何か思い出に残る写真でも撮った方がいいんでしょうかね....
弦巻家にて次のライブの作戦会議をしている最中、はぐみが
「ねえこれ、見て見てー!」
そう言って写真を机の上に広げた。
「これは....海の写真かしら?とても素敵ね!」
「そういえばはぐみちゃん、家族のみんなで旅行に行ったんだっけ?」
花音が尋ねる。
「うん!とーちゃんが突然『旅行に行くぞ!』って言い出して、そのまま次の日に海に行くことになったんだ」
「その話スゴいね....さすが北沢家って感じだよ....」
突飛な展開に美咲は少し呆れた様子で乾いた笑いが漏れ出た。
「海か....淡い波がさざめく中、美しい太陽の光が水面を美しく彩る....あぁ、なんて儚い....!」
「その時にいーっぱい写真を撮ったんだ。だからみんなに見てほしいなって」
「なるほどね。あっ、この写真キレイだなぁ....」
そう言って花音が一枚写真を手に取る。
「こっちの写真も随分よく撮れてるね、ここ最近は天気も良かったし絶好の海日和だったんじゃないかな?」
「うん、薫くんの言う通りすごく天気がよかったんだ。でも意外と来てる人は少なかったなぁ」
「へぇ、ほぼプライベートビーチみたいな状態だったんだねなんか羨ましいな」
「あら?この写真とてもキレイね!」
と言って、こころが1枚写真を手に取る。
「この写真は....灯台?を前に皆で撮ったみたいだね。確かにキレイに撮れてる。....っと、どうしたんだい?はぐみ」
灯台の写真を見て首を傾げているはぐみを見て、薫が尋ねる。
「いや、こんな写真撮ったかなーって。別に灯台の写真は撮ったと思うんだけど....そうそうこれこれ」
そう言ってはぐみは別のアングルで撮った灯台の写真を指差す。
「ホントだ....でも最初の写真の方が何となく映りが良さそうだね」
「確かに花音さんの言う通りっぽいね。多分何枚か写真撮ったけど忘れたんじゃない?」
「そうかなぁ」
「あら?」
最初の映りの良い方の写真を見ていたこころが何かに気づいたのか、声をあげる。
「どうしたの?」
「この写真、はぐみの家族だけじゃなくて別の人が映ってるみたいなの!」
「えっ?あの時他に誰かいたっけ....?」
「ほらここに、誰かの手が映ってるわ」
そう言ってこころは写真に映っているはぐみの腰の辺りから見える小さな手のようなものを指差す。
「え....ちょっとこころ、これって....」
「多分....心霊写真、だよね....」
美咲と花音が顔を真っ青にして後ずさる。
「フ、フフ....可愛い子猫ちゃんに着いてきてしまったようだね....仕方の無いことだ....」
「薫さん、現実から目を背けないでちゃんと目を開けてください」
「ホントだ....もしかしたら他の写真にも何か映ってるかも....」
はぐみも少し怯えた様子を見せる。しかし他の写真に
は妙なものは映っていなかった。
「結局何か映ってるのはこの写真だけだったね。にしても....」
そう言ってもう一度花音はあの写真に目を向ける。
「きっと見間違いだったのさ、うん、そうさ。最初にはぐみが見覚えがないと言ってたから、妙な先入観が先立って見えたように見えたのさ」
「えー....残念ですが薫さん、その理論は通じなそうです。今私が見てる写真には間違いなく『それ』が映ってます」
ため息をついて美咲が答えた。
「それにしても不思議な写真ね。どうやってこんな写真撮るのかしら?」
「あ、あのねこころちゃん、こういった写真は狙って取ることは多分できないんだよ....」
「へぇ、そうなの。....それならもう一回ここに行って写真を撮ってみたらいいじゃない!そうすればきっと何かが分かる気がするわ!」
「え!?」
こころの常人では辿り着かないであろう結論の下導き出された提案に4人はぎょっとする。
「ここに行って写真を撮ればこの手が誰のものなのか分かるかもしれないんでしょ?それなら行って確かめるのが一番よ!」
「ちょっとこころ!さすがにそれはどうかと思うよ、こういった霊はモノによっては危険だってこともあるし....」
「そんなの実際に見てみるまで分からないじゃない!」
「そうかもしれないけど....いややっぱりその結論はおかしいって」
美咲はこころを制止しようとする。するとこころは
「はぐみはどう思うの?」
と、はぐみの方を向いて尋ねる。
「え?」
「この写真ははぐみのものなんだから、どうするかは私たちよりはぐみが決めるべきだわ」
こころの発言にはぐみは言葉を呑む。やがて少ししてはぐみは口を開いた。
「確かに少し怖いけど....でもこの手が何なのかは気になるし....はぐみももう一回行きたい!」
「得体の知れないものに恐怖を覚えるのは人の性だからね、はぐみがそういうのなら私も付き合うよ」
はぐみの意見を聞いた薫が続いた。
「はぐみちゃんがそう言うのなら....」
「花音さんまで....まぁこうなった以上はあたしも行くしかなさそうだね」
