8月に入ってしばらくしたある日。パラ宿のプリパラは、いつも以上に賑わっていた。その理由は、ひびきさん、ファルル、ふわりのチーム結成が大々的に発表され、今日がその結成式が行われる日だからだ。普段は、海外であるプリパリをメインに各地を移動して活躍しているひびきさん達が、しばらくこのパラ宿に留まり、そろそろ開催される、第3回神アイドルグランプリに出場するというのだから、世界中で話題になっている。イベントの終了する日と、第3回神アイドルグランプリの日は同じなので、私達も見に行くことが出来るだろう。
そんな私達は今……何故か、トップアイドル達に囲まれている。
「友達嫌いだったまほちゃんも、ついに友達を認めたんだね~」
「誓いの言葉は、友達を認めていないと言えないぷり!」
「言えるのかなー? 言えなかったりしてー」
「……言える」
ドロシーちゃんとみれぃちゃんは、ひびきさんのことを煽っていて、その周りでは、前に会ったそらみスマイルのらぁらちゃん、そふぃちゃん。前に紹介してもらった、ファルルちゃん、ふわりちゃん。この前会ったドレッシングパフェのレオナちゃん(くん?)、シオンちゃん。そして、まだ面識はないが、第2回神アイドルグランプリで優勝したらしい、ガァルマゲドンというチームの3人。という、凄いアイドル達がそれぞれ談笑していた。
私達は、チーム結成式の前に来るように言われ、緊張しつつ指定された場所に来た。すると、このようなトップアイドル達の集まりだった、ということだ。
「あれ? 知らない人なの!」
と、この場で唯一知らないグループの1人が声をかけてきた。
「誰ガァル?」
そのうちの1人は、黒いファルルちゃんのちっちゃいバージョン、みたいな姿だ。
そして、私達は、今パラ宿に来ている理由や、ひびきさんと知り合いであることなどを説明し、自己紹介をした。
「ふむ、あいつと知り合いであったか。我は、黒須あろま。よろしくデビッ」
「私は白玉みかんなの! よろしくなの!」
「ガァルル、ガァル!」
自己紹介を聞いていると、あろまちゃんは悪魔アイドル、みかんちゃんは天使アイドル、ガァルルちゃんは怪獣アイドル、というキャラの濃いチームだった。ちなみに、ガァルルちゃんはボーカルドールで、ファルルちゃんとは違ってアイドル達の負の感情から生まれた存在らしい。
そうして過ごしていると、色んな人達と話していたひびきさんがこちらにやってきた。
「やあ。少し待たせてしまったね」
『大丈夫です。あの子達とお話していたので』
その後、私達に気が付いたみんなと、楽しく話をしながら過ごし、しばらくした後、めが姉ぇとめが兄ぃが部屋にやってきた。
「お待たせしました。みなさん、結成式の準備が整いましたー!」
「特別な舞台を用意しましたので、こちらへ。」
そうしてひびきさん達はステージの裏へ案内され、私達はみんなで客席へと向かった。
●○●^・ω・^●○●^・ω・^●○●
「ただいまより、ひびきさん、ふわりさん、ファルルさんのチーム結成式を執り行います。」
めが兄ぃがそう言って、チーム結成式が始まった。
「なお、この放送は全世界に同時中継されています」
「それでは、立ち会いマネージャーのトリコさん、こちらへどうぞ!」
すると、青い鳥のマスコットが飛んできた。あの鳥が、ひびきさん達のマネージャーになるんだな……。
「で、では、チーム結成の誓いの儀式を始めるト、トリー!」
「では、チーム名の発表をお願いします」
「それぞれ違った3人のチーム、Tricolorだよ!」
「みんなー、気に入ってくれた?」
トリコロール。フランスとかの、3色の旗を指す言葉だ。3人とも違うけど、1つのチーム。良い名前だな……。
「では、いよいよチーム結成式に入ります。トリコさんお願いします」
「Tricolorのひびき、ふわり、ファルル。1歩前へ!」
と、マネージャーさんは3人のプリチケを2枚ずつ渡した。そして、その後はめが姉ぇが進行して行った。
「では、チームリーダーのひびきさんから宣誓の言葉をどうぞ!」
「プロミス…………」
ひびきさんが、言葉を詰まらせた。なかなか、次の言葉を言わない。どうしたんだろう?
そして、らぁらちゃんがステージに向かって叫んだ。
「“プロミス、友情を信じて”だよー!」
「そのくらい知っている! ……ただ、この時間を噛み締めていたのさ」
ひびきさんがそういうと、歓声が沸き起こった。……ひびきさんなら、何をやってもキャーキャー言われそうだけど。
「では、どうぞ」
「プロミス…………僕だけを信じて!!」
かっこいい……けど、正しくはない。本当に、ひびきさんどうしたんだろう??
