人間らしくない人間と、人間らしい人形   作:pilot

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終わり

やった。やっと見つけた。

 

 

 

私たちは、パイロットの治療のための医薬品を探していた。

文明の進歩と言うのは素晴らしいもので、この時代においては死んでいないのなら大体の怪我はその場で治せるといっても過言ではない医療技術がある。

スティムパック、と言われるものなどそれを打つだけで大抵は回復する。

それを使用しているパイロットは銃創程度数秒で再生する。

そのスティムパックを発見できたのだ。

 

ショットガン人形たちが身を呈してローニンと戦ってくれたので素早く探し出すことができた。

 

そうだ。これさえあれば、人間や、使うことはないだろうが人形ですら元通りになるのだ。

 

一パックしか無かったのは残念だが、今はこれで十分だ。

 

 

これを使えば私のパイロットは助かる。

そして戦力的にもあのパイロットと互角になる。

素晴らしく合理的で、効率的。

 

 

 

...それに、折角再開できたのに彼に死なれるのは嫌だ。

 

 

 

 

持ち帰る道の半ば、悲鳴が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、壁に添うようにして走っていた。

ただ単純に走るのではない。抜け道をくぐり抜け、フェイントをかけ、そして向こうがこちらを見失えばまた遠距離から前面にスラグをぶち当てる。そして、また命がけの鬼ごっこ。

何故そこまでして私は駆けるのか。

タイタンに勝つには、二通りの方法がある。

ひとつは、特別な対タイタン武器と言われる大型の専用装備を使うことだ。

その物々しい名前と、特徴的な見た目に違わず効果は絶大。

制限された弾薬であることを差し引いてもお釣りが来るレベルのタイタンへのリーサルウェポン。

 

しかし、そんなものは私たちの手元になどない。

 

基本的にそんなものを保有するのはパイロットか、前線のIMC歩兵程度で、まず地球のPMCに配備されることはない。

 

一部の徹甲弾や爆発物を使えば、私達でも確かに被害は与えられるのだが、しかし時間がかかりすぎる。

一番の火力役のPKPが拘束された今、私たちだけでは流石に火力が足りない。

だがパイロットが復活するまで、私達はできるだけ戦力を削がなくてはいけない。

 

 

 

ならどうするか。直接攻撃しかない。

もう一つのタイタンに対する弱点とは、脆弱部位を狙い打ちすること以外にない。

基本的にタイタンは歩兵の携行できる通常火器では攻撃しても効果は薄い。

しかし、一部の装甲が脆い部分、例えばタイタンの前方カメラアイなどが、設計上弱点となっている。

だが、タイタンの目の前に立てるものなど存在しない。視線の先へ不用意に、長時間身を晒せば最後、蒸発、斬殺、燃焼、爆破...

死亡例のデパートかと言うほどの多様性でこの世からさよならだ。

例外はない。

これも攻撃チャンスの極端な少なさの原因だ。

 

ならどうするか?

 

バッテリーだ。最大の弱点は、タイタンの上部に備え付けられているバッテリーソケット。

そもそも稼働中にバッテリーを引き抜くのみで連鎖爆発を起こす。

それだけデリケートな部分。

飛びかかられることを想定していなかったのか、そもそもそんなことはあり得ないと思われているのか。

パイロットが搭乗したタイタンは、様々な方法で(場合によってはむちゃくちゃとも言える方法で)

上に乗った勇者、あるいは死にたがりを叩き出すが、オートタイタンはそこまでの対策を取ることができない。

それを利用する。

パイロットならば直接飛び乗ることさえ可能だが、私達はそのためのジャンプキットをもっていない。

だから、私は今、AA12が奴の頭部に乗り込むことのできる場所へと誘導しているのだ。

 

 

予定していたポイントへつく。

確実に成功させる。

 

 

 

そのためには、AA12が飛び付くまで、私が時間稼ぎをしなければならない。

 

 

例え私が壊れてもだ。

生きていたかったが、でも私か指揮官が死ぬ二択なら、私が死ぬことを選ぶ。

 

 

 

生存本能、と言われる私のもつ機能。

この状況では、まるで皮肉だと、私は感じる。

クールダウンはもう終わり。

さあ、来い!

