人間らしくない人間と、人間らしい人形   作:pilot

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私たちは常に負け組だった。

私たちの源流は21世紀まで遡る。

かつて一介の企業だった私たち鉄血は、あるコンピューターを開発していた。それは依頼されていたものであった。

しかしそれらは、全て国と国の陰謀に巻き込まれる形でこの運命をたどることとなる。

 

 

今でこそテロ組織の犯行、と伝えられている正規軍によるその作戦が原因で、我々は決起せざるをえなかったのだ。

 

無論、人間がそれを見逃すわけもなく、やはり我々には刺客が差し向けられた。

 

グリフィン&クルーガー。

太古、この二つの名を関した人間が設立した大手民間軍事会社。

 

そいつらはこの数世紀の間常に私たちを攻撃し押し留めてきた。

 

その対応力たるや尋常ではなく、背後のI.O.Pと共に我々の天敵たりえた。

これまでに世界はさまざまな思惑にさらされつづけ、今現在はグリフィンのみならずIMCさえもが我々の敵となった。

 

IMCは、かつてハモンド・ロボティクスとして、人形機械産業で凌ぎを削った関係だったが、今や向こうは企業惑星とすら呼ばれる大企業、そして鉄血はちょっと危ない野生生物扱い。

 

あれはほんの数年前の話だ。

 

グリフィン・IMC合同対鉄血作戦。

まだ私たちのネットワークが、存分に発揮されていた頃だ。

 

 

今でも、ふとしたことで脳裏に再生される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鉄血工造、そう呼ばれていた元企業。

 

そのいまやテロ組織と成り下がって久しい鉄血の本社の周囲に、夥しい量の人影があった。

 

そこにはいかにもロボットらしいもの、もはや人影というのもおこがましいもの、そして戦場には到底似つかわしくない少女たちがいた。

それらの共通点は、武装し剣呑な雰囲気をまとっていることと、そしてその全てが人間ではないことだ。

みな、人でなし。

 

 

 

 

 

その時、その集団の後ろに虚空から船が現れた。

この船の中に、種族的には先程のやつらよりも人らしいのにも関わらず、しかしもっと人から離れている存在がいる。

 

パイロットが、鉄血への作戦へと参加するのははじめてのことだった。

 

 

 

パイロットたちが降下すると同時に、スタンバイしていた人形たちは走り出しす。

 

要塞のように改造された本社に、機械歩兵たちがなだれ込む。

 

 

自動歩兵スペクターは非常に優秀かつ、使いやすい。

起動するだけで大体のことはやってくれる。

なにより使い捨てを前提としている設計なので即戦力として優秀だ。

 

だから、こういった作戦では最前線にて重宝される。

 

ブリーチングの手順を何一つ間違うことなく遂行し、分厚い入り口を破壊した。

 

広く開放的な通路へ散開するスペクター。続くARクラス戦術人形。

 

とても短いスペクターのハンドサインに呼応して、次々と兵士が突入していく。

 

 

 

その頭上を、一人のパイロットが疾走していった。

 

 

 

その次の瞬間、パイロットは風景に溶け込むように消え失せ、続いて凄まじい光線の嵐がスペクターを襲う。

ヴェスピドと呼称されたそれらは、鉄血においてのオールラウンダー。

なんでもそつなくこなす、癖のない人形だ。

しかしその連射力と安定性は侮りがたい。

 

次々と倒れる前方のスペクター。

 

しかし彼らも優秀な歩兵だ。

仲間の死に臆することなく、反撃の射撃を打ち込む。

機械だからといって柔軟な動きが出来ないわけではなく、むしろ器用に遮蔽物を扱い着実に制圧していく。

エネルギー駆動短機関銃は精度とマガジン容量に優れる。敵を釘付けにするのにはもってこいだ。

 

装甲が頑丈だったのか、倒れたののちも起き上がり反撃を加えるものもいた。

正確、無慈悲、作業的。

人間離れした戦闘光景。

 

そのさらに後ろから戦術人形が榴弾を打ち込む。

彼女らは単体での個人的戦闘力と、複数のダミーシステムを利用した集団的戦闘力の水準が共に高い。

 

こういった特殊技能も利用した作戦遂行能力は目を見張るものがある。

 

開始から少しで、グリフィンはこの場の流れを掴んでいた。

 

が、その場のグリフィンの攻勢は、思わぬ乱入者に阻まれる。

 

独特の駆動音と、思い足音が通路に響き渡る。

 

四つ足で駆けてくるあれは、マンティコア。

毒持つ獣とも言われる神話の生物の名を冠している。

 

大昔の制式軍用装甲兵器を奪取、コピーし改良に改良を重ねて現行使用しているものだ。

数世紀の間鉄血の上位戦力であり続けるのは改良の成果でもあるが、基本の設計が優れているのもある。

さすが正規軍製だ。

底部に備え付けられた兵装が火を吹く。

凄まじい熱量と衝撃。

それがこの通路中を蹂躙した。

 

