神さえも予測できなかった運命を辿る少女の物語   作:~時雨~

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7.目が回った話

『えっと、お2人は誰ですか?』

「僕?は、 コノハ。たぶん。」

「ああ、このツインテールの子はエネちゃんの人間の姿だよ~。」

「エネの時と雰囲気違うな。本名はなんて言うんだ?」

「私は榎本貴音。別にエネでいいわよ。」

 

なんか、エネさんのときとテンションが真逆だなぁ。でも髪型とかはエネさんと結構似ている。

 

「そうだ、急がないとまずい。移動しながら説明するから行こう。」

 

 

●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●

 

 

どうやら、目が冴えるという能力を司る蛇が、私たちの蛇を狙っていて、手に入れる際に、私たちは殺されてしまうらしい。私が思っていた以上に、深刻な状況かもしれない。

 

「前に、冴えるが蛇を集めてメデューサを作ろうとしてたんだけど、また同じことをしようとしてるんだ。蛇を抜かれると死んじゃうからね、僕たち。」

 

初代団長さんと、カノさん、セトさん、キドさんのお父さんは、冴えるに取り付かれていて、冴えるはその人を操ってその人の願いである、みなさんのお母さんに会わせようとしているらしい。それを叶えるためには私たち能力者を殺して、みんなに取り付いている蛇を一つにまとめなきゃいけないらしい。

要するに、殺されてしまうからやっつけよう、ということだ。

 

「全員止まれ!」

 

すると、また、研究者のような人たちが私たちを妨害しにきた。

銃を持ってるけど、私はナイフより銃の方が得意だし、奪えればなんとかなるかも…。

私たちが少し困っていると、いきなりコノハさんが突っ込んでいった。

 

『コノハさん!?』

「カノ、キサラギ、マリー、コノハに続いてくれ!」

 

そう言ってキドさんは私たちの存在感を薄くする。その間にカノさんがあの人達に欺いて化ける。

 

「危ない、後ろだ! ……なーんちゃって。」

「《奪う》!」

「ごめんね…?」

 

モモさんが目線を奪い、マリーさんが目を合わせて固める。いつもの作戦だ。

みんなが話してる間に、一応《逸らし》ておいて銃を奪って隠し持つ。

しかし、まだ敵がいたようで、貴音さんが拘束されてしまった。

 

「はーなーせーー!!…もう!」

 

急に貴音さんがグッタリする。どうやら、電脳ガールモードになると、身体の方の意識が無くなるようだ。そして、能力と銃をうまく使ってあっという間に敵を倒してしまった。

貴音さんも銃使えたんだ…。なんでだろう?敵も一段落したので、聞いてみることにする。

 

『貴音さんは、どうして銃が使えるんですか?』

「あー……、私、銃を撃つゲームやってるのよ。その関係で、ね。」

 

なるほど、ゲームのおかげなのか…。でも、貴音さん少し言いにくそうにしてたな…。もしかしたら、あまり言いたくない事だったのかもしれない。少し、悪いことをしてしまったかも。

なんてやり取りをしている間に随分走ったが、未だ目的地にはついていない。

 

「おいカノ、さっきからずっと走ってるが、本当にここであってるのか?」

「大丈夫だって。ここを曲がったら……あれ?」

 

カノさんが道を間違えたらしく、迷ってしまった。みんなのブーイングがおきるが、カノさんはなにかを思い出したらしい。そして、ヒビヤくんに、能力について話した。

 

「君の力はたぶん、千里眼の力だよ。」

「え、僕!?」

「おお、それ使ったら一発じゃん、早く使ってよ。」

「ええ!? …わ、わかった。……見えろおおお! うおおー!!」

 

うーん、ヒビヤくんは今日能力を手に入れたばっかりだし、使うのは無理な気が…。私だってまだ暴走するし、なかなか使いこなせない。

 

「なんか、これダメな気が…」

「カノ、それは本当なのか?」

「本当だよー、だってそれ見たとき思ったもん。覗きし放題だなーって。」

「女湯…!」

 

それは犯罪……。

そして、怒ったモモさんが2人を殴る。

 

「こんな時に何考えてるの!?」

「み、見えた! 真下に機械がたくさんある部屋がある!」

「おー! そこだよ。」

『でも真下じゃ行く方法が「真下…真下!!」…え?』

 

場所が真下だと聞いたコノハさんが床を壊し、通れるようにした。む、無茶苦茶な……。さっきの行動も見る限り、多分コノハさんはその身体能力の高さと、天然な性格のせいでかなり無鉄砲に行ってしまうタイプのようだ。できればもう少し慎重に動いて欲しいな…。

床を降りた先には、眼鏡をかけた普通の人間のような人が居た。おそらく、この人が冴えるなんだろう。もう、余計なことを考えている暇はないので、しっかり気を引き締める。

 

「よう、久しぶりだな。ちゃんと女王様までいるな。さあ、幕引きだ。」

「あいつが冴えるだよ。」

「これは、ある昔話だ。女王様は友達ができ、幸せを知った。しかしある日、一匹の蛇に友達を皆殺しにされた。女王はまたみんなと過ごしたいと必死に願った……。まだ気づかねえのか? この世界はお前が作ってるんだよ。お前が毎回みんなと出会いたいなんて願わなければこんな悲劇にはならないんだよ。」

 

冴えるが、意味のわからないことを言う。この世界が作り物…?

