おんハピ♪〜Collaboration♪〜   作:赤瀬紅夜

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この話単独でも読めるようになっています。

それでは、どうぞお楽しみください。


Friendly.1 挨拶

とある日の学園の帰り道。

私とナノちゃん、恋ヶ窪さんに、陽毬さん、流さんの5人で帰る事になった。

いつもは、ナノちゃんの美術部や、流さんの水泳部、陽毬さんの家庭部とバラバラな部活に所属している為に、5人の帰り道が一緒になることはあんまり無い。

 

「みなさんと一緒に帰れて良かったです〜」

 

「ひまりん達と帰れるのは良いけどさー、アタシは水泳の練習が出来なくてちょっと残念だなー」

 

陽毬さんは嬉しそうに言い、流さんは少し残念そうに答える。

 

「みんな、これから寄り道でもして行くんですか?」

 

恋ヶ窪さんがみんなの前に回り込んでそう尋ねる。

流さんはそうだねーと呟きながら腕を組み、ひまりさんはどこでも良いですよ〜と微笑んでいる。

 

その時、ナノちゃんが普段からは想像できないような大きな声で言った。

 

「あの!・・・・・しぇあはうす・・・・・・みんなで・・・・しない?」

 

その言葉を聞いた時、ナノちゃんと私たち4人の間に沈黙が生まれた。

 

その沈黙を突き破って恋ヶ窪さんが声をあげた。

 

「すごいっ! ボク達みんなで1つのとこに住むなんて夢みたいです!」

 

本当に嬉しそうに、キラキラした笑顔で言い切った。

 

 

 

〜〜〜

 

そんなやりとりがあった後、私たちはそれぞれの帰路に着くことにした。

シェアハウスの予定はともかくとしてやってみるなら、親の意見を訊いてみるという事になったから。

きっと、みんなも家に帰ったら訊くことになると思う。

 

 

【彩歌の場合】

 

私としては、ナノちゃんの提案だけどシェアハウスはとてもじゃ無いけど、実現が難しいと思っている。

それでも、行けれるものなら行ってみたいということで、早速母さんに尋ねておくことにした。

一旦は、例え話として話題に出してみる。

 

「母さん、私が明日からこの家を出て行って友達とシェアハウスに住むって言ったらどうする?」

 

母さんは、私の方を一瞥してクスリと笑うと答えた。

 

「好きにしたらいいと思うけどね、私は」

 

好きにしたらいい…か。

これは、許可してくれたことになったのだろうか?

悩ましいところだけど、案外さっき言った事は本当だよ、なんて言ったら止めるかもしれないよね。

私の親(特に母親である西沢紅葉)は、よく分からないし読めないことが多々あるから、どうなるかなんて分からない。

 

「実は母さん、さっき言った事は本当何だよ…ね」

 

え?という声と共に母さんは振り返った。

その表情は驚きに満ちている。

 

「彩歌、あなた……本当に友達が居たんだ」

 

良かった良かったと言いながら、目に涙すら浮かべている。

 

……うん、これは怒って良いやつだよね。

 

「いや、友達くらいは居るからっ!!!」

 

何はともあれ、シェアハウス自体には許可が降りたようだった。

 

〜〜〜

 

【陽毬の場合】

 

わたしは、エプロンを着けながら必死に頭を悩ませていました。

いままでどこかに行くのも、親と一緒に行ってたので外泊すらも超えたシェアハウスという、この家を出て行かないといけないことに、どうにも親に説明できないでいたです〜。

 

何よりも問題なのは、わたしのおとうさんですね。

 

以前、ゴールデンウィーク辺りの時も、お泊まり会に行くと言ったら大慌てでしたし、何かと心配なのかも知れ無いですけど、わたしとしてはちょっと過保護な気もします……。

 

エプロン着終わったので、調理室のドアを開けます。

 

そこには、忙しそうに料理を作るお父さんの姿がありました。

額に汗を浮かべて一生懸命に作っています。

 

わたしは、思わずその姿に見惚れてしました……。

やっぱりわたしのおとうさんは格好良いです〜!

 

……って、シェアハウスの話をしなくてはっ!

 

「お、おとうさん、話があるので、後でリビングに来て下さい……」

 

それだけ言い残して、わたしは着たばかりのエプロンを脱ぎながら調理室を出ました。

 

……だって、大事な調理中なのに、わたしの声をかけた時には、しっかりとこちらを向いてくれたのがすっごく嬉しくて、にやけ顔を浮かべてしまっているのが自分でもよくわかりますから。

 

 

しばらくリビングで待っていると、おとうさんが入ってきました。

わたしの方を見ると、目元にしわを寄せて笑って話は何かと尋ねてきました。

 

「あのっ、おとうさん、実は友達とシェアハウスを借りて住もうみたいな話があって……」

 

わたしながら、時々つっかえたり、言葉に詰まったりした所もあったけど、気持ちだけは正直に話したと思います。

おとうさんは頷きながらわたしの話をしっかりと聞いてくれました。

 

「……それでっ、何とかして住めないかなって」

 

言い終わると、わたしは自分の掌が緊張で汗が出ていたことに気がつきました。

思わず笑ってしまいそうなくらい、シェアハウスでみんなで住んでみたいって気持ちがあったんだと思いました。

 

おとうさんは、最後に大きく頷くと、今まで閉じていた口を開きました。

 

「日毬、楽しんで来なさい、友達というのは大切にするものだよ。 ちょっとさみしいけど、この店は任せなさい」

 

そう言ったおとうさんの顔は、とても優しげな表情を浮かべていました。

 

それから、色んな準備をするのに戸惑ったのは、また別の話です〜。

 

〜〜〜




〜次回予告〜

彩歌と陽毬には、親からの許可が下りたようだが、他の3人は?

次回、Friendly.2 何時も

お楽しみに〜。

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