超越頭脳と花姫のヒーローアカデミア   作:ツメナシカワウソ

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アンケートの結果『もうこのままで』が一番多かったのでそうしたいと思います。チートじゃチートじゃあ。


第9話『魔神降臨(アドヴェント・イヴィルゴッド)』

「突然だが今回の授業、俺・オールマイト・ブレイナとあと一人の四人体制で行うことになった」

 

マスコミによる雄英高校侵入事件から一夜明け、午後の授業であるヒーロー基礎学の授業で異例の体制が発表される。

 

「やっぱ昨日のアレと関係してんのかな?」

 

「私見たけど、なんか朝にいたテレビの人達みたいだったよ?」

 

「やめとけ。その話題はブレイナ先生がキレる」

 

生徒達が話をしている間に、今回使うという施設に向かうバスが敷地内に止まる。鋭華はバスに乗る前に個性を発動し、何も異常が無いか確認してから乗った。無論、全てのバスにだ。

 

(妨害工作は無し、か)

 

そう結論を出すと、相澤に報告がてら忠告をしに行く。

 

「相澤君」

 

「なんださt・・・紛らわしいな」

 

「高校時代のように、鋭華で構わないよ」

 

「・・・で?何の用だ?」

 

「一つ目はいいニュースだ。ここに止まっていた全てのバスを調べたが、不審な物は一つもない。二つ目はその逆で、昨日侵入したヴィランらしき男が今日のカリキュラムを見ていた。・・・後はわかると思うが、どうする?」

 

「・・・予定は決行だ。だが生徒達にもしものことがあった場合、確実にそちらの安全確保を優先する」

 

そこまで話し合ったタイミングで、バスは発車した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ姫花ちゃん。私って思ったことを何でも言っちゃうの」

 

「?どうしたの梅雨おねーちゃん?」

 

バスが発車して数分後。猫背気味の蛙のような顔の生徒・・・蛙吹 梅雨が姫花に話しかける。

 

「貴女の個性って、ハッキリ言って歪だわ」

 

その言葉は、例え悪気がないとしても、姫花の心に未だ空いている傷口を更に抉るようなものだった。

 

「・・・姫花ちゃん?」

 

姫花の異変に気付き、お茶子が後ろから背中をつつくも、なんの反応もない。そして彼女達は、いつぞやのオールマイトが見た『無』を見てしまった。

 

「あ・・・ごめんなさい姫花ちゃん。その、貴女が傷付くとは思わなくて」

 

「ううん?梅雨おねーちゃんは悪くないよ?」

 

なんとか表情を取り戻した姫花が梅雨を慰めようとするも、その頭に咲いた花には蝕むような黒が残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスに揺られて十数分。生徒達が到着したのは、テーマパークのような外観の施設だった。

 

「すっげー!」

 

「USJかよ!」

 

それぞれ盛り上がる中、相澤がいつも通りその雰囲気を正す。

 

「全員おとなしくついてこい。今日お前らの授業を見てくれるヒーローを紹介する」

 

そう言った相澤の後ろから現れたのは、宇宙服のようなヒーロースーツを身に纏った、ある種異形の者だった。

 

「どうも皆さん!スペースヒーロー、13号です!」

 

「わぁ〜!13号先生や〜!私好きです!」

 

「ど、どうも・・・!」

 

お茶子の突然の言葉に若干戸惑うも、彼(?)は授業を開始する。

 

「此処は僕の作った火事、水難、なんでもゴザレの救助訓練演習場・・・その名も、『ウソの災害や事故ルーム(USJ)』です!」

 

(((USJ!?)))

 

生徒達の反応も見て若干吹き出しそうになるも、いつものことなので御構い無しに説明を続ける。

 

「え〜それでは、演習を行う前に小言を1つ、2つ・・・」

 

(((増えとる)))

 

「では最初に・・・僕の個性は『ブラックホール』。指から吸い込んだものをなんでもチリにしてしまいます。でも、それは人間にも使えてしまいますし、一度でもチリにしてしまったものは元に戻りません。ですから、僕は個性を人を助ける為にあると心得ています。皆さんの中にもそういう強力過ぎる力を持った人がいるかもしれませんが、その力を決して人を傷つける力に使ってはいけません。では、小言も終わりましたし、そろそろ・・・」

 

演習開始です。そう13号が言おうとした時だった。突如として、黒いモヤのようなものが一帯に広がり、その中からぞろぞろと不審者が現れる。

 

「全員一塊になって動くな!アレは・・・ヴィランだ!」

 

相澤の発する緊急事態宣言に戸惑う生徒達。しかし、時はその事実を認めさせる程悠長には待ってくれない。

 

