神さえも予測できなかった運命を辿る少女の物語   作:~時雨~

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20.卒業の時間

渚side

 

「先生、茅野達が…。」

「大丈夫です。この一年、ずっと能力を高めてきましたから。これは、先生が空中で全て集めた茅野さんと梅宮さんの細胞と血液です。」

 

殺せんせーは、バトル中には使わずにとっておいた触手を使って茅野を治すための準備をしていたらしい。集めた細胞と血液を触手で治し、足りない分は先生の粘液と僕らの血で補った。

そして、触手から電気を出し、心臓を動かした。

 

「また、助けてもらっちゃった…。」

「茅野!よかった…。」

 

そして、カルマと花音が倒れている場所へ向かう。花音は足に怪我をしていたが、そこまで大きな怪我はなく、声をかけると目を覚ました。

 

 

●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●

 

 

花音side

 

「花音さん!大丈夫ですか?」

 

一瞬状況がわかなかったが、すぐに思い出した。能力を抑えられなかったこと。柳沢を撃ったこと。カルマに守ってもらったこと。

 

『あ……。ごめんなさい、私……。』

「大事なのは、過ちを繰り返さないこと……。先生は、何度でも助けますよ。」

『カルマも、ごめんね……。』

「……大丈夫。みんな無事だったしね。」

 

すると、みんなが喜んでカエデちゃん、カルマ、私の元へ集まってきた。

 

「無事でよかったー!!」

「もう、あんな無茶しちゃダメだよー!!」

 

……能力の暴走って、あんなに抑えられないものなのか…。コントロール出来ない力は、怖い。改めてそう思った。

すると、突然殺せんせーが倒れた。

 

『殺せんせー!?』

「流石に疲れました……。みなさん、暗殺者が瀕死のターゲットを逃してどうしますか?……殺しどきですよ。」

 

もう、迷っている時間はない。殺さなきゃ、いけないのかな…。

そして、磯貝君が代表して言う。

 

「みんな、手を上げてくれ。先生を、殺したくない奴。」

 

みんなが手をあげる。でも、私は上げなかった。

天に任せるか、私たちで殺すか。そのどちらかなら、殺せんせーは私たちに殺して欲しいんじゃないかな…。

 

「オーケー、じゃあ、殺したい奴。」

 

私が一番最初に手を上げ、みんなも辛そうに後からあげる。

 

「ッ分かった…。」

「みんな、殺せんせーの弱点、覚えてるよね…?」

 

“実は先生、スピードに特化しすぎていて、意外とパワーがないんです。”

 

みんなで押さえれば、動きを止められる。

 

「最後は、誰が…。」

「………みんな、僕にやらせて。」

 

そう言って出てきたのは、渚だった。

 

「この教室じゃ、渚が首席だ。誰も文句はないよ。」

『うん、渚が一番ふさわしいよ。』

 

暗殺の才能を持ち、クラスの危機を何度も救ってくれ、方針の中心に立った。1年の時から渚を見ているけど、この教室で、1番輝いていただろう。

 

「さて、本当は一人一人に挨拶をしたいのですが、それでは時間がいくらあっても足りないので、最後に出欠をとります。」

 

 

「赤羽 業君。」

 

「はい。」

 

 

「磯貝 悠馬君。」

 

「はい。」

 

 

「梅宮 花音さん。」

 

『………はい。』

 

 

この出席の時間が終わって欲しくない。でも、ゆっくりと、止まることなく進んでいく。みんなが、悲しみながら、精一杯の返事をする。

 

「堀部 糸成君。」

 

「はい。」

 

糸成君で最後。もう、時間だ。殺さなくちゃいけない。

渚の手は震えている。やっぱり、殺したくない。でも、私たちの手で殺したら、それが殺せんせーへの恩返しになるのだと思った。

そして、私の手が渚の背中に触れるのと、殺せんせーの触手が渚の首に触れるのはほぼ同時だった。

 

「そんな気持ちで殺してはいけません。落ち着いて、笑顔で。」

『渚、落ち着いて。』

 