 

「じゃあなんでその蛇は皆殺しに…?」

「蛇が願いを叶えれば精神は消える。ならどうすればいい?」

「叶えずに、繰り返す…。」

「その通りだ。 そろそろお前も時間切れだ、醒ます。…消えろ。」

 

冴えるがコノハさんを撃ち、乗り移った。

 

「やっぱりこいつの体は最高だな。こんなものがなくても、お前らを殴り殺すことができるからなぁ。」

「コノハくんはどこに…。」

「消えたよ。綺麗さっぱり跡形もなくなぁ…。」

 

危機感を覚えたキドさんは、みんなに離れるよう言うが、すぐに冴えるが近づいてきて、殴り飛ばされてしまう。

 

「お前ッ!?」

 

キドさんが殴り飛ばすのを見たカノさんが突っ込んで行くが、やはりキドさんのように吹っ飛ばされてしまう。感情的になって向かって言ってもダメだ。私は、殺せんせーをいつも見ているおかげで動体視力が少し上がっている。なんとか冴えるの動きを捉え、撃って牽制しないと…!

そして、私の目は、冴えるの隙を捉えた。すぐに銃を手慣れた手つきで構え、冴えるの足を狙う。

 

『当たった! …………グフッ!?』

 

当たった瞬間、冴えるが私の腕に向かって腕を振り、私は殴り飛ばされた。受け身はとれたが、痛みがあり、すぐには動けない。

 

「そうか…お前は銃を扱えるんだったな。だが、足をやられたくらいでは何の影響もないぞ。残念だったなぁ。さあ、フィナーレだ、女王。」

 

マリーさんが絶望したような顔で宙に飛び上がり、みんなから蛇を抜く。聞いていたとおり蛇が抜かれると体から力が抜けて動けなくなり、みんなが倒れていく。

 

「うわああああ!!! いやだ、さよならしたくない…! みんなと過ごしたい! もう一度、もう一度!!!」

 

ああ、冴えるが言っていたのはこういう事だったんだ…。こうやって今まで繰り返してきたんだな…。

しかし、そこでみんながマリーさんに声をかける。

 

「マリー、大丈夫っす。怯えなくても。」

「そうだぞ、マリー。俺たちはずっと一緒だ。」

「そうそう。あいつのいう事なんて、聞いちゃだめだよ。」

『私やヒビヤくんやコノハさんなんて、まだ入団したばっかりじゃないですか…。みんな、一緒ですよ!」

 

みんなの言葉によって、少し止まってくれたみたいだ。ここで、何かアクションを起こさないと…!

そのとき、シンタローさんと赤いマフラーをつけた人が現れた。

 

「シンタローが教えてくれた。私の力は心を伝える、目を掛ける、あったかい力だって。」

「最後の蛇…! 何故ここにいる!?」

「お前に奪われた全ての世界の記憶を思い出したんだ。お前は知らないだろう。ずっと前の俺たちが隠した、マリーに託されたこの力を! 文乃!!」

「大丈夫、全部、伝える!」

 

文乃と呼ばれた赤いマフラーをした少女が、何かをマリーさんに伝え、マリーさんが歯車を回す。そして、火花から光が生まれ、私たちを飲み込んだ。

 

 

●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●

 

 

誰かの声が聞こえる。誰…?

 

「──おい、──! おい、カノン!」

 

どうやら、私は気を失っていたようだ。キドさんが言うに、ここはカゲロウデイズの中らしい。見ると、コノハさんに乗り移る前の冴える…いや、キドさん達のお義父さんがいた。

 

「悪いな、冴える。俺の願いは、もうかなっちまったらしい。」

 

そう、弱った冴えるに告げる。悪いことをしたとはいえ、これから消えてしまうことを考えると、少し心が痛い。

そして、マリーさんが話し出す。

 

「みんなが教えてくれた。世界を嫌っちゃいけないって!ここからの世界は、もう私の空想なんかじゃない。私たちにとって一つだけの、本当の未来!!」

「くそ! 消えたくねえ…願いを、誰か願いを!!」

「……願いならあるみたいだよ。」

 

懇願する冴えるに、コノハさんに少し似た少年が言った。おそらく、元々の醒ますの持ち主、遥さんだろう。

そして、冴えるは地面に沈んでいった。

気がづくとみんな、それぞれがそれぞれの大事な人と話し出していた。そして。

 

「花音。」

『っ!?』

 

急に声をかけられて、そこにいたのは……カルマだった。

 

『カル、マ…。カルマッ!』

「そんなに泣かないでよ。ほら。」

 

無理に決まっている。ずっとカルマに会いたかった。助けたかった。こんなことになってしまって、後悔していた。

 

『泣かないなんて、無理だよ…!だって、カルマに会えたんだもん…!』

「俺も、嬉しい。でも、その前にここの主から話があるみたいだよ?」

 

カルマを含む、今までカゲロウデイズにいた人達は、もう話の内容を知っているようで、みんなが私達を見守っている。

 

「少し、話をさせてくれ。私はアザミ。ここを作ったメデューサだ。全ては家族との永遠を願い、ここを作った私のせいだ。巻き込んでしまい、本当にすまなかった。」

 

アザミさんが頭を下げる。

アザミさんの話はこうだった。蛇が取り付いている人は、蛇が命の代わりとなっているため、ここから出られる。しかし、そうでない人達は普通なら出られない。だから、この出来事の全ての原因を作ったアザミさんが責任をとり、アザミさんの膨大な寿命を渡して全員を脱出させる。

もちろん、みんなは躊躇ったが、アザミさんの目から意志が伝わり、最終的には納得した。

 

Κλείστε αυτόν τον κόσμο(この世界を閉じろ。)

 

アザミさんがそう唱え、カゲロウデイズは永遠に閉ざされることとなった。

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