱいに広がり、鼻から消えていく。
これまで、わさびにはあまり興味が無かった私だけれども、田尻屋のわさび漬けを食べてみたら、まるで他のものと違っていて、確かに他のものは食べられないと思ったものだ。
やはり、老舗の逸品なのだ。
ところで改めて買い求めに行ったら、10時開店であったのにも関わらず、11時二十分頃にたどり着いたら、すでに完売していた。
昔は15時であっても買えていたのに、いやはや、人気は凄いものである。
ネットで要予約とあったから、私はあらかじめ予約してあったから買えたが、予約していなければ無駄足を踏んでいたかもしれない。
もし購入しようという方は気をつけて頂きたい。