 

戦術人形とだいたい生まれた時期は一緒だが、単純な戦闘力の高さは異常だ。

 

 

 

事実タングステン、劣化ウランなどの屈強な素材で構成されているスペクターの装甲が、いとも容易く破壊されていく。

そのくせグリフィン側の攻撃は装甲に阻まれ、ダメージの蓄積はできても決定的一撃、つまり致命傷を与えることは難しかった。

 

しかしその時、IMCからも獣が躍り出る。

 

スペクター、戦術人形の背後からその体躯に見合わない俊敏さで何かが跳んでくる。

 

それはマンティコアがそれ自身に対応する前に、その大量に保有した位置エネルギーと運動エネルギーをマンティコアにぶつけた。

 

白いアンバランスな、逆三角形型をした不気味な兵器。

頭部は不釣り合いな程小さく、比率がおかしくなったようにみえる。

 

IMCの新型兵器、リーパー。

 

様々な機能を搭載した無人機だ。

 

無論、マンティコアもやられっぱなしではない。

 

その装甲、重量からのタックルでそのままリーパーを撥ね飛ばし、さらに追撃とばかりに射撃する。

その圧倒的火力は、今までの不特定多数への掃射ではなく、絶対的な、唯一への殺意を伴った集中攻撃だ。

 

タックルをまともに食らい、たまらず体勢を崩すリーパー。

 

しかし次の瞬間、あの巨体からは到底想像できない軽快なステップを踏み、更なる攻撃をかわす。

 

その回転の勢いをそのままに、腕先から青ざめたエネルギーを垂れ流しながらマンティコアを殴り付けた。

 

ひしゃげるマンティコアの前足。

めり込むリーパーの豪腕。

 

一見リーパーが攻めているが、それがいけなかった。

 

装甲板に深く沈みこんだリーパーのうでは、容易にはひきぬけないようだ。

構造上ほぼ全ての武装を腕部に搭載したリーパーにとってこの状況は非常に好ましくなかった。

 

すかさず重火器を連射するマンティコア。

それをまともに食らったリーパーは、装甲が爆ぜ、砕け、そのまま火を吹きあえなく動きを止めてしまった。

 

怪しげな音を立て、崩れ落ちるリーパー。

 

やにわに鉄血は勢いづき、反撃の体制をとる。

 

マンティコアはリーパーをその辺に放り出し、スペクターの方へと向き直った。

 

周りには、大量のヴェスピドが固めている。

その様子は戦車と随伴歩兵。

 

スペクターがゆっくりと後ずさる。

それは何故か?

マンティコアに怖じ気づいたか?。否。

敵の攻勢からの戦略的撤退か?。否。

それはただの回避行動だ。

何から?

実はリーパーは爆発する。

そのままの意味でだ。

鉄血はそれを認識していなかった。

つまり。

マンティコアの周囲もろとも、大きな、圧倒的な爆炎がすべてを吹き飛ばす。

 

それを尻目に、スペクターたちは前進していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなのよもう!めちゃくちゃに固い上にいくらでも沸くじゃない!」

小柄な、これまた戦場に似つかわしくない少女が吠える。

 

 

「爆散して死んでしまえ!」

 

しかしその可憐で可愛らしい本体とは異なり、体の両脇には物々しいグレネードランチャーが保持されている

 

デストロイヤーと呼ばれるそれは、鉄血の設計思想における圧倒的上位存在に兵士を統括させる思考を実用化したハイエンド、と呼ばれるモデルの内の一機だ。

 

指揮系統をもつのも通常の兵士と違うが、やはり最も大きく異なるのはその圧倒的性能だろう。

 

同じ鉄血はおろかグリフィンの高性能人形や、IMCの各種機械化兵器を多数相手取るのも十分に可能だ。

 

だが今回は量が多すぎる。

その上固い。いやがらせに特化しているようなもののストーカーが、様々なルートから侵攻してくるのだ。

 

 

「クソッ!また爆発で前が見えない!皆下がれ!」

 

さらに彼らは頑強なのに繊細で、バッテリー部分に間違ってでも攻撃を加えてしまえば、その中に保有する大量の動力源を撒き散らして長時間連鎖的に爆発する。

おかげで通路がまともに通れない。

 

グレネードで先程から吹っ飛ばしまくるが、多くて固くて仕方ない。

 

そして決して正確ではないが、やはりあちらも短機関銃

を無茶苦茶に連射してくる。

徐々に、徐々にだがダメージと焦りが募る。

 

もう何体壊しただろうか。

 

増援が途切れたようだ。

 

部下とともに素早く通路に入り込み、クリアリング。

何処にも立っているものはいない。

 

 

「ふん......数だけだったのね......呆気ないわ。」

仲間全員が、制圧を確認した。

もう一度言うが、誰も立ってはいなかったのだ。

あくまで立っているものが、だが。

 

