超越頭脳と花姫のヒーローアカデミア   作:ツメナシカワウソ

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前回猛威を振るった鋭華が更に強くなってしまうようです。あと娘も強く(?)なるようです。


幕間『聡 鋭華:オリジン』

日本の何処か。個性研究所跡。数年前にヒーロー達がそこで行われていた非道な研究を知り、潰した場所に、鋭華は立っていた。その理由は、単純に個性を使いたかったから。そして、現在どこまで個性を解放出来るのかという実験の意味合いも強い。

 

「・・・さて、やるか」

 

その言葉と共に彼女は、個性を解放し始める。

 

「200%」

 

彼女に不死性が宿る。

 

「900%」

 

彼女に時空を歪める力が宿る。

 

「2000%」

 

彼女に『無』から『有』を作る力が宿る。

 

「10000」

 

彼女に敵う者がいなくなる。

 

「20000」

 

最早自分でも自分が何者なのかわからなくなる。

 

「90000」

 

やがて、近くの瓦礫が音をたてて崩壊したことに気付き、充分に解き放つことの出来なかった力を即刻排除する。

 

「ハァ・・・やはり20000%以下はコントロール出来るようになったとはいえ、それ以上は危険だな」

 

誰に言うでもなく、鋭華は話す。そしてそこらをふらふら歩いていると、紙切れが風に流されて飛んでくる。

 

「・・・」

 

不思議に思い、取ってみると、そこには自らの娘である姫花の写真が載っていた。どうやら研究所が機能していた頃の報告書が残っていたようだ。それを見て、鋭華は思い出す。姫花や生き残った子供達を拾った時のことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校を卒業して周りの者が本格的にヒーローとしてやっていくと張り切っている中、鋭華だけがヒーローとは別の道を歩んでいた。そもそも鋭華が雄英高校ヒーロー科を受けたのは、学力偏差値79というのがどんなものか試したかったのと、ヒーロー免許を取って個性を自由に使いたかったためであり、周りの人間のように人を助けるとかいう綺麗事を語らなかった。今度は自分の興味のあるものをいくらでも調べる為だけに研究者になった。その研究内容は、『個性因子の操作』であった。今や総人口の約8割が何らかの超常能力である“個性”を持っている時代に、その力の源である個性因子の操作が可能になれば、自分の制御しきれない個性をなんとかできるかもしれないと考えた為だ。結果は成功。彼女は個性を封印し、段階的に解放するという現在の発動方法にすることが出来た。その偉大なる叡智が、制御可能なものになったのだ。そこで現れたのが、『個性研究所』の職員達だ。彼らは鋭華を執拗に勧誘し、研究所の施設内に入ってきたところを拘束し、およそ3年もの間、その個性因子の操作についての研究成果を悪用され続けた。だが、それはいつまでも続かなかった。ある日、鋭華は強化ガラス越しに、頭の上からコサージュのように花を咲かせた少女を見た。

 

ーーー娘だと思った。

 

あまりにも突拍子もない話だ。しかし彼女は、魅了されていた。その目に。顔に。身体に。心に。聞けば、その少女には名前もなく、碌な教育も受けることなく、実験材料として使ってきたという。そして今日の実験で精神が崩壊し、明日には殺処分となるという。

 

ーーー純粋無垢だ。少女は何者の影響も受けない状態にある。鋭華は純粋無垢というものがどんなものか見てみたいとずっと思ってきた。それが目の前にあったのだ。しかし、それを見ることが出来たのに、相反する感情が生まれる。

 

ーーー汚してやりたい。何も知らない少女を、自分の色で染め上げてやりたい。その何も映さない目も。何も感じなくなった身体も。何も考えない頭も。ついでに言うなら、別の子供も欲しい。自分がいなくなった時の遊び相手として。

鋭華はそう思ったが、直ぐには行動を起こさなかった。ここはヒーロー達に手柄を譲ってやろうと思ったのだ。だから彼女は個性研究所のありとあらゆる非人道的所業や、所属している全ての研究員の個人情報、位置情報、何から何まで数分のうちに調べあげ、警察に送った。翌日、彼女の予想通りヒーローが来た。彼女はヒーローが好きだった。自分がなる分には駄目だが、ヒーローが犯罪者を蹴散らしていく様は楽しいものだったので好きだった。しかし、現れたのは、只の役立たずだった。彼らはそこらの肉塊を見ただけで足が竦み、マトモに動きさえしなかった。仕方がないから彼女は自分の個性で欲しいと思った子供だけを連れて帰った。そして数年が経ち、今その子供達は元気に育ってくれている。特に、自分が一番気に入っている少女は、自分と同じ学校に入学し、楽しく過ごしている。一昨日と昨日は残念ながら邪魔が入ったが、それも乗り越えて強い子に育っていくだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていつか、純粋さを保ったまま大人となった時には、自分が彼女を最初に汚す。メチャクチャに汚して、一生消えない跡を残してやる。

 

鋭華は笑みを浮かべる。その周りには、黒いカーネーションが咲き誇っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。鋭華が自宅に帰ると、子供達が無邪気に出迎えてくれる。

 

「「おかえり!ママ!」」

 

一人は海のような青色のシフォンショートの髪型に赤い目を持つ少女であり、もう一人は陽だまりのような金色のポニーテールに水色の目を持つ少女だった。どちらも身長は姫花と同じ130cm程だが、こちらはまだ年齢も幼い。

 

「ただいま。あれ?姫花は?」

 

「おねえちゃんならへやにいるよ!」

 

「そっか。二人ともお出迎えありがとう。よしよし」

 

「「えへへ!」」

 

二人を撫でると、鋭華は姫花のいる部屋に向かう。

 

「ただいま姫花」

 

「ママ!おかえり!」

 

振り向いた姫花に咲く花は、小さな向日葵だった。




因みにカーネーションの花言葉は『欲望』で、向日葵の花言葉は『愛慕』です。ちなみに愛慕っていうのは深く愛しているっていうことらしいです。
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