 

 

 

 

 

巨人のもつ大型の銃器。

それは、大きさ通りの破壊力を生む。

引き金が引かれる。その銃の名はレッドウォール。

英語で鉛の壁、という意味らしい。

名は体を表す。その通りだった。

打ち出された散弾、いや、もはや弾の壁が、KSGに迫るのを、私はビルから見下ろしていた。

 

第一射。

 

寸前で彼女は地に滑り込む。頭上を夥しい数のペレットがすり抜けていく。

 

第二射。

 

ショットガン型人形の備える強固な盾で、鉛の壁を防ぐ。

のではなく、いなす。

普通では考えられない程の正確さと素早さで調整されたそれは、盾の大破と引き換えに、本体の無事を保証した。

普通なら、盾ごと仲良く穴だらけだ。

 

第三射。

 

いなした弾の威力をそのまま利用し、瓦礫に突っ込む。

そのセオリーをかなぐり捨てた動きに、オートタイタンは対抗できていない。

 

 

最終射撃。

 

もう何も、弾を防ぐことのできる手段はない。

ダミーはとっくの昔に消耗しているし、そろそろ特殊機能の使用限界に到達するだろう。

 

しかし、KSGのとった行動は、おそらくこの場における全員が予測出来なかっただろう。

 

この作戦は、リロードするとき、オートタイタンが動きを止めるところに、私が飛びかかる、というものだった。

つまり、四発撃たせてしまえば、私が生きてようがいまいが、作戦には関係ないのだ、と彼女は言っていた。

でも、まさか。

 

本当にKSGが、無防備なままローニンの目の前に立つとは思わなかった。

 

 

 

 

無数の鉛が、彼女にめり込む。

 

嫌な音が響く。

 

 

 

 

 

その音をふりきるように、私はアイツの背中に飛びかかる。

 

 

 

 

 

バッテリーの緑の輝きが眩しい。

迷うことなくそれにてをかける。

捻るようにして、それを引っこ抜く。

途端、堰を切ったかのように、巨大なエネルギーが爆発する。

吹き飛ばされそうになるが、まだだ。

まだ、殺しきれていない。

一心不乱に、フルオートショットガンをバッテリーソケットにぶちこみまくる。

徐々に火の手が巨体から上がる。

機体の至るところから痛々しい炎を吹き上げ、軋む音は悲鳴のようだ。

 

 

私、意外とやれるのではないか?

勝てる、と思ったその矢先。

 

突然、目の前が白黒に染まる。

なんだ、これは。

 

いや、なんだ、体に異常な負担がかかる。

目の前が暗くなる。

おそらくここは、異空間。

 

前のパイロットが移動していた所か。

 

いたい、気持ち悪い、いやだ。

 

気の遠くなるような感覚は、いつの間にか振り落とされて、地面に叩きつけられるまで消えなかった。

 

 

身体中がおかしい。発狂しそうになる。

背中もいたい。

目の前には、崩壊寸前のタイタン。

でも、私も死にかけだ。

 

私は緩慢な手つきでリロードする。

しかたないだろ、いたくていたくてこれが限界なんだ。

 

長い時間をかけて、やっとリロードを終えた。

 

奴もリロードを終えたのか、こちらに向き直る。

 

ああ、口の中が甘い。

飴か?いや、そんなのなめてない。

自分の血か。

 

私の目の前に死が迫る。

最後の力を振り絞って、引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

締め付けられた全身。殴られ、顔を切られて痛みで記憶が飛び飛びになっている。

 

奴は、どうしたんだろうか?

何も聞こえない。耳も、おそらく喉もやられたか。

 

ゆっくり目を開ける。

 

そこに広がっていたのは、パイロットの拳でも、ナイフでも、銃口でもなく、ワタシの大切な指揮官だった。

 

良かった。ワタシも指揮官も生きていたのか。

本当に良かった。

束の間の幸せ。

 

いや、どうして後ろにそいつがいるんだ。なんでパイロットがっ...!?

