第二試合。運命とは皮肉なものだ。それを最もよく表しているのが、この対戦カードだろう。
「では轟少年&爆豪少年チームvs麗日少女&緑谷少年チーム・・・fight!!!」
オールマイトの声にもいつにも増して力が入っている。無理もない。自分の後継者である出久が戦うのだから。
「デェクゥゥゥ‼︎」
開始早々、爆豪が出久のもとへ襲来し、掌から爆発を放つ。
「くっ・・・!麗日さんは轟くんの相手を!かっちゃんは僕がやるから!」
「う・・・うん!」
猛烈な爆風に耐え、単純な作戦を伝えた緑谷は、眼前の相手と対峙する。
(考えろ・・・こういう時かっちゃんがやる技は・・・!)
「舐めてんじゃねえぞクソナードがァァァァァ‼︎‼︎」
(右の大振り!!)
中学時代、爆豪の反感を買い、いつも攻撃を食らっていた緑谷は、既に彼の行動パターンを学習していた。与えられた情報を元に予測し、活かすということにおいては出久は個性を発現させる前からの才能があったのだ。出久は爆豪の右腕から放たれた攻撃を思い切って懐に飛び込む形で回避し、カウンターへと繋ごうとする。だが。
(全身に力が巡るイメージ・・・!)
そう。彼は個性のコントロールがつかず、イメージを描いて放たなくては力の暴走で己の身体を滅ぼすことになる。それ故に、カウンターまでにタイムラグが発生する。爆豪はそれを見逃さない。
「ザコのテメェが・・・一丁前に避けてんじゃねェェェェェ‼︎」
爆豪は叫び、自身のコスチュームの籠手のピンを引っこ抜く。するとそこから爆炎が吹き出し、彼の視界の先を焼き尽くしていった。当然、出久もそこに転がっていた・・・
筈だった。
「・・・さっきからなんなんだよテメェは・・・デク!」
出久は間一髪の所で爆豪の背後に周りこみ、爆炎をギリギリ回避していた。回避したといっても直撃を免れたというだけで、彼の母親が入学記念にプレゼントしたジャンプスーツを元に作ったコスチュームは既にボロボロだが。
「いつまでも出来損ないのデクじゃないぞ・・・今の僕は・・・」
そう言いながら出久は再び全身に力を込める。その目には、確かな闘志が宿っていた。
「『頑張れって感じ』のデクだ!!!」
瞬間、爆豪は出久の放った正拳突きで吹っ飛ばされる。しかし、爆豪も負けてはいない。もう片方の籠手のピンを引っこ抜き、爆炎を放つ。
「死ねヤァァァァァァァァ!!」
今度こそ、爆炎は出久に直撃する。
「ハァ・・・ハァ・・・チッ。クソナードが調子乗ってんじゃねえよ」
彼はそう吐き捨てると、爆炎を放った際に崩れた瓦礫に埋もれた出久に背を向ける。
(なんか釈然としねえが、まぁいい)
因縁の敵を倒した爆豪には、一抹の後悔があった。しかし、結局それを気にせずして彼は次の敵を倒すべく進んでいく・・・かのように思えた。
「まだ・・・まだだ・・・僕はまだ戦えるぞ、かっちゃん!」
ふらふらと覚束ない足で、あの爆炎を直に食らった出久が、立ったのだ。
「この野郎っ・・・クソデクがよォォォォ!」
爆豪は無慈悲にも、掌からの爆発を出久に浴びせようと至近距離まで近づく。だが、極限状態となった緑谷は、最早あれだけ重視したイメージさえ忘れて放つ。自らの最大の一撃を。
「DETROIT・・・SMASH!!!!!」
烈風がビルを貫く。それはビルの最上階までの床を崩落させ、ダミーの核兵器もその中に埋もれた。
「ヒーローチームWIIIIIN!!!」
オールマイトの声が終了を告げる。その時には出久達は保険室に運ばれていた。
今更ですが緑谷を強化し過ぎたかもしれません。どうしましょ。