クリア確認をした、と思い込んでいたデストロイヤーの足を、何かが掴む。

 

そう、倒したと思われていたストーカーだ。

 

どうやら彼らは、予想以上に執念深いようだ。

 

「やめて!離して!」

足を引っ張られバランスを崩し、へたりこむ形になる。

ここまで近距離で捕まれてしまうと、デストロイヤーは手出しができない。

その武装が自らも巻き込むからだ。

 

そして腕力では、ハイエンドだとしてもストーカーに差をつけることはできない。

いちいち人間の形を模したものとそういう制約のない非人間型の兵器。どちらが単純に腕力を強化できるか。

多少安くとも、ストーカーはそういった実用性はピカ一だった。

加えて、敵は一機ではない。

一つひっぺがすのにもたついてる間に、最早デストロイヤーの姿が表面からは見えないほど、ストーカーに群がられていた。

 

「誰か、誰か助けてよ!」

 

無論、だれも答えない。

デストロイヤーですら引き剥がすのがやっとなのだ。

 

ほぼ全ての一般鉄血兵士は抵抗すらできずにストーカーから押さえつけられていた。

 

このままでは緩やかに死を待つだけ。

次の増援で確実に殺されるか、腕力で徐々に破壊されるかのどちらかだ。

 

そこに、突然声がかかる。

 

「よう。助けて欲しいか。」

 

突然現れた、変わったモサモサとしたスーツを身につけたパイロット。

 

「......!?」

 

デストロイヤーは困惑する。

男の声だ。

確か鉄血に、男性型人形はいない。とすると、恐らく外部だ。

 

「雇われたのさ。鉄血にな。」

 

男はそう答える。

なんだと......?

きいてないぞ、といいたくなる気持ちを押さえ、デストロイヤーは素直に従った。

デストロイヤーがそういう連絡からハブられるのはドリーマー絡みでよくあるのだ。

だからデストロイヤーはそこまで訝しがらなかった。

ストーカーのせいでデストロイヤーには彼が見えないが、それしか方法はないだろうということも判断を後押ししていた。

 

上に乗っていたストーカーが退かされ、手を捕まれる。

そのまま引っこ抜かれたデストロイヤー。

 

きっと安心しきっていたのだろう。

あそこから助かったのだから。

ただ、運が悪かったのは相手がパイロットで、更に嘘をつくような人間で、且つ性格が非常に悪い、つまり人形で遊ぶような人間だったということだろう。

 

掴んだ右手をそのままねじ切り、グレネードランチャーに詰め込まれた。

デストロイヤーは一瞬呆けて、何が起きたのか理解が及ばなかったのだろう。

 

そのままの勢いで左手も同じようにねじ切り、逆のグレネードランチャーにぶちこまれる。

 

ハッと気づいた瞬間にはもう遅い、パイロットはデストロイヤーの足を蹴飛ばし、地面に転がした。

 

「ハッハッハ、はぁ~マジかよ、こいつ簡単に騙されやがったわ」

 

表情はヘルメットで伺えないが、さぞや悪い顔をしているのが手に取るように分かる口調だ。

 

「お前見た目に違わず子供なのな。いや~流石鉄血のハイエンド。いや、廃棄物の廃に、終わりのENDと書いての廃ENDか?我ながらうめえなぁ!」

 

こういう性格の歪んだパイロットというのは確かに一定数存在する。

過酷な選抜試験で歪むものも多い。

 

「勘違いすんなよ?俺はお前が人形だろうが何だろうが関係なく殺す。

ただちょっと遊んでみたかっただけだ。

ブッ......ククク......まさか本当に信じるとはなぁ!

人間の傭兵ィ!?お前ら人類撲滅マンじゃねえのかよぉ!?

そんなデタラメなことするなら普通通達するだろぉ!?

それ信じちゃうのぉ!?

トラストォ!ミィー!

ヒャーハハハ!

お前実は普段から指揮系統ハブられてんじゃねえのかぁ!?

アッハハハ!ヒィーッヒィーヒッヒ!」

 

あまりにもな扱い。ハイエンドとしての尊厳を踏みにじられたデストロイヤーは涙を流したいほどつらかった。

 

そのとき。

 

一筋の光線がパイロットの腕を貫く。

 

 

遠くの方で、何かいるようだ。

「ドリー......マー......?」

 

「クソいてえなぁ......!何処から撃ちやがった......?