「13号にイレイザーヘッドですか・・・予定ではオールマイトがここに居るはずなのですが・・・」

 

先程の黒いモヤのようなものを展開した男・・・黒霧が病的に痩せた男の元へ戻る。

 

「ふざっけんなよ。なんの為に大衆引き連れて来たんだよ。ムカつくなぁ・・・でも教師だからなぁ・・・」

 

病的に痩せた男・・・死柄木(しがらき) 弔(とむら)が次に発したのは、常軌を逸した言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「子供を殺せば来るのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ・・・13号!生徒達を引き連れ避難開始!学校に連絡を!」

 

「それなら既に私がしておいた。ジャミングが施されていたが、あんなものそこら辺のクズ同然さ。時間はかかるが、手の空いてる教師を寄越すそうだ」

 

そう話をしている間にも飯田が主体となり、避難は開始される。そして、出口手前の所まで来て、それは起こった。

 

「させませんよ」

 

黒霧がワープゲートを展開し、生徒達を引きずりこむ。そして、あろうことか全員がバラバラの位置に転送されてしまった。

 

「子供とはいえ雄英生。いわば金の卵達です。油断は出来ませんね・・・はじめまして。我々はヴィラン連合。此度の侵入においては、かの平和の象徴に生き絶えて頂きたいと思ったが所以でして・・・皆さんにはその為の、生贄となって頂k」

 

グサリ。

 

「・・・」

 

空間に咲いた花が刃物を出し、それが容赦なく黒霧に打ち込まれる。

 

「・・・は?」

 

場に訪れる沈黙。しかし、直ぐにそれは打ち破られる。否、掻き消される。響き渡るチェーンソーの鈍い起動音によって。

 

「ぐっ・・・油断、し過ぎたようですね・・・」

 

既に黒霧の身体の一部は切断されており、痛みで立つこともままならない。姫花はソレを、何も映さない目で見た。そして、今まさに回転する刃が無慈悲に身体を引き裂こうとしている瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やってしまった。

 

「ハハッ。ざまあねえな女。この死柄木 弔の個性で死ねたことを精々誇りに思え」

 

姫花の身体が、弔の五本の指で触れた瞬間、徐々に崩壊を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フ・・・フフフ・・・ククククク・・・」

 

 

 

鋭華は怒り狂い、笑い始める。

 

「どうした?気が狂ったかそこのおn」

 

瞬間、その声を発した者が死亡する。

 

「・・・は?」

 

驚きを隠せない弔。

 

「オイ黒霧。アレ出しとけ」

 

「し、しかし、あの力の前では役に立たない可能性も・・・」

 

「いいから」

 

「わかりました」

 

黒霧はワープゲートを展開する。その先から現れたのは、脳が露出した、筋骨隆々の異形の怪物・・・だったモノだ。黒霧がワープゲートを展開した先で、既に死んでいた。

 

「はあ!?何やってんだよ黒霧!なんでたかだか女一人に勝てな・・・」

 

弔の前に、怒りで我を忘れた鋭華が立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ネ」

 

 

 

 

 

 

 

弔が聞いた言葉は、それで最後となった。そこから先はもう文字通り地獄だった。何千何万という斬撃が行われ、銃撃が行われ、打撃が行われ、焼死、毒死、失血死、病死・・・あろとあらゆる死を与えられた。

 

「オイ鋭華!それ以上やったらお前・・・」

 

 

 

「黙ッテ見テイロ」

 

 

蹂躙が、開始される。完膚なきまでの。美しいとさえ感じさせる程の。希望を抱くことさえ許さず。破壊と殺戮の限りを尽くす『魔神』を呼び起こしてしまった者達は、その人間では到底知り難いその力の底のほんの一端を、自らの身体で味わった。当然ながら施設は崩壊し、生徒や教師陣は辛うじて逃げられたものの、ヴィラン連合と名乗った無礼極まりない集団は、結成して僅か2日で壊滅した。それだけでは『魔神』の怒りは収まらず、関与したものを末代に当たるまで苦痛に満ちた人生に変え、死に絶えるまでを恐怖で彩られた世界に変えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全てが終わり、鋭華は愛する娘の亡骸を見つける。

 

「・・・」

 

黙って手をその亡骸にかざすと、それは瞬く間に死ぬ前の状態に戻り、息を吹き返す。

 

「もう大丈夫だよ。私の可愛い姫花。私が来た」

 

そこにはつい先程まで悍ましい所業をやってのけていた『魔神』の姿はなく、ただ子の身を案じる母親の姿があった。




オールマイト「私は?」
鋭華「おせえわ末代まで呪うぞ」
オールマイト「すみませんでした」

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