信じて   作:消月

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調査

 M4は無事に逃げれただろうか。

 AR-15は一人廃墟の一室に隠れ仲間たちを思う。

 鉄血の主権領域に潜入しデータの回収には成功したのだ。……その後待ち伏せてた代理人が率いるハイエンドモデル部隊に追われる羽目になったが。

 今現在も鉄血の追跡部隊が総力を挙げて私たちを追っているだろう。

 それに加えて先ほどまで銃声が辺りに響き渡っていた。今現在は収まったが用心しとくべきだ。

 

 

 プランBを実行し、AR小隊各員がそれぞれ散開、鉄血部隊の注意を引き分散させ、そのうちにM4が現在グリフィンに救援を求めに行っている。

 優柔不断でおどおどしてはいるがM4はあれでも優秀だ。

 きっとやり遂げてくれるだろう。そう考えたその時だった。

 

 直後、近くで足音が響いた。

 思考に耽りすぎて周囲の警戒を疎かにしてしまった。

 普段なら絶対にしないミスを自戒し意識をただちに切り替え残弾の少ない自らの名称にして、半身でもある自動小銃のセーフティを解除し戦闘態勢をとる。

 足音は迷いなくAR-15が居る部屋に向かってくる。ドアに向け自動小銃を構えて待ち構える。その後足音が止みドアを三回ノックする音が響いた。

 

「誰か居るのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 周囲は鉄血人形の残骸でまさに死屍累々といった有様だった。この惨状を生み出した一人と一機は現在燃料採掘用ハーベスターの設置を済ませて採掘作業が完了するまで防衛を行なっている。

 

 

「……まさか降下後にいきなり襲われるとはな。ここはどこの勢力にも属してないんじゃなかったのか?」

 

 ミランはタイタンのコックピット内で思わずため息を吐いた。

 本来ならば誰もいない筈の採掘ポイントに降下したらいきなり鉄血の戦術人形が現れ、襲い掛かってきた。

 ……後でアンダーソンに文句の一つでも言ってやろうと心に決め周囲に動体反応がないかセンサーを起動させ精査する。

 

『どうやら鉄血はかなり広域を支配している様ですね。それに加えてこの世界にはタイタンフォールの反応を検知する技術はまだない筈です。偶然発見されたのでしょう』

 

『彼女たちは非常に好戦的な様です。警告にも応じなかったため今後発見次第撃退することを推奨します』

 

「そうするさ。いきなり撃たれたら困るからな」

 

 相棒の提案に賛同し再びセンサーを確認する。隣接する廃墟郡の一つである商店の中に僅かな揺れを検知した。

 

『ミラン、動体反応を検知しました。HUDにマークします。タイタンから降りて調査を』

 

「……私が調査するのか? それに物が倒れただけかもしれないぞ?」

 

『はい。ハーベスターの安全を第一に動くべきです。どの様な些細なことでも不穏分子は排除すべきです。それに私のシャーシはドアを潜れませんから』

 

「トラッカーキャノンで吹き飛ばすのはどうだ?」

 

『ダメです』

 

「……運がいいな」

 

『皮肉を検知』

 

 皮肉を検知するほど無駄に高性能で、融通が効かない愛機とバカみたいなやりとりを終えてタイタンから降機し観測地点の揺れを調査すべく目標の建物へと足を進める。

 背にした自動小銃の折りたたみ式ストックを展開し、安全装置を外していつでも撃てるように準備する。

 

「MB、ハーベスターを頼むぞ」

 

『了解、お気をつけて』

 

 何事もないように祈りながらMBと別れた。

 

 




タイタンフォール用語解説
XO-16
ヴァンガード級の標準装備である強力な20㎜チェインガン
銃身に発電機構と加速装置を備えており、弾丸に電撃を纏わせ凄まじい連射速度を叩き出すことが出来る
本作品では初代タイタンフォールと同じ100連マガジンを採用している
因みにパイロットは数発、一般兵でも一発ぐらいなら耐えることができる
ボディアーマーがかなり発達しているようだ
やっぱりパイロットは人間やめてますね()

ハーベスター
フロンティアディフェンスと呼ばれるモードにてプレイヤー側が防衛することとなる全長20mはある円柱形の採掘機
地中に埋まっている資源をエネルギー技術を用いて採掘、変換しているようだ
強力なエネルギーシールドを備えている



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