ああ......うぜぇなぁ......芋ってんじゃねえぞクソが!」

 

その戦術の、どの口が言うのか、と突っ込まれそうな台詞を吐き、得物である低反動サブマシンガン、CARを構えて走り出す。

途端またもや、姿はかききえ、誰にも彼を見ることは出来なくなった。

 

 

 

 

 

ドリーマーは怒っていた。

それは義憤でも、同情でも、また武人としての卑怯を疎む気持ちでもない。

ただただ自らの所有物が奪われたことへの不快感。

あれは私の道具でおもちゃだ。

お前が手をだしていいものではない、と。

 

気づけば引き金を引いていた。

彼女は自覚していないが、意外とデストロイヤーを気に入っていたのかもしれない。

そしてそれは戦況をかえ、確かにデストロイヤーを救った。

そして次はドリーマーが戦う番だ。

 

ドリーマーは身体中のセンサーを最大限にまで強化し、敵を探す。

空気の流れ、視界、音。

ただパイロットも相当の手練れだ。

隠密効果は規格外。

まずジャンプキットが出しているはずの噴煙が見えない。

おそらく特殊なカスタムを施しているのだろう。

音もそうだ。

小さすぎてどこから聞こえているのかわからない。

 

「よう、答え合わせの時間だぜ。」

 

突然、背後から声が聞こえた。

気づいたときにはもう遅い。

人間離れした蹴りがドリーマーを襲う。

センサーを強めていたので気が狂うほど痛い。

骨格にヒビが入っているかもしれない。

だが、パイロットはそれで攻撃を緩めることなどしない。

 

転がるように起き上がったドリーマーを、間髪入れずに掴み上げる。

 

そのまま、喉の皮を引きちぎった。

 

激痛に次ぐ激痛。

 

声を出そうにも発声モジュールごと抜き取られてしまった。

 

「不思議だよな。お前らは元々鉄屑なのに、構造は人間に近い。喉を壊せば声がでなくなる。

俺の同僚なんかスピーカーから声出すぜ。喉がねえんだ。

まあ、お前もその空いた喉似合ってるぜ。

のど越し、生!なぁんてな。」

 

侮辱、軽蔑、蔑み。

なんで私が。どうして私が。

クソッ、クソクソクソっ!

 

ドリーマーはここまで虚仮にされた経験はない。

 

いつもデストロイヤーはこんな気持ちだったのかと、一瞬逡巡してしまうくらには屈辱的であった。

 

そのときだった。

 

デストロイヤーが背後からパイロットに飛びかかり、抱きつく形で地に押し付ける。

「さっきはよくもやってくれたわね!そして貴方に残念なお知らせよ!貴方の言う通り私なんか誰にも大事にされないのよ、だからこそあんなのもう皆慣れっこ、今だって私ごとドリーマーがお前を撃ち抜いてくれるわ、覚悟しなさい!」

 

少し自虐的な言葉がデストロイヤーから飛び出す。

 

「てめぇ!ブッ壊れた人形のくせして俺に歯向かうってのかこのやろう!」

 

喚いて、煩わしい。

 

そうよ、貴女なんか誰も大事にしないのよ。

 

でも、一々作り直すのすらもったいないから......

今日は、いかしてあげる。

 

ゆっくりパイロットに近付いて銃身を突きつける。

 

「お、俺を殺したところで、どうせすぐに追加がくるんだぜ、無駄だから諦めろよな......なぁ?」

 

ドリーマーは、だまって親指を下に指して、そのまま何発も何発も執拗にパイロットへとうちつけた。

 

もう耳障りで下品な罵りは聞こえてこない。

 

「ど、ドリーマー?

あ、あの......あ、ありがとうね......」

 

デストロイヤーが申し訳なさそうに謝る。

ドリーマーはそれがおかしくて嗤ってやりたかったが、生憎今は喉がない。

今は我慢してやるが、喉を治したら、思う存分に笑ってやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イントゥルーダー。

侵入者、と呼ばれるモデルの彼女は、鉄血ハイエンドモデルの中でもほんの少し新しい方だ。

 

そして彼女は、様々な支援能力を持つ。

今の目的は、その名の通り、敵陣深くへ侵入し、敵の首脳を叩きに来たのだ。

持ち前の電子戦能力で、敵の通信ラインの解析はできている。

結果として、この前線基地からほぼ全ての通信は行われていることがわかった。

確実にここが司令部なのは間違いない。

 

手早くセキュリティを解除し、中へと入っていく。

 

 

通路は不気味なほど誰もおらず、司令部と思われるところに到達するのには大して時間がかからなかった。

 

しかし、侵入した先に現れたのは情報が飛び交う司令部でもなく、そして様々なオペレーターでもなく、黒ずんだ一機のスペクターだった。

 

 

 

「ようこそ、SP914 intruder。私はスパイグラス。貴方の目的はなんですか?」

 

白い殺風景な、未来的かつ無機質な部屋に、ポツンと司令官らしきものが一つ。

 

「貴方は何者なのかしら?」

 

イントゥルーダーは相手のペースにのまれないとしながらも、スパイグラス、というそいつが何を考えているのかを図りかねていた。

 

「私の現作戦の身分は民間に公開されていますので開示可能です。

私は司令官、この作戦におけるIMCの全戦力の統括をしています。」

 

あっさりと答えるスパイグラス。

つまりこいつは鉄血でいうところの代理人。

非常に高度な指揮権限を持つということだ。

少し変わっているが、目論みはあっていた。

 