そして、めが兄ぃさんが注意した。
「誤魔化されませんよ。今、あなたは“友情”と入っていませんでした」
「みんなこれだけ喜んでいるのだからいいじゃないか。それに、君はアイドルの味方なのだろう?」
「それとこれとは別です」
それはそうと、めが兄ぃさんとひびきさんの間は、何だかピリピリした空気が流れている気がする。
すると、ファルルちゃんが心配そうに口を開いた。
「チームになるの、嫌?」
「まさか。──プロミス…………意味は約束!」
「……認められません」
「……めが兄ぃ。あの時の鳥の餌、食ったのか?」
「ハッ……。ま、毎日ではありません……。」
なんだか、2人の間で静かな戦いが起こっているみたいだ。
「ちなみにこの後、次の結成式の予定があるので、次言えないと時間切れになりまーす!」
と、めが姉ぇさんが突然言った。時間に限りがあるなら、最初から言ってよ……と思った。
とにかく、事情は分からないけど、ひびきさん頑張って……!
「なんだと? 分かった、言えばいいんだろ? 大丈夫だ。──プロミス。……………。」
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会場を後にし、さっきみんなで集まっていた部屋に戻ってきた。結局、あの後、ひびきさんは“友情を信じて”を言えなかった。
「グランプリには出たい?」
「出たい」
「じゃあ、言えるよね?」
「嫌だ」
少し向こうでは、3人が話している。
「任せてって言ったわ!」
「あの時は言えると思ったんだ」
うーん、大丈夫かな……?
『ひびきさん、どうしたのかな?』
「分からない……。あ、でも、ひびきさんの話は、こんなのがあるよ」
そう言って、かなめちゃんは去年、このパラ宿のプリパラであったということを教えてくれた。
去年のここでは、夏、秋、冬、春にそれぞれ5人チームのグランプリを行い、最終的には“夏のプリンセス”、“秋のプリンセス”、“冬のプリンセス”、“春のプリンセス”、そして“四季のプリンセス”がパレードを行うというものが1年かけて開催されていた。そして、そのプリンセス達が5つの鐘を同時に鳴らした時、願いが叶う、ということもあり、参加する人は多かった。しかし、ひびきさんがある時突然デビューし、悪く言えば掻き乱し、良くいえば革命を起こした。具体的には、プリパラのサービスを良くしてセレパラと改め、トップクラス以下のアイドルがライブする事が出来なくなった。友達が否定され、“格差歓迎、みんなライバル、セレブだけアイドル”とも掲げられたらしい。結局、春のグランプリではひびきさん含む天才チームは、ひびきさんが否定した努力のチームに破れ、セレパラは終わったというが、そのセレパラは賛否両論だったという。
ひびきさんは、革命を起こしたセレパラで何をしたかったのか。天才チームと努力チームの間で、裏で何があったのか。あまり広くは知られてはいないが、何か大きなことはあった、ということは知られているらしい。
その話を聞いて、少しだけ分かった気がした。いつも、ひびきさんが天才を好み、努力を無駄だと考えていること。セレパラでは、友達が否定されていたこと。ひびきさんは、天才だけが完璧であり続けるプリパラを望んでいるのかもしれない。……この間の、姫石さんの言っていたことと、似通う部分もあるかもしれない。
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結局ひびきさんは、先に、神アイドルグランプリに参加する資格である“スーパーサイリウムコーデ”を手に入れるため、ふわりちゃんとペアライブをすると決め、今は2人の出番を待っているところだ。
「ひびきさんとふわりちゃんの2人のライブか……。どんな感じのライブなんだろうね?」
『2人の曲でもあるのかな?』
そして、2人の出番がやってきた。ステージの使用は、前に見たふわりちゃんのソロライブと同じ仕様だ。
「こんにちは~! 今日は、ひびきさんと一緒に歌います! 聞いてください、コノウタトマレイヒ!」
え、あの、カントリーっぽいナチュラルな曲を、ひびきさんと一緒に歌うの? あの曲は、なんか、ふわりちゃんだからこそ仕上がってるような感じがするんだけど……。
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
「♪新しい今日がきたよ。おは〜よ! れいひ、さぁ起きて。丘の上で、森の奥で、深呼吸すはすはふ〜♪」
「♪モヤモヤイヤな事ポイっとね。杉の木てっぺんに干してさよなら!♪」
ひびきさんのパートになったが、思ったより違和感がない。というか、普通に良い。流石、ひびきさんって感じだな……。
「「♪わくわ、わくわ、わくわく。湧くよ、生きる力。しわわ、しわわ、幸せ。♪」」
「♪ふわりほっほっほっ~♪」
「「メイキングドラマ、スイッチオーン! 不思議の泉の、オーケストラ! サイリウムチェーンジ! ♪この歌、とまれれいひ♪」」
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
すると、突然周りの景色が変わった。
「さぁ、神アイドルのステージへ。神チャレンジライブ、スイッチオーン!」
あれが、神アイドルグランプリを取り仕切る、プリパラの女神、ジュリィ……。ってことは、これでスーパーサイリウムコーデが手に入るんだ。
あれ?ステージにいるのは……ふわりちゃんだけ?
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
「♪神アイドルだって、なってみせるよ! Get dance! プリパラ、今日はもっとDance! 輝くよ、胸のRainbow。トキメキのNeverland♪」
♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪
元の場所に戻って来たが、スーパーサイリウムのプリチケを手にしていたのは、ふわりちゃんだけだった。