少し渋っていた花音と美咲も3人と同じくその場所に行くこととなった。その日は日取りを決めて解散することになった。
当日、弦巻家の車に揺られ5人は灯台のあるところへ向かった。
「ここが写真の撮れた場所で間違いないかしら?」
「う、うん。ここであってる」
写真のことを思い出したのか、はぐみは落ち着かない様子だ。
「それで....この写真の撮れるアングルを今から探すって訳だね」
件の写真を薄目で見ながら美咲が言う。
「あ、あの....薫さん大丈夫?少し顔色悪いけど」
「大丈夫さ花音、気のせいだよ」
心なしか薫の声は少し震えている。やがて5人は写真の場所を歩き探し始めた。
「にしても手掛かりがあの写真だけだから中々見つからないね....かといって写真を直視するのも何か気が引けるし....」
美咲がそう言うとこころが
「そう言えばあたしまだあの写真をしっかり見た覚えが無いわ。少し見せてくれるかしら?」
と、頼む。
「えっ?こころちゃんは大丈夫なの?」
「大丈夫って一体何のこと?」
花音の心配もよそにこころは写真を見ようとする。
「こころんは怖くないの?」
はぐみも心配そうに尋ねる。
「どうして?この写真に何も怖いものなんてないわ」
そう言ったこころは写真をじっと見つめる。しばらくして
「後ろのところは家が集まってるのね。色んな屋根があるわ」
と、こころが言う。
「そうだったったかなぁ。灯台の写真を撮ったときはあんまりあった覚えがないんだけど....」
「きっと少し前のことだから記憶が曖昧なんだろうね。それを手掛かりに行ってみるとしようか」
薫がそう提案し、そこからはそれも手掛かりに進むことにした。
少し行くと、灯台が見え、遠くに住宅の見える所に着いた。
「この辺りかな、大体写真の条件と一致してるね」
「うん、たぶんここだったと思う。」
「じゃあこの辺りを探せばあの手が誰のものかが分かるのね。楽しみだわ!」
それを聞いた薫が顔色を少し悪くする。
「そういえば....本来の目的はそれだったね、フフ....」
「薫さん忘れてたでしょ」
美咲は小さく突っ込みを入れる。
「着いたけど....特に誰かがいる感じじゃないね。これからどうしよう?」
花音がそう言うと皆が一斉に言葉に詰まる、ことはなくこころが
「今度はあの写真と同じような写真をもう一度撮れば良いんじゃないかしら?」
と、提案する。少し躊躇もあったが、それ以外は何も思い付かなかったので、その作戦に乗ることにした。
「えっと....大体この辺り、いや、もう少し左かしら?」
カメラを持ったこころが4人に指示を送る。
「ええ、大体その辺りね。じゃあ撮るわよー!ハイ、チーズ!」
そう言ってこころがシャッターを切る。
「どう?どんな風になった?」
真っ先にはぐみが駆けつける。5人が集まって写真を見ると、ピントの合っていない写真がそこにあった。
「これは....ちょっとボケてるね」
「こころちゃんカメラ使ったの初めてかな?次は私が撮るね。」
カメラ役を花音にチェンジし、再度写真を撮る。今度はしっかりピントも合っていた。しかしその写真にはハロハピのメンバー以外の人は写っていなかった。
「うーん、あの写真みたいにはならなかったみたいね」
「ていうか何か少し違和感が....同じバックが写るように撮ったはずなのに、あの写真と何か違うような気がする。」
美咲がそう言うと
「たしかに、写真のはぐみちゃんの家族と、私たちのサイズが大分違うね。あっちは私たちの写真よりもう少し離れたところから撮ってたのかな?」
花音も続く。
「それじゃ次は私が撮るとしようか。今度はさっきより遠くに....っと、危ない、これ以上は下がれないか」
カメラを持って薫が移動する。かなりの際に立って薫はカメラを構えた。
「薫くん大丈夫?落ちない?」
「大丈夫さ、じゃあ撮るからね。ハイ、チーズ」
シャッターを切って薫は4人の方へ向かう。
「うーん、やっぱり違うかなぁ。....でもあれ以上は後ろに下がって写真撮るのって無理だよね....」
撮れた写真を見て美咲が呟く。
「もう一回最初の写真見せてくれないかな?」
花音が尋ねる。
「いいわよ」
こころから花音は写真を受け取る。
「あっ、こっちの写真はもう一つの灯台の写真だね....ってあれ?」
花音が何かに気づく。
「この写真ってさっき撮った写真とほとんど変わらない構図だよね」
「そういえばとーちゃんと撮った写真もこの辺りで撮ったような気がするなぁ」
「それに....背景もさっき撮った写真とこっちの写真はそっくりだね」
「"写ってる方"の写真は背景も構図も違う....」
少し不穏な空気がその場を支配する。
しばしの重い沈黙の後、こころが口を開いた。
「そういえばはぐみ、最初にこの写真撮った覚えが無いって言ってたわよね?」
毎度の信じられない投稿ペースに私も驚いています。色んなキャラメインにしてこれからも書いていきたいな。