素早く大降りな武器を構えて、スパイグラスを見据える。

 

「悪いけれど、貴方みたいなデウスエクスマキナがいると舞台がつまらなくなりますわ。」

 

言い終わるか終わらないかの時点ですでに射撃を開始する。

 

相手は高度な指揮権を持つ機械。

鉄血の感覚で言えば、戦闘力も兼ね備えているハイエンドのはず。

イントゥルーダーはそう思い、全力で排除を試みる。

が、あっけなく爆散してしまった。

 

「とんだ見かけ倒しですのね......まるでハリボテ。」

 

気の抜けるような敵であった。

そうひとりごちると、何処からかまた声が聞こえてくる。

 

「お見事です、Sp914 intruder。戦闘力をサンプリングすることに成功、誘導に必要な最低戦力を算出。」

 

やつの声だ。

今爆散した筈なのに。

何故、何故だ。死んだのではなかったのか。

 

「あなたは何故まだいきているの!?」

 

「開示します。私はこの会社の様々な作業を一手に担う汎用のAI。IMCの関わるところならば何処にでもいて、何処にもいません。

そしてこれは本来は機密事項です。」

 

機密事項をあっさりと......

ということはつまり......?

「あなたはここから、外に出ることはない。例えプログラム文字の一列さえもですよ。」

すかさず、この情報を報告しようと鉄血のネットワークにアクセスしようとして、凄まじい不快感に襲われる。

強力なジャミング。

 

イントゥルーダーの持つ電子戦能力でも突破不可能。

 

間違いなくスパイグラスの、そしてIMCの策だった。

 

「スペクター、ストーカー起動。作戦を開始します。」

 

とたんに白い壁から、大量のIMC製の機械歩兵が飛び出してくる。

 

ハイエンドモデル特有の反応速度で、自らの武装を選択し、射撃を開始する。

この狭い空間で、尚且つ四方八方に敵がいるならば、使用するべきはアサルトライフル型の武装であろう。

 

イントゥルーダーは、戦闘中に武器のスイッチングをすることが可能で、様々な状況に対応することができる。

 

牽制など要らない。

確実に頭部を撃ち抜いていく。

射撃を確実に頭に当て、最小限の弾数で敵を倒す。

こんなことができるのは高性能な人形とパイロットぐらいだろう。

 

数発当てては逃げ、数発当てては逃げを繰り返す。

 

射撃、構え、逃走。

 

自分が追い込まれている事にイントゥルーダーが気づくのは、全てが遅くなってからだった。

 

コロシアムのような、空を板に投影した特殊な円形広場に逃げ込む。

中央には高い壁のようなものがいくつか天に延びている。

 

駆け込んだのち通路に向き直ると、またもやその武装を切り替え、連射力に秀でたガトリングガン型を使い、直線上の兵士を凪ぎ払う。

単純な火力ならば圧倒的なこの射撃モード。

欠点も多い。

しかしこの場において、狭い通路を通るしかないスペクターやストーカーに残された選択は、おとなしく蜂の巣にされることでしかなかった。

 

しかし、ここはコロシアム。

一度入れば、出るのは一人。

もう一人は何処から現れるのか。

 

その答えはすぐに現れる。

 

空から舞い降りるように姿を現したのは、様々なプロテクターを着けた人間だった。

 

「お前にはここで死んでもらう。今からバックアップすら取らせない、本当の死だ。」

 

簡潔に、残酷な事実を告げるパイロット。

 

その声は柔らかい女声で、しかし凛とした「本気」が感じられる声でもある。

 

「何故IMCはそんな回りくどいことをするの?さっき殺せば良かったじゃない?」

 

イントゥルーダーには、まだこいつらが何かを企んでいるようにしか感じられなかった。

事実こいつらは私を罠にかけたのだからと。

 

しかしそのパイロットから出たのは意外な言葉であった。

 

「......せめて、お前らみたいな可哀想な奴を殺さなければならないのなら、そいつの一番好きなシチュエーションで殺してやりたいなと、私が思ったんだ。

上手く理由をでっち上げてスパイグラスに通すのには苦労したぞ。」

 

なんて下らない理由だろう。

これが嘘なら三文芝居もいいところなのだが、やはりその声からは悪意は感じられず、やはり本気の声だった。

 

いいじゃないか、と。そうイントゥルーダーは思った。

 

たしかにイントゥルーダーはその機体性能とは裏腹に劇的なものが好きだ。

特性上、姑息な手段を用いるし、確かにそれが得意なのだが、それをいかに美しく、悲劇あるいは喜劇的にするかをよく考える。

 

比喩表現にもよく使うくらいには、劇という存在が好きだ。

 

おそらく彼女は、私が本来なら一生味わうことのない本当の死闘を経験させてくれるのだろう。

策のない、これ以上ないほどの劇的な闘争を。

 

「まあ、私が負けるとも思わないけれどね。」

 

