パイロットログ   作:pilot

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とあるマルチパイロットのログ
こういった場で投稿するのは初めてです。
拙い作品ですが、見ていただけると幸いですね。


ログ1

無味乾燥な、とてもつまらない宇宙を私はとんでいた。

どこまでも続くように思えるこの宇宙は、しかし我々の手によって開拓され、そして戦火に包まれていた。

IMCとフロンティアの開拓者たちの摩擦はもはや止まらない。彼らの争いは犠牲なくして失くならないのは誰の目にみても明らかだろう。

しかしフロンティアの開拓者は、感情と義憤のみで行動し、IMCの間抜けな残留艦隊は欲望と中身の伴わない命令で動いている。誰も、確固たる意思をもって戦争を終わらせようとはしていないし、それが戦争の本質であるのは人類史からみても明らかだ。

 

だが、我々は違う。IMCの中でも聡明な、いや人類史においても聡明な方に入るであろう我が司令官マーダー大将は、強固な理論と、そして機械にはない意思をもっている。

我々は歩みを止めてはならないし、人類は進み続けなければならない。犠牲は少ない方がいいが、犠牲をゼロにすることは戦争をはじめないことだし、始まってしまったなら死を疎む方が更なる死を呼ぶ。

...なにより、その程度のことで止まってしまうのは、今までの犠牲を無駄にし、踏みにじることになる。

...また一方的な蹂躙の支度を始めなければならない。

勝って、勝って、勝って、勝ち続け、私は...我々はフロンティアにおける、いや全宇宙における人類を進歩させねばならないのだ。

 

義体のキャリブレーションと、冗長な考え事は、ワープ航行の衝撃により中断された。

 

 

私は、敵を迎え撃つよりも、情けないことに逃げる背中を無慈悲に撃ち抜くほうが得意なようだ。

ミリシアの兵士が命乞いをしている。可哀想に、家族のために戦っているのだという。だが、殺した。

ある若い男は、戦い以外のことをしらず、賊どもに無理やり戦場に送り出されたらしい。だが、そいつも殺した。

気高き理想を持った、素晴らしいパイロットもいた。

とても強く、一対一ならば相応に戦えただろうが、それ以上の人員と戦力で囲んで、殺した。

キル、キル、キル。

HUDに情報が雪崩れ込む。何人殺した、だとかどれだけ兵器を壊した、だとか、そんな情報が。

命を数字に変えていく。敵の努力を、我々の栄光に変換する作業。

彼らは再生すらできないんだろうな。

私はそれでも、止まらない、止めれない、止まれない。

今や私には名前も体もない。義体すら、破壊される度に製造番号がコロコロかわる。

そんな物質的な自己連続性からドロップアウトした私を唯一私足らしめているのは、この残酷で、しかし理想へと真っ直ぐ歩むこの思想のみだ。この思想を変えるというのはつまり、今までの私が犠牲にしたものを無駄にする、そして、それ以前の私の死と、気持ち悪い私のようで私ではない何かが誕生するということなのだ。

だから私は、肉体的且つ物質的な死は厭わない。

物質そのものの私がただ一つ信じることができたのは、奇しくも真反対の、精神的なものだった。

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