「花音、今度開催される大会にはエントリーするの?」
『大会?』
「あれ、知らなかった? パラプラの前だから、それに向けて参加するアイドルもたくさんいるんだよ」
『パラプラ?』
「花音、何も知らないんだね……」
……うん。今の会話で私もそう思った。プリパラなんて、ずっと名前しか知らなかったしなぁ。
パラダイスプライズ、通称パラプラは新人アイドルしか参加できない大会で、1年間で数回開催される大会らしい。そこで優勝するたびに“パラダイスコーデ”という特別なコーデをパーツごとに獲得出来るというシステムだそうだ。
『そっか、新人時代に1度だけか……。じゃあ、出て置いた方がいいのかな』
「ちなみに、私達は出るつもりだよ」
『でも、そういう順位が着くやつはまだやった事ないからなぁ……』
「それこそ今度の大会に参加して感覚を掴めばいいんだよ!」
競い合う場でライブが出来たら、きっと色々学べることもあるだろう。
『うん。じゃあやってみようかな。……でも自信ないや』
「花音はデビューしたばっかりだもんねー。……あ! メイキングドラマ作ったら?」
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レッスン室に移動した私達だったが、ダンスの練習をしている2人を横目に、私はノートを開いていた。
聞けば、大事な勝負がある時に新曲、新メイキングドラマを用意するのはよくある事らしい。そうでなくとも、私はまだオリジナルのメイキングドラマを持っていない。だから、ひとまず私はメイキングドラマの作成に集中することにした。
『と言っても、メイキングドラマってどんな風に作ればいいのかな……』
私がそう呟くと、2人は練習を中断して近寄って来た。
「メイキングドラマは、自分の伝えたい事とか、気持ちを表現するの」
『伝えたい事……』
「思い出とか、体験した事とかで作ることもあるよ!」
今まで見たことがあるもので言うと、かなめちゃんの「フレッシュバナナバスケット」は、かなめちゃんの好きなものとかを表現しているんだろ。そして、りんねちゃんの「はばたけ、レインボーテール」は、多分りんねちゃんの気持ちが込められている。
「あと……アイドルの自分をアピールするものでもあるから、花音らしさも大事だよ」
みんなに伝えたい事。私の思い。最近よく考える事……。
『……うん、なんか作れそうかも』
「おぉー! どんな感じ?」
『それは、大会の時のお楽しみということで!』
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そして、あっという間に大会当日。私達がプリパラに入ろうとすると、ちょうど凛ちゃんと花陽ちゃんも来た所だった。
「凛達も大会でるの?」
「わ、私はちょっと……」
「かよちんがこんな感じだから、凛も出ないよー」
「でも、応援してるよ……!」
花陽ちゃんは、プリパラに行くようになって少し自信がついたみたいだったけど、まだライブをする気は無いらしい。まぁ、プリパラはアイドルをする場所じゃなくて、楽しむ場所でもあるから何も問題はないんだけどね。
みんなで会場へ向かい、しばらく待機していると、司会のめがねぇさんがステージに登場した。
【さて、始まりました。“ソロアイドル スプリングライブ”! 早速、1人目のライブに行きましょう!】
めがねぇさんがそう言うと、現れたのはかなめちゃん。そう、かなめちゃんはトップバッターを引いていたのだ。
かなめちゃんが今日着ているコーデは、いつも通り右と左で天使と悪魔モチーフのものだけど、悪魔の方がゴールドになっていて特別感がある。
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
「♪ねぇ、なぜユメはいつも、追いかけると直ぐ消えるものなのかな? 教えて欲しい。ねぇ、どうしてココロは過去にこだわるの? 今日より明日の自分、信じていたい。ねぇ、涙は必ずいつかは乾く!? Shall We Go?!♪……メイキングドラマ、スイッチオーン! バナナを食べて! 元気ひゃくばーい! フレッシュバナナバスケット!! ……サイリウムチェンジ! ♪空の彼方、飛び出して行こう!♪」
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●
あれから、りんねちゃんや他の人のライブが過ぎて行った。
【今日最後の出演者は、花音さんでーす!】
そして、最後の私の番である。……かなめちゃんがトップバッター、私がトリを偶然にも引いた時は、3人とも驚いて盛り上がった。
気を取り直して、ライブに集中しなくちゃ。初めて作ったメイキングドラマ。みんな、楽しんでくれますように……!
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
『♪おしゃれなあの子マネするより、自分らしさが1番でしょ。ハートの輝き感じたなら、理想探しに出掛けようよ♪メイキングドラマ、スイッチオン! 世界には……こんなに楽しいことがあふれてる! プリパラマジック!』
プリパラもそうだけど……世の中には、私の知らない楽しい事がたくさんあった。こんなに、可愛くて素敵な場所があるなんて、前までは知らなかった。そんな、最近の思いを表現したメイキングドラマだった。
『♪誰だって叶えられる。プリパラ プリパラダイス♪』
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
【いいねが集まり、がんばり研究生にランクアップです!】
歌い終わって会場の裏に戻ると、これから結果発表のため、出演者が集まっていた。
「お疲れ様~!」
『かなめちゃん、りんねちゃんもお疲れ様!』
それにしても、結構ドキドキしたなぁ……。ただ楽しくライブすれば良いという訳では無い分、緊張感が凄かった。
すると、めがねぇさんの声が聞こえて来た。
【それでは、結果発表です! 3位は……久里須かなめさん! 2位は……梅宮花音さん! 1位は……荊りんねさんです!】
結果は、なんと2位。しかも、私達が上位3人となった。
「わー、やったね!」
【……それでは、上位3人はチームを組んでもらいまーす! ステージに上がってください!】
『……え? ど、どういうこと?』
困惑していると、プリパスで何かを確認していたりんねちゃんが、私達に画面を見せてくれた。
「ここ……小さく書いてあった」
「えっと……本当だ!」
『こんな、小さな所に……』
そうしていると、時間も押しているからと、落ち着く間もなくステージへ連れ出されてしまったのだった。