今日も今日とてよい日和だ。
というよりもIMCのおかげでよい日和以外あり得ない。
IMCの技術は素晴らしい。
天候、気温、支配できないとも言われていた自然現象を支配下へと納め、全てを人に優しくひいては大局的に自然自体のためにもなるようコントロールする。
惑星タロスなど、地表全てが煮えたぎる恐ろしい星だったというのに冷却装置のおかげで今や様々な人が集い、鉱産資源に関連した様々な産業が発達した素晴らしい地域となっている。
それらは全て、企業としてのIMCの努力が実を結んだものだ。
彼らとて、血も涙もない冷酷企業ではない。
顧客のため一心に努力しているのだ。
まあ、全てを肯定できるかと言われればそうでもないんだが。
私たちにとって救いなのは間違いない。
そしてそんな平和な町で、私はパイロットとしてではなく、普通の女性としてオフを楽しんでいた。
私はまだ人だ。
戦いで心休まる人種ではない。
子供たちが安心して遊べる環境。
まさか武装したスペクターが巡回しているこの世界で下手なことをする奴はいないだろうし、ここに住む人々はそもそもが皆満たされていて、犯罪を犯そうなどとは考えない。
サメの着ぐるみが皆に風船を配っている。
平和だ。
子供も喜んでいる。
......いやどうしてサメがこっちに向かってくるんだ?
おい!おい近いって!なんなんだ一体!おい!おい!
「君、パイロットでしょ?当たってる?当たってるよね?あたしそういうのだけは詳しいんだよ~。」
突然すぎるその出来事に、私は戸惑う他なかった。
こいつはなんだ。
だれだ。
というか人か?これ。
なんでも最近のマーヴィンは自我を持つものもいるらしく、そしてそれらはほぼ例外なくこんな風に楽観的かつ人懐っこいと聞く。
こいつもそんな一体だろうかと、そう思っているやいなや普通に着ぐるみを脱いで中から少女が現れた。
いや普通の人間なんかい。
流石の私も驚かされた。
もうさっきからなんなんだほんとに。
「どうして急にそんなこと聞くんだ?確かに私はパイロットだけども、それが君にどういう関わりがあるんだ?」
とにもかくにも、こいつの目的を知らねばなるまい。
必要とあらば取り押さえも検討しなければ。
「大した頼みじゃないんだけどね~。
ウォーゲームズで時代錯誤的なセーラー服少女を見かけたら教えてほしいんだ。
昔の仲間だったんだけども、数百年前にグリフィンの形が変わっちゃった時に離ればなれになってそれっきりなんだよね。
ウォーゲームズなんか中々私たちじゃ利用できない。
頼める人なんて今までいなかったんだ。
でも、都合良く君が現れた。
しかも優しそうなね。
君みたいなパイロットはもう居なさそうだし、最後のチャンスかなって。」
グリフィン。
その名を聞いた私は、また驚く他に無かった。
まさか、こいつはあの、かつて一番優秀なPMCと言われていたグリフィンに所属していた戦術人形なのか!?
貴重な、ともすれば私たちパイロット以上に価値のある存在かもしれない。
前に戦った404を見てもわかるとおり、彼女らの蓄積された化け物じみた経験量は我々の比ではない。
人形と人間では、やはり寿命に差がある。
それを半分克服したパイロットですらも、そもそも長続きしないやつもいるし、歴史はまだ戦術人形に比べれば浅い。
これは面白いことになってきたぞ。
「ああ。約束してやるよ。
旧グリフィンならば興味が湧いた。
良かったな、私のようなパイロットで。
私の同僚には怪しいやつと見るや軽機関銃をゼロ距離射撃するやつもいるからな。」
「あたし人を見る目はあるつもりだよ。」