パイロットログ   作:pilot

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ログ3

走馬灯はご存知だろうか。

死ぬ間際に見ると言う、それだ。

だがあいにく私は日に何度も何度も死んではいるが、いまだかつてそのようなものを見たことがない。

見るものがないのであろうか。

 

そんな記憶や人間性を捨てた私にも、いくつかの忘れられないもの、というのは存在する。

ARESの理想を追求するという決意、思考、そして、一つの記憶。

 

それは、いつのことかすらわからないもの。

女性、なのかもしれない。

装備回りを見る限りはそうだ。

女性の、戦術はグラップル仕様パイロットスーツを着ていたはずだ。

 

私にはそれを覚えている、ということはわかる。

だがいつの、どのような時の出来事なのかがわからない。

そしてそれを、忘れてしまうのが恐かった。

理由は全くといっていいほど心当たりがない。

そのようなしようもない風景など、既にいくらでも忘れてきている。

 

そうであるにも関わらず、恐いのだ。

なんだ?

原因は何?

わからない。

わからないが、忘れないことに越したことはないと。

そう思って私はログに残している。

思考するだけでシミュラクラムならば楽に文章化できるのはいいことだ。

機械の体はいい。

生身などよりも、よっぽど。

そうでなければいけないだろう?

 

 

私の所属する部署はやたらと人でなしが多い。

別にそういう特殊な目的で集められたというわけでもない。

ただ類は友を呼ぶ、その諺がすべてを物語っている。

まあパイロットの時点で多かれ少なかれ人でなしなのは否めないが。

シミュラクラムだけでなく、様々な理由でこの部署にくるものは人ではない。

 

私はこの部署の牽引役だ。

腐れ縁のようなもののフェーズシフト義体のパイロットと協力してこの部署の存在感を保ってきた。

とまあ、大袈裟にいってみたはいいものの結局ここにいるのは私とフェーズ義体のやつ、そしてグラップル装備の男性パイロット一人だった。

つまりは、やたらと少ない弱小部署といっても過言ではない。

だがここが存在することができているのは、私たちが捨てるに惜しい高い戦力をもつが、致命的に一般兵士たちと人間的相性が悪く、いわゆる様々な型のコミュ障もちだということが原因である。

 

私と言えば、よく何を考えているかわからないと言われる。

起伏がなさすぎると。

失礼なことだ。

私には感情がないわけではない。

ただひたすら出力方法がないだけだ。

声も聞き取りやすさを重視して発声するよう心がけているので、感情を込める余地がない。

フェーズは対人間コンプレックス持ちだ。

自分よりも人間らしいやつを見ると鬱っぽくなるらしい。

本人談だが。

 

グラップル装備の彼は、典型的な人格破綻者、純粋な意味でのコミュ障で、通常の、見知らぬ味方と混合した編成では仲間内で血を見ることになりそうだからと、私たちのチームに永久預りとなった。

 

面白いチームでしょう?

 

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