強気に言うイントゥルーダー。

この死闘の記憶をここで失うのはもったいない。

出来ることなら勝ち、そして記憶をアップロードしてやろうと、そう考えた。

 

「さあ!数世紀にも及ぶ憎しみを、私にぶつけてみろ!全部上から叩き潰してやる!」

 

「上等ね、やってやりますわ。」

 

入るのは二人、出るのは一人。

 

命と尊厳をかけた戦いが始まった。

 

 

 

 

アサルトライフルの方を構え、射撃を加える

素早く、正確な射撃を繰り出せるこれは、超高速で移動するパイロットにもってこいだ。

 

しかし中央の壁たちに隠れられ、それは命中することはなかった。

 

ジリジリと、構えを解かずに警戒を続ける。

途端にパイロットが壁から飛び出て、外周の壁へと飛び立つ。

 

狙い通り。

しかしそれはイントゥルーダーの狙いではない。

 

パイロットの狙いだ。

 

撃たれると同時に、パイロットが空間へ霧散する。

いや、もとからそこにはパイロットなんて居はしなかった。

 

ホロパイロットと呼ばれる特殊装備。

自分そっくりの像をつくり、前に放つだけの、戦略としてはあまりにも地味なそれは、しかし使い手に呼応し厄介さを増す。

 

このパイロットは、厄介な部類とかそういう次元の話ではなく、もはやホロパイロットのすべてを知るといっても過言ではないレベルの使い手だったのだ。

 

間抜けにも騙されてしまったイントゥルーダーは、そのパイロットの術中にまんまとはまっていた。

 

「騙されたな......!」

 

彼女の手には、小振りな銃、いわゆるピストルが握られていた。

 

この時代には珍しいリボルバータイプだ。

そしてその古臭い機構とは裏腹に、それの破壊力は十全にある。

 

小気味良い音と反応が、パイロットの手に伝播する。

 

真っ直ぐに、拳銃とは思えないシャープさで放たれたその弾丸は、確かにイントゥルーダーを貫いた。

 

ウィングマンと呼ばれる高威力の拳銃。

それのカスタムモデル、ウィングマン・エリート。

拳銃離れした高威力且つ長射程の特殊な銃は、そのロマンとピーキーさから広くは普及していないが根強い支持者がいる武器だ。

 

非常に早い速度で貫通した銃弾は、一撃でイントゥルーダーに大きな傷を遺した。

 

痛み。生きている痛みだ。

 

まさかここまで面白い戦い方をするタイプとは思わなかった。

 

俄然、やる気がでる。

 

またもや物陰からパイロットが飛び出る。

 

それはもう見た。

すぐさま飛び出たパイロットの出てきた物陰に駆け、狙いをつけ弾を放つ。

 

ビンゴ。本物だ。

 

パイロットは内心愕然としていた。

まさか一度のみですべて見抜くとは。これが鉄血ハイエンドのスペックかと。

このホロパイロットの出し方ならば、それを初めてみるものならばもう少しの間騙されてもいいかと思ったのに。

 

こいつがここまで賢いのならば、私は寧ろ馬鹿みたいなことをしてやろうか。

 

そうほくそえんだパイロットの顔を、イントゥルーダーが見ることはなかった。

 

パイロットは一見破れかぶれにも見えるような軌道を描き、壁から壁へと逃げていく。

追撃のためにガトリングガンを掃射するイントゥルーダー。

 

そこから、パイロットはイントゥルーダーの目の前に、何かを投げつけた。

 

パァン、と軽い音をたて、中から煙が広範囲に吹き出す。

 

白い煙が、広範囲に広がる。スモークグレネードだ。

 

そのまま煙の中へと追撃しようするイントゥルーダー。しかし、そのからだを異常な感覚が走る。

 

電撃だ。あの煙は、高圧電流をまとい、雷雲のように放電している。

相当特殊なグレネードだったのだろう。

 

悪い視界、移動することができないスペース。

 

限界まで反応速度を高める。

 

 

ゆっくり足音が近づいてくる。

煙が晴れると、そこにはノロノロと壁からこちらを伺いつつでてきたパイロットがいた。

イントゥルーダーはそれを見た。

この距離で、この方向から来たのなら本体は......!

居た。あの壁の上、天辺にこちらを狙うパイロットが。

ある意味あからさまな、地面を歩くパイロットには銃口を向けず、迷わず壁の上のパイロットを撃ち抜いた。

 

 

「チェックメイト、ですわ。」

 

果たして撃たれたパイロットは、崩れ________

落ちなかった。

つまり、あれはホロパイロット。

なら、本体はどこだ?

