ポケットモンスター オレガイル&ハマチ   作:d d

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譲り合わぬ彼と彼女はいつも衝突している

さすがにてぶらで旅に出るわけにはいかないのでいったん家に変えることにした。

「おやハチマン、ちゃんとポケモンは貰えたの?」

「ああ」

俺は博士からもらったモンスターボールを見せる。

それで扉の前をとおせんぼしていたお袋をどかした。

とりあえず要りそうな物を持てるだけバッグに詰める。

「そういえばヒラツカ博士から研究所に来てくれってメッセージが来てたよ」

「なんだそりゃ、さっきあったばっかだろうに、年か?」

準備を終えた俺達はさっそく研究所へと向かった。

するとヒラツカ博士は黒い長髪の女と何やら話し込んでいた。

「来ましたよ」

「ああ、何度もすまない。これを渡すのを忘れていた」

ヒラツカ博士は空のモンスターボールを5つ俺に手渡す。

「これがなければゲットしようがないからな。ショップで買うこともできるが、まあ、旅立ちの記念だと思ってくれ」

「博士、隣の綺麗な人は誰ですか」

コマチが余計な事を言い出す。確かに綺麗だけどよ。

「彼女は…」

「エリートトレーナーのユキノです」

すると博士の言葉をさえぎって自ら自己紹介するユキノ。

「うわぁ、自分でエリートとか言っちゃうのかよ…」

するとユキノが睨み付けてくる。

「その年になるまで旅にでなかった引きこもり君に言われたくないわね」

なんだこの女初対面の相手に向かって。

「いや俺の旅立ちとは限らないだろ」

若々しいコマチならまだ十歳位には見える筈だ。

「いや、お兄ちゃんの旅立ちでしょ」

しかし実の妹からのまさかの裏切りに合う。

「はぁ、どうして直ぐばれるような嘘をつくのかしら。姑息な男」

「うるさいな、無意味な慣習とか嫌いなんだよ」

「旅に出るのが怖かっただけでしょう」

俺とユキノは互いに睨み合う。

まさに一触即発、お互いをたたきふせんと視線が火花を散らす。

「そうだ、ならばポケモンバトルをしたらどうだろう」

するとヒラツカ博士が口を挟んできた。

「ヒラツカ博士?」

「意見が合わない相手もいるだろう、そういうときはバトンで決着をつけるのが習わしだ」

「いや、だからそういうのは嫌いだって…」

「私とこの人とでは実力に差がありすぎます」

「なんだ?負けるのが怖いのか?」

「…っ…、いいでしょう、そんな安い挑発に乗るわけではありませんが、この男には立場の違いをわからせる必要がありますから」

おいおい、完全にのせられてるぞこいつ。ていうか俺の意見が無視されてるんだけど。

「シャー、シャー」

すると聞き覚えのある鳴き声が聞こえてくる。ヒラツカ博士から貰ったアーボだ。

こいつ、いつのまにボールからでてきたんだ?

「どうやらそいつは戦いたがっているようだな」

「はぁ、わかりましたよ」

というわけで何故か俺とユキノは勝負することになった。

敷地のそとに出て裏にあるバトルフィールドに移動する。

「使用ポケモンは一体、どちらかが戦闘不能と判断された場合、決着とする」

宣言を聞いた俺はアーボを繰り出す。ていうかこいつしかいない。

「ビギナー相手に本気を出すのはみっともないから手加減してあげるわ」

ユキノは綺麗なフォームでモンスターボールを投げる。

そこから赤い光を纏って出現したのは、ユキワラシだった。

未進化のたねポケモン、手加減というのはほんとらしい。

ユキノとユキワラシってねらってるんですかね?

