ONE PIECE エピソード・オブ・スターライト 星の国と風の少女 作:ハマT
「着いたぞ!!」
エアリーと別れたルフィ達は港に到着していた。エアリーの言う通り、堂々と港に船を停めても誰も何も言わない。それどころかちらほら見える海軍でさえルフィ達を見ても驚きはするものの手を出してくるようなことは一切ない。
「……おいあれ!!」
町の酒場を指差すフランキー。そこでは海軍と一人の男が楽しく酒を飲んでいた。普通に見ればただ海軍が羽目をはずしているだけにしか見えない。だがその一緒に飲んでいる男は懸賞金二千万ベリーの賞金首。普通ならあり得ない光景だ。
「まぁでも大手ふって歩けるのはいいじゃねぇか!!」
ゾロ言う通り、今まで訪れた島の殆どで海賊という理由から表だって行動できなかった。しかしこの島では海賊を見ても海軍が手を出してこない。だからこそこの島では堂々とできる。
「そう言えばルフィは?」
ふと見るとルフィの姿がない。あのゾロでさえちゃんと一緒にいるのにも関わらず一人だけはぐれたルフィ。そのルフィは……
『さぁ、十年に一度の星祭り準備祭!!この町、ベルザナスの港では海軍主催の海賊バトルが行われています!!第一戦目戦うのは麦わらの一味船長、モンキー・D・ルフィとティアーズ海賊団副船長、ズーラシアだ!!』
星祭り準備祭のイベントの一つ、海賊バトルに参加していた。十年に一度、スターライト王国では特別な流星群が観測できる。その日は特別な日として国を上げての祭りが行われる。今はその前夜祭……というよりはかなり前から準備祭として色々な催しが行われる。この海賊バトルもその一つで、海軍が海賊の懸賞金や危険度を改めて確認するために開催したものだ。力を見せて自分の懸賞金を上げようとする者や逆に懸賞金を下げて狙われる頻度を落とそうとする者もいる。恐らくルフィは何も考えてないだろうが……
「ゴムゴムの
試合が始まると共に殴りかかるルフィ。しかしその攻撃はズーラシアの脇を抜けて行く。
「あれ?ハズれた……」
当てる自信があったルフィ。攻撃をはずしたことに首を傾げる。すぐに反撃のために殴りかかって来るズーラシア。横に跳んで躱すが、何故か当たっていないにも関わらずダメージをくらう。
「……当たっていない攻撃に当たって当たるはずの攻撃が当たらない……もしかして」
「流石、五番目の海の皇帝!!俺はズレズレの実を食べたズラシ人間!!見えるもの全てをずらすことができる!!」
つまりズーラシアはルフィや自分の攻撃の軌道をずらして外したり当てたりしていたのだ。確かに厄介な相手だが、ルフィは数多の強敵を倒し十五億の懸賞金がかけられた男。
「ゴムゴムの
「多?!」
ずらされるなら何度も打ち込む。ルフィの攻撃を捌ききれなかったズーラシアは、モロにくらい吹き飛ばされる。
「そこまで!!勝者モンキー・D・ルフィ!!」
司会の言葉に皆が歓声をあげる。歓声を受けながらバトル場を降りるルフィ。それと入れ替わりに別の人物がバトル場に上がっていく。恐らく次の対戦者だろう。
「ルフィ、あんた何してるのよ!!」
「わりぃわりぃ……何か面白そうだったからよ」
バトルを終えたルフィにナミ達が文句を言う。勝手にいなくなりこのような事をしていれば当然だろう。
「……全く、相手が見聞色の覇気を使ってなかったからいいものの、もし使われてたら負けてたかもしれないのよ!!」
確かに見聞色で先を読まれれば全ての攻撃をずらされて負けていたかもしれない。
「……さてと改めてこの島で物質を補充しましょ」
ロビンに言われ、くじをひき、船番に補給そして探索と別れる。くじの結果、
船番→ブルック、ナミ、フランキー
補給→サンジ、ロビン、チョッパー
探索→ルフィ、ゾロ、ウソップ
となりそれぞれの行動開始する皆。
スターライト王国???
「エアリー……何をしていた?」
何処かにある建物に入ってきたエアリーに赤い髪をした一人の女性が声をかける。
「ごめんアネッサ……近くに麦わらの一味がいるって聞いたから……」
「らしくないね……あれから五年経つけど未だに反乱を起こすだけの戦力はまだ集まらない。でも、この国の人でやるって決めたのはあんただろ?」
五年前に反乱軍を作る際に決めた事。それがスターライト王国の国民のみで団結し反乱を起こすというものだ。悪政に不満を持つ国民も多くすぐにメンバーが集まると思っていたが、結成直後に『一定の税金を納めれば額に応じて次の年の税金を減額する』と言う御触れを出された。それだけではなく悪政に対するいくつもの緩和を出した為に反乱軍のメンバーは全く集まらないでいた。皆が国を多少ながら見直し、不満が消えたのだ。だがその緩和政策は普通に見れば良いように見えるものの、冷静に見れば殆どがそれまでと大して変わらないか更に酷くなっていた。その事に気付き反乱軍に加わるものもいたがそれも僅か、結成から五年たっても戦力集めが主な活動だった。
「……二年程前から南にあるサザンの村の税金滞納が問題になってる。近々動くかもな」
インペルダウン
二年前エースを救うために乗り込んできたルフィと自身の仲間を作るために襲撃した黒ひげ。両者の打撃からかなりの脱獄者を出した監獄だが、二年程でかなりの数の囚人が再び収容された。その最下層レベル6に海軍の制服を来た男が来ていた。その姿を見た囚人が怨みからか暴言を吐くも、それがガープだと気付くと少しずつ暴言が収まっていく。
「……誰かと思えばガープの爺さんじゃねぇか。俺の処刑の日程でも決まったか?」
やがて目的の場所についたのか一つの牢の前で立ち止まる。その牢の奥には一人の男が座っていた。他の牢と比べるとかなり警戒が緩い。
「グラム、貴様に頼みたい事がある」
今から数十年程前、一人の男が海軍本部に現れ暴れた。7日に及ぶ死闘の果て、当時の海軍大将に元帥、CP9によってその男は取り押さえられた。その男の動機はかなり変わったもので、『自身をインペルダウンレベル6に投獄しろ』というものだった。当初は処刑を求む声が多かったが死者がいないこと、その男が海賊や賞金稼ぎではなく一般人であったこと、何より逮捕後は人が変わったかのように大人しかったことから本人の要望通りインペルダウンレベル6に投獄した。その本人も要望が叶ったからかインペルダウンで暴動が起きた時、黒ひげの襲撃でさえおとなしくしていた。その男こそ、グラム。今ガープの目の前にいる男だ。
「頼みたい事だぁ?海兵が囚人に頼み事なんて海軍も地に落ちたな」
「何とでも言え。今回の話はかなりヤバイ。何十年、
いや何百年も追い求めたあの男がスターライト王国にいる。あの男を倒せるのはお前だけじゃ……」
「あの男ねぇ……いいぜたまには外の空気を吸いたいからな。ただし一つだけ条件だ。俺の指名するやつを二人部下として貸せ。そうでもしないと俺が暴れたときに押さえるやつがいないだろ」
「いいじゃろ。で誰じゃ?」
グラムの告げた二人の名前、それを聞いたガープは驚く。だがそれも僅か、すぐに元に戻るとグラムを連れその場を後にした。