パイロットログ   作:pilot

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人でなし
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私はこれからこうやって記録をつけたいと思う。

日々何もかも、どのような記憶であっても忘れる可能性のある我々の、ささやかな抵抗として。

はじめは私の所属について話をしたいな。

 

私の所属する組織というのは、ARES師団。

IMC側だ。

間違っても、再生直後にボケた頭でSRSに再就職するんじゃない。

戦争の先を見据えた組織はこの他にないのだ。

その場の欲求を満たすために暴れるミリシア、何も考えず、敵味方の区別をかなぐり捨て、ただひたすら兵力を浪費する残留艦隊。

あれらとは違う。

私たちは人類の進化を助けているのだ。

人間の明日を。

それを、人間ではない私たちがやるのだ。

 

ARES師団の中でもグループのようなものは存在する。

そもそも、一般的な歩兵と私たちで大きく別れている。

私たちは尋常ではなく待遇のいい契約社員のようなものだ。

正規雇用の歩兵とは少し違う。

人によって、金だけでミリシア側についたり、IMC側についたり、あるいは面白半分で様々な勢力を渡り歩いたりしている傭兵もいる。

傭兵は信用が重要だと言われるが、それはパイロットの圧倒的な強さの前では二の次だ。

ある種傭兵とも言えぬ、新たな職なのかもしれない。

 

私がよく入り浸っているグループは、そんな華々しいパイロットらしからぬものである。

三人ほどだ。

それだけしかいない、寂れているグループだ。

皆、なんともなく人付き合いが苦手だから、ここにいるのだ。

私はそこまで苦手なつもりではないのだが、それでも普通のパイロットと話すよりここの奴等と話すほうが楽でいいと思う。

 

特別な装備?もちろんない。

強いタイタン?せいぜいイージスタイタンが支給されれば嬉しい程度だろう。

あらゆる人を惹き付ける人望?パイロット間にそんなものを期待するな。

私たちにあるのはただひたすらに殺し尽くす力のみだ。

だれかを救ったり、英雄になれる望みがあるわけではない。

かりに私が一人でミリシアを壊滅させ、その後死んだとしよう。

英雄か?

いいや、違う。

答えはこうだ。

損失、パイロットが1。

その程度だ、英雄になれるはずもない。

どうして同じ人殺しなのに、彼らは称賛されるのだ。

馬鹿げている。

美しい人殺しなど存在しない。

つまりは人殺しに貴賤などない。

気高い一騎討ちだろうが、一方的な蹂躙だろうが、殺しているのには変わらないだろう。

どうして、どうして人を殺すことを善、悪と分けられようか。

傲慢だ。

酷く傲慢だ。

そうわかっているのに、私は英雄に憧れている。

ああ、歩兵を捻り潰して、パイロットを肉片に変える、それだけで英雄になれればなぁ。

私にはきっと、人間性が足りないのだろう。

つまらない。

人間主体の社会だからしょうがないのだが、私たちに対する風当たりは強い。

ミリシアがそうだ。

一時的な解決にしかならん人道に絆されている。

そもそもフロンティアに存在する人間など荒くれ者だらけではないか。

IMCの退役軍人が初期開発した後、地球の貧困層やらなんやらがフロンティアへと逃げてきている。

まともな教育も受けておらんやつが、今のフロンティアを担っている。

あれらは、少し煽られればすぐに爆弾を抱えて戦場へ赴く。

その程度なのだ。

賢いはずのSRSがまもる対象としている市民の大半など、その程度でしかないのだ。

 

話がずれた。

とにかく私はミリシアが嫌だ。

だから絶対にARESから離れるな、未来の私よ。

過去の私を殺さないでくれ。

 

 

 

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