 

叫びたいのに叫べない。

 

声が出せない。

 

何故、どうしてパイロットが。

 

しかし、その思考は痛みに上書きされた。

 

いたい、いたい、左手が、いたい。

 

瞳のみを動かし、左手を見ると、指揮官が、ワタシの左手首を、大きなナイフで、引き裂こうとしていた。

やめてくれ、どうして。

 

指揮官はワタシの味方ではなかったのか。

 

なんで、なんで。

 

やめてくれ、左手だけはやめてくれ。

 

その指輪を、取らないでくれ。

 

それはワタシの救いなんだ、頼むから。

 

やめろ、やめろやめろやめろ!

やめてくれ

 

いたい、やめて。

でも、指揮官は止めてくれない。

 

 

 

肉に刃が食い込む感覚。

 

指揮官、どうしてそんなことをするんだ。

 

骨格に刃が差し掛かる。神経パーツを容赦なく切断して言う。配線が一つずつ切られていく。

 

いや、指揮官にもなにか理由があるんだろう?

なあ、頼むから答えてくれ、教えてくれ。

 

せめて指輪だけでも返してくれないか。

 

ワタシと指揮官の、この暗い世界での数少ない明るい記憶。

 

願いむなしく、左腕はそのまま圧し切られた。

 

激痛が走るが、そんなものはもう関係ない。

 

 

なんで、なんで。

 

腕を切られて、指輪を取られたのはワタシだと言うのに。

それでも指揮官は痛くないはずなのに、ワタシのために泣いていた。

 

きっと、これも指揮官は悪くないのだろう。

 

基地でもそうだった。

他人の欲や、悪意のせいで、ワタシたちはこんな目に合うんだ。

 

指揮官自らは何処までも優しいのに、悪意のある暴力に従わされ、他人を苦しめさせる、不本意な仕事をさせられるのだ。

些細な幸せすら、この世界では奪われてしまう。そんな時代にワタシは求められ、作られたのだ。

そんな理不尽がどうしてもつらくて、ワタシも悲しくて、もう何もかもどうでもよくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私がスティムパックを持って戻ると、そこでは二人の指揮官が言い合いをしていた。

 

なんでも、AA12の指揮官はスティムパックを自分達の人形に使うべきだと。

あそこまで必死に戦ったのに、そんなところで死ぬのはあまりにもかわいそうだと。

 

もう一人の指揮官は、努めて冷静にあろうとしていたが、やはり平静をうしなっていた。

 

どうやら、彼らの大事な伴侶は、死にかけているようだ。

 

タイタンを破壊することと引き換えに。

 

 

私が持ってきたスティムパックを、感情的になったAA12の指揮官が奪おうとする。

 

そこまでする気持ちも、わからなくはない。

わかりたくはなかったが、大事なものを失うと言うのは、あまりにもつらい。

私は知ってしまった。

冷たい合理主義者のままで生きていたかった。

きっと楽だっただろう。変わるのは怖い。

今日の価値がはねあがる。

 

合理のために人間性を犠牲にするのか。

 

人間性のために合理と効率をもとめるのか。

 

昔はどちらかというと前者だったが、今は、認めたくはないが後者だ。

 

 

でもその気持ちがわかるからこそ、私は抵抗する。

奪おうとした彼を投げ飛ばす。

死にはしない。

 

彼女らがどうなろうとも、私は知らない。

 

彼にだけは、生きていて欲しいから。

 

KSGの指揮官も、きっと本当はスティムパックを得たいのだろうけど、でもここでそれをするのは間違ってると考えている。

 

戦力的な問題だ。

 

そう、私の大事なパイロットは、生きることが合理的に保証されているのだ。

 

彼が強くて良かった。もしもそこまで価値のない人間であれば、私のこれは合理的な行動ではなく、ただの感情的な独断行動になってしまうからだ。

 

私はアイツにスティムパックを使うべく、その場を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうです?なげやりな気持ちなりませんか?」

