神さえも予測できなかった運命を辿る少女の物語   作:~時雨~

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12.第1回ミステリーパラダイスプライズ

今日はミステリーパラダイスプライズ当日。歌やダンス、コーデの確認などをしていたら、あっという間に1週間たってしまった。

第1回である今日の商品はシューズで、白ベースに黒いレースや、黒い編み上げの柄が付いていて、とても可愛い。でもミスプラは、1回勝ってシューズを手に入れても、2回目に負けるとティアラをゲット出来ない上にシューズも取られてしまうので、最終的に勝たないと意味がない。……というか、だったらトーナメントみたいにして優勝者にコーデ一式を渡せばいいのにと思ってしまう。

それはさておき、そろそろ会場に行かなければいけない時間だ。

 

『じゃあ、会場に行こうか』

 

かなめちゃんとりんねちゃんに声をかけて歩き出そうとすると、後ろから声が聞こえた。

 

「花音ー! かなめー! りんねー!」

 

振り向くと、私達を呼んでいたのは凛ちゃんだった。いつもの2人も後ろに居るようだ。

 

「もうライブ会場に行くの?」

「うん。準備とかもあるからね」

「そっか! 凛達も見に行くね。じゃあ……せーの!」

「「「頑張れ、BLACK☆STARs!!」」」

 

突然声を合わせて応援してもらって驚いてしまった私達は、顔を見合わせて微笑んだ。

 

「ありがとう!」

『頑張るね!』

「楽しみにしてて」

 

そして、3人に見送られてエレベーターに乗った。

 

 

 

●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●

 

 

「始まりました、ミステリーパラダイスプライズ! 司会は私、めが姉ぇが担当します!」

 

そんなアナウンスで、大会は始まった。ペンライトを見る限り、観客はいつもより多いような気がする。周りに待機している、出場チームもとても輝いていて、私にはとても格上に見える。

 

「では、さっそくライブを始めましょう! 最初のチームは……」

 

チーム名が呼ばれると、私達の前に居た3人がステージへ向かった。そして、私達も舞台袖に向かわなくてはいけない。つまり、BLACK☆STARsは2番手なのだ。

 

「1番最初じゃなかったのは良かったけど、やっぱり最初の方は緊張するよねー」

『うん。出来れば中盤から最後の方がいいよね』

 

でも、こればっかりは自分たちにはどうにも出来ないし、精一杯やるしかないか……。と考えていると、1番最初のチームの歌が聞こえて来た。やっぱり上手い。そっとステージを覗いてみたが、ダンスも上手だ。

 

『私達もこのくらいやらなくちゃいけないのか……』

 

だんだん緊張が増してきてしまった。ダメだ、落ち着かないと……。そう思っても落ち着けない。どうしよう、緊張から目を《逸らし》て……いや、2人にばれちゃうかもしれないし、出来ない。どうしたら……。

 

「花音、大丈夫?」

『……! うん……いや、緊張してる』

「やっぱり緊張するよね。でも、私達だって練習頑張って、特にこの1週間は学校の後は即行でプリパラに来たりしてさ。やれることはやった。後は、それを出せるように頑張るだけだよ!」

『……ありがとう』

 

そして、りんねちゃんが付けたした。

 

「それに、今回負けても、最終的に勝てば大丈夫」

『えぇ……。まぁ、それはそうだけど……』

 

弱気に見える発言だが、そんな少し面白い発言を聞いて、更に緊張がほぐれた。

 

『うん。……3人で、出し切ろう!』

 

そういうと、丁度1チーム目が終わったようだ。よし、頑張るぞ……!

 

♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪

 

「「『♪怖がらないで、弱気な僕。明日は未完成だから。♪』」」

 

なんだか、いつもよりも声が揃っている気がする。それに、ダンスのタイミングも、上手くいく。どうしてだろう?

 

「♪苦しさだって未来になる。何もかもこれからだ。♪」

「♪まっすぐな心で、明日は開く。♪」

『♪ぶつかったとしても、夢は見れる。君とどこまでも、広がれる!♪』

 

ランウェイを歩いていると、とても楽しくなってきた。

 

「「『メイキングドラマ、スイッチオーン!』」」

『この虹の先に……何があるの?』

「一緒に行こう!」

「その先を目指す!」

「「『3人ですすむ!レインボーロードトゥ神アイドルー!!サイリウムチェーンジ!♪とびきりの笑顔で、進もう!♪』」」

 

♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪

 

歌い終わると、いつもよりも大きめの歓声が聞こえた。振り向くと、2人ともとても笑顔だった。そして、めが姉ぇが言った。

 

「いいねが集まって、花音さんはちゅうもくのアイドルにランクアップでーす!」

『えっ……やった!』

「ついに花音に追い越されちゃったなぁ……」

 

 

●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●

 

 

その後のチームのライブもどんどん過ぎていき、ついに最後のライブが今終わった。みんなすごかったから、結果がどうなるのかは予想できない。

感想を言い合ったりしてザワザワしている客席が、めが姉ぇの登場で静まる。

 

「それでは、第1回ミステリーパラダイスプライズの優勝者の発表です! 優勝は…………BLACK☆STARsです!!!」

 

……BLACK☆STARs!?

 

「やったー!」

 

信じられない。勝てちゃった。

 

「今日は何か、いつもより上手くいったよね!」

「うん。気持ちが合わさってた」

 

そして、ミステリーパラダイスシューズのプリチケを受け取り、外でお披露目をすることになった。

 

 

●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●

 

 

ミステリーパラダイスシューズを身に着けて屋上に立つと、下には人がたくさんいた。

 

「改めて、今回の優勝者はBLACK☆STARsです。おめでとうございまーす! そして、第2回の日付は、くじ引きで決まりますので、ここから引いてください!」

 

そういって、めが姉ぇはボールの入った箱を差し出してきた。

 

「えっと、誰が引く?」

『うーん、私も運が良いってわけじゃないしなぁ……』

「じゃあ、私が引くね」

 

そういって、かなめちゃんがくじを引いた。数字は……10と12。

 

「ということで、第2回のミステリーパラダイスプライズは、10月12日に決まりました! みなさん、次回もぜひ参加してくださいね! ……それと、今回優勝したチームには、次回も同じチームで出てもらう決まりになっているので、BLACK☆STARsはそのまま参加でーす!」

 

次は10月……。4ヶ月も先だと、出来ることは色々ありそうだな……。

そうしてお披露目は終わり、下に降りると、凛ちゃん達が待っていてくれていた。

 

「お疲れさまにゃー!」

「優勝おめでとう!」

『ありがとう!』

 

門限のこともあるので、もうそろそろ帰ろうと歩き出そうとすると、突然たくさんの人が寄って来た。

 

「花音ちゃん! パキろう!」

「りんねさん! 私、ファンになっちゃいました!」

 

などと、言っている人がたくさんいる。これは、ミスプラの効果か……。そうして、しばらくの間私達は、そういった人達の相手で忙しくなってしまうのであった。


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