私はただ渚に笑いかけた。

 

「………殺せんせー、さようなら。」

「はい、さようなら。」

 

渚は、差し出すようにナイフを刺した。そして、殺せんせーは黄色い光を放つ粒となって空へ飛んでいった。

みんな、泣いている。カルマも、寺坂も、莉桜ちゃんも、私も。

しばらくそのまま時間は流れていき、磯貝君が喋った。

 

「みんな、教室に、戻ろう。」

 

「これって…。」

 

教室に戻ると、みんなの机の上には、恒例のアコーディオンのような本が2冊ずつ置いてあった。それは、卒業アルバムとアドバイスブックだった。

アドバイスブックを開くと、最初は読みやすい漫画で始まる。作り込まれた問題集や、細かすぎるアドバイス……。そんな様子に、みんなうんざりしてきて、涙を忘れて眠ってしまった。

 

 

●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●

 

 

『あれ、全員寝ちゃったんだ…。』

 

もう既に、日も昇っていた。

ふと校庭を見ると、殺せんせーの服がまだ置いてあった。……職員室に持って行こう。

 

『こうやってみると、殺せんせーってデカイなぁ。』

 

殺せんせー、本当に死んじゃったのか。でも、いつまでも悲しんでちゃ、ダメだよね。

気がつくと、隣にカルマが居た。

 

『カルマ。』

「なに?」

『今日は卒業式だね。』

「そうだね。…………教室戻ろっか。」

 

教室に戻ると、何人かは起きていて、それからみんなだんだんと目を覚ました。準備が整うと、烏間先生が来て、話をしてくれた。

 

「この1年、本当にご苦労だった。暫くは注目されて大変だと思うが、出来るだけ君らを守る。だが、先に謝らせてくれ。」

「平気っすよ、烏間先生。俺らも頑張るから。」

「その代わり、希望があるのですが。今日の卒業式には出させてください。」

 

そう。暗殺教室を卒業した私達には、まだ学校全体の卒業が待っている。旅立ち、か……。

 

「全員、起立!!烏間先生、ビッチ先生!本当に色々教えていただき、ありがとうございました!!!」

「「『ありがとうございました!!』」」

 

 

●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●

 

 

卒業式は、市民会館で行われている。そして私は今、笑いを必死にこらえている。理由は……カルマが、カーディガンじゃなくてブレザーを着て、第一ボタンまで閉めて制服を着ているから! 入学式の時はまだ知り合ってなかったから、こんなカルマを見るのは初めて…。

ということは置いておいて、当然だが、私達は他の生徒から、色々な変な目で見られた。しかし、私達は前を向いて座っている。

 

「梅宮 花音!」

『はい!』

 

卒業証書を受け取る。

 

「1年前とは別人のようにいい目をするようになったね。」

『そうですか?殺せんせーのおかげですね……。では、理事長先生、お元気で。』

 

式が終わり、ロビにー出ると、メカクシ団のみんなが居た。

 

「カノン!」

『え、マリーちゃん? キドさんたちも!』

「せっかくの、団員の卒業式だしな。それに、頑張ったと聞いてる。」

 

『ありがとうございます!では、また後で。』

「頑張ってね~!」

 

 

●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●

 

 

五英傑の助けもあり、マスコミを抜けてバスへ乗った私達は、ひとまず学校へ戻った。

賞金の300億円は、速やかに支払われた。

でも私達は、殺せんせーのアドバイスを参考に、学費と将来の一人暮らしの頭金をいただいて、E組の山の敷地をみんなで買って、残りはいろいろなところに寄付をした。そして、残りは国に返還した。烏間先生……あ、もう、先生では無いのか。烏間さんの株が上がるんだろうな。

この一年の象徴だった三日月も、崩壊して来ている。

さようなら、椚ヶ丘中学校。さようなら、3年E組。さようなら……殺せんせー。





とりあえず、1章はこれで終わりです!……6分の1じゃ全然まだまだですね…。
番外編を少し書いてから、2章へ続きます!読んでくださってありがとうございます!
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