 

忌々しい、あのパイロットの声。

 

俺にこんなことをさせた、奴の声。

PKPの傷だらけの顔。その表情が、目にへばりついてとれない。

 

悲しくて、空虚で、でも決して俺のことを責めてなかったが、もう心は折れているだろう。

 

「つらいでしょう?悲しいでしょう?ほら、危ないから腕を遠くに投げちゃいましょう。なんでしたっけ、そう、トラストミー、ですかね?」

 

ふざけて、おちょけて、それでいて俺たちを侮辱している。

 

 

アイツはゆっくり窓まで歩き、そのままサッチェルを外へ投げた

空中でサッチェルが爆発し、俺たちの愛の、物質的な証明はこの世から消えてしまった。

 

「さあ、なくなりましたよ、あなたたちの愛の形はきれいさっぱりなくなりました。」

 

確かに、もう何もかも失くなってしまったかもしれない。

 

アイツはまだわめき倒す。

「悲しいですよね、心が折れそうですよね。

...折れたと言えっ!!

お前らごときの、人間性を持ったやつらが、我々に劣るとっ!その証明のためにもうやめてくれと懇願しろっ!!

人間性が邪魔だと...!人間は脆弱だと...

私達が間違ってないと言うために早く...っ

言え!吐け!認めろぉっ!愛は弱さだと、覚悟と思考と決意こそが真の強さだとっ!

...認めて...下さい......!!!」

 

不安定だ。彼も、きっと壊れかけているのだろう。

 

他のパイロットや戦術人形の誰よりも冷静、冷徹、冷酷に見えて、その実不安と恐怖を強固な意思で無理矢理押し止めていただけなのだろう。

 

一体この世界はだれが悪いんだ。

 

いや、悪い悪くないなんてないんだろうな。

それぞれが、自らのために戦っている。

 

俺は足掻いて、PKPと生き残って見せる。

 

わめき散らし、注意力の散漫になったパイロットへ小銃を素早く構えむちゃくちゃに撃ちまくる。

たしかR201だったか、いや、これは101か。

 

あまりの反動に腕がぶれまくりほとんど弾が当たらない。

 

それでもパイロットは動揺している。

普段ならそんなことはないだろうに、先ほどの不安定さがまだ足を引っ張っている。

 

だが、それでもパイロットだ。反撃はすばやい。

 

片手で奇怪な、手羽先のようなサブマシンガンを撃ち込んでくる。

 

咄嗟に放棄されたデスクやら何やらの裏に隠れる。

 

 

少しずつ貫通し、次のデスク、また次のデスクへと銃弾が到達しているのだろう。

 

徐々に音が近くなる。

 

音が途切れる。どうやらマガジンの容量はとても小さいようだ。

 

すかさず別の遮蔽物へと移動しながら、パイロットへ発砲する。

 

今度はしっかり構えて撃ったので、先程よりも命中率は良い。

 

だがそれだけだ。

素早く装填作業を終えたパイロットが、今度は室内の壁にくっつき、高速でこちらに駆けてくる。

 

そして不運なことに、俺の銃もそこまでマガジンが大きいわけではなさそうだ。

 

引き金が、軽い。

 

弾がもうでない。

 

緑色の線が見えた。

 

次の瞬間にはパイロットに五体を押さえつけられ、地に縫い付けられた。

 

「......ええ、よく頑張りましたとも。

ただの兵士で、ここまでパイロットを手こずらせるとは。」

 

淡々と喋るように努めているが、その合成音声は震えている。

 

「パイロットに誉められるのは光栄だな。

まあ、俺はお前と違って守るものがあるんでな」

 

わざと挑発する。

 

できるだけ俺に釘付けにするためだ。

あいつらもそろそろリーダーを治療できただろうか?

 

スティムパックさえ見つかればそろそろ復活してもいい頃だろう。

 

「私が、守るものをもっていないとでも、そういいたいのですか?」

 

食い付きがいい。

こいつはどちらかというとイラついた奴をすぐ殺すのではなく、いたぶるタイプだろう。

 

「ああ、守ったり作ったりするよりも、暴れて全部壊す方が似合ってるよ」

 

 

「だからっ!それがなんだというんですかっ!?