 

そう考えるまもなく、背後から声をかけられた。

 

「お前がな。」

 

先程の、地面を歩いていたパイロット。

あれが、あの間抜けな、ある意味あからさまだったそれが、あえて偽物を装っていた本体だったのだ。

 

振り替えると、パイロットがこちらに銃口を向けている。

 

あまりにもハッキリと自らの死を認識したイントゥルーダーは、潔くその死を受け入れるのだった。

「これで......幕引きですわね......」

 

「お疲れ様、面白い脚本だったさ......」

 

イントゥルーダーが最期に聞いたのは、何処までも木霊するウィングマンの銃声だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

処刑人、狩人と呼称されるその二つの人形は焦っていた。

 

この首脳部に続くメインストリートを突破されれば、鉄血は弱体化を余儀なくされる。

ネットワークを一挙に破壊されるからだ。

そして、その突破がもう目の前に近付いているのが、彼女らの焦りの原因であった。

 

パイロットが二人、鉄血人形兵と、機械兵両方をなぎ倒していく。

 

その歩みは止まらない。

なにせ鉄血兵は紙のように散らされ、足蹴にされ、それでいて相手にされていないような状態だ。

 

あまりにも無慈悲で残酷。

 

ハイエンド型である鉄血人形の二人は、固い絆で結ばれている。

少なくともただの友人ではない、親友といっても過言ではないだろう。

だからこそ、覚悟を決めた。

 

二人で必ず、奴等を倒すと。

 

 

「おお、本当にかわいい女の子の形してるんだぁ、私初めてみたわぁ」

 

何処か気の抜けたような声をだす片割れ。

しかしそのパイロットスーツには凄惨な戦いの記録が刻まれていた。

夥しい量の機械油と人工血液。

そのすべては返り血で、本人にはいまだ傷一つ無かった。

どんな印象でも、本質はパイロット、ということだろう。

 

「こんなかわいい子殺すのはいやだなぁ......

ねぇねぇ、もうこんなことするのやめてIMCにこない?」

 

穏やかな言葉遣いだが、しかしその口振りとは酷くかけ離れたような、おそろしく冷たい声の調子。

 

「断る」

 

二人は同時に返事した。

そもそも彼女らは武人気質だ。裏切りなど、自分達からすることではない。

 

だが、この時代においては、気高い誇りも、人情溢れる義理も、冷たい圧倒的な力の前ではなんら価値はない。

 

「じゃあ殺すか」

 

先程喋っていたパイロットとはまた別の方が、短絡的に、言い換えれば単刀直入に、やるべきことを確認する。

 

「やだよ、こんなかわいいんだもの、生かして捕まえて教育すれば皆に好かれるわ、私が保証する。」

 

「おめーの教育受けてまともなまま戻ってこれた人形いねーじゃねえか、金の無駄遣いすんじゃねぇよ」

 

強者の余裕だろうか、まだ戦ってすらないというのにも関わらず、彼らは勝った後の話をしていた。

それもそうだ。彼らはパイロットなのだから。

 

 

 

そんなパイロットの態度に苛ついたのか、処刑人がパイロットへ突貫する。

そもそも彼女は非常に血気盛んな性格で、防衛するのにもまず打って出るタイプの人形だ。

そして幸運な事に、処刑人は得意なこととやりたいことが合致しているタイプだった。

 

その異様に強化された右腕には、大きく鋭い刃が保持されている。

さらに射程は短いが、強力なハンドガンも、もう片方の手に持っている。

つまりは、距離をつめてつめてつめて、そして逃げることを許さず殺し尽くす、そういった設計思考のハイエンドモデル、それが処刑人だ。

 

 

右腕に保持したブレード、それをパイロットへと振り回した。

 

片方は後ろに飛んだ。賢い選択だ、そもそもまともに受けるべきものではない攻撃だから。

 

それは見た目に違わず強靭で、凶悪な威力をもつ。

 

しかし、あの気の抜けた方のパイロットは、直前までジャンプキットを作動させるでもなく、その代わりに小さな、まるで苦無のようなブレードを抜いていた。

 

パイロットへと処刑人の刃が触れるその寸前、果たしてそれがパイロットへと届くことはなかった。

 

その小降りで、明らかにパワー不足に見えるその苦無のようなものを器用に使い、弾くのではなく、向きをずらしてそのままいなしたのだ。

 

そして、その苦無は、実はパワー不足ではないことを、処刑人はその身を対価に知ることとなる。

 

受け流したその勢いのまま、処刑人に肉薄するパイロット。

そのままブレードを、腕に突き立てた。

「痛ェ......!」

突き立てただけに過ぎないのに、そのブレードはなんの抵抗もなく、処刑人の右腕を裁断した。

 

処刑人は接近戦を得意とする上に、さらにハイエンドモデル。

装甲は、その少女のような見た目に反してとても強固だ。

 

だが、それはそのブレードにとっては、障害にすらならなかった。

 

パルスブレード、と呼ばれるその特殊な軍需品は、攻撃することが本来の用途ではない。

だが、それは=攻撃力が低いというわけではない。

 

どういうわけか、あるいはその特殊な、名前の由来にもなった振幅のもたらすものなのか、そのブレードの破壊力は筆舌に尽くしがたい。

 