「バトル…始め!」

ヒラツカ博士の開戦の合図と共にフィールドを緊張感が包む。

俺にとっては始めての実践だ。

「ユキワラシ、こおりのつぶて!」

「どくばりだ」

直後氷と針の弾丸が衝突し白煙を産む。

アーボはそれに包まれてしまった。

ちっ、こおりのつぶては初動が早い。その分押し込まれてしまったのだ。

「尻尾で煙を払え」

扇風機のように尻尾をふり徐々に白煙が去っていく。

しかしそれは次に驚異を産み出した。

ユキワラシが分裂している。

フィールドでは複数対に及ぶユキワラシの群れがアーボを取り囲んでいた。

「シャ!?」

「落ち着け、これはかげぶんしんだ」

しかし本物以外は全て残像だ。動けるのは本物だけ、攻撃時をよく観察すれば見分けられるはず。

その瞬間を目を凝らして待つ。

しかしその時はいっこうに訪れない。

この沈黙が嫌な予感を俺に伝えてくる。とにかくこれ以上待っていたら取り返しのつかないことになると、そう直感した。

「アーボ、にらみつける」

アーボの視線が鋭くなる、これなら向こうがこっちを見ていたら効果があるはずだし、隙も少ない。

「もう一度だ」

その瞬間、若干怯んだユキワラシの一体を俺は見逃さなかった。

「右前方にどくばり」

その個体に毒を帯びる針が向かっていく。

にらみつけるでだいぶ防御が下がった筈だ。当たれば大ダメージは避けられない。

そして怯んだユキワラシは攻撃を避けられない、もらった。

しかし針はユキワラシの横を素通りした。

もうスピードでそれをかわしたのだ。

「なっ!?」

その後も右に左に物凄い速さで撹乱してくるユキワラシ。

あり得ない、あいつにそんな素早さはない筈だし、積み技も使ってない筈だ。

なのに、どうして…。

「まさか…」

一つだけ思い当たるものがあった。それは。

「…むらっけ?」

数秒ごとに能力の一つを2段階あげ、一つを1段階下げる特性。

「夢特性じゃねぇか」

手加減すると言っておきながらこの仕打ちだ。相当の負けず嫌いであることがうかがえる。

こうしている間にも差し引き1段階づつ能力が上がっていく。その配分も読みづらい。

「ユキワラシ、こおりのつぶて!」

「かわせ!」

飛来する氷の散弾をアーボはなんとかかわそうとするが、上昇したすばやさを乗せて向かってくる礫を尻尾に掠めてしまう。

「シャー!!」

「アーボ!」

ヘビは爬虫類だ、寒さには弱い。

「どくばり!」

連続でどくばりを吐き出すがやはりユキワラシにはかすりもしない。

「どうやら勝負は決まったようね」

「お兄ちゃん…」

「どくばり!」

「何度やっても無駄よ」

アーボの攻撃はもはや当たるはずもなかった。

「これで最後、ユキワラシ、こおりのキバ!」

ここで始めて出す技。恐らくこれがあのユキワラシのフィニッシュブローなのだろう。

あれが当たれば勝負がついてしまう。

「どくばり」

向かってくるユキワラシに最後の望みをかけて攻撃をうつ。

しかしそれもかわされてしまった。

直後ユキワラシの口とリンクした巨大な氷の顎がアーボを噛み砕いた。

「アーボ、戦闘不能!ユキノの…」

「え?」

そして勝利を確信して喜びに浸るユキワラシを倒れてきた巨木が押し潰した。

「なっなんだ!?」

「ユキワラシ!」

慌ててそこに駆け寄るユキノ。

ユキワラシは防御を下げられていたこともあって目を回していた。

それを見届けると俺は同じく戦闘不能になっているアーボをモンスターボールに戻す。

そして博士にことの次第を追求する。

「戦闘中にトレーナーがフィールドに入るのは反則じゃないっすか?」

「それはそうだが…」

それを聞いたユキノが俺を睨みつけてくる。

「貴方のアーボは既に戦闘不能になっていたわ!」

「だが審判はまだコールしていなかった、それを無視するなら何のための審判だ?」

「減らず口を…、それに周りの木を使うなんて反則でしょう」

木にはどくばりで何度も傷つけられた後が残っていた。

当然だ、俺が狙って倒させたのだから。

「環境に応じたバトルもトレーナーのテクニックだ」

俺とユキノは試合前と同じように睨み合う。

「仕方ない、今の勝負は私の預かりとする」

するとヒラツカ博士が同じように口を挟んできた。

「しかし、それでは勝負の決着が…」

「なら一緒に旅をしてお互いを理解していけばいい」

「はぁ?」

また一体この人は何を言っているんだ。

「ハチマン、庭の木を倒したのは立派な器物損壊罪だ、ジュンサーさんを呼んでもいいんだぞ?」

「は?いや、あれはバトル中で仕方なく…」

「狙ってやったことに変わりはないな」

「ぐ…」

「ユキノも、ハチマンはまだまだ初心者だ。君がついていろいろと教えてやってほしい」

「この男が素直に聞くとは思えませんが…」

「それなら自業自得だ、だが近くで手本になることはできるだろう?」

「…わかりました」

「あわわ、なんだかすごい展開になってきたよー」

こうしてなぜだか俺達の旅に同行者が増えることになった。

 

 

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