お前は私に負けた!お前は私よりも、私達パイロットより弱いのです!敗者なのですよ!?」

 

音割れせんばかりの大音量で、パイロットが哭く。

 

 

「お前は不幸せそうだ。それだけだよ。」

 

 

「てめぇ...言わせておけば散々にいいやがって...!!」

 

 

そうだ。もっと怒れ。お前が俺たちにやったように、冷静さを削ぐんだ。

 

奴が立ち上がり、俺にナイフを突き立てようと振り下ろそうとしたとき、アンカーが窓際に突き刺さりに、何かが飛んできた。

 

 

巻き取られ、こちらへとすっとんできたのは、我らがリーダーのパイロットだった。

 

「何っ!?何なんですかっ!?」

 

IMCのパイロットがヒステリー気味に振り替えるよりも先に、リーダーの拳が背中を捉え、そのまま天井へと突き上げる。

 

それをそのままワイヤーを伸ばしてひっつかみ、床へと顔から叩きつけた。

 

あれだけのパイロットが、それからはもうピクリとも動かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言うと、俺たちは誰一人として死ぬことはなかった。

 

あのリーダーに倒された機械のパイロットの体の中には、濃縮されたスティムが大量に入っていたからだ。

 

あれを適正まで薄めれば、人形も皆助かる。

濃度が高いぶんは、実際使える量も多いということだ。

 

でも、失ったものも多い。

 

PKPの左手と指輪。

 

KSGは全身銃創だらけ。

 

AA12は対策なしでのフェーズシフトにより様々な記憶障害を起こしたようだ。

 

それでも、俺たちはまだ生きている。

 

あの町から、IMCの本隊から逃げるように離れた後も、俺たちは共に歩み、それぞれの愛には変わりなかった。

 

 

世界がどうしようもなく冷たかろうが、俺たちは生きていくのだ。

 

「おーい、飯ができたぞ、お前ら。」

 

リーダーが俺たちを呼ぶ。

汚染されてない地域を転々とし、様々な雑用をこなしその対価で命を繋ぐ。

 

英雄とはほど遠いが、俺たちはきっと幸せだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、この前あなた農業したいとか言ってましたよね。」

 

ドロップシップで、不意にガンギマリ野郎が口を開く。

口なんてないが。

 

この前の地球まで精神を飛ばす無茶苦茶な作戦の後も、私達は普通に生活していた。

 

負けてしまったが、あの件の責任は地球側にあるとマーダーがなんとか切り抜けたようだ。私たちにはお咎めなし。なにも変わらない。

 

しかしたった一つだけかわってしまった。

 

それは、あのガンギマリ野郎が、少しだけ人間性を羨ましがるようになったことだ。

 

「あ?そういえば言ったなぁ。お前興味なさげじゃなかったか?」

 

「あなたもそんなこと言うんですか...私そんなに人間らしくないです?」

 

調子が狂う。こいつは底なしに明るくなかったか。

 

「人間らしくなんてないわよ。」

 

 

「やっぱりそうですか...」「でもね」

 

「人間らしくなくても、アンタはアンタよ、好きに生きてる前の方が、人間らしさにこだわる今よりも楽しそうだったわ。」

 

だから励ましてやる。

 

間違ってもこいつのためではない。

私の調子が狂うから、もとに戻すだけだ。

 

「わーちゃん...!あなたはとてもいいことを言う人形ですね...!見直しましたよ、また哲学の話をしましょう!」

 

こいつは表情筋が無いくせに感情豊かなのが腹立つ。

「嫌よ!というか、わーちゃん言うな!」

 

 

また、戦争だ。

それは終わらないが、私は悲しくはない。

人間らしさになんかに価値は感じない。

自分たちが、必要なものを決めるのだ。

 

 

 

 




頭空っぽにして何か書きたい

元々空っぽ(小声)
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