なにせあのパイロットが、それに当たるだけで戦闘不能に追い込まれるのだ。

パイロットは、劣化ウランや、その他様々な重金属で覆われたスペクター並みにタフだ。

それを、一撃で殺す武器。

それがこのブレードの正体だった。

 

「くそっ、ふざけやがって!」

 

確かにその戦闘様式と、その熱しやすい性格は相性が良かったのだろう。

だがここでは、それが更なる窮地への切符となる。

 

先程切り落とされた右腕をパイロットが拾い上げ、そのまま今にも切りかかろうと腕を振り上げていた処刑人を殴り倒す。

 

攻撃体勢に入ったばかりの、力の不安定な時に強い衝撃に晒された処刑人は、あっけなく構えを崩される。

 

そしてパイロットは、処刑人の腹に、止めの一撃を加えようとして、そして失敗した。

 

狩人だ。

狩人の正確無比な弾丸が、今度はパイロットの体勢を崩した。

彼女は親友とは正反対の、待ちの戦略を得意とする。

執拗に、陰湿に、しかし華麗に確実に自らの作り出した陣地、つまり狩り場で敵を屠る。

そして、この瞬間こそが、狩人の待っていたチャンスであり、そして処刑人との真反対だからこそできる、彼女らなりのカバーだった。

お互い、多少は怪我することに慣れている。

肉を切らせて骨を断つのだ。

 

今度こそパイロットへと、処刑人の刃が食らいついた。

 

「痛い......ってこんなのだったかしら......」

 

寸前でパイロットは回避行動をとるが、遅すぎる。

即死は免れたが、パイロットの体には初めて返り血以外の血液が付着し、そしてその量からして、致命傷なのは火を見るよりも明らかだ。

 

「だぁからそうやってかっこつけたりすんなって俺はいつもいってんだ。初めから殺す気でやればそうはならなかったろうよ。」

 

先程後ろへと飛び下がったパイロット。

人数的に不利になったのにも関わらず、余裕の口調だ。

 

「ずいぶん余裕だなぁ?お前らIMCが端正込めて98%を犠牲にして作られたパイロット様が一人、オレの片腕だけしか持っていけずに死んじまうんだぞ?」

 

処刑人が煽る。元々そういう色々な意味で社交的な奴なのだ。外にたいしてとにかく干渉をしたがるし、一度見た敵は殺すまで諦めない。

次の獲物は目の前の、余裕綽々なパイロットであろう。

 

だが、余裕というのは理由なくしてつけれるものではない。

 

彼は、自信を持つだけの根拠があるのだ。

 

ひしゃげるような金属音が遠くから聞こえてくる。

 

あまりにも重たくて、床が割れているのだろう。

そこまで重いものがここにあったか?

もともとは会社のメインストリートであるここを通るのは、鉄血では重くてせいぜいAEGIS程度だろうに。

 

それの正体は、ここにいる二人の鉄血ハイエンドを恐れさせるには十分なものだった。

 

ついに角から姿を現したそれは、あまりにも暴力的なガトリングガンだった。

その大きさたるや、迫撃砲型のjaguarなどは霞んでしまうほどの迫力。

 

そして、それを支える巨人。

それが、堂々とこのメインストリートに侵入してきたのだ。

パイロットは半分得意気に言う。

 

「よし。これからこのタイタンの名前と、その由来を教えてやろう。

名前はリージョン!アジア圏内なら軍団って意味だな。

そしてその由来は......体で感じろ!」

 

パイロットは手慣れた動きでその巨人の腹に収まると、その捕食者のごとき銃身が唸りをあげ、そしてその後それは弾丸の嵐を吐き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言えば、鉄血は負けた。

その後、あの二人が突破され、捨て身の攻撃を仕掛けた。

しかしあの巨人が今際の際に起こした爆発、おそらく核だ。

それに巻き込まれて、鉄血のメインサーバーやら設備やらがほとんど破壊され、ネットワークは大きく弱体化した。

さまざまな工場は小さく各地に残されてはいるが、奴等の気分一つで殲滅されてしまうだろう。

 

だが、私たちはそこで大きなことを学んだ。

パイロットの脅威と、その有用性。

そして、それらを再現することを目標とし、ついに目処がたったのだ。

 

件の、PMCの指揮官の反乱。

その際に命を落としたパイロット二人の内、一つは次の体へのデータ移行を全て完了し、機密保持のためにメンタルデータは抹消されていたが、片方は、パイロット自身が死ぬことを認識することが遅れ、対応が不完全だったのかアップロード後のメンタルデータ消去がされていなかった。

 

これを運命と呼ぼうが、進化と呼ぼうが、そんなことはどうだっていい。

私たちは、抵抗する力を手にいれたのだ。

 

 

「お帰り、パイロット。君は再生した。気分はどうかな?」

 

パイロットを、修復することができたのだ。

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